JPH07136762A - 溶接継手始端部の検出方法及び装置 - Google Patents

溶接継手始端部の検出方法及び装置

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JPH07136762A
JPH07136762A JP28897893A JP28897893A JPH07136762A JP H07136762 A JPH07136762 A JP H07136762A JP 28897893 A JP28897893 A JP 28897893A JP 28897893 A JP28897893 A JP 28897893A JP H07136762 A JPH07136762 A JP H07136762A
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義弘 勘定
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雅智 村山
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 溶接トーチが始端部に到達したことをアーク
センサーにより検出して端部処理を行うことにより、端
部のビードの品質を安定に確保し、かつ溶接装置の稼働
率を向上させる。 【構成】 始端の手前に溶接トーチを電極ノズルが開先
幅方向の中心位置にくるように位置決めの後に高速回転
アーク溶接を始端に向けて開始し、開先ならい制御を行
いながら、アーク電圧または電流とアークの回転位置と
を検出し、アーク回転位置の2つの所定角度範囲につい
て、電圧波形または電流波形を積分して、積分値の差で
ある偏差信号をアーク1回転毎に演算し、トーチが始端
検出制御開始位置に到達した時点より、偏差信号とトー
チが始端検出制御開始位置より所定距離手前の範囲であ
らかじめ演算しておいた偏差信号の平均値との差を1回
転毎に積算し、その積算値の変化量がしきい値を越えた
時に始端に到達したと判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速回転アーク溶接法
における溶接継手始端部の検出方法及び装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】高速回転アーク溶接法によって溶接継手
に対して溶接を行なう場合、通常、溶接線の自動追従の
ためにアークセンサによる開先倣い制御方法を採用して
いる。ここで、高速回転アーク溶接法とは電極ワイヤの
先端を偏心させておき、溶接トーチの電極ノズルを機械
的に回転させることによりアークを高速で回転させなが
ら溶接を行う方法である。また、かかる開先倣い制御方
法は、特開昭62−248571号公報等で公知であ
り、図13を参照し説明すると、アーク電圧波形とアー
ク回転位置(Cf,R,Cr,L)を検出し、溶接進行
方向前方のCf点を中心に、左右同一の位相角φ(5°
≦φ=90°)の範囲で、アーク電圧波形を積分し(S
L,SR)、その差(SL−SR)が零になるように開
先幅方向(X軸)のトーチ位置を修正するものである。
また、トーチ高さ方向(Y軸)については、アークの1
回転ごとに溶接電流波形の積分値が一定になるように制
御している。ところで、下板と立板とからなるT字形ワ
ークの溶接継手の始端部の品質を安定に確保するために
は溶接継手の始端位置を精度良く検出することが必要で
あった。
【0003】従来はワイヤタッチセンサを用いて溶接継
手始端部を検出していた。図14はワイヤタッチセンサ
を用いた溶接継手始端部の検出方法を示す斜視図であ
る。図において、1は溶接継手であるT字形ワークで、
下板1aと立板1bとから構成されている。2は下板1
aと立板1bとで形成される溶接線、3は溶接トーチの
電極ノズルである。
【0004】かかるT字形ワーク1に対してその始端を
検出する方法としてはワイヤタッチセンサを利用したも
のがある。ここにワイヤタッチセンサの原理とは溶接ト
ーチのワイヤとワークとの間に電圧を印加し、ワイヤを
ワークに接近させていき、ワイヤがワークに接触した時
に電圧が0となることによりその位置を検出する原理を
いう。そして、このワイヤタッチセンサの原理を利用し
たワークの始端位置を検出する方法は図14に示すよう
に、まず溶接トーチの電極ノズル3を立板1bの始端部
近傍位置に設定する(この位置は、ワークの取付位置の
誤差を考慮してあらかじめ教示される)。次に、電極ノ
ズル3を立板1b及び下板1aに接触するまで移動させ
て立板1b及び下板1aに対する電極ノズル3の補正量
Δx,Δyを確認し、その後は電極ノズル3を溶接進行
方向に立板1bの始端を越えるまで移動させた後にΔx
+α(立板1bの厚みtの約半分の寸法)だけ移動さ
せ、更に立板1bの端部に接触するまで移動させてΔZ
を求め、当初設定位置から演算により立板1bの始端位
置を検出する方法である。
【0005】図15は従来のもう1つの溶接継手始端部
の検出方法を示す正面図である。この方法は、溶接トー
チの電極ノズル3の前方に磁気センサ4を配し、溶接
中、磁気センサ4がT字形ワーク1の始端にくると、立
板1bがなくなって磁気が変化することから、その変化
をとらえて始端を検出する方法である。なお、この方法
は磁気センサ4と電極ノズル3との間の距離だけ、遅延
制御して始端を算出するようにしている。また検出セン
サとしては他にレーザー光を利用したものなどがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ワイヤタッチ
センサを用いた溶接継手始端部の検出方法では、溶接ワ
イヤの曲グセにより、教示位置と実際の部材の始端とに
ズレが生じ、始端部分の溶接品質の確保が困難という問
題点があった。
【0007】また、図15に示す従来のもう1つの溶接
継手始端部の検出方法では、電極ノズル3の近傍に磁気
センサ4が配設されているから、電極ノズル3と磁気セ
ンサ4を結ぶ線上に溶接方向が制限されると共に電極ノ
ズル3のトーチ廻りが磁気センサ4があるために複雑と
なり、T字形ワークとの干渉も問題となり、適用範囲が
限定されるという問題点があった。
【0008】本発明はかかる問題点を解決するためにな
されたもので、溶接継手の始端における良好な溶接品質
を安定して確保でき、溶接装置の稼働率を向上させ、特
別な検出器が不要であるため溶接トーチのトーチ廻りが
簡素となり、溶接方向の制約等もなくなって適用範囲が
制限されない溶接継手始端部の検出方法及び装置を得る
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る溶接継手始
端部の検出装置は、溶接継手始端の手前に溶接トーチを
その電極ノズルが開先幅方向の中心位置にくるように位
置決めする溶接トーチ位置決め装置と、高速回転アーク
溶接法による溶接中に、アークセンサによる開先ならい
制御を行いながら、溶接中のアーク電圧または溶接電流
とアークの回転位置とを検出し、アークの1回転毎にア
ーク回転位置の2つの所定角度範囲についてアーク電圧
波形または溶接電流波形を積分して、その積分値の差で
ある偏差信号をアーク1回転毎に演算し、溶接トーチが
始端検出制御を始める位置に到達した時点より、偏差信
号と溶接トーチが始端検出制御を始める位置より所定距
離手前の範囲であらかじめ演算しておいた偏差信号の平
均値との差をアーク1回転毎に積算し、その積算値の所
定回転数、所定時間或いは所定信号数当りの変化量が所
定のしきい値を越えた時に溶接トーチが溶接継手始端に
到達したと判定する溶接継手始端判定装置とからなるも
のである。
【0010】
【作用】本発明においては、溶接トーチの電極ノズルの
先端に回転円運動を与えてワイヤ先端に発生するアーク
を高速回転させながら溶接する高速回転アーク溶接法に
おいて、溶接継手始端の手前に溶接トーチをその電極ノ
ズルが開先幅方向の中心位置にくるように位置決めし、
しかる後に溶接を溶接継手始端に向けて開始し、アーク
センサによる開先ならい制御を行いながら、溶接中のア
ーク電圧または溶接電流とアークの回転位置とを検出
し、アークの1回転毎にアーク回転位置の2つの所定角
度範囲についてアーク電圧波形または溶接電流波形を積
分して、その積分値の差である偏差信号をアーク1回転
毎に演算し、溶接トーチが始端検出制御を始める位置に
到達した時点より、偏差信号と溶接トーチが始端検出制
御を始める位置より所定距離手前の範囲であらかじめ演
算しておいた偏差信号の平均値との差をアーク1回転毎
に積算し、その積算値の所定回転数、所定時間或いは所
定信号数当りの変化量が所定のしきい値を越えた時に溶
接トーチが溶接継手始端に到達したと判定して所定の端
部処理を行うようにしている。
【0011】
【実施例】図1は本発明の一実施例である溶接継手始端
部の検出装置を示すブロック図、図2は同溶接継手始端
部の検出装置の溶接継手始端判定装置の内部構成を示す
ブロック図、図3は同溶接継手始端判定装置の始端判定
器の内部構成を示すブロック図、図4は溶接継手と電極
ノズルの位置関係を示す説明図、図5は溶接継手に電極
ノズルで溶接が行われている状態を示す斜視図、図6は
電極ノズルのワイヤの回転軌跡と積分器で積分するアー
ク電圧の下板側と立板側の対象角度範囲の様態を示す説
明図、図7は溶接継手始端部の検出方法の原理を示す説
明図、図8は2つの所定角度範囲のアーク電圧波形の積
分値の差を示す波形図である。
【0012】図において、1は溶接継手であるT字形ワ
ーク、1aはT字形ワーク1の下板、1bは立板、2は
下板2aと立板1bとで形成される溶接線、3aは電極
ノズル3の溶接ワイヤである。
【0013】8は溶接継手始端の手前に溶接トーチをそ
の電極ノズル3が開先幅方向の中心位置にくるように位
置決めする例えば、ワイヤタッチセンサとで構成される
溶接トーチ位置決め装置、9は溶接トーチが溶接継手始
端に到達したと判定する溶接継手始端判定装置である。
10は電極ノズル3の溶接ワイヤ3aとワーク1間のア
ーク電圧を検出するアーク電圧検出器、11は電極ノズ
ル3の溶接ワイヤ3aからワーク1に流れる溶接電流を
検出する溶接電流検出器、12はアーク電圧検出器10
が検出したアーク電圧と溶接電流検出器11が検出した
溶接電流とを切り換えて出力させる切換器、13a,1
3bは切換器12の出力側にそれぞれ設けられた積分
器、14は溶接ワイヤ3aの回転角度位置を検出するエ
ンコーダ等の回転位置検出器、15は回転位置検出器1
4の検出信号に基づいて積分器13a,13bを動作さ
せる駆動信号を出力するタイミングパルス発生器であ
る。
【0014】16は2つの積分器13a,13bからそ
れぞれ出力された積分値の差である偏差信号を求める第
1差動アンプである。17は始端検出制御を開始する地
点から所定距離手前の範囲で平均演算器を動作させ、か
つ始端検出制御を開始する地点から積算器を動作させる
始端検出制御タイミング指令発生器、18は始端検出タ
イミング指令発生器17の駆動信号に基づいて第1差動
アンプ16から出力された偏差信号の始端検出制御を開
始する地点から所定距離手前の範囲での平均値を演算す
る平均値演算器、19は第1差動アンプ16の偏差信号
と平均値演算器18の平均値との差である差分出力値を
求める第2差動アンプ、20は始端検出制御タイミング
指令発生器17の駆動信号出力時点から第2差動アンプ
19の差分出力値をアーク1回転毎に積算して積算値を
演算する積算器である。21は積算器20の積算値の所
定時間当りの変化量と所定のしきい値とを比較して電極
ノズル3がT字型ワーク1の継手始端にきたことを示す
始端検出信号を出力する始端判定器である。この実施例
の溶接継手始端判定装置9はアーク電圧検出器10〜始
端判定器21で構成されている。
【0015】この始端判定器21は積算器20からの現
在値の積算値からその一秒前までの積算値の平均値(時
刻T0 −ΔT/2からT0 +ΔT/2までの積算値Σの
平均値Σ)を求める平均値演算器22と、積算器20の
積算値と平均値演算器22の平均値との差である差分出
力値を求める差動アンプ23と、差動アンプ23の差分
出力値としきい値設定器25が設定したしきい値とを比
較して始端検出信号を出力する比較器24とから構成さ
れている。
【0016】まず、溶接継手始端部の検出方法の原理に
ついて図7に基づいて説明する。T字形ワーク1の溶接
継手始端である立板1bの始端部の手前に溶接トーチを
その電極ノズル3が開先幅方向の中心位置にくるように
位置決めする。しかる後に溶接継手始端に向けて高速回
転アーク溶接法でアークセンサによる開先ならい制御を
行いながら、電極ノズル3の溶接ワイヤ3aがT字形ワ
ーク1の溶接線2に沿って溶接を行なっていく。このと
き、アーク電圧検出器10が検出するアーク電圧は、図
4に示すように回転位置の変化に応じて溶接ワイヤ3a
とワーク1との距離が変化するため、図7のAに示すよ
うに溶接進行方向WDにおける回転の前方のCf 点およ
び後方のCr 点で極大、立板側のR点下板側のL点で極
小となる。
【0017】そして、電極ノズル3が溶接継手始端であ
る立板1bの始端部付近に差しかかると、立板1bがな
くなるため、図7のB、C、D、Eに示すように立板側
(R側)の回転位置でのアーク電圧が次第に上昇する
が、下板側(L側)の回転位置でのアーク電圧は変化し
ない。従って、回転する電極ノズル3の立板側と下板側
のアーク電圧をそれぞれ検出し、両者の電圧を比較すれ
ば、電極ノズル3が立板1bの始端に到達したことがわ
かる。この様にすれば、電極ノズル3が立板1bの始端
にきたかどうかを判断して継手端部で所定の端部処理を
することができるという訳である。また、上記制御はア
ークセンサによる開先ならい制御を同時に行うことによ
り、十分な検出精度が得られる。
【0018】次に、上記のように構成された溶接継手始
端部の検出装置の動作について説明する。まず、ワイヤ
タッチセンサとで構成される溶接トーチ位置決め装置8
により、溶接トーチをワイヤタッチセンサで位置を確認
しながら図9に示すようにP1からP5へと動かし、溶
接継手始端の手前で溶接トーチをその電極ノズル3が開
先幅方向の中心位置にくるように位置決めする。そし
て、溶接トーチ位置決め装置8は溶接トーチの位置決め
が終了すると、位置決め終了信号を出力する。つぎに、
高速回転アーク溶接法を実施する溶接装置(図示省略)
が溶接トーチ位置決め装置8の位置決め終了信号を受け
て溶接を開始するとともに、溶接継手始端判定装置9も
溶接トーチ位置決め装置8の位置決め終了信号を受けて
動作を開始する。そして、溶接トーチは図9に示すよう
にP5からP6に向けて溶接を行いながら移動する。
【0019】このときの高速回転アーク溶接法における
溶接条件は次のとうりである。アーク回転速度は10H
z以上、アーク回転直径Dは1〜6mm、溶接速度は1
0〜300cm/分、溶接ワイヤ径0.6mm〜2.0
mm、溶接電流は50〜500Aである。なお、このと
きの溶接条件は、再度この部分がその後に本溶接される
ので、溶接品質上ならびにアークセンサ処理上問題のな
い範囲の低電流、高速度の溶接条件である。
【0020】このようにして、電極ノズル3の溶接ワイ
ヤ3aが高速回転アーク溶接法によってT字形ワーク1
に対して溶接を行なっているとき、切換器12を例えば
アーク電圧検出器10側に切り換え、アーク電圧検出器
10が検出した電極ノズル3の回転によって変化してい
るアーク電圧を積分器13a,13bに出力させる。ま
た、回転位置検出器14は回転している電極ノズル3の
回転位置を検出して位置検出信号を出力している。そし
て、アーク電圧検出器10から出力されている信号のう
ち、下板側の例えば、図5に示すように225°〜31
5°(Gを原点とし、R方向への角度で、以下同様とす
る)である90°の角度範囲と立板側の例えば45°〜
135°である90°の角度範囲だけ積分器13a,1
3bが動作して積分するように駆動信号をタイミングパ
ルス発生器15は回転位置検出器14の位置検出信号に
基づいて積分器13a,13bにそれぞれ出力する。
【0021】積分器13aでは下板側の90°の角度範
囲の信号を積分し、積分器13bでは立板側90℃の角
度範囲における信号を積分し、これら積分器13a,1
3bによって積分された信号の積分値は第1差動アンプ
16に入力される。このように、積分器13a,13b
で積分するのはアーク電圧波形にノイズがあり、その影
響を受けないようにするためである。
【0022】第1差動アンプ16では積分器13aによ
る積分値S1 と、積分器13bによる積分値S2 の差で
ある偏差信号ΔSを求めている。従って、偏差信号ΔS
としきい値S0 とを比較し、その偏差値ΔSがしきい値
0 を越えたときに電極ノズル3がT字形ワーク1の立
板1bの始端にきたことを図8及び図10の(i)に示
すように検出することもできる。なお、図8中のLはか
かる検出法の確認のために用意したレーザセンサによる
始端検出の信号を示している。このように、溶接トーチ
の電極ノズル3がT字形ワーク1の立板1bの始端にき
たことを検出したら、廻し溶接等の始端部溶接処理を行
い、以降は始端部から終端部に向かって本溶接を行う。
【0023】しかし、第1差動アンプ16から出力され
る偏差信号ΔSはアークの乱れやワイヤ送給速度の変動
などの種々の要因によって図10の(i)に示すように
その偏差信号ΔSの波形が乱れることがある。このた
め、溶接継手の始端以前でもその偏差信号ΔSがしきい
値S0 を越えるために誤って始端検出されてしまう場合
が生じる。
【0024】そこで、この実施例ではかかる誤検出をな
くするために、次に述べる信号処理をして始端検出する
ようにしている。まず、第1差動アンプ16から出力さ
れた偏差信号ΔSに対して平均値演算器18で溶接継手
始端手前における偏差信号の平均値を演算させる。この
平均値演算器18による平均値の演算は始端検出制御タ
イミング指令発生器17からの駆動信号によって平均値
演算器18が動作させられることにより行われる。
【0025】即ち、始端検出タイミング指令発生器17
ではワーク1に対する図9に示す溶接トーチ3の溶接開
始点P5から溶接始端P6までの移動距離のうち、例え
ば溶接継手始端手前のA位置から溶接継手始端近傍位置
Bまでの一定移動距離lS の間だけ駆動信号を平均値演
算器18に出力する。従って、平均値演算器19は図1
0の(i)に示すように一定移動距離lS の間だけ動作
して第1差動アンプ16から出力される偏差信号ΔSの
所定移動距離当りの平均値を演算し、第2差動アンプ1
9にその平均値を出力する。
【0026】第2差動アンプ19では第1差動アンプ1
6から出力される偏差信号ΔSと平均値演算器18の偏
差信号の平均値との差を求め、その差である差分出力値
を積算器20に出力する。積算器20では始端検出制御
タイミング指令発生器17の駆動信号を受け、その駆動
信号終了時点から第2差動アンプ19の差分出力値をア
ーク1回転毎に積算し、積算値を演算して始端判定器2
1に出力する。始端判定器21では積算器20が出力す
る積算値の所定時間当りの変化量Vを求め、その変化量
Vと所定のしきい値とを比較し、その変化量Vが所定の
しきい値を越えた時に電極ノズル3がT字形ワーク1の
立板1bの始端にきたことを示す始端検出信号を出力す
る。
【0027】始端判定器21の動作を図3に基づき更に
詳細に説明すると、変曲点判定器21における平均値演
算器22では積算器20から出力Σの時刻T0 −TΔ/
2からT0 +ΔT/2までの平均値Σを求め、その平均
値Σを差動アンプ23に出力している。差動アンプ23
は積算器20からの積算値Σと平均値演算値22の平均
値Σとの差を求めて比較器24にその差の信号を出力し
ているが、これは積算器20の積算値の所定時間当りの
変化量の演算方法の一つである。(なお、T0=1秒、
ΔT=1秒)
【0028】比較器24では差動アンプ23から出力さ
れた積算値の所定時間当りの変化量Vとしきい値設定器
25によって設定された所定のしきい値とを比較し、そ
の差がしきい値を越えた時に電極ノズル3がT字形ワー
ク1の立板1bの始端にきたことを示す始端検出信号を
出力する。従って、比較器24から出力された始端検出
信号によって電極ノズル3が立板1bの始端にきたこと
を高精度で検出することができる。なお、しきい値設定
器24によるしきい値は積算器20の積算値Σの変化量
Vが急峻に増大して始端位置にきたことを示す値に設定
されており、比較器24は変化量Vがしきい値を越えた
瞬間に始端と判定する。
【0029】このように、第1差動アンプ16から出力
される偏差信号ΔSから平均値演算器18で平均値を求
め、第2差動アンプ19で偏差信号と平均値との差を求
め、その差を積算器20で加算させているのは、積算値
20で積算させる最初の基準となる積算値を零レベルに
して偏差信号の変化を急峻な変化として捉えることがで
きるようにしてアーク乱れやワイヤ送給遅れ等の種々の
要因によって生じる偏差信号の波形の乱れによる影響を
受けないようにしたものである。
【0030】また、積算器20の積算値を直ちにしきい
値と比較して始端検出せずに、その積算値の所定時間当
りの変化量をしきい値と比較して始端検出するようにし
たのは、継手始端において積算値が積算中に急激に増加
するため、積算値の急変点を見つけることにより始端判
定をすれば、より確実且つ高精度に始端位置を検出する
ことができるためである。従って、廻し溶接等が行われ
る継手始端で良好な溶接品質を安定して確保することが
できる。なお、積算値の変化量をその実施例では所定時
間当りの変化量として捉えるようにしているが、積算値
の所定回転数或いは所定信号数当りの変化量として捉え
るようにしても始端検出できることは勿論である。
【0031】上記図6に示す実施例では、積分器13
a,13bで積分するアーク電圧の対象を下板側では2
25°〜315°である90°の角度範囲S1 とし、立
板側では45°〜135°である90°の角度範囲S2
としているが、図11の(i)に示すように、下板側で
270°〜315°である45°の角度範囲S1 とし、
立板側では45°〜90°である45°の角度範囲S2
とか、図11の(ii)に示すように下板側で270°〜
0°である90°の角度範囲S1 とし、立板側では0°
〜95°である90°の角度範囲S2 などとしても、始
端検出できることはいうまでもない。
【0032】更に、上記実施例では積分器13a,13
bで積分するアーク電圧の対象を下板側の所定角度範囲
と立板側の所定角度範囲としているが、図12の(i)
に示すように立板側だけで0°〜45°である45°の
角度範囲S1 と45°〜90°である45°の角度範囲
2 とか、図12の(ii)に示すように下板側と立板側
とを含む315°〜45°である90°の角度範囲S1
と立板側で45°〜135°である90°の角度範囲S
2 などとしても、十分に始端検出できることはいうまで
もない。なお、積分器13a,13bで積分するアーク
電圧の対象となる二つの角度範囲は図6、図11及び図
12に示す角度範囲に限られるものでなく、5°以上〜
180°以下であれば十分に始端検出できることは勿論
である。
【0033】更に上述した実施例ではアーク電圧検出器
10によってアーク電圧を検出し、それを信号処理して
溶接継手の始端を検出する説明をしたが、切換器12を
溶接電流検出器11側に切換えて溶接電流検出器11に
よって検出した溶接電流に対して上述した実施例と同様
に信号処理するようにしても溶接継手の始端を検出する
ことができる。なお、アーク電圧ではR位置での電圧が
増大するように対し、溶接電流では逆に立板側のR位置
での電流が減少するという相違があるだけである。
【0034】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、溶接継手
始端の手前に溶接トーチをその電極ノズルが開先幅方向
の中心位置にくるように位置決めし、しかる後に溶接継
手始端に向けて高速回転アーク溶接法でアークセンサに
よる開先ならい制御を行いながら溶接を行っていき、そ
の溶接中のアーク電圧または溶接電流とアークの回転位
置とを検出し、アークの1回転毎にアーク回転位置の2
つの所定角度範囲についてアーク電圧波形または溶接電
流波形を積分して、その積分値の差である偏差信号をア
ーク1回転毎に演算し、溶接トーチが始端検出制御を始
める位置に到達した時点より、偏差信号と溶接トーチが
始端検出制御を始める位置より所定距離手前の範囲であ
らかじめ演算しておいた偏差信号の平均値との差をアー
ク1回転毎に積算し、その積算値の所定回転数、所定時
間或いは所定信号数当りの変化量が所定のしきい値を越
えた時に溶接トーチが溶接継手始端に到達したと判定し
て所定の端部処理を行うようにしたので、溶接アーク自
体がセンサの役目を果たし、溶接による熱歪や収縮等の
変型やワイヤの曲りグセ等の影響を受けず、しかもアー
ク乱れやワイヤ送給速度の変動などの種々の要因によっ
てアーク電圧波形又は溶接電流波形自体が乱れた場合に
も波形の乱れの影響を受けにくいように信号処理される
ため、始端を誤検出することなく、溶接過程で溶接継手
の始端位置を確実且つ高精度に検出し、継手始端部の良
好な溶接品質を安定して確保できるという効果を有す
る。
【0035】また、溶接アーク自体がセンサとなるか
ら、従来のように磁気センサなどの特別な検出器が不要
であり、トーチ廻りが簡単に行え、ワークとの干渉の問
題や溶接方向の制約もなくなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である溶接継手始端部の検出
装置を示すブロック図である。
【図2】同溶接継手始端部の検出装置の溶接継手始端判
定装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】同溶接継手始端判定装置の始端判定器の内部構
成を示すブロック図である。
【図4】溶接継手と電極ノズルの位置関係を示す説明図
である。
【図5】溶接継手に電極ノズルで溶接が行われている状
態を示す斜視図である。
【図6】電極ノズルのワイヤの回転軌跡と積分器で積分
するアーク電圧の下板側と立板側の対象角度範囲の様態
を示す説明図である。
【図7】溶接継手始端部の検出方法の原理を示す説明図
である。
【図8】2つの所定角度範囲のアーク電圧波形の積分値
の差を示す信号の波形図である。
【図9】溶接継手に対する溶接継手始端部の検出装置の
検出手順を示す説明図である。
【図10】溶接継手始端部の検出装置の各部位における
信号波形を示す波形図である。
【図11】積分器で積分するアーク電圧の下板側と立板
側の対象角度範囲の態様を示す説明図である。
【図12】積分器で積分するアーク電圧の主として立板
側の対象角度範囲の様態を示す説明図である。
【図13】従来のアークセンサによる開先倣い制御方法
を示す説明図である。
【図14】従来の溶接継手始端部の検出方法を示す斜視
図である。
【図15】従来のもう一つの溶接継手始端部の検出方法
を示す正面図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接トーチの電極ノズルの先端に回転円
    運動を与えてワイヤ先端に発生するアークを高速回転さ
    せながら溶接する高速回転アーク溶接法において、 溶接継手始端の手前に溶接トーチをその電極ノズルが開
    先幅方向の中心位置にくるように位置決めし、しかる後
    に溶接を溶接継手始端に向けて開始し、アークセンサに
    よる開先ならい制御を行いながら、溶接中のアーク電圧
    または溶接電流とアークの回転位置とを検出し、アーク
    の1回転毎にアーク回転位置の2つの所定角度範囲につ
    いてアーク電圧波形または溶接電流波形を積分して、そ
    の積分値の差である偏差信号をアーク1回転毎に演算
    し、溶接トーチが始端検出制御を始める位置に到達した
    時点より、偏差信号と溶接トーチが始端検出制御を始め
    る位置より所定距離手前の範囲であらかじめ演算してお
    いた偏差信号の平均値との差をアーク1回転毎に積算
    し、その積算値の所定回転数、所定時間或いは所定信号
    数当りの変化量が所定のしきい値を越えた時に溶接トー
    チが溶接継手始端に到達したと判定して所定の端部処理
    を行うようにしたことを特徴とする溶接継手始端部の検
    出方法。
  2. 【請求項2】 溶接継手始端の手前に溶接トーチをその
    電極ノズルが開先幅方向の中心位置にくるように位置決
    めする溶接トーチ位置決め装置と、 高速回転アーク溶接法による溶接中に、アークセンサに
    よる開先ならい制御を行いながら、溶接中のアーク電圧
    または溶接電流とアークの回転位置とを検出し、アーク
    の1回転毎にアーク回転位置の2つの所定角度範囲につ
    いてアーク電圧波形または溶接電流波形を積分して、そ
    の積分値の差である偏差信号をアーク1回転毎に演算
    し、溶接トーチが始端検出制御を始める位置に到達した
    時点より、偏差信号と溶接トーチが始端検出制御を始め
    る位置より所定距離手前の範囲であらかじめ演算してお
    いた偏差信号の平均値との差をアーク1回転毎に積算
    し、その積算値の所定回転数、所定時間或いは所定信号
    数当りの変化量が所定のしきい値を越えた時に溶接トー
    チが溶接継手始端に到達したと判定する溶接継手始端判
    定装置とからなることを特徴とする溶接継手始端部の検
    出装置。
  3. 【請求項3】 上記溶接継手始端判定装置は、高速回転
    アーク溶接法により溶接する溶接トーチとワーク間のア
    ーク電圧又は溶接電流を検出するアーク電圧検出器又は
    溶接電流検出器と、電極ノズルの回転角度位置を検出す
    る回転位置検出器と、アーク電圧検出器又は溶接電流検
    出器の検出信号を積分する2つの積分器と、アークの回
    転の2つの所定角度範囲においてのみ積分器が積分する
    ようにその駆動信号を回転位置検出器の位置検出信号に
    基づいて出力するタイミングパルス発生器と、2つの積
    分器によって積分された検出信号の積分値の差である偏
    差信号を求める第1差動アンプと、第1差動アンプから
    出力された偏差信号の平均値を演算する平均値演算器
    と、第1差動アンプの偏差信号と平均値演算器の平均値
    との差である差分出力値を求める第2差動アンプと、第
    2差動アンプ差分出力値をアーク1回転毎に積算して積
    算値を演算する積算器と、始端検出制御を開始する地点
    から所定距離手前の範囲で平均値演算器を動作させ、か
    つ始端検出制御を開始する地点から積算器を動作させる
    始端検出制御タイミング指令発生器と、積算器の積算値
    の所定回転数、所定時間或いは所定信号数当たりの変化
    量と所定のしきい値とを比較し、その変化量が所定のし
    きい値を越えた時に溶接トーチが溶接継手始端にきたこ
    とを示す始端検出信号を出力する始端判定器とを備えて
    なることを特徴とする請求項2記載の溶接継手始端部の
    検出装置。
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