JPH07118683A - 転がり軸受用潤滑剤 - Google Patents

転がり軸受用潤滑剤

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JPH07118683A
JPH07118683A JP23642993A JP23642993A JPH07118683A JP H07118683 A JPH07118683 A JP H07118683A JP 23642993 A JP23642993 A JP 23642993A JP 23642993 A JP23642993 A JP 23642993A JP H07118683 A JPH07118683 A JP H07118683A
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JP
Japan
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lubricant
ultrafine particles
lubricating oil
oil
rolling bearing
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JP23642993A
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English (en)
Inventor
Masaru Konno
大 金野
Atsushi Yokouchi
敦 横内
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 流体潤滑から境界潤滑に至るまでの時間を延
長させることができると共に、境界潤滑時においても、
潤滑剤を介して接触すべき金属表面が、直接接触するこ
とを抑制し、耐焼付け性及び耐摩耗性を向上させること
が可能な転がり軸受用潤滑剤を提供する。 【構成】 潤滑油に、平均粒径が0.1μm以下の超微
粒子を、前記潤滑油に対して0.05重量%以上、15
重量%以下の割合で添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、転がり軸受用潤滑剤に
係り、特に、転がり軸受の耐焼付き性及び耐摩耗性を向
上し、且つ長寿命な転がり軸受用潤滑剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、転がり軸受を潤滑する目的で
種々の潤滑剤が用いられている。この潤滑剤を使用した
転がり軸受では、潤滑剤を介して接触する金属表面間で
の潤滑状態が、使用する潤滑剤の絶対粘度や、転がり軸
受の荷重及び回転数等に依存している。このため、高速
回転で且つ高負荷状態で、軸受が使用される場合に使用
する潤滑油が低粘度であったり、潤滑油中に水が混入し
たり、潤滑油の供給が不十分であったり、枯渇したりす
る等の過酷な条件では、境界潤滑に至り、その結果、潤
滑油により前記表面に形成される油膜の厚さが変動ある
いは減少し、潤滑油を介して接触すべき金属表面が、早
期に直接接触して、転がり軸受の耐焼付き性が低下する
という問題があった。
【0003】そこで、前述のような過酷な条件下で使用
される転がり軸受には、潤滑油に、二硫化モリブデン
(MoS2 )、グラファイト(C)、窒化ほう素(B
N)、二硫化タングステン(WS2 )等の固体潤滑剤の
粒子を添加して、流体潤滑に固体潤滑剤の機能を加えた
潤滑剤を用いている。即ち、この潤滑剤は、転がり軸受
の潤滑剤を介して接触すべき金属表面間に、潤滑油と共
に固体潤滑剤粒子を入り込ませることで、潤滑油本来が
備えている良好な流体潤滑に、固体潤滑剤の機能を加え
ることで、境界潤滑時の潤滑特性を改善しようとしたも
のである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記潤
滑油に固体潤滑剤を添加した潤滑剤では、転がり軸受の
潤滑剤を介して接触すべき金属表面間に形成される油膜
(流体膜)の厚さより平均粒径が大きい固体潤滑剤が使
用されていた。従って、前記金属表面間に形成される油
膜内に、前記固体潤滑剤粒子を完全に入り込ませること
ができないという欠点があった。このため、前述のよう
な過酷な条件下で境界潤滑になった際、固体潤滑剤が本
来備えている機能を十分に発揮させることができないと
いう問題があった。
【0005】さらにまた、前記固体潤滑剤が前記金属表
面間に入り込んでも、固体潤滑剤の平均粒径が、前記油
膜の厚さより大きいため、前記金属表面間に油膜が形成
され難くなり、流体潤滑の機能が損なわれるという問題
があった。本発明は、このような従来の問題点を解決す
ることを課題とするものであり、流体潤滑の機能を損な
うことなく、さらに境界潤滑に至るまでの時間を延長さ
せることができると共に、境界潤滑時に油膜が薄くなっ
たり、破断しても金属表面が、直接接触することを抑制
し、耐焼付け性及び耐摩耗性を向上させることが可能な
転がり軸受用潤滑剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は、潤滑油と、平均粒径が0.1μm以下の
超微粒子と、からなり、前記超微粒子が、前記潤滑油に
対して0.05重量%以上、15重量%以下の割合で添
加されてなることを特徴とする転がり軸受用潤滑剤を提
供するものである。
【0007】
【作用】本発明に係る転がり軸受用潤滑剤は、潤滑油
に、平均粒径が0.1μm以下の超微粒子を、前記潤滑
油に対して0.05重量%以上、15重量%以下の割合
で添加した組成を有するため、流体潤滑から境界潤滑に
至るまでの時間が延長される。さらに、境界潤滑時にお
いても、潤滑剤を介して接触すべき金属表面が、直接接
触することが抑制され、耐焼き付け性、耐摩耗性を向上
させる。
【0008】この作用は、以下に示す理由により得られ
ると考えられる。油潤滑の小型転がり軸受では、0.1
μm程度の最小油膜厚さで流体潤滑が行われることが知
られている。従って、通常使用されているサイズの転が
り軸受では、潤滑剤を介して接触する金属表面間に形成
される油膜の膜厚は、0.1μm以上となる。
【0009】本発明では、転がり軸受用潤滑剤の構成要
素である超微粒子の平均粒径を、0.1μm以下とした
ため、前記超微粒子は、前記油膜厚さより小さい粒子径
を有する。従って、前記超微粒子は、前記金属表面間
に、潤滑油と共に簡単に入り込めるため、流体潤滑を阻
止することがない。そして、この金属表面間に入り込ん
だ超微粒子は、当該両金属表面に半永久的に付着して、
ここに凸部を形成した状態となる。このため、前記金属
表面間の潤滑油が、前記凸部の存在により金属表面間か
ら掻き出され難くなる。従って、前記潤滑油が、前記金
属表面間から完全になくなる(除去される)ことが防止
されると考えられる。このため、前記潤滑油は、前記金
属表面間に長時間留められ、油膜の寿命が向上すると考
えられる。
【0010】さらに、転がり軸受の使用中に、前記油膜
が薄くなったり、破断して、十分な流体潤滑が行われな
くなっても、前記金属表面間には、超微粒子が存在して
いるため、前記金属表面同士が直接接触することが抑制
される。そして、特に、超微粒子の平均粒径を、0.0
5μm以下とすることで、さらに、超微粒子が前記金属
表面間に入り込み易くなる。従って、潤滑油本来の流体
潤滑作用が、さらに十分に発揮されると共に、前記金属
表面間に形成された油膜の寿命もさらに向上される。こ
のため、前記金属表面同士が接触することも一層抑制さ
れる。
【0011】なお、本発明で記した『超微粒子の平均粒
径』とは、凝縮していない一次粒子(単独粒子)の平均
直径のことをいう。前記超微粒子の添加量が、潤滑油に
対して0.05重量%未満であると、前記潤滑油が前記
金属表面間から掻き出され難くなる作用を十分に発揮さ
せることが困難となる。また、前記油膜が薄くなった
り、破断して、十分な流体潤滑が行われなくなった際
に、前記金属表面同士が直接接触することを抑制する作
用を十分に発揮することが困難となると考えられる。
【0012】一方、前記超微粒子の添加量が、潤滑油に
対して15重量%を超えると、油膜中の粒子濃度が高く
なるため、潤滑油による流体潤滑の機能が阻止される。
また、境界潤滑時に、前記金属表面における表面粗さが
増大し、逆に金属接触が局部的に起こり、焼き付け現象
が加速される。このため、前記超微粒子の添加量を、潤
滑油に対して0.05重量%以上、15重量%以下に限
定した。
【0013】前記超微粒子は、転がり軸受の潤滑剤を介
して接触される金属表面より硬い物質からなることが、
特に好ましい。この理由は、超微粒子が前記金属表面よ
り硬いと、転がり軸受を使用している際にかかる応力に
より、前記超微粒子の一部が前記金属表面に食い込まれ
(埋め込まれ)易くなり、当該金属表面に超微粒子を、
より強固に付着させられるためである。
【0014】このような性質を有する超微粒子として
は、例えば、ダイヤモンド超微粒子や、表面層(表層
部)がグラファイトで形成されているダイヤモンド超微
粒子等が挙げられる。そして、特に、表面層がグラファ
イトで形成されているダイヤモンド超微粒子は、本発明
で用いる超微粒子として、特に好ましい。
【0015】この理由は、超微粒子の表面が、固体潤滑
剤であるグラファイトで形成され、内部が、硬いダイヤ
モンドからなるため、転がり軸受の使用中に、前記油膜
による良好な流体潤滑が行われなくなった際には、グラ
ファイトが潤滑剤の役割を果たし、固体潤滑が行われる
からであると考えられる。そして、内部を構成する硬い
ダイヤモンドの作用により、転がり軸受を使用している
際にかかる応力により、前記超微粒子の一部が、潤滑剤
を介して接触する前記金属表面に食い込まれ易くなり、
当該金属表面に超微粒子を、より強固に付着させられる
ためであると考えられる。
【0016】また、本発明に使用して良好な結果が得ら
れる超微粒子としては、前記ダイヤモンド微粒子や表層
部がグラファイトで形成されているダイヤモンド微粒子
等の他、例えば、酸化チタン(TiO2 ),酸化アルミ
ニウム(Al2 3 ),酸化マグネシウム(MgO),
酸化珪素(SiO2 ),PTZ,窒化珪素(Si
3 4 ),窒化チタン(TiN),窒化ジルコニウム
(ZrN),窒化クロム(CrN),炭化珪素(Si
C),炭化チタン(TiC),炭化タングステン(W
C),窒化アルミニウムチタン(TiAlN)等の各種
セラミックが挙げられる。
【0017】また、二硫化モリブデン(MoS2 ),グ
ラファイト(C),窒化ほう素(BN),二硫化タング
ステン(WS2 )等の固体潤滑剤等が挙げられる。前記
超微粒子を転がり軸受の内部空間に供給する方法として
は、例えば、オイルプレーティングを使用する方法や、
グリースの中に添加する方法、オイルエアー,オイルミ
スト等の強制潤滑法や、保持器の中に含有させる方法
等、様々な方法が挙げられる。
【0018】さらに、前記金属表面間に、超微粒子を介
在させておくことで、十分な流体潤滑が行われなくなっ
てから、潤滑剤を追加供給しても、当該潤滑剤は、前記
超微粒子により形成された空間(隙間)を通過して、前
記金属表面間に即座に均一に供給され、再び良好な油膜
が形成されるという作用もある。
【0019】
【実施例】次に、本発明に係る実施例について説明す
る。 (実施例1)潤滑油として鉱油を使用し、該鉱油に、表
1に示す平均粒径のダイヤモンド超微粒子,表面層がグ
ラファイト層からなるダイヤモンド超微粒子,グラファ
イト超微粒子,を、各々表1に示す濃度(潤滑油に対す
る重量%)で添加した潤滑剤(サンプルNo. 1〜No. 2
4)を作製する。
【0020】次に、これらの潤滑剤を転がり軸受に使用
した際の寿命を、以下の条件で調査した。 (調査条件)試験用転がり軸受として、内径=30m
m、外径=62mm、幅=16mm、玉数=9個、の深
溝玉軸受(オープンタイプ)を使用し、この試験用転が
り軸受の内部空間に、マイクロシリンジを用いて、前記
各々の潤滑剤(サンプルNo. 1〜No. 24)を3.2μ
l挿入する。
【0021】なお、この条件で潤滑剤が初期に形成する
油膜厚さは、計算値から0.13μmと推定される。次
に、これらの軸受について、ラジアル荷重=440K
g、回転数=3000rpmの条件で、振動と温度をモ
ニタしながら、回転試験を行い、振動と温度が共に上昇
するまでの時間をもって潤滑剤の寿命時間とした。
【0022】この結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】(比較例1)次に、以下に示す比較サンプ
ルを作製した。潤滑油として実施例1と同様の鉱油を使
用し、潤滑油のみからなる(超微粒子の添加なし)潤滑
剤(サンプルNo. 25)、前記潤滑油に、表2に示す平
均粒径のダイヤモンド超微粒子,グラファイト超微粒
子,を、各々表2に示す濃度(潤滑油に対する重量%)
で添加した潤滑剤(サンプルNo. 26〜No. 33)を作
製する。
【0025】次に、これらの潤滑剤を試験用転がり軸受
に使用した際の寿命を、実施例1と同様の方法で調査し
た。この結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】表1及び表2から、潤滑油に、平均粒径が
0.01〜0.1μmの範囲にある超微粒子を、当該潤
滑油に対して、0.05〜15.00重量%の範囲で添
加した潤滑剤(サンプルNo. 1〜No. 24)は、潤滑油
に超微粒子を添加しなかった潤滑剤(サンプルNo. 2
5)より、寿命時間が向上していることが判る。そし
て、その中でも特に、平均粒径が0.05μm以下の超
微粒子を、潤滑油に対して、0.30〜5.00重量%
の範囲で添加した潤滑剤(サンプルNo. 2,No. 3,N
o. 6,No. 7,No. 10,No. 11,No. 18,No.
19,No. 22,No. 23)の寿命時間が向上していた
ことが判る。
【0028】これは、潤滑油に添加された超微粒子の粒
径が、前記試験用転がり軸受の潤滑剤を介して接触する
金属表面間に、潤滑油と共に入り込み、転がり軸受にか
かる応力により、当該両金属表面に押しつけられて、半
永久的に付着して凸部を形成した状態になったためであ
ると考えられる。即ち、前記金属表面間から潤滑剤が掻
き出されることを、前記凸部が防止するため、当該潤滑
剤は、前記金属表面間に長時間留められる。従って、前
記金属表面間に形成された油膜の寿命が向上したと考え
られる。
【0029】さらに、転がり軸受の使用中に、前記油膜
が薄くなったり、破断して、十分な流体潤滑が行われな
くなっても、前記超微粒子の存在により、金属表面同士
が直接接触することが抑制されたためであると考えられ
る。そして、この効果は、特に、平均粒径が0.05μ
m以下の超微粒子を、潤滑油に対して、0.30〜5.
00重量%の範囲で添加した潤滑剤について顕著に現れ
ることが確認できた。
【0030】また、特に、表面層がグラファイト層から
なるダイヤモンド超微粒子を添加した潤滑剤(サンプル
No. 17〜No. 20)は、他の潤滑剤に比べ、寿命時間
が向上していた。これは、超微粒子の表面が、固体潤滑
剤である超微粒子で形成され、内部が、硬いダイヤモン
ドからなるためであると考えられる。
【0031】即ち、転がり軸受の使用中に、前記油膜に
よる良好な流体潤滑が行われなくなると、今度は、グラ
ファイトが潤滑剤の役割を果たし、さらに良好な固体潤
滑が行われたためであると考えられる。そして、内部を
構成する硬いダイヤモンドの作用により、超微粒子が、
転がり軸受の潤滑剤を介して接触する金属表面に食い込
まれ(埋め込まれ)易くなるため、当該金属表面に超微
粒子を、より強固に付着させられたためであると考えら
れる。
【0032】一方、平均粒径が、0.5μmの超微粒子
を添加した潤滑剤(サンプルNo. 26〜No. 33)は、
潤滑油に超微粒子を添加しなかった潤滑剤(サンプルN
o. 25)より、さらに寿命時間が低下していることが
判る。そして、これは、前記試験用転がり軸受内部に形
成される油膜の厚さより、超微粒子の平均粒径のほうが
大きいため、当該超微粒子を、前記試験用転がり軸受の
潤滑剤を介して接触する金属表面間に、十分に入り込ま
せることができなかったことに加え、潤滑油の移動(動
き)が、この超微粒子に阻まれて、流体潤滑が阻止され
たためであると考えられる。
【0033】また、この寿命時間の低下は、潤滑油に対
する超微粒子の濃度が多くなるほど顕著に現れた。さら
にまた、比較例1の中で、サンプルNo. 30〜No. 33
は、固体潤滑剤であるグラファイトからなる超微粒子を
使用したにもかかわらず、寿命時間の向上が行われなか
ったことが判る。
【0034】これより、潤滑油に超微粒子を添加するこ
とにより得られる潤滑剤の寿命時間の向上には、超微粒
子の平均粒径、及び、潤滑油に対する添加量が大きく起
因していることが判る。次に、前記と同様の調査を、平
均粒径が、0.5μm及び0.01μmの窒化ほう素
(BN),二硫化モリブデン(MoS2 ),酸化アルミ
ニウム(Al2 3 ),酸化マグネシウム(MgO),
を、実施例1に使用した潤滑油に、各々、潤滑油に対し
て、0.05重量%,0.80重量%,5.00重量
%,15.00重量%,添加した潤滑剤について、実施
例1と同様の調査を行った。
【0035】この結果、平均粒径が0.01μmの超微
粒子を添加した潤滑剤は、全ての濃度において、超微粒
子を添加しなかった潤滑剤(サンプルNo. 25)より、
寿命時間が向上していた。一方、平均粒径が0.5μm
の超微粒子を添加した潤滑剤は、全ての濃度において、
超微粒子を添加しなかった潤滑剤(サンプルNo. 25)
より、寿命時間が低下していた。
【0036】これより、他の超微粒子についても、潤滑
油に、平均粒径が0.1μm以下の超微粒子を、前記潤
滑油に対して0.05重量%以上、15重量%以下の割
合で添加することが必要であることが判る。 (実施例2)潤滑油として鉱油を使用し、該鉱油に、表
3に示す平均粒径のダイヤモンド超微粒子,表面層がグ
ラファイト層からなるダイヤモンド超微粒子,グラファ
イト超微粒子,を、各々表3に示す濃度(潤滑油に対す
る重量%)で添加した潤滑剤(サンプルNo. 34〜No.
57)を作製する。
【0037】次に、これらの潤滑剤を転がり軸受に使用
した際の寿命を、以下の条件で調査した。 (調査条件)試験用転がり軸受として、内径=25m
m、外径=52mm、幅=16mm、ころ数=19個、
の円錐ころ軸受を使用し、この軸受内に、オイルプレー
ティング(潤滑剤をヘキサンで20%に希釈し、この溶
液に、試験用軸受をどぶずけにした後、ヘキサンを乾燥
蒸発させて、表面に潤滑剤の膜を形成する)にて、各々
の潤滑剤(サンプルNo. 34〜No. 57)を、軸受の軌
道面、転動面に塗布し、油膜を形成する。
【0038】なお、この条件での潤滑剤の初期の油膜厚
さは、計算値から0.22μmと推定される。次に、こ
れらの軸受について、ラジアル荷重=440Kg、回転
数=1000rpmの条件で、振動と温度をモニタしな
がら、回転試験を行い、振動と温度が共に上昇するまで
の時間をもって潤滑剤の寿命時間とした。
【0039】この結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】(比較例2)次に、以下に示す比較サンプ
ルを作製した。潤滑油として実施例2と同様の鉱油を使
用し、潤滑油のみからなる(超微粒子の添加なし)潤滑
剤(サンプルNo. 58)、前記潤滑油に、表4に示す平
均粒径のダイヤモンド超微粒子,グラファイト超微粒
子,を、各々表4に示す濃度(潤滑油に対する重量%)
で添加した潤滑剤(サンプルNo. 59〜No. 66)を作
製する。
【0042】次に、これらの潤滑剤を試験用転がり軸受
に使用した際の寿命を、実施例2と同様の方法で調査し
た。この結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】表3及び表4から、潤滑油に、平均粒径が
0.01〜0.1μmの範囲にある超微粒子を、当該潤
滑油に対して、0.05〜15.00重量%の範囲で添
加した潤滑剤(サンプルNo. 34〜No. 57)は、潤滑
油に超微粒子を添加しなかった潤滑剤(サンプルNo. 5
8)と比べ、寿命時間が大幅に向上していることが判
る。
【0045】そして、その中でも特に、平均粒径が、
0.05μm以下の超微粒子を、潤滑油に対して、0.
05〜5.00重量%の範囲で添加した潤滑剤(サンプ
ルNo.34,〜No. 36,No. 38〜No. 40,No. 4
2〜No. 44,No. 46〜No.48,No. 50〜52,N
o. 54〜56)の寿命時間が大幅に向上していたこと
が判る。
【0046】これも、実施例1と同様に、前記試験用転
がり軸受の潤滑剤を介して接触する金属表面間に形成さ
れた超微粒子からなる凸部が、前記金属表面間から潤滑
剤が掻き出されることを防止し、当該潤滑剤が、前記金
属表面間に長時間留められることによって、前記金属表
面間に形成された油膜の寿命が向上したからであると考
えられる。
【0047】さらに、転がり軸受の使用中に、前記油膜
が薄くなったり、破断して、十分な流体潤滑が行われな
くなっても、前記超微粒子の存在により、金属表面同士
が直接接触することが抑制されたためであると考えられ
る。そして、この効果は、特に、平均粒径が0.05μ
m以下の超微粒子を、潤滑油に対して、0.05〜5.
00重量%の範囲で添加した潤滑剤について顕著に現れ
ることが確認できた。
【0048】また、実施例1と同様に、特に、表面層が
グラファイト層からなるダイヤモンド超微粒子を添加し
た潤滑剤(サンプルNo. 50〜No. 53)は、他の潤滑
剤に比べ、寿命時間が向上していた。これも、実施例1
と同様に、転がり軸受の使用中に、前記油膜による良好
な流体潤滑が行われなくなると、今度は、グラファイト
が潤滑剤の役割を果たし、さらに良好な固体潤滑が行わ
れたためであると考えられる。
【0049】そして、内部を構成する硬いダイヤモンド
の作用により、超微粒子が、転がり軸受の潤滑剤を介し
て接触する金属表面に食い込まれ(埋め込まれ)易くな
るため、当該金属表面に超微粒子を、より強固に付着さ
せられたためであると考えられる。一方、平均粒径が、
0.5μmの超微粒子を添加した潤滑剤(サンプルNo.
59〜No. 66)は、潤滑油に超微粒子を添加しなかっ
た潤滑剤(サンプルNo. 58)より、さらに寿命時間が
低下していることが判る。
【0050】そして、これも、実施例1と同様に、前記
超微粒子を、前記試験用転がり軸受の潤滑剤を介して接
触する金属表面間に、十分に入り込ませることができな
かったことに加え、潤滑油の移動(動き)が、この超微
粒子に阻まれて、流体潤滑が阻止されたためであると考
えられる。また、この寿命時間の低下は、潤滑油に対す
る超微粒子の濃度が多くなるほど顕著に現れた。
【0051】次に、前記と同様の調査を、平均粒径が、
0.5μm及び0.01μmの窒化ほう素(BN),二
硫化モリブデン(MoS2 ),酸化アルミニウム(Al
2 3 ),酸化マグネシウム(MgO),を、実施例1
に使用した潤滑油に、各々、潤滑油に対して、0.05
重量%,0.80重量%,5.00重量%,15.00
重量%,添加した潤滑剤について、実施例2と同様の調
査を行った。
【0052】この結果、平均粒径が0.01μmの超微
粒子を添加した潤滑剤は、全ての濃度において、超微粒
子を添加しなかった潤滑剤(サンプルNo. 58)より、
寿命時間が向上していた。一方、平均粒径が0.5μm
の超微粒子を添加した潤滑剤は、全ての濃度において、
超微粒子を添加しなかった潤滑剤(サンプルNo. 58)
より、寿命時間が低下していた。
【0053】これより、他の超微粒子についても、潤滑
油に、平均粒径が0.1μm以下の超微粒子を、前記潤
滑油に対して0.05重量%以上、15重量%以下の割
合で添加することが必要であることが判る。なお、本発
明に係る転がり軸受用潤滑剤は、実施例1及び実施例2
で説明した転がり軸受の他、スラスト玉軸受,アンギュ
ラ玉軸受,円筒ころ軸受,棒状ころ軸受,針状ころ軸受
等、あらゆる転がり軸受に応用することができる。
【0054】また本発明に係る転がり軸受用潤滑剤は、
実施例1及び実施例2で紹介した超微粒子の他、例え
ば、酸化チタン(TiO2 ),酸化珪素(SiO2 ),
(PTZ),窒化珪素(Si3 4 ),窒化チタン(T
iN),窒化ジルコニウム(ZrN),窒化クロム(C
rN),炭化珪素(SiC),炭化チタン(TiC),
炭化タングステン(WC),窒化アルミニウムチタン
(TiAlN)等の各種セラミックや、二硫化タングス
テン(WS2 )等の各種固体潤滑剤等が使用できる。
【0055】そしてまた、実施例1及び実施例2では、
潤滑油として鉱油を使用した例について説明したが、こ
れに限らず、潤滑油としては、例えば、エステル油,シ
リコン油,フッ素油等、潤滑油として使用可能であれ
ば、あらゆる種類の潤滑油を使用してもよい。また、実
施例1では、マイクロシリンジを用いて、試験用転がり
軸受の内部空間に潤滑剤を挿入し、実施例2では、オイ
ルプレーティングにより、試験用転がり軸受の内部空間
に潤滑剤を挿入したが、これに限らず、前記超微粒子を
転がり軸受の内部空間に供給する方法としては、例え
ば、グリースの中に添加する方法、オイルエアー,オイ
ルミスト等の強制潤滑法や、保持器の中に含有させる方
法等、転がり軸受の内部空間に、油膜が十分に形成され
れば、様々な方法で行ってよい。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る転が
り軸受用潤滑剤は、潤滑油に、平均粒径が0.1μm以
下の超微粒子を、前記潤滑油に対して0.05重量%以
上、15重量%以下の割合で添加した組成を有するた
め、前記超微粒子は、転がり軸受の潤滑剤を介して接触
する金属表面間に形成される油膜中に、完全に入り込む
ことができる。従って、前記金属表面間に、潤滑油と共
に容易に入り込むことができる。そして、この超微粒子
は、前記油膜の厚さより平均粒径が小さいため、潤滑油
の流動性に支承を来すことがない。従って、潤滑剤の流
体潤滑特性を保持することができる。
【0057】また、この超微粒子は、前記金属表面に付
着して、ここに凸部を形成するが、この凸部の存在によ
り、前記金属表面間の潤滑油がここから掻き出されるこ
とを防止できる。従って、前記潤滑油が、前記金属表面
間から完全になくなる(除去される)ことが防止され、
前記油膜の寿命を向上できる。さらに、転がり軸受の使
用中に、前記油膜が薄くなったり、破断して、十分な流
体潤滑が行われなくなっても、前記金属表面間には、超
微粒子が存在しているため、前記金属表面同士が直接接
触することを抑制することができる。
【0058】このため、流体潤滑から境界潤滑に至るま
での時間が延長され、さらに、境界潤滑時においても、
潤滑剤を介して接触すべき金属表面が、直接接触するこ
とが抑制されるという効果がある。この結果、転がり軸
受の耐耐焼付き性及び耐摩耗性を向上させることがで
き、且つ長寿命な転がり軸受用潤滑剤を提供することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 125:20 125:22) C10N 10:06 10:08 10:12 20:06 30:06 30:08 40:02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑油と、平均粒径が0.1μm以下の
    超微粒子と、からなり、前記超微粒子が、前記潤滑油に
    対して0.05重量%以上、15重量%以下の割合で添
    加されてなることを特徴とする転がり軸受用潤滑剤。
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