JPH07113216A - 津波防波堤 - Google Patents

津波防波堤

Info

Publication number
JPH07113216A
JPH07113216A JP28190093A JP28190093A JPH07113216A JP H07113216 A JPH07113216 A JP H07113216A JP 28190093 A JP28190093 A JP 28190093A JP 28190093 A JP28190093 A JP 28190093A JP H07113216 A JPH07113216 A JP H07113216A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tsunami
breakwater
energy
overflow
bay
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28190093A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazumitsu Takanashi
和光 高梨
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Construction Co Ltd, Shimizu Corp filed Critical Shimizu Construction Co Ltd
Priority to JP28190093A priority Critical patent/JPH07113216A/ja
Publication of JPH07113216A publication Critical patent/JPH07113216A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Revetment (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 浅海域において、津波のエネルギーを有効に
減衰させる。 【構成】 堤体10の天端面のほぼ中央位置を切欠いて
津波の一部を越波させる越流開口20を設ける。このと
き越流開口20の底部に鋸歯状の粗度面21を形成し、
堤体10を津波来襲のおそれのある湾部の浅海域に設置
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は津波防波堤に係り、特に
浅海域に設置され、津波のエネルギーを減衰させ、沿岸
の津波被害を最小限にする津波防波堤に関する。
【0002】
【従来の技術】我国は、地球規模にみて地震多発地帯に
位置する上、四方が海に囲まれた島国である。このため
過去の歴史において、地震による直接被害に加え、海岸
地域では津波による被害が繰り返されてきた。ところ
で、津波は海底の地震、噴火等の地殻変動によってその
地点の海底プレートが垂直方向に偏位してズレが生じ、
そのズレが海底から海面までの間の海水に伝わって海面
に波長の長い波が発生し、発生点から四方八方に伝わり
陸上部に向かって伝わっていく現象で、海岸線近くの浅
海域で急激に波高が大きくなり、巨大なエネルギーを持
ったまま陸上部にはい上がっていく。この現象は「遡
上」と呼ばれ、津波の遡上した地域では海岸線近くの低
い土地に建てられた家屋等は津波が押し寄せる力でなぎ
倒されてしまう。そして遡上が頂点に達し力が弱まると
同時に、押し寄せた津波(海水)は猛烈な勢いで引いて
いく。この「引き」の時に多くの人々や路上の車や破壊
された家屋が海水とともに海にさらわれてしまい、引い
た後の陸上部には何も残らなかったという状況が多く報
告されている。このように津波は発生頻度は少ないもの
の発生した時の被害は甚大である。そこで、津波の被害
を無くすために総合的な津波対策が講じられてきた。
【0003】津波の来襲のおそれのある海岸地域では各
種の津波対策施設の建設が進められている。そのひとつ
に津波防波堤がある。津波防波堤は入り込んだ湾の湾口
に建設され、津波波高や流勢を減殺して津波の到達時間
を遅らせるとともに、湾の形状を変えることで湾水の固
有振動周期を変え、外洋から押し寄せる津波の周期成分
に対して湾水が共振して津波波高が異常に大きくならな
いように設計されている。これにより湾内に到達する津
波の波高をおさえて陸上部への遡上が最小となるように
している。
【0004】このような津波防波堤の我国における施工
例としては大船渡湾口津波防波堤が知られており、現在
建設中のものに釜石湾口津波防波堤がある。既に完成し
ている大船渡湾口津波防波堤は幅約700m、最大水深
が約38mある湾口部に建設された堤長約740mの長
大防波堤で、中央位置に幅約200m、水深D.L−1
6mの開口部が設けられている。この開口部は前記長大
防波堤の一部を潜堤構造としたもので、通常時の船舶の
航路確保と、津波来襲時の海水の湾内への流入量の制限
を目的としている。一方、釜石湾口津波防波堤は図7及
び図8に示したように、幅約2100m、水深約60m
に達する湾口部に、北堤50(L=990m)、南堤5
1(L=670m)とが湾口52を塞ぐように建設され
ている。水深−60m地点での津波防波堤は図8に示し
たように天端高が35mにもなる捨石マウンド53を構
築し、その上に消波スリット54が形成されたケーソン
55を設置した構造となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述したよう
な巨大な津波防波堤を建設するには膨大な建設費と工事
期間が長期にわたるという問題がある。また、実際にこ
のような巨大な構造物が建設されると、近隣港湾の潮汐
や周辺海域の生態系等の環境に大きな変化が生じるおそ
れもある。さらに、津波はあらゆる海域で発生する可能
性があり、津波の到達する海岸線の地形も多様である。
そのため大船渡湾や釜石湾(図7参照)のある三陸海岸
のように湾口幅の狭い沿岸地域では有効とされる津波防
波堤も、別のところではほとんど効果がないか、または
津波防波堤の建設そのものができないという欠点もあ
る。
【0006】そこで、本発明の目的は上述した従来の技
術が有する問題点を解消し、津波の持つ波動エネルギー
を海岸線に近い浅海域で減殺し、津波被害を有効に防止
するようにした津波防波堤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は堤体天端面の所定位置を切欠いて津波の一
部を越波させる越流開口を設け、該越流開口の周面の少
なくとも一部に粗度面を形成し、該堤体を津波来襲のお
それのある湾部の浅海域に設置するようにしたことを特
徴とするものである。
【0008】
【作用】本発明によれば、堤体天端面の所定位置を切欠
いて津波の一部を越波させる越流開口を設け、該越流開
口の周面の少なくとも一部に粗度面を形成し、該堤体を
津波来襲のおそれのある湾部の浅海域に設置するように
したので、津波の有する波動エネルギーを流れのエネル
ギーとして変換し、所定の粗度面を通過させることで乱
れを生じさせエネルギーを減衰させ、陸上部に到達させ
ないか、陸上部に到達しても遡上挙動を最小限に押さえ
ることができる。
【0009】
【実施例】以下本発明による津波防波堤の一実施例を添
付図面を参照して説明する。図1は海岸線付近の浅海域
に建設された本発明による津波防波堤の一例を示した概
略斜視図である。この津波防波堤10は堤長が20〜4
0m程度に設定された離岸堤タイプの津波防波堤で、基
礎捨石等(図示せず)を敷設して形成した海底基盤上に
鉄筋コンクリートケーソンを載置した構造からなり、防
波堤天端10aのほぼ中央位置には越流開口20が形成
されている。越流開口20は図2(a)に示したように
湾外に面した側の開口幅(a)が湾内側の開口幅(b)
より大きく設定された平面形状が略台形形状をなした切
欠構造をなしている。したがって図1に示したように津
波が矢印のようにこの津波防波堤10に押し寄せ、波高
が上昇した際にその一部のその表面流が越流開口20に
流れ込んで津波防波堤部分を通過する。その際、越流開
口20の天端面には制水工としての粗度(ラフネス)面
21が形成されており、この粗度面上を通過する越流海
水は通過時に移動エネルギーを消費し、津波防波堤10
の後端部10bから水面に落下する「段下り」により保
有エネルギーがさらに低減される。
【0010】また、津波防波堤10の堤高は図2(b)
に示したように計画高潮位(H.H.W.L)を上回る
高さに設定されている。具体的には再現期間10年の津
波時の最高潮位が用いられている。さらに越流開口20
の天端高さは高潮位(H.W.L)とほぼ等しく設定さ
れ、このときの波高としては50年確率で発生来襲する
高波が設定されている。また、海域の状況によっては平
均海水面(M.W.L)を越流開口20の天端高さに設
定することもできる。このように津波の波高は湾内の浅
海域に達した際に湾の形状、湾水の固有振動周期との関
係で著しく波高が変化するので、前記設計値設定に際し
ては建設の対象となる海域の特性や海洋データを踏まえ
て設定することが好ましい。
【0011】また、越流開口20を越波して流れる津波
の流れとしての縮流率は図2(a)に示した越流開口2
0の開口前端20aと開口後端20bとの開口比(a/
b)で規定することができる。その値は越流部天端の粗
度によっても異なるが、a/b>2以上とすることが好
ましい。また、越流効率の点から後端開口幅(b)はb
>1mとすることが好ましい。
【0012】図3は変形例として越流開口20部分の側
面22を階段状に仕上げた津波防波堤10を示してい
る。この変形例によれば、この部分を通過越流する津波
の水位が変化するのに応じてさらに移動エネルギーを減
衰させることができる。また、階段状になっているため
津波防波堤10天端部分を歩行でき、メンテナンス作業
時における作業の安全性を確保することができる。
【0013】図4は越流開口20の天端面に形成された
粗度面21の形状を示したものである。同図(a)〜
(c)はケーソンの蓋コンクリート上に一体的に打設さ
れた上部コンクリートの表面に形成された粗度面21の
例を示したもので、同図(a)は図1にも示した鋸波状
に形成された粗度面21を示しており、矢印方向から流
れ込む海水がこの部分を通過する際に流れが乱されるこ
とにより津波の持つエネルギーの一部が効率よく消費さ
れる。同図(b)は変形例として台形断面が連続した粗
度面21が形成された例を示している。この粗度面21
は施工時の型枠工が容易で、また細かい段下り部が連続
して形成されているので、エネルギー減衰効果が大きい
という利点がある。図4(c)は偏平な角柱形状の突起
24を平面的に千鳥状に形成した粗度面21を示してお
り、基面に沿って流れる津波の流れに対して2次元的な
乱れを生じさせることができる。なお、(a)〜(c)
に示した粗度面21は現場打ちコンクリートにより形成
しても良いし、プレキャストコンクリートとして製造し
たものを現場に搬入してケーソン上に堅固に固着しても
良い。同図(d)は大きな寸法の割石25をケーソンの
上面に形成されたコンクリート製枠体(図示せず)内に
密な状態に詰め込み、割石の半分程度の高さまで充填コ
ンクリート26を打設して空隙部分を固めて割石露出部
分で粗度面21を構成するようにした変形例を示したも
のである。このような天然石からなる粗度面21は耐久
性に優れるという利点を有する。
【0014】次に、前述の津波防波堤10を適用した小
漁港の例を図5及び図6を参照して説明する。図5は防
波堤に囲まれた船泊まり30を有する漁港の入口付近に
津波防波堤10を建設した例を示しており、矢印のよう
に押し寄せると予想される津波の進行方向に対して離岸
堤構造の津波防波堤10が複数基配置されている。本例
では津波が押し寄せる前面には3基の津波防波堤10が
ほぼ横一線になるように所定間隔をあけて配置され、こ
の第1列目の津波防波堤10の間を通り抜けた津波を受
けるように後方位置に離れて第2段目の津波防波堤10
が配置されている。このとき第1段目の津波防波堤10
により偏向した流れが脇に逸れて遡上して海岸線沿いに
ある民家32等を押し流さないように予想される津波の
流れに沿って津波導流堤31を陸上に建設することも好
ましい。この津波導流堤31は図示したように陸上に遡
上した津波の向きを偏向させるように構築され、この津
波導流堤31に衝突した津波は再び海上に流れ込むよう
に流れの向きを変え、海上に戻される。これにより地上
への津波の遡上と引きとにより建築物等が根こそぎにさ
れるのを防止することができる。
【0015】図6は浅海域に建設された比較的長い堤長
を有する津波防波堤10の一例を示した概略平面図であ
る。図6に示したように漁港30への航路33を確保し
た上で湾内の海岸線への津波の到達を全域にわたって遮
断するような津波防波堤10を建設することも可能であ
る。この場合、前述の越流開口20は長く延設された津
波防波堤10の天端に所定間隔で形成するようにし、通
常は約20mに1箇所の間隔で形成しておくことが好ま
しい。
【0016】さらに津波防波堤10を越波するような津
波に対して越波後の津波エネルギーを減衰させるために
図5及び図6に示したような消波ブロック35を投入し
て消波工を併設することが好ましい。特に津波が浅海域
に到達し、海底の変化により砕波、段波として海岸線に
押し寄せるようになった場合に消波効果が十分発揮され
る。
【0017】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、浅海域で津波のエネルギーを効率よく減衰さ
せることができるので、海岸線への到達の大幅に減じる
ことができ、陸上への遡上及び引きによる陸上部での被
害を防ぐことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による津波防波堤の一実施例を示した概
略斜視図。
【図2】本発明の津波防波堤の一例を示した平面図、断
面図。
【図3】津波防波堤の越流開口の変形例を示した正面
図、平面図。
【図4】各種の粗度面の例を示した部分拡大斜視図。
【図5】津波防波堤の設置例を示した概略平面配置図。
【図6】津波防波堤の設置例を示した概略平面配置図。
【図7】従来の津波防波堤の設置例を示した概略平面配
置図。
【図8】従来の津波防波堤の構造の一例を示した概略部
分断面図。
【符号の説明】
10 津波防波堤 20 越流開口 21 粗度面

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】堤体天端面の所定位置を切欠いて津波の一
    部を越波させる越流開口を設け、該越流開口の周面の少
    なくとも一部に粗度面を形成し、該堤体を津波来襲のお
    それのある湾部の浅海域に設置するようにしたことを特
    徴とする津波防波堤。
JP28190093A 1993-10-15 1993-10-15 津波防波堤 Pending JPH07113216A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28190093A JPH07113216A (ja) 1993-10-15 1993-10-15 津波防波堤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28190093A JPH07113216A (ja) 1993-10-15 1993-10-15 津波防波堤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07113216A true JPH07113216A (ja) 1995-05-02

Family

ID=17645529

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28190093A Pending JPH07113216A (ja) 1993-10-15 1993-10-15 津波防波堤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07113216A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013181331A (ja) * 2012-03-01 2013-09-12 Shimizu Corp 防波構造物
JP2013194501A (ja) * 2012-03-19 2013-09-30 Matsushita Hiromi 海中津波防波堤

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013181331A (ja) * 2012-03-01 2013-09-12 Shimizu Corp 防波構造物
JP2013194501A (ja) * 2012-03-19 2013-09-30 Matsushita Hiromi 海中津波防波堤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007262890A (ja) 透過型海域制御構造物およびその構築方法
CN111648299A (zh) 基于密排斜桩的挡浪高桩码头及其施工方法
JP2006257841A (ja) 津波水門
Burcharth et al. Types and functions of coastal structures
JPH07113219A (ja) 多段津波防波堤
RU195367U1 (ru) Модуль сборного гидротехнического сооружения
JPH07113216A (ja) 津波防波堤
CN216864997U (zh) 一种多级消浪海堤结构
JPH10331128A (ja) 潜堤用消波ブロック及び潜堤
JP4067705B2 (ja) 鋼板セル型構造物からなる透過式消波堤
JPH1150426A (ja) 消波構造体及びそれを用いた防波堤並びに消波構造体の構築方法
CN220225110U (zh) 海岸带泥沙侵蚀防护结构
JP3055895B2 (ja) 波浪制御構造物及びその施工方法
JP2519173B2 (ja) コンクリ―ト護岸ブロックとこのコンクリ―ト護岸ブロックの敷設方法
JP3390128B2 (ja) 防波堤及びその構築方法
JP2520363B2 (ja) 傾斜堤
JP3112741B2 (ja) 防波堤
JPH07113217A (ja) 陸上導流堤
JP3760738B2 (ja) 港湾構造物
KR20060101409A (ko) 해안침식방지삼발이
US3890790A (en) Anti-heave protective system
JPH0823129B2 (ja) 2重傾斜式消波堤
JP2000319840A (ja) 潮位の変動に対応した海水交換型防波堤
JP2022062432A (ja) 潜堤構造物
JP2881725B2 (ja) 消波敷設体とそれを使用した消波構造物