JPH069637A - 縮合ピリミジン誘導体、その製造法および用途 - Google Patents

縮合ピリミジン誘導体、その製造法および用途

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JPH069637A
JPH069637A JP8891993A JP8891993A JPH069637A JP H069637 A JPH069637 A JP H069637A JP 8891993 A JP8891993 A JP 8891993A JP 8891993 A JP8891993 A JP 8891993A JP H069637 A JPH069637 A JP H069637A
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JP8891993A
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Hiroshi Akimoto
浩 秋元
Koichiro Otsu
紘一郎 大津
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】新規抗腫瘍化合物の提供 【構成】式 【化1】 〔Aは5員環、Bは2価の5又は6員の同素又は複素環
基、XはNH2、OH又はSH、YはH、ハロゲン又は
C、N、O、Sを介する基、Zは1個のヘテロ原子が介
在していてもよい2価の脂肪族基、COOR1はエステ
ル化されていてもよいカルボキシ基、Q1は複素環基、
pは1〜4。〕で表される化合物、その製造法および
剤。 【効果】優れた抗腫瘍作用

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗腫瘍剤として有用な新
規縮合ピリミジン誘導体、その製造法および用途に関す
る。
【0002】
【従来の技術】葉酸およびその関連化合物は、生体内に
おけるギ酸やホルムアルデヒドなどに由来するC1単位
の運搬体として、核酸生合成系、アミノ酸・ペプチド代
謝系およびメタン生成系などの各種酵素反応の補酵素の
役割を担っている。特に、核酸生合成系においては、2
つの経路すなわちプリン合成系並びにチミジン合成系に
おけるC1単位の代謝・転移反応に必須である。通常、
葉酸がその生物活性を発揮するためには、2段階に還元
を受け活性補酵素型に変換されなくてはならない。その
第2段階を支配する酵素(ジヒドロ葉酸還元酵素:DH
FR)と強く結合し、ジヒドロ葉酸からテトラヒドロ葉
酸への還元を抑制する薬物としてアメソプテリン(メソ
トレキサート:MTX)およびその周辺化合物が知られ
ている。これら薬物はDNA合成に障害を与え、結果と
して細胞死を招来するため、白血病を中心とした治療薬
として、臨床上、重要な地位を占めている。さらに、生
化学分野、特に癌研究における葉酸関連分野の目覚まし
い進展に伴い、新規なDHFR阻害剤である10−デア
ザアミノプテリン系抗腫瘍剤(10-エチル-10-デアザア
ミノプテリン:10−EDAM)[エヌ・シー・アイ・
モノグラフ(NCI Monograph) 5, 127 (1987)]あるい
はアミノプテロイル系オルニチン誘導体(N(α)-(4-ア
ミノ-4-デオキシプテロイル)-N(δ)-ヘミフタロイル-L
-オルニチン:PT523)[公表特許公報:平2−5
02095]、および、DHFRとは異なる酵素を標的
とした拮抗阻害剤、すなわち、グリシンアミド・リボヌ
クレオチド・トランスホルミラーゼ阻害を主作用機序と
する5−デアザテトラヒドロアミノプテリン系抗腫瘍剤
(5,10-ジデアザ-5,6,7,8-テトラヒドロフォーレート:
DDATHF)[ジャーナル・オブ・メディシナル・ケ
ミストリィ(Journal of Medicinal Chemistry) 28,
914 (1985)]あるいはチミジル酸合成酵素阻害を主作
用機序とするキナゾリン系抗腫瘍剤(2-デスアミノ-2-
メチル-10-プロパルギル-5,8-ディデアザフォーレー
ト:DMPDDF)[ブリティシュ・ジャーナル・オブ
・キャンサー(British Journal of Cancer) 58, 241
(1988)]など も報 告されている。しかしながら、こ
れらすべての化合物は6員環と6員環と の縮合環(6
−6縮合環)を基本骨格とした複素環化合物群の範疇を
出ていない。一方、6員環と6員環との縮合環ではな
く、6員環と5員環とから形成される縮合環(6−5縮
合環)、すなわち、ピロロ[2,3-d]ピリミジン環を基
本骨格 とする 葉酸拮抗剤にも優れた抗腫瘍活性の存在
することが報告されているが、 このピロロ[2,3-d]ピ
リミジン誘導体は末端側鎖にグルタミン酸由来の2つの
共存するカルボキシ基が必須条件として記載されてい
る[USP4,997,838、EP-A-400,562、EP-A-402,903、EP-A
-418,924、EP-A-431,953、EP-A-434,426、EP-A-438,261
およびUSP4,996,206]。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在、癌の治療分野に
おいて特に要望されていることは、癌細胞に対して高選
択毒性を示しかつ優れた治療効果を有する新しい作用機
序に基づく薬剤の創製である。ジヒドロ葉酸還元酵素の
阻害を主作用機序としたMTXは、現在、臨床で広く使
用されているが、比較的毒性が強くかつ固形癌に対して
あまり効果がないなど充分満足すべき治療結果を挙げて
いない。さらに、MTXに対する獲得耐性も大きな問題
になって来ている。MTXの耐性機序としては、DHF
Rレベルの上昇、細胞膜薬物輸送能の低下、葉酸ポリグ
ルタメート合成酵素(FPGS)レベルの低下などがあ
る。これら耐性要因のうち少なくともひとつ以上を克服
することにより、MTX耐性癌に対しても優れた治療効
果を示す薬剤の開発が期待されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み鋭意研究を積み重ねた結果、基本骨格の複素環と
して6−5縮合環を有し、かつ末端側鎖にグルタミン酸
由来の2つのカルボキシ基が共存しない新規縮合ピリミ
ジン誘導体が、葉酸およびその関連化合物の関与する関
連酵素反応の1つ以上を阻害し、各種腫瘍細胞(特にヒ
ト肺ガン細胞など)に対して高い選択毒性を有するとと
もに、MTX耐性をも克服して優れた腫瘍治療効果を示
すことを見い出し本発明を完成した。すなわち本発明
は、(1)式
【化4】 〔式中、A環は水素化されていてもよい5員環であっ
て、置換基を有していてもよく、Bは置換基を有してい
てもよい2価の5または6員の同素または複素環基を、
Xはアミノ基、ヒドロキシ基またはメルカプト基を、Y
は水素原子、ハロゲン原子、または炭素、窒素、酸素も
しくは硫黄原子を介する基を、Zは置換基を有していて
もよく、鎖状部に1個のヘテロ原子が介在していてもよ
い直列する5個を超えない鎖構成原子をもつ2価の脂肪
族基を、COOR1はエステル化されていてもよいカル
ボキシ基を、Q1は置換基を有していてもよい複素環基
を、pは1ないし4の整数を示す。〕で表される化合物
またはその塩、
【0005】(2)式
【化5】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合
物またはその塩もしくはカルボキシ基における反応性誘
導体と、式
【化6】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合
物とを反応させる第(1)項記載の化合物の製造法、
(3)第(1)項記載の化合物を含有する抗腫瘍性組成
物、(4)Q1で表される置換基を有していてもよい複
素環基が、陰イオンを形成し得る基である第(1)項記
載の化合物、(5)Q1がテトラゾリル基である第
(1)項記載の化合物、(6)2(S)−[4−[2−
(2,4−ジアミノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリ
ミジン−5−イル)エチル]ベンゾイルアミノ]−4−
(1H−テトラゾール−5−イル)酪酸またはその塩で
ある第(1)項記載の化合物、および(7)2(S)−
[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H−ピロロ[2,
3−d]ピリミジン−5−イル)プロピル]ベンゾイル
アミノ]−4−(1H−テトラゾール−5−イル)酪酸
またはその塩である第(1)項記載の化合物に関するも
のである。
【0006】上記式中、化合物(I)および(II)はそ
の互変異性体との平衡混合物として存在することができ
る。下記に、互変異性可能な部分構造式を掲げ、それら
の間の平衡関係を示す。
【化7】 表示の便宜上、本明細書全般にわたって、アミノ型、ヒ
ドロキシ型およびメルカプト型が記載されそれに相当す
る命名法が採用されているが、いずれの場合においても
互変異性体であるイミノ型、オキソ型およびチオキソ型
をも含むものとする。また、本発明化合物(I)、(I
I)および(III)には複数の不斉中心の存在が可能であ
るが、(I)および(III)における部分構造式
【化8】 の絶対配置がS(L)である以外、その他の不斉中心の
絶対配置はS、R、あるいRSの混合物いずれであって
もよい。この場合、複数のジアステレオアイソマーが存
在するが必要とあれば通常の分離精製手段により容易に
分離することが出来る。このようにして分離することが
出来る上記総てのジアステレオアイソマーは本発明の範
囲内に属する。
【0007】上記式中、A環で示される水素化されてい
てもよい5員環の5員環としては、炭素原子あるいは炭
素原子と1個のヘテロ原子(例えば、オキシド化されて
いてもよい窒素原子、酸素原子あるいはオキシド化され
ていてもよい硫黄原子など)とから構成される5員環な
どが用いられる。このような水素化されていてもよい5
員環としては、例えばシクロペンタジエン、シクロペン
テン、フラン、ジヒドロフラン、チオフェン、ジヒドロ
チオフェン、ジヒドロチオフェン−1−オキシド、ジヒ
ドロチオフェン−1,1−ジオキシド、ピロール、ピロ
リンなどが用いられる。なかでも、ピロールなどが繁用
される。これらの5員環は可能な位置に1ないし2個の
置換基を有していてもよく、かかる置換基の例として
は、例えば炭素数1ないし4のアルキル基(例、メチ
ル、エチル、プロピル、iso-プロピル基)、炭素数2な
いし4のアルケニル基(例、ビニル、1−メチルビニ
ル、1−プロペニル、アリル、アレニル基)、炭素数2
ないし4のアルキニル基(例、エチニル、1−プロピニ
ル、プロパルギル基)、C3-8シクロアルキル基(例、
シクロプロピル基)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素)、炭素数1ないし4のアルカノイル
基(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリ
ル、イソブチリル基)、ベンゾイル基、置換ベンゾイル
基(例、p−クロロベンゾイル、p−メトキシベンゾイ
ル、3,4,5−トリメトキシベンゾイル基などのハロ
ゲノベンゾイルまたはモノー,ジ−またはトリ−C1-4
アルコキシベンゾイル)、シアノ基、カルボキシ基、カ
ルバモイル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシ−
1-4アルキル基(例、ヒドロキシメチル基、ヒドロキ
シエチル基)、C1-4アルコキシ−C1-4アルキル基
(例、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシ
エ チル基、エトキシエチル基)、炭素数1ないし4の
アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ
基)、メルカプト基、炭素数1ないし4のアルキルチオ
基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ基)、
アミノ基、モノ−またはジ−C1-4アルキルアミノ基
(例、メチルアミノ、 エチルアミノ、ジメチルアミ
ノ、ジエチルアミノ基)、炭素数1ないし4のアルカノ
イルアミノ基(例、ホルムアミド、アセタミド基)など
が用いられる。A環がピロールまたはピロリン環である
場合、Nに置換していてもよい置換基としては、上述の
炭素数1ないし4のアルキル基、炭素数2ないし4のア
ルケニル基、炭素数2ないし4のアルキニル基、C3-6
シクロアルキル基、炭素数1ないし4 のアルカノイル
基、ベンゾイル基、置換ベンゾイル基、ヒドロキシ−C
1-4アルキル基、C1-4アルコキシ−C1-4アルキル基
(特にメトキシエチル基、エトキシエチル基)などのほ
かフェニ ル基、置換フェニル基(例、p−クロロフェ
ニル、p−メトキシフェニル、3,4,5−トリメトキ
シフェニル基などのハロゲノフェニルまたはモノ−,ジ
−またはトリ−C1-4アルコキシフェニル)、ベンジル
基 あるいは置換ベンジル基(例、p−クロロベンジル
などのハロゲノベンジル、p−メトキシベンジルなどの
1-4アルコキシベンジル、ジフェニルメチル基)など
が用いられる。
【0008】A環とZとの結合は可能な位置のいずれで
結合していてもよく、またA環がピロールおよびピロリ
ン環の場合にはN部分でZと結合していてもよい。Bは
置換基を有していてもよい2価の5または6員の同素環
または複素環基を示す。Bで示される同素環基として
は、例えば2価の5または6員環状炭化水素基などが用
いられ、このような炭化水素基としては、例えば5また
は6員の環状脂肪族炭化水素基(例、シクロペンチレ
ン、シクロヘキシレン、1,3−または3,5−シクロ
ペンタジエン−1,3−イレン、シクロペンテン−
(1,3−、1,4−あるいは3,5−)イレン、シク
ロペンタン−1,3−イレン、シクロヘキサン−(1,
3−または1,4−)イレン、シクロヘキセン−(1,
3−、1,4−、1,5−、3,5−あるいは3,6
−)イレン、1,3−シクロヘキサジエン−(1,3
−、1,4−、1,5−、2,4−、2,5−あるいは
2,6−)イレン、1,4−シクロヘキサジエン−
(1,3−、1,4−あるいは1,5−)イレン)また
はフェニレン(1,2−フェニレン、1,3−フェニレ
ン、1,4−フェニレン)が、特に1,4−フェニレン
などが繁用される。Bで示されるに複素環基としては、
環中に例えば炭素原子以外に、例えば1ないし3個のヘ
テロ原子(例、N,O,S)を含んでいてもよい2価の
5員または6員複素環基が用いられ、2個の結合手は環
中の隣合わない位置から出ているのが好ましい。Bで示
される該5員の複素環基の例としては、チオフェン−
(2,4−、2,5−あるいは3,4−)イレン、フラ
ン−(2,4−、2,5−あるいは3,4−)イレン、
ピロール−(1,3−、2,4−、2,5−あるいは
3,4−)イレン、チアゾール−(2,4−または2,
5−)イレン、イミダゾール−(1,4−、2,4−あ
るいは2,5−)イレン、チアジアゾール−2,5−イ
レンあるいはそれらの部分還元型(多重結合の1部分が
還元されたもの)もしくは完全還元型化合物(多重結合
のすべてが還元されたもの)などが用いられ、該2価の
6員の複素環基の例としては、ピリジン−(2,4−、
2,5−、2,6−あるいは3,5−)イレン、ピラン
−(2,4−、2,5−、2,6−、3,5−、3,6
−あるいは4,6−)イレン、ピラチン−(2,5−ま
たは2,6−)イレン、ピリミジン−(2,4−または
2,5−)イレン、ピリダチン−3,5−イレンあるい
はそれらの部分還元型もしくは完全還元型化合物などが
用いられる。Bの特に好ましい例としては、例えばフェ
ニル−1,4−イレン、チオフェン−2,5−イレン、
チアゾール−2,5−イレンおよびピリジン−2,5−
イレンなどである。Bで示される2価の5または6員の
同素または複素環基は置換可能な位置に1ないし2個の
置換基を有していてもよい。該置換基としては、例え
ば、炭素数1ないし4のアルキル基(例、メチル、エチ
ル、プロピル、iso-プロピル基)、炭素数2または4の
アルケニル基(例、ビニル、1-メチルビニル、1-プロペ
ニル、アリル、アレニル基)、炭素数2または4のアル
キニル基(例、エチニル、1-プロピニル、プロパルギル
基)、C3-8シクロアルキル基(例、シクロプロピル
基)、ハロゲン原子(例、塩素、臭素、フッ素、ヨウ
素)、ヒドロキシ基、C1-4アルコキシ基(例、メトキ
シ基)、ジ−C1-4アルキルアミノ基(例、ジメチルア
ミノ基)、ハロゲノ−C1-4アルキル基(例、トリフル
オロメチル基)、オキソ基、C1-4アシル基(例、ホル
ミル基)、C1-4アルコキシ−C1-4アルキル基(例、メ
トキシメチル、2−エトキシエチル基)などが用いられ
る。なかでも、例えばハロゲン原子(例えば、塩素、臭
素、フッ素、ヨウ素など)などが繁用される。
【0009】Xは、アミノ基、ヒドロキシ基またはメル
カプト基を示す。特に、アミノ基が繁用される。Yは、
水素原子、ハロゲン原子または炭素原子、窒素原子、酸
素原子もしくは硫黄原子を介する基を示す。Yで示され
るハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素あるいは
ヨウ素が用いられる。Yで示される炭素、窒素、酸素も
しくは硫黄原子を介する基としては、シアノ基、カルボ
キシ基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロ
キシ基、メルカプト基、例えば炭素数1ないし4のアル
キル基(例、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル
基)、炭素数2または4のアルケニル基(例、ビニル、
1-メチルビニル、1-プロペニル、アリル、アレニル
基)、炭素数2または4のアルキニル基(例、エチニ
ル、1-プロピニル、プロパギル基)およびC3-8シクロ
アルキル基(例、シクロプロピル基)などの低級炭化水
素基、C6-10アリー ル基(例、フェニル基、ナフチル
基)、例えばN、S、Oなどのヘテロ原子を1ないし4
個含んでいてよい5または6員の複素環基(例、ピロリ
ル、イミダゾリル、ピラゾリル、テニル、フリル、チア
ゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾ
リル、ピリジル、ピラニル、ピラチニル、ピリミジニ
ル、ピリダチニルあるいはそれらの部分還元型もしくは
完全還元型の基、ジオキソラニル、ピペリジノ、モルホ
リノ、N−メチルピペラジニル、N−エチルピペラジニ
ル、ジオキサニル)などが用いられる。Yが低級炭化水
素基、C6-10アリール基または5または6員の複素環基
である場合、1ないし2個の置換基を有していてもよ
く、かかる置換基としては、例えば、炭素数1ないし4
のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、iso-プ
ロピル基)、炭素数2または4のアルケニル基(例、ビ
ニル、1-メチルビニル、1-プロペニル、アリル、アレニ
ル基)、炭素数2または4のアルキニル基(例、エチニ
ル、1-プロピニル、プロパルギル基)またはC
3-8(例、シクロプロピル基)などのほか、ハロゲン原
子(例、フッ素)、ヒドロキシ基、オキソ基、C1-4
ルコキシ基(例、メトキシ基)、ジ−C1-4アルキルア
ミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ基)、ハ
ロゲノ−C1-4アルキル基(例、トリフルオロメチル
基)、C1-4アシル基(例、ホルミル基)、ヒドロキシ
− C1-4アルキル基(例、ヒドロキシメチル、2−ヒド
ロキシエチル基)、C1-4アルコキシ−C1-4アルキル基
(例、トキシメチル、2−エトキシエチル基)など が
用いられる。Yで示される炭素、窒素、酸素もしくは硫
黄原子を介する基としては、さらにアルコキシ基、ア
ルキルチオ基、アルキルカルボニルアミノ基またはアル
キルカルボニルオキシ基であってもよく、これらの基の
アルキル部分としては、例えば炭素数1ないし4のアル
キル基(例、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル
基)などが用いられ、置換可能な位置に1ないし2個の
置換基を有していてもよく、かかる置換基としては上記
Yで表わされる低級炭化水素基、C6-10アリール基また
は5または6員の複素環基が有していてもよい置換基が
そのまま用いられる。アリールオキシ基、アリールチ
オ基、アロイルアミノ基およびアロイルオキシ基であっ
てもよく、これらの基のアリール部分としてはフェニル
基、ナフチル基などが用いられ、複素環オキシ基、複
素環チオ基、複素環カルボニルアミノ基および複素環カ
ルボニルオキシ基でもよく、これらの基の複素環部分と
しては、Yで示される上記5または6員の複素環基で示
された基などがそのまま用いられ、またはモノ置換お
よびジ置換アミノ基のような置換アミノ基でもよく、置
換基部分としてはYで示される前述の低級炭化水素基、
アリール基、または5または6員の複素環基がそのまま
用いられる。Yとしては、例えばアミノ基などが繁用さ
れる。
【0010】Zは、置換基を有していてもよく、鎖状部
に1個のヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫
黄原子など)が介在していてもよい直列する5個を超え
ない鎖構成原子をもつ2価の脂肪族基を示し、直列する
5個を超えない鎖構成原子をもつ2価の脂肪族基として
は、例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラ
メチレン、ペンタメチレン基などのC1-5アルキレン
基、例えばビニレン、プロペ ニレン、1−または2−
ブテニレン、ブタジエニレン、1−または2−ペンテニ
レン、1,3−または1,4−ペンタジエニレン基など
のC2-5アルケニレン基、例えばエチニレン、1−また
は2−プロピニレン、1−または2−ブチニレン、1
−、2−または3−ペンチニレン基などのC2-5アルキ
ニレン基が用いられる。また、置換基を有していてもよ
く、鎖状部に1個のヘテロ原子が介在していてもよい直
列する5個を超えない鎖構成原子をもつ2価の脂肪族基
としては式−Z−Z2−Z3−〔式中、Z1およびZ3
同一または異なって結合手または置換基を有していても
よい炭素数1ないし4個の2価の低級炭化水素基(但
し、Z1とZ3の炭素数の合計は1ないし4個である)
を、−Z2−は−O−、式− (式中、R4は水素原子または置換基を有していてもよ
い低級炭化水素基を示す)を示す。〕で表される基が用
いられる。Z1およびZ3で表される置換基を有していて
もよい2価の低級炭化水素基における2価の低級炭化水
素基としては、例えばメチレン、エチレン、トリメチレ
ン、テトラメチレンなどのC1-4アルキレン 基、例えば
ビニレン、プロペニレン、1−または2−ブテニレン、
ブタジエニレンなどのC2-4アルケニレン基、例えばエ
チニレン、1−または2−プロピニレン、1−または2
−ブチニレンなどのC2-4アルキニレン基が用いられ、
4で表される置換基を有していてもよい低級炭化水素
基における低級炭化水素基としては、炭素数1ないし4
のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、iso-プ
ロピル基)、炭素数2または4のアルケニル基(例、ビ
ニル、1-メチルビニル、1-プロペニル、アリール、アレ
ニル基)、炭素数2または4のアルキニル基(例、エチ
ニル、1-プロピニル、プロパルギル基)、C3-8シクロ
アルキル基(例、シ クロプロピル基)などが用いられ
る。Zで示される直列する5個を超えない鎖構成原子を
もつ2価の脂肪族基、Z1とZ3で示される2価の低級炭
化水素基およびR4の低級炭化水素基は、1ないし2個
の置換基を有していてもよく、かかる置 換基として
は、例えば、炭素数1ないし4のアルキル基(例、メチ
ル、エチル、プロピル、iso-プロピル基)、炭素数2ま
たは4のアルケニル基(例、ビニル、1-メチルビニル、
1-プロペニル、アリル、アレニル基)、炭素数2または
4のアルキニル基(例、エチニル、1-プロピニル、プロ
パルギル基)またはC3-8シク ロアルキル基(例、シク
ロプロピル基)などのほか、ハロゲン原子(例、フッ
素)、ヒドロキシ基、オキソ基、C1-4アルコキシ基
(例、メトキシ基)、ジ−C1-4アルキルアミノ基
(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ基)、ハロゲノ
−C1-4アルキル基(例、トリフルオロメチル基)、C
1-4アシル基(例、ホルミル、アセチル基)、ヒドロキ
シ−C1-4アルキル基(例、ヒドロキシメチル、2−ヒ
ドロキシエチル基)、C1-4アルコキシ−C1-4アルキル
基(例、メトキシメチル、2−エトキシエチル基)、C
1-4アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシカ ルボニ
ル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、
n−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル)
などが用いられる。Zとしては、例えばC1-5アルキル
基(例、メチレン、エチレン、トリメチレン)、特にエ
チレン、トリメチレンなどが繁用される。
【0011】COOR1はエステル化されていてもよい
カルボキシ基を示す。該COOR1としては、例えば合
成中間体として用いられるもの、薬理学的に享受しうる
もの、あるいは生体内においてはじめて薬理学的に享受
しうるものに変化するものであってもよい。具体的に
は、例えば炭素数1ないし5の低級アルキル基、置換基
を有していてもよいベンジル基または置換基を有してい
てもよいフェニル基などによりエステル化されていても
よいカルボキシ基などが用いられる。該低級アルキル基
としては、例えばメチル、エチル、プロピル、iso-プロ
ピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチ
ル、n-ペンチル、iso-ペンチル、sec-ペンチル、neo-ペ
ンチル、tert-ペンチルなどが、該置換基を有していて
もよいベンジルとしては、例えばベンジル、ニトロベン
ジル、メトキシベンジルなどのニトロまたはC1-4アル
コキシで1ないし3個置換されたベンジル基などが、ま
た該置換基を有していてもよいフェニルとしては、例え
ばフェニル、ニトロフェニル、メトキシフェニルなどの
ニトロまたはC1-4アルコキシで1ないし3個置換され
たフェニル基などが用いられる。COOR1としては、
例えば炭素数1ないし5の低級アルキル基、ベンジル基
などでエステル化されていてもよいカルボキシ基などが
繁用される。
【0012】Q1は置換基を有していてもよい複素環基
を示す。該複素環基としては、例えば炭素原子以外に、
例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子などから選ばれる
1ないし4個のヘテロ原子を含んでいてもよい5ないし
13員複素環基、好ましくは5ないし10員環が用いら
れる。具体的には、例えばジオキソラニル、ピペリジ
ノ、モルホリノ、N−メチルピペラジニル、N−エチル
ピペラジニル、ジオキサニル、アザシクロヘプチル、ア
ザシクロオクチル、アザシクロノニル、アザシクロデシ
ル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、テニル、フ
リル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、イ
ソキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサチアジアゾリ
ル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピラニ
ル、ピラチニル、ピリミジニル、ピリダチニル、イソイ
ンドリル、インドリル、2−イソインドリニル、イミダ
ゾピリダチン、トリアゾルピリダチン、ベンゾチアゾリ
ル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、キ
ナゾリルあるいはそれらの部分還元型もしくは完全還元
型化合物などが用いられる。
【0013】上記複素環基は置換可能な位置に1〜3個
の置換基を有していてもよい。該置換基としては、例え
ば、C1-4アルキル基(例、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、
tert-ブチル基)、C2-4アルケニル基(例、ビニル、1-
メチルビニル、1-プロペニル、アリル、アレニル基)、
2-4アルキニル基(例、エチニル、1-プロピニル、プ
ロパルギル基)、C3-6シクロアルキル基(例、シクロ
プロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキ
シル基)、C5-6シクロアルケニル基(例、シクロペン
テニル、シクロヘキセニル基)、C7-8アラルキル基
(例、ベンジル、α-メチルベンジル、フェネチル
基)、フェニル基、C1-4アルコキシ基(例、メトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、iso-プロポキシ、n-ブトキ
シ、iso-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ
基)、フェノキシ基、C1-4アルカノイル基(例、ホル
ミル、アセチル、プロピオニル、n-ブチリル、iso-ブチ
リル基)、ベンゾイル基、C1-4アルカノイルオキシ基
(例、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニル
オキシ、n-ブチリルオキシ、iso-ブチリルオキシ基)、
ベンゾイルオキシ基、カルボキシ基、C1-4アルコシ−
カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカル
ボニル、n-プロポキシカルボニル、iso-プロポキシカル
ボニル基、n-ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボ
ニル、tert-ブトキシカルボニル)、カルバモイル基、
N−置 換カルバモイル基(例、N-メチルカルバモイ
ル、N-エチルカルバモイル、N-プロピルカルバモイル、
N-イソプロピルカルバモイル、N-ブチルカルバモイルな
どのN−C1-4アルキルカルバモイル基)、N,N-ジ置換
カルバモイル基(例、N,N-ジ メチルカルバモイル、N,N
-ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピルカルバモイ
ル、N,N-ジブチルカルバモイルなどのN,N−ジ−C
1-4アルキルカルバモイルの ほか、1-アチリジニルカル
ボニル、1-アゼチジニルカルボニル、1-ピロリジニルカ
ルボニル、1-ピペリジニルカルボニル、N-メチルピペラ
ジニルカルボニル、モルホリノカルボニル基)、ハロゲ
ン原子(例、フッ素、塩素、臭素、沃素)、モノ−,ジ
−またはトリ−ハロゲノ−C1-4アルキル基(例、トリ
フルオロメチル 基)、オキソ基、アミジノ基、イミノ
基、アミノ基、モノ置換アミノ基(例、メチルアミノ、
エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、
ブチルアミノなどのモノ−C1-4アルキルアミノ基)、
ジ置換アミノ基(例、ジメチルアミ ノ、ジエチルアミ
ノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチ
ルアミノなどのジ−C1-4アルキルアミノ基)、3ない
し6員の環状アミノ基(例、ア チリジニル、アゼチジ
ニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾ
リル、ビラゾリル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、モ
ルホリノ、ジヒドロピリジル、ピリジル、N-メチルピペ
ラジニル、N-エチルピペラジニル基)、アルカノイルア
ミド基(例、ホルムアミド、アセタミド、トリフルオロ
アセタミド、プロピオニルアミド、ブチリルアミド、イ
ソブチリルアミドなどのC1-4アルカノイル アミド
基)、テトラゾリル基、N-置換テトラゾリル基(例、N-
メチルテトラゾリル、N-エチルテトラゾリル)、ベンツ
アミド基、カルバモイルアミノ基、N-置換カルバモイル
アミノ基(例、N-メチルカルバモイルアミノ、N-エチル
カルバモイルアミノ、N-プロピルカルバモイルアミノ、
N-イソプロピルカルバモイルアミノ、N-ブチルカルバモ
イルアミノなどのN−C1-4アルキルカルバモイルアミ
ノ基)、N,N-ジ置換カルバモイルアミノ基(例、N,N-ジ
メチルカルバモイルアミノ、N,N-ジエチルカルバモイル
アミノ、N,N-ジプロピルカルバモイルアミノ、N,N-ジブ
チルカルバモイルアミノなどのN,N−ジ−C1-4アル
キルカルバモイルアミノ 基にほか、1-アチリジニルカ
ルボニルアミノ、1-アゼチジニルカルボニルアミノ、1
-ピロリジニルカルボニルアミノ、1-ピペリジニルカル
ボニルアミノ、N-メチルピペラジニルカルボニルアミ
ノ、モルホリノカルボニルアミノ基)、C1-3 アルキレ
ンジオキシ(メチレンジオキシ、エチレンジオキシ)、
-B(OH)2、ヒドロキシ基、エポキシ基(−O−)、ニ
トロ基、シアノ基、メルカプト基、スルホ基、スルフイ
ノ基、ホスホノ基、ジヒドロキシボリール基、スルファ
モイル基、N-置換スルファモイル基(例、N-メチルスル
ファモイル、N-エチルスルファモイル、N-プロピルスル
ファモイル、N-イソプロピルスルファモイル、N-ブチル
スルファモイルなどのC1-4アルキルスルファモイル
基)、N,N-ジ置換スルファモ イル基(例、N,N-ジメチ
ルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイル、N,N-
ジプロピルスルファモイル、N,N-ジブチルスルファモイ
ルなどのジ−C1-4アル キルスルファモイル基のほか、
1-ピロリジニルスルホニル、1-ピペリジニルスルホニ
ル、N-メチル-1-ピペラジニルスルホニル、モルホリノ
スルホニル基)、C1-4アルキルチオ基(例、メチルチ
オ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-
ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ基)、
フェニルチオ基、C1-4アルキルスルフィニル基(例、
メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルス
ルフィニル、ブチルスルフィニル基)、フェニルスルフ
ィニル基、C1-4アルキルスルホニル基(例、メチルス
ルホニル、エチルスルホニル、プロピ ルスルホニル、
ブチルスルホニル基)、フェニルスルホニル基、または
【0014】−(CH2nCO−W1 〔式中、W1は水素原子,ヒドロキシ基,置換されてい
てもよいアミノ基,ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭
素,ヨウ素)または置換されていてもよいアルコキシ基
(例、式 〔式中、Rは水素原子,直鎖もしくは分枝状C1-6アル
キル基(例、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロ
ピル,n−ブチル,イソブチル,t−ブチル,n−ペン
チル,イソペンチル,ネオペンチルなど)またはC5-7
シクロアルキル基(例、シクロペンチル,シクロヘキシ
ル,シクロヘプチルなど)を示し、Rは直鎖もしくは
分枝状C1-6アルキル基(例、メチル,エチル,n−プ
ロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec
−ブチル,t−ブチル,n−ペンチル,イソペンチル,
ネオペンチルなど),C5-7シクロアルキルオキシ基
(例、シクロペンチルオキシ,シクロヘキシルオキシ,
シクロヘプチルオキシなど),C5-7シクロアルキル基
(例、シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチ
ルなど),フェニル基で置換されたC1-3アルキル基
(例、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピルな
ど)もしくはC2-3アルケニル基(例、ビニル,プロペ
ニル,アリル,イソプロペニルなど),置換されていて
もよいフェニル基(例、フェニルなど),直鎖もしくは
分枝状のC1-6アルコキシ基(例、メトキシ,エトキ
シ,n−プロポキシ,イソプロポキシ,n−ブトキシ,
sec−ブトキシ, t−ブトキシ,n−ペンチルオキシ,
イソペンチルオキシ,ネオペンチルオキシなど),C
5-7シクロアルキルオキシ基(例、シクロペンチルオキ
シ,シクロヘ キシルオキシ,シクロヘプチルオキシな
ど),C5-7シクロアルキル基(例、シ クロペンチル,
シクロヘキシル,シクロヘプチルなど),フェニル基で
置換されたC1-3アルコキシ基(例、メトキシ,エトキ
シ,n−プロポキシ,イソプロポ キシなど),置換さ
れていてもよいフェノキシ基(例、フェノキシなど)ま
たは置換されていてもよいベンジルオキシ基(例、ベン
ジルオキシなど)を示す〕で表される基、アルキル部
分がC1-6アルキルチオ,置換されていてもよいジオ キ
ソレニル(例、5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオ
キソレン−4−イルなど),ヒドロキシ基,置換されて
いてもよいアミノ基,ハロゲン,C2-6アルカノイルオ
キシ,C1-6アルコキシ基,C1-6アルキルチオ,C1-6
アルコキシカル ボニルオキシ基などで置換されていて
もよいC1-6アルコキシ基など)などを示し、nは1な
いし5の整数を示す〕で示される基、式
【0015】−(CH2n−W2 〔式中、W2はシアノ,適当に(例えば、ベンジル基、
置換ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメ
チル基、p−メトキシフェニルジフェニルメチル基、ベ
ンジルオキシメチル基、t−ブチルオキシメチル基、シ
アノエチル基、トリメチルシリルエチル基、トリ置換シ
リル基などで)置換されていてもよいテトラゾリル,-
2PO3,-H2SO3,フェノール性ヒドロキシ基,置
換されていてもよいC1-4アルコキシ基またはトリフル
オロメタンスルホン酸アミドを示し、nは1ないし5の
整数を示す〕で表される基などが用いられる。これらの
置換基のうち、さらに置換が可能なものまたは置換され
るものについては1ないし2個のC1-4アルキル基
(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル基)、C7-8
アラルキル基(例、ベンジル,α−メチルベンジル
基)、C1-4アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ
基)、ベンゾイル基、ハロゲン原子(例、フッ素、塩
素、臭素、沃素)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スル
ホ基、ホスホノ基、アミジノ基、アミノ基、メチルアミ
ノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルア
ミノ基、モルホリノ基、ピペリジル基、N-メチルピペラ
ジル基、ピリジル基、トリメチルアンモニウム基、トリ
エチルアンモニウム基、ピリジニウム基などで置換され
ていてもよい。
【0016】Q1で表される置換基を有していてもよい
複素環基としては、例えば陰イオンを形成しうる基など
が好ましい。具体的には、例えばその環上に活性水素
を有することによって陰イオンを形成しうる無置換の複
素環基、陰イオンを形成しうる置換基を有している複
素環基であって、その環上に活性水素を有さない基、ま
たは陰イオンを形成しない置換基を有している複素環
基であって、その複素環上に活性水素を有することによ
って陰イオンを形成しうる複素環基などが用いられる。
これらの陰イオンを形成しうる複素環基および置換基と
しては、生理学的すなわち生理条件下で、または化学的
に陰イオンを形成しうる基またはそれに変じうる基であ
れば何れのものでよい。特に、pKa8以下の基などが
好ましい。活性水素を有する複素環基としては、例えば
4H−1,2,4−オキサジアゾール−5−オン−3−イ
ル、3H−1,2,3,5−オキサチアジアゾール−2−
オキシド−4−イル、1H−テトラゾール−5−イル、
2H,4H−1,2,4−トリアゾール−3−オン−5−
イル、1,3−チアゾリン−2,4−ジオン−5−イ
ル、2H−1,2,4−オキサジアゾール−3−オン−5
−イル、イミダゾリン−2,5−ジオン−3−イル、3
−ヒドロキシピラゾール−5−イル、5−イソキサゾロ
ン−3−イルあるいは1H−4−メチル−1,2,4−ト
リアゾリン−3,5−ジオン−2−イルなどが用いら
れ、上記の陰イオンを形成しうる置換基としては、例え
ば前述したQ1で示される複素環基が有していてもよい
置換基のうち、例えばカルボキ シ基、スルホ基、スル
フィノ基、ホスホノ基、式−(CH2nCO−W1(W1
およびnは前記と同意義を示す)で表される基、式−
(CH2n−W2(W2およびnは前記と同意義を示す)
で表される基などが用いられる。
【0017】pは1ないし4の整数を示す。pとして
は、例えば2などが好ましい。化合物(I)の好ましい
例としては、例えば次の化合物などがある。 1)2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(1H−テトラゾール−
5−イル)酪酸 2)2(S)−[4−[1−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)−2−
プロピル]ベンゾイルアミノ]−4−(1H−テトラゾ
ール−5−イル)酪酸 3)2(S)−[4−[1−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)−2−
ブチル]ベンゾイルアミノ]−4−(1H−テトラゾー
ル−5−イル)酪酸 4)2(S)−[4−[1−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)−2−
メチル−2−プロピル]ベンゾイルアミノ]−4−(1
H−テトラゾール−5−イル)酪酸 5)2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)プロピ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(1H−テトラゾール−
5−イル)酪酸 6)2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−[1−(カルボキシメチ
ル)テトラゾール−5−イル]酪酸 7)2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)プロピ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−[1−(カルボキシメチ
ル)テトラゾール−5−イル]酪酸 8)2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(4H−1,2,4−オ
キサジアゾール−5−オン−3−イル)酪酸 9)2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)プロピ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(4H−1,2,4−オ
キサジアゾール−5−オン−3−イル)酪酸 10)2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(3H−1,2,3,5
−オキサチアジアゾール−2−オキシド−4−イル)酪
酸 11)2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)プロピ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(3H−1,2,3,5
−オキサチアジアゾール−2−オキシド−4−イル)酪
酸 12)2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(2H,4H−1,2,
4−トリアゾール−3−オン−5−イル)酪酸
【0018】13)2(S)−[4−[3−(2,4−ジ
アミノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−
イル)プロピル]ベンゾイルアミノ]−4−(2H,4
H−1,2,4−トリアゾール−3−オン−5−イル)
酪酸 14)2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(1,3−チアゾリジン
−2,4−ジオン−5−イル)酪酸 15)2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)プロピ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(1,3−チアゾリジン
−2,4−ジオン−5−イル)酪酸 16)2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(2H−1,2,4−オ
キサジアゾール−3−オン−5−イル)酪酸 17)2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)プロピ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(2H−1,2,4−オ
キサジアゾール−3−オン−5−イル)酪酸 18)2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(イミダゾリン−2,5
−ジオン−3−イル)酪酸 19)2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)プロピ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(イミダゾリン−2,5
−ジオン−3−イル)酪酸 20)2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(3−ヒドロキシピラゾ
ール−5−イル)酪酸 21)2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)プロピ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(3−ヒドロキシピラゾ
ール−5−イル)酪酸 22)2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(5−イソキサゾロン−
3−イル)酪酸 23)2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)プロピ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(5−イソキサゾロン−
3−イル)酪酸 24)2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(1H−4−メチル−
1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン−2−イル)
酪酸 25)2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H
−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)プロピ
ル]ベンゾイルアミノ]−4−(1H−4−メチル−
1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン−2−イル)
酪酸
【0019】次に、本発明化合物(I)またはその塩の製
造法について説明する。化合物(I)またはその塩は、
化合物(III)またはその塩を化合物(II)またはその
塩もしくはカルボキシル基における反応性誘導体でアシ
ル化することにより得られる。上記アシル化の手段とし
ては、たとえば化合物(III)またはその塩を化合物(I
I)またはその塩もしくはカルボキシル基における反応
性誘導体でアシル化する方法が用いられる。本反応はカ
ルボジイミド類、ジフェニルりん酸アジド、シアノりん
酸ジエチルなどの存在下に行うこともできる。化合物
(III)またはその塩の使用量は、化合物(II)または
その塩またはカルボキシル基における反応性誘導体に対
して一般に約1−20モル当量であり、好ましくは約1
−5モル当量である。カルボジイミド類、ジフェニルり
ん酸アジド、シアノりん酸ジエチルなどは、化合物(I
I)またはその塩もしくはカルボキシル基における反応
性誘導体に対して、一般に約1−25モル当量、好まし
くは約1−5モル当量使用すればよい。
【0020】該カルボジイミド類としては、ジシクロヘ
キシルカルボジイミドが実用上好ましく、その他のカル
ボジイミド類、たとえばジフェニルカルボジイミド、ジ
-o-トリルカルボジイミド、ジ-p-トリルカルボジイミ
ド、ジ-tert-ブチルカルボジイミド、1-シクロヘキシル
-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド、1-シクロヘ
キシル-3-(4-ジエチルアミノシクロヘキシル)カルボジ
イミド、1-エチル-3-(2-ジエチルアミノプロピル)カル
ボジイミドおよび1-エチル-3-(3-ジエチルアミノプロピ
ル)カルボジイミドなどを用いてもよい。本アシル化反
応は、適宜の溶媒の存在下に実施することもでき、該溶
媒としては、例えば水、アルコ−ル類(例、メタノ−
ル、エタノ−ル)、エーテル類(例、ジメチルエ−テ
ル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、モノグリム、ジグリム)、ニトリル類(例、アセト
ニトリル)、エステル類(例、酢酸エチル)、ハロゲン
化炭化水素(例、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩
化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、
キシレン)、アセトン、ニトロメタン、ピリジン、ジメ
チルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチ
ルホスホルアミド、スルホランまたはそれらの適宜の混
合溶媒などが使用される。本反応は、通常、pH約2な
いし14、好ましくはpH約6ないし9の範囲で行う。
通常約−10℃からその反応溶媒の沸点程度(約100
℃まで)、好ましくは約0ないし50℃の範囲の反応温
度で行う。通常、約1ないし100時間反応させて実施
し得る。反応液のpHは適宜、例えば酸(例、塩酸、硫
酸、燐酸、硝酸、酢酸)、塩基(例、ナトリウムメチラ
−ト、ナトリウムエチラ−ト、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム、炭酸ナ
トリウム、炭酸カリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、トリエタノ−ルアミン、 ピリジン)或は緩
衝液(例、リン酸緩衝液,ホウ酸緩衝液,酢酸緩衝液)な
どで必要に応じて調整する。なお、反応は、アシル化を
促進しうる触媒を用いることによりさらに有利に進行さ
せることができる。
【0021】このような触媒としては、例えば塩基触
媒、酸触媒が用いられる。かかる塩基触媒としては、例
えば三級アミン(例、トリエチルアミンの如き脂肪族三
級アミン;ピリジン,α−,β−またはγ−ピコリン、2,
6−ルチジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−(1
−ピロリジニル)ピリジン、ジメチルアニリン、ジエチ
ルアニリンの如き芳香族三級アミン)などが用いられ、
酸触媒としては、例えばルイス酸[例、無水塩化亜鉛、
無水塩化アルミニウム(AlCl3)、無水塩化第二鉄、四
塩化チタン(TiCl4)、四塩化錫(SnCl4)、五塩化アン
チモン、塩化コバルト、塩化第二銅、三フッ化ホウ素エ
−テラ−ト等]などが用いられる。上記触媒の中でも、
4-ジメチルアミノピリジンまたは 4-(1-ピロリジニル)
ピリジンなどが 好ましい場合が多い。触媒の使用量
は、アシル化を促進し得る触媒量程度がよく、通常化合
物(II)またはその塩もしくはカルボキシル基における
反応性誘導体に対して約0.01−10モル当量、好ま
しくは約0.1−1モル当量である。化合物(II)また
はその塩のカルボキシル基における反応性誘導体として
は、例えば、化合物(II)またはその塩の酸ハライド
(例、フルオライド、クロライド、ブロマイド、アイオ
ダイド)、酸無水物(例、無水ヨ−ド酢酸、無 水イソ酪
酸)、低級モノアルキル炭酸エステル(例、モノメチル
炭酸エステル、モノエチル炭 酸エステル、モノプロピ
ル炭酸エステル、モノiso−プロピル炭酸エステル、モ
ノブチル炭酸エステル、モノiso−ブチル炭酸エステ
ル、モノsec−ブチル炭酸エステル、モノtert−ブチル
炭酸エステル)との混酸無水物、活性エステル(例、 シ
アノメチルエステル、エトキシカルボニルメチルエステ
ル、メトキシメチルエステル、フェニルエステル、o−
ニトロフェニルエステル、p−ニトロフェニルエステ
ル、p−カルボメトキシフェニルエステル、p−シアノフ
ェニルエステル、フェニルチオエステル、こはく酸イミ
ドエステル)、酸アチド、リン酸ジエステル(例、ジメ
チルホスフェ−ト、ジエチルホスフェ−ト、ジベンジル
ホスフェ−ト、ジフェニルホスフェ−ト)との混酸無水
物、亜リン酸ジエステル (例、ジメチルホスファイ
ト、ジエチルホスファイト、ジベンジルホスファイト、
ジフェニルホスファイト)との混酸無水物なども用いら
れる。この反応性誘導体を用いたアシル化手段におい
て、溶媒、触媒、反応温度および反応時間などは、前記
カルボジイミド類などの存在下に行うアシル化の場合と
同様である。
【0022】なお、化合物(I)またはその塩のうち、
置換基としてヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基あ
るいはカルボキシル基などを含有する化合物あるいはそ
れらの塩を製造する場合、原料化合物のヒドロキシ基、
アミノ基、メルカプト基あるいはカルボキシル基を自体
公知の方法(例えば、J. F.W. McOmine、プロテクティ
ブ・グループス・イン・オルカ゛ニック・ケミストリー(Protective Gr
oups in Organic Chemistry)、Plenum Press、London a
nd New York(1973)に記載されている方法など)に従っ
て適宜保護基で保護した後に反応させ、ついで自体公知
の方法に従って脱保護反応に付して目的とする化合物
(I)またはその塩を製造することもできる。次に原料
化合物(II)またはその塩もしくはカルボキシル基にお
ける反応性誘導体の製造法について説明する。化合物
(II)のカルボキシル基における反応性誘導体として
は、例えば酸ハライド(例えば、クロリド,ブロミドな
ど)、酸無水物、混合酸無水物(例えば、メチル炭酸と
の無水物,エチル炭酸との無水物、イソブチル炭酸との
無水物など)、活性エステル(例えば、ヒドロキシコハ
ク酸イミドとのエステル,1−ヒドロキシベンゾトリア
ゾールとのエステル,N−ヒドロキシ−5−ノルボルネ
ン−2,3−ジカルボキシイミドとのエステル,p−ニ
トロフェノールとのエステル,8−オキシキノリンとの
エステルなど)などが用いられ、とりわけ酸ハライドが
好ましい。
【0023】化合物(II)またはその塩もしくはカルボ
キシル基における反応性誘導体は、例えば次に示す反応
工程により製造し得る。
【化9】 上記式中、A環、B、X、YおよびZは前記と同意義を
有し、COOR3で示されるエステル化されていてもよ
いカルボキシル基におけるR3としては、水素原子ある
いはCOOR1で詳述されている炭素数1ないし5の低
級アルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基ま
たは置換基を有していてもよいフェニル基などであって
もよい。DおよびEは互いに結合してZを形成し得る基
である。上記反応工程でDとEとの間に共有結合を形成
せしめ、もって、Zで表される置換基を有していてもよ
く、鎖状部に1個のヘテロ原子が介在していてもよい直
列する5個を超えない鎖構成原子をもつ2価の脂肪族基
を製造することが出来る。化合物(V)またはその塩と
化合物(VI)またはその塩との間に共有結合を形成させ
る合成法として、Zが 置換基を有していてもよい直列
する5個を超えない鎖構成原子をもつ2価の脂肪族基に
関しては、
【化10】 合わせでD=E'でE=D'の場合、化合物(V)または
その塩と化合物(VI)またはその塩との間でいわゆる炭
素−炭素結合生成反応に付し、ついで得られた生成物を
必要とあれば還元反応に供することにより化合物(IV)
またはその塩を製造することができる。
【0024】上記式中、a、b、m、n(=a+b)お
よびm+nは0〜3の範囲内の整数を表し、Gはフェニ
ル、ブチルまたはシクロヘキシルを、Mはエチルまたは
フェニルを示す。R5、R6およびR7は同一あるいは異
なって結合手、水素原子あるいは上記Z1、Z2で詳述さ
れている示される2価の低級炭化水素基、またはR4
示される低級炭化水素基などを示し、R6、R7はa、
b、mおよびn個の繰り返しにおいて異なっていてもよ
い。ZがZ=−Z1−Z2−Z3−で構成される基に関し
ては、
【化11】 場合、またはその逆の組み合わせでD=E'でE=D'の
場合、いわゆるアルキル化型反応が用いられ、
【化12】 の場合、またはその逆の組み合わせでD=E3でE=D3
の場合、シッフ塩基あるいはエナミンを形成させ必要と
あれば還元するか、あるいは還元的アルキル化反応に直
接付す方法が用いられる。
【0025】上記式中、m、n、m+n、R4、R5、R
6、R7およびZ2は前記と同意義を有し、Lは脱離基
を、またR8およびR9は同一または異なって水素原子あ
るいは炭化水素基を示す。Lで示される脱離基として
は、例えばハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子、ヨ
ウ素原子)あるいはヒドロキシ基から容易に誘導され得
る脱離可能な基(例、メタンスルホニルオキシ基、ベン
ゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキ
シ基、トリフルオロメタンスルホニル基)などが用いら
れる。R8およびR9で示される炭化水素基は置換基を有
していてもよく、またR8とR9は隣接する窒素原子とと
もに環状アミノ基を形成してもよい。RおよびR9
示される炭化水素基としては、例えば炭素数1ないし1
8のアルキル基(例、 メチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-
ブ チル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘ
キシル、ヘプチル、 オクチ ル、ノニル、デシル、ウン
デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オク
タデシル、1,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピ
ル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-プロピルブチ
ル、2-エチルヘキシル基)、炭素数1ないし12のア
ルケニル基(例、ビニル、アリル、1-メチルビニル、
2-メチルビニル、1-オクテニル、1-デゼニル基)、
炭素数3ないし12のシクロアルキル基(例、シクロプ
ロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシ
ル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アンダマンチル
基)、炭素数3ないし8のシクロアルケニル基(例、シ
クロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニ
ル、シクロオクテニル、シクロペンタジエニル、シクロ
ヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタ
ジエニル基)、炭素数7ないし13のアラルキル基
(例、ベンジル、α-メチルベンジル、フェネチル、ジ
フェニルメチル基)、および炭素 数6ないし10のア
リール基(例、フェニル、α-ナフチル、β-ナフチル
基)などが用いられる。R8とR9が隣接する窒素原子と
ともに形成する環状アミノ基としては、4ないし10員
環が好ましく、例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、
ピロリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イ
ミダゾリニル、ピペリジノ、モルホリノ、ジヒドロピリ
ジル、テトヒドロピリジル、N-メチルピペ ラジニル、
N-エチルピペラジニル、アザシクロヘプチル、アザシ
クロオクチル、イ ソインドリル、インドリル、インド
リニル、2-イソインドリニル、アザシクロノニル、アザ
シクロデシル基などが用いられる。
【0026】これらのR8およびR9で示される炭化水素
基、あるいはR8とR9が隣接する窒素原子とともに形成
した環は、1ないし2個の置換基を有していてもよい。
かかる置換基としては、例えば炭素数1ないし4のアル
キル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル
基)、炭素数1ないし4程度のアルコキシ基(例、メト
キシ、エトキシ、プロポキシ、iso-プロポキシ、n-ブト
キシ、iso-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ
基)、炭素数1ないし4程度のアルカノイル基(例、ホ
ルミル、アセチル、プロピオニル、n-ブチリル、iso-ブ
チリル基)、炭素数1ないし4程度のアルカノイルオキ
シ基(例、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオ
ニルオキシ、n-ブチリルオキシ、iso-ブチリルオキシ
基)、カルボキシ基、炭素数2ないし4程度 のア ルコ
キシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシ
カルボニル、n-プロポキシカルボニル、iso-プロポキシ
カルボニル基、n-ブトキシカルボニル、イソブトキシカ
ルボニル、tert-ブトキシカルボニル)、ハロゲン原子
(例、フ ッ素、塩素、臭素、沃素)、ヒドロキシ基、
ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ
基、モノ置換アミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミ
ノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミ
ノ基)、ジ置換アミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチ
ルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、
ジブチルアミノ基)、アルカノイルアミド基(例、ホル
ムアミド、アセタミド、トリフルオロアセタミド、プロ
ピオニルアミド、ブチリルアミド、イソブチリルアミド
基)、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基(例、
N−メチルカルバ モイル、N-エチルカルバモイル、N
-プロピルカルバモイル、N-イソプロピル カルバモイ
ル、N-ブチルカルバモイル基)、N,N-ジ置換カルバ
モイル基(例、N,N- ジメチルカルバモイル、N,N-
ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピ ルカルバモイ
ル、N,N-ジブチルカルバモイル、1-アチリジニルカ
ルボニル、 1-アゼチジニルカルボニル、1-ピロリジ
ニルカルボニル、1-ピペリジニルカ ルボニル、N-メ
チルピペラジニルカルボニル、モルホリノカルボニル
基)、カ ルバモイル アミノ基、N-置換カルバモイル
アミノ基(例、N-メチルカルバモ イルアミノ、N-エ
チルカルバモイルアミノ、N-プロピルカルバモイルア
ミノ、N-イソプロ ピルカルバモイルアミノ、N-ブチ
ルカルバモイルアミノ基)、N,N-ジ置換カ ルバモイ
ルアミノ基(例、N,N-ジメチルカルバモイルアミノ、
N,N-ジエチルカルバモイルアミノ、N,N-ジプロピル
カルバモイルアミノ、N, N-ジブチルカルバモイルア
ミノ、1-アチリジニルカルボニルアミノ、1-アゼ チ
ジニルカルボニルアミノ、1-ピロリジニルカルボニル
アミノ、1-ピペリジニルカルボニルアミノ、N-メチル
ピペラジニルカルボニルアミノ、モルホリノカ ルボニ
ルアミノ 基)、メルカプト基、スルホ基、スルフイノ
基、ホスホノ基、 スルファモイル基、N-置換スルファ
モイル基(例、N-メチルスルファモイル、N-エチルス
ルファモイル、N-プロピルスルファモイル、N-イソプ
ロピルスル ファモイル、N- ブチルスルファモイル
基)、N,N-ジ置換スルファモイル基(例、N,N-ジメ
チルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイル、
N,N-ジプロピルスルファモイル、N,N-ジブチルスル
ファモイル、1-ピロリジニルス ルホニル、1-ピペリ
ジニルスルホニル、N-メチル-1-ピペラジニルスルホ
ニル、モルホリノスル ホニル基)、炭素数1ないし4
程度のアルキルチオ基(例、 メチルチオ、エチルチ
オ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、
sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ基)、炭素数1な
いし4程度のアルキルスル フィニル基(例、メチルス
ルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニ
ル、ブチルスルフィニル基)、炭素数1ないし4程度の
アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチル
スルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル
基)などが用いられる。
【0027】以下、第1工程について詳細に説明する。
炭素−炭素結合生成による縮合反応は公知の反応(例、
アルドール反応、レフォルマトスキー反応、ウィテッヒ
反応など)に準じて行なわれ、還元反応は、通常、接触
還元反応あるいはハイドライド還元反応が有利に用いら
れる。縮合反応として、アルドール反応を使用する場
合、塩基触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなどの
金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエト
キシド、カリウム tert-ブトキシドなどの金属アルコキ
シド、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミ
ドなどの金属アミド、水素化ナトリウム、水素化カリウ
ムなどの金属水素化物、フェニルリチウム、ブチルリチ
ウムなどの有機金属化合物、トリエチルアミン、ピリジ
ン、α−、β−またはγ−ピコリン、2,6−ルチジ
ン、4−ジメチルアミノピリジ ン、4−(1−ピロリジ
ニル)ピリジン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン
などのアミン類が用いられ、酸触媒としては、例えば、
塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの鉱酸、シウ
酸、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カ
ンファースルホン酸などの有機酸が用いられる。また、
公知の方法[Ei-Ichi Negishi, Organometallics in Or
ganic Synthesis vol.1, John Wiley & Sons, New Yor
k, Chichester, Brisbane, Tronto (1980)]に従っ
て、ケトン体からシリルエノールエーテル体に導き、ル
イス酸[例、無水塩化亜鉛、無水塩化アルミニウム(Al
Cl3)、無水 塩化第二鉄、四塩化チタン(TiCl4)、四
塩化錫(SnCl4)、五塩化アンチモン、塩化コバルト、
塩化第銅、三フッ化ホウ素エ−テラ−ト等]、フッ素ア
ニオン(例、テトラブチルアンモニウムフルオライド)
あるいはトリチルパークロリドの存在下、アルデヒドま
たはその等価体との縮合反応に付すか、或は、ケトン体
をアミン類(例、トリエチルアミン、ピリジン、α−、
β−またはγ−ピコリン、2,6−ルチジン、4−ジメ
チルアミノピリジン、4−(1−ピロリジニル)ピリ ジ
ン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン)の存在下、
金属トリフラート(例、ジアルキルホウ素トリフラー
ト、スズ(II)トリフラート等)で処理しエノラートに
変換した後、アルデヒドまたはその等価体との縮合反応
に付すことによっても実施し得る。縮合反応は、適宜な
溶媒中、−100℃からその溶媒の沸点、好ましくは−
78−100℃の範囲で、1分間−3日間反応する事に
より行われる。反応溶媒としては、例えば、水、液体ア
ンモニア、アルコール類(例、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、iso-プロパノール、ブチルアルコー
ル、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、
エチレングリコール、メトキ シエタノール、エトキシ
エタノール)、エーテル類(例、ジメチルエーテル、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モ
ノグリム、ジグリム)、ハロゲン化炭化水素(例、ジク
ロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素)、脂肪族炭化
水素(例、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、芳香族炭
化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アセト
ニトリル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、スル
ホランまたはそれらの適宜の混合溶媒が使用される。縮
合反応として、ウィテッヒ反応を使用する場合、試薬と
しては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化リチウム、水酸化バリウムなどの金属水酸化物、
ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウ
ム tert-ブトキシドなどの金属アルコキシド、ナトリウ
ムアミド、リチウムジイソプロピルアミドなどの金属ア
ミド、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの金属水
素化物、フェニルリチウム、ブチルリチウムなどの有機
金属化合物、トリエチルアミン、ピリジン、α−、β−
またはγ−ピコリン、2,6−ルチジン、4−ジメチル
アミノピリジン、4−(1−ピロリジニル)ピリジン、ジ
メチルアニリン、ジエチルアニリンなどのアミン類が用
いられる。反応は、適宜な溶媒中、−20℃からその溶
媒の沸点、好ましくは0−150℃の範囲で、1分間−
10日間反応する事により行われる。反応溶媒として
は、例えば、液体アンモニア、アルコール類(例、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、iso-プロパノー
ル、ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-
ブチルアルコール、エチレングリコール、メトキシエタ
ノール、エトキシエタノール)、エーテル類(例、ジメ
チルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、モノグリム、ジグリム)、脂肪族炭化
水素(例、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、芳香族炭
化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチル
ホスホルアミド、スルホランまたはそれらの適宜の混合
溶媒が使用される。さらに、レフォルマトスキー反応を
用いて縮合することもできる。レフォルマトスキー反応
の反応条件は、試薬としては、例えば、亜鉛、マグネシ
ウム、アルミニウム、スズなどが用いられ、反応自体
は、適宜な溶媒中、−20℃からその溶媒の沸点、好ま
しくは0−150℃の範囲で、30分間−3日間反応す
る事により行われる。反応溶媒としては、例えば、エー
テル類(例、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、モノグリム、ジグリ
ム)、脂肪族炭化水素(例、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キ
シレン)またはそれらの適宜の混合溶媒が使用される。
【0028】アルキル化型反応あるいはアミン交換型反
応は化合物(V)またはその塩と化合物(VI)またはそ
の塩とをそれ自体又は適当な反応溶媒を用いて約−10
℃からその反応溶媒の沸点、好ましくは約10−80℃
の範囲の温度で約10分間から48時間程度反応させる
ことにより行われる。化合物(VI)またはその塩の使用
比率は、化合物(V)またはその塩1モルに対し約1−
50モル、さらに好ましくは約1−10モルである。反
応溶媒としては、例えば、水、アルコール類(例、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、iso-プロパノー
ル、ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-
ブチルアルコール、エチレングリコール、メトキシエタ
ノール、エトキシエタノール)、エーテル類(例、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノ
グリム、ジグリム)、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、四塩化炭素)、ニトリル類
(例、アセトニトリル)、脂肪族炭化水素(例、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン)、環状脂肪族炭化
水素(例、シクロペンタン、シクロヘキサン)、芳香族
炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、ニト
ロメタン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、スルホラ
ンまたはそれらの適宜の混合溶媒が使用される。また、
必要ならば塩基の存在下に反応を実施した方が良い場合
がある。使用される塩基としては、例えば、ウィテッヒ
反応で使用される塩基などが用いられる。さらに、化合
物(V)またはその塩あるいは化合物(VI)またはその
塩に対して0.01〜0.2当量、好ましくは0.02〜
0.05当量程度の相間移動触媒(例、セチルトリメチ
ルアンモニウムクロライドなど)を用いると反応を有利
に進行させることもできる。アミン交換型反応の場合に
は、化合物(V)またはその塩を四級塩、例えば臭化メ
チル、ヨウ化メチル、メタンスルホン酸メチル、ベンゼ
ンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸メチルなど
の塩にすると更に緩和な条件で反応を進行させ得る場合
がある。上記シッフ塩基を形成させる反応は、化合物
(V)またはその塩と化合物(VI)またはその塩とをモ
ル 比(V)/(VI)=10〜0.1程度で、それ自体又
は適当な反応溶媒を用いて −10℃からその反応溶媒
の沸点、好ましくは0−50℃の範囲の温度で約10分
間から48時間程度反応させることにより行われる。な
お、本反応においては、化合物(V)またはその塩およ
び(VI)またはその塩のアルデヒドあるいはケトン部分
がアセタールあるいはケタールの形で保護された化合物
を使用してもよい。反応溶媒としては非水系の溶媒が好
ましく、例えば、アルコール類(例、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、iso-プロパノール、ブチルアル
コール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアル コー
ル、エチレングリコール、メトキシエタノール、エトキ
シエ タノール)、 エーテル類(例、ジメチルエーテ
ル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、モノグリム、ジグリム)、エステル類(例、酢酸メ
チル、酢酸エチル)、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、四塩化炭素)、ニトリル類
(例、アセトニトリル)、脂肪族炭化水素(例、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン)、環状脂肪族炭化
水素(例、シクロペンタン、シクロヘキサン)、芳香族
炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アセ
トン、ニトロメタン、ピリジン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミ
ド、スルホランまたはそれらの適宜の混合溶媒が使用さ
れる。脱水剤として、例えば、モレキュラーシーブス、
塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、
硫酸カルシウムなどを添加したり、あるいは、反応液の
pHを、適宜、酸(例、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素
酸、硫酸、硝酸、リン酸)、塩基(例、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム
などの金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウ
ムエトキシド、カリウム tert-ブトキシド、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、
炭酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン、トリエタノールアミン、ピリジン)または緩衝液
(例、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩衝液)で調
整することにより反応速度ならびに収率を向上させるこ
とができる。シッフ塩基の還元反応ならびに還元アルキ
ル化反応は、適宜な溶媒を用いて約−40℃からその溶
媒の沸点、より好ましくは約0〜50℃の範囲の反応温
度でハイドライド還元または接触還元により行われる。
使用される溶媒としては、前述のアルキル化型反応ある
いはアミン交換型反応で用いられる反応溶媒の他に酢酸
エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチル)なども用い
られる。接触還元反応は、適宜な溶媒を用いて約−40
℃からその反応溶媒の沸点、より好ましくは約0−50
℃の範囲の範囲温度で実施される。溶媒としては、水、
アルコール類(例、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、iso-プロパノール、ブチルアルコール、sec-ブチ
ルアルコール、tert-ブチルアルコー ル、エチレングリ
コール、メトキシエタノール、エトキシエタノール)、
酢酸エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチル)、エー
テル類(例、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、モノグリム、ジグリ
ム)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシ
レン)、ピリジン、ジメチルホルムアミド、並びにそれ
らの適宜の混合溶媒が用いられる。接触還元の触媒とし
ては、例えば、パラジウム、白金、ロジウム、ラネーニ
ッケルなどが用いられる。この際、微量の酢酸、トリフ
ルオロ酢酸、塩酸、硫酸などを添加すると反応を有利に
進行させ得ることがある。ハイドライド還元の試薬とし
ては、例えば、リチウムアルミニウムハイドライド、ナ
トリウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライ
ド、ナトリウムシアノボロハイドライドなどが用いら
れ、使用される還元試薬の量は、被還元体に対して、当
モルー100倍モル程度、通常2−20倍モルが用いら
れる。
【0029】また、A環がフラン、チオフェン、チオフ
ェン−1−オキシド、チオフェン−1,1−ジオキシド
あるいはN−置換ピロール環で−Z2−が−NH−の場
合、その−HN−基がA環と縮合閉環し三環性化合物
(例、ピロロ[3',2':4,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン
体など)を形成することがある。この場合、酸あるいは
塩基で処理することにより容易に目的とする二環性化合
物へと変換することができる。 第2工程 第1工程で得られる化合物(IV)またはその塩は、その
エステル残基[−COOR3]を化合物(I)またはそ
の塩の製造法で記載したごとく自体公知の方法に従って
脱保護反応に付し、化合物(II)またはその塩へと変換
することができる。また、原料化合物(II)またはその
塩は、例えば、次に示す反応工程によっても製造し得る
【化13】
【0030】上記工程中、A環、B、R3、X、Yおよ
びZは前記と同意義を有し、J1およびJ2は同一または
異なって酸素あるいは硫黄を、R10およびR11は同一ま
たは異なって炭化水素基を、L'はハロゲン原子(例、
塩素、臭素、ヨウ素)を、Tはシアノ基あるいは式−C
OOR12、−CSOR12または−CSSR12基〔式中、
12は炭化水素基を表す。〕をそれぞれ示し、R'およ
びR''は同一または異なって水素原子またはA環上の置
換基として詳述されている炭素数1ないし3のアルキル
基、炭素数2ないし3のアルケニル基、炭素数2ないし
3のアルキニル基あるいはシクロプロピル基を示す。R
10、R11およびR12で示される炭化水素基としては、炭
素数1ないし5の低級アルキル基(例、メチル、エチ
ル、プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、
sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、iso-ペンチ
ル、sec-ペンチル、neo-ペンチル、tert-ペンチル
基)、ベンジル基またはフェニル基などが用いられる。
これら低級アルキル基、ベンジル基またはフェニル基は
1ないし3個の置換基を有していてもよい。かかる置換
基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、
ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、炭素数1ないし4程度
のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキ
シ、iso-プロポキシ、n-ブトキシ、iso-ブトキシ、sec-
ブトキシ、tert-ブトキシ基)、炭素数1ないし4のア
ルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル
基)、炭素数1ないし4程度のアルカノイル基(例、ホ
ルミル、アセチル、プロピオニル、n-ブチリル、iso-ブ
チリル基)、トリフルオロメチル基などが用いられる。
以下、上記反応工程について詳しく説明する。
【0031】第3工程
【化14】 の使用量は一般に約0.5−4モル当量であり、好まし
くは約0.8−1.5モル当量である。本反応は、適宜
の溶媒の存在下、約−10℃からその反応溶媒の沸点程
度(約100℃まで)、好ましくは約0ないし50℃の範
囲の反応温度で、約30分間ないし48時間反応させて
実施し得る。反応に使用される溶媒としては、例えば、
アルコ−ル類(例、メタノ−ル、エタノ−ル)、エーテ
ル類(例、ジメチルエ−テル、ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン、モノグリム、ジグリ
ム)、ニトリル類(例、アセトニトリル)、エステル類
(例、酢酸エチル)、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水
素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)またはそれら
の適宜の混合溶媒などが使用される。反応に際して、光
あるいは有機過酸化物を加えるとさらに有利に進行させ
ることもできる。該有機過酸化物としては、例えば、t-
ブチルハイポクロリド、過酢酸、過安息香酸、p-クロロ
過安息香酸などが挙げられる。この様にして得られる化
合物(VIII)またはその塩は比較的反応性に富んでお
り、この段階で単離してもよいが、単離せず直接次の工
程の進むことも出来る。
【0032】第4工程 第3工程で得られる化合物(VIII)またはその塩は、R
11−J2−Hで示されるアルコール 類あるいはチオール
類と、適宜の溶媒の存在下、約−10℃からその反応溶
媒の沸点程度(約100℃まで)、好ましくは約0ないし
50℃の範囲の反応温度で、約10分間ないし24時間
反応させて化合物(IX)またはその塩とすることが出来
る。反応に使用される溶媒としては、例えば、エーテル
類(例、ジメチルエ−テル、ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、モノグリム、ジグリム)、
ニトリル類(例、アセトニトリル)、エステル類(例、
酢酸エチル)、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタ
ン、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素
(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)またはそれらの
適宜の混合溶媒などが使用される。また、R11−J2
Hで示されるアルコール類あるいはチオール類自体を過
剰に用いて溶媒としてもよい。
【0033】第5工程
【化15】 〔式中、Yは前記と同意義を示す。〕で表される化合物
またはその塩と反応させるとシアノ基、エステル基ある
いはチオエステル基と反応し、ついで環化を起こしピリ
ミジン環が形成され化合物(X)またはその塩が生成す
る。
【0034】化合物(XI)の酸の塩としては、例えば、
塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン
酸、ホウ酸などとの鉱酸塩、シウ酸、酒石酸、乳酸、ク
エン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、
エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエン
スルホン酸、カンファースルホン酸などとの有機酸塩な
どが用いられ、化合物(XI−1:Y'=ヒドロキシ基あ
るいはメルカプト基)の塩基の塩としては、例えば、ナ
トリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシ
ウム、アルミニウム、亜鉛、アンモニウム、トリメチル
アンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリエタノー
ルアンモニウム、ピリジニウム、置換ピリジニウムなど
との塩が用いられる。
【0035】閉環の際には、塩基性条件下で行うと反応
を有利に進行させることもできる。塩基としては、例え
ば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カ
リウム tert-ブトキシドなどの金属アルコキシドが用い
られる。反応溶媒としては、例えば、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、tert-ブチルアルコール、ジメ
チルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミドなどが
あり、反応温度は 0-150 ℃、好ましくは 20-100 ℃、
また、反応時間は1−48時間である。反応溶媒として
は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、
tert-ブチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ヘキ
サメチルホスホルアミドまたはそれらの適宜の混合溶媒
などが使用される。
【0036】第6工程
【化16】 に復元し、ピリミジン環上のX基と自発的に分子内閉環
反応および脱水反応を惹起せしめると化合物またはその
塩へと変換することができる。カルボニル基への復元反
応は、例えば、化合物(X)またはその塩をそれ自体ま
たは適当な反応溶媒を用いて、約−10℃からその反応
溶媒の沸点程度(約100℃まで)、好ましくは約0〜5
0℃の範囲の反応温度で、約10分ないし100時間、
自体公知の復元反応に付すことにより実施し得る。化合
物(IV)またはその塩を製造する工程における分子内閉
環反応および脱水反応は、通常、カルボニル基(>C=
O)へ復元する過程あるいは復元した後、ピリミジン環
上のX基と自発的に反応しA環を形成する。この際、酸
触媒が存在すると反応を速やかにかつ高収率に進行させ
ることも出来る。かかる酸触媒としては、アルドール反
応の際に詳述されている鉱酸、有機酸あるいはルイス酸
などが用いられる。また、カルボニル基(>C=O)を
還元し、ヒドロキシメチル基(>CHOH)とし、つい
でそのヒドロキシ部分を脱離基Lに変換した後、分子内
のX基とアルキル化反応に付すことによりA環が部分還
元された化合物(IV)またはその塩を製造することも出
来る。カルボニル基の還元反応、ヒドロキシ基の脱離基
への変換反応および分子内アルキル化反応は自体公知の
方法に従って行われる。また、化合物(II)またはその
塩あるいは(IV)またはその塩を自体公知の方法に従っ
て接触還元反応に付して部分還元し、A環が部分還元さ
れた化合物(II)またはその塩あるいは(IV)またはそ
の塩へと変換することもできる。化合物(II)またはそ
の塩においてA環がピロールあるいはビロリン環の場
合、化合物(X)またはその塩、あるいは(IV)または
その塩の段階で自体公知のアルキル化反応あるいはアシ
ル化反応に付し、本発明化合物であるN−置換ピロール
あるいはN−置換ピロリン環を有する化合物へと変換す
ることが出来る。さらに、特開平02−167281に
記載されているA環が無置換のピロールあるいはピロリ
ン環である化合物(IV)または化合物(II)あるいはそ
れらの塩を原料として用い、上述のアルキル化反応ある
いはアシル化反応を行うことによりA環がN−置換ピロ
ールあるいはN−置換ピロリン環である本発明化合物を
製造することもできる。
【0037】原料化合物(II)またはその塩のA環が炭
素原子のみで構成される化合物は、例えば次に示す反応
工程により製造し得る。
【化17】 上記工程中、A環、B、R3、R12、R'、R''およびZ
は前記と同意 義を有し、R'、R''および−Z−B−C
OOR3はシクロペンタン環上の連続す る3つの位置で
結合しているものとする。
【0038】第7工程 化合物(XII)またはその塩を、ジシアンジアミドで加
熱すると環化反応が起こり、縮合ピリミジン環が形成さ
れ化合物(IVC1)またはその塩が得られる。この場合、
反応温度は100−300℃、より好ましくは150−
250℃であり、反応時間は1−24時間が適当であ
る。さらに必要とあれば、自体公知の方法に従って公知
の試薬を用いて脱水素することにより、A環に不飽和結
合を導入することができる。 第8工程 化合物(XII)またはその塩におけるカルボニル基の両
側のα位のうち、R'、R''あるいは −Z−B−COO
3で置換されていないα位の水素を常法に従って引き
抜き、カルバニオンを形成させ、その活性化された位置
にエステル残基(例えば、メチル、エチル、n-プロピ
ル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチルなどのC
1-6アルキルあるいはベンジルなどのC7-8アラルキルな
どでエステル化されたカルボキシ基など)を導入すると
化合物(XIII)またはその塩が得られる。
【0039】第9工程 化合物(XIII)またはその塩を、化合物(XI)またはそ
の塩と反応させるとカルボニル基およびエステル残基と
反応し、縮合・環化を起こし、新たに縮合ピリミジン環
が形成され化合物(IVC2)またはその塩が得られる。反
応条件は第5工程で用いられる条件がそのまま適用され
る。さらに必要とあれば、自体公知の方法により公知の
試薬を用いて脱水素することにより、A環に不飽和結合
を導入することができる。第7工程および第9工程で得
られるエステル体(IVC1)および(IVC2)またはそれら
の塩を脱エステル化反応に付し、それぞれ対応するカル
ボン酸へと変換することができる。Bがシクロアルケニ
レン基あるいは置換基を有するフェニレン基の場合、第
1工程から第9工程のうち適宜な工程においてこれらの
基を自体公知の方法に従って接触還元反応に付し、対応
するシクロアルキレン基に変換してもよい。Yがヒドロ
キシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、5または6
員の複素環オキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、
アリールチオ基、5または6員の複素環チオ基、置換ア
ミノ基、アルカノイルアミノ基、アロイルアミノ基ある
いは5または6員の複素環カルボニルアミノ基の場合、
第2工程、第6工程、第7工程あるいは第9工程のうち
適宜な工程において自体公知の方法に従って変換反応に
付し、Yで定義される5または6員の複素環基、ハロゲ
ン原子、シアノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、ニ
トロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、5または6員の複素環オキシ基、メルカプト基、ア
ルキルチオ基、アリールチオ基、5または6員の複素環
チオ基、置換アミノ基、アルカノイルアミノ基、アロイ
ルアミノ基、5又は6員の複素環カルボニルアミノ基、
アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基あるいは5な
いし6員の複素環カルボニルオキシ基に変換してもよ
い。
【0040】A環およびBに硫黄原子が含まれる場合ま
た−Z2−が−S−(硫黄原子)の場合、本発明化合物
(I)またはその塩を直接酸化反応に付すかあるいは可
能な任意の工程のうちのいずれかの工程で酸化反応に付
し、A環、Bおよび−Z2−の硫黄原子を S(O)n
[n=1ないし2]である化合物に変換することが出来
る。酸化反応は、通常、被酸化化合物に対して0.3〜
3.0当量、好ましくは0.5〜2.5当量の酸化剤の
存在下、適当な溶媒中、−10〜+100℃、好ましく
は0〜+50℃で、10分間〜48時間、好ましくは3
0分間〜24時間反応させることにより製造することが
出来る。反応に使用される酸化剤としては、過酸類
(例、メタ過ヨウ素酸ナトリウム、過酸化水素、過酢
酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸)が好ましい。
反応溶媒としては、水、酢酸、ケトン類(例、アセト
ン、エチルメチルケトン)、エーテル類(例、ジメチル
エーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、モノグリ
ム、ジグリム)、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメ
タン、クロロホルム、四塩化炭素)、脂肪族炭化水素
(例、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン)、環
状脂肪族炭化水素(例、シクロペンタン、シクロヘキサ
ン)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシ
レン)、アセトニトリルまたはそれらの適宜の混合溶媒
が使用される。また、化合物(I)、(II)、(IV)ま
たはそれらの塩においてXで示されるアミノ基、ヒドロ
キシ基あるいはメルカプト基は、必要に応じて、文献公
知のピリミジン環上の置換基変換反応に従って互いに変
換することもできる[別冊蛋白質核酸酵素、核酸の化学
合成、共立出版(1968)]。次に原料化合物(III)ま
たはその塩の製造法について説明する。原料化合物(II
I)またはその塩は、例えば次に示す反応工程により製
造し得る。
【化18】
【0041】上記式中、p,Q1およびCOOR1は前記
と同意義を有する。Q0は反応性官能基を示す。R13
アミノ基の保護基を表し、R14はカルボキシ基の保護基
を表す。Q0で表される本反応性官能基としては、例え
ば脱離基あるいは基自体として複素環基の形成にたずさ
わる基などが用いられる。脱離基としては、例えば、ハ
ロゲン原子(例、塩素、臭素、ヨウ素)、C1-4アルキ
ルスルホニルオキシ基(例、メタンスルホニルオキシ
基)、C6-10アリールスルホニルオキシ基(例、ベンゼ
ンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ
基)あるいはトリフルオロメタンスルホニル基などの基
が有利に用いられる。また、基自体として複素環基の形
成にたずさわる基としては、例えば、炭素数1ないし4
程度のアルカノイル基(例、ホルミル、アセチル、プロ
ピオニル、n−ブチリル、iso−ブチリル 基)、ベンゾ
イル基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−置換カル
バモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチル
カルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−イソプ
ロピルカルバモイル、N−ブチルカルバモイル基)、水
酸基、エポキシ基、ニトロ基、シアノ基、ジアゾ基、ア
ミジノ基、イミノ基、アミノ基、モノ置換アミノ基
(例、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、
イソプロピルアミノ、ブチルアミノ基)、アルカノイル
アミド基(例、ホルムアミド、アセタミド、トリフルオ
ロアセタミド、プロピオニルアミド、ブチリルアミド、
イソブチリルアミド基)、ベンツアミド基、カルバモイ
ルアミノ基、N−置換カルバモイルアミノ基(例、N−
メチルカルバモイルアミノ、N−エチルカルバモイルア
ミノ、N−プロピルカルバモイルアミノ、N−イソプロ
ピルカルバモイルアミノ、N−ブチルカルバモイルアミ
ノ基)、メルカプト基、スルホ基、スルフイノ基、ホス
ホノ基、スルファモイル基、N−置換スルファモイル基
(例、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファ
モイル、N−プロピルスルファモイル、N−イソプロピ
ルスルファモイル、N−ブチルスルファモイル基)など
の基が有利に用いられる。
【0042】第10工程 化合物(XIV)またはその塩のアミノ基とカルボキシ基
を自体公知の保護基で保護して、化合物(XV)またはそ
の塩を製造する工程である。アミノ基の保護基として
は、例えば、酸との塩類(例、塩酸塩、硫酸塩、硝酸
塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、p−トル
エンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩など)、アミド
類(例、ホルミル、アセチル、クロロアセチル、トリク
ロロアセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、ベ
ンゾイル、p−ニトロベンゾイル、p−メトキシベンゾ
イルなど)、イミド類(例、フタロイル、ジチアサクシ
ノイルなど)、カルバメート類(例、メトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル、イソブチロキシカルボニル、
tert−ブトキシカルボニル、シクロヘキシロキシカ
ルボニル、ベンジロキシカルボニル、p−ニトロベンジ
ロキシカルボニル、フェノキシカルボニルなど)、ベン
ジル基類(例、ベンジル、o−ニトロベンジル、ジフェ
ニルメチル、トリチルなど)、シリル基類(トリメチル
シリル、トリエチルシリル、ジメチル−tert−ブチ
ルシリル、ジフェニル−tert−ブチルシリル、ジイ
ソプロピルメチルシリルなど)などが用いられ、カルボ
キシ基の保護基としては、例えば、エステル類(例、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、se
c−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ベンジ
ル、p−ニトロベンジル、フェニルなど)、アミド類
(例、N,N−ジメチルアミド、ピロリジニルアミド、
ピペラジニルアミドなど)、シリルエステル類(例、ト
リメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチル−ter
t−ブチルシリル、ジフェニル−tert−ブチルシリ
ル、ジイソプロピルメチルシリルなど)、金属塩類
(例、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、
バリウム、マグネシウム、銅、銀など)、アンモニウム
塩類などが用いられる。また、アミノ基とカルボキシ基
を銅塩により一挙に保護してもよい。本反応は、適宜の
溶媒の存在下、約20℃からその反応溶媒の沸点程度、
好ましくは、0ないし80℃の範囲の反応温度で、約1
0分間ないし48時間反応させて実施し得る。反応に使
用される溶媒としては、例えば、水、アルコール類
(例、メタノール、エタノール、t−ブタノールな
ど)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、モノグリム、ジグリムなど)、
ニトリル類(例、アセトニトリル)、エステル類(例、
酢酸エチル)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメ
タン、クロロホルム、四塩化炭素など)、芳香族炭化水
素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、ピリジ
ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまた
はそれらの適宜の混合溶媒などが使用される。
【0043】第11工程 本工程は、化合物(XV)における反応性官能基Q0をQ1
に変換して化合物(XVI)を製造する工程である。Q0
1に変換する方法としては、例えば、反応性官能基
0が脱離基である場合には求核置換反応により直接目
的とする複素環との間に共有結合を形成する方法、反
応性官能基Q0が複素環基を形成し得る基である場合に
は自体公知の方法に従って目的とする複素環基に変換す
る方法、あるいは化学修飾(例、酸化還元、直接基の導
入、環の変換・拡大縮小)して目的とする複素環基に変
換する方法などが挙げられる。これらに使用される具体
的な方法は、自体公知の方法(例えば、次に掲げる文献
において詳述されている)に従って行なわれる。〔A.
R. Katritzky and C. W. Rees、コンプリヘンシブ・ヘ
テロサイクリック・ケミストリー 第1−7巻(Compre
hensive HeterocyclicChemistry vol. 1-7)、Pergamon
Press、Oxford・New York・Toronto・Sydney・Paris・Frank
furt(1984)〕 第12工程 第11工程で得られた化合物(XVII)またはその塩は、
そのアミノ保護基を〔T. W. Green、プロテクティブ・
グループス・イン・オルガニック・シンセシス(Protec
tive Groups in Organic Synthesis)、John Wiley & S
ons、New York(1981)〕に記載の公知の方法に従って脱
保護反応に付し、化合物(III)またはその塩へと変換
することができる。アミノ基とカルボキシ基を銅塩にて
両方同時に保護した場合は、例えば、酸性条件下硫酸水
素、6規定塩酸、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)
などにより脱銅後、カルボキシ基をエステル化すること
により化合物(III)またはその塩に変換することがで
きる。
【0044】また、Q0からQ1への変換反応は化合物
(XIX)またはその塩においても行うこともできる。
【化19】 上式中、X、Y、A環、Z、B、COOR1、Q1、pお
よびQ0は前記と同意義である。 第13工程 化合物(III)またはその塩と化合物(XVIII)またはそ
の塩とを化合物(I)またはその塩の製造法と同様の縮
合反応に付すことにより化合物(XIX)またはその塩を
製造することができる。 第14工程 第13工程で得られた化合物(XIX)またはその塩を第
11工程と同様に、Q0からQ1への変換反応を行い化合
物(I)またはその塩を製造することができる。
【0045】さらに、第1工程から第14工程、あるい
は原料化合物の製造工程において実施または使用される
反応、試薬、反応条件および必要に応じて使用される各
官能基に対する保護基の適用などに関しては、次に掲げ
る文献において公知である詳細な解説に従って行なうこ
とができる。〔J. F. M. McOmine、プロテクティブ・グ
ループス・イン・オルガニック・ケミストリー(Protect
ive Groups in Organic Chemistry)、Plenum PressLond
on and New York (1973)〕、〔パイン・ヘンドリクソン
・ハモンド、有機化学(第4版)[I]−[II]、広川
書店(1982)〕および〔M. Fieser and L. Fieser、リ
ージェント・フォア・オルガニック・シンセシス 第1
−13巻(Reagents for Organic Synthesis vol. 1-1
3)、Wiley-Interscience、New York、London、Sydney a
nd Toronto (1969-1988)〕 上記方法で製造される本発明化合物の各中間体ならびに
本発明化合物(I)またはその塩は、通常の分離手段、
たとえば濃縮、溶媒抽出、クロマトグラフィ−、再結晶
などにより、反応混合物から単離することができる。ま
た、反応混合物のまま次の工程の原料として供してもよ
い。上記の製造法によって得られる化合物(I)、(I
I)、(III)、(IV)、(IVC1)、(IVC2)、(V)、
(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI
I)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVI
I)、(XVIII)および(XIX)の塩としては、例えばア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、非毒性金属、アンモニ
ウムまたは置換アンモニウムなどが用いられ具体的に
は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシ
ウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、アンモニウ
ム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウ
ム、トリエタノールアンモニウム、ピリジニウム、置換
ピリジニウムなどの塩基との塩、または例えば、塩酸、
硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの鉱酸との塩、シウ
酸、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カ
ンファースルホン酸などの有機酸などの酸との塩などが
用いられる。なお、原料化合物(V)、(VI)、(VI
I)、(X)、(XI)、(XII)、(XIV)、(XVI)、お
よび(XVIII)またはそれらの塩は公知方法または自体
公知の方法に従って容易に製造することができる。
【0046】
【作用】本発明化合物(I)またはその塩は、葉酸およ
びその関連化合物を基質として利用する1種類以上の酵
素に対して阻害作用を有する。従って、これら化合物
は、現在までMTXで治療されてきたじゅう毛癌、白血
病、***腺癌、頭頚部表皮癌、偏平上皮癌、小細胞肺癌
およびリンパ肉腫はもとよりMTXに耐性の各種腫瘍を
治療する目的で単独あるいは他の抗腫瘍剤と併用で、低
毒性で安全に使用することが可能である。例えば、本発
明化合物(I)またはその塩は、マウス腫瘍細胞株系
(P388、L1210、L5178Y、B16 melanoma、MethA、Lewis
Lung Carcinoma、S180 sarcoma、Erhlich Carcinoma、C
olon26 および 38 など)、およびヒト腫瘍細胞株系(A
549、HL60、KB など)に対して優れた抗腫瘍効果を示す
とともに、温血動物(例えば人間、マウス、犬等)が保
有する腫瘍〔例、白血病(leukemia)、黒色腫(melanom
a)、肉腫(sarcoma)、肥満細胞腫(mastocytoma)、癌腫(c
arcinoma)、新生物(neoplasia)など〕を減少させる作
用、並びに腫瘍を保有する温血動物の生存期間を延長す
る作用を有する。
【0047】抗腫瘍剤として用いる場合、化合物(I)
またはその塩を、それ自体あるいは通常用いられる方法
により薬理学的に許容されうる担体、賦形剤、希釈剤な
どを使用して、例えば、粉末、顆粒、錠剤、カプセル
剤、坐剤、注射剤などの形態として、経口的または非経
口的に投与し得る。投与量は、対象動物、疾患、症状、
化合物の種類、投与経路などにより異なるが、例えば、
経口投与の場合は本発明化合物として上記温血動物に1
日当たり約2.0−200、好ましくはmg/kg体重
であり、非経口投与の場合は1日当たり約1.0−10
0、好ましくは5−100mg/kgである。注射剤と
しての投与方法としては、筋肉内注射、腹腔内注射、皮
下注射、静脈注射などが用いられる。上記製剤化は、自
体公知の方法に従って行われる。上記経口製剤、例え
ば、錠剤を製造する際には、結合剤(例、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、マクロゴールなど)、崩壊剤(例、デンプン、カル
ボキシメチルセルロースカルシウムなど)、滑沢剤
(例、ステアリン酸マグネシウム、タルクなど)などを
適宜配合することができる。また、非経口製剤、例え
ば、注射剤を製造する際には、等張化剤(例、ブドウ
糖、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリ
ウムなど)、防腐剤(例、ベンジルアルコール、クロロ
ブタノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安
息香酸プロピルなど)、緩衝液(例、リン酸塩緩衝液、
酢酸ナトリウム緩衝液など)などを適宜配合することが
できる。
【0048】錠剤の製造の具体例としては、例えば1錠
当たりの使用量として本発明化合物約1.0−50m
g、乳糖100−500mg、コーンスターチ約50−
100mg、ヒドロキシプロピルセルロース約5−20
mgを常法により混合し、顆粒化し、コーンスターチお
よびステアリン酸マグネシウムと混和後、打錠して、1
錠約100−500mg、直径約3−10mmの錠剤と
する。また、この錠剤を1錠当たりの使用量として、ヒ
ドロキシプロピルメチルメチルセルロースフタレート
(約10−20mg)とヒマシ油(約0.5−2.0m
g)とを濃度約5−10%となるように溶解したアセト
ン−エタノール混液を用いて、コーティングすることに
より腸溶性の被覆錠とすることもできる。注射剤の調整
の具体例としては、例えば、1アンプル当たりの使用量
として、本発明化合物(I)のナトリウム塩約2.0−
50mgを(1)約2mlの生理食塩水に溶解したもの
をアンプルに注入した後密封をし、これを約110℃で
約30分間熱滅菌する、あるいは(2)約10−40m
gのマンニトールまたはソルビトールを約2mlの滅菌
した蒸留水にとかしたものに溶解後アンプルに注入し、
これを凍結乾燥して封をすることによっても調整するこ
とができる。凍結乾燥した注射剤は使用に際して該アン
プルを開封し、例えば生理食塩水を化合物の濃度が約
1.0−50mg/ml となるように注入溶解して溶
液とし、皮下、静脈または筋肉内に投与することができ
る。
【0049】
【実施例】本発明は、さらに下記の参考例、実施例で詳
しく説明されるが、これらの例は単なる実例であって本
発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱
しない範囲で変化させてもよい。室温とあるのは通常1
0℃から35℃を意味する。 参考例1 2(S)−アミノ−4−(1H−テトラゾール−5−イ
ル)酪酸メチルの製造Z. Grzonka らの方法(Tetrahedr
on, 33巻,2299,1977年)により、N−ベン
ジロキシカルボニル−グルタミンメチルエステル(6.
2g)から2(S)−ベンジロキシカルボニルアミノ−
4−シアノ酪酸メチル(5.8g)を得た。この2
(S)−ベンジロキシカルボニルアミノ−4−シアノ酪
酸メチル(2.76g)をトリメチル錫アジド(2.0
6g)とテトラヒドロフラン(16ml)中で72時間加
熱還流させた。反応液を室温まで冷却し4規定塩酸酢酸
エチル溶液を加え室温で1時間撹拌した後、エーテルを
加えて上清をデカントし、残渣にエーテルを加えて粉末
化し、その粉末を集め減圧乾燥することにより2(S)
−ベンジロキシカルボニルアミノ−4−(1H−テトラ
ゾール−5−イル)酪酸メチル(1.02g;収率32
%)を得た。1 H−NMR(DMSO−d6)δ:1.90-2.30(2H,m), 2.
96(2H,t,J=7.7Hz), 3.64(3H,s), 4.14(1H,m), 5.05(2H,
s), 7.36(5H,s), 7.89(1H,d,J=8.0Hz). 引き続きベンジロキシカルボニル基をメタノール中パラ
ジウム炭素を触媒とする水素接触還元により脱保護を行
うことにより表題化合物を得た(収率99%)。 1 H−NMR(DMSO−d6)δ:1.90−2.20
(2H,m), 2.92(2H,t,J=7.4H
z), 3.69(3H,s), 3.83(1H,d
d,J=7.6,4.8Hz).
【0050】実施例1 2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H−ピ
ロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベ
ンゾイルアミノ]−4−(1H−テトラゾール−5−イ
ル)酪酸メチルの製造。 2(S)−アミノ−4−(1H−テトラゾール−5−イ
ル)酪酸メチル(75mg)と4−[2−(2,4−ジ
アミノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−
イル)エチル]安息香酸・2トリフルオロ酢酸(210
mg)のDMF(N,N−ジメチルホルムアミド、6ml)
溶液に、氷冷下シアノりん酸ジエチル(100mg)を加
え室温で5分間撹拌したのち、トリエチルアミン(50
0mg)を滴下した。室温で4時間撹拌後溶媒を減圧下濃
縮し残渣を水洗した後、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水=1
00/25/4)にて精製して無色結晶の表題化合物を
得た(130mg;収率70%)。1 H−NMR(DMSO−d6)δ:2.10-2.40(2H,m), 2.
97(6H,m), 3.65(3H,s),4.51(1H,m), 5.45(2H,brs), 6.0
7(2H,brs), 6.38(1H,s), 7.35(2H,d,J=7.8Hz),7.84(2H,
d,J=7.8Hz), 9.09(1H,d,J=6.4Hz), 10.42(1H,brs). IR(KBr)ν:3340, 3200, 1730, 1640, 1540, 1500,
1435, 1220, 1090, 1055cm-1.
【0051】実施例2 2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミノ−7H−ピ
ロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベ
ンゾイルアミノ]−4−(1H−テトラゾール−5−イ
ル)酪酸の製造 実施例1の化合物(115mg)のメタノール(4ml)溶
液に1規定水酸化ナトリウム水溶液(2ml)を加え室温
で8時間撹拌した後、残渣を水に溶解させ不溶物をフィ
ルターで除いた後、1規定塩酸にてpHを4に合わせ生
じた沈殿物を濾取し水洗後乾燥させて無色結晶の表題化
合物を得た(72mg;収率65%)。1 H−NMR(DMSO−d6)δ:2.10-2.45(2H,m), 2.
85-3.05(6H,m), 4.43(1H,m), 5.94(2H,brs), 6.44(1H,
s), 6.58(2H,brs), 7.33(2H,d,J=8.2Hz), 7.81(2H,d,J=
8.2Hz), 8.65(1H,d,J=7.8Hz), 10.70(1H,brs). IR(KBr)ν:3340, 3200, 2920, 1650, 1545, 1500,
1460, 1390, 1290, 1250, 1090, 1060cm-1.
【0052】実施例3 2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H−ピ
ロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)プロピル]
ベンゾイルアミノ]−4−(1H−テトラゾール−5−
イル)酪酸メチルの製造 実施例1と同様に、2(S)−アミノ−4−(1H−テ
トラゾール−5−イル)酪酸メチル(80mg)と4−
[3−(2,4−ジアミノ−7H−ピロロ[2,3−
d]ピリミジン−5−イル)プロピル]安息香酸(13
5mg)をシアノりん酸ジエチル(150mg)にて縮合
し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:
クロロホルム/メタノール/水=100/25/4)に
て精製して無色結晶の表題化合物を得た(76mg;収率
37%)。1 H−NMR(DMSO−d6)δ:1.70-1.95(2H,m), 2.
15-2.35(2H,m), 2.60-2.80(4H,m), 2.95(2H,t,J=7.4H
z), 3.65(3H,s), 4.47(1H,m), 5.48(2H,brs), 6.08(2H,
brs), 6.44(1H,s), 7.31(2H,d,J=8.0Hz), 7.84(2H,J=8.
0Hz), 9.04(1H,d,J=7.2Hz), 10.47(1H,brs). IR(KBr)ν:3350, 3200, 2940, 1740, 1645, 1545,
1500, 1440, 1400, 1220, 1060, 770cm-1.
【0053】実施例4 2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミノ−7H−ピ
ロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)プロピル]
ベンゾイルアミノ]−4−(1H−テトラゾール−5−
イル)酪酸の製造 実施例2と同様にして、実施例3の化合物(70mg)を
アルカリ加水分解後、酸性にすることにより表題化合物
を得た(48mg;収率70%)。 IR(KBr)ν:3325, 3190, 2920, 1640, 1540, 1495,
1450, 1380, 1300, 1280, 1240, 760cm-1.
【0054】
【発明の効果】各種腫瘍細胞(特にヒト肺ガン細胞な
ど)に対して高い選択毒性を有し、メソトレキサート耐
性腫瘍細胞にも優れた治療効果を示す化合物を提供す
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 【化1】 〔式中、A環は水素化されていてもよい5員環であっ
    て、置換基を有していてもよく、Bは置換基を有してい
    てもよい2価の5または6員の同素または複素環基を、
    Xはアミノ基、ヒドロキシ基またはメルカプト基を、Y
    は水素原子、ハロゲン原子、または炭素、窒素、酸素も
    しくは硫黄原子を介する基を、Zは置換基を有していて
    もよく、鎖状部に1個のヘテロ原子が介在していてもよ
    い直列する5個を超えない鎖構成原子をもつ2価の脂肪
    族基を、COOR1はエステル化されていてもよいカル
    ボキシ基を、Q1は置換基を有していてもよい複素環基
    を、pは1ないし4の整数を示す。〕で表される化合物
    またはその塩。
  2. 【請求項2】 【化2】 〔式中、A環は水素化されていてもよい5員環であっ
    て、置換基を有していてもよく、Bは置換基を有してい
    てもよい2価の5または6員の同素または複素環基を、
    Xはアミノ基、ヒドロキシ基またはメルカプト基を、Y
    は水素原子、ハロゲン原子、または炭素、窒素、酸素も
    しくは硫黄原子を介する基を、Zは置換基を有していて
    もよく、鎖状部に1個のヘテロ原子が介在していてもよ
    い直列する5個を超えない鎖構成原子をもつ2価の脂肪
    族基を示す。〕で表される化合物またはその塩もしくは
    カルボキシ基における反応性誘導体と、 【化3】 〔式中、COOR1はエステル化されていてもよいカル
    ボキシ基を、Q1は置換基を有していてもよい複素環基
    を、pは1ないし4の整数を示す。〕で表される化合物
    またはその塩とを反応させることを特徴とする請求項1
    記載の化合物の製造法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の化合物を含有する抗腫瘍性
    組成物。
  4. 【請求項4】Q1で表される置換基を有していてもよい
    複素環基が、陰イオンを形成し得る基である請求項1記
    載の化合物。
  5. 【請求項5】Q1がテトラゾリル基である請求項1記載
    の化合物。
  6. 【請求項6】2(S)−[4−[2−(2,4−ジアミ
    ノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イ
    ル)エチル]ベンゾイルアミノ]−4−(1H−テトラ
    ゾール−5−イル)酪酸またはその塩である請求項1記
    載の化合物。
  7. 【請求項7】2(S)−[4−[3−(2,4−ジアミ
    ノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イ
    ル)プロピル]ベンゾイルアミノ]−4−(1H−テト
    ラゾール−5−イル)酪酸またはその塩である請求項1
    記載の化合物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0923287A4 (en) * 1996-08-30 2001-08-01 Lilly Co Eli NON-CLASSIC PYRROLO (2,3-D) PYRIMIDINE ANTIFOLATE

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