JPH0716411A - 複合フィルタ - Google Patents

複合フィルタ

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JPH0716411A
JPH0716411A JP18664493A JP18664493A JPH0716411A JP H0716411 A JPH0716411 A JP H0716411A JP 18664493 A JP18664493 A JP 18664493A JP 18664493 A JP18664493 A JP 18664493A JP H0716411 A JPH0716411 A JP H0716411A
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JP18664493A
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Tetsuaki Kon
鉄昭 根
Nobuhiro Moriyama
信宏 森山
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Kureha Corp
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Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高湿度の雰囲気で用いてもまた水洗して用い
ても帯電量の減衰が少なく、したがって塵埃の捕集効率
が安定して高く、しかも不織布に比べて通気抵抗と繊維
の飛散の点でも有利な荷電された網状の複合フィルタを
提供することにある。 【構成】 複合フィルタは、負の極性に帯電している負
帯電網と、正の極性に帯電しており該負帯電網とは表面
材質が帯電列においてプラス側に位置する正帯電網とが
交互に少なくとも2層以上、かつ網どうしが互いに接触
するように積層されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、荷電された網状のフィ
ルタに関し、特に電荷減衰を制御するために多層構造と
した複合フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】荷電されたフィルタを用いて塵埃を除去
する技術として、エレクトレット化された不織布のフィ
ルタが提案されている(特公昭56−47299号公
報)。また、板状或いはシート状の荷電物体の表面電荷
はそのまま空気中に放置しておくと、比較的短時間の間
に減衰してなくなってしまうが、荷電物体をアルミニウ
ムなどの金属箔で覆って密封しておくと、表面電荷の減
衰が有意に抑制されることは知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、不織布
のエレクトレットフィルタは、湿気による帯電量の減衰
が大きいことに加えて、網状のものに比べ通気抵抗が大
きい、使用中にその繊維が飛散し易い、捕集した塵埃を
水洗等の方法で清浄にしてフィルタの再利用を計る際、
塵埃の除去が困難なうえに繊維が脱落し易いなどの欠点
を有する。通気抵抗が大きいフィルタは、送風機のエネ
ルギー消費と騒音の両面から好ましくないことは言うま
でもない。また、荷電物体をアルミニウムなどの金属箔
で覆って密封しておくと、電荷の減衰が有意に抑制され
るという知見に基づき、荷電物体をフィルタ用途で用い
得るように、金属箔の代わりに金網などの金属製多孔体
を採用することも考えられる。しかし、この構造ではほ
とんど効果がないことは、後述の実施例からも明らかで
ある。
【0004】本発明は、上記諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、高湿度の雰囲気で用
いてもまた水洗して用いても帯電量の減衰が少なく、し
たがって塵埃の捕集効率が安定して高く、しかも不織布
に比べて通気抵抗と繊維の飛散の点でも有利な荷電され
た網状の複合フィルタを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の複合フィルタ
は、上述の課題を解決するためのものであり、負の極性
に帯電している負帯電網と、正の極性に帯電しており該
負帯電網とは表面材質が帯電列においてプラス側に位置
する正帯電網とが交互に少なくとも2層以上、かつ網ど
うしが互いに接触するように積層されていることを特徴
とするものである。
【0006】本発明の帯電網は、誘電体繊維から形成さ
れた網状物であり、正負いずれかの極性をより強く帯び
ている帯電体である。網の織り方は特に限定されず、例
示すれば平織、綾織、畳織、平畳織、綾畳織、ハニカム
状の織りなどである。該誘電体繊維としては、体積固有
抵抗が1010Ω・cm以上、好ましくは1012Ω・cm
以上の繊維を用いることができ、特に合成樹脂繊維は、
柔軟性があり且つ単繊維で網を構成できるため、本発明
の目的に特に好ましく用いられ得る。さらに、目開きや
繊維の太さは、フィルタの除塵効率、通気性(圧損)お
よび剛性などを勘案して適宜決定される網の性状であ
る。しかし、網を表現する呼称で言えば、5〜100メ
ッシュ(繊維の太さにもよるが、目開き4.5〜0.1
5mm)、特に好ましくは10〜40メッシュ(同前、
2.1〜0.5mm)の網が通常好ましく用いられる。
誘電体繊維は撚糸であってもよい。
【0007】基本的には、正帯電網の表面材質が負帯電
網のそれとは帯電列においてプラス側に位置していれ
ば、本発明の効果は発現する。これは、異質の網を互い
に接触するように積層しておくことにより網が自己荷電
され、そのため帯電網の電荷の減衰が補償される結果で
あると考えられる。
【0008】正負帯電網の表面材質について、好ましく
利用できる具体例を示せば、正帯電網に対してはシリコ
ン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂および
ウレタン系樹脂などの正の極性に帯電し易い樹脂材料
(樹脂Aと称す)であり、一方、負帯電網に対しては弗
素系樹脂、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系
樹脂などの負の極性に帯電し易い樹脂材料(樹脂Bと称
す)である。本発明の複合フィルタは、上記の好ましい
樹脂材料の組合わせで構成されるのが良い。
【0009】本発明に用いられる弗素系樹脂は、樹脂中
に弗素原子が好ましくは25重量%以上、より好ましく
は50重量%以上含まれていることが望ましい。弗素系
樹脂の好適な例としては、弗化ビニル、弗化ビニリデン
等の二弗化エチレン、三弗化エチレン、四弗化エチレ
ン、三弗化塩化エチレン或いは六弗化プロピレンなどの
単独重合体或いは、これらの単量体どうしまたは他の単
量体との共重合体である。
【0010】本発明の好ましい例では、正帯電網を構成
する繊維が上記樹脂B(負に帯電し易い材料)を芯材と
して、その表面に樹脂A(正に帯電し易い材料)が形成
されている2重構造となっている。このような2重構造
の正帯電網を採用することによって、水洗後の電位回復
と共に除塵効率に優れた複合フィルタを形成することが
できる。また、好ましい負帯電網の繊維構造は、逆の2
重構造すなわち樹脂Aを芯材としてその表面に樹脂Bが
形成されたものである。正負の帯電網を共に上記2重構
造とすることによって、複合フィルタの性能をさらに向
上することができる。特に好ましい2重構造の表面樹脂
は、正帯電網に対してはシリコン樹脂、負帯電網に対し
ては弗素系樹脂である。
【0011】上述の2重構造繊維は、2種類の糸を撚糸
する際に芯部と表層部とに分ける方法、共押出により芯
鞘構造の繊維とする方法などによっても製造できるが、
簡便でありより好ましい方法は、浸漬法、スプレー法、
塗布法などにより、基材繊維の表面に被覆膜を形成する
ことである。樹脂被覆量の目安としては、1m2 の網当
たり5〜50g、好ましくは10〜25gである。
【0012】樹脂コーテイングの実際例を例示すれば、
四弗化エチレン樹脂の場合には、四弗化エチレン樹脂コ
ート材(例えば、ニューTFEコート・FC−102、
ファインケミカルジャパン製)を用いてスプレー法で、
シリコン樹脂の場合には、1液性室温硬化シリコンゴム
(脱酢酸型)を溶媒に溶かして浸漬法で、ウレタン樹脂
の場合には、2液性ウレタン樹脂(例えば、クインネー
ト、日本ゼオン製)を溶媒に溶かして浸漬法で、弗素系
樹脂の場合には、例えば弗化ビニリデン/三弗化エチレ
ン(75/25モル比)共重合体(呉羽化学工業製)を
溶媒に溶かして浸漬法で、それぞれの樹脂皮膜を基材表
面に形成することができる。
【0013】本発明の複合フィルタでは、網は荷電され
ている。荷電された網を得る方法として、網にコロナ放
電処理を施す方法がある。コロナ放電処理は平板電極の
上に網を載せ、針電極を放電電極としてコロナ放電させ
て行う。コロナ放電処理は加熱しながら行うことが好ま
しく、網が軟化、変形を起こさない程度の温度、例えば
90〜100℃程度の温度で行う。コロナ放電処理時間
としては、3〜5分程度を一つの例として挙げることが
できる。正に荷電された網を得るには、電源の陽極を放
電電極に、負に荷電された網を得るには、電源の陰極を
放電電極にそれぞれ接続する。
【0014】本発明複合フィルタのそれぞれの網に予め
コロナ放電などによる荷電処理を施しておくことは好ま
しいことであるが、本発明はかかる処理を必ずしも必要
としない。なぜならば、上述の好ましい網の組合せにお
いては、網を互いに接触するように積層しておくことに
より網が特に強く自己荷電され、帯電フィルタとして十
分使用に供し得るからである。
【0015】本発明の複合フィルタは二枚以上の網を重
ねてなるものであるが、一方の極性に帯電された網(内
層網と称す)の両面に、他方の極性に帯電された網(外
層網と称す)を積層した三枚の網からなっていてもよ
く、更にこのような網を四枚以上用いてもよく、この場
合、隣接する網表面の帯電極性が互いに異なるように重
ね合わせるとよい。複合フィルタを構成するそれぞれの
網、例えば図1に示すような複合フィルタ5の内層網1
及び外層網2、3は周囲に設けられた枠体4により一体
化されるか、または網の周囲を相互に溶着若しくは貼着
されて一体化される。また図2に示すように両外層網
2、3間に内層網1を挟んで配置し、交換のため内層網
1を両外層網2、3間から取り出せるように、両外層網
2、3の周囲を部分的に枠体4に固定して一体化しても
よい。なお、平織の網とハニカム状に織った網とを適宜
選択して積層してもよい。三枚の網で複合フィルタを形
成する場合、洗浄等の容易性から大部分の塵埃が両外層
の網で吸着されるようにするのがよく、この観点からは
正帯電網で両外層を形成するのがよい。
【0016】本発明の複合フィルタは、電子、精密、薬
品若しくは食品工業等のエアーフィルタ、インテリジェ
ントビル、工場若しくは事務所等の空気清浄機、さらに
は手術、歯科医、衛生士、花粉症若しくは産業用等のマ
スクに好ましく用いることができる。
【0017】
【作用】本発明にかかる複合フィルタでは、網が少なく
とも二枚重ねられて、この二枚の網のそれぞれの少なく
とも表面が帯電列においてプラス側とマイナス側に分か
れた材料からなっており、一方の網の表面が正極に、他
方の網の表面が負極にそれぞれ荷電されている。このよ
うな構成により、それぞれの網の電位減衰、変動を小さ
くすることができ、また水洗、乾燥後の電位復元も大き
くすることができる。そして、電位減衰が小さく電位復
元が大きい網を具備した本発明複合フィルタでは、大き
な静電力によって塵埃を効果的に吸着することができ
る。
【0018】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明を具
体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。試験に供した合成樹脂製の網 実施例および比較例で用いた合成樹脂製の網の性状を表
1に示す。ここで、PET網は、太さ0.15mmφの
ポリエステル単繊維を径糸および緯糸としてハニカム状
に織った網であり、その目付けは85g/m2 、厚み
(山と谷の間の距離)は1.4〜1.7mmであった。
また、PP網は、太さ0.23mmφのポリプロピレン
単繊維を径糸および緯糸としてハニカム状に織った網で
あり、その目付けは91g/m2 、厚みは1.0〜1.
5mmであった。
【0019】樹脂被覆 表1の網に、適宜、弗素系樹脂またはシリコン樹脂の被
膜を施した。弗素系樹脂の被膜は、弗化ビニリデン/三
弗化エチレン(75/25モル比)共重合体(呉羽化学
工業製)をメチルエチルケトン溶媒中で4重量%の溶液
濃度となるように溶解した液中に網を浸漬し、引き上げ
て室温で16時間乾燥した後、90℃の温度で5時間硬
化させて行なった。樹脂の被覆量は、10〜15g/m
2 の範囲であった。後述の表2〜4には、当該弗素系樹
脂を被覆された網は、略号”F”で表されている。ま
た、シリコン樹脂の被膜は、コーテイング用シリコン樹
脂(TSE399、東芝シリコーン製)をn−ヘキサン
溶媒中で1.5重量%の溶液濃度となるように溶解した
液中に網を浸漬し、引き上げて室温で6時間乾燥した
後、60℃の温度で2時間硬化させて行なった。樹脂の
被覆量は、10〜15g/m2 の範囲であった。後述の
表2〜4には、当該シリコン樹脂を被覆された網は、略
号”S”で表されている。
【0020】
【表1】
【0021】荷電処理 表1の網および樹脂被覆された網に、適宜、コロナ放電
による荷電処理を施した。まず、平板電極の上に網を載
せ、その上方に5mmの間隔で配列した針状電極(電極
間距離10mm)との間でコロナ放電を発生させた。荷
電処理の条件は、温度95℃、放電時間3分であり、両
電極間には6〜10KVの直流電圧を印加した。荷電処
理を行なった網は、次の性能試験までの間の電位減衰を
最小限に抑えるため、速やかにアルミニウム箔で密閉し
て保存した。なお、網に正電荷を荷電させるときには、
電極の極性は針状電極が正極となるように、逆に網に負
電荷を荷電させるときには、針状電極が負極となるよう
に切り換えた。後述の表2〜4には、正電荷の荷電処理
を施された網は略号”+”で、負電荷の荷電処理を施さ
れた網は略号”−”で表されている。以上のようにし
て、表1の網およびそれに樹脂被覆を施した網、更には
それらに正電荷または負電荷を荷電させた網を準備し、
性能試験の試験網とした。
【0022】性能試験(1) 次のようにして、網の表面電位の変化を調べる試験を実
施した。まず、上記試験網単独またはそれらの組合わせ
を選び出し、その表面電位を測定し、図1に示す枠体に
収納して室内に吊り下げ放置した。試験網の大きさはす
べて20cm×20cmであり、荷電処理されている網
についてはアルミニウム箔を剥がし、試験に供した。ま
た、試験網の組合せを選んだ場合には、網どうしが互い
に接触するように積層して枠体に収納した(図1)。続
いて、定期的に網を枠体から外し、それぞれについて表
面電位を測定して再び枠体に戻す操作を繰り返した。網
の表面電位は、表面電位計STATIRON TYPE
−TH(宍戸商会製)を用いて測定した。なお、試験の
途中(表2の試験では8日目の電位測定後、表3および
4の試験では3日目の電位測定後)で試験網に水洗処理
を施した。これは、水洗後の電位の回復力を見るための
ものであり、枠ごと水中に約5分間浸漬し、引き上げて
試験を続行した。性能試験(2) 次のようにして、フィルタ性能を調べる試験を実施し
た。空気清浄機・エアヘルス(松下電器産業製)の既設
の不織布フィルタを取り外し、代わりに同寸法(16c
m×16cm)に裁断した試験網を取り付け、和室で清
浄機を1時間運転した後、網の表面を顕微鏡で観察し
た。また、清浄機の吐出側ダクトに風速計を設置し、フ
ィルタ交換に伴う風量変化を調べた。以下の実施例およ
び比較例における性能試験(1)の結果をまとめて表2
〜4に示す。該表で網の構成の説明には、上記略号が用
いられている。なお、FともSとも記述のないものは、
樹脂被覆のない素材そのままの網であること、また+と
も−とも記述のないものは、荷電処理を施してない網で
あることを示す。
【0023】実施例1 PET網を弗素系樹脂で被覆し、負電荷を荷電させた網
(内層網)の両側に、PET網をシリコン樹脂で被覆
し、正電荷を荷電させた網(外層網)を配して積層した
3層構造の複合フィルタを形成し試験した。なお、用い
られた内層網および外層網の表面電位は、それぞれ単独
では1乃至3日で初期値の1/10程度までに減衰し、
フィルタとして単独使用に耐え得るものではなかった。
また、本実施例の性能試験(2)の結果では、上流側
(空気の吸い込み側)の外層網に多量の繊維状の埃や細
かい粉塵の付着が見られ、さらに下流側の外層網にも相
対的に少ない量であるが、埃や粉塵の付着が観察され
た。しかし、内層網にはほとんど埃や粉塵の付着はなか
った。また、風量は既設の不織布フィルタよりも約2.
5倍多く、圧損がそれだけ少ないことを示した。
【0024】実施例2 PET網をシリコン樹脂で被覆し、正電荷を荷電させた
網(内層網)の両側に、PET網を弗素系樹脂で被覆
し、負電荷を荷電させた網(外層網)を配して積層した
実施例1とは逆の層構成の複合フィルタを形成し試験し
た。本例の性能試験(2)では、内層網には多量の繊維
状の埃や細かい粉塵の付着が見られたが、両外層網には
ほとんど埃や粉塵の付着はなかった。
【0025】比較例1 内層網および両外層網とも、PET網を弗素系樹脂で被
覆し、負電荷を荷電させた網を用いて複合フィルタを構
成し試験した。本比較例の性能試験(2)では、いずれ
の網にもほとんど埃や粉塵の付着はなかった。このフィ
ルタ性能試験の結果は、性能試験(1)において電位減
衰の大きい本例に対する実施例1,2の電位減衰のない
結果と良い相関を示している。
【0026】実施例3 両外層網として荷電処理を施さず、弗素系樹脂を被覆し
ただけのPET網を用いた以外は、実施例1と同様な複
合フィルタを形成し試験した。実施例1と比較して、水
洗前の電位レベルはほぼ半分程度であるが、水洗後は変
わりなかった。
【0027】実施例4 両外層網に樹脂被膜も荷電処理も施していないPET網
自体を用いた以外は、実施例3と同様な複合フィルタを
形成し試験した。実施例3と比較すると、電位変化も水
洗後の電位回復も幾分劣る結果が得られた。
【0028】比較例2 樹脂被膜を行なわず、PET網自体を負に荷電させた網
(内層網)の両側に、正電荷を荷電させたPET網(外
層網)を配して積層した3層構造の複合フィルタを形成
し試験した。電位減衰が激しく、水洗後の電位の回復も
ほとんどなかった。
【0029】比較例3 PET網を弗素系樹脂で被覆し、負電荷を荷電させた網
(内層網)の両側に、SUS網を配して3層構造の複合
フィルタを形成し試験した。本例は、金属箔内に収容さ
れた帯電網の電位の減衰が少ないことにヒントを得て実
施されたが、金網(フィルタ用途で用いるには多孔体で
あることが必要条件である)では効果がないことを示し
ている。
【0030】実施例5 PET網を弗素系樹脂で被覆し、負電荷を荷電させた網
(内層網)と、PET網をシリコン樹脂で被覆し、正電
荷を帯電させた網(外層網)とを積層した複合フィルタ
を形成し試験した。本実施例と実施例1の層構成には、
2層(本例)と3層の違いがあり、その影響で本例は幾
分水洗後の電位回復が劣る結果であった。
【0031】実施例6 PET網の代わりにNy網を用いた以外は、実施例4と
同様な複合フィルタを形成し試験した。実施例4と比較
すると、電位変化も水洗後の電位回復も幾分優れる結果
が得られた。一方、本例のNy網に代えてPE網やPP
網を両外層網として配した複合フィルタは、本例や実施
例4と比べて電位変化は遜色なかったが、水洗後の電位
回復はほとんど期待できないものであった。
【0032】実施例7 Ny網の代わりにシリコン樹脂被膜Ny網を用いた以外
は、実施例6と同様な複合フィルタを形成し試験した。
外層網へのシリコン樹脂被覆により、水洗後の電位回復
が前例より大幅に改善する結果となった。
【0033】実施例8,9 PET網を弗素系樹脂で被覆し、負電荷を帯電させた網
(内層網)の両側に、シリコン樹脂被覆を施したPE網
(外層網、帯電処理は施されていない)を配して積層し
た3層構造の複合フィルタを形成し試験した。水洗い処
理を行なっても、まったく電荷減衰のない優れた複合フ
ィルタの組み合わせが得られた。一方、本例のシリコン
樹脂被覆PE網に代えてシリコン樹脂被覆Ny網やポリ
塩化ビニール網(平織、16メッシュ)を両外層網とし
て配した複合フィルタでも、本例と比べて水洗後の電位
回復に若干劣る程度で、ほとんど遜色ない結果であっ
た。
【0034】実施例10 弗素系樹脂被覆PET網(内層網)の両側に、シリコン
樹脂被覆PP網(外層網)を配して積層した3層構造の
複合フィルタを形成し試験した。本例の内外層網のいず
れも荷電処理は施されていないが、網どうしが互いに接
触するように積層して枠体に収容して室内に吊り下げ放
置しておくだけで、驚くべきことに著しい帯電が見られ
た。そして、この自己荷電後の電位変化は、他の実施例
と比べて遜色ないものであった。
【0035】実施例11 PP網を弗素系樹脂で被覆し、負電荷を荷電させた網
(内層網)の両側に,PP網をシリコン樹脂で被覆し、
正電荷を帯電させた網(外層網)を配して積層した3層
構造の複合フィルタを形成し試験した。このケースもま
た、水洗処理による電荷減衰のない優れた複合フィルタ
の組み合わせであった。
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】上述の実施態様に基づけば、本発明の複合
フィルタは、少なくとも表面材質が異なる網の積層体で
あること、好ましい例では水洗後に電位の回復が見られ
ることが理解できる。また、実施例1〜11も含めて、
特に好ましい複合フィルタを示せば、初期値を除いて正
帯電網(正電荷を帯びている網)の電位が常に2KV以
上であるケースである。なお、実施例8〜11の正帯電
網は、負に帯電され易い基材の表面を正に帯電され易い
樹脂で被覆した2重構造であることを付記する。
【0040】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、高湿度の
雰囲気で用いてもまた水洗しても帯電量の減衰が少な
く、したがって塵埃の捕集効率が安定して高く、しかも
不織布などに比べて通気抵抗と繊維の飛散の点でも有利
な荷電された網状複合フィルタを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施例の断面説明図である。
【図2】本発明の好ましい他の実施例の断面説明図であ
る。
【符号の説明】
1 内層網 2、3 外層網 4 枠体 5 複合フィルタ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負の極性に帯電している負帯電網と、正
    の極性に帯電しており該負帯電網とは表面材質が帯電列
    においてプラス側に位置する正帯電網とが交互に少なく
    とも2層以上、かつ網どうしが互いに接触するように積
    層されていることを特徴とする複合フィルタ。
  2. 【請求項2】 正帯電網を構成する繊維が、弗素系樹
    脂、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂の
    いずれかからなる芯材の表面に、シリコン樹脂、ポリア
    ミド系樹脂、ポリエステル系樹脂およびウレタン系樹脂
    のいずれかからなる表面樹脂層が形成されている2重構
    造となっている請求項1に記載の複合フィルタ。
  3. 【請求項3】 正帯電網の表面材質がシリコン樹脂、ポ
    リアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂およびウレタン系
    樹脂のいずれかであり、負帯電網の表面材質が弗素系樹
    脂、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂の
    いずれかである請求項1または2に記載の複合フィル
    タ。
  4. 【請求項4】 一方の極性に帯電している帯電網の両面
    に、他方の極性に帯電している帯電網を配して3層構造
    となっている請求項1乃至3のいずれかに記載の複合フ
    ィルタ。
JP18664493A 1993-06-30 1993-06-30 複合フィルタ Pending JPH0716411A (ja)

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Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100225024B1 (ko) * 1997-06-16 1999-10-15 롤프 에취, 켈러 자동차 실내용 에어 필터 메디아와 그 가공방법
JP2007293201A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Ricoh Co Ltd 光走査装置及び画像形成装置
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WO2017145946A1 (ja) * 2016-02-24 2017-08-31 株式会社Uacj フィン材及び熱交換器
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KR102493949B1 (ko) * 2021-11-04 2023-02-06 세레아 주식회사 무동력 공기정화필터용 복합섬유 및 이를 포함하는 무동력 공기정화필터

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