JPH0716410Y2 - モルタル塗布装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、壁パネル等のパネル
にタイル貼り等のためのモルタルを塗布するモルタル塗
布装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】建築等の壁パネルとして、図８に示すよ
うに複数枚の押出し成形板５１を鉄骨フレーム５２に組
付けたパネル５３がある。パネル５３の表面には、樹脂
モルタル５４を塗布してその上にタイル（図示せず）が
貼られる。前記のモルタル５４の塗布作業は、従来は次
のように手作業で行っている。すなわち、パネル５３の
表面に作業者が金ゴテ５５でモルタル５４を塗布し、こ
のモルタル５４を金ゴテ５５でパネル表面の全面に荒均
しする。この後、モルタル５４の厚みが３mm程度になる
ように、平滑に仕上げ均しを行っている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】このように、従来は作
業者の手作業でモルタル５４の塗布を行っていたため、
比能率であるうえ、作業者によってモルタル５４の厚み
等にばらつきが生じるという問題点があった。そのた
め、塗布作業の機械化が望まれるが、広いパネル表面に
３mm程度の厚さに均一な塗布を行う必要があるため、機
械化を図ることが難しい。

【０００４】この考案の目的は、パネル表面へのモルタ
ルの塗布を均一に行えるモルタル塗布装置を提供するこ
とである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案のモルタル塗布
装置は、パネル支持台に載置したパネルの上方に沿って
架台上を走行する走行体を設け、この走行体にモルタル
充填器と均し装置とを設けたものである。モルタル充填
器は、走行体の走行方向に対して直交方向に並ぶ複数の
モルタル吐出ノズルを有するものである。各モルタル吐
出ノズルには、上方のカムにより弁体リフトが調整され
るモルタル調整弁を設ける。また、前記均し装置は、前
記走行体に前記モルタル充填器の前記走行方向の前後に
各々取付けられて下端が前記パネル上のモルタルに接す
る一対の昇降可能な均し板と、各均し板を各々昇降させ
る昇降駆動装置とを有するものとする。

【０００６】

【作用】モルタル充填器は、走行体の走行によってパネ
ルの上方を移動しながら、各モルタル吐出ノズルからモ
ルタルを吐出し、パネル上にモルタルを塗布する。この
塗布されたモルタルは、走行体の走行に伴って均し装置
で各部が均一な厚みになるように掻き均される。走行方
向と直交方向に並ぶ各モルタル吐出ノズルは、個々にモ
ルタル調整弁を取付けてあるので、必要な弁だけを開く
ことにより、各種の幅のパネルに対応でき、また開口付
きのパネルにも使用できる。均し板はモルタル充填器の
前後に設けられているため、走行方向の前方となる均し
板を上方に逃がし、後方の均し板を下降させることで、
不使用側の均し板が邪魔となることなく、往復行程のい
ずれにおいても、綺麗にモルタルを均すことができる。

【０００７】

【実施例】この考案の一実施例を図１ないし図４に基づ
いて説明する。このモルタル塗布装置１は、主にパネル
支持台２と、架台３と、モルタル充填器４および均し装
置５を装備した走行体６とで構成される。架台３の下部
を通過して、パネル７を搬送するコンベヤ８が設置され
る。パネル７は、押出し成形板等からなる複数枚の面材
７ａに鉄骨フレーム７ｂを組付けたものである。コンベ
ヤ８は、図２のように２本のチェーン８ａを有するチェ
ーンコンベヤからなる。

【０００８】パネル支持台２は、コンベヤ８と平行な３
本の独立した昇降枠９を有し、各昇降枠９は各々３台の
昇降シリンダ１２により、コンベヤ８の搬送面から出入
りする高さに昇降駆動される。なお、各昇降枠９は、下
面に垂下させたガイドロッド（図示せず）等を介して固
定基台に昇降自在に支持してある。また、パネル支持台
２に載置されるパネル７の前後端に位置して、モルタル
受皿２３（図１）が各々床面に配置される。

【０００９】架台３は、パネル７の幅よりも広い間隔の
一対の平行なレール１３をコンベヤ８と平行に上方位置
に設けたものであり、走行体６は両レール１３に両端の
走行車輪１４で走行自在に設置される。走行体６は、走
行車輪１４を駆動する自走用モータ（図示せず）を搭載
し、あるいはレール１３に沿って設けた無端チェー等に
より走行駆動される。

【００１０】モルタル充填器４は、パネル７の全幅に沿
う長さの溝形のバケット１５に、多数の下向きのモルタ
ル吐出ノズル１６を適宜のピッチで設けたものであり、
走行体６の下端に取付けられている。均し装置５は、モ
ルタル充填器４の前後に一対設けられ、各々走行方向と
直交方向に延びる均し板２２と、この均し板２２を昇降
させる昇降駆動装置である昇降シリンダ１７とで構成さ
れる。

【００１１】図４はモルタル充填器４の拡大断面図であ
る。バケット１５内には、各ノズル１６毎にモルタル調
整弁１８が設けてある。モルタル調整弁１８は、ノズル
１６の上縁の弁座１６ａに接する弁体１８ａを有するも
のであり、弁体１８ａは、バケット蓋１５ａを昇降自在
に貫通した昇降ロッド１８ｂに一体に設けられている。
昇降ロッド１８ｂは、上端フランジ１８ｃがばね部材１
９の付勢力でカム２０に押し付けられ、カム２０の回転
に伴って昇降させられる。この昇降により、弁体１８ａ
はリフトＨだけ昇降し、バケット１５内からノズル１６
へのモルタル２１の流れを調整する。各モルタル調整弁
１８のカム２０は、モータまたはエアシリンダ等のアク
チュエータ（図示せず）で個別に駆動可能としてある。
均し装置５の均し板２２は、下端部２２ａがモルタル
充填器４から遠ざかる方向に傾斜しており、その下端部
２２ａの先端縁２２ｂがくし歯状に形成されている。

【００１２】上記構成によるモルタル塗布動作を説明す
る。コンベヤ８上を搬送されるパネル７がモルタル塗布
装置１内の所定位置まで移動すると、パネル支持台２の
各昇降枠９を上昇させてパネル７を持ち上げ、パネル上
面を所定レベルに保持する。

【００１３】この状態で、モルタル充填器４の各ノズル
１６のモルタル調整弁１８を開き、走行体６を走行させ
ながら、図４のようにモルタル２１をパネル７上に吐出
させる。パネル７上に盛り上がり状態に吐出されたモル
タル２１は、モルタル充填器４の走行方向後方に位置す
る均し板２２により走行体６の走行に伴って均され、平
坦なモルタル塗布層２１ａとなる。このような塗布動作
を走行体６の往復によって何度か繰り返して行い、モル
タル２１を塗り重ねることにより、パネル７上のモルタ
ル塗布層２１ａを所定の厚み、例えば３mm程度の厚みと
する。

【００１４】前記のモルタル吐出および均し動作は、走
行体６の往行程および復帰行程の両方で行う。走行方向
を変えるときは、走行方向前方となる均し板２２を昇降
シリンダ１７で上方に逃がし、後方の均し板２２を下降
させる。均し板２２による均し作業で生じた余分なモル
タル２１は、パネル７の前後端で落とされ、モルタル受
皿２３に受けられる。このようにして、モルタル塗布作
業が完了すると、パネル支持台２を下降させて、パネル
７をコンベヤ８上に降ろし、コンベヤ８で次のタイル貼
り工程に搬送する。

【００１５】このモルタル塗布装置１によると、このよ
うにパネル表面へのモルタル塗布および均し作業を自動
的に行え、作業の省力化が図れる。この場合に、多数の
モルタル吐出ノズル１６を並べて設け、吐出されたモル
タル２１を均し板２２で均すようにしたので、モルタル
塗布層２１ａを均一な厚みとすることができる。また、
塗布動作を繰り返すことによって、希望の厚さに塗布す
ることができる。これらにより、後のタイル貼り品質を
良好なものにすることができる。

【００１６】モルタル吐出ノズル１６は、各々別個にモ
ルタル調整弁１８を設けてあるので、必要な弁１８だけ
を開くことにより、各種の幅のパネル７に対応でき、ま
た開口付きのパネルにもこのモルタル塗布装置１を使用
することができる。

【００１７】図７は、このモルタル塗布装置１を設置し
たタイル貼りラインの一例を示す。移動トラバーサ２４
と、このモルタル塗布装置１と、タイル貼り装置２５と
を並べて設置し、これらに連続してパネル７の搬送が行
えるように、前記コンベヤ８と、別のコンベヤ２６が設
置してある。移動トラバーサ２４は、前工程でフレーム
７ｂ（図１）の組付けが行われたパネル７をコンベヤ８
に搬送させる装置である。

【００１８】図５および図６は、タイル貼り装置２５の
一例である。このタイル貼り装置２５は、位置決めコン
ベヤ２７のパネル停止位置の前方にタイルセット台２８
を設け、このタイルセット台２８からパネル７の上方に
渡って走行する走行体２９を架台３０に設け、走行体２
９に昇降可能に垂下させた昇降体３１に複数の吸着パッ
ド３２とバイブレータ３３とを設けたものである。タイ
ルセット台２８は傾動可能としてある。

【００１９】このタイル貼り装置２５では、作業者３４
によってタイルセット台２８上に並べてタイル４４（図
６）を、走行体２９により吸着パッド３２で吸着してパ
ネル７上の希望位置に搬送し、パネル表面のモルタルに
タイル４４を押し付けることによってタイル貼りを行
う。押し付け時にはバイブレータ３３でタイルに振動を
与え、モルタルの付着性を良くする。

【００２０】

【考案の効果】この考案のモルタル塗布装置は、パネル
の上方を走行する走行体に、複数のノズルを有するモル
タル充填器と均し装置とを設けたものであるため、パネ
ル上にモルタルを均一に塗布することができるという効
果がある。また、走行方向と直交方向に並ぶ各モルタル
吐出ノズルは、個々にモルタル調整弁を取付けてあるの
で、各種の幅のパネルや、開口付きのパネルにも使用で
きる。均し板はモルタル充填器の前後に各々昇降駆動可
能に設けられているため、不使用側の均し板が邪魔とな
ることなく、往復行程のいずれにおいても、綺麗にモル
タルを均すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例にかかるモルタル塗布装置
の側面図である。

【図２】同モルタル塗布装置の一部省略平面図である。

【図３】同モルタル塗布装置の正面図である。

【図４】同モルタル塗布装置におけるモルタル充填器の
拡大断面図である。

【図５】このモルタル塗布装置の後段に配置するタイル
貼り装置の側面図である。

【図６】同タイル貼り装置の平面図である。

【図７】同モルタル塗布装置およびタイル貼り装置を設
置したラインの概略平面図である。

【図８】従来のモルタル塗布作業を示す斜視図である。

【符号の説明】

１…モルタル塗布装置、２…パネル支持台、３…架台、
４…モルタル充填器、５…均し装置、６…走行体、７…
パネル、８…コンベヤ、９…昇降枠、１６…モルタル吐
出ノズル、１８…モルタル調整弁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パネルを寝かせて載置可能なパネル支持
   台と、架台のレールに走行自在に設置されて前記パネル
   支持台上のパネルの上方に沿って移動する走行体と、こ
   の走行体に設けられて走行方向に直交方向に並ぶ複数の
   モルタル吐出ノズルを有するモルタル充填器と、前記各
   モルタル吐出ノズルに設けられて上方のカムにより弁体
   リフトが調整されるモルタル調整弁と、前記走行体に前
   記モルタル充填器の前記走行方向の前後に各々取付けら
   れて下端が前記パネル上のモルタルに接する一対の昇降
   可能な均し板と、各均し板を各々昇降させる昇降駆動装
   置とを備えたモルタル塗布装置。