JPH0689768B2 - 高力ボルト・ナット・座金のセット - Google Patents

高力ボルト・ナット・座金のセット

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JPH0689768B2
JPH0689768B2 JP31369590A JP31369590A JPH0689768B2 JP H0689768 B2 JPH0689768 B2 JP H0689768B2 JP 31369590 A JP31369590 A JP 31369590A JP 31369590 A JP31369590 A JP 31369590A JP H0689768 B2 JPH0689768 B2 JP H0689768B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、各種産業分野において利用される高力ボルト
・ナットおよび座金のセットに関し、特に土木、建築、
海洋構造物構築に用いられるれる耐遅れ破壊特性の優れ
た高力ボルト・ナット・座金のセットに係る。
[従来の技術] 各産業分野において利用される鋼材の接合に際しては、
周知のとおり各種の溶接手段のほかボルト接合手段が一
般に用いられている。
さて、近時経済性の追及と技術の進歩から鋼材の高張力
化が促進され、その接合に適した手段として、高力ボル
トが採用されるようになった。
特に、土木、建築分野では接合の信頼性が高く、かつ作
業性も優れていることから摩擦接合手段が多用されるよ
うになり、それに用いるボルトとして、日本工業規格の
JIS−B−1186に規定される摩擦接合用高力六角ボル
ト、六角ナット、平座金のセットおよび日本鋼構造協会
規格JSSII−09構造用トルシア形高力ボルト・六角ナッ
ト・平座金のセットが広く採用されている。
本発明は主として前記摩擦接合用高力六角ボルト・ナッ
ト・中点平座金および構造用トルシア形高力ボルト・ナ
ット・平座金の改良に関するもので、以下本発明では説
明の都合上単に高力ボルト・ナット・平座金のセットと
総称する。
さて、前記高力ボルトは、遅れ破壊現象のため現在のと
ころF11T(S11T)以上のものは使用が避けられている
が、一方鋼板の製造技術はますます進歩し、経済的な価
格で高強度のものが市販されるようになり、それにとも
なって強度の高い鋼構造物を製作するため耐遅れ破壊特
性の優れた高力ボルト(特にF15T級)の開発が強く望ま
れるようになった。
さて、前記遅れ破壊の防止には、材料に耐遅れ破壊特性
の優れたニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン
鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、機械構造用マンガ
ン鋼、マンガンクロム鋼、アルミニウムクロムモリブデ
ン鋼のうち1種または高温用合金鋼ボルト材または特殊
用途合金鋼ボルト用棒鋼や熱処理可能な低・中炭素鋼な
どを使用するほか、さらに高力ボルト各部に生ずる応力
集中を出来るだけ小さくする必要のあることが一般に知
られており、加えて該高力ボルトにおいて、遅れ破壊を
起こす部位は、主としてボルト頭の首下部、ねじ切り上
がり部およびナットの負荷座面に近いねじ部であり、こ
れらの部位は応力の集中が大きく、また高軸力での締め
付けに対しては塑性歪も大きくなるため、それらの部位
を起点として遅れ破壊が発生することは、多くの研究に
よって知られている。
前記応力集中の低減は耐疲労に対しても非常に有効なこ
とが多くの文献にて報告されており、この観点からねじ
部に関してはねじ山形状を改善しねじ谷底の応力集中を
小さくすることで耐疲労強度の増大を図った耐疲労ねじ
(以下A発明と云う)が特公昭53−29780号公報に提案
されているが、前記A発明は耐遅れ破壊にもかなりの効
果を備えていると考えられる。
前記A発明は、最も遅れ破壊が発生する頻度の高いねじ
山について、その形状の改善を工夫したものであり、フ
ランク角度を(70±2)°もしくは(106±5)°と
し、それぞれのねじ谷底を半径が(0.15±0.02)p(ピ
ッチ)もしくは(0.30±0.01)pの円弧によって形成し
たものである。
本発明では、前記A発明については実用的な観点から後
述するようにフランク角度(70±2)°のボルトについ
て検討した。
さて、このほか市販されている高力ボルトには、前記ボ
ルト頭の首下部、ねじ切り上がり部およびナットの負荷
座面に近いねじ部などにおける応力の集中を避ける目的
で、前記ボルト頭の首下部に複合Rを採用し、ねじ部で
は谷底のRを正確に刻設すると共にねじ切り上がり部の
谷底に丸みをつけたボルトが存在する。
しかしながら、前記市販のボルトについては、ねじ谷底
の弧状曲線がどのような理論により形成されているか明
らかにされておらず、さらにその作用効果の裏付けとな
る試験データも発表されていない。
本出願人の知る限りにおいて、特に土木、建築分野にお
ける高力ボルトにおいて、前記A発明は、実用されてお
らず、また、F11T以上のもの、さらには特にF15T級のも
ので、応力の集中の少ない新規な形状を有する高力ボル
トであって、市中に広く提供されている例はない。
そこで、本発明者らは、まずねじ部の改善について研究
の結果、ねじ山のフランク角度が60°で、かつ等間隔ピ
ッチに刻設され、ついで、谷底が下記条件および算式に
規定される3円弧合成法によって構成される弧状曲線に
形成されている高力ボルトを開発し、従来の高力ボルト
に比し、応力集中度、塑性歪量が非常に少なく、耐遅れ
破壊特性に優れた高力ボルト(以下B発明と云う)を提
供することに成功し、先に特許出願した。
しかして、前記3円弧合成法とは、とがり山の高さをH
とし、相対するねじ山のフランク面と谷底との移行点を
とがり山底辺から(9±1)H/20に設定し、前記それぞ
れの移行点においてフランク面に当設する半径rがH/6
の当接小円を描き、さらに前記相対するフランク面の延
長線がなす鋭角の2等分線上に中心を有する半径Rが2/
3・H以上の前記当接小円の外接円を描き、前記当接小
円と前記外接円の谷底側円弧を重畳せしめ弧状曲線を形
成する方法である。
さて、前記B発明の高力ボルトについては、そのねじ部
を日本工業規格のJIS−B−1186摩擦接合用高力六角ボ
ルトおよび日本鋼構造協会規格のJSSII−09構造用トル
シア形高力ボルトのねじ部に適用し、応力集中度、塑性
歪量について所望の効果を上げることが可能になった。
ところで、前述の改善によりねじ部の信頼性の向上に対
し、相対的に首下丸み部の改善が課題になった・すなわ
ちねじ部と首下丸み部との両者の改善ができれば、高力
ボルトの性能の飛躍的な向上が図れ、高力ボルトの市場
性は著しく拡大し、その経済的な貢献は極めて大きい。
ところで、前記首下丸み部については、前述のように応
力集中が生じ易く、応力腐食による損傷の原因になるこ
とが早くから知られており、特に荷重の高い場合には、
ねじ部の破断と共に首下丸み部の破損が大きな課題にな
る。
そこで、解決手段の1例として、特開昭62-141303号公
報には、首下丸み部の曲率半径と対応する曲率半径の受
圧面を備えた座金を用いて引張応力の集中を緩和するボ
ルト(以下C発明と云う)が提案されている。
[発明が解決しようとする課題] さて、ボルトの如く構造物を接合する最重要な構成部材
は、機械的な強度はもとより、その品質の信頼性の高さ
や、経年変化に対する抵抗力の高いことに加えて、作業
性に優れ、生産性が良く価格が安いことが市場において
広く採用される条件になることは云うまでもなく、前記
A発明がその優れた特質に関らず、市場において実用化
されないのは前記条件のうちの幾つかを満足しないため
であると推定される。
本願発明者らは、土木、建築分野における高力ボルト特
にF11T以上のものについて前記応力集中の少ない新規な
形状について研究を行なった結果、前述のように新しい
フランク角度やねじ山を不等間隔ピッチに螺刻するよう
なボルトは信頼性を確認し、生産性を確かめるには膨大
な実験が必要で、経済的に著しく困難であり、市場に供
給するには長期間を要することを知り、破断に対する抵
抗力が高く、さらに作業性および生産性が良く価格が安
い前記B発明を開発したがしたが、さらに、高力ボルト
の性能を高め市場性を拡大するためには前記ねじ部の性
能向上に止まらず同時に首下丸み部についても応力集中
が少なく、耐遅れ破壊特性の優れた新規な形状のものを
開発する必要性があることを知った。
本発明の目的は、ねじ部に加えて首下丸み部が改善され
た高力ボルトとそれらと協同するナット・座金をセット
として提供することにあり、さらに他の目的は機械的な
強度、および品質の信頼性が高く、経年変化に対する抵
抗力の高いことに加えて、作業性と共に、生産性に優
れ、かつ価格が安い耐遅れ破壊特性の優れた高力ボルト
・ナット・座金のセットを提供することに有る。
[課題を解決するための手段] 本発明は、前記課題を解決し、目的を達成するもので、
下記1〜4項をその要旨とする。
1 頭部座面がボルト軸心に対し90°以上150°以下の
載頭円錐面を構成し、かつ首下丸み部が該頭部座面と円
筒部外面と接する曲率半径2.0mm以上5.5mm以下の円弧曲
面に形成され、さらにボルト軸心と直交する平面への前
記頭部座面の投影押圧面積Sが下記(1)式に示す領域
に設定され、 T/δ≦S ・・・・・・(1) T:設定締付力 kgf δ:被締付材の限界面圧 kgf/cm2 S:頭部座面の投影押圧面積 cm2 さらに、ねじ山のフランク角度が60°で、かつ等間隔ピ
ッチに刻設され、ついで、谷底が下記条件および算式に
規定される3円弧合成法(a)によって構成される弧状
曲線に形成されている高力ボルトと、ねじ山のフランク
角度が60°で、かつ等間隔ピッチに刻設され谷底が3円
弧合成法によって構成される弧状曲線に形成されている
ボルト雄ねじのフランク面と谷底の移行点を結ぶ直線を
基準として、ねじ先端が螺合許容域に形成された雌ねじ
を備えたナットと、内径側受圧座面が前記ボルト頭部座
面と同一載頭円錐面で、かつ略等面積に形成され、さら
に外径がボルト頭部の外径以上に構成された座金からな
る高力ボルト・ナット・座金のセット。
(a)前記3円弧合成法は、とがり山の高さをHとし、
相対するねじ山のフランク面と谷底との移行点をとがり
山底辺から(9±1)H/20に設定し、前記それぞれの移
行点においてフランク面に当接する半径rがH/6の当接
小円を描き、さらに前記相対するフランク面の延長線が
なす鋭角の2等分線上に中心を有する半径Rが2/3・H
以上の前記当接小円の外接円を描き、前記当接小円と前
記外接円の谷底側円弧を重畳せしめ弧状曲線を形成する
方法。
2 成分がニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデ
ン鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、機械構造用マン
ガン鋼、マンガンクロム鋼、アルミニウムクロムモリブ
デン鋼のうちの1種からなる前記1項記載の高力ボルト
・ナット・座金のセット。
3 高温用合金鋼ボルト材または特殊用途合金鋼ボルト
用棒鋼から形成された前記1項記載の高力ボルト・ナッ
ト・座金のセット。
4 熱処理可能な低・中炭素鋼から形成された前記1項
記載の高力ボルト・ナット・座金のセット。
[作用] 本発明にかかる高力ボルト・ナット・座金のセットにお
いて、まず、高力ボルトは、頭部座面がボルト軸心に対
し90°以上150°以下の載頭円錐面を構成し、かつ首下
丸み部が該頭部座面と円筒部外面と接する曲率半径2.0m
m以上5.5mm以下の円弧曲面に形成され、さらにボルト軸
心と直交する平面への前記頭部座面の投影押圧面積Sが
下記(1)式に示す領域に設定されているので、 T/δ≦S ・・・・・・(1) T:設定締付力 kgf δ:被締付材の限界面圧 kgf/cm2 S:頭部座面の投影押圧面積 cm2 ボルト頭部の応力集中度合いが緩和され、ボルト締め付
け時に首下部に生ずる最大塑性歪量の低減が可能にな
り、耐遅れ破壊特性や耐疲労特性が高い。
また、内径側受圧座面が前記ボルト頭部座面と同一載頭
円錐面で、かつ略等面積に形成され、さらに外径がボル
ト頭部の外径以上に構成された座金と協同して用いるこ
とにより、後述するようにボルト頭部座面および座金の
内径側受圧座面の応力集中および塑性歪を非常に少なく
することが可能になるので、損傷に関する懸念を激減で
きる。
さらに、ねじ山のフランク角度が60°で、かつ等間隔ピ
ッチに刻設され、ついで、谷底が下記条件および算式に
規定される3円弧合成法によって構成される弧状曲線に
形成されており、前記ねじ山は、JIS規格やISOおよびJS
S規格に規定された一般的なボルトのフランク角度およ
びピッチと同一なため、従来のそれらのボルトに関する
多くの特性研究や実験および実施についてのデータ採用
が可能で、研究経費を低減し、信頼性に富む高力ボルト
を経済的な価格で市場に供給することを可能とする。さ
らに、谷底が下記条件および算式に規定される3円弧合
成法によって構成される弧状曲線に形成されているた
め、従来最も問題視されていたねじ谷底における応力集
中が著しく軽減され、F11T以上の用途に対し遅れ破壊の
無い高力ボルトを実現することを可能とする。
しかして前記3円弧合成法とは、とがり山の高さをHと
し、相対するねじ山のフランク面と谷底との移行点をと
がり山底辺から(9±1)H/20に設定し、前記それぞれ
の移行点においてフランク面に当接する半径rがH/6の
当接小円を描き、さらに前記相対するフランク面の延長
線がなす鋭角の2等分線上に中心を有する半径Rが2/3
・H以上の前記当接小円の外接円を描き、前記当接小円
と前記外接円の谷底側円弧を重畳せしめ弧状曲線を形成
する方法を云う。
さらに、ねじ山のフランク角度が60°で、かつ等間隔ピ
ッチに刻設され谷底が3円弧合成法によって構成される
弧状曲線に形成されているボルト雄ねじのフランク面と
谷底の移行点を結ぶ直線を基準として、ねじ先端が螺合
許容域に形成された雌ねじを備えたナットを前記高力ボ
ルトと協同して用いる場合は、ナットに強い引張力が作
用しても破壊に対する恐れが無く、実用上ナットと高力
ボルトの螺合部分に対する心配は全く無い。
さて以上述べた前記高力ボルトおよびナットと座金のセ
ットはメートル並目ねじが螺刻された周知の高力ボルト
に比し著しく改良されているので、より高い強度を要求
される用途に対し適合性があり、F11T以上の要求に破損
の懸念無く応ずることができる。
つぎに、本発明にかかる高力ボルトおよびナットと座金
のセットは、低・中炭素鋼で製造しても従来の高力ボル
トおよびナットと座金のセットに比し品質的に優れたも
のが得られるが、さらに成分がニッケルクロム鋼、ニッ
ケルクロムモリブデン鋼、クロム鋼、クロムモリブデン
鋼、機械構造用マンガン鋼、マンガンクロム鋼、アルミ
ニウムクロムモリブデン鋼のうちの1種から製造すると
それらの鋼材の焼入、焼戻性の優れた特性からより信頼
性の優れた製品を作ることができる。
さらにそのことは、高温用合金鋼ボルト材または特殊用
途合金鋼ボルト用棒鋼から形成する場合も同様である。
ところで、ナットや座金については、力学的な観点から
高力ボルトに対するような品質的に厳しい要求は無いの
で、熱処理可能な低・中炭素鋼から選択される適宜な成
分鋼を用いることは許容でき、そのような選択は経済性
から見た場合有利なことが多い。
この意味において本発明の高力ボルト・ナット・座金の
セットは成分的に品質選択の広い自由度を有する。
さて、以上述べた本発明の高力ボルト・ナット・座金の
セットは機械的強度が高く、耐遅れ破壊特性が優れてい
ることに加えて、さらに加工や熱処理に適しているの
で、生産性が良く、大量生産が可能であり適正な価格で
市場に供給することができる。
[実施例] 以下、本発明につき、図面に従って詳細に説明する。
第1図(a)は本発明にかかる高力ボルト1の頭部2の
頂部平面図で、第1図(b)は高力ボルト1の概略正面
図であり、胴部座面3はボルト軸心4に対し角度θ
90°以上150°以下の載頭円錐面を形成し、該胴部座面
3に接する首下丸み部5は曲率半径が2.0mm以上5.5mm以
下の円弧曲面に構成されている。
ねじ部は本発明にかかる3円弧合成法により刻設された
ねじ山を備えている。
円筒部7は前記JIS規格、JSSII−09に準拠した定めら
れ、また頭部2は本実施例では一般に座と称される段部
8を有するものが示されているが、該段部8は無くても
差し支えない。
さて、第2図(a)、(b)は本発明の実施例にかかる
平座金9の平面図および概略縦断面図で、内径側受圧座
面10は前記頭部座面3と同一載頭円錐面即ち平座金9の
軸心11に対し角度θが90°以上150°以下の円錐面に
形成されているが、その面積Sは頭部座面3と略等面積
に設定される。さらに、平座面9の孔12の直径は前記円
筒部7と適宜な間隙を有するようにJIS規格に準拠して
定めるが、通常は0.5mm〜1.5mmの範囲に設定する。
つぎに、首下丸み部の曲率半径を2.0mm以上5.5mm以下に
限定する理由について説明する。
ボルト軸部に生じた引張応力をボルト頭部下に伝達する
際に該首下丸み部で応力の方向が変わるので、該首下丸
み部にはねじ底と同様に応力の集中が生ずる。
そこで、首下丸み部の曲率半径を大きくすることによ
り、応力集中を軽減する案が考えられるが、従来の規格
および作業性からボルト頭部の大きさをなるべく変えな
いとすると頭部座面と座金の内径側受圧座面面積が小さ
くなり、両座面間の圧縮力がボルト、座金とも許容値を
越えることになり、ボルト頭部を大きくすると曲げモー
メントが増大し、首下丸み部の応力が大きくなり、耐遅
れ破壊特性が低下すると云う問題が生ずる。
そこで、首下丸み部に連設する座面に勾配を設けること
により、大きな曲率半径を採用しても頭部を大きくする
ことなく必要な座面面積が確保できることになると考え
その研究に着手し、まず、曲率半径の改善を検討した。
さて、下記第1表はM22 F15Tの高力ボルトについてJIS
規格に規定された形状において曲率半径rを2.0mm〜8.5
mmの範囲に設定した際の最大応力集中係数κと最大塑性
歪量εpを解析した値を示すものであり、解析は首下丸
み部の曲率半径rをパラメーターとし有限要素法を用い
た弾性および弾塑性解析により実施したものである。
さらに、第3図、第4図のグラフは、それぞれ縦軸に最
大応力集中係数κおよび最大塑性歪量εpをとり横軸に
首下丸み部の曲率半径rを取って、解析結果をプロット
したものである。
前記第1表および第3図、第4図のグラフから曲率半径
rは5.5mmを越えると最大応力集中係数κの低下が非常
に緩やかになり、最大塑性歪量εpも小さくなるので、
過大な曲率半径rを採用する必要のないことが明らかで
ある。
さらに、曲率半径rは2.0mm以下では最大応力集中係数
κおよび最大塑性歪量εpが大きくなり、高軸力を要求
される高力ボルトでは問題が生ずる。
以上が本発明において、首下丸み部を頭部座面と円筒部
外面と接する曲率半径2mm以上5.5mm以下の円弧曲面に形
成する理由である。
つぎに、頭部座面3について説明する。
第5図は本発明の一実施例にかかる六角ボルト頭部2の
切欠部分図で、説明の便宜上平座金9はハッチングを省
略している。
さて、頭部座面3を設計するには、まず頭部座面3の投
影押圧面積Sを下記(1)式で求める。
T/δ≦S ・・・・・・(1) T:設定締付力 kgf δ:被締付材の限界面圧 kgf/cm2 S:頭部座面の投影押圧面積 cm2 第5図で説明すると、ボルトに要求される設定締付力T
を付与すべき強度設計からボルト頭部の直径Bおよび頭
の高さH、段差8の高さh1、該h1を除く高さh0、円筒部
7の直径l3等は決定される。
本発明では、それらの諸元については前述にように寸法
に関与する諸要因たとえば生産性、作業性、経済性を考
慮してJIS規格の範囲で利用できる寸法諸元を一義的に
採用するが、本発明の理論に従って新しく定めることを
否定するものではない。
さて、本発明では、頭部座面がボルト軸心に対し90°以
上150°以下の載頭円錐面を構成するように角度θ
選定するが、この理由については後述する。
さて、第5図の例では角度θを120°とし、段差8の
端部13を通り、ボルト軸心4と交又する線分14を描き、
該線分14上に設定される頭部座面3の投影押圧面積Sか
ら求められる交点Pと円筒部7の側面15と接する半径r
の内接円弧を首下丸み部の円弧曲面とした。
また、前記投影押圧面積Sは交点P−P間長さl2を内径
とし、段差8で示す座の直径B0を外径とする被締付材上
のリング面積として仮想できる。第5図においてl0は該
リングの幅を示す。
本発明では前述の手順に限らず、半径r、幅l0を定めて
から角度θの設計を行ってもよく、たとえば、あらか
じめ幅l0をもとめ、ついで軸心4と平行しそれぞれ交点
Pと段差8の端部13を通る平行線を引き、つぎに端部13
をとおる角度θの1/2の範囲で軸心4と交差する線分
を引き、前記平行線と線分で囲われた範囲に中心を有し
前記円筒部7の側面15と接する半径rの内接円弧を描
き、ついで設定角度θを有する頭部座面3を決定して
も良い。
また、ボルト頭部の直径Bと座の直径B0との差を2mm〜6
mmの範囲(図において半差をl1で示す、従って該半差は
通常1mm〜3mmの範囲となる)とし、平座金9の内径と円
筒部7の外径との差は1.0mm〜3.0mmの範囲(従って図に
示す半差は通常0.5mm〜1.5mmの範囲となる)とするが該
寸法は厳密に限定するものではなく、機能を阻害しない
範囲内で自由に設計できることは云うまでもない。
つぎに、投影押圧面積Sは定めるにあたり、平座金9の
厚みtを適切な範囲とする必要性について説明する。
第6図、第7図はそれぞれ形状を異にする平座金9a、9b
の片側断面図で、説明の都合上ハツチングを省略してい
る。
第6図において内径側受圧座面10は、前述のように前記
頭部座面3と同一載頭円錐面即ち平座金9aの軸心11に対
し角度θが90°以上150°以下の円錐面に形成されて
いるが、図では実施例として角度θが120°の内径側
受圧座面10について、説明の便宜上底面17と平行な水平
面18に対する角度θが30°の傾きを有するものとして
作図している。
さて、内径側受圧座面10は前記頭部座面3と略等しく設
計されているので、その底面17に対する投影押圧面積は
頭部座面3の投影押圧面積Sと略等しい。そこで前記頭
部座面3の投影押圧面のリング幅l0を平座金9aについて
も準用する。
つぎに、内径側受圧座面10の下端19および上端20から底
面17に垂線21,22を描くと該垂線21,22間が幅l0となり、
垂線21と孔面23間を距離l4、垂線22と側面24間の距離l5
とすると底面17の幅l6は、l6=l4+l0+l5となる。
また、前記水平面18と垂線22の交点nと上端20間の距離
h2は内径側受圧座面10の高さとなる。
さらに符号25は内径側受圧座面に動く作用力を示す。
つぎに、前記第6図、第7図の平座金9a、9bの各寸法諸
元の具体的数値を第2表に示し、ついでそれに基く平座
金9a、9bの内径側受圧座面応力度分布、下面部鉛直応力
度分布を第8図〜第11図に示す。
さて、第8図は縦軸に応力度kg/mm2、横軸にボルト軸心
からの距離mmをとり、内径側受圧座面10の応力度合分布
を測定したグラフで、破線26は平座金9aの厚みtを6m
m、実線27はtが8mm、一点鎖線28はtが9mmの場合を示
し、実線29,30は比較のためにJIS規格のF15T、F10Tの測
定結果を示す。
通常平座金の引張り強さは130kg/mm2程度であるから、
平座金の厚みtは少なくとも6mm以上望ましくは8mm程度
の厚みがよいことが判る。
また、第9図は縦軸に応力度kg/mm2、横軸にボルト軸心
からの距離mmをとり、平座金の下面部鉛直応力度分布即
ち換言すると投影押圧面応力度分布を測定したグラフ
で、第8図と同様に破線31は平座金9の厚みtを6mm、
実線32はtが8mm、一点鎖線33はtが9mmの場合を示し、
実線34,35は比較のためにJIS規格のF15T、F10Tの測定結
果を示す。
通常被締付材がSS41級の鋼板の場合限界面圧は40kg/mm2
前後と考えてよいので、平座金9の厚みtは少なくとも
8mm程度が望ましく6mm以下では問題が生ずることが判
る。
つぎに、第10図、第11図は、第7図に示す角度θが90
°の載頭円錐面を有する平座金9のそれぞれ内径側受圧
座面応力度分布、下面部鉛直応力度分布を示すグラフで
ある。
第10図の一点鎖線で示す曲線36は平座金9bの厚みが9mm
の応力度変化を示すものであるが、図から明らかなよう
に局部的な応力集中が大きく、角度θが90°以下では
問題が生ずる。
さらに、第11図において一点鎖線で示す曲線37は平座金
9bの厚みが9mmの下面部鉛直応力度変化を示すものであ
るが、図から明らかなように平座金9bの孔に近い内側か
ら外側側面に向けて応力度が高くなり、平座金9bを押し
拡げようとする力の作用が大きくなることを示してい
る。
以上のことから、角度θを90°以下とすることは望ま
しく無いことが判る。そこで本発明では角度θの下限
限界を90°とした。
また、前記第8図〜第11図の説明から明らかなように、
平座金の孔径および前記距離l4、l5、幅l6について適宜
な寸法を設定することにより、被締付材を所定のボルト
軸力付与時に限界面圧以下の適正領域にとどめることが
出来る。
そこで、本発明では前述のとおり改善個所の受圧座面を
除き他の寸法諸元はJIS−B−1186の規定を準用する。
さて、本発明では前述のとおり、頭部座面がボルト軸心
に対し90°以上150°以下の円錐面を構成し、かつ首下
丸み部が該頭部座面と円筒部外面と接する曲率半径2.0m
m以上5.5mm以下の円弧曲面に形成され、さらにボルト軸
心と直交する平面への前記頭部座面の投影押圧面積Sが
下記(1)式に示す領域に設定されている高力ボルトに
ついて、 T/δ≦S ・・・・・・(1) T:設定締付力 kgf δ:被締付材の限界面圧 kgf/cm2 S:頭部座面の投影押圧面積 cm2 その有用性を説明したが、そのような頭部を有するボル
トは前記JISに規定される摩擦接合用高力六角ボルトやJ
SSに規定する構造用トルシア形高力ボルトに限らず、た
とえばJIS−B−1180に規定されるような六角ボルトに
適用して破壊に対する抵抗力の優れたボルトとすること
ができる。しかし加工コスト、生産性に見合う性能の点
から本発明では摩擦接合用高力六角ボルトおよび構造用
トルシア形高力ボルト等に規定される高力ボルトに限定
した。
さて、つぎにねじ形状について詳細に説明するが、説明
の都合上、まずねじ谷底形成に関し前記3円弧合成法に
従った描図とその作用につき実施例に従って説明する。
第12図において、とがり山38の高さをHとし、相対する
ねじ山39a、39bのフランク面40a、40bと谷底41との移行
点42a、42bをとがり山底辺43から(9+1)H/20即ち1/
2・Hに設定し、前記それぞれの移行点42a、42bにおい
てフランク面40a、40bに当接する半径rがH/6の当接小
円44a、44bを描き、さらに前記フランク面の40a、40bの
延長線45a、45bがなす鋭角の2等分線46上に中心47を有
する半径Rが2/3・Hの外接円48を、前記当接小円44a、
44bと外接するように描き、前記当接小円44a、44bの谷
底側円弧44a1、44b1と前記該外接円48の谷底側円弧48a
を重畳せしめ弧状曲線49を形成し、該弧状曲線49をねじ
谷底とする。
本発明では、前述の如く前記当接小円44a、44bと外接円
48の谷底側円弧を重ねて移行点においてフランク面の直
線部とスムーズに移行する弧状曲線49とするところを、
前記当接小円と外接円の谷底側円弧を重畳せしめ弧状曲
線を形成すると云う。
さて、本発明においては前記移行点42a、42bをとがり山
底辺43から(9±1)H/20に設定するが、その理由は、
本発明の目的を満足する前記弧状曲線48を形成するにあ
たり、ねじ抜けを防止する適切なひっかかり率を保持す
るためであって、下限の8/20・H以下では本発明の目的
を満足する弧状曲線を形成することが出来ず、上限の10
/20・H以上では適切はひっかかり率を保持することが
困難なためである。
また、前記それぞれの移行点42a、42bにおいて半径rが
H/6の当接小円44a、44bを、フランク面に当接して描く
のは、応力集中の少ないねじ谷底の弧状曲線を得るた
め、前記移行点42a、42bにつき、それぞれ異なった径を
有する種々の当接小円について、多くの位置を中心とし
て数多くの弧状曲線を設定し、応力計算を行ない、その
うちの最も応力集中の度合いが低いものを選定した結果
である。
さらに前記フランク面の40a、40bの延長線45a、45bがな
す鋭角の2等分線上に中心46を有する半径Rが2/3・H
以上の外接円47を、前記当接小円44a、44bと外接するよ
うに描き、前記当接小円44a、44bの谷底側円弧44a1、44
b1と前記外接円48の谷底側円弧48aを重畳せしめ弧状曲
線49を形成を形成するのは、前記当接小円44a、44bの谷
底側円弧44a1、44b1と最も円滑な弧状曲線を得ることが
できるためであり、これも多くのシュミレーションによ
って得られた経験値である。
さて、前述のようにして得られた前記弧状曲線49に従っ
て、形成したねじ谷底が最も応力集中の度合いが低く、
塑性歪の少ないことについて、第13図〜第21図により説
明する。
第13図〜第21図は第3表に示す成分を有する低炭素鋼を
素材として、それぞれのねじ形状に製造したM22ボルト
(日本建築学会・建築工事標準仕様書JASS6に準拠、但
しピッチPは2.5mm)について、軸方向に一様の引っ張
り荷重をかけ、軸対称有限要素解析(8節点アイソパラ
メトリック法)を行なった例を示すグラフであって、第
13図〜第15図は弾性荷重時の応力の集中度合を計算した
ものであり、第16図〜第18図はF15Tに相当する高力ボル
トをボルト軸力(30.7Ton)で一様に引っ張ったときの
塑性歪の大きさを計算したものである。
また、第19図はF10TのJISメートル並目ねじを前記JASS6
に規定する標準ボルト張力(22.5Ton)で一様に引っ張
ったときの塑性歪の大きさを計算したものである。
第13図は本発明の高力ボルトにかかるものであり、図か
ら明らかなようにねじ谷底における応力集中係数は、最
大値で1.66であって、第14図に示す前記A発明の1.98と
比較して著しく低いことが判る。
ちなみに、第15図に示す如くJISメートル並目ねじの応
力集中係数は2.54であって、本発明の新規なねじとの差
はさらに著しい。
さらに、塑性歪について比較すると、第16図に示すとお
り、本発明にかかる高力ボルトのねじ谷底における塑性
歪は1300μであるのに対し、第17図に示すように前記A
発明の耐疲労ねじのそれは2500μであり、ISOメートル
並目ねじについては、第18図に示すとおり7300μであっ
て、比較にならぬほどその差異は大きい。
さらに、本発明にかかる高力ボルト(F15T級)の塑性歪
1300μは、従来遅れ破壊の発生が極めて小さいとされて
いるF10T高力ボルトの塑性歪5300μに比べてもはるかに
小さく、本発明にかかる高力ボルトが耐遅れ破壊特性に
優れていることが判る。
而して、従来遅れ破壊特性の評価は困難であったが、水
素脆化感受性で評価する手段が開発され、該評価法に基
づいて遅れ破壊特性の優れた低・中炭素鋼からなる高強
度鋼が提案されるようになり、たとえば、第4表に示す
成分を有する低・中炭素鋼が高力ボルトに適しているこ
とが知られている。
従って、本発明において、これらの周知の耐遅れ破壊特
性の優れた低・中炭素鋼からなる高強度鋼を高力ボルト
素材として利用すれば、耐遅れ破壊について相乗効果が
期待出来ることは云うまでもない。
また、本発明の高力ボルトについては、軸部からねじ部
に向け、長さがねじピッチの4倍以上の移行部を設け、
さらに移行部とねじ部の境界部はねじ底のアールより大
きな丸みを有するものとした。
本発明者らの知見では、これらの改良は、それらの位置
が遅れ破壊の起点になる率が著しく低下することから、
かなりの効果が有ると認められる。
つぎに、本発明における前記移行点を上下限について説
明する。
前述の第13図、第16図は本発明において前記移行点をそ
の上限であるとがり山底辺から1/2・Hに設定した例で
あり、第20図、第21図は移行点をその下限である8/20・
Hに設定し、他の条件は第13図、第16図と同様とした例
を示す。
さて、第20図は応力集中係数、第21図は塑性歪を図示し
ているが、前者は最大値が1.71で、後者は1130μであり
本発明にかかる移行点の設定許容領域において良い成績
が期待できることを明白に示している。
また、前記外接円の半径Rを2/3・H以上とする理由
は、2/3・H以下では、所望の滑らかな弧状曲線が得ら
れず応力集中係数および塑性歪が大きくなり本発明の目
的を果たすことが出来ず、一方2/3・H以上であれば、
外接円の谷底側円弧が限り無く直線に近くても目的を達
成することを本発明者らは確認したからである。
しかして、外接円の半径Rはむやみに大きくする必要は
無く2/3・H〜2H程度で充分好ましい結果を得ることが
できる。
次に、本発明にかかる高力ボルト(以下Bボルトと云
う)とJASS6に準拠して製造した高力ボルト(以下Cボ
ルトと云う)について、ナット回転法による破壊に到る
までのボルト軸力付与試験を実施して、耐破壊特性を比
較した結果について説明する。
試験に用いた低・中炭素鋼の成分を第5表に示す。
ボルト本体は棒材を冷間鍛造にて頭部および軸部を形成
したあと、ねじ部を切削加工し、その後900℃で水焼入
れし、ついで430℃で焼戻す手段によって150kg/mm2の強
度に製造したが、ナットおよび座金については、説明を
省略する。ボルトの寸法はM22で首下長さが90mm、ねじ
ピッチは2.5mmである。
なお、Bボルトに使用するナットの下孔径はCボルトに
使用する通常のものよりも、0.8mm大きく加工した。
第22図は、前記ボルト軸力付与試験の結果を示すグラフ
で、横軸はナット回転角(度)で、縦軸はボルト軸力
(Ton)を示す。
初期トルク15kgf.mを付与したのち、ナット締めを行な
ったが、Bボルトは略900度を越える付近で遊びねじ部
で破断が生じ、周知のねじ山形状を有するCボルトは60
0度を越える付近で遊びねじ部で破断した。
第22図から明らかなように本発明にかかる新しいねじ部
を有する高力ボルトは従来の周知高力ボルトに比しねじ
部の耐破壊特性が著しく改善されていることが判る。
さらに、第22図で明らかなようにBボルトの最大軸力は
Cボルトに比し10%程度大きくなっている。これは本発
明のねじ形状は従来のJISメートル並目ねじに比べてボ
ルトの有効断面積が10%程度大きくなっていることを示
しており、見かけ上は10%程度さらに高強度のボルトを
使用したのと同じ効果が期待できる。
さて、次に本発明の高力ボルト・ナットおよび座金と先
願の種別セットを下記第6表に示す。
つぎに、本発明にかかる高力ボルトの遅れ破壊試験結果
について説明する。
下記第7表に示す化学成分の鋼を用いてM22X90mmの本発
明にかかる六角高力ボルト(以下Dボルトと云う)と、
同じサイズのJIS−B−1186に規定される摩擦接合用六
角高力ボルト(以下Eボルトと云う)および前記A発明
記載のフランク角70℃のねじ形状を有するボルト(以下
Fボルトと云う)の3種を冷間鍛造および転造法にて成
形し、ついで860℃の温度雰囲気で30分加熱後、油焼入
しさらに後述する種々の温度で120分焼戻す手段により
強度を変化させたボルトを製作した。
ついで、前記D、E、Fボルトから採取した試験片(JI
S4号)による引張試験を実施した結果を第8表に示す。
つぎに、前記D〜Fボルトについて遅れ破壊試験を下記
要領により実施した。
第23図(a)、(b)は試験に用いた被締付け鋼板の上
・下鋼板50,51(上鋼板は厚さ25mm、幅100mm、長さ770m
m、860mm、下鋼板は厚さ25mm、幅100mm、長さ860mm)の
概略側面図および平面図で、符号52a、52bは図示してい
ない試験用架台に取付けるための貫通孔、符合53に代表
せしめる貫通孔は試験用ボルトの取り付け孔で、前記被
締付け鋼板の上・下鋼板50,51に前記D〜Fボルトの各
種別10本ずつをそれぞれのボルトの耐力点まで締め付
け、温度60℃、湿度約95%の高温高湿槽中に放置して、
ボルトの遅れ破壊の有無を6ヶ月間観察した。その結果
は第9表に示すとおりで、本発明のDボルトは周知の
E、Fボルトに比し耐遅れ破壊特性が極めて優れてい
る。
さて、以上本発明の高力ボルトについては、六角高力ボ
ルトを例として説明したが、形状、特性等に関する要件
はトルシア形高力ボルトについても同様であり、僅かに
異なる点は第24図に示すようにトルシア形高力ボルト54
は頭部55が丸頭であり、下部に破断溝56、ピンテール57
を備えていることであって、本発明の要旨である首下丸
み部58、頭部座面59、ねじ部60に関する要件は全く同様
であり、ナット・座金についても同様である。即ち前記
頭部、破断溝、ピンテールが前記首下丸み部、頭部座
面、ねじ部に直接影響することは無いので、説明は省略
する。
但し、形状の異なる両者の頭部外径については、六角高
力ボルトの場合は二面幅で、トルシア形高力ボルトの頭
部外径については第25図に示すように頭部下面外径Bを
外径と云う。
前記第25図に示すトルシア形高力ボルト54の頭部55の寸
法符合において前記第5図と同様のものは同一の定義の
ものであり、よって説明は省く。
つぎに、第26図は本発明における異なったトルシア形高
力ボルト61の頭部62の概略説明図で、第25図に示すトル
シア形高力ボルト54と異なり段部8を有していない。
このように、頭部座面63については本発明の目的を逸脱
しない限りにおいて、自由に設計しても良いが、本発明
者らの研究範囲では、品質管理、作業性の点で段部8を
有する前記トルシア形高力ボルト54が最も実用性がある
と認められた。
つぎに、高力ボルトの前記新しい雄ねじに螺合するナッ
トについて第27図の螺合状態説明図に従って説明する。
第27図において、39a、39bは高力ボルトの雄ねじ山で、
43は底辺であり、42a、42bは移行点を示し、それらの定
義は第12図で説明した通りである。
さて、図に示すように本実施例ではナットのねじ山64の
先端65は、前記移行点42a、42bを結ぶ直線66と一致して
いる。前記直線66を本発明では螺合の基準とする。
本発明者等の研究によれば、前記先端65が前記直線66か
ら底辺43に近づくことは幾何学的にできない筈である
が、実際の螺合ではボルト、ナット両者の馴染み具合か
らH/20程度を限度とし前記直線66を越えて前記先端65が
底辺43に近づいても螺合は可能である。また、前記先端
65が前記底辺43から遠ざかる方向において直線66を越え
る場合は絶対距離でH/10が限度であり、それ以上ではひ
っかかり率が小さくなり、ねじ抜けを起こす恐れが大き
い。そこで本発明では前記直線66を基準として底辺43に
近づく側にH/20、反対側にH/10の範囲を螺合許容域と定
義し、前記先端65が常に螺合許容域に位置するようにナ
ットを形成する。つぎに、本発明の高力ボルト・ナット
・座金に関する材質であるが、本発明では、JISに規定
するボルト用の合金鋼を採用し、よい結果を得ることが
できる。
たとえば、JIS−G−4102ニッケルクロム鋼鋼材、JIS−
G−4103ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材、JIS−G−4
104クロム鋼鋼材、JIS−G−4105クロムモリブデン鋼鋼
材、JIS−G−4106機械構造用マンガン鋼鋼材およびマ
ンガンクロム鋼鋼材、JIS−G−4107高温用合金鋼ボル
ト材、JIS−G−4108特殊用途合金鋼ボルト用棒鋼、JIS
−G−4202アルミニウムクロムモリブデン鋼鋼材など好
適に用いることができる。
また、材質についてはナット、座金についても同様な合
金鋼が利用できるが、ナット、座金は高力ボルトに比し
て遅れ破壊に対する考慮や機械的な強度についての懸念
が少なく、従って要求特性に適する限りにおいて価格の
安い合金鋼を用いることが経済的であり、本発明ではJI
S−B−1186に規定される機械的性質を満足する限りに
おいてナット、座金を熱処理可能な低・中炭素鋼材から
製造し高い経済性を得ることが可能である。
[発明の効果] 以上詳細に説明した通り、本発明にかかる高力ボルト・
ナット・座金のセットは応力集中度、塑性歪量が非常に
小さく、優れた耐遅れ破壊特性を備えているので、信頼
性が高く、産業上の実用効果は極めて多大である。
また、特に従来最も課題とされてきた高力ボルトについ
て首下部もしくは該首下部とねじ部が改良された結果、
従来の高力ボルトに比して応力集中度、塑性歪量を小さ
くすることに成功したので、その結果高い耐遅れ破壊特
性を与えることが可能となり、鋼板接合にあたり使用本
数の低減ができ、ために施行スピードの向上、施行コス
トの低減が可能となった。さらに接合部もコンパクトで
済むため、総合的に極めて大きな経済効果が期待出来
る。
また、構造的にみて頭部座面や首下丸み部は形態的に加
工が容易であるため、ボルト頭部加工時の成形用金型の
寿命延長がはかれ、加えてナット・座金についても同様
な理由から生産コストの低減が可能となる。さらにねじ
部についても本発明の形状を採用することによりねじ加
工が容易になり、ねじ成形用金型の寿命が延長する等、
経済的な生産が可能となる。
また、フランク角度がJISメートル並目ねじと同じで、
ピッチについてもJISメートル並目ねじと同じものが採
用できるため、作業にあたって違和感が無く、作業性も
良いため作業現場に受け入れられ易いと云う利点があ
り、また信頼性についても、摩擦係数値(κ)の変化が
小さいため周知のJISメートル並目ねじに関する試験デ
ータや実績値の採用が可能で、研究費や生産計画費、設
備費などの大幅な節約が出来る。
さらに、既に述べたように応力集中の低減は耐疲労特性
の向上にも非常に効果があることから、本発明にかかる
高力ボルトは耐疲労ボルトとしても優れた効果が期待で
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は高力ボルト頭部の頂部平面図、第1図
(b)は高力ボルトの概略正面図、第2図(a)、
(b)は平座金の平面図および概略縦断面図、第3図、
第4図は首下丸み部の最大応力集中係数および最大塑性
歪量を示すグラフ、第5図はボルト頭部の切欠部分図、
第6図、第7図は平座金の部分片側断面図、第8図は平
座金の内径側受圧座面の応力度分布を示すグラフ、第9
図は平座金の下面部鉛直応力度分布を示すグラフ、第10
図は異なった平座金の内径側受圧座面の応力度分布を示
すグラフ、第11図は下面部鉛直応力度分布を示すグラ
フ、第12図は本発明にかかるねじ山及び谷底の形状決定
要領図、第13図は本発明にかかる高力ボルトに関する応
力集中係数を示すグラフ、第14図、第15図は比較のため
の周知高力ボルトに関する応力集中係数を示すグラフ、
第16図は本発明にかかる高力ボルトに関する塑性歪を示
すグラフ、第17図、第18図は比較のための周知高力ボル
トに関する塑性歪を示すグラフ、第19図はF10TのJISメ
ートル並目ねじを前記JASS6に規定する標準ボルト張力
(22.5Ton)で一様に引っ張ったときの塑性歪の大きさ
を計算した結果を示すグラフ、第20図は本発明にかかる
移行点を変えた例に関する高力ボルトの応力集中係数を
示すグラフ、第21図は本発明にかかる移行点を変えた例
に関する高力ボルトの塑性歪を示すグラフ、第22図はボ
ルト軸力付与試験の結果を示すグラフ、第23図(a)、
(b)は試験に用いた被締付け鋼板の上・下鋼板の概略
側面および平面図、第24図はトルシア形高力ボルトの概
略正面図、第25図、第26図はトルシア形高力ボルトの頭
部座面形状と座金の概略説明図、第27図はナットの螺合
状態説明図である。 1…高力ボルト、2…頭部 3…頭部座面、4…ボルト軸心 5…首下丸み部、6…ねじ部 7…円筒部、8…段部 9、9a、9b…平座金 10…内径側受圧座面 11…軸心、12…孔 13…端部、14…線分 15…側面、16…被締付材 17…底面、18…水平面 19…下端、20…上端 21…垂線、22…垂線 23…孔面、24…側面 25…作用力 26〜37…応力度変化曲線 38…とがり山 39a、39b…ねじ山 40a、40b…フランク面 41…谷底 42a、42b…移行点 43…底辺 44a、44b…当接小円 44a1、44b1…谷底側円弧 45a、45b…延長線 46…2等分線、47…中心 48…外接円、48a…谷底側円弧 49…弧状曲線、50…上鋼板 51…下鋼板 52a、52b…試験用架台取付用貫通孔 53…試験ボルト取付用貫通孔 54…トルシア形高力ボルト 55…頭部、56…破断溝 57…ピンテール、58…首下丸み部 59…頭部座面、60…ねじ部 61…トルシア形高力ボルト 62…頭部、63…頭部座面 64…ナットのねじ山、65…先端 66…直線(基準)
フロントページの続き (72)発明者 宮川 敏夫 福岡県行橋市西泉4―3―2 日鐵ボルテ ン株式会社内 (72)発明者 鈴木 信一 神奈川県相模原市淵野辺5―10―1 新日 本製鐵株式會社第2技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】頭部座面がボルト軸心に対し90°以上150
    °以下の載頭円錐面を構成し、かつ、首下丸み部が該頭
    部座面と円筒部外面と接する曲率半径2.0mm以上5.5mm以
    下の円弧曲面に形成され、さらにボルト軸心と直交する
    平面への前記頭部座面の投影押圧面積Sが下記(1)式
    に示す領域に設定され、 T/δ≦S ・・・・・・(1) T:設定締付力 kgf δ:被締付材の限界面圧 kgf/cm2 S:頭部座面の投影押圧面積 cm2 さらに、ねじ山のフランク角度が60°で、かつ等間隔ピ
    ッチに刻設され、ついで、谷底が下記条件および算式に
    規定される3円弧合成法(a)によって構成される弧状
    曲線に形成されている高力ボルトと、ねじ山のフランク
    角度が60°で、かつ等間隔ピッチに刻設され谷底が3円
    弧合成法によって構成される弧状曲線に形成されている
    ボルト雄ねじのフランク面と谷底の移行点を結ぶ直線を
    基準として、ねじ先端が螺合許容域に形成された雌ねじ
    を備えたナットと、内径側受圧座面が前記ボルト頭部座
    面と同一載頭円錐面で、かつ略等面積に形成され、さら
    に外径がボルト頭部の外径以上に構成された座金からな
    る高力ボルト・ナット・座金のセット。 (a)前記3円弧合成法は、とがり山の高さをHとし、
    相対するねじ山のフランク面と谷底との移行点をとがり
    山底辺から(9±1)H/20に設定し、前記それぞれの移
    行点においてフランク面に当接する半径rがH/6の当接
    小円を描き、さらに前記相対するフランク面の延長線が
    なす鋭角の2等分線上に中心を有する半径Rが2/3・H
    以上の前記当接小円の外接円を描き、前記当接小円と前
    記外接円の谷底側円弧を重畳せしめ弧状曲線を形成する
    方法
  2. 【請求項2】成分がニッケルクロム鋼、ニッケルクロム
    モリブデン鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、機械構
    造用マンガン鋼、マンガンクロム鋼、アルミニウムクロ
    ムモリブデン鋼のうち1種からなる請求項1記載の高力
    ボルト・ナット・座金のセット。
  3. 【請求項3】高温用合金鋼ボルト材または特殊用途合金
    鋼ボルト用棒鋼から形成された請求項1記載の高力ボル
    ト・ナット・座金のセット。
  4. 【請求項4】熱処理可能な低・中炭素鋼から形成された
    請求項1記載の高力ボルト・ナット・座金のセット。
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