JPH0711856Y2 - スクラップ切断装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、スクラップ材料を圧縮して適当な長さに切
断するための切断装置に関するものである。

〔従来の技術〕

この種のスクラップ切断装置の一般的な構造は、第１図
及び第２図に示すように、シャー本体を形成する門形フ
レーム１に、スクラップ供給装置２と材料プッシャー３
を連結して構成されている。

上記フレーム１には、昇降自在な切断用上刃４と固定の
切断用下刃５が対向して取付けられており、上刃４の後
方に、スクラップ材料を下方に押える押えスライド６が
取付けられている。

スクラップ供給装置２には、供給装置２内部に進退動す
る横押スライド７が設けられており、この横押スライド
７により、供給装置２内に投入されたスクラップ材料は
供給装置２の側壁に押圧され切断幅まで圧縮され、その
圧縮された材料は、次に、材料プッシャー３によりシャ
本体に向かって押し出される。シャー本体においては、
押し出されたスクラップ材料を押えスライド６により上
下に押圧して高さ方向に圧縮し、ついで上刃４と下刃５
の間で切断する。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記構造のスクラップ切断装置では、供給装置２内のス
クラップ材料は、横押スライド７全体で供給装置２の側
壁2aに押圧され圧縮される。したがって、スクラップ材
料の加わる横押し荷重は、横押スライド７のスライド面
全体に分散されて、面当りの荷重が小さくなり、このた
め、内部密度の高いスクラップ材料の場合、圧縮力が不
足し、切断幅まで圧縮できないことが多く生じる。

このような場合、従来は、作業者が、ハンマーやガス切
断等により、スクラップ材料に切り込みを入れたり亀裂
を生じさせて材料をつぶれやすくし、横押スライドの圧
縮により切断幅まで圧縮する方法がとられていた。しか
し、上記の方法では、作業に著しい手間がかかると共
に、供給装置内部での作業に多くの危険が伴う問題であ
り、また、作業による装置休止の時間が多くなるため
に、作業能率が悪いという問題もある。

この考案は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、供
給装置内部でスクラップ材料に機械的な変形力を加え、
材料の圧縮を確実に行なうことができる切断装置を提供
しようとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するために、この考案は、昇降自在の
切断用上刃と固定の切断用下刃を備えるシャー本体に、
スクラップ供給装置と材料プッシャーを連結し、このス
クラップ供給装置に、その供給装置内部に進退動して、
供給装置に投入されるスクラップ材料を切断幅に圧縮す
る横押スライドを設け、この圧縮したスクラップ材料を
上記材料プッシャーによりシャー本体へ押し出すように
したスクラップ切断装置において、スクラップ供給装置
に、その供給装置内部に進退動して、供給装置に投入さ
れるスクラップ材料を切断幅に圧縮する横押スライドを
設け、上記圧縮したスクラップ材料を上記プッシャーに
より上記シャー本体へ押し出すスクラップ切断装置にお
いて、上記スクラップ供給装置の横押スライドに対向す
る側壁に、その側壁の中央寄りの位置で上記横押スライ
ドに向って移動可能な突押しラムを設け、この突押しラ
ムの押圧面の幅を横押スライドの押圧面の幅に対して著
しく小さく形成し、この突押しラムに、その突押しラム
を横押スライドで圧縮した材料へ押し当ててその材料に
局所的な変形を生じさせる駆動手段を連結したのであ
る。

〔作用〕 スライド材料が、横押スライドで圧縮された状態で切断
幅まで圧縮されない場合、突押ラムを供給装置に突出さ
せ、スクラップ材料に押し当てると、その押し当て部に
おいてスクラップ材料には局所的な応力が加わり、変形
が生じる。このため、スクラップ材料は、横押スライド
の荷重により、変形部から簡単につぶれ、小さく圧縮さ
れる。

〔実施例〕

以下、この発明の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図乃至第３図に示すように、実施例のスクラップ切
断装置は、シャー本体を構成する門形フレーム１と、そ
のフレーム１の後方に連結したスクラップ供給装置２
と、その後部に連結した材料プッシャー３とから成って
いる。

上記フレーム１の開口８には、下端に切断用上刃４を固
定した切断スライド９と、材料押えスライド６が昇降自
在に取付けられている。切断スライド９は、フレーム１
の上部枠1aに取付けた１本又は２本以上の油圧シリンダ
10により駆動され、開口８の両側辺には、その切断スラ
イド９の動きを案内するギブ11が取付けられている。

また、押えスライド６は、上部枠1aの切断スライド駆動
用シリンダ10の後方に取付けられた油圧シリンダ12によ
り駆動されるようになっている。

フレーム１の開口８の下部には、押えスライド６の下方
に位置して受け台13が設けられており、その受け台13の
上部前側に切断用下刃５が取付けられている。この下刃
５は、幅方向に直線状に形成され、切断スライド９が下
降した際、上刃４の端面に摺接するようになっている。

一方、上刃４は、第１図に示すように、刃先形状が幅方
向に上下に傾斜をもたせて形成されており、この傾斜に
より、下刃５との間で所要の切断角、所謂シャー角を得
ている。

上記スクラップ供給装置２は、第３図に示すように、一
側に側壁2aを備えた材料スライド板14の片側に、そのス
ライド板14の幅方向に移動する横押スライド７を設けて
容器状に形成されており、上部がスクラップ材料を投入
する開口となり、側壁2aの上部に、その開口に塞ぐ押蓋
15が回動可能に取付けられている。

上記横押スライド７は、スライド板14の側部に回動可能
に取付けた支持アーム16の先端に取付けられ、供給装置
２の側方に、その横押スライド７を駆動する複数の駆動
シリンダ17が設けられている。上記横押スライド７の移
動ストロークは、第３図に破線で示すように、最大に移
動したとき、スライド板14上に、切断幅、すなわち、下
刃５の幅と同じ長さが残るように設定されており、供給
装置２内に投入されたスクラップ材料は、横押スライド
７により側壁2aに向かって押圧され、切断幅まで圧縮さ
れる。

一方、横押スライド７に対向する供給装置２の側壁2aに
は、２個の突押しラム18が供給装置２の長さ方向に所定
の間隔をおいて設けられている。この突押しラム18の後
部には、突押しラムをスクラップ材料に押し当てる駆動
手段としての油圧シリンダ19が連結しており、このシリ
ンダ19の作動により、突押しラム18は供給装置２内を進
退して、横押スライド７に向かって接近離反する。突押
しラム18の先端面は、押し面積を小さくして面圧が大き
くとれるように横押スライド７の押圧面の幅に比べて出
来るだけ幅狭に形成し、図示のような平坦面の他に、横
押スライド７に向かって山形突状に形成してもよい。

上記スクラップ供給装置２の後方に連結する材料プッシ
ャー３は、第７図に示すように、切断幅と同じ幅の押し
出し板20と、その押し出し板20を材料スライド板14の長
さ方向に移動させる駆動シリンダ21とから成っている。
このプッシャー３は、供給装置２で圧縮したスクラップ
材料を、切断の１サイクルごとに所定量ずつ前側へ押し
出し、スクラップ材料が全て上刃４と下刃５の間から押
し出された後、所定の後端位置に復帰するように制御さ
れている。

この実施例は、上記の構成で成っており、次に作用を説
明する。

スクラップ材料が供給装置２に投入されると、押蓋15が
供給装置２の上部を閉鎖し、次に、油圧シリンダ17が作
動して横押スライド７がスクラップ材料を側壁2aに押圧
し、圧縮する。

この際スクラップ材料の内部密度が高く、つぶれにくい
材料で成っている場合、横押スライド７の圧縮力が不足
し、横押スライド７は第５図に示すごとく設定されたプ
レス位置まで前進することができず、途中位置で停止し
た状態になる。この場合、第６図に示すように、油圧シ
リンダ19を作動させて突押しラム18を供給装置２内に突
き出し、スクラップ材料Ａを横押スライド７に向かって
押圧する。

この場合、突押しラム18先端の押圧面が幅狭に形成され
ているため、その先端が当接したスクラップ材料の部分
では大きな押圧力が加わることになり、スクラップ材料
Ａには、局所的な変形が生じる。この変形が、図示のよ
うな山形の変形の場合や、亀裂となる場合もある。

このように局所的に変形が起こると、横押スライド７の
荷重に対抗して全体的に形状を保持していたスクラップ
材料Ａは、力のバランスを失い、引きつづいて加えられ
る横押スライド７の荷重により、第７図に示すように、
変形部からつぶれ、切断幅にまで圧縮される。

このようにスクラップ材料が切断幅まで圧縮されると、
材料プッシャー３を作動し、スクラップ材料をフレーム
１に向かって押し出し、次に、押えスライド６が下降し
てスクラップ材料を上下方向に圧縮する。ついで、さら
に材料プッシャー３が作動して下刃５より前側に押し出
したスクラップ材料を上刃４が下降し、下刃５との間で
切断する。

一方、スクラップ材料の密度が小さく、つぶれ易い場合
は、横押スライド７の押圧によりスクラップ材料は切断
幅にまで圧縮される。この場合は、次に材料プッシャー
３を作動させ、スクラップ材料をフレーム１に向かって
押し出し、上記の同様の切断作業を行なう。

なお、上記突押しラム18の数は、スクラップ供給装置２
の大きさに応じて設定するようにし、１本、又は２本以
上に設定する。また、突押しラムを複数取付けた場合、
各ラムを同時に作動させる動作の他に、各々独立して作
動させるようにしてもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案は、横押スライドに対向
して設けた突押しラムによりスクラップ材料に局所的な
応力を加えるようにしたので、材料に局所的な変形を与
えることができ、材料を確実に切断幅にまで圧縮するこ
とができる。したがって、従来のように作業者の手作業
による切り込み作業が不要になり、切断作業の能率の向
上と大幅な省力化を実現できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るスクラップ切断装置の平面図、
第２図は同上の一部縦断側面図、第３図は同上の正面
図、第４図は第１図のＩ−Ｉ線に沿った横断面図、第５
図乃至第７図は同上の作用を示す図である。 １……フレーム、２……スクラップ供給装置、３……材
料プッシャー、４……切断用上刃、５……切断用下刃、
６…押えスライド、17……油圧シリンダ、18……突押し
ラム、19……油圧シリンダ、Ａ……スクラップ材料。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】昇降自在の切断用上刃と、固定の切断用下
   刃を備えるシャー本体に、スクラップ供給装置と材料プ
   ッシャーを連絡し、上記スクラップ供給装置に、その供
   給装置内部に進退動して、供給装置に投入されるスクラ
   ップ材料を切断幅に圧縮する横押スライドを設け、上記
   圧縮したスクラップ材料を上記プッシャーにより上記シ
   ャー本体へ押し出すスクラップ切断装置において、上記
   スクラップ供給装置の横押スライドに対向する側壁に、
   その側壁の中央寄りの位置で上記横押スライドに向って
   移動可能な突押しラムを設け、この突押しラムの押圧面
   の幅を横押スライドの押圧面の幅に対して著しく小さく
   形成し、この突押しラムに、その突押しラムを横押スラ
   イドで圧縮した材料へ押し当ててその材料に局所的な変
   形を生じさせる駆動手段を連結したことを特徴とするス
   クラップ切断装置。