JPH071087A - 連続鋳造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】湯溜り４の内部に湯面より上に突出しないよう
に溶湯流速減速部材(ボックス)７を設置する。また、溶
湯流速減速部材７の材料に導電性耐火物を使用する。 【効果】湯溜り内の溶湯流を減速、均一化することがで
きる。このため、ロール面上での凝固シェルの成長が均
一になり、凝固むら，湯じわ，割れ等のない表面品質の
優れた鋳片の製造が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、寸法精度が高く表面性
状の優れた鋳片を安定して製造する連続鋳造装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】溶融金属から直接薄板を製造する技術と
して薄板連続鋳造方法がある。薄板連続鋳造方法の場
合、製造された板(以下、鋳片と呼ぶ)の形状が最終製品
に近いため、従来のスラブ連続鋳造で行われているよう
な表面研削を行うと歩留まりが悪くなるため、鋳片を直
接圧延するのが通常である。従って、鋳片には幅方向お
よび鋳造方向に対して厚み変化が小さいこと、および表
面性状に優れていることが要求される。

【０００３】良好な表面性状を得る手段として、種々の
方法が検討されている。その一つとして特開昭60−2744
8 号公報に提案されているような、溶湯吐出流を吐出流
に対向して設けた部材(案内体)に衝突させることによ
り、溶湯の流速を高めその熱を有効に作用させて望まし
くない凝固シェルの生成を防止する技術がある。また、
特開昭60−30555 号公報に開示されているような、湯溜
り部に耐火物製の仕切板を設ける技術が提案されてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】溶湯の流速を高める上
記従来技術（特開昭60−27448 号公報）によると、局所
的に溶湯の流速が大きくなる。流速の大きい部分では凝
固シェルの成長は小さく、また、流速の小さい部分では
凝固シェルの成長は大きい。このため、凝固シェルの成
長が不均一になるという問題がある。また、流速を高め
られた溶湯流が湯面に衝突するため、湯面の変動が大き
くなる。このため、凝固開始点が変動し鋳片表面に割
れ、湯じわ等の欠陥が発生するという問題がある。

【０００５】また、上記従来技術（特開昭60-30555 号
公報）によると、湯溜り部に設けた耐火物製の仕切板に
よりロールと接触する部分の湯面の変動が低減するた
め、凝固開始点の変動は小さくなる。しかし、この技術
によると湯溜り内の溶湯の流動が不均一になり、ロール
面上での凝固シェルの成長が不均一になるという問題が
ある。また、湯溜り部に設けた耐火物製の仕切板が湯面
よりも上に突出しているため、仕切板が空気により冷却
されるため、仕切板と湯面の接触部近傍に好ましくない
凝固シェルが成長する。この凝固シェルが成長，脱落
し、鋳片品質を悪化させるという問題がある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題は、鋳型空間に
形成される湯溜り内に多孔性耐火物で構成されるボック
ス状部材、又は棒状部材等の溶湯流速減速部材をを湯面
に突出しないように設けることにより達成される。

【０００７】また、上記課題は溶湯流速減速部材に導電
性材料を使用することにより達成される。

【０００８】

【作用】上記構成によれば、湯溜り内の溶湯流速を減速
させると共に溶湯流速を均一にできる。このため、ロー
ル面上での凝固シェルの成長を均一にするようにする。
また、溶湯流速減速部材を湯面に突出しないように設け
るため、この部材が空気等により冷却されず、溶湯の熱
を受けて常に高温に保つことができる。このため、その
部材の近傍に生成しやすい好ましくない凝固シェルの発
生を防止することができる。これにより、鋳片の品質が
向上する。

【０００９】また、この構成によれば、溶湯流速減速部
材に導電性材料を使用するため、通電加熱をすることが
可能になる。このため、鋳造開始前に従来行われている
ようなガスバーナを用いた予熱が不要となる。従って、
ロール面への水滴の付着を防止する。また、この構成に
よれば、鋳造開始前に限らず、鋳造中にも、通電加熱が
可能である。従って、溶湯温度の低い場合の鋳造におい
て、湯溜り内の溶湯温度低下を防止するよう作用する。
これにより、短辺面等に生成する好ましくない凝固シェ
ルの発生を防ぐことができる。

【００１０】

【実施例】

［実施例１］本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図１に本実施例で用いた連続鋳造装置の側面図を示
す。平行配置した二つのロール１ａ，１ｂ（双ロール）
を等速度で互いに反対方向に回転する。ロール１ａ，１
ｂの内部は水で冷却されている。ロール１ａ，１ｂの端
面には耐火物製のサイドダム２を密着させ、鋳型空間を
形成させている。ロール１ａ，１ｂの上部より注湯ノズ
ル３を介して溶湯が供給され、湯溜り４が形成される。
湯溜り４の溶湯はロール１ａ，１ｂにより冷却され、凝
固シェル５ａ，５ｂとなる。凝固シェル５ａ，５ｂはロ
ールキス点近傍で合体して鋳片６となって出てくる。こ
の装置に対し、図２に示す溶湯流速減速ボックス７をロ
ール軸に平行にサイドダムに取り付けた。溶湯流速減速
ボックス７には直径８mmの孔８を中心間距離が約１５mm
になるように片側３００個、合計で６００個設けた。こ
こで使用した溶湯減速ボックス７にはアルミナ耐火物製
のものを使用した。溶湯流速減速ボックス７の材質，孔
径，孔数等は本実施例に限定されるものではなく、鋳造
条件，鋳造鋼種等により最適なものを選択する必要があ
る。

【００１１】このような構成の装置で鋳造実験を実施し
た。鋳造金属にはSUS304を使用し、鋳込み量は１チャー
ジ、１０トンとした。鋳造速度は３０ｍ／分一定とし、
湯面高さは２００mmになるように制御した。使用したロ
ールは銅合金製で、直径600mm，幅６００mmであり、ロ
ール間隔は２mmとした。注湯ノズル３は吐出口が湯面か
ら０〜５mmに位置するように設置した。また、溶湯流速
減速ボックス７は最上部が湯面高さと同じになるように
設置した。さらに、溶湯流速減速ボックス７は鋳造開始
までガスバーナにより予熱した。

【００１２】鋳造後の鋳片観察の結果、鋳片全域にわた
り凝固むら模様や湯じわのない高品質な鋳片が得られ
た。

【００１３】［実施例２］図３に本実施例で用いた連続
鋳造装置の側面図を示す。実施例１とほぼ同様の構成で
あるが、溶湯流速減速ボックス７の代わりに棒状部材の
溶湯流速減速棒９を用いた。溶湯流速減速棒９はロール
軸に平行になるように、サイドダムに直接取り付けた。
材料には導電性耐火物である、ＢＮとＺｒＢ₂ の複合耐
火物を使用した。溶湯流速減速棒９は外径１２mm，内径
６mmの中空円筒で、扇状に２１本取り付けた。溶湯流速
減速棒９には鋳造開始前、及び鋳造中電気を流し、通電
加熱した。溶湯流速減速棒９の形状，本数，材質等は本
実施例に限定されるものではなく、湯溜り内の溶湯流を
減速，均一化でき、且つ、加熱できることが重要であ
る。

【００１４】鋳造後の鋳片観察の結果、実施例１と同
様、鋳片全域にわたり凝固むら模様や湯じわのない高品
質な鋳片が得られた。

【００１５】

【発明の効果】本発明によれば、湯溜り内の溶湯流速を
減速できると共に均一にできる。このため、凝固シェル
の成長が均一になり、凝固むら模様，湯じわの発生を防
止できる。また、溶湯流速減速部材を湯面より上に突出
しないように設置するため、溶湯流速減速部材が空気等
により冷却されない。このため、溶湯流速減速部材に生
成し易い好ましくない凝固シェルの発生を防止できる。
これにより、鋳片品質が向上する。

【００１６】また、本発明によれば、溶湯流速減速部材
に導電性の耐火物を使用するので、通電加熱が可能にな
る。これにより、鋳造開始時及び鋳造中において好まし
くない凝固シェルの生成をより効果的に防止できると共
に、湯溜り内の温度低下を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１で用いた連続鋳造装置の側面
図。

【図２】本発明の実施例１で用いた溶湯流速減速ボック
スの斜視図。

【図３】本発明の実施例２で用いた連続鋳造装置の側面
図。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ…ロール、２…サイドダム、３…注湯ノズ
ル、４…湯溜り、５ａ，５ｂ…凝固シェル、６…鋳片、
７…溶湯流速減速ボックス、８…孔、９…溶湯流速減速
棒。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】平行に配置された一対のロールと前記ロー
   ル端面に密着させたサイド・ダムにより形成される鋳型
   空間に溶湯を注入し、前記ロールの表面上に凝固殻を生
   成させ、前記ロールを互いに向い合う方向に回転させて
   薄板を連続して製造する連続鋳造装置において、前記サ
   イドダムに対しロール軸に平行に耐火物を設け、前記耐
   火物が湯溜り内の湯面下に位置するように設置すること
   を特徴とする連続鋳造装置。
2. 【請求項２】請求項１において、前記耐火物が導電性耐
   火物から成る連続鋳造装置。