JPH0710001Y2 - 内燃機関におけるカム軸の軸受装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、吸気弁を開閉するためのカム軸と排気弁を開
閉するためのカム軸とを、シリンダヘッドの上面に平行
に設けて成るいわゆるDOHC型の内燃機関において、前記
各カム軸をシリンダヘッドに対して軸支するための軸受
装置に関するものである。

〔従来の技術〕

一般に、DOHC型の内燃機関におけるカム軸の軸受装置
は、特開昭57−52610号公報に記載されているように、
シリンダヘッドにおける一側部の上面には吸気弁開閉用
のカム軸に対する軸受部を、シリンダヘッドにおける他
側部の上面に排気弁開閉用のカム軸に対する軸受部を各
々一体的に設け、これら各軸受部に、各カム軸の下半分
が嵌まる軸受孔を各々形成する一方、前記各軸受部の上
面に、前記各カム軸の上半分が嵌まる軸受孔を備えた軸
受キャップ体を載置して、これら各軸受キャップ体にお
けるカム軸を挟んだ一方側を、軸受ボルトにて軸受部に
締結する一方、各軸受キャップ体におけるカム軸を挟ん
だ他方側を、シリンダヘッドをシリンダブロックに締結
するためのヘッドボルトにて、軸受部に対して締結する
ように構成している。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、シリンダヘッドにおける各軸受部の軸受孔及
び各軸受キャップ体の軸受孔の仕上げ加工は、その加工
精度を高くするために、各軸受キャップ体を各軸受部に
対して取付けた状態で行うものである。

ところが、従来のように、各軸受キャップ体の他方側
を、単にヘッドボルトにてシリンダヘッドにおける各軸
受部に締結したに過ぎない構成では、各軸受部の軸受孔
及び各軸受キャップ体の軸受孔を仕上げ加工をするに際
して、シリンダヘッドをシリンダブロックに一々取付け
なければならないため、前記各軸受部の軸受孔及び各軸
受キャップ体の軸受孔を仕上げ加工することがきわめて
厄介になり、この仕上げ加工に要するコストが大幅にア
ップすると云う問題があった。

本考案は、この問題を解消したカム軸の軸受装置を提供
することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するため本考案は、シリンダヘッドの上
面に配設したカム軸を、シリンダヘッドに一体的に設け
た軸受部と、該軸受部に対して取付く軸受キャップ体と
で軸支し、前記軸受キャップ体のうち前記カム軸を挟ん
だ一方側を、前記軸受部に対して軸受ボルトにて締結す
る一方、前記軸受キャップ体のうちカム軸を挟んだ他方
側を、前記シリンダヘッドをシリンダブロックに締結す
るためのヘッドボルトにて前記軸受部に対して締結して
成る軸受装置において、前記軸受キャップ体における他
方側に、当該他方側に対する補助締結用ボルトが嵌まる
ボルト挿入孔を穿設する一方、前記シリンダヘッドにお
ける軸受部には、前記補助締結ボルトに対する雌ねじ孔
を穿設する構成にした。

〔考案の作用・効果〕

このように構成すると、シリンダヘッドにおける軸受部
の軸受孔と軸受キャップ体の軸受とを仕上げ加工にする
に際しては、軸受キャップ体の一方側を軸受ボルトにて
軸受部に締結する一方、軸受キャップ体の他方側を補助
締結用ボルトにて軸受部に締結することにより、軸受キ
ャップ体をシリンダヘッドに取付けることができるか
ら、シリンダヘッドをシリンダブロックに取付けること
なく、シリンダヘッドにおける軸受部の軸受孔と、軸受
キャップ体の軸受孔との仕上げ加工を行うことができる
ことになる。

従って、本考案によると、シリンダヘッドにおける軸受
部の軸受孔と、軸受キャップ体の軸受孔との仕上げ加工
作業を、シリンダヘッドをシリンダブロックから取り外
した状態にて行うことができるから、シリンダヘッドに
おける軸受部の軸受孔及びキャップ体の軸受孔との仕上
げ作業に要する手間を大幅に低減して、これらシリンダ
ヘッドにおける軸受部の軸受孔及び軸受キャップ体にお
ける軸受孔の加工コストを大幅に低減できる効果を有す
る。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明すると、図
において符号１は、シリンダボア２を備えたシリンダブ
ロックを、符号３は、該シリンダブロック１の上面にお
けるシリンダヘッドを各々示し、該シリンダヘッド３に
は、その一側面に開口した吸気弁４付き吸気ポート５
と、他側面に開口した排気弁６付き排気ポート７とが、
シリンダボア２の軸芯を挟んで対称状に設けられてい
る。

前記シリンダヘッド３における上面の一側寄り部位と他
側寄り部位とには、各々上面室８を一体的に設け、一側
寄り部位の上面室８内には前記吸気弁４に対するカム軸
９を、他側寄り部位の上面室８内には前記排気弁６に対
するカム軸10を互いに平行に配設し、これら各カム軸9,
10の下半分を、前記各上面室８内に一体的に設けた軸受
部11の軸受孔12内に回転自在に嵌める一方、前記各軸受
部11の各々には、前記各カム軸9,10の上半分が嵌まる軸
受孔13を備えた軸受キャップ体14を載置している。

そして、前記各軸受キャップ体14における各カム軸9,10
を挟んだ両側のうち、シリンダヘッド３の外側寄りに位
置した一方側を、前記各軸受部11に対して軸受ボルト15
にて締結する一方、前記各軸受キャップ体14における前
記各カム軸9,10を挟んだ他方側には、前記シリンダヘッ
ド３をシリンダブロック１に締結するためのヘッドボル
ト16を挿入して、該ヘッドボルト16にて、軸受キャップ
体14における他方側を軸受部11に対して締結する。

更に、前記各軸受キャップ体14における他方側には、前
記軸受ボルト15及びヘッドボルト６よりも小径の補助締
結用ボルト17が嵌まるボルト挿入孔18を穿設する一方、
各軸受部11には、前記補助締結用ボルト17が螺合する雌
ねじ孔19を各々穿設する。

この構成において、軸受キャップ体14は、その一方側が
軸受ボルト15により、他方側がヘッドボルト16により
（又はヘッドボルト16と補助締結用ボルト17とにより）
各軸受部11に対して各々締結されているから、各カム軸
9,10を軸支することができる。

そして、各軸受部11における軸受孔12と、各軸受キャッ
プ体14における軸受孔13とを仕上げ加工するに際して
は、第３図に示すように、各軸受キャップ体14の一方側
を軸受ボルト15にて各軸受部11に締結する一方、各軸受
キャップ体14における他方側を補助締結用ボルト17にて
軸受部11に締結することにより、シリンダヘッド３をシ
リンダブロック１に取付けることなく、各軸受キャップ
体14を軸受部11に取付けることができるから、各軸受部
11及び軸受キャップ体14における各軸受孔12,13の仕上
げ加工に要する手間が従来に比べて格段に軽減され、そ
の加工に要するコストを大幅に低減することができるの
である。

なお、前記補助締結用ボルト17は、軸受部11及び軸受キ
ャップ体14における各軸受孔12,13の仕上げ加工に際し
て、軸受キャップ体14における他方側を軸受部11に締結
し得るだけの強度があれば足り、その直径を軸受ボルト
15よりも小径にすることができるから、補助締結用ボル
ト17を設けたことのために軸受キャップ体14が過度に大
型化することもない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は内燃機関の要部
を示す縦断正面図、第２図は分解した状態を示す図、第
３図は軸受孔を仕上げ加工している状態を示す図であ
る。 １……シリンダブロック、３……シリンダヘッド、４…
…吸気弁、５……吸気ポート、６……排気弁、７……排
気ポート、８……上面室、9,10……カム軸、11……軸受
部、12,13……軸受孔、14……軸受キャップ体、17……
補助締結用ボルト、18……ボルト挿入孔、19……雌ねじ
孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダヘッドの上面に配設したカム軸
   を、シリンダヘッドに一体的に設けた軸受部と、該軸受
   部に対して取付く軸受キャップ体とで軸支し、前記軸受
   キャップ体のうち前記カム軸を挟んだ一方側を、前記軸
   受部に対して軸受ボルトにて締結する一方、前記軸受キ
   ャップ体のうちカム軸を挟んだ他方側を、前記シリンダ
   ヘッドをシリンダブロックに締結するためのヘッドボル
   トにて前記軸受部に対して締結して成る軸受装置におい
   て、前記軸受キャップ体における他方側に、当該他方側
   に対する補助締結用ボルトが嵌まるボルト挿入孔を穿設
   する一方、前記シリンダヘッドにおける軸受部には、前
   記補助締結用ボルトに対する雌ねじ孔を穿設したことを
   特徴とする内燃機関におけるカム軸の軸受装置。