JPH0715788Y2 - 車両用差動制限装置 - Google Patents

車両用差動制限装置

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JPH0715788Y2
JPH0715788Y2 JP10016788U JP10016788U JPH0715788Y2 JP H0715788 Y2 JPH0715788 Y2 JP H0715788Y2 JP 10016788 U JP10016788 U JP 10016788U JP 10016788 U JP10016788 U JP 10016788U JP H0715788 Y2 JPH0715788 Y2 JP H0715788Y2
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pump
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、相対回転可能な車軸間の差動を制限するよう
に構成された車両用差動制限装置に関するものである。
〔従来の技術〕
車両の駆動系において、車軸間の差動を可能にするとと
もに、両車軸間の差動回転を制限する差動制限装置を備
えたディファレンシャル装置が知られている。例えば、
4輪駆動車の駆動力伝達機構において、入力された駆動
トルクを前輪駆動系及び後輪駆動系に差動回転可能に伝
達するとともに、両駆動系間の差動回転を抑制する差動
制限装置を備えたセンタデフが知られている。このよう
な差動制限装置機構付きのセンタデフは、前後輪間に駆
動トルクを配分するための駆動力伝達経路に介挿され
る。
ここに、上記の差動制限装置として、例えば、特開昭61
−102329号公報に開示されている如く、オイルポンプと
油圧作動式クラッチとを備えたものが知られている。こ
の形式の差動制限装置は、一方の駆動系に駆動トルクを
伝達する回転部材と、他方の駆動系に駆動トルクを伝達
する回転部材との回転速度差によってオイルポンプが駆
動され、オイルポンプの吐出圧よって両駆動系間に介挿
されたクラッチが締結する構成にされており、クラッチ
の伝達するトルク、即ち制動トルクによって両駆動系間
の差動を制限するように機能する。
また、この差動制限装置とは異なる形式の差動制限装置
として、特開昭61−252847号公報に開示されている如
く、両駆動系間にオイルポンプが介装され、このオイル
ポンプ内の油の静圧によって両駆動系の差動を制限する
ように構成されたものが知られている。この形式の差動
制限装置は、一方の駆動系に駆動トルクを伝達する回転
部材と一体的に回転するロータと、他方の駆動系に駆動
トルクを伝達する回転部材と一体的に回転するカムリン
グ部材とを備えており、ロータとカムリング部材との間
の回転速度差をオイルポンプの吐出圧を制御することに
より抑制し、これによって両駆動系間の差動を制限する
ように機能する。
このような差動制限装置のオイルポンプは、上記ディフ
ァレンシャル装置のトルク伝達機構とともにディファレ
ンシャル・ケーシング内に配置されており、該ケーシン
グ内のオイル溜の作動油を吸引して、差動制限用の吐出
流体圧力を形成するように構成されている。
〔考案が解決しようとする課題〕
しかしながら、これらの形式の差動制限装置では、オイ
ルポンプへのオイル供給路が後輪出力軸々の軸部内に形
成され、その軸端に開口した部分にストレーナを取付け
る構造が採用されている。この構造では、軸端部にスト
レーナ取付け用の機構が必要となり、この部分の構成が
複雑となる傾向がある。またストレーナ設置スペースが
少ないためにその表面積を大きくすることができないこ
ともある。更には、このような軸端部分に取付けたスト
レーナは、これのみを本体のケース外へ取り出すことが
困難で、保守点検作業が容易でないという場合もある。
本考案は、かかる点に鑑みてなされたものであり、オイ
ルポンプのサクション側、特にストレーナ及びその取付
け部分の構造を簡単にすることができ、これによって、
ストレーナの設置スペースが多くとれ、ストレーナの交
換又は保守点検がきわめて容易となった4輪駆動車のセ
ンタデフの差動制限装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本考案は、車軸間の差動を
可能にする車両用ディファレンシャル装置に設けられる
差動制限装置であって、 ディファレンシャル・ケーシング内に収容されたオイル
ポンプとオイル溜とを備え、該オイルポンプを構成する
ロータとハウジングとの間の相対回転量に応じて発生す
る吐出流体圧力によってディファレンシャル装置の差動
を制限するように構成された車両用差動制限装置におい
て、 前記オイルポンプのサクション側の油路が、前記オイル
ポンプのポンプ室から前記ディファレンシャル・ケーシ
ングを貫通して該ケーシングの外に引き廻され、該サク
ション側油路は更に、前記ケーシング内のオイル溜近傍
に形成されたケーシング開口部を塞ぐカバーを貫通し
て、前記ケーシングの内側領域に開口しており、 前記油路に導入されるオイルを濾過するためのストレー
ナが、前記カバーと前記ケーシング開口部との間に配置
されていることを特徴とする車両用差動制限装置を提供
する。
〔考案の効果〕
このように構成した本考案の装置では、軸端部にストレ
ーナを取付ける場合とは異なり、その設置スペースを多
くとれるので、形状の単純な大面積のストレーナを取付
けることができる。また、その取付け部分の構造も単純
化することができる。
更には、カバーをケーシングの外側から取外すことによ
ってストレーナを容易にケーシング外に露出させること
ができ、ストレーナの交換又は保守点検がきわめて容易
となる。
〔実施例〕
以下、図面を参照して、本考案の実施例を詳細に説明す
る。
第1図は、本考案による差動制限装置付のセンタデフを
組み込んだ4輪駆動車の駆動系を示す構成図である。
4輪駆動車の全体構成 第1図に示すように、エンジン1の動力は、エンジン1
の側方に配置された変速機2に伝達され、変速機2の変
速歯車機構3を介して、出力ギア4から前後輪間の差動
装置であるセンタデフ14に出力される。センタデフ14に
入力された動力即ち駆動トルクは、センタデフ14を介し
て前輪側及び後輪側の駆動系に分配される。駆動系には
前輪間差動装置であるフロントデフ13が介装されてお
り、前輪側に伝達されたトルクはここを介して左右の前
輪11、12へ配分される。また、後輪側の駆動系にも、リ
アデフ40が介装されており、後輪側に伝達されたトルク
はここを介して左右の後輪43、44に配分される。
センタデフ14はダブルピニオン式遊星歯車機構19として
構成されており、フロントデフ13のデフケース16の外周
には相対回転可能に嵌合された筒状中間部材26が設けら
れ、この部材の外歯部には出力ギア4と噛合した状態に
リングギア24が配置されている。リングギア24の内歯部
には複数のピニオン22が噛み合っており、これらのピニ
オン22はピニオンキャリア23によって支持されている。
一方のフロントアクスル5の外周には回転可能にサンギ
ア21が支持され、このサンギアはピニオン22に噛合して
いる。
センタデフ14のピニオンキャリア23には、他方のフロン
トアクスル6の外周に回転可能に支持されたフロントデ
フ13のデフケース16が一体的に連結されている。このデ
フケース16には、相対向する一対のピニオン17、17がピ
ニオン軸20を介して回転可能に支持されている。これら
のピニオン17の夫々には、フロントアクスル5、6に夫
々連結された一対のサイドギア18、18が噛合し、フロン
トアクスル5、6にはジョイント7、8及びドライブ軸
9、10を介して、左右の前輪11、12が夫々連結されてい
る。
出力ギア4から出力された駆動トルクがセンタデフ14の
リングギア24に入力されると、センタデフ14の遊星歯車
機構19を介して前輪用駆動トルクが取り出され、このト
ルクが遊星歯車機構19のピニオンキャリア23を介してフ
ロントデフ13のデフケース16に伝達される。デフケース
16に伝達された駆動トルクは更に、フロントデフ13にお
いてピニオン軸20、ピニオン17、17、サイドギア18、18
によって左右の前輪駆動用トルクとして分配され、それ
ぞれフロントアクスル5、6、ジョイント7、8及びド
ライブ軸9、10を介して前輪11、12に伝達される。
また、センタデフ14は、その筒状中間部材26のフロント
アクスル6の側の延長部分27と、フロントデフ13のデフ
ケース16の延長部分28との間に、デフロック機構25を有
し、このデフロック機構25によって、センタデフ14とフ
ロントデフ13との差動を禁止でき、これによってセンタ
デフロックの4輪駆動状態がえられるようになってい
る。
一方、センタデフのサンギア21には、これと同心状に伝
達ギア34が一体的に連結され、伝達ギア34は、ギア35、
中間軸36、ギア37、38、プロペラシャフト39、リアデフ
40及び左右のドライブ軸41、42からなる後輪駆動系に連
結され、これらを介して後輪43、44に夫々連結されてい
る。従って、出力ギア4からセンタデフ14のリングギア
24に入力された駆動トルクから、センタデフ14の遊星歯
車機構19を介して後輪駆動用トルクが取り出され、これ
がサンギア21を介して伝達ギア34から後輪駆動系に出力
される。
サンギア21には又、センタデフの差動制限装置15がフロ
ントアクスル5の側に連結され、差動制限装置15は、ピ
ニオンキャリア23と一体的に回転し且つフロントアクス
ル5に回転可能に嵌合された円筒状部材30と、伝達ギア
34及びサンギア21と一体となって回転するインナ部材33
と、円筒状部材30に一体的に連結されたハウジング31
と、インナ部材33とハウジング31に介装されたベーン式
の油圧ポンプ部32及びクラッチ部29とをその主要構成部
としている。
差動制限装置の構成及び作動 第2図乃至第4図を参照して、差動制限装置15を説明す
る。
第2図は差動制限装置15の概略構成を概念的に示す概略
構成図、第3図は差動制限装置15の具体的構成を示す断
面図、第4図は差動制限装置15の附属ユニット130の断
面図である。
まず、第2図に示すように、差動制限装置15のポンプ部
32は、ハウジング31の楕円形の内面を形成するカムリン
グ部材31aと、インナ部材33に結合されたロータ32aとを
有し、これら両部材間に一対のポンプ室102a、102bが形
成されるようになっている。ロータ32aは、その外周面
に、周方向に等間隔で幅方向に延びる多数の溝部52を有
し、各々の溝部52には、カムリング部材31aの内周面53
に摺接しうるベーン32bが嵌装されている。かかる構成
により、ロータ32aとカムリング部材31aとの間に相対回
転が生ずると、その回転数に比例した油圧が発生する。
差動制限装置15は又、ポンプ室102a、102bと作動油を収
容しているオイル溜109との間に作動油を循環させるた
めの油圧回路101を有し、この油圧回路101は油路115を
介してクラッチ部29と連通している。
なお、このポンプ部32は、ロータ32aとカムリング部材3
1aとの間に相対回転が生ずると油圧ポンプとして機能し
て油圧を発生し、その回転数に比例した油量を吐出する
ものである。
ポンプ部32の2つのポンプ室102a、102bには、ハウジン
グ31に形成された複数の吸引口103a〜d及び吐出口104a
〜dが図示の如く交互に開口している。吸引口103a〜d
には、吸引側油路106の一部をなす複数の油路106aが夫
々連結され、各々の油路106aは、チェック弁107及び油
路106bを介して各々の油路106bを相互に連通させる油路
106cと連通し、油路106cは更に油路108に連通してい
る。油路108は、その末端にストレーナ80を有し、この
ストレーナ80を介してオイル溜109と連通している。
一方、吐出口104a〜dには、吐出油路110の一部をなす
油路110aが夫々連結され、各々の油路110aは、チェック
弁111、油路110bを介して各々の油路110bを相互に連通
させる油路110cと連通し、油路110cは更に油路112と連
通している。
上述の如く、吸引口103a〜dと吐出口104a〜dを図示の
ごとく円周方向に交互に配置するとともに、油路106及
び110に、吸引口103a〜d及び吐出口104a〜dのに対応
する複数のチェック弁107及び111を夫々油に吸引及び吐
出方向にのみ作動油が流れるように配設したことによ
り、例えば、ロータ32aがカムリング部材31aに対して図
示の矢印の如く時計廻りに回転するときには、吸引口10
3a、103c及び吐出口104a、104cが夫々吸引口及び吐出口
として機能する。即ち、油は、オイル溜109から矢印で
示す経路に従って油路108、106を通り、ポンプ室102a、
102bに吸引され、吐出口104a、104cから油路110に吐出
される。これに対し、ロータ32aがカムリング部材31aに
対して破線で示す反時計廻りに回転するときには、吸引
口103b、103d及び吐出口104d、104bが夫々吸引口及び吐
出口として機能する。即ち、油は、吸引口103b、103dか
らポンプ室102a、102bに吸引され、吐出口104b、104dか
ら吐出される。従って、ロータ32aとカムリング部材31
との相対回転の方向にかかわらず、常に吸引圧力は吸引
側油路106に作用し、また吐出圧力は吐出側油路110に作
用することになる。
油路110と連通する油路112は更に、リリーフ弁113及び
油路114を介してオイル溜109と連通している。リリーフ
弁113は油圧回路101の圧力補償装置として機能し、油路
112の内圧が所定の油圧以下であれば、油路112と油路11
4との間の流路を閉塞した状態に保持する。
このため、ポンプ部32の吐出油は、油路112内の油圧を
上昇させるとともに、油路115を介してクラッチ部29に
形成された油室29dに供給される。クラッチ部29は、油
路112内の油圧の作用を受けて、クラッチを締結又は解
放する方向に作動する。即ち、油路115と連通する油室2
9d内の油圧は油路112内の油圧上昇に相応して上昇し、
かかる油圧上昇はスプリング29eに付勢されたピストン2
9cに作用してピストン29cをスプリング29eのばね力に抗
して移動させる。この移動によってピストン29cは、ク
ラッチ板29a及び29bを押し付け、これらを相互に密着せ
しめる。このように、クラッチ部29は、油圧に応じたク
ラッチ締結状態を形成し、油圧に応じたトルク伝達が可
能となる。
クラッチ板29a及びクラッチ板29bは、サンギア21及び円
筒状部材30にそれぞれ連結されており、クラッチ部29の
伝達トルクはそれらの間の差動を抑制する制動トルクと
して働く。この制動トルクは、クラッチ板29a及び29bの
係合度がピストン部32の吐出圧の作用、即ち、ピストン
29cに対する押圧力に相応して変化するため、ポンプ部3
2の吐出圧に相応した伝達トルクとなる。この結果、ク
ラッチ部29は、ポンプ部32におけるカムリング部材31a
とロータ32aとの相対回転に応じた制動トルクを発生さ
せ、かくして、差動制限装置15が、前後輪間の回転差に
応じた差動制限力を生じさせることになる。
また、油圧回路101に設けられたリリーフ弁113は、スリ
ーブ113aと、スリーブ113aの側面に設けられ、油路112
の一部をなす油路112bに連通する流入ポート113dと、油
路114に連通する第1の流出ポート113eと、スリーブ113
aの端部に形成され、油路112から分岐した油路112aに開
口する開口部113fと、スリーブ113a内に位置し、軸線方
向に移動可能なスプール113bと、開口部113fの反対側に
配設されてスプール113bを開口部113fの側に付勢するス
プリング113cとを有する。リリーフ弁113は又、油路116
aと連通する第2の流出ポート113gを有し、油路116aは
アンチスキッドブレーキシステム(以下、ABSという)
の附属ユニット130に収容されたソレノイド弁121を介し
て油路116bと連通し、油路116bは更に油路114と連通し
ている。
このリリーフ弁113は、油路112内の油圧が上昇すると、
油路112と油路114とを連通させて油路112内の油をオイ
ル溜109にリークさせるように作動し、油圧回路101内の
油圧を所定の圧力に補償するように機能する。即ち、ポ
ンプ部32の吐出圧が上昇して油路112内の油圧が上昇す
ると、油路112内の油圧が油路112aに開口した開口部113
fを介してスプール113bの一端面に作用し、スプール113
bがスプリング113cに抗して軸線方向に押圧移動され
る。これによって、スプール113bのランド部と第1の流
出ポート113eとが互いに遠ざかるように相対移動して、
油路112b及び油路114の間の流路が徐々に開き、油路112
と油路114とが連通する。これに対して、ポンプ部32の
吐出圧が下降した場合には、スプール113bがスプリング
113cに付勢されて移動し、スプール113のランド部と第
1の流出ポート113eとが重なるように相対移動し、この
結果、油路112bと油路114との間の流路が徐々に閉塞し
て、ついには、油路112と油路114との間の連通が遮断さ
れる。
リリーフ弁113は又、流入ポート113dと第2の流出ポー
ト113gとを常時連通させており、油路112は油路116aを
介してソレノイド弁121と常時連通している。このソレ
ノイド弁は、運転者がブレーキペダル(図示せず)を踏
み込んでABSユニット131が作動すると、これに連動して
油路116aと油路116bとを流体連通させるように構成され
ているため、ABSが作動したときには、油路112は油路11
6を介して油路114と流体連通し、ポンプ部32の吐出油は
オイル溜109に導出される。この結果、油室29d内の油圧
は下降して、クラッチ部29がクラッチ板29a及びクラッ
チ板29bの摩擦係合を解き、かくして差動制限装置15は
差動制限を解除する。
このように、ABS作動時に差動制限装置15による差動制
限が解除されることにより、ABSは適正に後輪ロックを
防止するように作動して、ABS本来の機能を発揮し得
る。
差動制限装置の具体的構成 次に、第3図を参照して、差動制限装置15の具体的構成
について説明する。
図示の如く、円筒状部材30がフロントアクスル5の外周
に相対回転可能に嵌合され、円筒状部材30の外周部に
は、円筒状部材30と同心状にリング部材31bが支持され
ている。リング部材31bは、そのサンギア21の側に延在
する円筒状延長部分31cを含み、この円筒状延長部分31c
は、円筒状部材30にスプライン結合している。この円筒
状延長部分の外周には又、内側円筒状部材33aと外側円
筒状部材33bと中間部材33cとから一体的に構成されるイ
ンナ部材33が同心状且つ相対回転可能に支持されてい
る。内側円筒状部材33aには、その外周部分にベーン32b
を有するロータ32aがスプライン結合されている。イン
ナ部材33の外側円筒状部材33bの外周部には、ロータ32a
の反対側においてサンギア21がスプライン結合するとと
もに、クラッチ部29の複数の環状クラッチ板29aがスプ
ライン結合している。一方、ロータ32aの外周には、複
数のボルト(図示せず)によって一体的にリング部材31
bに連結され、リング部材31bとともにポンプ32のハウジ
ング31を構成するカムリング部材31aが相対回転可能に
支持されている。
カムリング部材31aのサンギア21の側の外周部にはクラ
ッチ部29のケーシングを形成するスリーブ31eが一体的
に結合し、スリーブ31eは、その内周面に環状クラッチ
部29の複数のクラッチ板29bがスプライン結合してい
る。クラッチ板29aとクラッチ板29bとは交互に配設され
ており、それらの間の摩擦結合によってトルクを伝達す
るようになっている。
カムリング部材31aの内周部には内側円筒状部材33cの外
周部廻りにサンギア21の側に延在する筒状延長部分が形
成され、この延長部分の外周にはピストン29cと、この
ピストンを付勢するスプリング29eとが配設されてい
る。カムリング部材31aのサンギア21の側の側面とピス
トン29cとの間には油室29dが形成されて、油室29dはカ
ムリング部材31aを貫通する油路115と連通している。
また、リング部材31bの外周部分には、ポンプ部32の反
対側に延在する環状延長部分31dが形成され、環状延長
部分31dはその内周面が変速機2のケーシング60と一体
になった環状支持部材61に摺接している。環状支持部材
61は、ケーシング60のフロントアクスル貫通部廻りに、
ケーシング60から内側に延在しており、その内周部にサ
ンギア21の側に向いたL形周溝62が形成されている。こ
の周溝62はベアリング70を支持しており、これによって
円筒状部材30を回転自在に軸支している。
この環状支持部材61には油路108bが形成され、油路108b
にはその上流側に吸入管路108aが連結されている。この
吸入管路108aは、図示の如く、カバー81に形成された開
口部81aに連結されており、この開口部81aを介してケー
シング60の下部分のオイル溜109と連通して、そこに収
容された作動油を吸引するようになっている。カバー81
は、軸75をケーシング60内に設置するためにケーシング
60に形成された開口部65を塞ぐための部材であり、複数
のボルト(図示せず)によってケーシング60に取外し可
能に取付けられている。カバー81と開口部65との間には
ストレーナ80が挟持されており、このストレーナ80は金
属製又は合成樹脂製のメッシュとこれを支持する外枠か
ら構成され、開口部65を覆うような全体形状を有する。
油路108bは又、その下流側が吸引側油路106の一部をな
す油路106cに連通している。この油路106cはリング部材
61に外周溝として形成されており、リング部材31bに形
成された複数の油路106bと連通している。各油路106d
は、リング部材31bに設けられたチェック弁107、油路10
6a及び吸引口103を介してポンプ室102a、102bに連通し
ている。
一方、ポンプ室102a、102bの各々の吐出口104は、リン
グ部材31bに形成された複数の油路110aと連通し、油路1
10aは、リング部材31bの環状延長部分31dに配設された
チェック弁111及び油路110bを介して、環状支持部材61
に外周溝として形成された油路112に連通している。
油路112は、チェック弁111とは円周方向にずれた位置
で、環状延長部分31dにその回転軸線方向に形成された
油路115と流体連通し、油路115は、クラッチ部29の油室
29dと連通している。
油路112は又、環状支持部材61に形成された油路112cと
連通し、この油路112cはケーシング60の側面に固定され
た付属ユニット130内に延びている。付属ユニット130に
はリリーフ弁113とソレノイド弁121とが収容されてお
り、油路112cは油路112bを介してこのリリーフ弁113と
連通している。油路112cは又、油路112bと連通し、油路
112bは、第4図示すように、リリーフ弁113のスプール1
13bを流体付勢するために開口部113fと連通している。
これによって、リリーフ弁113は、そのスプール113bが
油路112bの油圧上昇に相応してスプリング113bに抗して
押圧移動され、このスプール113bの移動に伴って、流入
ポート113dと流出ポート113eとの間の流路が開き、油路
112bと油路114とが連通するようになっている。油路114
は、第3図に示すようにオイル溜109と連通しており、
従ってリリーフ弁113を通過した油は油路114を介してオ
イル溜109に導出される。このように、リリーフ弁113が
油路112b内の油圧に相応して、ポンプ吐出口104と連通
している油路112bと、オイル溜109と連通している油路1
14との間の流路を可変的に導通させるため、リリーフ弁
113は油圧回路101の圧力補償装置として機能することと
なる。
リリーフ弁113は又、油路112bと油路116aとを常時連通
させており、ABSユニット131(第2図)が作動してソレ
ノイド弁121が油路116aと油路116bとの間の流路を開く
とポンプ部32の吐出油がこれらの油路を介して油路114
に導出される。
差動制限装置15は以上の如く構成されており、前後輪間
に回転差が生じてカムリング部材31aとロータ32aとの間
に相対回転が発生するとポンプ部32が油圧ポンプとして
機能し、作動油をオイル溜109からストレーナ80を介し
て吸引して油路112に吐出する。油路112に吐出された作
動油はリリーフ弁113に閉じているため油路115を介して
クラッチ部29の油室29dに供給され、油室29dの内圧を上
昇させる。油室29dの内圧上昇に伴って、ピストン29cが
スプリング29eに抗して押圧移動され、クラッチ板29a及
びクラッチ板29bを摩擦係合させて制動トルクを発生さ
せる。この結果、カムリング部材31aとロータ32aとの間
の回転速度差が抑制され、かくして前後輪間の差動が制
限される。
この差動制限装置15では、上述の如く、吸入管路108a
を、ケーシング60の外側に配設し、その上流側端部をカ
バー81に形成された開口部81aに連結している。開口部8
1aは更に、ケーシング60に形成された開口部65及びこの
開口部65とカバー81との間に配設されたストレーナ80と
を介してオイル溜109と連通している。このため、スト
レーナ80及びストレーナ80廻りの構造、即ちポンプ部32
のサクション側の構造が簡単なものとなっているととも
に、その高さ、幅(又は直径)を大きくすることができ
る。更に、かかる構成によってこの差動制限装置15で
は、カバー81の取外すことのみによって容易にストレー
ナ80の交換又は保守点検を行うことができ、きわめて有
利である。
以上、本考案の実施例を油圧作動クラッチを用いたセン
タデフの差動制限装置について詳細に説明したが、本考
案は、実用新案登録請求の範囲の記載に基づいて種々の
変更が可能であり、例えば、オイルポンプの吐出油を可
変絞り機構によって絞ることによってオイルポンプ内の
油圧を上昇させ、オイルポンプ内の油の静圧によってカ
ムリング部材とロータとの間の回転速度差を抑制し、こ
れによって前後輪間の差動を制限するように構成された
所謂オイルロック方式の差動制限装置にも極めて容易に
適用することができる。
なお、開口部65、ストレーナ80及びカバー81は、上記各
々の機能に応じて種々の形状及び構成とすることが可能
であり、例えば、正面形状を円形、方形又は楕円形とす
ることができる。
また、ストレーナの材質は、金属製、合成樹脂製等、こ
の種のオイルポンプのサクション側に使用することがで
きる種々の材質とすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本考案による差動制限装置を適用した4輪駆
動車の実施例を示す概略全体構成図である。 第2図は、本差動制限装置の実施例の概略構成を概念的
に示す概略構成図である。 第3図は、本差動制限装置の実施例を示す部分省略断面
図である。 第4図は、第3図に示す付属ユニットの断面図である。 1……エンジン 2……変速機 4……出力ギア 5、6……フロントアクスル 13……フロントデフ 14……センタデフ 15……差動制限装置 16……デフケース 19……遊星歯車機構 21……サンギア 22……ピニオン 23……ピニオンキャリア 29……クラッチ部 30……円筒状部材 31……ハウジング 31a……カムリング部材 31b……リング部材 31c……円筒状延長部分 31d……環状延長部分 32……ホンプ部 32a……ロータ 32b……ベーン 33……インナ部材 34……伝達ギア 60……ケーシング 61……環状支持部材 62……周溝 65……開口部 70……ベアリング 75……軸 80……ストレーナ 81……カバー 81a……開口部 101……油圧回路 102a、102b……ポンプ室 103……吸引口 104……吐出口 106……吸引側油路 107、111……チェック弁 108、112、114、116……油路 109……オイル溜 110……吐出側油路 113……リリーフ弁 121……ソレノイド弁 130……附属ユニット 131……ABSユニット

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】車軸間の差動を可能にする車両用ディファ
    レンシャル装置に設けられる差動制限装置であって、 ディファレンシャル・ケーシング内に収容されたオイル
    ポンプとオイル溜とを備え、該オイルポンプを構成する
    ロータとハウジングとの間の相対回転量に応じて発生す
    る吐出流体圧力によってディファレンシャル装置の差動
    を制限するように構成された車両用差動制限装置におい
    て、 前記オイルポンプのサクション側の油路が、前記オイル
    ポンプのポンプ室から前記ディファレンシャル・ケーシ
    ングを貫通して該ケーシングの外に引き廻され、該サク
    ション側油路は更に、前記ケーシング内のオイル溜近傍
    に形成されたケーシング開口部を塞ぐカバーを貫通し
    て、前記ケーシングの内側領域に開口しており、 前記油路に導入されるオイルを濾過するためのストレー
    ナが、前記カバーと前記ケーシング開口部との間に配置
    されていることを特徴とする車両用差動制限装置。
JP10016788U 1988-07-28 1988-07-28 車両用差動制限装置 Expired - Lifetime JPH0715788Y2 (ja)

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