JPH07118430A - ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン微多孔膜の製造方法

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JPH07118430A
JPH07118430A JP28994393A JP28994393A JPH07118430A JP H07118430 A JPH07118430 A JP H07118430A JP 28994393 A JP28994393 A JP 28994393A JP 28994393 A JP28994393 A JP 28994393A JP H07118430 A JPH07118430 A JP H07118430A
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polyolefin
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Abstract

(57)【要約】 【目的】良好な透過性と微細な孔径の安定した開孔性と
高い強度を有するポリオレフィン微多孔膜を効率的に製
造する方法を提供する。 【構成】分子量7×105 以上の成分を1重量%以上含有
するポリオレフィンを押出機中で溶融し、溶融状態のポ
リオレフィン10〜80重量%に対して、流動パラフィン等
の溶媒90〜20重量%を押出機の途中から供給して溶融混
練し、得られた混練物を環状ダイから押し出し、冷却し
てゲル状チューブ原反を形成し、ゲル状チューブ原反を
加熱延伸し、しかる後残存する溶媒を除去することを特
徴とするポリオレフィン微多孔膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィンからな
る微多孔膜を製造する方法に関し、特に強度に優れ良好
な透過性と微細孔径の安定した開孔性を有するポリオレ
フィン微多孔膜を効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】微多孔
膜は、電池用セパレーター、電解コンデンサー用隔膜、
各種フィルター、透湿防水衣料、逆浸透濾過膜、限外濾
過膜、精密濾過膜等の各種用途に用いられている。
【0003】従来、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法
としては、例えば異種ポリマー等の微粉体からなる孔形
成剤をポリオレフィンに混合してミクロ分散させた後、
孔形成剤を抽出する混合抽出法、ポリオレフィン相を溶
媒でミクロ相分離することにより多孔構造とする相分離
法、異種固体がミクロ分散しているポリオレフィン成形
体に延伸などの歪を与えることにより、異種固体間を界
面破壊して空孔を生じさせて多孔化する延伸法などが用
いられている。しかし、延伸による薄膜化及び高強度化
には限界があった。
【0004】最近、高強度及び高弾性のフィルムに成形
し得る超高分子量ポリオレフィンが開発され、これによ
る高強度の微多孔膜の製造方法が種々提案された。例え
ば特開昭58-5228 号は、超高分子量ポリオレフィンを不
揮発性溶媒に溶解し、この溶液から繊維又はフィルムな
どのゲルを成形し、この溶媒を含むゲルを揮発性溶剤で
抽出処理した後、加熱延伸する方法を開示している。し
かしながら、不揮発性溶媒で高度に膨潤した多孔性組織
を有するゲルは、2方向に延伸しようとしても、高配向
の延伸ができず、網状組織の拡大により破断し易く、得
られるフィルムは強度が小さく、また形成される孔の孔
径分布が大きくなるという欠点があった。一方不揮発性
溶媒を揮発性溶剤で抽出した後に乾燥したゲルは、網状
組織が収縮緻密化するが、揮発性溶剤の不均一な蒸発に
よりフィルム原反にそりが発生し易く、また収縮緻密化
により、高倍率の延伸ができないという欠点があった。
【0005】これに対し、重量平均分子量が7×105
上の超高分子量ポリオレフィンを溶媒中で加熱溶解した
溶液からゲル状シートを成形し、前記ゲル状シート中の
溶媒量を脱溶媒処理により調製し、次いで加熱延伸した
後、残留溶媒を除去することにより、超高分子量ポリオ
レフィン(ポリエチレン)の微多孔膜を製造する方法が
種々提案されている(特開昭60-242035 号、特開昭61-4
95132 号、特開昭61-195133 号、特開昭63-39602号、特
開昭63-273651 号)。
【0006】しかしながら、上記方法においては、ポリ
オレフィンの溶液が高濃度になるほど溶液の調製に時間
がかかるため、ポリオレフィンが酸化劣化しやすく、ま
た溶液の濃度の均一化が困難であるという問題がある。
【0007】また特開昭62-223245 号は、135 ℃のデカ
リン中の極限粘度〔μ〕が3dl/g以上の高分子量ポ
リオレフィン(A)5〜70重量%と、(A)の融点以
上の沸点を有し、溶媒に可溶な可塑剤(B)95〜30
重量%との混合物を、環状ダイスを用いて筒状に押し出
してインフレーション成形することにより、フィルムを
形成し、得られたフィルムを溶媒で処理することにより
成分(B)を抽出除去することを特徴とする、透過性を
有するポリオレフィン多孔膜の製造方法を開示してい
る。しかしながら、環状ダイスから押し出されたフィル
ムを直ちにインフレーション成形しているために、ポリ
オレフィンの結晶化が不十分で、延伸による配向及びポ
リオレフィン結晶の安定した微細なフィブリル化が必ず
しも十分ではなかった。
【0008】したがって、本発明の目的は、良好な透過
性と微細な孔径の安定した開孔性と高い強度を有するポ
リオレフィン微多孔膜を効率的に製造する方法を提供す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、超高分子量成分を含有するポリ
オレフィンを押出機中で溶融し、そこにこのポリオレフ
ィンの良溶媒を供給することによりポリオレフィンの溶
液を調製して、この溶液を環状ダイより押し出した後、
冷却してゲル状チューブ原反を形成し、このゲル状チュ
ーブ原反を加熱延伸し、しかる後残存する溶媒を除去す
れば、適度な微細孔径で安定した開孔性と高い強度を有
するポリオレフィン微多孔膜を製造することができ、ま
たそのような方法によれば、ポリオレフィンの高濃度溶
液の調製に要する時間を従来よりも大幅に短縮すること
ができ、ポリオレフィンの酸化劣化を防止することがで
きるとともに、製造効率を大幅に向上することができる
ことを見出し、本発明に想到した。
【0010】すなわち、本発明のポリオレフィン微多孔
膜の製造方法は、(a) 分子量7×105 以上の成分を1重
量%以上含有するポリオレフィンを押出機中で溶融し、
(b) 前記溶融状態のポリオレフィン10〜80重量%に対し
て、前記溶融状態のポリオレフィンの温度で液状の溶媒
(前記ポリオレフィンに対する良溶媒)90〜20重量%を
押出機の途中から供給して溶融混練し、(c) 得られた混
練物を環状ダイから押し出し、冷却してゲル状チューブ
原反を形成し、(d) 前記ゲル状チューブ原反を加熱延伸
し、(e) しかる後残存する溶媒を除去することを特徴と
する。
【0011】本発明を以下詳細に説明する。〔1〕ポリオレフィン 本発明の方法において製造するポリオレフィン微多孔膜
は、分子量7×105 以上の成分を1重量%以上含有する
ポリオレフィンからなる。
【0012】ポリオレフィン中に重量平均分子量7×10
5 以上の成分が1重量%未満では、延伸性の向上に寄与
する超高分子量ポリオレフィンの分子鎖の絡み合いが不
十分となるので、強度を十分に向上させるのが困難とな
る。一方、超高分子量成分の含有率の上限は特に限定的
ではないが、90重量%を超えると目的とするポリオレフ
ィン溶液の高濃度化の達成及び延伸が困難となるため好
ましくない。なお、上記ポリオレフィンは分子量1×10
3 以下の成分を実質的に含有しないのが好ましい。
【0013】また、上記ポリオレフィンの分子量分布
(重量平均分子量/数平均分子量)は5〜300 、特に5
〜50であるのが好ましい。分子量分布が300 を超える
と、延伸時に低分子量成分の破断が起こり膜全体の強度
が低下するため好ましくない。
【0014】上記ポリオレフィンとしては、エチレン、
プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキ
センなどを重合した結晶性の単独重合体、2段重合体、
又は共重合体及びこれらのブレンド物等が挙げられる。
これらのうちではポリプロピレン、ポリエチレン(特に
高密度ポリエチレン)及びこれらの組成物等が好まし
い。
【0015】このポリオレフィンは、上記分子量及び分
子量分布を有していれば、リアクターブレンドによるも
の(多段重合ポリオレフィン)であっても、2種以上の
ポリオレフィンによる組成物であってもよい。
【0016】リアクターブレンドの場合、例えば分子量
が7×105 以上の超高分子量成分を1重量%以上含有
し、かつ分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)
が5〜300 となるように、多段重合することにより製造
することができる。多段重合法としては、二段重合によ
り、高分子量部分と低分子量部分とを製造する方法を採
用するのが好ましい。
【0017】また2種以上のポリオレフィンによる組成
物の場合、前記オレフィンの単独重合体又は共重合体で
重量平均分子量が7×105 以上の超高分子量ポリオレフ
ィンと、重量平均分子量が7×105 未満のポリオレフィ
ンとを、重量平均分子量/数平均分子量が上記範囲とな
るように、適量混合することによって得ることができ
る。
【0018】組成物の場合、ポリオレフィン組成物中の
超高分子量ポリオレフィンの含有量は、ポリオレフィン
組成物全体を100 重量%として、1重量%以上であるの
が好ましい。超高分子量ポリオレフィンの含有量が1重
量%未満では、延伸性の向上に寄与するところが不十分
である。一方、上限は特に限定的ではない。
【0019】また、ポリオレフィン組成物中の超高分子
量ポリオレフィン以外のポリオレフィン (重量平均分子
量が7×105 未満のポリオレフィン) の分子量の下限と
しては、1×104 以上のものが好ましい。重量平均分子
量が1×104 未満のポリオレフィンを用いると、延伸時
に破断が起こりやすく、目的の微多孔膜が得られないの
で好ましくない。したがって重量平均分子量が1×105
以上7×105 未満のポリオレフィンを超高分子量ポリオ
レフィンに配合するのが好ましい。
【0020】なお、上述したような超高分子量成分を含
有するポリオレフィンには、必要に応じて、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、顔料、染
料、無機充填材、抗菌剤、脱臭剤、遠赤外線放射剤など
の各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加す
ることができる。
【0021】〔2〕製造方法 次に、上述したような超高分子量成分含有ポリオレフィ
ンを用いた本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法
について説明する。
【0022】図1は、本発明のポリオレフィン微多孔膜
の製造方法を適用可能なインフレーション製膜装置の一
例を示す概略図である。図1において、インフレーショ
ン製膜装置1は、ホッパー21と溶媒槽23と前記溶媒槽23
の溶媒を押出機の途中から供給するサイドフィーダー22
とを有する押出機2と、押出機2の先端に設けられたギ
アポンプ3と、環状ダイ4と、冷却リング5と、一対の
ロール20、20′と、一対の第一ニップロール6、6′
と、加熱装置7と、ブロアー8と、一対の第二ニップロ
ール9、9′と、反転装置10と、スリッタ11と、洗浄装
置12と、乾燥装置15と、巻取機16とを有し、洗浄装置12
は、フェルトロール13、13′と洗浄溶剤シャワー装置1
4、14′とからなる。
【0023】以上のような構成の装置を用いて以下のよ
うにしてポリオレフィン微多孔膜を製造する。
【0024】まず、ホッパー21から上述したポリオレフ
ィンを押出機2に供給し、溶融する。溶融温度は、使用
するポリオレフィンの種類によって異なるが、一般にポ
リオレフィンの融点+10℃〜+120 ℃が好ましい。例え
ば、ポリエチレンの場合は+130 ℃〜+260 ℃、特に+
140 ℃〜+240 ℃であるのが好ましく、ポリプロピレン
の場合は+180 ℃〜+290 ℃、特に+180 ℃〜+270 ℃
であるのが好ましい。
【0025】次に、この溶融状態のポリオレフィンに対
して、この溶融状態で液状の溶媒(ただし、上述したポ
リオレフィンに対する良溶媒)を押出機の途中(サイド
フィーダー22)から供給する。超高分子量ポリオレフィ
ンを含むポリオレフィンと溶媒とを同時に供給すると、
粘度差が大き過ぎるために混合ができず、ポリオレフィ
ンと押出機のスクリューとが共回りを起こす。そのた
め、所望の溶液を調製できない。上記溶媒としては、例
えばノナン、デカン、デカリン、p−キシレン、ウンデ
カン、ドデカン、流動パラフィンなどの脂肪族または環
式の炭化水素、あるいは沸点がこれらに対応する鉱油留
分などを用いることができる。
【0026】ポリオレフィンと溶媒との配合割合は、ポ
リオレフィンと溶媒との合計を100重量%として、ポリ
オレフィンが10〜80重量%、好ましくは10〜60重量%で
あり、溶媒が90〜20重量%、好ましくは90〜40重量%で
ある。ポリオレフィンが10重量%未満では(溶媒が90重
量%を超えると)、環状ダイ4の出口で、スウェルやネ
ックインが大きくゲル状シートの成形が困難となる。一
方、ポリオレフィンが80重量%を超えると(溶媒が20重
量%未満では)、均一な溶液の調製が困難となる。
【0027】このようにして溶融状態のポリオレフィン
に溶媒を添加し、押出機中で混練することにより、均一
な濃度のポリオレフィンの高濃度溶液を短時間で調製す
ることができる。このためには二軸押出機を用いるのが
好ましい。
【0028】次に、このようにして溶融混練したポリオ
レフィンの加熱溶液を環状ダイ4より押出す。環状ダイ
4としては、ダイギャップが0.1 〜5mmのものが好まし
く、押出し時には110 〜250 ℃に加熱される。
【0029】なお、押出機2と環状ダイ4との間には、
押出機から供給される樹脂が脈流となるのを防止するた
めに、本実施例のように、ギアポンプ3を設けるのが好
ましい。このギアポンプ3は複数個設けてもよい。さら
にこの下流に、層流を分散させて混合をより向上させる
ために、スタティックボールミキサーを設けることが好
ましい。
【0030】このようにして環状ダイ4から押し出した
溶液を、冷却リング5で冷却することにより、ゲル状チ
ューブ原反30aに成形する。冷却方法としては、冷風、
冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒
で冷却したロールに接触させる方法等を用いることがで
きる。
【0031】このゲル状チューブ状原反はロール20、2
0′及び第一ニップロール6、6′を通過した後、加熱
装置7により加熱する。加熱装置7としては、セラミッ
ク式遠赤外線照射装置等を用いるのが延伸性のうえから
好ましい。加熱温度は、ポリオレフィンの融点+10℃以
下程度、好ましくは結晶分散温度から融点未満の範囲で
ある。例えば、ポリエチレンの場合は130 〜200 ℃で、
より好ましくは、130 〜160 ℃の範囲である。延伸温度
が融点+10℃を超える場合は、樹脂の溶融により延伸に
よる効果的な分子鎖の配向ができないため好ましくな
い。また、延伸温度が結晶分散温度未満では、樹脂の軟
化が不十分で、延伸において破膜し易く、高倍率の延伸
ができない。
【0032】このように加熱した後延伸する。延伸は、
チューブ原反を径方向に1.5 〜12倍、流れ方向に1.5 〜
12倍、面倍率で2.2 〜144 倍、好ましくは3〜36倍とす
る。面倍率が2.2 倍未満では延伸が不十分で空孔率が高
く、高弾性、高強度の微多孔膜が得られない。一方、14
4 倍を超えると、延伸装置、延伸操作などの点で制約が
生じる。なお、ブローアップ比は2〜6とするのが好ま
しい。
【0033】得られた延伸形成物30bに反転装置10によ
り180 〜 340°のひねりを加えることにより、しわやた
るみ等を除去した後、スリッタ11により開裂する。
【0034】続いて、この延伸形成物30bはフェルトロ
ール13、13′を通過して余分な溶媒を除去する。その
後、洗浄溶剤シャワー装置14、14′から洗浄溶剤をシャ
ワーすることにより、残存する溶媒を完全に除去する。
洗浄溶剤は使用する溶媒に応じて適宜選択することがで
きるが、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭
化水素、塩化メチレン、四塩化炭素などの塩素化炭化水
素、三フッ化エタンなどのフッ化炭化水素、ジエチルエ
ーテル、ジオキサンなどのエーテル類、N−メチル−2
−ピロリドンなどが挙げられる。これらの溶剤はポリオ
レフィンの溶解に用いた溶媒に応じて適宜選択し、単独
もしくは混合して用いる。また、必要に応じて水等によ
り希釈して用いることもできる。なお、洗浄方法は、本
実施例のように溶剤をシャワーする方法の他、溶媒に浸
漬し抽出する方法、またはこれらの組合せによる方法な
ど、適宜選択して使用することができる。
【0035】上述のような洗浄は、延伸成形物中の残留
溶媒が1重量%未満になるまで行う。その後洗浄溶剤を
乾燥装置15で乾燥し、巻取機16により巻き取ることによ
り微多孔膜30cを得ることができる。前記洗浄溶剤の乾
燥は、加熱乾燥、風乾などの方法で行うことができる。
乾燥した微多孔膜30cは、結晶分散温度〜融点の温度範
囲で熱固定することが望ましい。この熱固定は、上記乾
燥装置での乾燥温度及び時間を調製することにより一度
に行うことができる。
【0036】以上のようにして製造したポリオレフィン
微多孔膜は、空孔率が35〜95%で、平均貫通孔径が0.00
1 〜0.5 μmで、かつ引張破断強度が300kg/cm 2以上で
ある。また本発明のポリオレフィン微多孔膜の厚さは、
用途に応じて適宜選択しうるが、一般に0.1 〜50μmで
あり、好ましくは2〜40μmにすることができる。
【0037】なお、得られたポリオレフィン微多孔膜
は、必要に応じてさらに、プラズマ照射、界面活性剤含
浸、表面グラフト等の親水化処理などの表面処理を施す
ことができる。
【0038】
【作用】本発明においては、超高分子量成分を含有する
ポリオレフィンを押出機中で溶融し、そこに溶媒を供給
することによりポリオレフィンの溶液を調製し、これを
環状ダイより押し出し冷却することによりゲル状チュー
ブ原反を形成し、このゲル状チューブ原反を加熱延伸
し、しかる後残存する溶媒を除去することによりポリオ
レフィン微多孔膜を製造している。このような方法によ
り、ポリオレフィン微多孔膜が酸化劣化することなく、
従来よりも大幅に効率よく製造することが可能である。
【0039】このような効果が得られる理由について
は、必ずしも明らかではないが、超高分子量成分を含有
するポリオレフィン溶液は、その調製に時間がかかり、
溶液の濃度の均一化が困難であり、溶液が劣化しやすい
という問題があるが、押出機中で溶融した状態の超高分
子量成分を含有するポリオレフィンに、溶媒を供給し、
さらに混練して溶液を調製することにより、短時間で高
濃度のポリオレフィンの均一な溶液を調製することがで
きるためであると考えられる。また、このような高濃度
のポリオレフィンの溶液を環状に押し出し、冷却してポ
リオレフィンを結晶化させた後にチューブ状原反を加熱
延伸するので、溶融押出後に単なるインフレーション製
膜するものに比べて、延伸による配向が十分に行われる
とともに、延伸によるポリオレフィン結晶の開裂による
微細なフィブリル化が安定して行われる。そのため、良
好な透過性と微細孔の安定した開孔性に加えて引張破断
強度や突刺強度等の優れた機械的強度を有するポリオレ
フィン微多孔膜が得られると考えられる。
【0040】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。なお、実施例
における試験方法はつぎの通りである。 (1) フィルムの厚さ:断面を走査型電子顕微鏡により測
定した(単位はμm)。 (2) 平均孔径:窒素吸脱着方式の孔径測定機(日科機
(株)製)により測定した(単位はμm)。 (3) 引張破断強度:ASTM D882 に準拠して測定した(単
位はkg/cm2 )。 (4) 通気性:JIS P8117 に準拠して測定した通気度 (単
位は秒/100cc) (5) 突刺強度:針先が0.5mmR及び1mmφの針
で、測定面積1cm2 の固定した膜を突刺した時の荷重で
示した(単位はg)。
【0041】実施例1 重量平均分子量(Mw)が2.5 ×106 の超高分子量ポリ
エチレン(UHMWPE) 24重量部と、重量平均分子量(M
w)3.5 ×105 の高密度ポリエチレン(HDPE)76重量部と
の原料樹脂と、酸化防止剤として2,6-ジ-t- ブチル-p-
クレゾール (BHT、住友化学工業(株)製)0.05 重量部
と、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4- ヒ
ドロキシルフェニル)-プロピオネート〕メタン (イルガ
ノックス1010、チバガイギー製)0.1重量部とをドライブ
レンドし、これを2軸押出機(45mmφ、L/D=48、強
混練タイプ)に投入した。またこの2軸押出機の2ヵ所
のサイドフィーダーから流動パラフィン(30Cst /40
℃)を樹脂成分の濃度が17重量%(樹脂成分+流動パラ
フィン=100 重量%)となるように供給し、200 rpm
で溶融混練して、押出機中にてポリエチレン溶液を調製
した。
【0042】続いて、この押出機の先端に設置されたギ
アポンプにより安定した吐出をし、さらにスタティック
ボールミキサー(図示せず)を通過させることにより層
流をなくした状態で、環状ダイ(温度140 ℃)から185
℃の温度で押し出し、冷却水(水温30℃)で急冷しなが
らゲル状チューブを成形した。続いてこのゲル状チュー
ブを遠赤外線セラミックヒータにより120 ℃に加熱し
て、引取速度5m/分で5倍及びブローアップ比5の条
件で同時二軸延伸を行った。得られた延伸膜を塩化メチ
レンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去した
後、乾燥してポリエチレン微多孔膜を得た。
【0043】このポリエチレン微多孔膜の組成及び製造
条件を第1表に示す。またこのポリエチレン微多孔膜の
膜厚、平均孔径、引張破断強度及び通気度の測定を行っ
た。結果を第1表にあわせて示す。
【0044】実施例2、3及び比較例1、2 実施例1において、原料樹脂における超高分子量ポリエ
チレンの割合、及びポリエチレン溶液の濃度を第1表に
示すように種々変化させた以外は、同様にしてポリエチ
レン微多孔膜を製造した。
【0045】このポリエチレン微多孔膜の組成及び製造
条件を第1表に示す。またこのポリエチレン微多孔膜の
膜厚、平均孔径、引張破断強度及び通気度の測定を行っ
た。結果を第1表にあわせて示す。
【0046】 第 1 表 組成 実施例1 実施例2 実施例3 UHMWPE(重量部) 24 26 30 HDPE(重量部) 76 74 70 濃度(重量%) ポリエチレン(1) 17 35 50 流動パラフィン 83 65 50 製造条件 押出機の回転数(rpm) 200 200 220 押出機温度(℃) 185 185 190 延伸温度(℃) 120 120 125 延伸倍率(倍) 5×5 5×5 5×5 物性 膜厚(μm) 34 34 35 平均孔径(μm) 0.03 0.04 0.03 引張破断強度(2) 540 980 1150 通気性(3) 600 850 950 突刺強度(4) 530 570 600
【0047】 注)(1)UHMWPEとHDPEとの合計。 (2)単位:kg/cm2 。 (3)単位:秒/100cc 。 (4)単位:g。 *1:ポリエチレン溶液を環状ダイより押し出してシー
ト状にすることがでなかった。 *2:スウェルが大きく成形できなかった。
【0048】第1表から明らかなように、実施例1乃至
4の方法によるポリエチレン微多孔膜は、微多孔を有
し、強度及び通気度が良好であった。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば超
高分子量成分を含有するポリオレフィンを押出機中で溶
融し、そこに溶媒を供給することによりポリオレフィン
の溶液を調製し、この溶液を環状ダイより押し出し冷却
することによりゲル状チューブ原反を形成し、このゲル
状チューブ原反を加熱延伸し、しかる後残存するパラフ
ィンオイルを除去することによりポリオレフィン微多孔
膜を製造しているので、良好な透過性と微細孔の安定し
た開孔性と特に強度に優れたポリオレフィン微多孔膜を
効率よく製造することが可能である。
【0050】このような本発明の方法によるポリオレフ
ィン微多孔膜は、リチウム電池などの電池用セパレータ
ー、電解コンデンサー用隔膜、超精密濾過膜、限外濾過
膜、各種フィルター、透湿防水衣料用多孔質膜等の各種
用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を適用しうるインフレーション製
膜装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1・・・インフレーション製膜装置 2・・・押出機 3・・・ギアポンプ 4・・・環状ダイ 5・・・冷却リング 6、6′・・・第一ニップロール 7・・・加熱装置 8・・・ブロアー 9、9′・・・第二ニップロール 10・・・反転装置 11・・・スリッタ 12・・・洗浄装置 13、13′・・・フェルトロール 14・・・シャワー装置 15・・・乾燥装置 16・・・巻取機 30a・・・ゲルチューブ原反 30b・・・延伸形成物 30c・・・微多孔膜

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 分子量7×105 以上の成分を1重量
    %以上含有するポリオレフィンを押出機中で溶融し、
    (b) 前記溶融状態のポリオレフィン10〜80重量%に対し
    て、前記溶融状態のポリオレフィンの温度で液状の溶媒
    (前記ポリオレフィンに対する良溶媒)90〜20重量%を
    押出機の途中から供給して溶融混練し、(c) 得られた混
    練物を環状ダイから押し出し、冷却してゲル状チューブ
    原反を形成し、(d) 前記ゲル状チューブ原反を加熱延伸
    し、(e) しかる後残存する溶媒を除去することを特徴と
    するポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
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