JPH068800Y2

JPH068800Y2 - トリムカバー用偏心玉縁

Info

Publication number: JPH068800Y2
Application number: JP1989150457U
Authority: JP
Inventors: 佳子信清; 佐千夫伴
Original assignee: Tachi S Co Ltd
Current assignee: Tachi S Co Ltd
Priority date: 1989-12-27
Filing date: 1989-12-27
Publication date: 1994-03-09
Anticipated expiration: 2004-03-09
Also published as: JPH0387500U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕この考案は、シート等のトリムカバーの縫合部を装飾す
るトリムカバー用偏心玉縁に関する。

〔従来の技術〕

たとえば、車両等のシートの表面を形成するトリムカバ
ーは、種々の形状、厚さ等からなる複数の部分的な表皮
等を、縫合等により連結して構成されている。このよう
なトリムカバーにおいて、表皮間の縫い目が露出する
と、シートの外観品質が低下される。また、かがみ部、
がくぶち部等の着座面の表皮は、たとえば、裏面に弾性
材を有して形成されている。そのため、まち部等との縫
合部においては、不自然な段差が生じて、この点でも、
外観品質を低下させる。

そこで、縫合部の縫い目を覆うとともに、厚さの異なる
表皮間の段差を埋めて、縫合部に装飾感を与えるため
に、玉縁が利用されている。

玉縁として、たとえば、第５図(A)に示すように、中空
の玉芯本体114と、縫合時に利用される縫代部112とを一
体的に有して、軟質の樹脂材料等から折曲自在に成形さ
れたものが知られている。このような玉縁110におい
て、縫代部112は、玉縁本体114のほぼ中心線上に設けら
れ、玉縁が左右対称の形状に成形されている。

このような玉縁110は、たとえば、互に折返された表皮
端末124，126の間に介在され、トリムカバーの裏面で、
縫代部112を表皮の端末とともに一体的に縫合すること
によって、縫合部132に取付けられる。このような構成
では、表皮124，126、クッション体130等の弾性のもと
で、表皮端末が玉縁本体方向に接近されるため、玉縁本
体114によって縫い目134が覆われるとともに、縫合部13
2の段差が埋められて、シートの外観品質の向上がはか
られる。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、シートのトリムカバーは、通常、シート
のクッション体130等の弾性のもとで引張られているた
め、縫合された表皮等は、それぞれ異なる方向に引張ら
れる。特に、第５図(A)に示すように、がくぶち部の表
皮124とまち部の表皮126との間においては、まち部の表
皮が下方、つまり、玉縁本体114とは逆の方向に、大き
な引張力のもとで引張られる。そのため、玉縁本体114
とまち部の表皮126との間に隙間144が生じ、隙間から縫
い目134が露出する虞れがある。このような縫い目134の
露出は、シートの外観品質を低下させるため、公知の玉
縁110においては、シートの外観品質の向上が、十分に
はかれない。

また、たとえば、第５図(A)，(B)に示すように、厚さの
異なる表皮の縫合においては、通常、がくぶち部の表皮
124等の厚い表皮を基準にして、縫合する位置が決定さ
れる。そのため、まち部の表皮126等の薄い表皮サイド
は、玉芯本体114から離反した位置で折曲され、表皮と
玉芯本体との間に隙間144を生じやすく、この点におい
ても、シートの外観品質の向上が十分にはかれない。

この考案は、玉縁本体と表皮との間の隙間の発生を抑制
して、シート等の外観品質の向上をはかるトリムカバー
用偏心玉縁の提供を目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するために、この考案によれば、玉縁本
体、縫代部が一体的に成形され、縫代部は玉縁本体の接
線方向に延出している。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながらこの考案の実施例について詳
細に説明する。

第１図に示すように、この考案に係るトリムカバー用偏
心玉縁10は、たとえば、中空の玉芯本体14と、縫合時に
利用される縫代部12とを一体的に有し、軟質の樹脂材料
等から、折曲自在に成形されている。そして、縫代部12
は、玉芯本体14の中心に対して、偏心して延出されてい
る。

第２図を見るとわかるように、たとえば、自動車用シー
ト18のトリムカバー20は、シート表面の各部分を形成す
る複数の表皮、たとえば、かがみ部の表皮22、がくぶち
部の表皮24、まち部の表皮26等から形成され、各表皮
は、隣接する表皮と縫合等によって連結されている。こ
こで、たとえば、シート18の着座面を形成するかがみ部
の表皮22、がくぶち部の表皮24等は、第３図に示すよう
に、デザイン上の凹凸や着座者に良好な感触を与えるた
めの弾性材28を裏面に有して形成されている。

そして、たとえば、シートフレーム（図示しない）に載
置されたフレタンフォーム等よりなるクッション体30
を、トリムカバー20で覆って、シート18が形成されてい
る。

ここで、偏心玉縁10は、たとえば、第３図に示すよう
に、それぞれ折返されたがくぶち部の表皮24の端末と、
まち部の表皮26の端末との間に介在され、縫代部12をそ
れぞれの表皮とともに一体的に縫合することによって、
トリムカバーの縫合部32に偏心玉縁が設けられる。この
とき、偏心玉縁10は、たとえば、まち部の表皮26の方向
に、玉縁本体14が位置するように、配設される。このよ
うな構成によれば、第３図を見るとよくわかるように、
玉縁本体14が、縫合部32でのまち部の表皮26サイドを十
分に覆うため、まち部の表皮と偏心玉縁10との間におけ
る、隙間の発生が抑制できる。そのため、たとえば、が
くぶち部の表皮24、まち部の表皮26が、シートのクッシ
ョン体30等の弾性のもとで、異なる方向にそれぞれ引張
られても、まち部の表皮サイドにおける、縫い目34の露
出が防止され、シート18の外観品質の向上がはかられ
る。

ここで、実施例においては、第１図、第３図を見るとわ
かるように、縫代部12を玉縁本体14の接線上に形成して
いる。このような構成によれば、玉縁本体14が縫代部12
から最大限に偏心されるため、縫合部32でのまち部の表
皮サイドが十分に覆われ、縫い目34の露出が十分に覆わ
れる。しかし、縫代部12は、玉縁本体14の中心からずれ
ていれば足り、接線上に限定されない。

また、実施例においては、がくぶち部の表皮24とまち部
の表皮26との縫合部32を第３図に例示し、具体的に説明
しているが、これに限定されず、他の表皮間の縫合部、
たとえば、かがみ部の表皮22とまち部の表皮との縫合部
においても、同様に構成できる。

また、たとえば、第４図に示すように、水平の異なる方
向に引張られる、厚さの異なる表皮36，38の場合におい
ても、玉縁本体14を薄い表皮38サイドに位置させれば、
薄い表皮との間における隙間の発生が、玉縁本体によっ
て抑制される、そのため、厚さの異なる表皮36，38の縫
合部40においても、縫い目42の露出が十分に防止でき、
外観品質の向上がはかられる。

なお、表皮の引張力の異なる縫合部においても、この考
案の偏心玉縁10が有効に利用できる。このような場合に
おいては、引張力の大きい表皮方向に玉縁本体14が位置
するように、偏心玉縁10を配設、縫合すれば、表皮が玉
縁から強く引張られても、玉芯本体が表皮の縫合部を覆
うため、隙間の発生が抑制でき、縫い目の露出が防止で
きる。

また、実施例においては、玉縁本体14を中空に成形して
いるが、これに限定されず、たとえば、玉縁本体を中実
に成形してもよい。しかし、実施例のように、玉縁本体
14を中空とすれば、偏心玉縁10がより折曲自在に構成で
きる。

上述した実施例は、この考案を説明するためのものであ
り、この考案を何等限定するものでなく、この考案の技
術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの考案
に包含されることはいうまでもない。

なお、この考案のトリムカバー用玉縁は、自動車用シー
トに適するとはいえ、これに限定されず、たとえば、電
車、飛行機、船舶等のシートにも応用できる。

また、車両用シートに限定されず、たとえば、会議室、
映画館、オフィス等のシート、または、ベッド、ソファ
ー等に応用してもよい。

〔考案の効果〕

上記のように、この考案に係るトリムカバー用偏心玉縁
において、縫代部は、玉縁本体と一体的に成形されて玉
縁本体の接線方向に延出している。そして、玉縁本体
で、縫合部の薄い表皮等のサイドを覆うことによって、
表皮と玉縁本体と間における、隙間の発生を抑制してい
る。そのため、表皮がシートのクッション体等の弾性の
もとで、異なる方向にそれぞれ引張られても、縫合部に
おける、縫い目の露出が十分に防止され、シートの外観
品質の向上がはかられる。

また、引張力の異なる表皮の縫合部において、引張力の
大きい表皮サイドに玉縁本体を位置させれば、大きな引
張力のもとで表皮が引張られても、玉縁本体によって隙
間の発生が抑制され、縫い目の露出が防止される。その
ため、引張力の異なる表皮の縫合部においても、この考
案の偏心玉縁が有効に利用できる。

そして、縫代部を玉縁本体の接線上に設ける構成とすれ
ば、玉縁本体の偏心量が最大限となるため、玉縁本体が
薄い表皮等のサイドの縫い目を十分に覆い、縫い目の露
出、つまりは、シートの外観品質の向上が、より十分に
はかられる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案のトリムカバー用偏心玉縁の概略斜
視図、第２図は、シートの概略斜視図、第３図は、第２図の線III−IIIに沿った断面図、第４図は、縫合部の変形例における、シートの部分断面
図、第５図は、(A)，(B)は、公知の玉縁の取付けられたシー
トの各部分断面図である。 10：トリムカバー用偏心玉縁、12：縫代部、14：玉縁本
体、18：シート、20：トリムカバー、22，24，26：表
皮、32：縫合部、34：縫い目。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】縫代部が玉縁本体と一体的に成形されて玉
縁本体の接線方向に延出しているトリムカバー用偏心玉
縁。