JPH07134356A - フォトクロミック性樹脂成形体 - Google Patents

フォトクロミック性樹脂成形体

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JPH07134356A
JPH07134356A JP5281115A JP28111593A JPH07134356A JP H07134356 A JPH07134356 A JP H07134356A JP 5281115 A JP5281115 A JP 5281115A JP 28111593 A JP28111593 A JP 28111593A JP H07134356 A JPH07134356 A JP H07134356A
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JP
Japan
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photochromic
compound
group
alkoxysilyl
resin
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JP5281115A
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English (en)
Inventor
Hirobumi Omura
博文 尾村
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
  • Nitrogen And Oxygen Or Sulfur-Condensed Heterocyclic Ring Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量で、耐熱性に優れ、高温下においてもフ
ォトクロミック機能が低下することのないフォトクロミ
ック性樹脂成形体を提供する。 【構成】 スピロ構造を有するフォトクロミック化合物
にアルコキシシリル基が付与された化合物と、水酸基を
有する紫外線硬化性樹脂とからなるフォトクロミック性
樹脂成形体。スピロ構造を有するフォトクロミック化合
物は、スピロベンゾピラン化合物またはスピロナフトオ
キサジン化合物が好ましい。アルコキシシリル基は、メ
トキシシリル基またはエトキシシリル基が好ましい。水
酸基を有する紫外線硬化性樹脂としては、例えば、2−
ヒドロキシエチルメタクリレートとテトラヒドロフルフ
リルアクリレートとシクロヘキシルアクリレートおよび
メチルフェニルグリオキシレート(光重合開始剤)から
なるアクリル系の紫外線硬化性樹脂液を用い、これを光
硬化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建物の窓、車両の窓、
建物の開口部、間仕切り(パーティション)および眼鏡
などに好適に使用されるフォトクロミック性樹脂成形体
に関する。
【0002】
【従来の技術】フォトクロミック化合物は、UV光(紫
外線)が照射および除去されることによってその色が可
逆的に変化する性質を有する。
【0003】この種のフォトクロミック化合物として
は、従来、下記式〔III〕に示すようなスピロベンゾ
ピラン化合物および下記式〔IV〕に示すようなスピロ
ナフトオキサジン化合物等が用いられており、例えば、
特公昭45−28892号公報、特公昭49−6865
号公報、特開昭55−36284号公報および特開昭6
2−299802号公報において上記化合物を用いて形
成されたフォトクロミック複層材料、調光ガラスやレン
ズ等の成形体が開示されている。
【0004】
【化3】
【0005】
【化4】
【0006】しかしながら、従来用いられてきたフォト
クロミック化合物は耐熱性に劣り、このようなフォトク
ロミック化合物を用いて製造された上記フォトクロミッ
ク成形体を高温下で長期間にわたって使用した場合、フ
ォトクロミック機能が低下し耐久性に劣るという欠点が
あった。また、上記フォトクロミック化合物を用いたフ
ォトクロミック成形体を製造するために加熱工程に供す
る場合も、上記と同様にフォトクロミック機能が低下す
るという欠点があった。なお、フォトクロミック成形体
の基材として無機ガラスを用いたものは、成形体の重量
が重くなるとう欠点もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の欠点を
解決しようとするもので、その目的とするところは、軽
量で、耐熱性に優れ、高温下においてもフォトクロミッ
ク機能が低下することのないフォトクロミック性樹脂成
形体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のフォトクロミッ
ク性樹脂成形体は、スピロ構造を有するフォトクロミッ
ク化合物にアルコキシシリル基が付与された化合物と、
水酸基を有する紫外線硬化性樹脂とからなり、そのこと
により上記目的が達成される。
【0009】本発明において、スピロ構造とは、2つの
環に共通な1個の炭素原子を含む構造のことをいう。こ
のような構造をもつ化合物(以下、スピロ化合物と呼称
することがある)としては、例えば、下記式〔V〕に示
したスピロピラン化合物、下記式〔VI〕に示したスピ
ロチイン化合物および下記式〔VII〕に示したスピロ
オキサジン化合物等が挙げられる。
【0010】
【化5】
【0011】
【化6】
【0012】
【化7】
【0013】上記スピロ化合物のうち、フォトクロミッ
ク性を有する化合物(以下、フォトクロミック化合物と
呼称することがある)の例としては、例えば、下記式
〔I〕に示したスピロベンゾピラン化合物、下記式〔V
III〕に示したスピロチイン化合物および下記式〔I
I〕に示したスピロナフトオキサジン化合物等が挙げら
れる。
【0014】
【化8】
【0015】
【化9】
【0016】
【化10】
【0017】〔上記式中、R1 、R3 は水素原子、ハロ
ゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基または
炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R1 とR3 は同一
でも異なってもよい。R2 は水素原子、炭素数1〜6の
アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、−(CH
2)m COOHまたは−(CH2)m COOR4 (mは1〜
4の整数、R4 は炭素数1〜6のアルキル基を表す)を
表す〕。
【0018】上記式〔I〕に示したスピロベンゾピラン
化合物の具体例としては、1,3,3-トリメチル-6'-ニトロ
スピロ〔 2Η-1- ベンゾピラン-2,2'-インドリン〕、1,
3,3-トリメチル-6'-ニトロベンゾピリルスピラン、1,3,
3-トリメチルインドリノ-6'-ニトロ-8'-メトキシベンゾ
ピリルスピラン、1,3,3-トリメチル-5- クロルインドリ
ノ-6'-ニトロベンゾピリルスピラン、1,3,3-トリメチル
-5- ブロムインドリノ-6'-ニトロ-8'-エトキシベンゾピ
リルスピラン、1-ヘプチル-3,3- ジメチル-6'-ニトロ-
8'-メトキシベンゾピリルスピラン、1-ブチル-3,3- ジ
メチル-6'-ニトロ-8'-メトキシベンゾピリルスピラン等
が挙げられる。
【0019】上記式〔II〕で示したスピロナフトオキ
サジン化合物の具体例としては、1,3,3-トリメチルスピ
ロ〔インドリン-2,3'-ナフト(2,1-b)(1,4)- オキサジ
ン〕、1,3,3,5-テトラメチルスピロ〔インドリン-2,3'-
ナフト(2,1-b)(1,4)- オキサジ、5-クロロ-1,3,3- ト
リメチルスピロ〔インドリン-2,3'-ナフト(2,1-b)(1,
4)- オキサジン〕5-メトキシ-1,3,3- トリメチルスピロ
〔インドリン-2,3'-ナフ(2,1-b)(1,4)- オキサジ
ン〕、1-イソプロピル-3,3- ジメチルスピロ〔インドリ
ン-2,3'-ナフト(2,1-b)(1,4)- オキサジン〕等が挙げ
られる。
【0020】また、上記式〔VIII〕に示したスピロ
チイン化合物の具体例としては、例えば、1,3,3-トリメ
チル-6'-ニトロ(インドリノン-2,2'-ベンゾチイン)等
が挙げられる。
【0021】上記のようなアルコキシシリル基を有する
フォトクロミック性スピロ化合物(アルコキシシリルス
ピロ化合物)を調製する方法としては、例えば、次の方
法が挙げられる。
【0022】先ず、無水アセトンに溶解したヨウ化ナト
リウムにアルコキシシランを加え還流し、アルコキシヨ
ードアルキルシランを得る。また、2,3,3-トリメチルイ
ンドレニンをアセトニトリルに溶かし、この溶液に上記
のアルコキシヨードアルキルシランを加えて還流し、下
記式に示すように、2,3,3-トリメチルインドレニンの4
級化を行う。
【0023】
【化11】
【0024】さらに、上記4級化された2,3,3-トリメチ
ルインドレニンの反応液にトリエチルアミンを加え、下
記式に示すように、2-メチレンインドリンを得る。
【0025】
【化12】
【0026】さらに、上記2-メチレンインドリンの反応
液に、5-ニトロサリチルアルデヒド或いは1-ニトロソ-2
- ナフトールを加え、還流、精製して、例えば、上記5-
ニトロサリチルアルデヒドを使用した場合、下記式に示
すようなアルコキシシリルスピロ化合物を得る。
【0027】
【化13】
【0028】本発明においては、上記スピロ構造を有す
るフォトクロミック化合物にアルコキシシリル基が付与
された化合物が用いられる。このような化合物は、アル
コキシシリル基をもち、かつスピロ構造を有するフォト
クロミック化合物(以下、アルコキシシリルスピロ化合
物と呼称することがある)であり、例えば、下記式〔I
X〕、〔X〕および〔XI〕に例示するように、スピロ
構造をもつフォトクロミック化合物のN−位にアルコキ
シシリル基が付与された化合物である。
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】
【化16】
【0032】このアルコキシシリル基は、ケイ素原子に
1個以上のアルコキシ基が結合した基であり、例えば、 −Si(OR5)3 、 −Si(OR5)2 6 、 −Si(OR5)R6 7 (式中、R5 はアルキル基を表し、R6 、R7 は水素原
子またはアルキル基を表、R6 、R7 は同一でも異なっ
てもよい)等が挙げられる。このアルコキシシリ基は、
特に限定されないが、メトキシシリル基またはエトキシ
シリル基が好ましい。具体的には、 −Si(OMe)3、 −Si(OEt)3、 −Si(OMe)2Me、 −Si(OEt)2Me などが挙げられる。
【0033】上記アルコキシシリル基は、上記フォトク
ロミック化合物のN−位に直接結合していてもよく、下
記式で表されるアルキレン基(式中、nは1〜5の整数
を表す)を介して結合していてもよい。
【0034】
【化17】
【0035】すなわち、 −(CH2)n −Si(OR5)3 、 −(CH2)n −Si(OR5)2 6 、 −(CH2)n −Si(OR5)R6 7 (式中、R5 はアルキル基を表し、R6 、R7 は水素原
子またはアルキル基を表し、R6 、R7 は同一でも異な
ってもよい)の形で結合してもよい。このときnによる
差はあまりないが、通常、nが3のプロピレン基が用い
られ、例えば、 −(CH2)3 Si(OEt)3、 −(CH2)3 Si(OMe)3 などが好ましい。
【0036】本発明においては、水酸基を有する紫外線
硬化性樹脂液が用いられる。このような紫外線硬化性樹
脂液としては、例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレ
ート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等の水酸基を有
するアクリレートを含有し、これにテトラヒドロフルフ
リルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等の水
酸基を持たないアクリクリレートを成分とするモノマー
混合液あるいはオリゴマー液に、光重合開始剤を含有さ
せてなるアクリル系の紫外線硬化性樹脂液が挙げられ
る。
【0037】光重合開始剤は、特定範囲の波長の光を吸
収して活性種を生成し、樹脂成分の硬化反応を開始させ
るもので、ラジカル重合型、カチオン重合型など各種の
光重合開始剤を使用することができる。例えば、メチル
フェニルグリオキシレート等が挙げられる。
【0038】なお、これ等の紫外線硬化性樹脂液には、
硬化度、硬化速度、機械的強度を調節するために、必要
に応じて、水酸基を有しない紫外線硬化性樹脂、例え
ば、紫外線硬化性の不飽和ポリエステル樹脂、ポリエン
・ポリチオール型樹脂、エポキシ樹脂等を併用すること
ができる。また、必要に応じて、非硬化性樹脂を溶解さ
せたり、酸化防止剤等の安定剤、レベリング剤、増粘
剤、充填剤、着色剤等を添加して使用することができ
る。
【0039】本発明のフォトクロミック性樹脂成形体
は、上記アルコキシシリルスピロ化合物と、上記水酸基
を有する紫外線硬化性樹脂液とを混合して均質な樹脂組
成物を調製し、この樹脂組成物を所望の形状に形成し、
これに光を照射して上記樹脂液を硬化させることにより
均質な一層構造の樹脂成形体として得ることができる。
光源としては、おおむね250〜450nmの波長の光
を発するものであればよい。例えば、高圧または超高圧
水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、キセ
ノンランプ、太陽光などが使用される。
【0040】また、本発明のフォトクロミック性樹脂成
形体は、上記水酸基を有する紫外線硬化性樹脂液を所望
の形状に形成し、これに光を照射して上記樹脂液を硬化
させて一旦水酸基を有する紫外線硬化性樹脂層を形成
し、この硬化樹脂層に上記アルコキシシリルスピロ化合
物の溶液を塗布し乾燥してアルコキシシリルスピロ化合
物層を形成し、二層構造の樹脂成形体として得ることも
できる。しかし、前記のよに、均質な樹脂組成物を用
い、均質な一層構造の樹脂成形体とするのが好ましい。
【0041】この場合、いずれのフォトクロミック性樹
脂構成体においても、アルコキシシリルスピロ化合物と
水酸基を有する紫外線硬化性樹脂との割合は、水酸基を
有する紫外線硬化性樹脂100重量部に対して、アルコ
キシシリルスピロ化合物0.1〜10重量部の範囲とす
るのが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5重量部の
範囲とする。アルコキシシリルスピロ化合物の割合が少
なくなると、発色機能が小さくなり実用的でなく、逆に
アルコキシシリルスピロ化合物の使用量が多くなると、
発色の程度が飽和状態となり、また得られるフォトクロ
ミック性樹脂構成体の非発色時における透明性が低下
し、光学的歪み等の悪影響が生じる恐れがある。
【0042】こうして、スピロ構造を有するフォトクロ
ミック化合物にアルコキシシリル基が付与された化合物
と、水酸基を有する紫外線硬化樹脂とからなる本発明の
フォトクロミック性樹脂成形体(一層構造の樹脂成形体
および二層構造の樹脂成形体)が得られる。
【0043】なお、本発明のフォトクロミック性樹脂成
形体の少なくとも一面には、支持基材として、例えば、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリスチレン、ポリカーボネート、メチルメタク
リレート、ブチルメタクリレート等の硬質の透明樹脂層
(例えば、フィルム、シート、板)、或いは保護材とし
て紫外線硬化性樹脂等からなる透明ハードコート層を設
けることができる。
【0044】
【作用】スピロ構造を有するフォトクロミック化合物に
アルコキシシリル基が付与された化合物と、水酸基を有
する紫外線硬化性樹脂とからなるフォトクロミック性樹
脂成形体は、上記スピロ構造を有するフォトクロミック
化合物が本来有するフォトクロミック機能を発揮するこ
とができる上に、このフォトクロミック化合物に付与さ
れたアルコキシシリル基と、紫外線硬化性樹脂の水酸基
との反応により、上記アルコキシシリルスピロ化合物と
紫外線硬化性樹脂とが強く固定されて安定構造となり、
それによりフォトクロミック性樹脂成形体の耐熱性が向
上する。
【0045】つまり、上記アルコキシシリルスピロ化合
物の分子内の−Si−ORが加水分解されることによっ
て−Si−OHとなり、これが紫外線硬化性樹脂の−O
Hと反応してSi−O−Si結合を生成するため、上記
アルコキシシリルスピロ化合物と紫外線硬化性樹脂とが
強く固定されて安定構造となるものと推察される。
【0046】
【実施例】以下、本発明のフォトクロミック性樹脂成形
体の実施例について説明する。
【0047】実施例1 (a)アルコキシシリルスピロ化合物の調製 (I) トリエトキシ-3- ヨードプロピルシラン〔I(CH
2)3 Si(OEt)3〕の合成 ヨウ化ナトリウム45gを無水アセトンに溶かし、これ
に3-クロロプロピルトリエトキシシラン〔Cl(CH2)
3 Si(OEt)3 〕(チッソ社製)25gを加えた。
この混合液を8時間還流し、冷却後生じた沈澱(塩化ナ
トリウム)を濾過して取り除いた。濾液中のアセトンを
減圧濃縮した後、蒸留してトリエトキシ-3- ヨードプロ
ピルシランを得た。得られたトリエトキシ-3- ヨードプ
ロピルシランの沸点は、78℃/1mmHgであり、収
率は80%であった。
【0048】(II)2,3,3-トリメチルインドレニンの4級
化 下記式〔XII〕に示す2,3,3-トリメチルインドレニン
(東京化成社製)15gをアセトニトリル50mlに溶
かし、この溶液に上記トリエトキシ-3- ヨードプロピル
シラン25gを加え、5時間還流して反応させ、下記の
反応式に示すように、2,3,3-トリメチルインドレニンの
4級化を行った。
【0049】
【化18】
【0050】(III) アルコキシシリル基が付与されたス
ピロベンゾピランの合成 上記4級化された2,3,3-トリメチルインドレニンを含有
する溶液の1/4にトリエチルアミン3mlを添加し、
下記の反応式に示すように、下記式〔XIII〕で示す
2-メチレンインドリンを生成させた。
【0051】
【化19】
【0052】その反応溶液に、さらに5-ニトロサリチル
アルデヒド〔O2 N- C3 6 ( OH)CHO〕(東京
化成製)3gを加えて、2時間還流した。冷却後、アセ
トニトリルを留去し、残留物を得た。この残留物からベ
ンゼン可溶物を取り出し、ベンゼンを蒸発させた後、エ
タノールに溶解し再結晶させ、粗生成物7.6gを得
た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ワコー
ゲル、ベンゼン)によって精製して得られた生成物を、
さらにエタノールで再結晶させ、下記式〔XIV〕で表
されるアルコキシシリルスピロ化合物〔スピロベンゾピ
ラン化合物のN−位に(CH2)3 Si(OEt)3基を付
与したもの)〕の純品3.6gを得た。
【0053】
【化20】
【0054】(b)フォトクロミック性樹脂組成物の調
上記(a)で得たアルコキシシリルスピロ化合物1g
と、水酸基を有する紫外線硬化性樹脂液として、2-ヒド
ロキシエチルメタクリレート60g、テトラヒドロフル
フリルアクリレート20g、シクロヘキシルアクリレー
ト20gと、メチルフェニルグリオキシレート(光重合
開始剤)1gと、2,6-ジ- t−ブチル- p- クレゾール
(酸化防止剤)0.2gとを均一に混合して、アルコキ
シシリルスピロ化合物と水酸基を有する紫外線硬化性樹
脂液とからなるフォトクロミック性樹脂組成物を得た。(c)フォトクロミック性樹脂成形体の製造 透明基材として、厚さ125μm のポリエステルフィル
ム(PET)を用い、この透明基材の片面に、上記
(b)で得たフォトクロミック性樹脂組成物を厚さ1mm
に流延し、これをベルトコンベアーに乗せて0.8m/
分の速度で移送するとともに、ベルトコンベアーから4
0cm隔てた位置から入力電源120w/cmのメタルハラ
イドランプを照射した。こうして、フォトクロミック性
樹脂成形体を得た。なお、このフォトクロミック樹脂成
形体の片面には、上記透明基材(透明樹脂層)が設けら
れ補強されている。(d)フォトクロミック性樹脂成形体の性能評価 得られた上記フォトクロミック性樹脂成形体について、
次の方法により、フォトクロミック特性を評価した。そ
の結果を表1に示す。
【0055】〈初期性能評価〉製造直後のフォトクロミ
ック性樹脂成形体について、JIS R3212に準拠
して、可視光線透過率を測定した。また、10wの殺菌
灯(UV光)を10cmの距離から1分間照射した後の可
視光線透過率を測定した
【0056】〈経時性能評価〉得られたフォトクロミッ
ク性樹脂成形体を100℃で1箇月放置した後、上記と
同様にして可視光線透過率及び殺菌灯(UV光)照射後
の可視光線透過率を測定した。この経時性能評価によ
り、フォトクロミック性の耐熱性と耐久性を評価するこ
とができる。
【0057】実施例2 下記式〔XV〕で表されるアルコキシシリルスピロ化合
物〔スピロナフトオキサジン化合物のN−位に〔CH2)
3 Si(OEt)3基を付与したもの〕を用いたこと以外
は、実施例1と同様にしてフォトクロミック性樹脂成形
体を製造し、フォトクロミック特性を評価した。その結
果を表1に示す。
【0058】
【化21】
【0059】上記式〔XV〕に示した化合物の調製は、
次のように行った。2-メチレンインドリンを生成させた
後、5-ニトロサリチルアルデヒドに替えて、下記式〔X
VI〕に示す1-ニトロソ-2- ナフトール(和光純薬社
製)3.2gを加えて3時間還流し反応させたこと以外
は、実施例1の(III) と同様にして、上記式〔XV〕で
示したアルコキシシリルスピロ化合物の純品を得た。
【0060】
【化22】
【0061】比較例1 実施例1で用いたアルコキシシリルスピロ化合物に代え
て、アルコキシシリル基が付与されていないスピロベン
ゾピラン化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様に
してフォトクロミック性樹脂成形体を製造し、フォトク
ロミック特性を評価した。その結果を表1に示す。
【0062】比較例2 実施例2で用いたアルコキシシリルスピロ化合物に代え
て、アルコキシシリル基が付与されていないスピロナフ
トオキサジン化合物を用いたこと以外は、実施例2と同
様にしてフォトクロミック性樹脂成形体を製造し、フォ
トクロミック特性を評価した。その結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】上述の通り、本発明のフォトクロミック
性樹脂成形体は、スピロ構造を有するフォトクロミック
化合物にアルコキシシリル基が付与された化合物と、水
酸基を有する紫外線硬化性樹脂とからなるので、耐熱性
および耐久性に優れ、高温下で長期間にわたって使用し
た場合でも、良好なフォトクロミック機能を保持するこ
とができる。しかも、フォトクロミック性樹脂成形体の
製造の際にも、光硬化により樹脂成形体が得られ、加熱
工程に供する必要がないので、この点でもフォトクロミ
ック機能の熱劣化が防止される。
【0065】また、本発明のフォトクロミック性樹脂成
形体は、上記のようにアルコキシシリルスピロ化合物と
水酸基を有する紫外線硬化性樹脂を主な原料とし、無機
ガラスを使用しないので、樹脂成形体は比較的軽量で製
品コストや取扱い作業性の点で有利であり、調光機能の
ほか、省エネルギー、ファッション性を高める等の効果
があり、建物の窓、車両の窓、建物の開口部、間仕切り
(パーティション)、眼鏡などに好適に用いられる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02C 7/02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピロ構造を有するフォトクロミック化
    合物にアルコキシシリル基が付与された化合物と、水酸
    基を有する紫外線硬化性樹脂とからなるフォトクロミッ
    ク性樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 スピロ構造を有するフォトクロミック化
    合物が、下記式〔I〕で表されるスピロベンゾピラン化
    合物または下記式〔II〕で表されるスピロナフトオキ
    サジン化合物である請求項1記載のフォトクロミック性
    樹脂成形体。 【化1】 【化2】 〔上記式中、R1 、R3 は水素原子、ハロゲン原子、ニ
    トロ基、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6
    のアルコキシル基を表し、R1 とR3 は同一でも異なっ
    てもよい。R2 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル
    基、炭素数1〜6のアルコキシル基、−(CH2)m CO
    OHまたは−(CH2)m COOR4 (mは1〜4の整
    数、R4 は炭素数1〜6のアルキル基を表す)を表
    す。〕
  3. 【請求項3】 アルコキシシリル基が、メトキシシリル
    基またはエトキシシリル基である請求項1または請求項
    2記載のフォトクロミック性樹脂成形体。
JP5281115A 1993-11-10 1993-11-10 フォトクロミック性樹脂成形体 Pending JPH07134356A (ja)

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JP5281115A JPH07134356A (ja) 1993-11-10 1993-11-10 フォトクロミック性樹脂成形体

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