JPH07112450A - 熱可塑性樹脂の射出成形方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂の射出成形方法

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JPH07112450A
JPH07112450A JP28208693A JP28208693A JPH07112450A JP H07112450 A JPH07112450 A JP H07112450A JP 28208693 A JP28208693 A JP 28208693A JP 28208693 A JP28208693 A JP 28208693A JP H07112450 A JPH07112450 A JP H07112450A
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injection molding
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武志 藤代
Toshiaki Izumida
敏明 泉田
Kazuyuki Akahori
和之 赤堀
Yoshiaki Yamamoto
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Dai Nippon Toryo KK
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    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/16Making multilayered or multicoloured articles
    • B29C45/1679Making multilayered or multicoloured articles applying surface layers onto injection-moulded substrates inside the mould cavity, e.g. in-mould coating [IMC]

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Abstract

(57)【要約】 【目的】熱可塑性樹脂の射出成形工程内で、各種の機能
を有する皮膜を樹脂の表面上に容易に形成することがで
きる熱可塑性樹脂の射出成形方法を提供する。 【構成】熱可塑性樹脂の射出成形方法は、金型22,2
4に設けられたキャビティ50内に熱可塑性樹脂から成
る溶融樹脂を射出した後、キャビティ内の樹脂40Aと
キャビティ50表面との間に形成された空間50内に皮
膜原料82を注入し、キャビティ内の樹脂表面に皮膜を
形成することを特徴とする。キャビティ内の樹脂とキャ
ビティ表面との間の空間の形成は、キャビティ内に射出
された溶融樹脂の冷却・固化、通常必要とされる圧力よ
りも低い圧力でのキャビティ内の樹脂への加圧、可動金
型部分あるいはその一部の固定金型部分からの離間によ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂から成る
射出成形品の表面に各種の機能を有する皮膜を容易に形
成し得る、熱可塑性樹脂の射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂から成る射出成形品の表面
特性の改質を目的として、射出成形品の表面に各種皮膜
を形成する場合がある。このような皮膜として、例え
ば、塗料皮膜、ハードコート皮膜、紫外線防止皮膜、防
曇皮膜等を挙げることができる。通常、射出成形方法に
て射出成形品を製造した後、別工程にて射出成形品の表
面に各種の機能を有する皮膜を形成する。皮膜の形成方
法としては、例えば、皮膜原料のスプレー、射出成形品
の液状皮膜原料への浸漬等を挙げることができる。この
ような工程を経るために、表面に皮膜が形成された最終
製品が得られるまでの工程が多岐に亙る。そのため、こ
のような射出成形品においては、最終製品に至るまでの
製造工程の削減、製造設備の縮小、加工・処理時間の短
縮、製造コストの低減等が大きな課題である。
【0003】SMC(シートモールディングコンパウン
ド)、BMC(バルクモールディングコンパウンド)等
の熱硬化性樹脂の圧縮成形や射出成形においては、成形
工程中に製品の表面に皮膜を形成する方法が幾つか提案
されている。例えば特公昭55−9291号公報には、
上部金型と下部金型との間にSMC材料を供給し両方の
金型を閉じ圧縮成形した後、両方の金型の密閉状態を維
持したまま離間し、上部金型と部品との間に生じる空間
中に被覆剤を射出する方法が提案されている。また特公
平4−33252号公報には、上部金型と下部金型との
間にSMC材料を供給し両方の金型を閉じ圧縮成形した
後、金型と成形品との間に生じている圧縮圧力を大きく
越える圧力で、金型と成形品との間に被覆剤を射出する
方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの方法は、SM
Cの圧縮成形で問題となる孔、ひけ等の成形品表面の欠
陥を隠蔽するのには極めて有用な方法である。しかしな
がら、熱可塑性樹脂の射出成形においては、一般に、一
定の型締め力を加えた状態で金型を離間させることなく
一連の成形が行われること、型締め力を成形品で受ける
のでなく成形用の金型で受けることなどが熱硬化性樹脂
等の圧縮成形と大きく異なるため、これらの公報に開示
された技術を熱可塑性樹脂の射出成形方法へ適用するこ
とは困難であった。
【0005】即ち、これらの公報に開示されているSM
Cなどの熱硬化性樹脂の圧縮成形においては、成形加工
過程全般に亙り、成形材料が移動金型部分によって常に
圧縮力を付与されている。そのため、成形材料表面に皮
膜原料を注入するためには、金型を一旦開いて移動金型
部分による圧縮力を開放し、金型と成形材料との間に空
間を設けたり(特公昭55−9291号公報)、あるい
は又、移動金型部分の圧縮力を大きく越える圧力で皮膜
原料を注入する(特公平4−33252号公報)必要が
ある。
【0006】熱可塑性樹脂の射出成形方法においては、
型締めを行っている間においてもキャビティ内の樹脂が
収縮し、キャビティ内の樹脂表面とキャビティ内面との
間に少なからぬ空間が形成されるため、必ずしも金型を
開いて型締め力を開放する必要がない。また、型締め力
を大きく越える圧力で皮膜原料を注入した場合、金型係
合部分から皮膜原料の漏れが生じ大変危険である等の問
題が多々ある。
【0007】従って、本発明の目的は、熱可塑性樹脂の
射出成形工程内で、各種の機能を有する皮膜を樹脂の表
面上に容易に形成することができる熱可塑性樹脂の射出
成形方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法は、金型に設
けられたキャビティ内に熱可塑性樹脂から成る溶融樹脂
を射出した後、キャビティ内の樹脂とキャビティ表面と
の間に形成された空間内に皮膜原料を注入し、キャビテ
ィ内の樹脂表面に皮膜を形成することを特徴とする。
【0009】本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法にお
ける第1の態様においては、金型を閉じ且つ金型の型締
め力を保持した状態で、キャビティ内に射出された溶融
樹脂を冷却・固化させることによって、キャビティ内の
樹脂とキャビティ表面との間に空間を形成する。この場
合、冷却・固化後の樹脂の厚さ方向の収縮率が0.5乃
至20%、より好ましくは10乃至20%となるように
溶融樹脂を冷却・固化させることが望ましい。樹脂の厚
さ方向の収縮率とは、射出成形品の主要部を構成する均
一な肉厚の面領域における厚さ方向の収縮率を指し、以
下の式から求めることができる。 収縮率=(t0−t)/t0 × 100 (%) ここで、t0は、射出成形品の主要部を構成する均一な
肉厚の面領域に相当するキャビティの厚さであり、t
は、形成された皮膜の厚さを減じた射出成形品の主要部
を構成する均一な肉厚の面領域の厚さである。
【0010】この熱可塑性樹脂の射出成形方法における
第1の態様においては、キャビティへの溶融樹脂の射出
後、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、
通常必要とされる圧力よりも低い圧力でキャビティ内の
樹脂を加圧する工程を含めることができる。この場合、
通常必要とされる圧力よりも低い圧力は、通常必要とさ
れる圧力の30乃至90%、より好ましくは40乃至6
0%であることが望ましい。ここで、通常必要とされる
圧力とは、射出成形品の表面に皮膜を形成しない通常の
熱可塑性樹脂の射出成形方法において、射出成形品にひ
けやボイドが発生することを防止し、且つ離型作業に支
障をきたさない程度に、キャビティ内に射出された樹脂
に加えられる圧力を指す。
【0011】あるいは又、キャビティへの溶融樹脂の射
出後、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態
で、通常必要とされる圧力で、しかも通常必要とされる
時間よりも短い時間、キャビティ内の樹脂を加圧する工
程を含めることができる。この場合、通常必要とされる
時間よりも短い時間は、通常必要とされる時間の20乃
至80%、より好ましくは30乃至50%であることが
望ましい。ここで、通常必要とされる時間とは、それ以
上の時間キャビティ内の樹脂を加圧しても射出成形品の
重量が殆ど増加しない時間、あるいは、ひけやボイドの
発生を抑制しつつ離型性に悪影響を及ぼさない時間を指
す。
【0012】更に、本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方
法における第2の態様においては、金型は固定金型部分
と可動金型部分から成り、金型を閉じ且つ金型の型締め
力を保持した状態で、可動金型部分の一部をキャビティ
内の樹脂表面から離間させることによって、キャビティ
内の樹脂とキャビティ表面との間に空間を形成する。こ
の場合、金型の型締め力は、一定であっても、逐次変化
させてもよい。例えば、溶融樹脂の冷却・固化の間に金
型の型締め力を段階的に減少させてもよい。
【0013】本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法にお
ける第3の態様においては、金型は固定金型部分と可動
金型部分から成り、金型を閉じ且つ金型の型締め力を開
放した状態で、可動金型部分を固定金型部分から離間さ
せることによって、キャビティ内の樹脂とキャビティ表
面との間に空間を形成する。
【0014】本発明の射出成形方法に適用可能な熱可塑
性樹脂としては、PS、HIPS、ABS、PP、PM
MA等の汎用樹脂、PC、変性PPE、PA、PET、
PBT、PPS、液晶ポリエステル樹脂等のエンジニア
リングプラスチックス、又は、これらの組み合わせによ
るポリマーアロイ、更には、ポリマーアロイを含むこれ
らの材料を繊維系フィラー、鱗片状フィラー等で補強し
た複合材料を挙げることができる。尚、使用する熱可塑
性樹脂は、特に限定されないが、使用する皮膜原料との
相性によって制限を受ける場合がある。
【0015】本発明の射出成形方法に適用可能な皮膜原
料としては、アルキド樹脂系、エポキシ樹脂エステル
系、脂肪酸変性ウレタン樹脂系等の酸化重合型塗料、エ
ポキシ樹脂系、ポリウレタン系、不飽和ポリエステル系
等の多液反応型塗料、アルキド樹脂系、エポキシ樹脂
系、ポリウレタン系、ビニル樹脂系等の加熱硬化型塗
料、あるいはこれらの塗料に金属粉、特殊顔料、紫外線
吸収剤等の特殊添加剤等を混合させた各種機能性塗料、
フッ素樹脂系ラッカー、シリコン樹脂系ラッカー、シラ
ン系ハードコート剤等のハードコート剤等を例示するこ
とができる。
【0016】
【作用】本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法において
は、キャビティ内に熱可塑性樹脂から成る溶融樹脂を射
出した後、キャビティ内の樹脂とキャビティ表面との間
に形成された空間内に皮膜原料を注入し、キャビティ内
の樹脂表面に皮膜を形成する。キャビティ内の樹脂とキ
ャビティ表面との間の空間の形成は、キャビティ内に射
出された溶融樹脂の冷却・固化、可動金型部分の固定金
型部分からの離間、あるいは、可動金型部分の一部のキ
ャビティ内樹脂表面からの離間による。従って、熱可塑
性樹脂の射出成形工程内で、即ち、溶融樹脂の射出から
射出成形品の金型からの離型までの工程内で、各種の機
能を有する皮膜を樹脂の表面上に容易に形成することが
できる。
【0017】
【実施例】以下、実施例に基づき、本発明の熱可塑性樹
脂の射出成形方法を図面を参照して説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0018】(実施例1)実施例1は、本発明の熱可塑
性樹脂の射出成形方法における第1の態様に関する。即
ち、図2〜図4に示すように、金型に設けられたキャビ
ティ50内に熱可塑性樹脂から成る溶融樹脂40を射出
した後、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ5
0表面との間に形成された空間52内に皮膜原料80を
注入し、キャビティ50内の樹脂40A表面に皮膜82
を形成する。実施例1においては、金型を閉じ且つ金型
の型締め力を保持した状態で、キャビティ50内に射出
された溶融樹脂を冷却・固化させることによって、キャ
ビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50表面との間
に空間52を形成する。即ちキャビティ50内の樹脂4
0Aが冷却・固化する際の樹脂の体積収縮によって、キ
ャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50表面との
間に空間52が形成される。その後、皮膜原料80を空
間52に注入する。
【0019】実施例1の熱可塑性樹脂の射出成形方法の
実施に適した射出成形装置全体の概要を、図1に示す。
射出成形装置は、熱可塑性樹脂供給用スクリュー10を
内部に有する射出シリンダー12、固定プラテン20、
移動プラテン24、タイバー32、金型締用油圧シリン
ダー30から構成されている。移動プラテン24は、金
型締用油圧シリンダー30によってタイバー32上を平
行移動できる。成形用の金型は固定金型部分22と移動
金型部分26から構成されている。固定金型部分22は
固定プラテン20に取り付けられており、移動金型部分
26は移動プラテン24に取り付けられている。固定金
型部分22には皮膜原料注入部28が設けられている。
図1の右手方向への移動プラテン24の移動によって移
動金型部分26が固定金型部分22と係合し、金型が型
締めされ、キャビティが形成される。型締め力は金型締
用油圧シリンダー30によって制御される。また、図1
の左手方向への移動プラテン24の移動によって移動金
型部分26が固定金型部分22との係合を解かれ、金型
は型開きされる。
【0020】皮膜原料注入装置は、皮膜原料供給部6
0、油圧シリンダー62、油圧シリンダー62に取り付
けられたシャットオフピン64から構成されている。シ
ャットオフピン64の位置によって、皮膜原料注入部2
8を開閉する。図1においては、シャットオフピン64
によって皮膜原料注入部28は閉じられている。ポンプ
70によって皮膜原料タンク72から皮膜原料80が計
量シリンダー66に供給される。計量シリンダー66に
供給された皮膜原料80は、計量注入ピストン68によ
って皮膜原料供給部60に送られ、更に、皮膜原料注入
部28を通って、キャビティ内に形成された空間に注入
される。
【0021】このような皮膜原料注入システムにおいて
は、計量シリンダー66、計量注入ピストン68、皮膜
原料供給部60等から構成されている皮膜原料の計量・
注入機構と、油圧シリンダー62及びシャットオフピン
64から成るシャットオフピン開閉機構とは別の機構で
ある。しかしながら、皮膜原料注入システムはこのよう
な機構に限定されるものではない。例えば、皮膜原料供
給部に計量・注入機構を付与し、耐圧配管等の設置を省
略できる構造とすることもできる。尚、以下の実施例に
て説明する射出成形装置においても同様のシステムとす
ることができる。
【0022】以下、図2〜図4を参照して、実施例1の
熱可塑性樹脂の射出成形方法を説明する。
【0023】尚、以下の実施例においては、ファナック
株式会社製AS100B射出成形装置を用いて、金型の
型締め力を100トンfとして金型の型締めを行い、溶
融樹脂の射出成形を行った。キャビティ形状は、縦約1
00mm×横約30mm×深さ約10mm、肉厚2mm
の箱型である。尚、キャビティ形状はこのような形状に
限定されず、所望に応じて任意の形状とすることができ
る。ゲート部14の構造は、ダイレクトゲート構造とし
た。
【0024】実施例1において使用した原料は、以下の
とおりである。 成形用の熱可塑性樹脂:ポリカーボネート樹脂(三菱瓦
斯化学株式会社製:ユーピロンH3000) 形成すべき皮膜:ハードコート皮膜 皮膜原料 ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレン
ジイソシアネートウレタンプレポリマー:305重量部 ヒドロキシプロピルメタクリレート:30重量部 トリプロピレングリコールジアクリレート:165重量
部 ステアリン酸亜鉛:3重量部 8%オクチル酸コバルト:7重量部 t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート:10
重量部
【0025】また、射出成形条件を、以下のとおりとし
た。 金型温度 : 80゜C 溶融樹脂の温度: 290゜C 射出圧力 : 800kgf/cm2−G 尚、金型温度はキャビティ表面における温度であり、溶
融樹脂の温度は射出シリンダー12内における溶融樹脂
の温度であり、射出圧力の値は射出シリンダー12に加
える圧力の値とした。以下の実施例においても同様であ
る。
【0026】先ず、図2に模式的に示すように、熱可塑
性樹脂から成る溶融樹脂40を、射出シリンダー12か
らゲート部14を経由してキャビティ50に射出し、キ
ャビティ50内を溶融樹脂で充填する。尚、キャビティ
50は、固定金型部分22と移動金型部分26によって
形成されている。この場合、皮膜原料注入装置の油圧シ
リンダー62を前進させておき、シャットオフピン64
の先端で皮膜原料注入部28を閉じておく。これによっ
て、皮膜原料供給部60とキャビティ50とは連通せ
ず、皮膜原料80がキャビティ50内に流入することは
ない。
【0027】溶融樹脂の射出完了直後から、熱可塑性樹
脂供給用スクリュー10を用いて、キャビティ50内の
樹脂40Aに圧力を加えた。尚、キャビティ50内の樹
脂40Aに圧力を加えるこの操作を、以下、保圧操作と
呼び、この圧力を保圧圧力と呼ぶ。保圧操作の条件を、
以下のとおりとした。 保圧圧力 : 800kgf/cm2−G 保圧時間 : 10秒 保圧圧力の値は射出シリンダー12に加えられた圧力の
値とした。尚、射出成形品にひけやボイドが発生するこ
とを防止し、しかもキャビティ50によって形成される
形状の射出成形品への転写性を良くするために、保圧操
作を実行する。また、この保圧操作の条件は、通常の条
件である。
【0028】保圧操作を終了した後、金型を閉じ且つ金
型の型締め力を保持した状態で、キャビティ50内の樹
脂40Aを30秒間、冷却・固化させた。実施例1で使
用した成形用の熱可塑性樹脂の冷却・固化による体積収
縮率は大きい。それ故、この樹脂の冷却・固化によっ
て、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50表
面との間に十分なる大きな空間52が形成された。この
状態を、図3の(A)に模式的に示す。樹脂40Aは、
通常、移動金型部分側に収縮するため、固定金型部分2
2側のキャビティ部分と樹脂40Aとの間に空間52が
形成される。
【0029】その後、図3の(B)に模式的に示すよう
に、皮膜原料注入装置の油圧シリンダー62を後退させ
ることによって、シャットオフピン64の先端を後退さ
せて、皮膜原料注入部28を開く。これによって、皮膜
原料供給部60とキャビティ50とは連通する。そし
て、ポンプ70を介して計量シリンダー66に送られた
皮膜原料80を計量注入ピストン68を用いて皮膜原料
供給部60に供給し、更に、キャビティ50内の樹脂4
0Aとキャビティ50表面との間に形成された空間52
内に皮膜原料80を注入する。皮膜原料の最大注入圧力
を以下のとおりとした。尚、皮膜原料の注入圧力の値
は、計量注入ピストン68における圧力の値である。 最大注入圧力 : 800kgf/cm2−G これによって、キャビティ50内の樹脂40Aの表側の
表面全面は皮膜原料80で被覆された。
【0030】皮膜原料(ハードコート皮膜原料)80が
キャビティ50内の樹脂の表側の表面全面を被覆した時
点で、図4に模式的に示すように、シャットオフピン6
4を油圧シリンダー62によって前進させて、シャット
オフピン64の先端で皮膜原料注入部28を閉じる。こ
れによって、皮膜原料供給部60とキャビティ50とは
連通しなくなる。
【0031】次いで、完全にあるいは離型作業に支障が
ない程度に皮膜原料80を固化させて、キャビティ50
内の樹脂40Aの表面に皮膜82を形成する。固化の時
間を60秒間とした。次いで、金型締用油圧シリンダー
30を後退させて、これまで加えていた型締め力を解除
して、型開き操作を行う。最後に、金型から射出成形品
を離型する。
【0032】こうして、ハードコート剤から成る皮膜8
2が射出成形品の表側の表面全面に亙って形成された射
出成形品を得た。皮膜82の厚さは、箱型の射出成形品
の底部で平均50μmであった。また、樹脂の厚さ方向
の収縮率は約10%であった。
【0033】(実施例2)実施例2においても、実施例
1と基本的に同様の工程で射出成形品を作製した。実施
例2が実施例1と相違する点は、使用した熱可塑性樹脂
及び皮膜原料、射出条件、樹脂の冷却条件、皮膜原料の
注入条件等の各種条件である。即ち、実施例2において
は、キャビティ50への溶融樹脂の射出後、金型を閉じ
且つ金型の型締め力を保持した状態で、通常必要とされ
る圧力で、しかも通常必要とされる時間(通常必要とさ
れる保圧時間)よりも短い時間(短い保圧時間)、キャ
ビティ50内の樹脂40Aを加圧する工程(保圧操作)
を含む。これによって、通常必要とされる圧力で、しか
も通常必要とされる時間、キャビティ内の樹脂を加圧す
る通常の保圧操作の場合と比較して、一層大きく均一な
空間をキャビティ内の樹脂とキャビティ表面との間に形
成することができる。実施例2においては、保圧時間
を、通常必要とされる保圧時間の約33%とした。
【0034】実施例2において使用した原料は、以下の
とおりである。 成形用の熱可塑性樹脂:ポリアミドMXD6樹脂(三菱
瓦斯化学株式会社製:レニー1022) 形成すべき皮膜:塗料皮膜 皮膜原料 ウレタンアクリレートオリゴマー:12重量部 エポキシアクリレートオリゴマー:20重量部 スチレン:20重量部 ステアリン酸亜鉛:0.5重量部 8%オクチル酸コバルト:0.5重量部 酸化チタン:10重量部 タルク:15重量部 炭酸カルシウム:20重量部 t−ブチルパーオキシベンゾエート:2重量部
【0035】また、射出成形条件、保圧操作条件、保圧
操作後の冷却条件、皮膜形成条件、皮膜固化条件を、以
下のとおりとした。 射出成形条件 金型温度 : 120゜C 溶融樹脂の温度: 270゜C 射出圧力 : 700kgf/cm2−G 保圧操作条件 保圧圧力 : 800kgf/cm2−G 保圧時間 : 3秒 (注) 通常必要とされる保圧時間は9秒程度である。 保圧操作後の冷却条件 冷却時間 : 50秒 皮膜形成条件 皮膜原料の最大注入圧力:500kgf/cm2−G 皮膜固化条件 固化時間 : 120秒
【0036】こうして、塗料皮膜から成る皮膜82が射
出成形品の表側の表面全面に亙って形成された射出成形
品を得た。皮膜82の厚さは、箱型の射出成形品の底部
で平均120μmであった。また、樹脂の厚さ方向の収
縮率は約13%であった。
【0037】(実施例3)実施例3は、実施例2の変形
である。実施例3が実施例2と相違する点は、保圧操作
を終了した直後に、キャビティ50内の樹脂40Aの冷
却期間を設けることなく、直ちに、キャビティ50内の
樹脂40Aとキャビティ50表面との間に形成された空
間52内に皮膜原料80を注入する点、及び、皮膜原料
の最大注入圧力を700kgf/cm2−Gとした点に
ある。その他の条件、操作は、実施例2と同様である。
【0038】こうして、塗料皮膜から成る皮膜82が射
出成形品の表側の表面全面に亙って形成された射出成形
品を得られた。皮膜の厚さは、箱型の射出成形品の底部
で平均60μmであった。実施例2と異なり、キャビテ
ィ50内の樹脂40Aの冷却期間を設けなかったので、
樹脂40Aの体積収縮が少なく、その結果、皮膜の厚さ
は、実施例2と比較して約1/2であった。尚、樹脂の
収縮は約9%であった。
【0039】(実施例4)実施例4も実施例2の変形で
ある。実施例4においては、キャビティへの溶融樹脂の
射出後、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態
で、通常必要とされる圧力(通常必要とされる保圧圧
力)よりも低い圧力(低い保圧圧力)でキャビティ50
内の樹脂40Aを加圧する工程(保圧操作)を含む。こ
れによって、通常必要とされる圧力でキャビティ内の樹
脂を加圧する通常の保圧操作の場合と比較して、一層大
きく均一な空間52をキャビティ50内の樹脂40Aと
キャビティ50表面との間に形成することができる。実
施例4においては、保圧圧力を、通常必要とされる保圧
圧力の約50%とした。
【0040】実施例4において使用した原料である成形
用の熱可塑性樹脂及び皮膜原料は、実施例2と同様とし
た。また、射出成形条件及び皮膜固化条件も、実施例2
と同様とした。保圧操作の保圧操作の条件を、以下のと
おりとした。 保圧圧力 : 400kgf/cm2−G 保圧時間 : 9秒 保圧操作において通常必要とされる保圧圧力は、800
kgf/cm2−G以上である。また、この9秒間とい
う保圧時間は、これ以上長時間保圧操作を行っても、射
出成形品の重量は殆ど増加しない時間であり、この保圧
時間は通常の保圧時間に相当する。
【0041】保圧操作中に、キャビティ50内の樹脂4
0Aは冷却・固化される。その結果、キャビティ50内
の樹脂40Aとキャビティ50表面との間に空間52が
形成された。キャビティ50内の樹脂40Aとキャビテ
ィ50表面との間に形成された空間52内に皮膜原料8
0を注入する際の皮膜原料の最大注入圧力を以下のとお
りとした。 最大注入圧力 : 750kgf/cm2−G
【0042】こうして、塗料皮膜から成る皮膜82が射
出成形品の表側の表面全面に亙って形成された射出成形
品を得た。皮膜82の厚さは、箱型の射出成形品の底部
で平均75μmであった。また、樹脂の厚さ方向の収縮
率は約9%であった。
【0043】(実施例5)実施例5は、本発明の熱可塑
性樹脂の射出成形方法における第2の態様に関する。即
ち、金型は固定金型部分22と可動金型部分26から成
り、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、
可動金型部分の一部34をキャビティ50内の樹脂40
Aの表面から離間させることによって、キャビティ50
内の樹脂40Aとキャビティ50表面との間に空間52
を形成する。実施例5においては、図5に示す構造を有
する射出成形装置(ファナック製AS100B)を使用
した。
【0044】実施例5の熱可塑性樹脂の射出成形方法の
実施に適した射出成形装置の構造は、実質的には、図1
に示した射出成形装置と同様である。但し、図5に模式
的に示すように、可動コア移動用シリンダー36と直結
した可動コア34が移動金型部分26に含まれている
点、皮膜原料供給部60、油圧シリンダー62、シャッ
トオフピン64から構成された皮膜原料注入装置が、可
動コア34内に配置されている点、及び皮膜原料注入部
28が移動金型部分26に設けられている点が相違す
る。尚、図5〜図8においては、固定プラテン20、移
動プラテン24、金型締用油圧シリンダー30、タイバ
ー32の図示は省略した。
【0045】実施例5の熱可塑性樹脂の射出成形方法
を、以下、図5乃至図8を参照して説明する。
【0046】実施例5において使用した原料は、以下の
とおりである。 成形用の熱可塑性樹脂:変性PPE樹脂(三菱瓦斯化学
株式会社製ユピエースAN30) 形成すべき皮膜:塗料皮膜 皮膜原料 :銅系導電性塗料(三菱油化株式会社
製:MCP−1000)を遅乾性シンナー(三菱油化株
式会社製:MCPシンナーBM)で希釈したもの
【0047】また、射出成形条件を、以下のとおりとし
た。 金型温度 : 80゜C 溶融樹脂の温度: 280゜C 射出圧力 : 800kgf/cm2−G
【0048】先ず、図5に示すように、熱可塑性樹脂か
ら成る溶融樹脂40を、射出シリンダー12からゲート
部14を経由してキャビティ50内に射出する。キャビ
ティ50は、固定金型部分22と移動金型部分26によ
って形成されている。この場合、皮膜原料注入装置の油
圧シリンダー62を前進させておき、シャットオフピン
64の先端で皮膜原料注入部28を閉じておく。これに
よって、皮膜原料供給部60とキャビティ50とは連通
しない。従って、皮膜原料80がキャビティ50内に流
入することはない。
【0049】溶融樹脂の射出が完了した直後から、熱可
塑性樹脂供給用スクリュー10を用いて、保圧操作を実
行した。保圧操作の条件を、以下のとおりとした。尚、
この保圧操作の条件は、通常の保圧操作の条件である。 保圧圧力 : 800kgf/cm2−G 保圧時間 : 10秒
【0050】保圧操作を終了した後、金型を閉じ且つ金
型の型締め力を保持した状態で、キャビティ50内の樹
脂40Aを20秒間、冷却・固化させる。このとき、キ
ャビティ50内の樹脂40Aには体積収縮が発生する
が、保圧操作の条件を通常の条件としたので、樹脂40
Aの体積収縮は僅かである。従って、キャビティ50内
の樹脂40Aの体積収縮によっては、固定金型部分22
側のキャビティ部分と樹脂40Aとの間に空間は殆ど形
成されない。
【0051】その後、図6に示すように、金型締用油圧
シリンダー(図示せず)によって移動金型部分26を固
定金型部分22に押し付けた状態で、即ち、金型を閉じ
且つ金型の型締め力を保持した状態で(より具体的に
は、金型締用油圧シリンダー30を移動させずに)、可
動コア移動用シリンダー36を後退させる。後退量を約
0.5mmとした。これによって、可動コア34が後退
し、可動金型部分の一部(可動コア34に相当する)が
キャビティ50内の樹脂40Aの表面から離間する。そ
の結果、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ5
0表面との間に空間52が形成される。図6に示したよ
うに、可動金型部分のその他の部分は、固定金型部分2
2と係合状態にある。従って、キャビティ50内の樹脂
40Aは、可動コア34が固定金型部分22から離間し
ても、動くことはない。それ故、可動コア34側のキャ
ビティ部分と樹脂40Aとの間に空間52が形成され
る。
【0052】次に、図7に示すように、皮膜原料注入装
置の油圧シリンダー62を後退させることによって、シ
ャットオフピン64の先端を後退させて、皮膜原料注入
部28を開く。これによって、皮膜原料供給部60とキ
ャビティ50とは連通する。そして、ポンプ70を介し
て計量シリンダー66に送られた皮膜原料80を計量注
入ピストン68を用いて皮膜原料供給部60に供給し、
更に、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50
表面との間に形成された空間52内に皮膜原料80を注
入する。これによって、キャビティ50内の樹脂40A
の表面は皮膜原料80で被覆される。皮膜原料の最大注
入圧力を以下のとおりとした。 最大注入圧力 : 750kgf/cm2−G
【0053】次いで、図8に示すように、シャットオフ
ピン64を油圧シリンダー10によって前進させて、シ
ャットオフピン64の先端で皮膜原料注入部28を閉じ
る。これによって、皮膜原料供給部60とキャビティ5
0とは連通しなくなる。
【0054】その後、完全にあるいは離型作業に支障が
ない程度に皮膜原料80を固化して、キャビティ50内
の樹脂40Aの表面に皮膜82を形成する。固化の時間
を120秒とした。次に、移動金型部分26を後退させ
て、表面に皮膜82が形成された射出成形品を金型から
離型する。
【0055】こうして、塗料皮膜から成る皮膜82が射
出成形品の裏側の表面全面に亙って形成された射出成形
品を得た。皮膜の厚さは、箱型の射出成形品の底部で平
均200μmであった。
【0056】(実施例6)実施例6は、実施例5と、実
施例1〜実施例4のいずれかの組み合わせから成る熱可
塑性樹脂の射出成形方法である。
【0057】即ち、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保
持した状態で、キャビティ内に射出された溶融樹脂を冷
却・固化させることによって、キャビティ内の樹脂とキ
ャビティ表面との間に空間を形成する(図9参照)。こ
の場合、冷却・固化後の樹脂の厚さ方向の収縮率が大き
な熱可塑性樹脂を用いてもよいし(実施例1参照)、キ
ャビティへの溶融樹脂の射出後、金型を閉じ且つ金型の
型締め力を保持した状態で、通常必要とされる圧力で、
しかも通常必要とされる時間よりも短い時間、キャビテ
ィ内の樹脂を加圧する工程を含んでもよいし(実施例2
及び実施例3参照)、更には、キャビティへの溶融樹脂
の射出後、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状
態で、通常必要とされる圧力よりも低い圧力でキャビテ
ィ内の樹脂を加圧する工程を含んでもよい(実施例4参
照)。これによって、樹脂40Aは、通常、移動金型部
分側に収縮するため、固定金型部分22側のキャビティ
部分と樹脂40Aとの間に空間52Aが形成される。
【0058】その後、図10に示すように、金型を閉じ
且つ金型の型締め力を保持した状態で、可動金型部分の
一部をキャビティ50内の樹脂40Aの表面から離間さ
せることによって、キャビティ内の樹脂とキャビティ表
面との間に空間を形成する(実施例5参照)。これによ
って、可動コア34側のキャビティ部分と樹脂40Aと
の間に空間52Bが形成される。
【0059】実施例6の射出成形方法の具体的な条件等
は、実施例1〜実施例4、及び実施例5と同様とするこ
とができるので、詳細な説明は省略する。
【0060】このような方法を採用することによって、
射出成形品の表側及び裏側の表面全体に皮膜82を形成
することができる。また、射出成形品の表側及び裏側の
表面全体のそれぞれに異なる種類の皮膜を形成すること
ができる。
【0061】実施例6の実施に適した射出成形装置は、
図5に示した射出成形装置において、図1に示した皮膜
原料注入装置を固定金型部分22に取り付ければよい。
【0062】(実施例7)実施例7は、本発明の熱可塑
性樹脂の射出成形方法における第3の態様に関する。即
ち、金型は固定金型部分22と可動金型部分26から成
り、金型を閉じ且つ金型の型締め力を開放した状態で、
可動金型部分26を固定金型部分22から離間させるこ
とによって、キャビティ50内の樹脂40Aとキャビテ
ィ50表面との間に空間52を形成する。実施例7にお
いては、図11に示した構造を有する射出成形装置(東
芝機械株式会社製IS150END)を使用した。
【0063】実施例7の熱可塑性樹脂の射出成形方法の
実施に適した射出成形装置の構造は、実質的には、図1
に示した射出成形装置と同様である。但し、図11に模
式的に示すように、移動金型部分26を固定金型部分2
4に対して若干移動させても閉じたキャビティ50が形
成されるように、移動金型部分26と固定金型部分22
の接触部分26A,22Aが入子構造となっている点が
相違する。尚、図11及び図12においては、固定プラ
テン20、金型締用油圧シリンダー30、タイバー32
の図示は省略した。
【0064】以下、実施例7の熱可塑性樹脂の射出成形
方法を、図11及び図12を参照して説明する。
【0065】実施例7において使用した原料は、以下の
とおりである。 成形用の熱可塑性樹脂:ポリアミドMXD6樹脂(三菱
瓦斯化学株式会社製:レニー1022) 形成すべき皮膜:塗料皮膜 皮膜原料 ウレタンアクリレートオリゴマー:12重量部 エポキシアクリレートオリゴマー:20重量部 スチレン:20重量部 ステアリン酸亜鉛:0.5重量部 8%オクチル酸コバルト:0.5重量部 酸化チタン:10重量部 タルク:15重量部 炭酸カルシウム:20重量部 t−ブチルパーオキシベンゾエート:2重量部
【0066】また、射出成形条件を、以下のとおりとし
た。 金型温度 : 120゜C 溶融樹脂の温度: 270゜C 射出圧力 : 700kgf/cm2−G
【0067】先ず、熱可塑性樹脂から成る溶融樹脂40
を、射出シリンダー12からゲート部14を経由してキ
ャビティ50内に射出する。キャビティ50は、固定金
型部分22と移動金型部分26によって形成されてい
る。この場合、皮膜原料注入装置の油圧シリンダー62
を前進させておき、シャットオフピン64の先端で皮膜
原料注入部28を閉じておく。これによって、皮膜原料
供給部60とキャビティ50とは連通しない。従って、
皮膜原料80がキャビティ50内に流入することはな
い。
【0068】その後、熱可塑性樹脂供給用スクリュー1
0を用いて、保圧操作を実行した。保圧操作の条件を、
以下のとおりとした。尚、この保圧操作の条件は、通常
の保圧操作の条件である。 保圧圧力 : 1000kgf/cm2−G 保圧時間 : 9秒 尚、この9秒間という保圧時間は、これ以上長時間保圧
操作を行っても、射出成形品の重量は殆ど増加しない時
間である。
【0069】保圧操作を終了した後、金型を閉じ且つ金
型の型締め力を保持した状態で、キャビティ50内の樹
脂を15秒間、冷却・固化させた。尚、キャビティ50
内の樹脂40Aには体積収縮が発生しているが、樹脂4
0Aは、通常、移動金型部分側に収縮するため、固定金
型部分22側のキャビティ部分と樹脂40Aとの間に空
間が形成されるが、この空間の大きさは、保圧操作を通
常の条件で行ったため、小さい。
【0070】その後、図11に示すように、金型締用油
圧シリンダー(図示せず)を約0.5mm後退させて、
即ち、金型を閉じ且つ金型の型締め力を開放した状態
で、可動金型部分26を固定金型部分22から離間させ
た。キャビティ50内の樹脂40Aは、通常、移動金型
部分26側に収縮するため、移動金型部分26のコア2
6Bに対して、所謂「抱きつき力」が働いている。従っ
て、通常、キャビティ50内の樹脂40Aは移動金型部
分26と一緒に移動し、固定金型部分22から離間され
る。これによって、キャビティ50内の樹脂40Aとキ
ャビティ50表面との間に空間52が形成された。この
状態を、図11に模式的に示す。空間52は、専ら、固
定金型部分22側のキャビティ部分と樹脂40Aとの間
に形成される。
【0071】次いで、図12に示すように、皮膜原料注
入装置の油圧シリンダー62を後退させることによっ
て、シャットオフピン64の先端を後退させて、皮膜原
料注入部28を開く。これによって、皮膜原料供給部6
0とキャビティ50とは連通する。そして、ポンプを介
して計量シリンダーに送られた皮膜原料80を計量注入
ピストンを用いて皮膜原料供給部60に供給し、更に、
キャビティ50内の樹脂40Aとキャビティ50表面と
の間に形成された空間52内に皮膜原料80を注入す
る。これによって、キャビティ50内の樹脂40Aの表
面は、皮膜原料80で被覆された。皮膜原料80の最大
注入圧力を以下のとおりとした。 最大注入圧力 :50kgf/cm2−G
【0072】次いで、シャットオフピン64を油圧シリ
ンダー62によって前進させて、シャットオフピン64
の先端で皮膜原料注入部28を閉じる。これによって、
皮膜原料供給部60とキャビティ50とは連通しなくな
る。
【0073】その後、完全にあるいは離型作業に支障が
ない程度に皮膜原料80を固化させて、キャビティ50
内の樹脂40Aの表側の表面全面に皮膜82を形成す
る。固化の時間を120秒とした。次に、移動金型部分
26を後退させて、表面に皮膜82が形成された射出成
形品を金型から離型する。
【0074】こうして、塗料皮膜から成る皮膜82が射
出成形品の表側の表面全面に亙って形成された射出成形
品を得た。皮膜の厚さは、箱型の射出成形品の底部で平
均200μmであった。
【0075】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂の射出成形方法を
採用することにより、熱可塑性樹脂の射出成形工程内
で、各種の機能を有する皮膜を樹脂の表面上に形成する
ことができ、最終製品に至る製造工程の削減、製造設備
の縮小、加工・処理時間の短縮、製造コストの低減を図
ることが可能となる。
【0076】熱可塑性樹脂の射出成形方法として、どの
ような態様を採用するかに依存して、射出成形品の表側
あるいは裏側のいずれか一方の表面全体、若しくは、両
方の表面全体に皮膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の態様に係る熱可塑性樹
脂の射出成形方法の実施に適した射出成形装置全体の概
念図である。
【図2】実施例1の熱可塑性樹脂の射出成形方法におけ
る溶融樹脂の射出の状態を示す、射出成形装置全体の概
念図である。
【図3】実施例1の熱可塑性樹脂の射出成形方法におけ
る空間の形成状態及び皮膜原料の注入状態を示す、射出
成形装置全体の概念図である。
【図4】実施例1の熱可塑性樹脂の射出成形方法におけ
る皮膜の形成完了後の状態を示す、射出成形装置全体の
概念図である。
【図5】実施例5の熱可塑性樹脂の射出成形方法におけ
る溶融樹脂の射出の状態を示す、射出成形装置全体の概
念図である。
【図6】実施例5の熱可塑性樹脂の射出成形方法におけ
る空間の形成状態を示す、射出成形装置全体の概念図で
ある。
【図7】実施例5の熱可塑性樹脂の射出成形方法におけ
る皮膜の形成状態を示す、射出成形装置全体の概念図で
ある。
【図8】実施例5の熱可塑性樹脂の射出成形方法におけ
る皮膜の形成完了後の状態を示す、射出成形装置全体の
概念図である。
【図9】実施例6の熱可塑性樹脂の射出成形方法におけ
る空間の形成状態を示す、射出成形装置全体の概念図で
ある。
【図10】図9に引き続き、実施例6の熱可塑性樹脂の
射出成形方法における空間の形成状態を示す、射出成形
装置全体の概念図である。
【図11】実施例7の熱可塑性樹脂の射出成形方法にお
ける空間の形成状態を示す、射出成形装置全体の概念図
である。
【図12】実施例7の熱可塑性樹脂の射出成形方法にお
ける皮膜の形成状態を示す、射出成形装置全体の概念図
である。
【符号の説明】
10 熱可塑性樹脂供給用スクリュー 12 射出シリンダー 14 ゲート部 20 固定プラテン 22 固定金型部分 24 移動プラテン 26 移動金型部分 28 皮膜原料注入部 30 金型締用油圧シリンダー 32 タイバー 34 可動コア 36 可動コア移動用シリンダー 40 熱可塑性樹脂 40A キャビティ内の樹脂 50 キャビティ 52 空間 60 皮膜原料供給部 62 油圧シリンダー 64 シャットオフピン 66 計量シリンダー 68 計量注入ピストン 70 ポンプ 72 皮膜原料タンク 80 皮膜原料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤代 武志 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱瓦斯化学株式会社プラスチックスセンタ ー内 (72)発明者 泉田 敏明 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱瓦斯化学株式会社プラスチックスセンタ ー内 (72)発明者 赤堀 和之 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱瓦斯化学株式会社プラスチックスセンタ ー内 (72)発明者 山本 義明 愛知県小牧市三ツ渕字西ノ門878 大日本 塗料株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金型に設けられたキャビティ内に熱可塑性
    樹脂から成る溶融樹脂を射出した後、キャビティ内の樹
    脂とキャビティ表面との間に形成された空間内に皮膜原
    料を注入し、キャビティ内の樹脂表面に皮膜を形成する
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂の射出成形方法。
  2. 【請求項2】金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した
    状態で、キャビティ内に射出された溶融樹脂を冷却・固
    化させることによって、キャビティ内の樹脂とキャビテ
    ィ表面との間に空間が形成されることを特徴とする請求
    項1に記載の熱可塑性樹脂の射出成形方法。
  3. 【請求項3】冷却・固化後の樹脂の厚さ方向の収縮率が
    0.5乃至20%となるように溶融樹脂を冷却・固化さ
    せることを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂の
    射出成形方法。
  4. 【請求項4】キャビティへの溶融樹脂の射出後、金型を
    閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、通常必要と
    される圧力よりも低い圧力でキャビティ内の樹脂を加圧
    する工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の熱可
    塑性樹脂の射出成形方法。
  5. 【請求項5】通常必要とされる圧力よりも低い圧力は、
    通常必要とされる圧力の30乃至90%であることを特
    徴とする請求項4に記載の熱可塑性樹脂の射出成形方
    法。
  6. 【請求項6】キャビティへの溶融樹脂の射出後、金型を
    閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、通常必要と
    される圧力で、しかも通常必要とされる時間よりも短い
    時間、キャビティ内の樹脂を加圧する工程を含むことを
    特徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂の射出成形方
    法。
  7. 【請求項7】通常必要とされる時間よりも短い時間は、
    通常必要とされる時間の20乃至80%であることを特
    徴とする請求項6に記載の熱可塑性樹脂の射出成形方
    法。
  8. 【請求項8】金型は固定金型部分と可動金型部分から成
    り、金型を閉じ且つ金型の型締め力を保持した状態で、
    可動金型部分の一部をキャビティ内の樹脂表面から離間
    させることによって、キャビティ内の樹脂とキャビティ
    表面との間に空間を形成することを特徴とする請求項1
    に記載の熱可塑性樹脂の射出成形方法。
  9. 【請求項9】金型は固定金型部分と可動金型部分から成
    り、金型を閉じ且つ金型の型締め力を開放した状態で、
    可動金型部分を固定金型部分から離間させることによっ
    て、キャビティ内の樹脂とキャビティ表面との間に空間
    を形成することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性
    樹脂の射出成形方法。
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