JPH069105Y2 - 油圧打撃工具のロッド引抜き装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば岩盤等をさく孔するさく岩機の油圧打
撃工具に設けられたロッド引抜き装置の改良に関する。

（従来の技術） 従来より、油圧打撃工具を備えたさく岩機で岩盤等をさ
く孔した後、上記油圧打撃工具を後退移動させることに
より、シャンクロッドをさく孔部より引き抜くが、この
とき、該さく孔部で砂詰りいわゆるジャミングが生じる
ことがよくある。そして、このようにジャミングが生じ
ている場合には、上記シャンクロッドの引抜きが困難に
なり、無理やり引く抜こうとすると、油圧打撃工具に損
傷を与えることとなる。このことから、例えば特開昭６
１−２０４４９６号公報に開示されているように、油圧
打撃工具のフロントヘッドに副ピストンを設け、ジャミ
ング時に該副ピストンをアキュムレータに供給された圧
油の油圧によって後退移動させることにより、シャンク
ロッドに後退方向の衝撃力を与え、このときのシャンク
ロッドの挙動により上記さく孔部に詰った砂をばらして
シャンクロッドの引抜きを可能ならしめるようにしたロ
ッドの引抜きを可能ならしめるようにしたロッド引抜き
装置が知られている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、上記の公報例のものでは、副ピストンを後退
移動させるために、油圧打撃工具を作動させる油圧系統
とは別に油圧系統を設け、この油圧系統から圧油をアキ
ュムレータを介して副ピストンに供給するようになされ
ていることから、その分だけ装置の構造が複雑化しかつ
装置が大型化するという問題があった。また、上記の場
合は、ジャミング時に作業者が一々アキュムレータを作
動制御しなければならず、非能率的であった。

本考案はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目
的とするところは、ジャミング時にシャンクロッドに後
退方向の衝撃力を与える適切な手段を油圧打撃工具を作
動させる油圧系統に関連付けて講ずることにより、該油
圧系統以外に別途油圧系統を設けずに済み、これにより
装置の構造の簡素化とコンパクト化とを図らんとするこ
とにある。また、ジャミング時における作業者の操作を
なくして自動化を図らんとすることにある。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するため、本考案の解決手段は、打撃
工具本体のシリンダ内に進退移動可能に配設された打撃
ピストンと、該打撃ピストンの前方に進退移動可能に配
置され、打撃ピストンの前進動作により打撃されるシャ
ンクロッドと、上記打撃工具本体をさく孔時に前進移動
させ、さく孔後に後退移動させる油圧アクチュエータと
を備え、上記シリンダと打撃ピストンとの間に形成され
た前部作動室および後部作動室に供給される圧油の油圧
差により、上記打撃ピストンをシリンダ内で進退移動さ
せて上記シャンクロッドを打撃するようにした油圧打撃
工具の上記シャンクロッドを引き抜く装置を対象とし、
この場合、上記打撃工具本体の前端側にシャンクストッ
パを進退移動可能に配置し、前進移動する上記シャンク
ロッドに当接してその前進動作を阻止するようにする。
さらに、上記打撃工具本体に圧油供給通路を設け、上記
打撃ピストンを進退移動させる圧油を上記シャンクスト
ッパにそれを後退移動させるべく供給するようにする。
また、上記圧油供給通路に切換バルブを介設し、上記シ
ャンクロッドの引抜き時、上記油圧アクチュエータの油
圧が所定圧以上になった際、開作動して圧油を上記シャ
ンクストッパに供給するようにする。

（作用） 上記の構成により、本考案では、シャンクロッドの引抜
き時、打撃工具本体を後退移動させる油圧アクチュエー
タの油圧がジャミングの発生により所定圧以上になる
と、圧油供給通路に介設された切換バルブが開作動せし
められ、打撃ピストンを進退移動させる圧油が上記圧油
供給通路を経てシャンクストッパに供給される。そし
て、この供給された圧油の油圧によって上記シャンクス
トッパが後退移動せしめられることにより、上記シャン
クロッドに後退方向の衝撃力が与えられ、このときのシ
ャンクロッドの挙動によりさく孔部に詰った砂がばらさ
れてシャンクロッドの引抜きが可能となされる。

このように、シャンクロッドに後退方向の衝撃力を与え
るシャンクストッパを打撃ピストンを進退移動させる圧
油の油圧でもって後退移動させるようにしたことから、
シャンクストッパ専用の油圧系統を別途に設ける必要が
なくされ、よって装置の構造の簡素化とコンパクト化と
が図られることとなる。また、ジャミング時における作
業者の操作が不要となって自動化が図られることとな
る。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本考案の実施例に係るロッド引抜き装置Ａを備
えた油圧打撃工具Ｂを示し、１は、シリンダ２と該シリ
ンダ２の先端（図で右端）に一体的に連結された筒状の
フロントヘッド３とからなる打撃工具本体、４は上記シ
リンダ２内に進退移動可能に配置された打撃ピストン、
５は、上記フロントヘッド３内の上記打撃ピストン４前
方にそれと同軸上に位置するように軸心方向へ進退移動
可能に配置され、打撃ピストン４の前進動作により打撃
されるシャンクロッドである。

上記シリンダ２内には、外周に従動ギヤ６が一体的に形
成された筒状のローテーションチャック７が、上記打撃
ピストン４先端側とシャンクロッド５基端側とを摺動可
能に嵌挿せしめた状態で配置され、該ローテーションチ
ャック７の上記従動ギヤ６は、上記打撃工具本体１の後
端に設けられた図示しない油圧モータの駆動軸８を介し
て駆動される駆動ギヤ９に噛合せしめられている。ま
た、上記ローテーションチャック７の一端（図で右端）
には、内周に複数のスプライン溝１０，１０，…が形成
されたチャックジョー１１が一体的に連結され、該チャ
ックジョー１１の各スプライン溝１０は、上記シャンク
ロッド５の基端側外周に形成された複数のスプライン歯
１２，１２，…にスプライン結合されている。そして、
上記油圧モータの駆動トルクを駆動軸８、駆動ギヤ９を
介して従動ギヤ６に伝達し、シャンクロッド５を回転さ
せるようになされている。

また、上記シリンダ２の内周面には、その基端側から先
端側に向かって第１油圧流入ポート１３、第１油圧流出
ポート１４、第１連通ポート１５および第２油圧流入ポ
ート１６が順次開口され、上記第１および第２油圧流入
ポート１３，１６は、それぞれ第１および第２油圧供給
通路１７，１８を介して打撃用油圧ポンプ１９に接続さ
れている。また、上記第１油圧流出ポート１４は、第１
油圧排出通路２０を介してドレン２１に、上記第１連通
ポート１５は、バルブ切換通路２２および第２連通ポー
ト２３を介して上記打撃工具本体１（シリンダ２）の基
端側に配設された第１バルブ２４にそれぞれ接続されて
いる。さらに、上記第１油圧供給通路１７は、上記第１
バルブ２４を介して上記ドレン２１に接続された第２油
圧排出通路２５に接続されている。

さらに、上記打撃ピストン４には、軸心方向略中央部に
広幅の周溝２６が形成され、この周溝２６によりシリン
ダ２内周面と打撃ピストン４外周面との間に前部作動室
２７が形成されている。また、打撃ピストン４の後端側
は上記周溝２６の外径よりも小径に設定されていて、こ
れによりシリンダ２内周面と打撃ピストン４外周面との
間に後部作動室２８が形成されている。したがって、打
撃ピストン４の上記後部作動室２８側の受圧面積が上記
前部作動室２７側の受圧面積よりも大きくなるようにな
されている。

そして、上記打撃ピストン４が後退移動した際には、上
記第２油圧供給通路１８が遮断されるとともに、バルブ
切換通路２２が第１油圧排出通路２０に連通され、これ
により第１バルブ２４が後退移動して第２油圧排出通路
２５が遮断されるとともに、第１油圧供給通路１７が開
放され、圧油が後部作動室２８に流入して打撃ピストン
４が前進移動する。一方、打撃ピストン４が前進移動し
た際には、第２油圧供給通路１８が開放されてバルブ切
換通路２２と連通されるとともに、該バルブ切換通路２
２と第１油圧排出通路２０とが遮断され、これにより第
１バルブ２４が前進移動して第２油圧排出通路２５が開
放されるとともに、第１油圧供給通路１７が遮断され、
後部作動室２８の圧油が第２油圧排出通路２５からドレ
ン２１に排出されて打撃ピストン４が後退移動するよう
に構成されている。このように、油圧打撃工具Ｂは、上
記シリンダ２と打撃ピストン４との間に形成された前部
作動室２７および後部作動室２８に供給される圧油の油
圧差により、上記打撃ピストン４をシリンダ２内で進退
移動させることにより、上記シャンクロッド５を打撃す
るように構成されている。

また、上記打撃工具本体１のフロントヘッド３前端側に
は、前進移動する上記シャンクロッド５の各スプライン
歯１２に当接してその前進動作を阻止するシャンクスト
ッパ２９が進退移動可能に配置されている。また、上記
フロントヘッド３のシャンクストッパ２９後端側には、
複数（図では２つのみ表われる）のシリンダ室３０，３
０，…が周方向に所定間隔をあけて形成され、該各シリ
ンダ室３０には、前進移動により上記シャンクストッパ
２９に当接して該シャンクストッパ２９を後退移動させ
るピストン３１が進退移動可能に配置されている。さら
に、上記打撃工具本体１には、上流端が上記後部作動室
２８に接続された圧油供給通路３２が設けられ、該圧油
供給通路３２の下流端は、複数（図では１つのみ表われ
る）の連通路３３，３３，…を介して上記各シリンダ室
３０に接続されていて、上記打撃ピストン４を進退移動
させる圧油を圧油供給通路３２および各連通路３３を経
て各シリンダ室３０に供給することにより、各ピストン
３１を同期して前進移動（図で左側へ移動）させ、上記
シャンクストッパ２９を後退移動させるようになされて
いる。

さらに、上記圧油供給通路３２の下流端寄りには、油圧
パイロツト切換バルブからなる第２バルブ３４が開設さ
れている。一方、上記打撃工具本体１は、さく孔時に手
動式切換バルブ３５の切換え操作により第１油圧モータ
３６からの圧油を前進側管路３７を介して油圧アクチュ
エータを構成する第２油圧モータ３８に供給して前進移
動せしめられる一方、さく孔後に上記手動式切換バルブ
３５の切換え操作により上記第１油圧モータ３６からの
圧油を後退側管路３９を介して上記第２油圧モータ３８
に供給して後退移動せしめられるようになされている。
そして、上記第２バルブ３４は、パイロツト経路４０を
介して第２油圧モータ３８に接続され、上記打撃工具本
体１が後退移動するシャンクロッド５の引抜き時、第２
油圧モータ３８の油圧が所定圧以上になった際、つまり
ジャミングが発生した際、このことを上記パイロツト経
路４０に設けられた油圧検知器４１で検知し、該油圧検
知器４１の検知信号に基づいて上記第２バルブ３４を開
作動して圧油を上記後部作動室２８から圧油供給通路３
２を経て上記シャンクストッパ２９に供給するようにな
されている。

なお、上記打撃ピストン４およびシャンクロッド５に
は、図示しないビット先端に圧搾エアを噴出させるため
のエア通路４２，４３が軸心方向に貫設され、該両エア
通路４２，４３には、打撃ピストン４およびシャンクロ
ッド５を連結するように連結パイプ４４が摺動可能に嵌
挿されている。また、図中、４５はリリーフ弁、４６，
４６，４６はそれぞれドレンである。

次に、上記実施例の作動を説明する。

まず、打撃ピストン４の後退移動により第２油圧流入ポ
ート１６が遮断され、かつ第１油圧流出ポート１４が開
放されているものとする。この状態から打撃用油圧ポン
プ１９を駆動すると、圧油が第１油圧流入ポート１３よ
り後部作動室２８に供給され、この場合、該後部作動室
２８の受圧面積の方が前部作動室２７の受圧面積よりも
大きいことから、この受圧面積差により打撃ピストン４
は前進移動し、シャンクロッド５の基端を打撃して図示
しないチゼルでもってさく岩作業等を行う。

このように打撃ピストン４が前進移動すると、上記第２
油圧流入ポート１６が開放され、かつ第１油圧流出ポー
ト１４が遮断される。これにより圧油が第２油圧流入ポ
ート１６から前部作動室２７およびバルブ切換通路２２
を経て第２連通ポート２３に供給され、第１バルブ２４
が前進移動せしめられて第１油圧流入ポート１３が遮断
されるとともに、後部作動室２８が第２油圧排出通路２
５に連通せしめられることにより、該後部作動室２８か
ら上記圧油が第２油圧排出通路２５を介してドレン２１
に排出される。この場合、前部作動室２７の油圧が後部
作動室２８の油圧よりも大きくなることから、この油圧
差により打撃ピストン４は後退移動することとなる。以
下、同様な作動を繰り返すことにより、打撃ピストン４
をシリンダ２内で進退移動させてシャンクロッド５を打
撃し、チゼルでさく岩作業等を行う。

なお、上記打撃ピストン４の進退作動と同時に、油圧モ
ータで駆動ギヤ９を回転駆動させ、この回転力を従動ギ
ヤ６を介してローテーションチャック７およびチャック
ジョー１１に伝達することにより、上記シャンクロッド
５を回転させるようにする。つまり、シャンクロッド５
を回転させつつ進退移動させることによりさく岩作業等
を行う。

そして、さく岩作業等の終了後、上記打撃工具本体１を
後退移動させてシャンクロッド５を引き抜くが、このと
き、該シャンクロッド５がジャミング状態になっている
と、打撃工具本体１の後退動作がスムーズに行われず、
第２油圧モータ３８の油圧が所定圧以上になる。このよ
うに第２油圧モータ３８の油圧が所定圧以上になると、
このことが油圧検知器４１で検知され、該油圧検知器４
１の検知信号に基づいて第２バルブ３４が開作動し、上
記後部作動室２８と各シリンダ室３０とが連通せしめら
れて、圧油が後部作動室２８から圧油供給通路３２を経
て各シリンダ室３０に供給される。そして、該各シリン
ダ室３０に供給された圧油の油圧により、各ピストン３
１が前進移動してシャンクストッパ２９に衝突し、該シ
ャンクストッパ２９を衝撃的に後退移動させてシャンク
ロッド５を後退方向に打撃する。

このように、本実施例では、さく岩作業等の終了後のシ
ャンクロッド５引抜き時、打撃工具本体１を後退移動さ
せる第２油圧モータ３８の油圧がジャミングにより所定
圧以上になった際、第２バルブ３４を開作動させ、後部
作動室２８の圧油を圧油供給通路３２を経て各シリンダ
室３０に供給することにより、各ピストン３１をシャン
クストッパ２９に衝突させてシャンクロッド５を後退方
向に打撃し、このときのシャンクロッド５の挙動により
さく孔部に詰った砂をばらしてシャンクロッド５の引抜
きを可能ならしめる。したがって、シャンクストッパ２
９専用の油圧系統を別途に設ける必要がなく、これによ
り装置の構造の簡素化とコンパクト化とを図ることがで
きる。また、ジャミング時における作業者の操作を不要
となして自動化を図ることができる。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば、シャンクロッド
の引抜き時、打撃工具本体を後退移動させる油圧アクチ
ュエータの油圧がジャミングの発生により所定圧以上に
なると開作動する切換バルブを、上記打撃工具本体に設
けられた圧油供給通路に介設し、打撃ピストンを進退移
動させる圧油を上記圧油供給通路を経てシャンクストッ
パに供給するようにしたので、この供給された圧油の油
圧によって供給シャンクストッパを後退移動せしめ、上
記シャンクロッドに与えられた後退方向の衝撃力によっ
てさく孔部に詰った砂をばらし、シャンクロッドの引抜
きを可能ならしめる。したがって、シャンクストッパ専
用の油圧系統を別途に設ける必要がなくなって、装置の
構造の簡素化とコンパクト化とを図ることができる。ま
た、ジャミング時における作業者の操作が不要となって
自動化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るロッド引抜き装置を備え
た油圧打撃工具の全体構成を示す縦断面図である。 １……打撃工具本体、２……シリンダ、４……打撃ピス
トン、５……シャンクロッド、２７……前部作動室、２
８……後部作動室、２９……シャンクストッパ、３２…
…圧油供給通路、３４……第２バルブ（切換バルブ）、
３８……第２油圧モータ（油圧アクチュエータ）、Ａ…
…ロッド引抜き装置、Ｂ……油圧打撃工具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】打撃工具本体のシリンダ内に進退移動可能
   に配置された打撃ピストンと、該打撃ピストンの前方に
   進退移動可能に配置され、打撃ピストンの前進動作によ
   り打撃されるシャンクロッドと、上記打撃工具本体をさ
   く孔時に前進移動させ、さく孔後に後退移動させる油圧
   アクチュエータとを備え、上記シリンダと打撃ピストン
   との間に形成された前部作動室および後部作動室に供給
   される圧油の油圧差により、上記打撃ピストンをシリン
   ダ内で進退移動させて上記シャンクロッドを打撃するよ
   うにした油圧打撃工具の上記シャンクロッドを引き抜く
   装置であって、上記打撃工具本体の前端側に進退移動可
   能に配置され、前進移動する上記シャンクロッドに当接
   してその前進動作を阻止するシャンクストッパと、上記
   打撃工具本体に設けられ、上記打撃ピストンを進退移動
   させる圧油を上記シャンクストッパにそれを後退移動さ
   せるべく供給する圧油供給通路と、該圧油供給通路に介
   設され、上記シャンクロッドの引抜き時、上記油圧アク
   チュエータの油圧が所定圧以上になった際、開作動して
   圧油を上記シャンクストッパに供給する切換バルブとを
   備えてなることを特徴とする油圧打撃工具のロッド引抜
   き装置。