JPH07122231A - エネルギー分析器もしくはスピン回転器またはそれを含む電子光学系 - Google Patents

エネルギー分析器もしくはスピン回転器またはそれを含む電子光学系

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JPH07122231A
JPH07122231A JP6201768A JP20176894A JPH07122231A JP H07122231 A JPH07122231 A JP H07122231A JP 6201768 A JP6201768 A JP 6201768A JP 20176894 A JP20176894 A JP 20176894A JP H07122231 A JPH07122231 A JP H07122231A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 線径の大きな荷電粒子線にウィーンフィルタ
をエネルギー分析器やスピン回転器として適用できるよ
うに、磁極、電極間のほとんどの領域にわたって荷電粒
子線が等方的に収束させるようにする。また出入口付近
での電磁場の急激な変化によるビームの軌道の変化や形
の歪みを解消する。 【構成】 荷電粒子線を等方的に収束させる電磁場を広
い領域にわたって作りだすために、磁極としては磁場の
スカラーポテンシャルの形状を表す2本の双曲柱、電極
として2本の角柱のほかに等電位線を平行、等間隔にす
る補助電極を挿入する。あるいは磁極として2本の角
柱、電極として等電位面を表す2本の双曲柱を用いる。
また出入口付近でも電極面を傾斜させたり端部電極を配
置したりして電場をコントロールし、荷電粒子軌道を調
節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は荷電粒子線を対象とした
ウイーンフィルタとして知られるエネルギー分析器やス
ピン回転器に関する。
【0002】
【従来の技術】ウィーンフィルタとは古くから知られる
荷電粒子線のエネルギー分析器で、高分解能のエネルギ
ー分析が期待できること、ビームをフィルタ内で直進で
きること等の特徴を持つ。ただしフィルタ内でのビーム
のふるまいは良く解明されておらず、広く普及するにい
たってないのが現状である。
【0003】一般にエネルギー分析器として要求される
条件として (a)異なるエネルギーの粒子に対しては分散を大きくす
ること (b)同一エネルギーの粒子に対しては分散を小さく収束
作用をもたらすこと などがあげられる。
【0004】スピン回転器として要求される条件として (c)荷電粒子の持つスピンを回転すること (d)全ての粒子に対して分散を小さく収束作用をもたら
すこと などがあげられる。
【0005】図2はウィーンフィルタの原理構成図であ
る。1、2は磁極で対向して配置される。3、4は主電
極で対向して配置される。図2において磁極1、2より
磁場が、また主電極3、4より電場が互いに直交して加
えられ(それぞれy方向とx方向)、これらに直交する
方向(z方向)に電子ビームが入射するようにされる。
このとき、電場E、磁場Bと荷電粒子の速度vが E=vB (1) を満たしていれば、荷電粒子線は直進する。もしエネル
ギーすなわち速度の異なる荷電粒子が入射すれば、直進
の条件(1)は満たされず軌道はx方向に屈曲する。従っ
て、フィルタの出口において各々のエネルギーに応じて
軌道が分散し、エネルギーフィルタの条件(a)が満たさ
れたことになる。
【0006】ところでウィーンフィルタ内での電場と磁
場が共に一様であると仮定した場合ビーム軌道は図3の
ようになる。すなわち図3(a)に34で示すように、
入射ビームは電場E方向ではフォーカスするが、磁場B
方向ではレンズ作用を持たないため、図3(b)に34
で示すように、ビームは入射時の開き角に応じてフィル
タ内で拡がる。すなわち、断面が円形で入射した電子ビ
ームは断面が楕円状になって出てくることになる。これ
では条件(b)は満たされず、収束作用を作るため従来様
々な方策が考えられてきた。
【0007】また、ウィーンフィルタ内では磁場の印加
方向を回転軸として荷電粒子の持つスピンが歳差運動を
するのでウィーンフィルタはスピン回転器として使用す
ることも可能である。ウィーンフィルタの図2でのz方
向の長さと荷電粒子の速度を一定とすると、電磁場の強
さによってスピンの回転角を調節できる。これにより条
件c)が満たされる。しかしエネルギーフィルタの時と同
様、収束作用は得られないため条件d)は満たされない。
【0008】ウィーンフィルタ内に次式で表せるような
磁場と電場が分布していれば同一エネルギーの荷電粒子
線は等方的に収束することが、運動方程式を解くことに
よって判る。
【0009】 Bx=B×y/R (2) By=B×(1+x/R) (3) Bz=0 (4) Ex=E (5) Ey=0 (6) Ez=0 (7) 但し、Bx、By、Bzは磁界Bのx、y、z成分、E
x、Ey、Ezは電場Eのx、y、z成分、B、Eはそ
れぞれ磁界、電場の絶対値、R=2mv2/E・e(m
は電子の質量、eは電子の電荷)であり、x、y、z座
標は図4に示す通りにとってあり、x、yはx、y座標
軸の原点からの位置である。これにより条件(b)は満た
され、またウィーンフィルタの直前で荷電粒子を加速し
相対的なエネルギーの分散を小さくすることにより条件
(d)も満たされる。
【0010】このような電磁場を実現するために報告さ
れている例として、図4に示すように対向する磁極を磁
極間の中心線に対して等角度で傾斜させ、磁極面の中心
(図の0点)から距離Rの位置で、磁極面の延長が交差
するような構成がある。このようにして、磁場を(2)(3)
式で表せるように傾斜させ、電場は2本の角柱を対向さ
せて一様にすることにより収束作用を持つ領域を作るこ
とができる(たとえば、J.Appl.Phys.Vol.43,No.5,p235
2(1972), E×B Mass Separator Design参照)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4の
磁極1、2に示すような傾斜した磁極面形状だけでは
(2)(3)式の条件はごく狭い領域でしか得ることができな
い。また図4の主電極3、4のような2つの角柱からな
る電極が作り出す電場も、ごく1部分でしか一様ではな
い。そのため、これまでウィーンフィルタが対象とする
荷電粒子線は充分細いものでなければならなかった。従
来ウィーンフィルタが使用されるケースは、この狭い領
域内に充分収まるものであり問題はなかった。
【0012】しかし走査電子顕微鏡(SEM)の2次電
子線など線径の大きなビームにこれを適用すると、理想
的な電磁場の領域に入り込んだ1部の荷電粒子のみが等
方的な収束をして、他の部分は充分に収束せず極端な場
合フィルタを通過しない。平板の磁極、円筒面の電極の
組合せの場合も同様である。
【0013】また例えば(2)-(7)式で表されるように荷
電粒子線を収束させるためフィルタ内の位置により異な
る磁場を有するウィーンフィルタを、スピン回転器とし
て使用する場合、荷電粒子の軌道により荷電粒子の受け
る磁場の値が異なってしまい、荷電粒子のスピン角運動
量の回転角に分散を生じることになる。
【0014】本発明は上記問題点を解決するためのもの
で、等方的な収束条件を満たす広い電磁場の分布をも
ち、さらには出入口付近の電磁場をも条件(1)に調整で
きるような、ウィーンフィルタ、エネルギー分析器或い
はスピン回転器を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】磁極の作り出す磁力線が
結果的に双曲線又はその近似の曲線を描くように磁極の
構造を工夫するとともに、磁力線と直角に交差する電気
力線が真っ直になるように分割電極をもつ電極構造の工
夫することによって実現される。本発明では、後述する
ように、磁力線と電気力線の関係を取り替えた形でも実
施できる。また荷電粒子のスピン角運動量の回転角の分
散は、ウィーンフィルタ直前の電子レンズの調節によっ
て減少できる。
【0016】
【作用】前記の(2)、(3)式を積分することにより求めよ
うとする磁場のスカラーポテンシャルφは φ=B×y(1+x/R) で表され、これは双曲線である(座標は図1のように取
る)。磁極に充分透磁率が高い磁性材を使えば磁力線は
磁極面とほぼ垂直に交わるので、磁極面がスカラーポテ
ンシャル面の1つになる。従って磁極を双曲柱にするこ
とにより磁極間のほとんどの領域で磁場分布が(2)、(3)
式を満たすことになるから広い領域にわたって収束効果
を得ることが出来るものとなる。
【0017】また荷電粒子がウィーンフィルタの光軸方
向の中心で光軸(x=y=0)を通過すれば、(2)、(3)式よ
り、軌道の前半と後半で受ける磁場のずれは同じ大きさ
で極性は逆になり、軌道全体では相殺される。
【0018】
【実施例】まず第1の実施例を図1で説明する。この例
では、磁極1、2の形状を図1に示すような双曲柱にす
る。この時、その底面である双曲線の式は y=A/(1+x/R) (Aは定数) となる。ここで、この磁極により形成され磁力線のみに
着目した図を図5に示す。
【0019】磁極1、2の形成する磁場の中に電界を形
成するが、本実施例では、主電極3、4を角柱で作って
対向して配置するほかに、複数の細い補助電極5、6を
主電極の磁極側端部とほぼ同じ位置で、ビームの進行方
向と平行に挿入する。補助電極5、6の各電極の互いに
向き合う補助電極には同じ電位をかけ、主電極間の電位
の配分を強制することにより、全体として等電位線が
(5)、(6)式のように分布するようにする。つまり補助電
極5、6の各電極の電位は両端の主電極3、4からの距
離に応じて決める。
【0020】図1の実施例では、補助電極5、6の各電
極は絶縁体又は抵抗体からなる構造物51、52によっ
て一定間隔に保持されて、主電極3、4間に橋渡しされ
た形で取り付けられる。この場合、構造物51、52を
抵抗体で構成すれば、各電極への電圧配分は自ずとでき
るから、後述する実施例のような電圧配分のための配線
を省略できる。
【0021】図6(a)、(b)の実施例は、図1の実施例の
磁極の構造を簡易化するため、双曲線を近似した多角形
とした例である。近似によれば、いくぶん性能の低下は
免れないが、図5で示した磁力線にできるだけ乱れの無
いように近似をすることで、磁極の製造を容易にするこ
とが出来る。
【0022】図7は主、補助電極への電圧付与の例を示
す。図では、前述した(5)−(7)式の電場を実現するため
の主電極3、4を備え、補助電極5’、7’および
6’、8’として細い金属角柱を使い、これらの間に抵
抗体51、52を挾んで主電極3、4に固定した例を示
す(磁極は図示省略)。主電極間に中点を接地された電
源55による電圧をかけると抵抗体の導電率に応じて補
助電極5’、7’および6’、8’も電位を持つ。それ
ぞれの金属角柱に別々に電位をとれるのであれば抵抗体
ではなく絶縁体で置き換えてもよい。
【0023】図8の実施例は、絶縁板25を主電極4に
ビス30で固定しこの絶縁板25の表裏に所定の間隔で
塗布した細長い導電性の薄膜26を補助電極とした例で
ある(磁極は図示省略)。この場合は、電源55から両
主電極3、4に電圧を付与するとともに、補助電極であ
る導電性の薄膜26には、抵抗61−65によって電源
55を分圧した電圧を付与する必要がある。導電性の薄
膜を表裏に設け同じ電位をかけることにより、1組の金
属膜で1本の金属の角柱を近似するのが一様な電場を作
る上で望ましい。しかし表裏どちらか一方とすることも
できる。
【0024】これらの補助電極には、当然、主電極間の
電場分布が(5)−(7)式のようになるよう電位をかけるわ
けであるが、例えば両主電極からの距離の比と両主電極
との電圧の比が等しくなるように電位をかければ、等電
位線は平行、等間隔に分布し、(5)(6)式のような電場分
布が広く得られる。補助電極の数は任意に設定できる
が、一般的には、電極間の長さ当たりの補助電極の数は
多い方がよい。
【0025】上述の実施例では、等方的な収束を得るた
めに、(2)−(7)式を満足する電磁場を実現するものとし
たが、等方的な収束を得る電磁場は一通りではなく、電
場と磁場との関係を取り替えて、 Bx=0 (8) By=B (9) Bz=0 (10) Ex=E×(1+x/R) (11) Ey=−E×y/R (12) Ez=0 (13) で表せるものとしてもよい。
【0026】但し、Bx、By、Bzは磁界Bのx、
y、z成分、Ex、Ey、Ezは電場Eのx、y、z成
分、B、Eはそれぞれ磁界、電場の絶対値、R=2mv
2/E・e(mは電子の質量、eは電子の電荷)であ
り、x、y、z座標は図4に示す通りにとってあり、
x、yはx、y座標軸の原点からの位置である。
【0027】本発明をこの考え方で実施するときは、磁
極の形状を2本の角柱、電極の形状を2本の双曲柱にす
る。このとき、その底面である双曲線の式は y=±√(x2+2R×x+B) (Bは定数) とする。(11)(12)式を積分することにより求めようとす
る等電位面は φ=E(x+(x2/2R)−(y2/2R)) で表され、これは双曲線である。電極面は1つの等電位
面を表しているので、この双曲面の1つを電極面にすれ
ば、電極間の殆どの領域で(11)(12)式を満たす電場分布
になる。
【0028】図9は、上記の考え方による本発明の実施
例としての電極面の例を示す。この実施例は(8)−(13)
式の電磁場を実現するために主電極3、4の対向する面
は双曲線となるような双曲柱とされ、主電極3、4間の
電気力線の双曲線を所定の状況に維持する目的で、補助
電極5、6を備える。補助電極への電位付与のためのの
配線は省略してある。磁極1、2は間隔に比べて幅の広
い角柱を用いている。主電極は、前述の磁極と同様に、
双曲柱を近似した角柱でもよいことは言うまでもなかろ
う。
【0029】また、入口、出口付近では電磁場が急激に
変化するが、その部分では荷電粒子の直進の条件(1)を
満たすのは難しい。この部分での電磁場の調節も、これ
まで様々な方法が考えられてきた。このことに関しては
主電極、磁極の間隔が同じであれば電磁場の変化の仕方
はほぼ同じになることが報告されている。(たとえば、N
uclear Instruments and Methods in Physics Research
A298 (1990)P296-320,Numerical analisis of trajec
tories and aberrations of a Wien Filter including
the effect of fringing fields参照) またフィルタの出入口で電磁場の条件(1)を満たすため
には、主電極、磁極の間隔を等しくすることが必要であ
るが、これは内部の電磁場の調節などのため不可能なと
きがある。その際出入口付近では電磁場が条件(1)から
ずれてビームの軌道が変化してしまう。
【0030】図10は、このような問題をも解決する目
的の実施例であり、端部電極を工夫したウィーンフィル
タの斜視図を示す。この実施例は、図8の実施例に端部
電極を形成したものであり、図8の実施例における絶縁
板25はフィルタの出入口部で対向した主電極の開口部
より外側に広がり端部電極を形成するものとされてい
る。
【0031】端部電極は補助電極と同様に導電性薄膜で
構成され、補助電極の末端を伸ばして出入口付近で変形
させたものと、その間を補完するものとで構成される。
ここで端部電極41、43、47および49は補助電極
の末端を伸ばしたものであり、42、44−46および
48はその間を補完するものである。補完のための補助
電極42には図8の抵抗64の中点部分の電位を与え、
44−46には抵抗63の電位を3分割して与え、48
には抵抗62の中点部分の電位を与える。補助電極45
の電位は、従って電源55の接地電位と同じ電位とな
る。必要なら、両者を接続しても良い。対向する端部電
極も同様に構成され、同様の電位を与えられる。
【0032】ビームの出入口付近においてあらかじめ求
められている磁場分布に対し、条件(1)を満たす電場を
作る電位分布を計算し、その電位分布を反映したその形
状を取る必要があるが、上述した端部電極の構成によ
り、ほぼ満足できる結果が得られた。さらに、xz平面
に関して対称な位置にある端部電極間を端部電極45を
除いて、細い導体を弛まさずに張ることにより、電位分
布がy軸方向には一様、他の2方向には端部電極の形状
により理想的に変化する状態が得られた。端部電極に与
える電位は各電極上に立てた導体に配線することにより
与えられる。
【0033】図11(a)、(b)は端部電極の他の実
施例と両端に傾斜をつけた主電極の例を示す。(a)は
端部電極として補助電極である金属角柱の末端を伸ば
し、求めるべき等電位線の形状に応じて曲げたものであ
り、(b)は短い金属角柱を抵抗体、もしくは絶縁体で
固定して同様の役割をさせている。又入り口出口付近で
の望ましい電位分布を反映して、主電極の両端に31、
32のような傾斜をつけている。
【0034】図12は本発明による電子レンズにより調
節された荷電粒子線の軌道の実施例を示す。イ)では試
料35の一点から出射した荷電粒子線33の軌道を、電
子レンズ34により、ウィーンフィルタ36の光軸方向
における中心点で一点に収束させている。ロ)では試料
35のある面積を持つ領域から出射された複数の荷電粒
子線33の例で、このような場合、すべての荷電粒子線
を一点に収束させることは不可能である。この場合には
図で示したように、電子レンズ34により、ウィーンフ
ィルタ36の光軸方向における中心点でのビーム径をで
きるだけ小さくすることにより、スピン角運動量の分散
を小さくできる。
【0035】図13は、特公平05−068059に示
されるスピンSEMにウィーンフィルタをスピン回転器
として適用した実施例である。電子銃38からの1次電
子線39によって、強磁性体試料35を走査し、強磁性
体試料35から出射した2次電子33を電子レンズ34
に通してからウィーンフィルタ36に導いている。37
はスピン検出器、41はディスプレイであり、40は強
磁性体試料35内の電子スピンを模式的に示す。スピン
SEMは強磁性体試料からの2次電子のスピン偏極を検
出することにより磁区構造を観察する装置であるが、こ
のスピン検出器37は2成分のスピン角運動量しか検出
できないため一つの検出器では磁化2成分しか検出でき
ない。しかしスピン検出器の前にスピン回転器を挿入
し、検出不可能方向のスピン偏極成分を検出可能方向に
回転することにより残りの1成分も検出できることにな
る。このとき、2次電子33のビーム径は数mm程度にま
で及ぶことがあり、本発明によるウィーンフィルタとそ
の直前の電子レンズが重要となる。
【0036】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、(2)−(7)
式、あるいは(8)−(13)式のような電磁場の領域が広く
なり、等方的にビームを収束させる領域を広げることが
できる。またフィルタの出入口でビームの軌道が変化す
ることもなくなる。これにより線径の大きなビームに対
してもウィーンフィルタは荷電粒子線のエネルギー分析
器あるいはスピン回転器として使用できるのは勿論、用
途の広い電子光学系を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるウィーンフィルタを用いたエネル
ギー分析装置に使用する磁極と電極の一実施例を示す
図。
【図2】従来のウィーンフィルタの原理図。
【図3】従来のウィーンフィルタの電場、磁場方向の荷
電粒子線の軌道を示す図。
【図4】ビームの等方的な収束を得るために以前考えら
れていた磁極と電極。
【図5】本発明によるウィーンフィルタの磁極とそれに
よる磁力線の例を示した図。
【図6】本発明によるウィーンフィルタの磁極の実施例
を示した図。a)、b)はそれぞれ双曲柱を近似した角
柱型の磁極。
【図7】本発明によるウィーンフィルタの電極、補助電
極の実施例を示した図。
【図8】本発明によるウィーンフィルタの電極、補助電
極の実施例を示した図。
【図9】本発明によるウィーンフィルタの電極、磁極の
実施例を示した図。
【図10】本発明による出入口付近の電磁場を調整する
ための端部電極をつけたウィーンフィルタの斜視図。
【図11】本発明によるフィルタの出入口での電場分布
を調節するための端部電極並びに両端に傾斜をつけた電
極の実施例を示した図。
【図12】本発明によるウィーンフィルタの直前の電子
レンズによりにウィーンフィルタの光軸方向の中心点で
荷電粒子を収束させる実施例を示した図。イ)ある強磁
性体試料の一点から出た荷電粒子線の場合。ロ)ある強
磁性体試料の複数の点から出た荷電粒子線の場合。
【図13】本発明によるウィーンフィルタを、スピン回
転器としてスピンSEMに適用した実施例を示した図。
【符号の説明】
1、2:磁極、3、4:主電極、5−24:補助電極、
25:絶縁板、41−49:端部電極、32、33:電
極の傾斜させた面、34:荷電粒子軌道、51−52:
抵抗体、55:電源、61−65:抵抗。34:電子レ
ンズ、35:強磁性体試料、36:ウィーンフィルタ、
37:スピン検出器、38:電子銃、39:1次電子
線、40:電子スピン、41:ディスプレイ。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビームの進行方向に直交し、互いにもほぼ
    直交する電場と磁場を有するとともに、前記磁場は、対
    面する磁極が2本の双曲柱又はそれを近似した角柱によ
    って形成されることを特徴とするエネルギー分析器もし
    くはスピン回転器。
  2. 【請求項2】ビームの進行方向に直交し、互いにもほぼ
    直交する電場と磁場を有するとともに、前記電場は、対
    面する主電極が2本の双曲柱またはそれを近似した角柱
    によって形成されることを特徴とするエネルギー分析器
    もしくはスピン回転器。
  3. 【請求項3】前記主電極間にビームの進行方向と平行に
    複数の補助電極、又は抵抗膜、又はその組合せによる電
    場の補正手段を有することを特徴とする請求項2記載の
    エネルギー分析器もしくはスピン回転器。
  4. 【請求項4】ビームの出入口付近で拡がる等電位面と類
    似した形状で前記補助手段の端部をビームの出入口付近
    に配置することを特徴とする請求項3記載のエネルギー
    分析器もしくはスピン回転器。
  5. 【請求項5】ビームの出入口付近で変化する等電位面に
    類似した形状で主電極面に傾斜をつけることを特徴とす
    る請求項2記載のエネルギー分析器もしくはスピン回転
    器。
  6. 【請求項6】ビームの進行方向に直交し、互いにもほぼ
    直交する電場と磁場を有するとともに、前記磁場は、対
    面する磁極が2本の双曲柱又はそれを近似した角柱によ
    って形成され、前記電場は、対面する主電極が2本の双
    曲柱またはそれを近似した角柱と、前記主電極間にビー
    ムの進行方向と平行に複数の補助電極、又は抵抗膜、又
    はその組合せによる電場の補正手段によって形成され、
    且つ、、ビームの出入口付近で拡がる等電位面と類似し
    た形状で前記補助手段の端部をビームの出入口付近に配
    置することを特徴とするエネルギー分析器もしくはスピ
    ン回転器。
  7. 【請求項7】ビームの出入口付近で変化する等電位面に
    類似した形状で主電極面に傾斜をつけることを特徴とす
    る請求項6記載のエネルギー分析器もしくはスピン回転
    器。
  8. 【請求項8】ビームの進行方向に直交し、互いにもほぼ
    直交する電場と磁場を有し、その磁場がビームの進行方
    向に垂直な平面内で一様でないスピン回転器とそれを含
    む電子光学系において、スピン回転器直前の電子レンズ
    を調節することにより、スピン回転器の光軸方向におけ
    る中間点にビームを収束させたことを特徴とするスピン
    回転器とそれを含む電子光学系。
JP20176894A 1993-09-01 1994-08-26 エネルギー分析器もしくはスピン回転器またはそれを含む電子光学系 Expired - Fee Related JP3304628B2 (ja)

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JP2002190273A (ja) * 2000-12-22 2002-07-05 Anelva Corp 電磁界重畳セクター型質量分析装置
JP2006344566A (ja) * 2005-06-10 2006-12-21 Sharp Corp イオンビーム発生装置、イオンビーム発生方法および機能素子の製造方法
JP2007035386A (ja) * 2005-07-26 2007-02-08 Ebara Corp 電子線装置及び該装置を用いたデバイス製造方法

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