JPH07114506B2 - アナログカラー画像信号の記録・再生方式 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の技術分野） 本発明は基準色信号を含むアナログカラー画像信号を磁
気テープ，光ディスク及び光磁気ディスク等の記録媒体
へ記録・再生するアナログカラー画像信号の記録・再生
方式に関するものである。

（従来技術とその問題点） テレビジョン信号等の広帯域特性を有するアナログ画像
信号の記録・再生は一般にビデオテープレコーダ（VT
R）で利用されているように磁気テープを用いている。
しかし、近年は光ディスクや光磁気ディスクなどの光信
号を用いて記録・再生する媒体（以下、「光記録媒体」
と略す）が開発され、すでに一部が実用化されている。

第１図（ａ）から（ｅ）は従来のテレビジョン信号を光
ディスクに記録する場合における波形概略図である。

同図（ａ）は記録すべきテレビジョン信号がFM変調され
たFM変調波である。このFM変調波は振幅が一定で、情報
の信号がすべて周波数軸上に変換されている。

同図（ｂ）は音声用のFM信号波であり、同図（ａ）の映
像信号（テレビジョン信号）と合成される。同図（ｃ）
は映像信号と音声信号の加算波形図であり、この加算波
形にリミッタを挿入して振幅一定としたものが同図
（ｄ）のリミッタ波形図である。この矩形波であるリミ
ッタ波形の凸部の持続時間が光ディスクの記録信号（ピ
ット）として用いられ、同図（ｅ）のようになる。

また、光ディスクの信号再生時には、ピットが等価的に
同図（ｄ）のリミッタ波形を表わしているので、光ディ
スクからピットを忠実に読み出すことにより再生が行わ
れている。

第２図は従来の画像信号の記録方式のブロック図であ
る。

映像信号１は、テレビジョン信号（色信号を含む混合信
号）であり、プリエンファシス回路２を経てFM変換器３
に入力されFM信号として合成器４に入力される。一方、
音声信号５もプリエンファシス回路６を経てFM変調器７
によりFM変調されて合成器４に入力されて合成され、リ
ミッタ８により等価的にパルス幅変調された信号に変換
され、さらに光変調器９により強度変調あるいは磁界変
調等の変調が施されて光ディスクに電圧が正のときは例
えば“1"に電圧が負のときは“0"の形で記録される。

このようなFM変調方式を用いてテレビジョン信号を記録
する場合には、テレビジョン信号の周波数特性が4.5MHz
程度あるため、この信号をFM変調するには、最低少なく
ともテレビジョン信号帯域の２倍の帯域が必要となる、
このため、光を用いて光ディスクにテレビジョン信号を
記録する際には、光ディスクに高い周波数成分まで記録
できる広帯域性能が要求される。また、ピットの読出し
にも物理的に精度の良い読み取り装置が必要となる。

ところで、従来のFM変調方式では周波数の増大ととも
に、記録すべきピット長が小さくなり、ピット長に比べ
てピット長の精度が相対的に減小し、S/Nが低下する。
さらに、ピットの再生時にはピットの端で生ずる読出し
のゆらぎ等により周波数の増大とともにC/Nが急速に低
下するという問題点がある。なお、良好なS/Nを得るた
めには搬送周波数を低く設定すれば良いが、搬送周波数
を低くすると、パルスカウンタ方式あるいは遅延線方式
を用いた従来の復調方式では復調時に折り返し信号がベ
ースバンド信号と干渉して画質を劣化させてしまうた
め、FM変調方式ではあまり搬送周波数を低くすることが
できない。

一方、光記録媒体としては前述したように光ディスクと
光磁気ディスクがある。光ディスクは記録情報を物理的
にディスク上へ書き込むため、再生のS/Nが良くかつ同
一の記録情報を大量生産できるという利点がある反面、
記録情報を消去して再び新たな記録情報を書き込むいわ
ゆる再記録ができないという欠点を有している。一方、
光磁気ディスクは、光信号により記録・再生を行うた
め、再記録も可能でかつ多量の記録情報を書き込めると
いう利点がある反面、光ディスクに比べて再生のS/Nが
劣るという欠点を有している。

従って、広帯域特性を有するテレビジョン信号をFM変復
調方式により光磁気ディスクに記録・再生しても、S/N
が悪く実用上問題となる。

以上のように、従来のFM変復調方式を用いて広帯域特性
を有するアナログ画像信号を記録・再生する場合には、
ピット長の精度の低下あるいは折返し信号との干渉によ
り画質が劣化するという欠点があった。

（発明の目的及び特徴） 本発明は、上述した従来技術の欠点を解決するためにな
されたもので、広帯域特性を有するアナログカラー画像
信号の画質劣化が少ないアナログカラー画像信号の記録
・再生方式を提供することを目的とする。

本発明によるアナログカラー画像信号の記録・再生方式
は、基準色信号を含むアナログカラー画像信号を変調し
たのち２値信号に変換して記録媒体に記録し、該記録媒
体から読み出された該２値信号を復調して該アナログカ
ラー画像信号を再生するアナログ画像信号の記録・再生
方式において、前記アナログカラー画像信号から前記基
準色信号を抽出する手段と、該基準色信号に同期し、か
つ該基準色信号の周波数の２倍の周波数を有する搬送波
を作成する搬送波作成手段と、前記アナログカラー画像
信号と該搬送波とを入力して搬送波抑圧両側帯波振幅変
調波を作成する変調手段と、前記搬送波の位相を調整し
て前記搬送波抑圧両側帯波振幅変調波の位相と前記搬送
波の位相とが、約π/2だけ相異なるようにする位相調整
手段と、該位相調整手段により調整された搬送波と前記
変調波とを合成して前記の位相調整された搬送波を前記
アナログカラー画像信号で位相変調した等価的PM変調波
を出力する位相変調信号再生手段と、該位相変調信号作
成手段により得られる等価的PM波の振動を一定にする第
１のリミッタとを用いて前記記録媒体への記録を行うよ
うにし、前記記録媒体から読み出された情報のAM成分を
除去する第２のリミッタと、該第２のリミッタの出力に
得られる等価的PM波を復調する復調手段とを用いて前記
アナログカラー画像信号の再生をするように構成された
ことを特徴とするものである。

（発明の構成及び作用） 以下に、図面を用いて本発明を詳細に説明する。

第３図は本発明の基本構成と動作原理を説明するための
映像信号の記録・再生方式の構成図であり、20はアナロ
グカラー画像信号としてのテレビジョン信号で輝度信
号，基準色信号を含んだ信号（TV信号）が入力される入
力端子、21はTV信号の高域成分を強調するエンファシス
回路、22はTV信号に含まれている基準色信号（周波数
f₀）の２倍の周波数2f₀を有する搬送波をエンファシス
回路21の出力のTV信号で振幅変調するためのバランスド
変調器、23はバランスド変調器22の出力と後述する位相
調整された搬送波とを加算するための加算器、24は記録
するのに必要なVSB（残留側帯波信号）もしくはDSB（両
側帯波信号）成分を取り出すためのフィルタ、25は一定
の振幅に波形整形するためのリミッタ、26はTV信号から
基準色信号（3.58MHz）を取り出すためのフィルタ、27
は基準色信号の周波数を２逓倍するための逓倍回路、28
はバランスド変調器22の出力と逓倍回路27の出力とが約
π/2位相が異なるように調整するための位相調整器であ
り、以上までにより変調部Ａを構成している。

次に本発明による変調部Ａの動作について、バランスド
変調器22及び位相調整器28を主に説明する。

第４図（ａ）は本発明に用いるバランスド変調器22の一
構成図、同図（ｂ）はバランスド変調器22の入出力スペ
クトル図である。

同図において、50はエンファシス回路21からのTV信号が
入力するTV信号入力端子、51は逓倍回路27からの搬送波
が入力する搬送波入力端子、52は振幅変調された変調波
の出力端子であり、TV信号入力端子50におけるスペクト
ルPiは振幅変調されて搬送波Ｃの周波数2f₀を中心とし
て上側帯波S_UのスペクトルP_Uと下側帯波S_Lのスペクトル
P_Lとが左右対称に出力される。なお、バランスド変調器
22では搬送波Ｃが抑圧され、理想的動作では搬送波Ｃは
存在しない。

次にバランスド変調器22により振幅変調されたTV信号が
どのようにして位相変調（以下、「PM変調」と称す）さ
れるかについて説明する。

第５図（ａ）は本発明によるバランスド変調器22の出力
である変調波成分のベクトル図、第５図（ｂ）は加算器
23の出力のベクトル図をそれぞれ示す。

第３図において、バランスド変調器22は第５図（ａ）の
如く、上側帯波S_Uと下側帯波S_Lの合成ベクトル成分S₀を
出力する。この場合、前述したように変調器22の出力に
は搬送波Ｃが出力されない。

一方、基準色信号フィルタ26及び逓倍回路27により作成
された搬送波Ｃ（周波数は3.58MHz×２）は、位相調整
器28によりバランスド変調器22の出力である合成ベクト
ルS₀と直交するように位相調整されて搬送波Ｃ′とな
る。従って、加算器23ではバランスド変調器22の出力S₀
と位相調整された搬送波Ｃ′とが合成されてベクトルＱ
を得る。このベクトルＱと搬送波Ｃ′とのなす角θは、
上下側帯波の合成ベクトルS₀の量によって変化し、等価
的にPM変調されたことになる。この場合、上側帯波S_Uも
しくは下側帯波S_Lの成分をフィルタ24により除去して
も、振幅変調を受けているが、PM変調波としての特性は
変化せず、単に変調度が1/2となるだけである。よっ
て、バランスド変調器22の出力のうち上側帯波S_Uを除去
してから加算器23で搬送波Ｃ′と加算しても良い。

加算器23の出力である等価的なPM変調波は、フィルタ24
及びリミッタ25を介して記録媒体装置29に記録される。

次に、復調部Ｂは記録媒体装置29内の光検出器（図示せ
ず）からの読み出された信号が同一のスペクトルを持つ
両側帯波成分を有しているため、この両側帯波成分のう
ちS/Nを改善するために上側帯波成分を除去するフィル
タ30、AM成分を除去するリミッタ31、読み出された情報
信号をPM復調するPM復調器32、高域成分を低減するデエ
ンファシス回路33により構成されており、出力端子34か
らTV信号が出力される。

第６図は本発明に用いるPM復調器32の一構成図である。

まず、リミッタ31の出力は位相同期回路35に入力され
る。この位相同期回路35において、位相検波器36には入
力信号と電圧制御発振器（以下、「VCO」と称す）37の
出力が入力され、両者の位相差が検出され、LPF38に入
力される。ここで、不要高周波成分が除去され、増幅器
39に入力され、この出力でVCO37が前記の位相差が減少
するように周波数を制御される。従って、最終的にはVC
O37の出力周波数は入力信号の搬送波周波数2f₀の平均値
と同一となる。一方、位相同期回路35の入力側で２分さ
れた信号は、VCO37の出力とともに位相検波器41に入力
される。この場合、VCO37の出力位相は位相調整器40で
調整され、入力信号の位相偏移量に応じた出力が出るよ
うになる。

なお、この位相検波器41に入力されるVCO37の出力レベ
ルはリミッタ31の出力レベルよりも充分高いように設定
される。

本発明の変調部Ａにおいて、搬送波Ｃの周波数を基準色
信号の２倍に選定してあるため、PM復調器32ではPM信号
の下側帯波と折返し信号の色信号とが同一周波数とな
る。従って、本発明では折返し信号の干渉により生ずる
画質の劣化を防ぐことができる。

なお、復調部Ｂのフィルタ30は記録媒体装置29内の光検
出器からのC/Nが充分大きく、かつ記録媒体装置29の周
波数帯域が充分高い場合には用いなくとも良い。さら
に、PM復調器32の出力側に復調後の周波数振幅特性及び
位相特性を補償するための等化器を必要に応じて挿入し
ても良い。

以上の説明では映像信号に付帯する音声信号について何
ら触れなかったので、次に映像信号と音声信号とを含め
た構成について述べる。なお、以下の説明では、第３図
と同一構成については同一番号を付し、説明の重複を省
く。

第７図は本発明の具体的実施例であり、映像及び音声信
号を含むTV信号の変・復調の構成図である。

入力端子60から入力された音声信号は周波数変換器61に
より所定の周波数に変換されて加算器23にバランスド変
調器22の出力であるテレビジョン信号変調波と合成され
る。このときのスペクトルの１例を第８図に示す。音声
信号A_Lはテレビジョン変調信号の下側帯波S_Lより低い周
波数帯に乗せた場合であるが、場合によっては音声信号
A_Uを点線で示したように、テレビジョン信号の上側帯波
S_Uより高い周波数帯に配置しても良い。

一方、復調側では、第７図に示すように、音声信号をフ
ィルタ62で抽出し、リミッタ63を経てPM復調器64で検波
されて出力端子65より出力される。

（発明の効果） 以上のように、本発明は基準色信号を含むアナログカラ
ー画像信号により搬送波を等価的にPM変調し、これの復
調を行うことにより、ビット長の精度を相対的に低減さ
せることなく、かつ復調時における折返し信号の干渉も
防止できると共にPM復調器64では両側帯波が左右対称に
出力されるため、上側帯波を除去して低周波数帯で使用
できるので高品質のアナログ画像信号を記録・再生する
ことが可能となる。従って、比較的C/Nが小さい光磁気
ディスクにも適用可能となり、その効果は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の記録方式の波形図、第２図は従来の記録
方式の構成図、第３図は本発明による映像信号の記録・
再生方式の構成例を示すブロック図、第４図（ａ）は本
発明に用いるバランスド変調器の概略図、第４図（ｂ）
はバランスド変調器の入出力スペクトル図、第５図
（ａ）及び（ｂ）は本発明によるPM変調を説明するため
のベクトル図、第６図は本発明に用いるPM復調器の一構
成例図、第７図は本発明によるTV信号の記録・再生方式
の構成例を示すブロック図、第８図は本発明による映像
信号と音声信号のスペクトル図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】基準色信号を含むアナログカラー画像信号
   を変調したのち２値信号に変換して記録媒体に記録し、
   該記録媒体から読み出された該２値信号を復調して該ア
   ナログカラー画像信号を再生するアナログ画像信号の記
   録・再生方式において、 前記アナログカラー画像信号から前記基準色信号を抽出
   する手段と、 該基準色信号に同期し、かつ該基準色信号の周波数の２
   倍の周波数を有する搬送波を作成する搬送波作成手段
   と、 前記アナログカラー画像信号と該搬送波とを入力して搬
   送波抑圧両側帯波振幅変調波を作成する変調手段と、 前記搬送波の位相を調整して前記搬送波抑圧両側帯波振
   幅変調波の位相と前記搬送波の位相とが、約π/2だけ相
   異なるようにする位相調整手段と、 該位相調整手段により調整された搬送波と前記変調波と
   を合成して前記の位相調整された搬送波を前記アナログ
   カラー画像信号で位相変調した等価的PM変調波を出力す
   る位相変調信号再生手段と、 該位相変調信号作成手段により得られる等価的PM波の振
   動を一定にする第１のリミッタとを用いて前記記録媒体
   への記録を行うようにし、 前記記録媒体から読み出された情報のAM成分を除去する
   第２のリミッタと、 該第２のリミッタの出力に得られる等価的PM波を復調す
   る復調手段とを用いて前記アナログカラー画像信号の再
   生をする ように構成されたことを特徴とするアナログカラー画像
   信号の記録・再生方式。