JPH07132293A - 浄水場の塩素注入制御装置 - Google Patents

浄水場の塩素注入制御装置

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JPH07132293A
JPH07132293A JP22122193A JP22122193A JPH07132293A JP H07132293 A JPH07132293 A JP H07132293A JP 22122193 A JP22122193 A JP 22122193A JP 22122193 A JP22122193 A JP 22122193A JP H07132293 A JPH07132293 A JP H07132293A
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chlorine
value
concentration
injection
residual
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JP22122193A
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English (en)
Inventor
Mayumi Kurata
田 まゆみ 倉
Chiyouko Miyajima
島 潮 子 宮
Ryosuke Miura
浦 良 輔 三
Hitoshi Kawamichi
路 等 川
Tadashi Masukata
方 正 升
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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  • Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 原水中のアンモニア濃度が急に変化した場合
でも、浄水場の処理水の残留塩素濃度を精度良く制御す
る。 【構成】 モデル演算手段16において塩素注入量測定
値と原水流量とから塩素注入率測定値が求められるとと
もに、この塩素注入率測定値により残留塩素予測モデル
を用いて残留塩素測定点における残留塩素濃度予測値が
予測される。塩素消費量演算手段17において、残留塩
素濃度測定値と残留塩素濃度予測値との差と、原水のア
ンモニア濃度測定値に基づいて、アンモニア濃度に対す
る塩素消費量が演算される。注入率演算手段18におい
て塩素消費量と原水のアンモニア濃度測定値とに基づい
て塩素注入率目標値が求められ、注入量演算手段19に
おいて塩素注入率目標値と原水流量とから塩素注入量目
標値が求められる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原水に塩素を適切に注
入して消毒処理を行うことができる浄水場の塩素注入制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、原水のアンモニア濃度を測定する
ためアンモニア濃度計が設置され、このアンモニア濃度
計により計測されたアンモニア濃度を定数倍し、これを
塩素注入率目標値とする塩素の注入制御を行なわれてい
る。
【0003】アンモニアは塩素消費量が多いので、原水
のアンモニア濃度が急激に増加した場合、塩素は急激に
消費され、残留塩素濃度がゼロとなる。そして浄水場に
消毒されていない水が流入し、沈澱池やろ過池に藻が増
殖するといった悪影響を及ぼすことがある。この際、後
工程で塩素注入を行っていない場合には、消毒不完全な
水道水が供給される事故が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のように、計測さ
れたアンモニア濃度を定数倍し、これを注入率目標値と
して、塩素の注入制御を行う方法では、上述のようにア
ンモニア濃度の上昇時に適切な塩素の注入を行なうこと
はできない。このため、アンモニア濃度の上昇時は、塩
素の注入を自動制御するのではなく、運転員が注入率を
設定しながら運転する手動運転を行う場合が多い。アン
モニアは塩素消費量が多いので、アンモニア濃度変化時
の運転は運転員にとって非常に困難であり、煩雑とな
る。すなわち塩素を過剰に注入すると、塩素臭のついた
水道水を供給し、住民から苦情を寄せられる恐れがあ
り、一方、塩素の注入が不足すると、消毒不完全な水道
水を供給する危険がある。
【0005】さらに、測定されたアンモニア濃度の定数
倍を注入率目標値とする自動制御方法の場合、アンモニ
ア濃度に対する塩素の消費量が、状況に応じて変化する
ため、常時、過不足なく塩素を注入できるとは限らない
という問題がある。
【0006】例えば、原水に含まれる塩素消費物質はア
ンモニアのみならず、鉄、マンガン、有機物等があり、
また原水のアンモニア濃度が上昇するとき、アミン類の
濃度も上昇すると考えられる。塩素注入制御用に自動連
続計測するアンモニア濃度は、電気化学的に測定される
ので、アンモニアと化学的性質が似ているアミン類がア
ンモニア測定の妨害物質になることがある。すなわち水
温によってアミンの分解速度は異なるので、原水中のア
ミン類とアンモニアの濃度比は、季節によって異なる。
また天候によっても原水中の物質構成は異なるので、ア
ンモニア濃度の測定値が同じでも、季節や天候によって
真のアンモニア濃度は異なると考えられる。このため真
のアンモニア濃度に対応するよう、季節や天候に応じて
アンモニア濃度計からの信号を補正して塩素注入率を演
算する必要がある。
【0007】また、電気化学的な測定方法を用いた場
合、原水中のアンモニア濃度は、下限に近い低濃度であ
る場合が多い。このため、測定上の誤差も無視できな
い。測定上の誤差は、アンモニア計のメンテナンス方法
によっても生じることが考えられる。このような測定上
の誤差も塩素注入率演算時に考慮する必要がある。
【0008】しかしながら、従来のように測定されたア
ンモニア濃度の定数倍の注入率を用いた制御方式では、
上述のような問題が解決されず、塩素注入に過不足を生
じることがある。
【0009】本発明はこのような点を考慮してなされた
ものであり、自動制御が困難なアンモニア濃度上昇時、
あるいは測定されたアンモニア濃度に対して塩素の消費
量が異なる条件においても、適切な塩素注入量を演算し
て、過不足なく塩素の注入を行なうことができる浄水場
の塩素注入制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、塩素注入点で注入される原水への塩素注入量測定値
と原水流量とから塩素注入率測定値を求め、この塩素注
入率測定値により残留塩素予測モデルを用いて塩素注入
後の残留塩素濃度測定点における残留塩素濃度予測値を
予測するモデル演算手段と、塩素注入後の残留塩素濃度
測定点における残留塩素濃度測定値とモデル演算手段で
予測した残留塩素濃度予測値との差と、原水のアンモニ
ア濃度測定値とに基づいて、アンモニア濃度に対する塩
素消費量を演算する塩素消費量演算手段と、塩素消費量
演算手段で求めた塩素消費量と原水のアンモニア濃度測
定値とに基づいて塩素注入率目標値を演算する注入率演
算手段と、塩素注入率目標値と原水流量とから塩素注入
量目標値を演算する注入量演算手段と、を備えたことを
特徴とする浄水場の塩素注入制御装置である。
【0011】請求項2記載の発明は、塩素消費量演算手
段が、塩素注入点より上流側のアンモニア濃度測定値に
基づいて、残留塩素濃度測定点におけるアンモニア濃度
予測値をアンモニア濃度予測モデルを用いて予測し、こ
のアンモニア濃度予測値、および残留塩素濃度測定値と
残留塩素濃度予測値との差からアンモニア濃度に対する
塩素消費量を演算することを特徴とする請求項1記載の
浄水場の塩素注入制御装置である。
【0012】請求項3記載の発明は、塩素消費量演算手
段で、アンモニア濃度測定値、および残留塩素濃度測定
値と残留塩素濃度予測値との差から、ファジィ推論によ
ってアンモニア濃度に対する塩素消費量を演算すること
を特徴とする請求項1記載の浄水場の塩素注入制御装置
である。
【0013】請求項4記載の発明は、塩素が注入された
後の残留塩素濃度測定点における残留塩素濃度測定値を
用いて、残留塩素濃度を目標値に保つように補正用塩素
注入率目標値を演算するフィードバック制御手段と、フ
ィードバック制御手段で求められた補正用塩素注入率目
標値を用いて塩素注入率演算手段において求められた塩
素注入率目標値を補正して、塩素注入率補正値を演算す
るフィードフォワード/フィードバック制御結合手段
と、を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の浄水
場の塩素注入制御装置である。
【0014】請求項5記載の発明は、フィードフォワー
ド/フィードバック制御結合手段は、塩素注入率補正値
をファジィ推論によってを演算することを特徴とする請
求項4記載の浄水場の塩素注入制御装置である。
【0015】
【作用】請求項1記載の発明によれば、モデル演算手段
において、塩素注入点で注入される塩素注入量測定値と
原水流量とから塩素注入率測定値が求められ、この塩素
注入率測定値により残留塩素予測モデルを用いて残留塩
素測定点における残留塩素濃度予測値が予測される。塩
素消費量演算手段において、塩素注入後の残留塩素濃度
測定点における残留塩素濃度測定値と残留塩素濃度予測
値との差と、原水のアンモニア濃度測定値とに基づい
て、アンモニア濃度に対する塩素消費量が演算される。
注入率演算手段において、塩素消費量と原水のアンモニ
ア濃度測定値とに基づいて塩素注入率目標値が演算さ
れ、注入量演算手段において塩素注入率目標値と原水流
量とから塩素注入量目標値が求められる。
【0016】請求項2記載の発明によれば、塩素消費量
演算手段において、塩素注入点より上流側のアンモニア
濃度測定値によりアンモニア濃度予測モデルを用いて残
留塩素濃度測定点におけるアンモニア濃度予測値が予測
され、このアンモニア濃度予測値、および残留塩素濃度
測定値と残留塩素濃度予測値との差に基づいて塩素消費
量が演算される。
【0017】請求項3記載の発明によれば、塩素消費量
演算手段において、アンモニア濃度測定値、および残留
塩素濃度測定値と残留塩素濃度予測値との差からアンモ
ニア濃度に対する塩素消費量がファジィ推論によって演
算される。
【0018】請求項4記載の発明によれば、フィードバ
ック制御手段において、塩素が注入された後の残留塩素
濃度測定点における残留塩素濃度測定値を用いて、残留
塩素濃度を目標値に保つように補正用塩素注入率目標値
が求められ、フィードバック制御手段で求められた補正
用塩素注入率目標値を用いて塩素注入率演算手段におい
て求められた塩素注入率目標値がフィードフォワード/
フィードバック制御結合手段において補正され、塩素注
入率補正値が求められる。
【0019】請求項5記載の発明によれば、フィードフ
ォワード/フィードバック制御結合手段において、塩素
注入率補正値がファジィ推論を用いて演算される。
【0020】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。
【0021】図1乃至図10は本発明による浄水場の塩
素注入制御装置の一実施例を示す図である。
【0022】図1において、塩素注入プロセスを有する
浄水場が示されており、この浄水場は、原水が流入する
着水井1と、フラッシュミキサ2を有する急速攪拌池3
とを備えている。また着水井1への原水流入路4には、
サンプリングポンプ5が設置されており、原水はサンプ
リング配管6を通って、アンモニア濃度計7によりアン
モニア濃度が測定される。
【0023】また原水の消毒用塩素として、次亜塩素酸
ナトリウムが用いられる。すなわち次亜塩素酸ナトリウ
ム水溶液が貯蔵タンク8に貯蔵され、次亜塩素酸ナトリ
ウムの必要量が塩素注入機9を通って、着水井1に注入
される。原水は塩素の注入により処理され、処理水とな
って導水路10を通り、急速攪拌池3に流入する。
【0024】導水路10には処理水量(原水流量と同
一)を測定する流量計11が設置され、急速攪拌池3で
は、フラッシュミキサ2により処理水と塩素が十分に攪
拌され、攪拌後の処理水は、フロック形成池へ送られ
る。また急速攪拌池3に設置されたサンプリングポンプ
12により処理水の一部がサンプリングされ、サンプリ
ング配管13を通って残留塩素濃度計14に導かれる。
【0025】本発明による浄水場の塩素注入制御装置1
5は、塩素注入機9に指示信号を送り、目標通りの注入
を実現するものである。この塩素注入制御装置15は、
図1に示すように、原水への塩素注入量測定値と原水流
量とから塩素注入率測定値を求め、この塩素注入率測定
値により残留塩素濃度予測モデルを用いて残留塩素濃度
予測値を演算するモデル演算手段16と、塩素注入後の
残留塩素濃度測定値と残留塩素予測値との差と原水のア
ンモニア濃度測定値に基づいてアンモニア濃度に対する
塩素消費量を演算する塩素消費量演算手段17と、塩素
消費量と原水のアンモニア濃度測定値に基づいて塩素注
入率目標値を演算する注入率演算手段18と、塩素注入
率目標値と原水流量とから塩素注入量目標値を演算する
注入量演算手段19とを備えている。
【0026】また、残留塩素濃度測定値を用いて補正用
塩素注入率目標値を求めるフィードバック制御手段21
が設けられている。注入率演算手段18で求めた塩素注
入量目標値は、フィードバック制御手段21で求めた補
正用塩素注入率目標値を用いてフィードフォワード/フ
ィードバック制御結合手段22で補正され、塩素注入率
補正値が求められる。
【0027】塩素注入制御装置15へは、アンモニア濃
度計7、流量計11、および残留塩素濃度計14からの
信号が入力され、一方、塩素注入制御装置15からの信
号は、塩素注入機9へ出力される。
【0028】次にこのような構成からなる本実施例の作
用について説明する。
【0029】まず、アンモニア濃度計7で求めた原水の
アンモニア濃度測定値が低濃度である場合に、モデル演
算手段16において、塩素注入機9から得られる原水へ
の塩素注入量測定値Mpvと流量計11から得られる処
理流量測定値Qpvから注入率測定値Upvを求め、こ
の塩素注入率測定値Upvと残留塩素濃度計14から得
られる残留塩素濃度測定値Ypvの関係を(1)式の2
次遅れ+むだ時間モデル(残留塩素予測モデル)Aを用
いて予めモデル化し同定しておく。
【0030】(1)式のモデル定数K,T,Lは、図4
に示すように、塩素注入率測定値Upvをステップ状に
変化させ(図4(a))、この場合に残留塩素濃度計1
4から得られる残留塩素濃度測定値Ypvの変化(図4
(b))を観察することにより求められる。ただし、こ
のような観察は、晴天で、ダム等の放流がなく、アンモ
ニア濃度が0.05[mg/L]以内で推移しているよ
うな状態の時に行う。このような期間をアンモニア濃度
低濃度期間とする。 (1)式において、 K…塩素注入点(着水井)で注入された塩素濃度が残留
塩素濃度計測点(残留塩素濃度計)で残留塩素濃度とし
て残る残留率 T…塩素注入点での塩素注入率の変化に対する残留塩素
濃度計測点での残留塩素濃度の変化の遅れ時間 L…塩素注入点での塩素注入率の変化が残留塩素濃度計
測点の残留塩素濃度の変化として現れるまでのむだ時間 次にモデル演算手段16では、塩素注入機9から得られ
る塩素注入量測定値Mpvと流量計11から得られる処
理流量測定値Qpvから塩素注入率測定値Upvが連続
的に求められ、(2)式に示すようにこの塩素注入率測
定値Upvがモデル化したモデルAに入力され、残留塩
素濃度測定点での残留塩素濃度予測値Ymodが求めら
れる。
【0031】
【数1】 次に、塩素消費量演算手段17において、(3)式に示
すようにモデル演算手段16で計算された残留塩素濃度
予測値Ymodと残留塩素濃度計14から得られる残留
塩素濃度測定値Ypvの差Dが求められる。図5に示す
ように、モデルを同定したアンモニア濃度低濃度期間で
は、残留塩素濃度測定値Ypvと残留塩素濃度予測値Y
modはほぼ一致するが、アンモニア濃度が上昇した場
合、原水中の他の物質に比べてアンモニアは塩素消費量
が大きいため、測定値Ypvと予測値Ymodは異な
り、測定値Ypvと予測値Ymodの差Dは、濃度上昇
したアンモニアで消費された残留塩素濃度となる。 D = Ypv − Ymod ……(3) なお消費された塩素の観測は、残留塩素濃度計14の設
置点(残留塩素濃度測定点)で行われるのに対し、アン
モニア濃度の観測は、塩素注入点より上流に設けられた
アンモニア濃度計7の設置点で行なわれる。このため、
残留塩素濃度およびアンモニア濃度の測定にあたって、
計測時刻のズレが生じるので、残留塩素濃度とアンモニ
ア濃度とを比較する場合、アンモニア濃度計7から残留
塩素濃度計14までの水の輸送のために生じるむだ時間
と、着水井1および急速攪拌池3における原水の混合に
よって生じる遅れ時間とを考慮しなければならない。従
って後述するアンモニアに対する塩素消費量Pを計算す
るためには、この計測時間のズレや、遅れの影響を取り
除く必要がある。
【0032】そこで、(4)式に示すようにアンモニア
濃度計7から得られるアンモニア濃度測定値NH4 pv
から2次遅れ+むだ時間モデルでモデル化したモデルB
を用いて、塩素と反応せずに残留塩素濃度計14の設置
地点まで到達した場合のアンモニア濃度予測値NH4
odを予測する。そしてこのアンモニア濃度予測値NH
4 modを用いて、アンモニア濃度と残留塩素濃度との
計測時間のズレと、着水井1および急速攪拌池3におけ
る混合による遅れの影響を除くようにする。
【0033】モデルBの遅れ時間Tおよびむだ時間L
は、モデルAのものと同様であり、モデルAに対してア
ンモニア計測時刻から塩素注入点にいたるまでのむだ時
間Nが更に追加されている。
【0034】
【数2】 (4)式において、 N…アンモニア濃度計7でのアンモニア濃度の計測時刻
から塩素注入点にいたる時刻までのむだ時間 次に塩素消費量演算手段17において、残留塩素濃度測
定値Ypvと残留塩素濃度予測値Ymodの差Dの時間
変化量ΔDと、アンモニア濃度予測値NH4 modの時
間変化量ΔNH4 modと、塩素の残留率K(モデルA
参照)とから、アンモニア濃度に対する塩素消費量Pが
ファジィ推論手段20(図2参照)を用いて演算され
る。この演算は、所定期間H毎に行なわれる。
【0035】図2に示すように、ファジィ推論手段20
へは、残留塩素濃度測定値Ypvと残留塩素濃度予測値
Ymodの差Dの時間変化量ΔDと、アンモニア濃度予
測値NH4 modの時間変化量ΔNH4 modの2項目
が入力される。ファジィ推論手段20内部では、それぞ
れの項目について図6に示すグレードと図7に示すラベ
ルとが求められる。
【0036】次にファジィ推論手段20内では、図8に
示すルールを参照して塩素消費量Pの所属するファジィ
集合が推論される。この場合、図9(a)〜(g)に示
すように該当ルールの適合度を演算し、メンバシップ関
数を適合度によって修正した後、得られた関数を合成し
て合成メンバシップ関数を求める。次に重心Gを求め、
重心点の横軸の値をファジィ推論の出力値、すなわち塩
素消費量Pとする。
【0037】(5)式はファジィ推論手段20における
塩素消費量の演算過程を示す式である。
【0038】
【数3】 次に注入率演算手段18において、消費量演算手段17
で求められた塩素消費量Pとアンモニア濃度計7から得
られるアンモニア濃度測定値NH4 pvから塩素注入率
目標値が求められる。
【0039】前述のように、アンモニアによる塩素の消
費量は大きいので、塩素の注入をフィードフォワード制
御により行なわないと、残留塩素濃度の低下を招く。従
って本実施例では塩素注入点(着水井1)より上流に設
けられたアンモニア濃度計7の信号を用いる。またアン
モニア濃度測定時刻から、塩素の注入点に原水が到達す
る時刻までのむだ時間Nを考慮し、むだ時間N分だけ過
去のアンモニア濃度測定値NH4 pv(t-N) を用い、現
在の塩素注入率目標値UFsv(t) を(6)式で求め
る。 UFsv(t) =P(t) ×NH4 pv(t-N) ……(6) また本実施例では残留塩素濃度測定点(残留塩素濃度計
14)での残留塩素濃度をさらに精度良く目標値に保つ
ため、残留塩素濃度測定値Ypvを入力としたフィード
バック制御手段21が設けられている。フィードバック
制御手段21では、(7)、(8)式により残留塩素濃
度測定点での残留塩素濃度測定値Ypvと目標値Ysv
とに基づいて、P.I.フィードバック制御回路を用い
て、補正用塩素注入率目標値UBsv(t) が求められ
る。 e(t) = Ysv − Ypv ……(7) 次に、図3に示すようにフィードフォワード/フィード
バック制御結合手段22のファジィ推論手段23では、
注入率演算手段18で得られた塩素注入率目標値UFs
v(t) がフィードバック制御手段21で得られた補正用
塩素注入率目標値UBsv(t) を用いて補正され、アン
モニアによる塩素の減少を補償しかつ残留塩素濃度を目
標に保つような塩素注入率補正値UCsv(t) が求めら
れる。ファジィ推論手段23へは、注入率演算手段18
で得られた塩素注入率目標値UFsv(t) とフィードバ
ック制御手段21で得られた補正用塩素注入率目標値U
Bsv(t) に加えて、残留塩素測定値Ypv、アンモニ
ア測定点でのアンモニア測定値NH4 pv、および残留
塩素測定点でのアンモニア濃度予測値NH4 modの5
項目が入力される。ファジィ推論手段23内部では、そ
れぞれの項目についてグレードとラベルが求められる。
次にルールを参照して、塩素注入率補正値UCsvの所
属するファジィ集合が推論される。この場合、該当ルー
ルの適合度を演算し、メンバシップ関数を適合度によっ
て修正した後、得られた関数を合成して合成メンバシッ
プ関数を求める。次に重心Gを求め、重心点の横軸の値
をファジィ推論の出力値、すなわち塩素注入率補正値U
Csv(t) とする。ファジィ推論手段23内における作
用は、ファジィ推論手段20内における作用と略同様で
ある。
【0040】注入量演算手段19では、フィードフォワ
ード/フィードバック制御結合手段22で求められた注
入率目標値UCsv(t) と流量計11から得られる処理
流量Qpv(t) とから(9)式により塩素注入量目標値
Msv(t) が求められる。 Msv(t) = UCsv(t) ×Qpv(t) ……(9) 次に塩素注入制御装置15内の注入量演算手段19で演
算される塩素注入量目標値Msvが、塩素注入機9に出
力され、塩素注入機9では、流入量目標値Msvの入力
を受けて指示値通りの注入が行なわれる。
【0041】次に本発明の塩素注入制御装置15を用い
て塩素の注入制御を行った場合の作用効果を、図5より
具体例を挙げて説明する。図5に示すように、たとえ原
水中のアンモニア濃度測定値NH4 pvが短時間の間に
変化しても、適切な塩素の注入を行なうことができ、こ
れにより残留塩素濃度測定値Ypvは安定する。
【0042】また、塩素消費量演算手段17で求められ
たアンモニア濃度に対する塩素消費量の具体例を図10
に示す。図10に示すように、理論値7.6に対して本
発明による塩素消費量の実績値は5付近と小さい値とな
っている。図10において、従来の方法、つまりアンモ
ニア濃度測定値NH4 pvの定数倍(図10では8倍)
を注入率目標値とする注入方法で塩素を注入すると、塩
素を過剰に注入してしまい、残留塩素濃度が高くなり、
塩素臭のついた水道水を供給する危険を生じる。これに
対して本発明の方法を用いれば、残留塩素濃度が安定し
て十分な消毒が行われ、かつ塩素臭の少ない水道水を供
給できることがわかる。
【0043】以上説明したように、従来の塩素注入制御
方法によれば原水中のアンモニア濃度が急激に増加した
場合、塩素が急激に消費されたり、あるいは残留塩素濃
度がゼロとなって浄水場に消毒されてない水が流入して
悪影響を及ぼし、後工程で塩素注入を行っていない場合
には、消毒不完全な水道水が供給される事故となる。こ
れに対して本実施例による塩素注入制御装置は、季節や
天候およびメンテナンスの状態によって、アンモニア濃
度に対する塩素消費量が異なることに着目し、時々刻々
この塩素消費量を求めて塩素の注入を行なうので、過不
足なく塩素が注入でき、処理水の残留塩素濃度を安定さ
せることができる。これによって、残留塩素濃度を常に
一定の範囲に維持した水道水の供給することができる。
また、アンモニア濃度に対する塩素消費量に応じた塩素
の注入を行うことができるので、長期間連続して塩素の
自動注入制御を実施でき、処理水の残留塩素濃度を目標
の範囲内に維持できる。さらに処理水中の残留塩素濃度
を定安して維持できるので、十分な消毒が行われかつ塩
素臭の少ない水道水を供給できる。
【0044】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、残留塩
素濃度測定点における残留塩素濃度測定値および残留塩
素濃度予測値との差と、原水のアンモニア濃度測定値と
に基づいてアンモニア濃度に対する塩素消費量を演算す
るとともに、この塩素消費量と原水のアンモニア濃度測
定値に基づいて塩素注入率目標値を求めるので、アンモ
ニア濃度に対する塩素消費量を季節等の変化に合わせて
求めることができる。またこの塩素消費量に基づいて塩
素注入率目標値および塩素注入量目標値を精度良く演算
することができるので処理水の残留塩素濃度を目標の範
囲内に維持することができる。
【0045】請求項2記載の発明によれば、残留塩素濃
度測定点におけるアンモニア濃度予測値を予測し、この
アンモニア濃度予測値に基づいて塩素消費量を演算する
ので、アンモニア濃度測定点と残留塩素濃度測定点との
間のむだ時間を考慮して精度良く塩素消費量を演算する
ことができる。このため、塩素注入率目標値および塩素
注入量目標値をより精度良く演算することができる。
【0046】請求項3記載の発明によれば、塩素消費量
演算手段において、アンモニア濃度測定値と、残留塩素
濃度測定値と残留塩素濃度予測値との差からアンモニア
濃度に対する塩素消費量をファジィ推論によって演算す
ることができる。このため、運転員の経験則を生かし、
機場の特性に応じて塩素消費量を求めることができる。
【0047】請求項4記載の発明によれば、フィードフ
ォワード/フィードバック制御結合手段において、フィ
ードバック制御手段で求められた補正用塩素注入率目標
値を用いて塩素注入率演算手段において求められた塩素
注入率目標値を補正して塩素注入率補正値を求めるので
アンモニアによる塩素の減少を補償しかつ残留塩素濃度
を目標値に保つことができる。
【0048】請求項5記載の発明によれば、フィードフ
ォワード/フィードバック制御結合手段において、アン
モニアによる塩素の減少を補償し、かつ残留塩素濃度を
目標値に保つような塩素注入率補正値をファジィ推論を
用いて演算することができる。このため、運転員の経験
則を生かし、機場の特性に応じて塩素注入率補正値を求
め、運転員の管理しやすい塩素注入制御を行なうことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による浄水場の塩素注入制御装置の一実
施例を示す構成図。
【図2】本発明による塩素注入制御装置の消費量演算手
段を示す構成図。
【図3】本発明による塩素注入制御装置のフィードフォ
ワード/フィードバック制御結合手段を示す構成図。
【図4】本発明による塩素注入制御装置において塩素注
入率測定値変化時における残留塩素濃度測定値の応答を
示す図。
【図5】本発明の作用効果を示す図。
【図6】ファジィ推論手段におけるグレードを示す図。
【図7】ファジィ推論手段におけるラベルを示す図。
【図8】ファジィ推論手段におけるルールを示す図。
【図9】ファジィ推論手段におけるメンバシップ関数の
合成を示す図。
【図10】本発明による塩素注入制御装置においてアン
モニアに対する塩素消費量の演算結果を示す図。
【符号の説明】
1 着水井 3 急速攪拌池 4 原水流入路 7 アンモニア濃度計 9 塩素注入機 11 流量計 14 残留塩素濃度計 15 塩素注入制御装置 16 モデル演算手段 17 消費量演算手段 18 注入率演算手段 19 注入量演算手段 20 塩素消費量のファジィ推論手段 21 フィードバック制御手段 22 フィードフォワード/フィードバック制御結合手
段 23 塩素注入率のファジィ推論手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川 路 等 東京都府中市東芝町1 株式会社東芝府中 工場内 (72)発明者 升 方 正 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩素注入点で注入される原水への塩素注入
    量測定値と原水流量とから塩素注入率測定値を求め、こ
    の塩素注入率測定値により残留塩素予測モデルを用いて
    塩素注入後の残留塩素濃度測定点における残留塩素濃度
    予測値を予測するモデル演算手段と、 塩素注入後の残留塩素濃度測定点における残留塩素濃度
    測定値とモデル演算手段で予測した残留塩素濃度予測値
    との差と、原水のアンモニア濃度測定値とに基づいて、
    アンモニア濃度に対する塩素消費量を演算する塩素消費
    量演算手段と、 塩素消費量演算手段で求めた塩素消費量と原水のアンモ
    ニア濃度測定値とに基づいて塩素注入率目標値を演算す
    る注入率演算手段と、 塩素注入率目標値と原水流量とから塩素注入量目標値を
    演算する注入量演算手段と、 を備えたことを特徴とする浄水場の塩素注入制御装置。
  2. 【請求項2】塩素消費量演算手段は、塩素注入点より上
    流側のアンモニア濃度測定値に基づいて、残留塩素濃度
    測定点におけるアンモニア濃度予測値をアンモニア濃度
    予測モデルを用いて予測し、このアンモニア濃度予測
    値、および残留塩素濃度測定値と残留塩素濃度予測値と
    の差からアンモニア濃度に対する塩素消費量を演算する
    ことを特徴とする請求項1記載の浄水場の塩素注入制御
    装置。
  3. 【請求項3】塩素消費量演算手段において、アンモニア
    濃度測定値、および残留塩素濃度測定値と残留塩素濃度
    予測値との差から、ファジィ推論によってアンモニア濃
    度に対する塩素消費量を演算することを特徴とする請求
    項1記載の浄水場の塩素注入制御装置。
  4. 【請求項4】塩素が注入された後の残留塩素濃度測定点
    における残留塩素濃度測定値を用いて、残留塩素濃度を
    目標値に保つように補正用塩素注入率目標値を演算する
    フィードバック制御手段と、 フィードバック制御手段で求められた補正用塩素注入率
    目標値を用いて塩素注入率演算手段において求められた
    塩素注入率目標値を補正して塩素注入率補正値を演算す
    るフィードフォワード/フィードバック制御結合手段
    と、 を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の浄水場の
    塩素注入制御装置。
  5. 【請求項5】フィードフォワード/フィードバック制御
    結合手段は、ファジィ推論によって塩素注入率補正値を
    演算することを特徴とする請求項4記載の浄水場の塩素
    注入制御装置。
JP22122193A 1993-05-10 1993-09-06 浄水場の塩素注入制御装置 Pending JPH07132293A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002307094A (ja) * 2001-04-13 2002-10-22 Toshiba Corp 下水処理システム
KR20070119111A (ko) * 2006-06-14 2007-12-20 한국건설기술연구원 미생물 불활성비 자동연산에 의한 염소소독공정 제어장치및 방법
JP2009066465A (ja) * 2007-09-10 2009-04-02 Ishikawa Engineering Corp アンモニア性窒素含有水の処理設備及びその処理方法
CN115196730A (zh) * 2022-07-19 2022-10-18 南通派菲克水务技术有限公司 一种水厂次氯酸钠智能投加***

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