JPH0710746B2 - 高靭性ジルコニア質焼結体 - Google Patents

高靭性ジルコニア質焼結体

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JPH0710746B2
JPH0710746B2 JP60149472A JP14947285A JPH0710746B2 JP H0710746 B2 JPH0710746 B2 JP H0710746B2 JP 60149472 A JP60149472 A JP 60149472A JP 14947285 A JP14947285 A JP 14947285A JP H0710746 B2 JPH0710746 B2 JP H0710746B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高靱性ジルコニア質焼結体に関し、さらに詳
しくは、Y2O3とCeO2を安定化剤として含む正方晶からな
るジルコニアと3Al2O3・2SiO2(ムライト)又はAl2O3
び3Al2O3・2SiO2(ムライト)を含む熱安定性に優れる
高靱性ジルコニア質焼結体に関するものである。
〔従来の技術〕
ジルコニアは融点が高く、化学的にも安定で本来優れた
耐熱材料としての性質を有している。しかし、ジルコニ
アは高温領域の立方晶から正方晶を経て単斜晶に相転移
をするが、その際に体積変化を伴い、特に正方晶から単
斜晶への相転移の体積変化が大きく、そのためジルコニ
アを単独で焼結体とすると昇降温の際にこの体積変化に
より被壊してしまうという欠点がある。
この欠点を取り除くために、ZrO2にCaO,MgO,Y2O3などの
2価または3価の金属酸化物を固溶させて、相転移を起
こさないようにし、常温でも立方晶からなる安定化ジル
コニア、あるいは立方晶と単斜晶とよりなる部分安定化
ジルコニアが数多く発表されている。また、準安定相で
ある正方晶を常温で焼結体内に存在させた部分安定化ジ
ルコニアが高強度を示すことが発表されているが、これ
は一つには、準安定な正方晶が室温安定相である単斜晶
へ変態することにより、外部応力による破壊作用を緩和
するためと考えられている。
このように常温において主として正方晶または立方晶か
らなる焼結体を得るための安定化剤としては従来より主
としてY2O3が用いられ高靱性、高強度を発現している。
しかし、この主として正方晶からなる部分安定化ジルコ
ニアは、高温相を低温域までもたらした結果生ずる準安
定相であるため、その構造や性質が経時変化をし、特に
200℃ないし400℃という比較的低温における加熱により
単斜晶へ相転移を起こし強度の経時劣化が極めて大き
い。例えば、部分安定化ジルコニア焼結体を固体電解質
として特定温度域(200〜400℃)で長時間使用する際欠
点とされている現象として、結晶相変化および焼結体表
面の微細クラック発生による機械的強度の低下と破損が
ある(ジルコニアセラミックス3、P45〜60、内田老鶴
圃、昭和59年12月1日発行)。
このような部分安定化ジルコニア焼結体の経時変化が安
定化剤の組成や焼結体の組成あるいは結晶粒径に依存す
ることから、安定化剤としてのY2O3量を特定し、主とし
て正方晶からなる焼結体を得、その焼結体の製造過程に
おいて結晶粒度を制御することにより、特定温度域にお
ける経時劣化が少ない高強度、高靱性の焼結体が報告さ
れている(特開昭56-134568)。
また、ZrO2‐Y2O3系、ZrO2‐CaO系およびZrO2‐MgO系の
ジルコニア焼結体の焼成に際して、昇温および冷却の速
度を制御することによって熱履歴を加え、主として立方
晶構造を有するジルコニアに0.5〜4.5重量%の単斜晶構
造のジルコニアを含有せしめて、熱衝撃強度が高く、長
時間使用しても破損することがないジルコニア焼結体が
得られることが報告されている(特開昭56-41873)。
一方、室温で準安定相である正方晶を含んだ焼結体を得
るためには、焼結体が緻密であり焼結体粒径が小さいこ
とが必要であるが、そのため原料粉末は易焼結性であ
り、微粉末であることの二つの特性が要求される。この
ように易焼結性の微粉末を得るため種々の手法が研究さ
れているが、ZrOCl2とYCl3の混合物を共沈させ、その粉
末を仮焼してY2O3で安定化したZrO2の微粉末を焼結すれ
ば高強度のZrO2焼結体の得られることが米国において発
行されたセラミックブリティン1976年55巻77頁において
発表されている。
ムライト(3Al2O3・2SiO2)は耐熱性があり、また熱衝
撃抵抗性に優れると共に高温におけるクリープ特性が良
好で高温においては強度が低下しないという点で優れた
セラミックスである。しかし、ムライトは緻密に焼結す
ることが困難であるため焼結体の強度が極めて低い。ム
ライトのような緻密に焼結が不能なセラミックスを用
い、高い破断抵抗及び良好な耐熱変動性を有するセラミ
ック成形体を得ることを目的として、ムライト等のセラ
ミックスマトリックス材料とZrO2含有化合物よりなる粉
状混合物を一旦焼結した後、焼結温度より高い温度で熱
処理することにより、例えばムライト中に安定化剤を含
まないジルコニアを析出させた微構造のセラミック成形
体の製法が開示されている(特開昭55-158173)。
さらに、これらセラミックス成形体の性能を改善するた
めに、緻密な、マイクロクラックを含まない、Al2O3
ムライト、スピネル等の基材マトリックス中に、基材マ
トリックス材料と安定化されていない単斜晶系あるいは
正方晶系のZrO2粒子、あるいはY2O3で安定化され主とし
て正方晶からなるZrO2粒子との混入物からなる圧縮部を
埋込むことが提案されている(特開昭59-64567)。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、安定化剤としてY2O3を特定し主として正
方晶からなるジルコニア焼結体も、ZrO2‐Y2O3系、ZrO2
‐CaOおよびZrO2‐MgO系のジルコニアで、主として立方
晶構造を有し、0.5〜4.5重量%の単斜晶を含有するジル
コニア焼結体も、特定温度における経時劣化を生じない
点、あるいは耐熱衝撃性の点では改善されたとはいえ、
熱水中では依然として劣化を生じ、また強度的にも不充
分である。
また、ZrOCl2とYCl3の混合物を共沈させて得た原料粉末
を使用したジルコニア焼結体も、同様の特性の点で必ず
しも満点なものではない。その上、Y2O3によって安定化
された準安定な正方晶は、空気中300〜400℃における時
効によって正方晶から単斜晶へ変態を生じ、材料強度、
靱性が低下することが認められており、特に水蒸気の存
在下、高圧熱水溶液中では、正方晶の安定性が著しく低
下し、粒界破壊を生じる重大な欠点がある。さらに、部
分安定化ジルコニアは耐膨張係数が約11×106程度であ
って他の構造用セラミックが3〜4×106であるのと比
較して大きい値を示すが、これが長所でもあり短所でも
あって、また、他の構造である窒化ケイ素焼結体や炭化
ケイ素焼結体と比べて高温(例えば200〜1000℃)での
急激な強度低下等のため、構造材としての用途は限られ
たものとなっている。
一方、ムライト中にジルコニアを含有するセラミック焼
結体は、いずれの提案においても、焼結体中に含まれる
ジルコニア量が少ない上、ジルコニア中の正方晶の割合
が低く、かなりの単斜晶が含まれている。このため、全
体として焼結体中に含まれる正方晶ジルコニア量は、か
なり少なくなり、外部応力による破壊を緩和する作用も
小さく、結果として焼結体の強度が低い。その上、安定
化剤を含有しないジルコニアを含むムライトセラミック
スにおいては、準安定な正方晶が、熱及び熱水条件下に
おいて、容易に単斜晶へ転移を生じ、焼結体の強度を低
下させてしまう危険性があるため、構造材としての用途
は限定されたものとなっている。
本発明は、従来の部分安定化ジルコニア焼結体及びムラ
イトセラミックスの上記の如き欠点を解決すべきなされ
たものであって、200〜400℃大気中あるいは高温熱水条
件下での経時劣化が極めて少なく、高強度で熱安定性及
び熱水安定性に優れ、高温での機械的特性を改善し、所
望の熱膨張係数を有する高靱性ジルコニア質焼結体を提
供し、ジルコニア焼結体の利用範囲を大いに拡大するこ
とを目的とするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、Y2O3を含有する部分安定化ジルコニアの
200〜400℃、あるいは水蒸気の存在下、高温熱水溶液中
における正方晶から単斜晶への相移転を伴う経時劣化に
対する安定化剤及び3Al2O3・2SiO2(ムライト)又は3Al
2O2・2SiO2(ムライト)及びAl2O3の添加分散効果に特
に着目して検討したところ、これら3Al2O3・2SiO2(ム
ライト)等の成分の添加分散が経時劣化の防止に極めて
有効であり、また安定化剤としてY2O3に対してCeO2を共
存させることでさらにその効果を一段と高められること
を見出し、同時に高強度で高温での機械的特性が改善さ
れ、所望の熱膨張係数を有する高靱性ジルコニア質焼結
体が得られることを見出して本発明を完成した。
本発明の高靱性ジルコニア質焼結体は、Y2O3とCeO2を安
定化剤として含む主として正方晶よりなる部分安定化ジ
ルコニアに、0.5〜60内部重量%の範囲でムライト(3Al
2O3・2SiO2又はムライトとAl2O3を含む焼結体で、平均
結晶粒子径が3μm以下であることを要旨とする。
本発明の高靱性ジルコニア質焼結体は、部分安定化ジル
コニアに、ZrO2のゾルまたはZrO2のゾルおよび水溶性の
塩を、安定化剤の水溶性の塩と共に溶液の状態で均一に
混合した後、沈澱の形で分離して得られた原料を用いる
ことができる。
本発明のの安定化剤の添加量は、ZrO2に対し内部mol%
で、Y2O3:1〜6mol%、CeO2:7〜15mol%の範囲であり、
夫々の混合比率において、上記含量範囲内である。
また、本発明の高靱性ジルコニア質焼結体のZrO2の一部
または全部をHfO2で置換することができる。
本発明において安定化剤としてY2O3とCeO2をジルコニア
に添加するのは、ZrO2にこれら2価または3価の金属酸
化物を固溶させることによって、室温において、主とし
て正方晶から成る部分安定化ジルコニアを得るためであ
る。本発明におけるY2O3の添加量はジルコニアに対し、
1.0〜6.0mol%であり、より好ましくは1.5〜5.0mol%で
ある。またCeO2の添加量はジルコニアに対し7.0〜15.0m
ol%であり、より好ましくは8.0〜14.0mol%である。こ
れらを混合使用する場合には、夫々混合比率において、
上記含量範囲内とすればよい。たとえば、Y2O3とCeO2
を等量使用する場合には、Y2O3使用量は(1.0〜6.0)×
1/2=0.5〜3.0mol%、CeO2使用量は(7.0〜15.0)×1/2
=3.5〜7.5mol%の範囲にすればよい。
本発明において、安定化剤の添加量を限定した理由は次
の通りである。添加量が下限値を下回ると正方晶系の結
晶相が得られなくなるためである。また添加量が上限値
を上回ると曲げ等の機械的特性が低下する傾向が顕著と
なるからである。
なお、Y2O3の一部あるいは全部をLa2O3,Er2O3,Nd2O3
等の希土類金属酸化物で置換しても同様の効果が得られ
るものである。また、安定化剤としてY2O3を選択する場
合において、熱安定性、熱水安定性をさらに向上させる
必要がある場合は、安定剤としてCeO2を共存させること
がよい。
本発明の組成を有するジルコニア焼結体は主として正方
晶より成る部分安定化ジルコニアであるので、高強度、
高靱性を示す。本来、正方晶は準安定相であるため試料
表面の研削によって一部が単斜晶へ転移を生じ、表面層
の残留圧縮応力により、焼結体の強化に寄与する。この
強化の程度は、研削による表面粗さと焼結体の粒径に依
存している。このため、本発明による主として正方晶よ
り成る部分安定化ジルコニアとは、X線回折による結晶
相の測定において、鏡面状態で、正方晶系を少なくとも
20%以上含むジルコニアをいう。正方晶系が20%以下で
は靱性が低いため正方晶系は20%以上含まれることが必
要である。
本発明の高靱性ジルコニア質焼結体は、従来の部分安定
化ジルコニア焼結体に、3Al2O3・2SiO2(ムライト)成
分である針状結晶を微細に分散させ、焼結体の微構造を
制御することにより、常温での優れた強度を有すると共
に、正方晶から単斜晶への転移による劣化を制御する作
用があり、熱的に極めて安定であり、従来より劣化の激
しい水蒸気の存在下、高圧熱水溶液中においても高い安
定性を示す。その上、高温における部分安定化ジルコニ
ア焼結体の強度、クリープ等の機械的特性をも改善する
ものである。
また、Al2O3を含む高靱性ジルコニア焼結体に対して
も、3Al2O3・2SiO2(ムライト)成分である針状結晶の
分散により上記効果が得られる。さらに、焼結体中に含
まれる3Al2O3・2SiO2(ムライト)量を加減することに
より、部分安定化ジルコニアの熱膨張係数を下げ所望の
値に制御することが可能となる。
ここで3Al2O3・2SiO2(ムライト)あるいはAl2O3および
3Al2O3・2SiO2(ムライト)の添加量を制限した理由は
次の通りである。添加量が0.5内部重量%以下では、添
加効果が乏しいからであり、60内部重量%以上では靱性
あるいはZrO2の含有量を低め、強度、靱性等の機械的特
性が急激に低下するからである。本発明をより効果ある
ものとするためには、3Al2O3・2SiO2(ムライト)ある
いはAl2O3及び3Al2O3・2SiO2(ムライト)の添加量を3
〜50内部重量%の範囲に選択するとよい 本発明の焼結体で、優れた耐熱水安定性を得るために
は、97.5%以上の対理論密度が望ましく、より好ましく
は99%以上の対理論密度が良い。このため、本発明に使
用する3Al2O3・2SiO2(ムライト)は、微粒かつ易焼結
性であることが望ましい。かかる微細かつ易焼結性の原
料粉末は例えば、アルミニウム化合物及びケイ酸化合物
を夫々含む溶液を液相の状態で混合させた後に乾燥し11
00〜1500で仮焼し、粉砕することによって得られる。ま
た、本発明で言う3Al2O3・2SiO2(ムライト)とは、Al2
O3・2SiO2(ムライト)とは、Al2O3/SiO2比が65/35か
ら75/25の範囲内の組成物のことを言う。
本発明の焼結体は平均結晶粒子が3μm以下てあること
が望ましい。平均結晶粒子径が3μmを越えると正方晶
が単斜晶系に変り、靱性が低下する。また、焼結体中の
正方晶ジルコニアの平均結晶粒子は、優れた耐熱及び耐
熱水安定性を得るために、0.5μm以下にすることが好
ましい。
本発明の部分安定化ジルコニアはZrO2のゾルまたはZrO2
のゾルおよび水溶性の塩を、安定化剤の水溶性の塩と共
に溶液の状態で均一に混合した後、沈澱の形で分離して
得られた原料を用いるので、ZrO2に安定化剤が均一に分
散し、極めて微粒子から成る易焼結性の粉体を原料とす
ることができる。この結果、微粒,均一な組成を有し、
マイクロポアのほとんどない焼結体が得られ、強度,靱
性についても所期の値が得られる。
また、本発明の高靱性ジルコニア質焼結体のZrO2はその
一部以上全部迄HfO2によって置換しても全く同様の特性
を示すものである。
〔作用〕
本発明の高靱性ジルコニア質焼結体は、3Al2O3・2SiO2
(ムライト)又は3Al2O2・2SiO2(ムライト)及びAl2O3
が分散されているので、Y2O3のみを含有する部分安定化
ジルコニアと比較し、特に200〜400℃、あるいは水蒸気
存在下、高温熱水溶液中における経時劣化が極めて少な
く、熱的安定性および熱水安定性に優れる。また安定化
剤としてY2O3に対しCeO2が共存含有されているので、経
時劣化に対する耐久性は一段と優れる。各添加成分の効
果について以下に説明する。
安定化剤としてY2O3とCeO2をともに含むことにより、Y2
O3のみの場合と比較し、正方晶の安定化が向上、すなわ
ち200〜400℃という低温域における正方晶から単斜晶へ
の相移転がおきにくくなる。3Al2O3・2SiO2(ムライ
ト)成分の添加は、ジルコニア焼結体中に3Al2O3・2SiO
2(ムライト)成分である針状結晶を微細に分散させ、
焼結体の微構造を制御することにより、ジルコニア結晶
粒子を保持し、正方晶から単斜晶への転移による劣化を
抑制する顕著な効果があり、特に従来より劣化の激しい
水蒸気の存在下、高圧熱水溶液中においても高い安定性
を示す。その上、同時に常温での優れた強度をもたらす
とともに、高温における部分安定化ジルコニア焼結体の
強度、クリープ等の機械的特性をも改善するものであ
る。
〔実施例〕
以下に、実施例により本発明を詳細に説明し、本発明の
効果をより明らかにする。
〈実施例1〉 硝酸アルミニウムとケイ酸エチルを用い、ムライト組成
になるように、水,エタノールと混合し、その混合溶液
を600℃にて噴霧乾燥した。得られた合成粉を1000〜130
0℃にて仮焼を行ない、粉砕することにより、比表面積5
0〜10m2/g、Al2O3/SiO2比が71.8/28.2の3Al2O3・2SiO2
(ムライト)を調製した。なお、この合成ムライトは16
00℃にて焼結することにより3.17の密度を示した。
得られる粉末の組成が第1表の割合になるように純度9
9.9%のオキシ塩化ジルコニウムの加水分解によって得
られたジルコニアゾル溶液に安定化剤として純度99.9%
の塩化イットリウム,塩化セリウムを加え、均一に混合
した溶液を凝結させ沈澱とし、これを脱水乾燥し、850
℃にて仮焼して、35m2/gの比表面積を有する部分安定化
ジルコニア粉末を得た。
この粉末に、上記の方法で得られた3Al2O3・2SiO2(ム
ライト)及び平均粒径0.3μ、純度99.9%のAl2O3を第5
表の割合で加え、湿式混合乾燥させた粉末を1.5ton/cm2
の圧力で等方的に成形し、1400〜1650℃の温度で大気中
2時間焼成した。得られた焼結体の平均結晶粒子は全て
3μmであった。
得られた焼結体は3×4×40mmに切断研磨加工し、密
度,結晶相,抗折強度、破壊靱性を測定し、結果を第1
表に示した。
抗折強度はJIS規格に従い、3×4×40mm試料片を用
い、スパン30mm、クロスヘッド速度0.5mm/minの3点曲
げにより10本の平均値を示した。
破壊靱性は、マイクロ・インデンテーションにより、荷
重50kgで圧痕を入れて測定を行ない、KIC値は新原らの
式を用いた。
結晶相の定量測定は、X線回折法により行なった。すな
わち、ダイタモンドペーストにて鏡面研磨した試料片の
単斜晶の(111)面と(111)面の積分強度IMと、正方晶
の(111)面及び立方晶(111)面の積分強度IT、IGより
単斜晶量は、 の式により決定した。次に焼結体を5μm以下に微粉砕
し、X線回折により同条件で単斜晶ZrO2と立方晶ZrO2
積分強度IM *、IC *を求めた。すなわち、この粉砕の過程
で焼結体中に存在していた正方晶ZrO2は機械的応力によ
り、すべて単斜晶ZrO2へ変態すると考えられる。よっ
て、立方晶は、 により決定しこれにより次に正方晶量を決定した。
(正方晶量)=100−{(単斜晶量)+(立方晶量)} 第1表においてNo.45〜No.55は安定化剤としてY2O3及び
CeO2を種々の割合と量で添加し、ムライト及びAl2O3
それぞれ12.5%配合した例である。No.45はY2O3及びCeO
2の添加量が共に本発明の組成範囲以下である比較例で
あるが、焼成の途中で崩壊してしまい結晶相も100%単
斜晶へ転移してしまう。Y2O3及びCeO2を本発明の組成範
囲内で含有するNo.46〜No.51及びNo.53〜No.54では破壊
靱性,抗折強度共に高い値を示し、結晶相も単斜晶への
転移が殆んど見られなかった。しかし、Y2O3及びCeO2
添加量が混合比率において本発明に規定する範囲を越え
る比較例である。No.52及びNo.55では、強度が著しく低
いことが判明した。
なお、No.15は安定化剤としてY2O3のみを含有しムライ
トまたはアルミナを含有しない比較例、No.21およびNo.
30は安定化剤としてY2O3のみを含有しムライトまたはア
ルミナを多量に含有する比較例、No.31は安定化剤とし
て規定量以下のY2O3のみを含有しムライトまたはアルミ
ナを含有する比較例、No.37は安定化剤として規定量以
上のY2O3のみを含有しムライトまたはアルミナを含有す
る比較例であるが、いずれも本発明に比較して機械的強
度が劣った。また、比較例から明らかなように、ジルコ
ニア結晶において単斜晶含有量の増大は、機械的強度の
低下と相関があることが判明した。
(実施例2) 実施例1の方法により調製した焼結体を用い、オートク
レーブを使用して、145℃の水蒸気中において、熱水劣
化試験を行ない、焼結体試料表面の単斜晶量を測定し単
斜晶量と保持時間の関係を第1図に示した。また、300
℃の電気炉内に所定時間保持し、熱劣化試験を行ない、
同様に焼結体試料表面の単斜晶量を測定し、同様に単斜
晶量と保持時間の関係を第2図に示した。
第1図及び第2図においてNo.15は3Al2O3・2SiO2(ムラ
イト)を全く含まない本発明の組成範囲外の比較例であ
り、No.Xは市販の共沈法によるY2O3を3モル%含み、Al
2O3及び3Al2O3・2SiO2(ムライト)を全く含まないジル
コニア焼結体で、1500℃で2時間焼成されて得られた比
較例である。No.48は安定化剤として2mol%のY2O3及び4
mol%のCeO2を含みこれに12.5重量%の3Al2O3・2SiO
2(ムライト)及び12.5重量%のAl2O3を含有する本発明
例である。
第1図及び第2図から明らかなように、比較例であるN
o.15はオートクレーブ中の熱水劣化試験により非常に短
時間で焼結体表面に単斜晶量が増大し、10時間後に単斜
晶量は60%以上に達している。また熱劣化試験において
も、1000時間後に単斜晶量は70%以上に達し、単斜晶量
の増大が最も多い。そして、焼結体表面に微少亀裂の生
成とともに粒界破壊を生じる一方、微細な単斜晶ZrO2
子が析出し、白色化していることが認められた。
一方、No.Xは熱水中においては比較的早い時間で一気に
単斜晶量が増大し、10時間後に単斜晶量は50%に達し、
以後はやや緩やかに増大する。また熱劣化試験において
も同様の結果を示し、1000時間後に単斜晶量は60%以上
に達し、焼結体表面の単斜晶量の増大が著しく、試料エ
ッジ部分にクラックが生じ、劣化が著しい。
これに対してY2O3およびCeO2を安定化剤として含有し、
3Al2O3・2SiO2(ムライト)を含有する本発明例のNo.48
の焼結体は、オートクレーブ処理による高温水蒸気中お
よび300℃空気中のそれぞれの経時試験において殆ど単
斜晶量の増大(正方晶から単斜晶への相移転)が見られ
ず(300℃空気中1000時間後の単斜晶量が10%以下であ
り、145℃飽和水蒸気中10時間後の単斜晶量も10%以下
で)、熱および熱水中において著しく高い安定性を示し
た。
すなわち、本発明例では、安定化剤としてY2O3に加えて
CeO2を含有しているため、ジルコニア結晶(正方晶)の
安定性が高められ、さらに3Al2O3・2SiO2(ムライト)
の分散により、200〜400℃の高温域あるいは高温飽和水
蒸気中の経時劣化に対する耐久性が一段と高められたも
ので、本発明の高靱性ジルコニア焼結体が熱および熱水
中において、著しく高い安定性を示すことが判明した。
(実施例3) 実施例1の方法で得られたNo.48と実施例2で用いた比
較例である試料No.Xを用いて高温強度を測定した。No.4
8はジルコニアゾル溶液と塩化イットリウム及び塩化セ
リウムの共沈によって得られた原料にアルミナ及びムラ
イトをそれぞれ12.5%添加した本発明例である。
高温強度の測定は、実施例1の曲げ強度の測定と同じ方
法で、試料を500℃,800℃,100℃に保持して抗折強度を
測定した。測定の結果を縦軸に曲げ強度を横軸に保持温
度をとって第3図に示した。
第3図より明らかなように、本発明のNo.48は比較例のN
o.Xより高温強度が向上していることが確認された。
なお、以上に示した本発明の高靱性ジルコニア焼結体の
実施例はいずれも大気中で1400〜1650℃で数時間焼成す
ることにより所望の特性を得たものであるが、真空中、
N2、Ar等の不活性ガス中、水素中、酸素等の雰囲気中で
の焼成,ホットプレス,HIP等のセラミックスの焼成技術
を用いることによっても同様の結果が得られることによ
っても同様の結果が得られるものである。
〔発明の効果〕
本発明の高靱性ジルコニア質焼結体は、Y2O3とCeO2を安
定化剤として含む部分安定化ジルコニアに3Al2O3・2SiO
2(ムライト)成分又は、3Al2O3・2SiO2(ムライト)及
びAl2O3成分を新たに添加することにより、常温での優
れた強度を示すとともに、従来より不安定とされる200
〜400℃における熱及び熱水安定性に優れる。すなわ
ち、ジルコニアの安定化剤としてY2O3に対しCeO2を共存
させることで正方晶の安定性が高められる。
また、添加剤である3Al2O3・2SiO2(ムライト)成分又
は3Al2O3・2SiO2(ムライト)及びAl2O3成分は、ジルコ
ニア焼結体中に針状結晶として微細に分散するとともに
ジルコニア結晶を保持し200〜400℃の低温域あるいは熱
水中で正方晶から単斜晶への転移を抑制するため、熱劣
化及び熱水劣化に対し著しい制御効果がある。
また、同時に3Al2O3・2SiO2(ムライト)成分である針
状結晶は、部分安定化ジルコニア焼結体中に微細に分散
し、焼結体の微構造を制御するもので、部分安定化ジル
コニア焼結体の高温における強度やクリープ特性等の機
械的特性を著しく改善することができる。
さらに、焼結体中に含まれる3Al2O3・2SiO2(ムライ
ト)量を加減することにより、部分安定化ジルコニアの
熱膨張率を下げ、所望の値に制御することが可能とな
る。
一方、3Al2O3・2SiO2(ムライト)単味の焼結体からみ
れば、従来20〜30Kg/mm2の常温強度しか得られないムラ
イトの強度が、約4倍以上の強度に高められるという効
果がもたらされる。
これに加えて、本発明の高靱性ジルコニア焼結体はZrO2
のゾルまたはジルコニアのゾルおよび水溶性の塩を安定
化剤の水溶性の塩と共に均一に混合して沈澱の形で分離
して得られる原料を用いるので、マイクロボアを含ま
ず、高密度で高強度の焼結体を得ることができる。
このように高強度、高靱性と共に熱安定性、特に熱水安
定性満足しうる本発明の高靱性ジルコニアは、例えば、
熱及び圧力を受ける熱可塑性樹脂やセラミックスの射出
成形機用の耐磨耗セラミックスクリュウやノズルのほ
か、真ちゅうロッドやや銅管シェル等のダイスにも最適
である。その上、切削工具、工業用カッタ、ダイス、内
燃機関、ポンプ、人工骨、人工歯、人工歯根、摺動部
品、人工鋳造セラミックによる人工歯のブリッヂ芯材、
精密機械工具、高温炉用部品、固体電解質等への実用化
とその性能向上に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例2の熱水劣化試験の時間と単斜晶量の関
係を示した図、第2図は実施例2の熱劣化試験の時間と
単斜晶量の関係を示した図、第3図は実施例3の高温強
度試験の保持温度と曲げ強度の関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−81062(JP,A) 特開 昭61−101463(JP,A) 特開 昭58−9878(JP,A) 特開 昭59−162173(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Y2O3とCeO2を安定化剤として含み、安定化
    剤の添加量が、ZrO2に対し内部mol%でそれぞれY2O3
    1〜6mol%、CeO2は7〜15mol%の範囲にあり、夫々の
    混合比率において、上記含量範囲内である主として正方
    晶よりなる部分安定化ジルコニアに、0.5〜60内部重量
    %の範囲で3Al2O3・2SiO2(ムライト)又はAl2O3及び3A
    l2O3・2SiO2(ムライト)を含む焼結体で、平均結晶粒
    子径が3μm以下であり、ジルコニア結晶の熱安定性に
    優れることを特徴とする高靱性ジルコニア質焼結体。
  2. 【請求項2】部分安定化ジルコニアは、ZrO2のゾルまた
    はZrO2のゾルおよび水溶性の塩を、安定化剤の水溶性の
    塩と共に溶液の状態で均一に混合した後、沈澱の形で分
    離して得られた原料を用いることを特徴とする特許請求
    の範囲第1項記載の高靱性ジルコニア質焼結体。
  3. 【請求項3】300℃大気中に1000時間保持後のジルコニ
    ア結晶の単斜晶量が10%以下であることを特徴とする特
    許請求の範囲第1項または第2項のいずれかに記載の高
    靱性ジルコニア質焼結体。
  4. 【請求項4】145℃飽和水蒸気中に10時間保持後のジル
    コニア結晶の単斜晶量が10%以下であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項乃至第3項のいずれかに記載の
    高靱性ジルコニア質焼結体。
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