JPH0679977B2

JPH0679977B2 - アルミナースピネル―カーボン質耐火物

Info

Publication number: JPH0679977B2
Application number: JP2000087A
Authority: JP
Inventors: 邦夫湊; 良典田中
Original assignee: Shinagawa Refractories Co Ltd
Current assignee: Shinagawa Refractories Co Ltd
Priority date: 1990-01-05
Filing date: 1990-01-05
Publication date: 1994-10-12
Anticipated expiration: 2009-10-12
Also published as: JPH03205354A

Description

【発明の詳細な説明】［産業上の利用分野］本発明は製銑、溶銑予備処理や溶鋼処理段階の各炉の内
張り耐火物として使用され、特に受銑、受鋼容器類に好
適に使用できる、耐食性及び残存膨張性に優れたアルミ
ナ−スピネル−カーボン質耐火物に関する。

［従来の技術］従来、上述の各種容器類に使用される溶融金属用耐火物
はロウ石、シャモット、アルミナ、ムライト、スピネル
などの骨材と、炭化珪素、金属珪素、窒化珪素、黒鉛、
ピッチ、結合粘土などの混合物を用いるものであった。

例えば、特開昭55-37459号公報には、アルミナ、スピネ
ルまたはスピネルとマグネシアクリンカーの混合物、炭
化珪素及び樹脂状ピッチからなる溶融金属樋用耐火物が
開示されている。この耐火物はマトリックス部にセラミ
ックボンドとカーボンボンドを生成させることにより、
ボンド部の強化と溶損バランスを調整して耐食性の向上
を図ったものである。

また、特開昭59-3069号公報には、マグネシアか、マグ
ネシア富化スピネルの何れかの100ミクロン以下の微粉
を、全配合量に対し、ペリクレースとして0.5〜4.0重量
％添加してマトリックス部をカーボン結合とスピネル結
合の組織としたアルミナ−炭化珪素−カーボン質耐火物
が開示されている。この耐火物はアルミナ−炭化珪素−
カーボン系耐火物の主原料であるアルミナの骨材粒子間
にスピネルを形成させ、マトリックス部をスピネル結合
とカーボン結合の複合組織とすることにより、マトリッ
クス部の先行損傷が抑制され、これによってアルミナ骨
材の離脱を防止し、アルミナ骨材の耐食性を充分発揮さ
せようとしたものである。

［発明が解決しようとする課題］しかし、前記特開昭55-37459号の耐火物は、マトリック
ス部、すなわち微粉部にスピネルとマグネシアクリンカ
ーの混合物を使用するものであり、ここでいうスピネル
はMgO＝28.3重量％、Al₂O₃71.7重量％の理論組成に近い
ものを用いており、このようなスピネルは使用時あるい
は加熱によるスピネル生成を起こらず、目地損傷等を起
こし易い。

また、マグネシアクリンカーを微粉で用いるとスピネル
の過剰生成による熱膨張の過多及び繰り返し加熱におい
て、残存膨張の永続性の欠乏等の欠点を有する。

更に、前記特開昭59-3069号の耐火物は、分散性を考慮
してマグネシアまたはマグネシア富化スピネルを100ミ
クロン以下の微粉として配合するところに特徴を有する
ものであるが、このような形態で使用すると、ペリクレ
ースとして0.5重量％未満のマグネシアまたはマグネシ
ア富化スピネルの配合量であると、耐食性が劣り、ま
た、4.0重量％を超えると、スピネルの過剰生成による
熱膨張の過多及び繰り返し加熱において、残存膨張の永
続性の欠乏等の欠点を有し、目地損傷等を起こし易く、
マグネシアまたはマグネシア富化スピネル微粉の添加配
合量に厳しい制約を受ける。

しかし、上述のようなこれまでに既知のアルミナ−マグ
ネシア−カーボン質れんがは、受熱によりマグネシア粒
表面からマトリックスの高アルミナ原料へMgOが物質移
動してスピネルを生成するために、残存膨張性があり、
しかもセラミック結合のマトリックス部を形成するため
に高耐食性を有するという利点をもつが、同時に、スピ
ネル化反応によりマグネシア粒自体は元の大きさよりも
小さくなり、マグネシア粒周囲に空隙を生じ、れんが組
織をポーラス化させるために充分な強度が得られないこ
とがある。

従って、本発明の目的は上述の欠点を解消した、各種容
器類に好適に使用できるアルミナ−スピネル−カーボン
質耐火物を提供することにある。

［課題を解決するための手段］即ち、本発明はマグネシア富化スピネル粗粒５〜87重量
％、アルミナ質耐火材粗粒０〜82重量％、アルミナ質耐
火材微粉10〜47重量％、炭素材３〜30重量％及び炭素結
合形成剤１〜10重量％（外掛）よりなるアルミナ−スピ
ネル−カーボン質耐火物に係る。

また、本発明のアルミナ−スピネル−カーボン質耐火物
は金属珪素粉、アルミニウム粉、マグネシウム粉等また
はそれらの合金粉、及び炭化珪素粉よりなる群から選択
された１種または２種以上の成分を含有することができ
る。

［作用］本発明はアルミナ−スピネル−カーボン質耐火物のスピ
ネル原料としてマグネシア富化スピネル粗粒を使用する
ところに特徴を有する。

スピネルは理論組成MgO・Al₂O₃をもち、MgO28.3重量％
とAl₂O₃71.7重量％の化学量論比よりなるものである
が、本発明耐火物に使用するマグネシア富化スピネル粗
粒はMgO含量が上記化学量論比を超えるスピネル原料の
粗粒であり、不純物が少なく、ペリクレースを均一に含
有するものが好ましい。なお、本発明に使用するマグネ
シア富化スピネル粗粒の粒度は0.3mm以上のものであ
る。

前記特開昭59-3069号公報に記載されているようにマグ
ネシア富化スピネルを微粉形態で添加すると、スピネル
の過剰生成による熱間膨張の過多及び繰り返し加熱にお
いて、残存膨張の永続性の欠乏等の欠点を有するため
に、マグネシア富化スピネルを多量に添加することは好
ましくない。しかし、マグネシア富化スピネルを多量に
添加する方が耐食性の面で好ましい。従って、本発明で
はマグネシア富化スピネルを上記粒径範囲の粗粒として
添加する。

該マグネシア富化スピネル粗粒の添加配合量は５〜87重
量％である。マグネシア富化スピネル粗粒の添加配合量
が５重量％未満の場合には、得られる耐火物が残存膨張
性及び耐食性に劣るために好ましくなく、また、該添加
配合量が87重量％を超えると、相対的に微粉使用量が少
なくなるため、充填性が悪くなり、緻密な耐火物組織が
得られないために好ましくない。

また、本発明耐火物の第２の成分はアルミナ質耐火材で
ある。アルミナ質耐火材はAl₂O₃含有量約70重量％以上
の耐火材例えば電融アルミナ、焼結アルミナ、仮焼アル
ミナ、ボーキサイト、ばん土頁岩、ムライト、マグネシ
ア含有量28.3重量％未満のスピネル原料等を使用するこ
とができる。アルミナ質耐火材は微粉から粗粒までの広
範囲にわたる粒度のものを使用することができ、アルミ
ナ質耐火材粗粒の添加配合量は０〜82重量％である。該
添加配合量が82重量％を超えると、相対的にマグネシア
富化スピネル粗粒の添加量が少なくなるために、アルミ
ナ骨材粒子間に生成スピネルによるセラミック結合を充
分には形成できないために好ましくない。

また、アルミナ質耐火材微粉の添加配合量は10〜47重量
％である。該添加配合量が10重量％未満であると、マト
リックス部のスピネル生成量が少なくなるために、マト
リックス部を強化させにくいために好ましくなく、ま
た、47重量％を超えると、れんが成形時にラミネーショ
ンを発生し易いために好ましくない。なお、本発明に使
用するアルミナ質耐火材微粉とは粒度0.3mm未満のもの
をいう。

なお、アルミナ質耐火材粗粒とマグネシア富化スピネル
粗粒の合計量は87重量％以下とする必要がある。これ
は、粗粒の合計量が87重量％を超えると、相対的に微粉
使用量が少なくなるために充填性が悪くなり、緻密な耐
火物組織が得られないためである。

本発明耐火物の第３の成分は炭素材である。炭素材とし
ては例えば黒鉛、コークス等を使用することができる。
炭素材の添加配合量は３〜30重量％である。炭素材の添
加配合量が３重量％未満では得られる耐火物スポール性
を付与することが困難であり、また、該添加配合量が30
重量％を超えると、耐火物の稼働表面の脱炭現象が増加
してスラグに対する耐食性が低下するために好ましくな
い。

本発明のアルミナ−スピネル−カーボン質耐火物は上述
の３成分に外掛で１〜10重量％の炭素結合形成剤を添加
してなるものである。該炭素結合形成剤としては例えば
合成樹脂、タール、ピッチ、糖蜜等を使用することがで
きる。炭素結合形成剤の添加配合量が１重量％未満であ
ると、結合効果が得られず、また、10重量％を超える
と、加熱により亀裂の発生や軟化変形が起こり易いので
好ましくない。

上述のマグネシア富化スピネル成分、アルミナ質耐火材
（粗粒、微粉）及び炭素材よりなる杯土混合物に常法に
より上述の炭素結合形成剤を添加し、混練し、乾燥する
ことにより不焼成品として本発明のアルミナ−スピネル
−カーボン質耐火物を得ることがきる。

また、上述の不焼成品を更に非酸化性雰囲気中で焼成し
て焼成品として得ることもできる。

なお、本発明のアルミナ−スピネル−カーボン質耐火物
には、耐スポーリング性向上、スラグの浸透防止、酸化
防止等の目的で例えば金属珪素粉、アルミニウム粉、マ
グネシア粉等またはそれらの合金粉、及び炭化珪素粉等
を使用することができる。これらの成分は１種または２
種以上を併用して使用することができる。該成分の添加
配合量は0.5〜10重量％程度である。

前記成分を添加配合した本発明の耐火物も上述と同様に
不焼成品または焼性品として使用することができる。

［実施例］以下に、実施例を挙げて本発明のアルミナ−スピネル−
カーボン質耐火物を更に説明する。

実施例以下の第１表に本発明品及び比較品を使用するために使
用したマグネシア富化スピネルの化学組成を記載する：第１表成分重量％ MgO 48.9 Al₂O₃ 50.0 CaO 0.6 SiO₂ 0.2 ペリクレース量 29.2 以下の第２表に記載する配合割合をもつ杯土混合物に炭
素結合形成剤として液状フェノール樹脂を３重量％（外
掛）で添加、混練し、230mm×114mm×65mmの形状に成形
し、150℃で24時間乾燥することにより不焼成品として
本発明品１〜４及び比較品１〜３を作製した。得られた
本発明品及び比較品の特性を第２表に併記する。

［発明の効果］本発明のアルミナ−スピネル−カーボン質耐火物は、マ
グネシア富化スピネル粗粒を使用することによりマグネ
シアを使用した場合と同様にスピネル生成によりマトリ
ックスを強化するという利点を有し、しかも空隙を生成
することが少ないために、充分な強度及び耐食性を有す
る。

また、本発明のアルミナ−スピネル−カーボン質耐火物
は適度な残存膨張を持続することができるために、目地
損傷が少ない等の利点を有する。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】マグネシア富化スピネル粗粒５〜87重量
％、アルミナ質耐火材粗粒０〜82重量％、アルミナ質耐
火材微粉10〜47重量％、炭素材３〜30重量％及び炭素結
合形成剤１〜10重量％（外掛）よりなるアルミナ−スピ
ネル−カーボン質耐火物。
【請求項２】金属珪素粉、アルミニウム粉、マグネシウ
ム粉またはそれらの合金粉、及び炭化珪素粉よりなる群
から選択された１種または２種以上の成分を含有してな
る請求項１記載のアルミナ−スピネル−カーボン質耐火
物。