JPH0681637B2 - 鋏 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、理髪鋏や事務用鋏等の鋏の改良に関する。

（従来の技術） 鋏は相対する二枚の刃をすり合わせて物を切断する。相
対する二枚の刃は支店でねじによって結合されており、
二枚の刃がねじで比較的固く結合されていれば刃のすり
合わせがきつくなる。反対に二枚の刃ねじで比較的緩く
結合されていれば刃のすり合わせは緩くなる。

従来品では刃のすり合わせの調節は二つの鋏身を結合し
ている枢軸のナットにより行っていた。しかし、枢軸は
鋏の使用状態を決定する要の部分であって、頻繁に緩め
たり締めたりできるようにすると、その分ナットの螺合
状態が緩いので、鋏を使用するとすぐにナットが緩んで
しまい、頻繁にナットを締めなおす必要がある。つま
り、ナットを含む枢軸は鋏の回動の中心であるから、鋏
を使用すればナットが緩むように作用することは避けら
れないのである。したがって、枢軸ははじめからナット
が緩まないように固く結合させておき、刃のすり合わせ
の加減を使用者が自分の好みに選択するときは、枢軸以
外の部分で調節できるようにすることが望ましい。

また、たとえ枢軸のナットが少し緩んだとしても、刃の
すり合わせの調節はナットでなくそれ以外のもので行う
ことが望ましい。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は、従来品の欠点を除去して刃のすり合わせ具合
の調節を枢軸部分で行わず、鋏身の回動の影響を受けな
い部分で行うことにより、鋏身の締め付けを何度も行う
必要がなく、刃のすり合わせの調節が容易にできる鋏を
提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本発明の構成は、柄１の前方に刃部２が連なる二個の鋏
身3,3が枢軸４により回動可能に結合され、一方の鋏身
３の表面であって枢軸４よりも後方の部分に、柄１の長
さ方向に沿って板状の弾力性に富む触点部材６が取付け
られており、この触点部材６の後端部は前記一方の鋏身
３に固着されて片持ち状態となり、触点部材６の先端部
にはこれと垂直方向に延びる触点５が設けられて、該触
点５は一方の鋏身３に設けられた孔部７を介して他方の
鋏身３の内面に当接しており、触点部材６の先端部と後
端部の途中に設けられた通し孔８を介して一方の鋏身３
の表面から軸ねじ９が立ち上がり、該軸ねじ９に取付け
られたナット10によって浮き上がっている触点部材６を
締め付けることができることを特徴とするものである。

（実施例） 次に、本発明の構成を実施例として示す図面に従って説
明する。

符号3,3は鋏を構成する鋏身であり、柄１の前方に刃部
２が連なっており、枢軸４で回動可能に軸着されてい
る。触点部材６は金属片であり、その先端部は浮き上っ
てＬ字形に曲がり鋏身に穿設された孔部７を通過して鋏
身３の内面に突出し、その先端が触点５となる。この金
属片の途中には通し孔８が穿設され、鋏身に固着された
軸ねじ９がその通し孔８を通過して金属片の外面に付き
出している。軸ねじ９にはナット10がねじ着されてお
り、ナット10を締めたり緩めたりすることにより融点５
の内面の突出量を調節することができる。金属片は板バ
ネ構造で弾力性に富むから、触点５はこの金属片に支え
られ、少しの力で弾力的に変位することができる。触点
５は他方の鋏身３の内面に付き当たってこれを押すか
ら、その反作用として枢軸４よりも前方にある刃部２の
刃縁11,11の交点に圧接力が働くことになる。

（作用・効果） 本発明の鋏の使用者が刃のすり合わせの強度を使用者の
好みに調節するときは、ナット10を緩めたり締めたりす
ることによって触点部材６の浮き上がり具合を調節で
き、この触点部材６の移動によって触点５が他方の鋏身
の内面を圧接する力を変化させることができるから、こ
の作業によって刃のすり合わせの強度を自由に調節でき
る。

本発明は上述のような構成であって、触点部材６が枢軸
４とは無関係に鋏身に固着されていて、刃のすり合わせ
の調節も枢軸４でなく、それとは別体のナット10によっ
て行う構成となっている。したがって枢軸４が容易に緩
まないように強固に形成されているか、あるいは全く緩
まないように固定的に形成されているばあいであって
も、別体のナット10によって容易に調節することができ
る。従来の鋏の調節は枢軸のナットによって行っていた
から、ナットは回動しやすいようにある程度緩めに取付
けられていた。しかもこのナットは鋏の回動の中心に存
在しているから、鋏身を回動するとすぐに緩むこととな
っていった。本発明では枢軸はほとんど緩まないように
固く形成することができるから、長期間にわたって鋏を
使用しても枢軸が緩みずらい。また、本発明では刃のす
り合わせの調節をするためのナット10は鋏の回動中心か
ら離れた位置にあるから、このナット10は鋏身の回動の
影響を受けず、鋏の長期間使用してもナット10が緩むこ
とがなく、一回調節すれば長期間にわたって調節が不要
になる。

また、たとえ枢軸４が多少緩んでも触点部材６は弾力性
に富むから、枢軸の緩みを触点部材６で吸収することが
でき鋏のガタつきを押えることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図本発明のの正面図、第２図はその鋏身の断面図で
ある。 １……柄、２……刃部、３……鋏身、４……枢軸、５…
…触点、６……触点部材、７……孔部、８……通し孔、
９……軸ねじ、10……ナット、11……刃縁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】柄１の前方に刃部２が連なる二個の鋏身3,
   3が枢軸４により回動可能に結合され、一方の鋏身３の
   表面であって枢軸４よりも後方の部分に、柄１の長さ方
   向に沿って板状の弾力性に富む融点部材６が取付けられ
   ており、この触点部材６の後端部（鋏身の指掛孔寄りの
   端部）は前記一方の鋏身３に固着されて片持ち状態とな
   り、触点部材６の先端部（枢軸寄りの端部）にはこれと
   垂直方向に延びる触点５が設けられて、該触点５は一方
   の鋏身３に設けられた孔部７を介して他方の鋏身３の内
   面に当接しており、触点部材６の先端部と後端部の途中
   に設けられた通し孔８を介して一方の鋏身３の表面から
   軸ねじ９が立ち上がり、該軸ねじ９に取付けられたナッ
   ト10によって浮き上がっている触点部材６を締め付ける
   ことができることを特徴とする鋏