JPH07126726A - 溶鉄からの脱銅・脱錫法 - Google Patents

溶鉄からの脱銅・脱錫法

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JPH07126726A
JPH07126726A JP27220493A JP27220493A JPH07126726A JP H07126726 A JPH07126726 A JP H07126726A JP 27220493 A JP27220493 A JP 27220493A JP 27220493 A JP27220493 A JP 27220493A JP H07126726 A JPH07126726 A JP H07126726A
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JP
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molten iron
iron
plasma
hydrogen
oxide
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Application number
JP27220493A
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English (en)
Inventor
Takayuki Nishi
隆之 西
Kaoru Masame
薫 眞目
Masaharu Anezaki
正治 姉崎
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶鉄からの脱銅・脱錫速度を増大させ、溶鉄
からの脱銅・脱錫を高効率に、短時間で行うことのでき
る方法を提供する。 【構成】 10Torr以下の減圧下において、酸化鉄および
酸化鉄よりも酸化力の弱い酸化物から成る群から選んだ
一種または二種以上からなる酸化剤を溶鉄に吹き付けて
該溶鉄の脱炭を行うことによって、該溶鉄から銅および
/または錫を除去する際に、溶鉄の表面を水素含有プラ
ズマによって加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶鉄からの脱銅および
/または脱錫法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄スクラップの発生量の増大とと
もに、鉄スクラップを種々の再溶解法にて再利用するプ
ロセスや、鉄スクラップを溶銑や溶鋼と混ぜて使用する
プロセスが一般的に行われるようになってきている。
【0003】ところで、これらの鉄スクラップの品位は
年々低下する傾向にある。例えば、自動車解体屑中の銅
配線やモータコアに含まれる銅線や錫メッキといったも
のから銅や錫が混入するため、鉄スクラップを原料とす
る鋼材中の銅や錫の含有量が増加している。
【0004】鋼中の銅や錫は、一般に有害不純物である
ので低濃度に抑えるような管理が望まれている。つま
り、銅が多く含有される鋼では赤熱脆性が不可避的に見
られるため、一部の耐候性鋼を除いては、一般には0.35
%ないし0.20%以下にすることが必要とされている。一
方、錫は鋼中にあっては、熱間加工性の低下や進展性や
絞り性の低下を招くので、やはり錫濃度も0.1 %以下に
抑制することが必要である。
【0005】すでに良く知られているように、銅や錫
は、鉄よりも貴な金属、すなわち酸素との親和力が小さ
く、通常の製鋼過程では除去することが困難である。し
かしながら、溶鉄の蒸気圧と比較して溶鉄中の銅および
錫の蒸気圧が高いことを利用して、溶鉄からの銅および
/または錫の除去が可能である。
【0006】そこで、本発明者らの一部は特開昭61−11
9612号公報および特公平3−72129号公報に開示した方
法を発明した。これらの方法では、この溶鉄中の鉄と銅
および錫の蒸気圧の差を利用して、10Torr以下の減圧下
におかれた溶鉄を酸素、酸化鉄といった酸化剤を供給添
加して脱炭する際に、脱炭に伴って生じる揮発界面の増
加によって同時に脱銅および/または脱錫を行なうもの
であり、溶鉄の大量一括処理が可能な実用的方法であっ
た。
【0007】すなわち、これらの方法のように成分間の
蒸気圧差を利用する反応では、反応界面を確保すること
が反応速度の増大に有利であることから、酸化剤を溶鉄
に供給して脱炭反応を生ぜしめ、この脱炭反応によって
生じるCO気泡の発生による揮発界面の増大、界面の攪乱
を利用して反応界面を飛躍的に増大させ、これによって
脱銅および/または脱錫を促進する方法であった。
【0008】しかしながら、この方法においても、鉄ス
クラップのさらなる大量処理を想定した場合には脱銅速
度、脱錫速度は十分ではなく、処理時間の短縮、脱銅率
および脱錫率の向上には限界があった。
【0009】一方、溶鉄からの脱銅、脱錫を促進する方
法に、水素含有プラズマ照射による溶鉄からの脱銅・脱
錫法が、特公平3−75603 号公報に開示されている。こ
の方法は、水素を含有するプラズマガスを用いて溶鉄表
面を加熱すると、局部加熱によって溶鉄からの脱銅・脱
錫が促進されるというものであった。しかしながら、こ
の方法においても、鉄スクラップのさらなる大量処理を
想定した場合には脱銅速度、脱錫速度は十分ではなく、
処理時間の短縮、脱銅率および脱錫率の向上には限界が
あった。
【0010】なお、日本金属学会報22、(1983)P412−42
0 、宇田雅広著論文“新しい金属微粒子の製造法”に
は、水素含有プラズマの溶融金属に及ぼす作用効果が解
説されており、水素含有プラズマが有する反応性の促進
が示されている。
【0011】また、このような成分の蒸気圧差を利用す
る溶鉄からの脱銅および脱錫の反応速度増大をもたらす
別の手段は、蒸発反応温度を高く維持する方法である。
すなわち、脱銅、脱錫反応速度は通常の製鋼温度 (1600
℃付近) よりも高い温度 (1700℃以上) でさらに有利に
なると考えられる。この方法は、必ずしもバルク温度を
高くすることを意味するのではなく、脱銅・脱錫が起こ
る反応界面の温度が高ければ良い。実際、バルク温度を
1700℃以上に保持しようとすれば、単にエネルギーコス
トの上昇を招くだけでなく、耐火物溶損、炉命短縮を招
くことは明らかである。
【0012】ところで、近年社会的問題となっている鉄
スクラップの再生利用のためには、スクラップ大量一括
処理プロセスを構築する必要がある。特に、鉄スクラッ
プ中の不純物として年々濃度が増加している銅および錫
を溶鉄から除去するためには、溶鉄からの脱銅および脱
錫速度を増大させることが必要不可欠な技術となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明の目的
は、減圧下で酸化物からなる酸化剤を供給添加して溶鉄
の脱炭を行う際に脱銅および/または脱錫を併せて行う
方法において、溶鉄からの脱銅・脱錫速度を増大させ、
溶鉄からの脱銅・脱錫を高効率に、短時間で行うことの
できる方法を提供することである。具体的には本発明の
目的は、Cu:0.30 %以下、Sn:0.040%以下に低減できる
溶鉄からの脱銅・脱錫法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、減圧下で
種々の酸化物からなる酸化剤を溶鉄表面に吹き付けて脱
炭を行う際に同時に溶鉄から脱銅・脱錫を行う方法に関
して鋭意研究を続けたところ、脱銅反応、脱錫反応には
反応温度が高いほうが有利であることを見い出し、さら
に研究をつづけ次の知見を得た。
【0015】脱銅・脱錫反応をさらに促進するには、
脱銅、脱錫が生じる反応界面の温度を極力高く保持する
ことが、とりわけ脱炭反応で生じる溶鉄表面近傍の温度
を充分に高い状態を維持することが、重要である。
【0016】このような溶鉄表面の加熱源として高エ
ネルギー熱源であるプラズマ加熱を使用すれば、溶鉄表
面に熱を十分に付与することが可能で脱銅・脱錫反応を
一層促進できる。
【0017】このプラズマに水素含有プラズマを使用
して溶鉄表面を加熱すれば、水素プラズマの影響で溶鉄
からの脱銅・脱錫反応がさらに有効に促進される。
【0018】本発明は、かかる知見を基に完成されたも
のであって、その要旨とするところは、10Torr以下の実
用的な減圧下において、酸化鉄およびこれより酸化力の
弱い二酸化珪素や酸化マグネシウムといった酸化物の一
種および二種以上からなる酸化物を酸化剤として溶鉄表
面に吹き付けて脱炭することによって溶鉄から銅および
/または錫を除去する方法において、より有効に脱銅お
よび/または脱錫を行うために、反応界面となる溶鉄表
面を水素含有プラズマで加熱することを特徴とする溶鉄
からの脱銅および/または脱錫法である。
【0019】
【作用】次に、本発明による作用についてさらに従来技
術のそれと比較しながら詳述する。すでに述べたよう
に、酸化剤を添加したり溶鉄へ吹き込んだりして脱炭を
行う方法では、溶鉄表面下で脱炭反応が生じるため反応
界面の増大と界面の攪乱が生じる一方で、酸化物の解離
反応に伴う吸熱や酸化剤自身の熱容量によって、実際に
は脱炭反応でおこる界面近傍では局所的に温度降下が起
こり脱銅・脱錫反応には不利な状況になっていることが
考えられる。そのため、反応界面で何等かの熱的補償を
行うことは、脱銅・脱錫反応の促進には有効であると考
えられる。
【0020】したがって、脱炭反応を利用して溶鉄から
の脱銅および脱錫を有効に行うためには、脱炭反応によ
って生じる自由表面付近の界面の増大を維持するととも
に、この反応界面の温度を局所的に極力高く保持するこ
とが重要と考えられる。このような方法においては、溶
鉄自由表面付近の反応界面温度を高く維持するには、充
分なエネルギー密度を有する局所的加熱方法が適当であ
り、このような方法としてプラズマ加熱が最も適当と考
えられる。
【0021】そしてこの時のプラズマガスに水素含有ガ
スを用いれば、水素プラズマが有する反応促進効果によ
り、さらに脱銅および脱錫が促進される。つまり、本発
明は、酸化剤である酸化物粉体を溶鉄表面に吹き付ける
などして供給することにより脱炭する際に、水素含有プ
ラズマを用いて、脱炭が生じている溶鉄表面を加熱し
て、脱銅・脱錫反応が行われる反応界面を高い温度に維
持するとともに、さらに水素含有プラズマを用いること
によって脱炭反応界面の増大を図ることで、脱銅・脱錫
反応を一層促進するのである。
【0022】水素含有プラズマ加熱により脱銅・脱錫が
促進される理由は、照射領域での高温反応界面の形成だ
けでなく、水素プラズマによって生じる易反応性、水素
の吸収・放出による溶鉄表面の攪乱現象等が作用するた
めと考えられる。本発明では、固体酸化物からなる酸化
剤を溶鉄に吹き込む等で供給して脱炭反応を生じさせ、
このときに溶鉄より脱銅・脱錫を行うことが基本反応と
なる。
【0023】この際、水素プラズマによって雰囲気は還
元性雰囲気となるが、この酸化物粉体は、供給されてい
る時の雰囲気では容易に還元されず、一方、溶鉄中に侵
入してからは溶鉄中炭素と反応して脱炭反応を生じさせ
るために、減圧下で弱酸化性を有する酸化物が一層望ま
しい。ここで、“酸化力”の強い、弱いは純粋酸化物の
解離酸素分圧 (平衡酸素分圧) で理解される。すなわ
ち、
【0024】
【数1】
【0025】なる反応式で示されるときの純物質Mが酸
素と反応するときの酸素分圧 (Po2)であり、温度の関数
で示すことができる。例えば、一般的な製鋼温度である
1600℃では、酸化鉄のPo2 は10-8atm 程度である。酸化
鉄より低い酸素分圧となる酸化物としては、酸化マンガ
ン、酸化クロム、二酸化珪素、酸化マグネシウム等があ
り、そのPo2 は、1600℃でそれぞれ10-14atm、10-14at
m、10-16atm、10-18atm程度である。また、酸化ニッケ
ルは酸化鉄よりも高い10-4atm である。
【0026】したがって、脱炭に際して用いる酸化剤
は、酸化鉄および酸化鉄よりも酸化力の弱い酸化物の1
種または2種以上を組合せて用いられる。なお、このよ
うな弱酸化性酸化物としては上述のようにいくつか例示
されるが、それらのうち特に適当な酸化物は限定できな
いが、水素還元雰囲気では比較的安定で、減圧下の溶鉄
中では脱炭剤となり得る二酸化珪素、酸化マグネシウム
が特に適当である。
【0027】また、これら酸化物と酸化鉄、酸化クロ
ム、酸化マンガン等の酸化物と混合して、用いれば酸素
の供給がより効率的に行えることがあるが、これらの易
還元性酸化物の混合比率を高め過ぎるとプラズマガス中
の水素がこれら酸化物の還元に消費される可能性があ
る。
【0028】酸化剤の粒径は、特に制限されないが、一
般には平均粒径0.003 〜1mmのものを用い、望ましくは
平均粒径が0.05〜0.3 mmの粉体が反応界面を充分に有
し、取り扱い易いので適当である。
【0029】溶鉄表面を加熱するプラズマの発生方法に
は原理的には特に限定されないが、減圧下で安定な熱プ
ラズマを生成するという観点から、非移行型プラズマが
適当である。この時のプラズマガスの水素含有割合は、
20%体積以上、さらに望ましくは30体積%以上で脱銅・
脱錫への効果が顕著であるが、その効果は水素含有割合
が60体積%を超えると飽和する。
【0030】また、プラズマにより溶鉄表面を加熱する
際の方法についても、特に限定されないが、供給される
酸化物粉体がプラズマフレームによって還元しないよう
な位置関係が望ましく、例えば、溶鉄表面に対して垂直
に供給される粉体流に対して、プラズマフレームのなす
角度は30度前後で溶鉄表面を加熱することが望ましい。
このような観点からも非移行型プラズマフレームは装置
構成上の自由度が高い。
【0031】本発明の実施に必要な溶鉄の真空処理によ
る精錬機能を有する手段は特に限定されない。例えば、
溶鉄処理に一般的に用いられるRHプロセスのような炉外
精錬法、VOD やLFV のような取鍋真空脱ガス法、高周波
による加熱が可能なVIM プロセス等、現在使用される真
空プロセスには本発明はいずれも適用可能である。
【0032】本発明の対象となる溶鉄の種類は、特に限
定されない。例えば、通常の鉄スクラップを溶解して得
られる炭素鋼や溶銑は、酸化剤による脱炭が可能である
から適用可能である。また、ニッケルやクロムを多量に
含んだステンレス鋼や高合金鋼にも適用可能である。鋼
種によっては必要に応じて加炭した後に酸化剤を供給、
添加して脱銅・脱錫を行うことも可能である。本発明で
は脱炭反応を利用するので、溶鉄の炭素含有量が高いほ
ど脱銅・脱錫効率は高いといえる。次に、実施例によっ
て本発明の作用、効果についてさらに具体的に説明す
る。
【0033】
【実施例】本例では、酸化物粉体と非移行型水素含有プ
ラズマを用いた、溶鉄からの脱銅・脱錫を行った実施例
について説明する。本発明による溶鉄からの脱銅・脱錫
法を図1に示すような装置を用いて実施した。
【0034】図中、溶鉄を最大2.5 トン溶解できる高周
波誘導加熱方式による真空炉1を用い、この真空炉の上
蓋2には、酸化剤となる酸化鉄、二酸化珪素、酸化マグ
ネシウム等の粉体を溶鉄に吹き付けることができる昇降
可能なランス3、および溶鉄表面の加熱が可能な非移行
型水素−Arガスプラズマトーチ4が取り付けられてい
る。溶鉄は酸化マグネシウムを主成分とする耐火物容器
5に保持される。
【0035】この真空炉は、排気孔6を通じてスチーム
エジェクターポンプにより溶鉄を保持した状態で真空度
を1Torr以下に保つことができる。また、炉底には溶鉄
を攪拌するためのポーラスレンガ羽口7を有し、Arガス
吹き込みによる溶鉄の攪拌ができる。
【0036】また、図には示していないが、上蓋には溶
解途中に試料を採取するためのサンプラーがとりつけら
れている。実施例として用いた溶鋼は、組成が、重量%
で、Cu: 0.5 %、Sn: 0.06%を含有した、炭素:0.6
%、Si:0.03%、Mn:0.01%、P:0.012 −0.018 %、
残部鉄および不可避的不純物からなる溶鋼であった。
【0037】まず、この溶鋼1.5 トンを上記真空炉で16
50℃に溶解保持した後、約1Torrまで減圧した。次に、
この減圧下において脱炭反応を生ぜしめるため、種々の
酸化剤を溶鋼に吹き込み、溶鋼からの脱銅、脱錫を行っ
た。酸化剤吹込み開始後、水素含有プラズマを約30分溶
鋼表面に照射、加熱した。
【0038】水素含有プラズマを溶鋼表面に照射する場
合、上部ランス3より吹き込む粉体にプラズマフレーム
が直接かからないように留意した。この理由は、水素プ
ラズマによって酸化剤が雰囲気で還元され、脱炭速度が
低下することを極力防ぐためである。
【0039】使用した酸化剤については、次のような態
様で溶鉄に吹き込んだ。(1) 二酸化珪素 (平均粒度100
μm)粉体をランス3より供給速度0.4 kg/min・tの割合
でArキャリアガスを用いて吹き込む方法、(2) 酸化マグ
ネシウム粉体 (平均粒度100 μm)をランス3より供給速
度0.4 kg/min・t の割合でArキャリアガスを用いて溶鋼
に吹き込む方法、(3) 二酸化珪素粉体 (平均粒度100 μ
m)に10質量%の酸化鉄粉体 (平均粒度100μm)を混合し
た酸化剤粉体をランス3より供給速度0.4 kg/min・t の
割合でArキャリアガスを用いて溶鋼に吹き込む方法、
(4) 二酸化珪素粉体 (平均粒度100 μm)に25質量%の酸
化鉄粉体 (平均粒度100μm)を混合した酸化剤粉体をラ
ンス3より供給速度0.4 kg/min・t の割合でArキャリア
ガスを用いて溶鋼に吹き込む方法。
【0040】溶鋼の攪拌は、高周波による攪拌と炉底よ
りArガスによる攪拌を併用した。酸化剤吹き込み条件
(1) の場合については、さらに次のような態様で酸化剤
を吹き込んで、それぞれについて脱銅挙動および脱錫挙
動を比較した。H2含有量は容積%で表わす。
【0041】(a) Ar−40%H2プラズマ加熱 (出力約200
kW)を実施した場合、(b) Ar−25%H2プラズマ加熱 (出
力約200 kW)を実施した場合、(c) Ar−20%H2プラズマ
加熱 (出力約200 kW)を実施した場合と、(d) Ar 100%
プラズマ加熱 (出力約200 kW)を実施した場合( 比較
例) 、(e) Arプラズマ加熱を実施しなかった場合 (従来
例) 。
【0042】また、酸化剤吹き込み条件(2) 、(3) 、
(4) の各場合については、下掲表に示すように上記(b)
(e) のプラズマ条件にて比較実施した。処理前後の溶鋼
成分の変化を表1にまとめて示す。
【0043】
【表1】
【0044】表1に示す結果より、二酸化珪素粉体を溶
鋼へ吹き込んだ場合(1) では、水素含有プラズマにより
溶鋼表面を加熱する例 (a)、(b) 、(c) が、アルゴンプ
ラズマにより加熱する例(d) およびプラズマ加熱をしな
い例(e) と比較して、脱銅・脱錫反応をはるかに促進す
ることがわかる。
【0045】また、プラズマガス中の水素含有率を高め
る方が、脱銅・脱錫とも良好な結果となる傾向が認めら
れる。さらに、酸化マグネシウム粉体を溶鋼へ吹き込ん
だ場合(2) においても、比較例(e) と比べ水素含有プラ
ズマ加熱を行った例(b) の方が、脱銅・脱錫いずれにお
いても良好な結果を得ている。
【0046】また、二酸化珪素粉体に酸化鉄を混合した
場合(3) 、(4) についてみると、酸化鉄10%の場合(3)
では脱銅、脱錫反応は脱炭反応と水素プラズマによる促
進効果がみられ、大差なく良好であるが、酸化鉄25%の
場合(4) では多量の酸化鉄を供給するため、水素含有プ
ラズマによる酸化鉄の気相中での還元を示すと考えられ
る脱炭反応の停滞が認められ、それに起因すると考えら
れる脱銅、脱錫反応の低下が認められる。また、気相中
での水素の消費は、水素プラズマによる反応促進効果も
停滞させられると考えられる。酸化鉄10%の場合(3)
は、特に酸素を充分に供給したい場合等に有効と考えら
れる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、酸化物
からなる酸化剤を吹き込んで脱炭させる際に、溶鉄中の
脱銅および/または脱錫を行う方法であって、本発明に
よれば、脱銅、脱錫が生じる溶鉄表面を水素含有プラズ
マで加熱して熱を付与することによって、脱銅速度およ
び脱錫速度を一層増大させることができ、かなり多量の
Cu、Snが含有されているスクラップからでも30分の処理
で例えばCu:0.30 %以下、Sn:0.040%以下への脱銅、脱
錫が実現でき、したがって、今日社会問題となっている
スクラップの大量一括処理に際して、より大量の溶鉄を
脱銅、脱錫処理する際に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高周波誘導加熱炉の概略図であ
る。
【符号の説明】
1 : 真空炉チャンバー 2 : 真空炉上蓋 3 : ランス 4 : 非移行型Arガスプラズマ
トーチ 5 : MgO 耐火物容器 6 : 排気孔 7 : ポーラスレンガ羽口

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10Torr以下の減圧下において、酸化鉄お
    よび酸化鉄よりも酸化力の弱い酸化物から成る群から選
    んだ一種または二種以上からなる酸化剤を溶鉄に吹き付
    けて該溶鉄の脱炭を行うことによって、該溶鉄から銅お
    よび/または錫を除去する方法において、前記脱炭に際
    して前記溶鉄の表面を水素含有プラズマによって加熱す
    ることにより脱銅、脱錫を促進することを特徴とする、
    溶鉄からの脱銅・脱錫法。
JP27220493A 1993-10-29 1993-10-29 溶鉄からの脱銅・脱錫法 Pending JPH07126726A (ja)

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