JPH068669Y2 - コンバインの藁束起立装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、コンバインの藁束起立装置に関するものであ
る。

従来の技術 従来、コンバインの後部に装着したノッターの後方にチ
ェン等からなる搬送体を設け、ノッターで結束された藁
束を搬送体で搬送し、その終端部から株元側を下にした
状態で落下させ、圃場の既刈地側に起立させるようにし
たコンバインの藁束起立装置が提案されている。

考案が解決しようとする問題点 藁束を起立状態で圃場に放出する場合は、一般にノッタ
ーによる結束位置を通常の場合よりも穂先寄り側にズラ
すこと（穂先側結束）が行われている。しかし、穂先側
結束により株元部が広がって藁束が立ち易いようになる
反面、株元側がバラケたり垂れ易くなって藁束が結束機
から搬送体にスムーズに引継がれなくなる不都合があ
る。

問題点を解決するための手段 そこで本考案は、ノッターの後方に藁束を既刈地側に向
け搬送しその終端から圃場に起立状態で放出する搬送体
を設けたコンバインにおいて、前記搬送体の搬送始端部
の株元側部位とノッター後部の株元側を連結する支持部
材により搬送体の搬送始端側を支持すると共に、該支持
部材を上記搬送体の搬送始端部に対して株元側に離間す
るように膨出形成し、もって上記支持部材をその上面で
藁束の株元側を下方より支えるガイド体となすことによ
り上記の問題点を解消しようとするものである。

作用 ノッターで結束された藁束はスィーパにより搬送体の搬
送始端側に送給されるが、その際、搬送体の搬送始端側
を支持する支持部材が藁束の株元側を支えるガイド作用
を果たすので藁束はスムーズに搬送体側に受継がれる。
そのため、引継ぎ不良によって搬送体の始端側で藁束が
詰まったりする搬送トラブルが解消される。

実施例 １はコンバインの機体進行方向後部に装着されたノッタ
ーで、該ノッター１の後方には藁束起立装置２が連結さ
れている。３は搬送チェン3a及び搬送カバー3b等からな
る搬送体で、スウィーパ1aの直下方から圃場の既刈地側
に対応する機体一側に向け斜め後方に延設されている。
そして搬送体３の搬送作用側は図示のように株元側が低
く、穂先側が高い傾斜状となっている。４は搬送体３の
駆動軸ホルダーで、一端はノッター１の伝動ケース1b
に、他端は搬送体３終端部の搬送カバー3bに夫々固着さ
れており、この駆動軸ホルダー４により搬送体３を搬送
終端側から支持するようになっている。５は駆動軸ホル
ダー４から分岐したステーで、駆動軸ステー４とともに
搬送体３を支持している。６は搬送チェン3aの上方に添
接された挟扼レールで、ノッター１側に固定されたステ
ー７にブラケット８及びスプリング９を介して上下動自
在に装着されている。10は搬送体３の搬送始端側を支持
する支持部材で、一端はノッター１後部の株元側に他端
は搬送体３の搬送始端部で搬送カバー3bの株元側面（株
元側部位）に夫々固定されている。ところでこの支持部
材10は第１図に示すように、スウィーパ1aで放出された
藁束ａの株元側に向け張出した状態に湾曲せしめられて
おり、放出された藁束ａを搬送体３が引継ぐ際に藁束ａ
の株元を支えて搬送チェン3a始端側に誘導するガイド体
となるように構成されている。

さて、前記挟扼レール６の終端部には板バネ等からなる
側面略Ｖ字形状の弾性体11が下半部を搬送通路ｂに突出
させた状態で設けられている。この弾性体11は第６図に
示すように搬送方向後部側が挟扼レール６と一体の取付
板6aに固定され、前部側が長孔11aの範囲内で上下し得
るようになっている。12は取付板6aに装着されたスイッ
チで、弾性体11が上動した時スイッチ12がONとなり、こ
のON状態が所定時間持続するとタイマー13の働きにより
オペレータに警報14を発するように構成されている（第
４図及び第５図参照）。尚、第７図に示すように、弾性
体11の後方に補助弾性体15を設けてもよい。図中、16は
排藁チェンである。

上記の構成において、排藁チェン16でコンバインの機体
後方に移送されてきた排藁はノッター１で稈身方向穂先
寄り側が結束された後、結束された藁束ａはスィーパ1a
により搬送体３側に送給されるが、その際、搬送体３の
始端側を支持する支持部材10が藁束ａの株元側を下方か
ら支えながら搬送体３の搬送始端側に誘導案内するた
め、株元が垂れ下がったり下方に折曲がったり、或は藁
束ａの送給姿勢が乱れたりすることがなく、藁束ａは極
めてスムーズに搬送体３側に受継がれる。そのため、引
継ぎ不良によって搬送体３の始端側で藁束ａが詰まった
りする搬送トラブルが解消される。上記のようにして搬
送体３に受継がれた藁束ａは搬送チェン3aと挟扼レール
６間に挟持されながら株元を下にした傾斜状態で順次搬
送される。

そして搬送終端部まで移送されると、藁束ａは弾性体11
の傾斜面11′に当接して一時的に停止するが、この時、
弾性体11の突出部11bによる抵抗作用と搬送チェン3aの
搬送力により藁束ａに対し第４図における矢印イ方向の
回転力が加えられるため、株元の広がりが一層大きくな
り、藁束ａはこの末広がり状態で圃場に放出されること
になるので、藁束ａは安定起立状態で着地し、圃場で倒
伏するのを極力少なくすることができる。

尚、上記藁束ａの通過時には、弾性体11はＡ寸法（長孔
11aの下端縁が挟扼レール６に接当した状態）だけ弾性
変形して上動しスイッチ12をONさせるが、タイマー13を
設けてあるので警報14は作動しない（本考案では、弾性
体11はＡ寸法以上は変形せず、それ以上の作動は挟扼レ
ール６のスプリング９が受持つ構造になっている）。し
かし、藁束ａが弾性体11の所で詰まりを生ずると（倒伏
材等穀稈条件の悪い場合は詰まり易い）突出部11bの弾
性変形が持続し、スイッチ12のON状態が継続するため、
タイマー13の働きにより警報14が発せられる。このた
め、オペレータは搬送詰まりを確実に感知し、刈取作業
を中断する等して速やかに対処することができるので、
藁束起立装置２の破損を未然に防止することが可能とな
る。従って挟扼レール６等の各部材を殊更強固に構成す
る必要もない。

考案の効果 上記したように、本考案は、ノッターの後方に藁束を既
刈地側に向け搬送しその終端から圃場に起立状態で放出
する搬送体を設けたコンバインにおいて、前記搬送体の
搬送始端部の株元側部位とノッター後部の株元側を連結
する支持部材により搬送体の搬送始端側を支持すると共
に、該支持部材を上記搬送体の搬送始端部に対して株元
側に離間するように膨出形成し、もって上記支持部材を
その上面で藁束の株元側を下方より支えるガイド体とな
したことにより、以下の効果を奏する。

即ち、ノッターから放出された藁束の株元側を支持部材
によりスムーズに搬送体に誘導案内し得て藁束の引継ぎ
を良好に行なうことができ、搬送体の始端側で藁束が詰
まったり、搬送される藁束の姿勢が乱れ圃場に放出され
た藁束が起立しなかったりする事を確実に防止できる。

しかも、支持部材をガイド体となしたことにより、搬送
体始端側の構造をシンプルな構造にすることができる。

【図面の簡単な説明】 第１図は藁束起立装置の平面図、第２図は同上の背面
図、第３図は搬送体の平面図、第４図は同上の側面図、
第５図は警報装置の電気回路図、第６図は弾性体の取付
構造を示す斜視図、第７図は他の実施例を示す搬送体の
側面図である。 図中、１はノッター、２は藁束起立装置、３は搬送体、
４は駆動軸ホルダー、10は支持部材、ａは藁束。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ノッターの後方に藁束を既刈地側に向け搬
   送しその終端から圃場に起立状態で放出する搬送体を設
   けたコンバインにおいて、前記搬送体の搬送始端部の株
   元側部位とノッター後部の株元側を連結する支持部材に
   より搬送体の搬送始端側を支持すると共に、該支持部材
   を上記搬送体の搬送始端部に対して株元側に離間するよ
   うに膨出形成し、もって上記支持部材をその上面で藁束
   の株元側を下方より支えるガイド体となしたことを特徴
   とするコンバインの藁束起立装置。