JPH07119016A - ミシンの糸案内孔部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 糸案内孔に糸を容易に且つ迅速に通すことが
できるミシンの糸案内孔部材を提供する。 【構成】 糸案内孔部材５における各位置の第一糸案内
片８と第二糸案内片１０は、約１ｍｍの隙間をおいて対
峙し、対になっている。第一糸案内片８には、第一糸案
内孔１１と、該第一糸案内孔１１を左側から第一糸案内
片８の外周へ連通させる第一切り目１２とが形成されて
いる。第二糸案内片１０には、前記第一糸案内孔１１に
対して同軸上に位置する第二糸案内孔１３と、該第二糸
案内孔１３を右側から第二糸案内片１０の外周へ連通さ
せる第二切り目１４とが形成されている。糸とりばね１
５を経た糸３０は、第二切り目１４に右側から引掛けら
れて第二糸案内孔１３に通された後、第一切り目１２に
左側から引掛けられて第一糸案内孔１１に通される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ミシンの糸案内孔部材
に関し、とりわけ多針刺繍ミシンに適した糸案内孔部材
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図６に示すように、多針刺繍ミシンのヘ
ッド６１の上方には糸道装置５１が設けられ、糸道装置
５１の取付台５２の正面にはヘッド６１の針本数に対応
した複数組の張力付与機構付き糸案内具５３、糸調子５
４及び糸案内孔部材５５が互いに近接した状態で配設さ
れている。同図の従来例では９本針のヘッド６１に対応
するために、９つの張力付与機構付き糸案内具５３が横
１行に配設され、９つの糸調子５４が３行３列に配設さ
れ、３つの糸案内孔部材５５が各行の糸調子５４の下方
に取付けられている。各糸案内孔部材５５は、Ｌ形プレ
ート５６に３つの糸案内孔５７が形成されてなり、各糸
案内孔５７は各糸調子５４の真下ないし斜め下に位置し
ている。そして、糸６０は手作業によって、まず張力付
与機構付き糸案内具５３に巻き掛けられ、次に糸調子５
４に巻き掛けられ、続いて糸案内孔部材５５の糸案内孔
５７に上方から挿し込まれて通される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、糸案内孔部
材５５の糸案内孔５７は単純な小孔であったため、その
糸案内孔５７に糸６０を挿し込むには、注視しながら慎
重に行う必要があった。しかも、前記従来例のように多
くの部材が近接している場合には、糸案内孔５７に糸６
０を挿し込む際に、直上の糸調子５４をはじめとする周
囲の部材が邪魔になって、非常に通しにくかった。そし
て、９本の糸６０を全ての糸案内孔５７に通し終わるま
でには、かなりの時間を要していた。

【０００４】本発明の目的は、上記課題を解決し、たと
え糸案内孔の周囲に他の部材が近接している場合でも、
その糸案内孔に糸を容易に且つ迅速に通すことができ、
特に多針刺繍ミシンのように多くの糸案内孔に糸を通さ
なければならない場合には、所要時間を顕著に短縮する
ことができ、また、糸が糸送り中に糸案内孔から外れる
心配もないミシンの糸案内孔部材を提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のミシンの糸案内孔部材は、隙間をおいて対
峙するように設けられた第一糸案内片と第二糸案内片と
を備え、前記第一糸案内片には、第一糸案内孔と、該第
一糸案内孔を第一糸案内片の外周へ連通させる第一切り
目とが形成され、前記第二糸案内片には、前記第一糸案
内孔に対して同軸上に位置する第二糸案内孔と、該第二
糸案内孔を前記第一切り目とは異なる位置で第二糸案内
片の外周へ連通させる第二切り目とが形成された構成と
した。

【０００６】

【作用】上記構成のミシンの糸案内孔部材において、第
一及び第二糸案内孔に糸を通す作業は、糸を振りながら
第一及び第二切り目に引掛けることによって行えるの
で、従来のように注視しながら慎重に行う必要はなく、
手先の勘によって容易に且つ迅速に行うことができる。
また、たとえ糸案内孔の周囲に他の部材が近接していて
も、これらが上記作業の邪魔になることはほとんどな
い。従って、特に多針刺繍ミシンのように多くの糸案内
孔に糸を通さなければならない場合には、所要時間を顕
著に短縮することができる。また、第一切り目の位置と
第二切り目の位置とが異なっているので、糸が糸送り中
に第一及び第二切り目から第一及び第二切り目を経て外
れる心配もない。

【０００７】

【実施例】以下、本発明を多針刺繍ミシンの糸道装置の
糸案内孔部材に具体化した一実施例について、図１〜図
３を参照して説明する。

【０００８】前記従来例と同じく、多針刺繍ミシンのヘ
ッド３１（その詳細は図示略）の上方には糸道装置１が
設けられ、糸道装置１の取付台２の正面にはヘッド３１
の針本数に対応した複数組の張力付与機構付き糸案内具
３、糸調子４及び糸案内孔部材５が互いに近接した状態
で配設されている。本実施例では９本針のヘッド３１に
対応するために、９つの張力付与機構付き糸案内具３が
横１行に配設され、９つの糸調子４が３行３列に配設さ
れ、３つの糸案内孔部材５が各行の糸調子４の下方に取
付けられている。張力付与機構付き糸案内具３及び糸調
子４は公知のものである。

【０００９】各糸案内孔部材５は、取付台２の正面にね
じ６によって左右方向の位置調節可能に取付けられた横
長の取付板７と、該取付板７の左端部、中央部及び右端
部の下縁から前方へ一体的に折曲形成された３つの舌片
状の第一糸案内片８と、該取付板７の正面の左端部、中
央部及び右端部に溶接された３つの取付片９と、該取付
片９の下縁から前方へ一体的に折曲形成された３つの舌
片状の第二糸案内片１０とを備えている。各位置の第一
糸案内片８と第二糸案内片１０は、約１ｍｍの隙間をお
いて対峙し、対になっている。

【００１０】第一糸案内片８には、第一糸案内孔１１
と、該第一糸案内孔１１を図１において左側から第一糸
案内片８の外周へ連通させる第一切り目１２とが形成さ
れている。また、第二糸案内片１０には、前記第一糸案
内孔１１に対して同軸上に位置する第二糸案内孔１３
と、該第二糸案内孔１３を図１において右側から第二糸
案内片１０の外周へ連通させる第二切り目１４とが形成
されている。第一及び第二糸案内孔１１，１３は糸調子
４の真下ないし斜め下に位置し、直径は約２．５ｍｍで
ある。また、第一及び第二切り目１２，１４の幅は約
１．６ｍｍである。

【００１１】そして、糸３０は手作業によって、まず張
力付与機構付き糸案内具３に巻き掛けられ、次に糸調子
４に巻き掛けられて、糸調子４の糸とりばね１５に引掛
けられる。糸とりばね１５を経た糸３０は右横方向に振
られ、第二糸案内片１０の第二切り目１４に右側から引
掛けられて、第二糸案内孔１３に通される。第二糸案内
孔１３を経た糸３０は左横方向に振られ、第一糸案内片
８の第一切り目１２に左側から引掛けられて、第一糸案
内孔１１に通される。

【００１２】このように、第一及び第二糸案内孔１１，
１３に糸３０を通す作業は、糸３０を横方向に振りなが
ら第一及び第二切り目１２，１４に引掛けることによっ
て行えるので、従来のように注視しながら慎重に行う必
要はなく、手先の勘によって容易に且つ迅速に行うこと
ができる。また、取付台２の正面に多くの部材が互いに
近接していても（特に、第一及び第二糸案内孔１１，１
３の直上に糸調子４が存在していても）、これらが上記
作業の邪魔になることはほとんどない。従って、９本の
糸３０を全ての第一及び第二糸案内孔１１，１３に通し
終わるまでの所要時間を顕著に短縮することができる。

【００１３】また、第一切り目１２の位置と第二切り目
１４の位置とが異なっているので、糸３０が第一及び第
二切り目１２，１４から第一及び第二切り目１２，１４
を経て側方へ外れる心配もない。

【００１４】なお、本発明は前記実施例の構成に限定さ
れるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨か
ら逸脱しない範囲で変更して具体化することもできる。 （１）図４に示すように、第一切り目１２を第一糸案内
孔１１の手前側に設けたり、図５に示すように、第二切
り目１４を第二糸案内孔１３の手前側に設けたりする
等、第一切り目１２又は第二切り目１４の位置を適宜変
更すること。 （２）第一及び第二糸案内片８，１０の隙間を増減した
り、第一切り目１２又は第二切り目１４を途中で屈曲さ
せたりする等、糸案内孔部材５の各部の寸法・形状寸法
を適宜変更すること。 （３）多針刺繍ミシンの他にも、各種ミシンの糸案内孔
部材として具体化すること。

【００１５】

【発明の効果】本発明のミシンの糸案内孔部材は、上記
の通り構成されているので、たとえ糸案内孔の周囲に他
の部材が近接している場合でも、その糸案内孔に糸を容
易に且つ迅速に通すことができ、特に多針刺繍ミシンの
ように多くの糸案内孔に糸を通さなければならない場合
には、所要時間を顕著に短縮することができ、また、糸
が糸送り中に糸案内孔から外れる心配もないという優れ
た効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る糸案内孔部材を使用した
多針刺繍ミシンの糸道装置の一部を示す斜視図である。

【図２】同糸道装置の全体を示す斜視図である。

【図３】同糸道装置の全体を示す正面図である。

【図４】糸案内孔部材の変更例の一部を示す斜視図であ
る。

【図５】糸案内孔部材の別の変更例の一部を示す斜視図
である。

【図６】従来例に係る多針刺繍ミシンの糸道装置の全体
を示す斜視図である。

【符号の説明】

８ 第一糸案内片 １０ 第二糸案内片 １１ 第一糸案内孔 １２ 第一切り目 １３ 第二糸案内孔 １４ 第二切り目

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 隙間をおいて対峙するように設けられた
   第一糸案内片と第二糸案内片とを備え、 前記第一糸案内片には、第一糸案内孔と、該第一糸案内
   孔を第一糸案内片の外周へ連通させる第一切り目とが形
   成され、 前記第二糸案内片には、前記第一糸案内孔に対して同軸
   上に位置する第二糸案内孔と、該第二糸案内孔を前記第
   一切り目とは異なる位置で第二糸案内片の外周へ連通さ
   せる第二切り目とが形成されたことを特徴とするミシン
   の糸案内孔部材。