JPH0680934U - 車両用ディスク・ブレーキ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両用ディスク・ブレーキの機械作動式駐車
ブレーキの作動機構を安価で寿命の長いものとする。 【構成】 内部にブレーキ・アクチュエータが配置され
たハウジング１と、円筒状のカム部材１３であって、該
カム部材の中心軸に平行に、かつ、偏心した穴１５が貫
通しているカム部材と、該穴を貫通しカム部材を偏心的
に支持するピボットピン１１と、カム部材の円筒状周面
に回転可能に嵌められた環状ローラ２１と、カム部材に
連結されたレバー２７とを有し、該レバーの運動により
ブレーキ、アクチュエータ３を作動する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両用ディスク・ブレーキに係る。

【０００２】

【従来の技術】

とりわけ本考案は、商用車への使用に適している乗用ブレーキ機能に加えて駐 車ブレーキ機能を備えたディスク・ブレーキに係る。そうしたディスク・ブレー キのうちのあるものでは、レバーを動かすことで駐車ブレーキ機能を働かせるこ とができる。前記レバーは、ブレーキ・ハウジングに回転可能に支持された細長 いカムシャフトの一方の端部にキー止めされている。前記カムシャフトは、両方 の端部の間であって偏心加工された縮小直径部を備えている円筒形をしている。 カムシャフトのそれぞれの端部は適当なベアリング、シール、スナップリング等 を伴ってブレーキ・ハウジングに支持されている。ハウジング内のクランクシャ フトと調節器との間には、スラスト部品すなわち“当て板”が配置されている。 スラスト部品は一方の端部に形成された一部が円筒形の凹所を備えており、この 凹所はクランクシャフトの偏心した縮小直径部に係合している。スラスト部品の 反対側の端部は一部がほぼ球形をしていて、調節器と係合するようになっている 。従ってレバーが動いて駐車ブレーキを掛ける際、クランクシャフトは回転され 、偏心した縮小直径部がスラスト部品の前記円筒状凹所内で回転させられる。こ の凹所内に取り付けられた一部が円筒形をしたベアリングにより滑らかな動作が 行なわれる。このようにスラスト部品は調節器に働きかけ駐車ブレーキを掛ける ようになっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前述した構造は有効な働きをするが、この周知の構造には幾つかの固有の欠点 がある。

【０００４】 １）製造するのに非常に経費がかかる。例えばカムシャフトの端部と偏心した縮 小直径部を精度よく機械加工しなくてはならない。

【０００５】 さらに、レバーをカムシャフトにキー止めするためにカムシャフトの一方の端 部に平坦部をフライス切削しなければならない。またスラスト部品にも、一部が 球形になった前記端部と一部が円筒形をした前記凹所とを精度よく形成しなくて はならない。なお且つ円筒状のベアリングに特殊な金具を設けなくてはならない 。この金具はスラスト部品にスライス加工されたスロットに係合し、ベアリング が軸方向に移動するのを阻止するようになっている。ベアリングは組み立ての便 宜のために所定位置に接着する必要がある。

【０００６】 ２）レバーがクランクシャフトの一方の端部に取り付けられていて、アクチュエ ータの中心軸からずれているため、レバーを作動すると不均一な荷重がベアリン グに加わり易く、これが原因となってベアリングが急速に摩減してしまう。

【０００７】 ３）駐車ブレーキとして機能する装置部分の組立て並びに保守管理が難しい。す なわちスラスト部品より前方の所定位置にカムシャフトを配置しなくてはならず 、その後部にしか調節器構成要素を取り付けられない。また、一部が円筒形をし たベアリングをスラスト部品に接着しておいて組み立ての途中に位置がずれるの を防ぐようにすることもできるが、しかし組立て時にスラスト部品がカムシャフ トの偏心した部分に正確に嵌る保証はない。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案の目的は、比較的安く製造でき、前述した不合理な点を解消するかまた はその影響を極力少なくすることのできるレバー機構を組み込んだディスク・ブ レーキを提供することにある。

【０００９】 本発明の車両用ディスク・ブレーキは、内部にブレーキ・アクチュエータが配 置されたハウジングと、円筒状のカム部材であって、該カム部材の中心軸に平行 に、かつ、偏心した穴が貫通しているカム部材と、該穴を貫通しカム部材を偏心 的に支持するピボットピンと、カム部材の円筒状周面に回転可能に嵌められた環 状ローラと、カム部材に連結されたレバーとを有し、該レバーの運動によりブレ ーキ、アクチュエータを作動する。

【００１０】 本考案のある形態の実施例では、穴にはピボットピンと当該穴の壁との間に円 筒状のベアリング・ライナが配置されている。ピボットピンの端部は穴の両端か ら突き出していて、それぞれがカリパス・ハウジングから突き出た２つのアーム に回転しないように固定されている。レバーは好ましくはカム部材に一体化され ていて、円筒状のカム部材の軸方向中央部の高さレベルで円筒状のカム部材から 横に突き出すようになっている。このためカム部材とピボットピンの間にあるベ アリングには、操作に際し長さに沿ってほぼ一定した荷重が加わる。

【００１１】 ローラは中間部材に係合する一方、この中間部材はアクチュエータに連結され た調節機構と係合している。従ってレバーを回してピボットピンの廻りに円筒状 のカム部材を偏心して動かせば、ローラによりブレーキ・アクチュエータに作動 圧を加えることができる。このため中間部材とローラの間に生じる摩擦がローラ の回転を妨げることがなくまたカム部材がローラに対して回転するのを妨げるこ ともない。すなわち摩擦が駐車ブレーキの操作を疎外することはない。円筒状の ベアリングをローラと円筒状のカム部材との間に設けて滑らかな操作を行なえる ようにすることが好ましい。またカム部材／ローラ／中間部材の構造全体をほこ りや湿気を防ぐために可撓性のある適当な覆いで保護するとよい。

【００１２】 本考案の変更例では、ピボットピンがカリパス・ハウジングのベアリング内に 支持され、しかも円筒状のカム部材に固定されているかまたは当該カム部材に一 体化されている点が、前述した実施例のものと唯一の異なる点である。これとは 別に必要とあらば、ピボットピンをカリパス・ハウジング内に回転可能に支持す ることもでき、またカム部材がピボットピン上で回転するようにもできる。

【００１３】 本考案のディスク・ブレーキは、所望のあらゆる手段で作動させることができ る。例えば、機械的な駐車機能を働かせるレバーを用いて乗用ブレーキの機能を 液圧的に働かせることもでき、また適当な手段、例えば液圧、空気圧または機械 的にレバーそのものを動かして非液圧アクチュエータの作動を機構を働かせるこ ともできる。

【００１４】

【作用】

本考案の構造は、前述した従来技術の構造とは異なりまたベアリングに加わる 荷重を平均化しているため、製造並びに保守管理を安い経費で簡単に行なえ、し かも本考案の構造によって有効寿命をさらに延ばすことができる。

【００１５】 以下添付図面に沿って本考案の一例を詳細に説明する。

【００１６】

【実施例】

添付図面の図１と図２に示した本考案の実施例は、カリパス・ハウジング１を 備えている。このカリパス・ハウジング１の内部には、ブレーキ・アクチュエー タ３が軸方向にスライド可能に配置されている。アクチュエータ３は、調節機構 ５を介して細長い中間部材７に連結されている。

【００１７】 カリパス・ハウジングはほぼ平行な２つのアーム９を備え、これらアーム９の 間をピボットピン１１が延びている。ピボットピン１１は前記アーム９の各々に 回転しないように固定されている。ピボットピン１１には円筒状のカム部材１３ が回転可能に取り付けられていて、ピボットピン１１はカム部材１３の穴１５を 通り抜けている。穴１５は円筒状のカム部材の中心軸を平行に延びているが、当 該中心軸からずれている。（図２）。従って、カム部材１３はピボットピン１１ の廻りを偏心して回転することができる。特に荷重が加わっている状態の下でも 滑らかに回転させるために、ピボットピン１１と穴１５の壁との間には円筒状の ベアリング・ライナ１７が配置されている。

【００１８】 添付図面の図１に詳しく示すように、円筒状のカム部材１３は一方の軸方向端 部に拡大直径部１９を備え、この拡大直径端部１９に隣接してカム部材１３の円 筒状の周面には環状ローラ２１が回転可能に取り付けられている。ローラ２１と カム部材１３の周面との間に配置された円筒状のベアリング２３により、荷重が 加わった状態の下でもローラ２１とカム部材１３は互いに自由にしかも楽に回転 することができる。ローラ２１をカム部材１３の所定位置に保持するために、環 状リング２５が円筒状のカム部材１３の反対側の軸方向端部にしまり嵌めされて いる。

【００１９】 操作レバー２７は、カム部材１３と一体カム化されていて、操作レバー２７を ピボット運動させると円筒状のカム部材１３はピボットピン１１の廻りを偏心し た状態で回転する。このようにしてローラ２１は軸圧を中間部材７に加えてブレ ーキ・アクチュエータ３を作動させ、カリパスの駐車ブレーキ機能を働かせるこ とができる。ローラ２１がカム部材１３の円筒状ベアリング２３の廻りを自由に 回転するため、ローラ２１と中間部材７との間の摩擦が駐車ブレーキ機能を滑ら かに且つ楽に働かせるのに妨げとはならない。しかしながら（図示されていない ）変更例では、ローラ２１を省略して直接に中間部材７にカム部材１３を係合す ることができる。また操作レバー２７はカム部材１３の拡大直径端部１９から円 筒状のカム部材１３の横に突き出していて、環状ローラ２１のすぐ隣に位置して いる。このため、ローラ２１を通じて半作用する荷重は操作レバー２７により力 のモーメントは大きくはならない。従って箇々のベアリングが負担する荷重はほ ぼ一定に保たれる。結果的に構造体の有効寿命を延ばすことができる。

【００２０】 添付図面の図３と図４に示された本考案の他の実施例において、図１と図２の 実施例の構成要素と同一のものには同じ参照番号が付されている。図１および図 ２の実施例と図３および図４の実施例の主な相違点は、図３および図４の実施例 ではピボットピン１１がカリパス・ハウジング１内のベアリング２９上に回転可 能に支持されていて、カム部材１３はピボットピン１１に回転しないように固定 されていることが挙げられる。カム部材は拡大直径端部１９の設けられたほぼ円 筒状の外形を備え、またこのほぼ円筒形のカム部材には貫通穴１５が偏心して設 けられている。ピボットピン１１は穴１５にしまり嵌めされている。環状ローラ ２１がカム部材１３の外周面に設けられたベアリングに取り付けられ、カム部材 の隣接する拡大直径端部１９とカリパス・ハウジング１のアーム９の両者により ベアリング上に保持されている。環状ローラ２１は、ブレーキ・アクチュエータ （図示せず）につながる中間部材７に係合している。作動レバー２７（図４参照 ）が拡大直径端部１９に一体化され、レバー２７の回転によりカム部材１３とピ ボットピン１１をベアリング２９内で回転させられる。カム部材１３を偏心して 取り付けてあるため、ローラ２１は中間部材７に圧力を加えて駐車ブレーキ機能 を働かせることができる。カム部材１３はローラ２１の内部で回転するため、大 きな力が働いて中間部材７上をローラ２１が滑らないことがあっても、ローラ２ １と中間部材７との間の摩擦がレバー２７の動きを妨げることはない。

【００２１】 前述したいずれの構造例においても、ブレーキ・アクチュエータは液圧方式、 空気圧方式または機械方式の下で常用ブレーキに利用することができる。また操 作レバー２７を用いて非液圧方式アクチュエータの駐車ブレーキ機能または常用 ブレーキ機能を働かせることができ、あるいは適当な手段、例えば機械圧、液圧 および／または空気圧を加えてこの操作レバーを動かすこともできる。前述した いずれの構造においても、レバー機構を保護するために可撓性のある覆い３１が 設けられている。

【００２２】

【考案の効果】

本考案の構成によりブレーキ・ハウジングの鋳造構造を単純化することができ 、このため重量は軽減され、結果的に全体の長さを短縮することができる。しか も、この種の従来の構造のものよりもレバー機構の組立ておよび保守管理は簡単 に行える。またこの種の従来の構造のものに比較して特殊なベアリングが不要で 、平坦部をスライス加工する必要がなく、凹所や一部の球面部分等を研削加工す る必要がないため、ブレーキ全体を非常に安く製作することができる。またＯリ ング、ナット、ボルト等が不要なため部品の数は少なくてすむ。さらにこの種の 従来の構造のものに比べて使用ベアリングに加わる力のモーメントが小さくてす み、結果的にベアリングに加わる荷重が減少してこれに伴う摩減も少なくてすむ 。

【００２３】 カム部材は偏心カムであるため、精度のよいカムを安価に製作することができ る。また、その外周面は普通の円筒状ベアリングを適用できる円柱面形状である ため、安価な費用の円筒状ベアリングを適用するだけで、摩擦により円滑な作動 が防げられたり寿命が短くなることを防ぐことができる。

【００２４】 このように本考案によれば、単純化されたレバー機構を持つディスク・ブレー キが提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に則って構成されたカリパスの一実施例
の図２のＢ−Ｂ線に沿った一部横断面図である。

【図２】図１に示した実施例のＡ−Ａ線に沿った一部縦
断面図である。

【図３】本考案の他の実施例における一部横断面図であ
る。

【図４】図３の実施例の一部を切除した拡大図である。

【符号の説明】

１ カリパス・ハウジング ３ ブレーキ・アクチュエータ ５ 調節機構 ７ 中間部材 ９ 平行なアーム １１ ピボットピン １３ カム部材 １５ 穴 １７ ベアリング・ライナ １９ 拡大直径（端）部 ２１ ローラ ２３ 円筒状のベアリング ２５ 環状リング ２７ 操作レバー ２９ ベアリング ３１ 覆い

Claims (8)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部にブレーキ・アクチュエータが配置
   されたハウジング１と、円筒状のカム部材１３であっ
   て、該カム部材の中心軸に平行に、かつ、偏心した穴１
   ５が貫通しているカム部材と、該穴を貫通しカム部材を
   偏心的に支持するピボットピン１１と、カム部材の円筒
   状周面に回転可能に嵌められた環状ローラ２１と、カム
   部材に連結されたレバー２７とを有し、該レバーの運動
   によりブレーキ、アクチュエータ３を作動する車両用デ
   ィスク・ブレーキ。
2. 【請求項２】 ベアリング・ライナ１７がピボットピン
   １１と、穴１５の壁との間に配置されていることを特徴
   とする請求項１の車両用ディスク・ブレーキ。
3. 【請求項３】 ピボットピン１１の両端部が穴１５の両
   端から突き出していて、それぞれハウジング１の突出す
   る２つのアーム９に回転しないように固定されているこ
   とを特徴とする請求項１の車両用ディスク・ブレーキ。
4. 【請求項４】 ピボットピン１１はハウジング１から突
   き出た２つのアーム９にあるベアリング２４に回転可能
   に支持され、また前記カム部材１３に固定的に取り付け
   られていることを特徴とする請求項３の車両用ディスク
   ・ブレーキ。
5. 【請求項５】 ベアリング２３がローラ２１とカム部材
   １３との間に設けられていることを特徴とする請求項５
   の車両用ディスク・ブレーキ。
6. 【請求項６】 円筒状のカム部材１３は一方の軸方向端
   部に拡大直径部１９を備えており、この拡大直径部１９
   に隣接してカム部材１３に環状ローラ２１は回転可能に
   取り付けられ、環状リング２５が円筒状のカム部材１３
   の反対側の軸方向端部に固定されローラ２１を所定位置
   に保持していることを特徴とする請求項１の車両用ディ
   スク・ブレーキ。
7. 【請求項７】 レバー２７は前記カム部材１３の拡大直
   径部１９と一体的に形成されていて、レバー２７がカム
   部材１３から横に突き出していることを特徴とする請求
   項６の車両用ディスク・ブレーキ。
8. 【請求項８】 ローラ２１は中間部材７に係合する一
   方、中間部材はアクチュエータ３に連結された調節機構
   ５に係合していることを特徴とする請求項１の車両用デ
   ィスク・ブレーキ。