JPH067477U - 両軸受型リール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リール操作時のホールド性や操作安定性が向
上し、糸絡みをほどく時もレベルワインドに糸を通す時
も操作性が良好な両軸受型リールを提供すること。 【構成】 スプール７を支承する両側枠１、２を有し、
釣糸の送り出し方向で両側枠間にレベルワインド８を設
け、レベルワインドの上側からスプールの上側を覆う指
当て板９を両側枠の前後方向にスライド可能とする手段
を有し、指当て板を前方にスライドした時はスプール部
が露出するようにし、後方にスライドした時はレベルワ
インド部が露出するように構成した。 【効果】 ホールド性や操作安定性が向上し、かつ親指
を楽に載せることができ、糸絡みをほどく時もレベルワ
インドに糸を通す時も操作性が良好となる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は両軸受型リールに関し、特にリール両側枠間のレベルワインドの上側 からスプールの上側までを指当て板で覆い、この指当て板をレベルワインド側と スプール側とにスライド可能に設けた両軸受型リールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、両軸受型リールにはキャスティング動作の際や片手でリールを保持する 時に、安定性を向上したり保持する手の親指が疲れないようにする目的からリー ルの両側枠間に指当て板を設けている。しかしキャスティングの終期に釣糸の繰 りだし速度が低下し、釣糸を巻きつけてあるスプールの回転速度が低下しないこ とにより釣糸が絡み合うバックラッシュが生じた時、絡み合った釣糸をほぐすの にその指当て板が邪魔になった。さらに、レベルワインドに釣糸を通すのに指当 て板が邪魔になった。

【０００３】 そのため実開昭６０−２２１７８号公報に示されるように、指当て板を両側枠 間に回動自在に軸支して開閉可能としたものがある。魚釣時には指当て板を第１ の回動位置である両側枠上を覆う位置に保持固定して、親指をその上で休止させ ることができ、また釣糸をレベルワインドに糸通しする場合や、バックラッシュ を処理する場合には指当て板を第２の回動位置に位置させて両側枠から離反した 起立位置に位置せしめている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、実開昭６０−２２１７８号に示される構造は、指当て板の前端部か後 端部の一方を回転可能に軸支するものなので、次のような問題が指摘される。具 体的には指当て板の前端部を軸支した構造では、レベルワインドに釣糸を通すの は容易になるが、糸絡みが生じた場合には、回動起立させた指当て板が邪魔にな る。一方、指当て板の後端部を軸支した構造では、レベルワインドに釣糸を通す のに邪魔になり、実用上不都合であった。 本考案は上記問題点に鑑みなされたものであり、リール操作時のホールド性や 操作安定性が向上し、かつ親指を楽に載せることができ、糸絡みをほどく時もレ ベルワインドに糸を通す時も操作性が良好な両軸受型リールを提供することを目 的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案はスプールを支承する両側枠を有し、釣糸の 送り出し方向で該スプールの前方にかつ該両側枠間にレベルワインドを設け、該 両側枠上方位置で該両側枠間に延設された指当て板を有する両軸受型リールにお いて、（ａ） 該指当て板は、魚釣時に該レベルワインドの上側から該スプール の上側までを覆う位置に固定可能であるとともに、（ｂ）該指当て板を前後方向 にスライド可能にするためのスライド手段を有し、該指当て板を前方にスライド した時は該スプールが露出するようにし、後方にスライドした時は該レベルワイ ンドが露出するように構成した両軸受型リールを提供している。

【０００６】

【作用】

本考案にかかる両軸受型リールは、両側枠間に指当て板を前後方向にスライド 可能に設け、通常の操作時には親指を載せて使用することができ、糸絡みが生じ た時は指当て板を前方にスライドさせてスプール部を露出せしめ、容易に糸絡み をほどくことが可能となり、また釣糸をレベルワインドに通す時には指当て板を 後方にスライドさせてレベルワインドを露出せしめ、糸通し操作を容易に行える こととなる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案による両軸受型リールの１実施例について図１乃至図８に基づき 説明する。 同図において、リール本体４は、支柱１０、１１、１２、１３で互いに連結さ れた一対の側枠１、２と、釣竿に固定するために該側枠１、２の下部に設けられ た脚１４を有する。この側枠１、２の間にはスプール７が回転自在に支承され、 スプール７の中心に一体的にスプール軸６が設けられている。側枠２に設けたカ バー５内にはマスターギヤおよびピニオンギヤから成るギヤユニット（図示せず ）が収納されている。マスターギヤはハンドル１９に連結され、ピニオンギヤは このマスターギヤと噛合すると共に、前記スプール軸６の一端に係脱自在に係合 されている。側枠１に設けたカバー３にはスプール軸６の他端を支承する軸受部 材（図示せず）が収納されている。カバー３および５はネジ１５、１６にて側枠 １、２に固定されている。

【０００８】 図６の断面で示すように、リール本体４の前部には両側枠１、２間に回転可能 にかつスプール７の前方にトラバースカム軸１８が設けられ、更にこのトラバー スカム軸１８を保護し、その外周をレベルワインド８を案内するための部材とし て作用する保護筒１７が設けられている。そしてこのレベルワインド８は、公知 の歯車伝達機構によりトラバースカム軸１８が軸心周りに回転すると、スプール ７の軸方向に往復運動可能となっている。すなわち、ハンドル１９を回転するこ とにより、前期スプール７を回転させると共に前期レベルワインド８を往復運動 させ、釣糸Ａをスプール７に一様に巻き取るように構成されている。

【０００９】 図２に示すように両側枠１、２の上部、すなわちレベルワインド８の上側から スプール７の上側にわたって溝１ａ，２ａが形成されている。該溝１ａ，２ａは スプールの軸方向に刻設されている。更に、各溝１ａ，２ａの前後両端近くに係 止部１ｂ、１ｂ’および２ｂ，２ｂ’をそれぞれ設けている。そしてこの溝１ａ ，２ａににスライド可能に指当て板９を係合させている。

【００１０】 図３は指当て板９を示す概略斜視図であり、指当て板９はレベルワインド８の 上側からスプール７の上側までを覆うように幅広かつ長尺に形成してある。図３ に示すように、指当て板９は溝１ａ，２ａに係合摺動可能のように、両側端の前 後に係止突起９ａを合計４箇所設けてある。図４は、図２のＩＶ−ＩＶ線に沿っ た断面図であり、溝１ａにスライド可能に指当て板９を係合させた状態を示すも のである。係止突起９ａは弾性を有する部材、たとえば合成樹脂やバネ用の金属 材料で作られ、指当て板９をスライドさせる時に加えられる前方、あるいは後方 への押圧力によって弾性変形するものである。通常は、指当て板９を溝１ａ，２ ａに係合させ、図５に示すように４箇所の係止突起９ａを溝１ａ，２ａの係止部 １ｂ，１ｂ’および２ｂ、２ｂ’とそれぞれ係合させ指当て板９を前後方向で固 定させている。

【００１１】 次に、上記のように構成された本実施例による両軸受型リールの作用について 説明する。図６、図７、図８は図２のＶＩ−ＶＩ線に沿った断面図であり、図６ は指当て板９を通常位置に固定して使用している状態を示し、図７は指当て板９ を前方にスライドさせてスプール７を露出させた状態を示し、図８は指当て板９ を後方にスライドさせてレベルワインド８を露出させた状態を示している。

【００１２】 指当て板９をリール本体４に取り付ける時は、本体４の溝１ａ，２ａに沿って 指当て板９を押し込む。この時、係止突起９ａは弾性変形して収縮し、溝１ａ， ２ａに係合される。溝１ａ，２ａでは、係止突起９ａは変形状態から通常状態に もどり、溝に沿って摺動して図６に示される通常位置に至る。ここでは係止突起 ９ａは各前後係止部１ｂ、１ｂ’、２ｂ、２ｂ’と係合し、指当て板９を前後方 向で固定させる。この状態でキャスティング等の操作を行い、親指Ｂを載せて使 用することを可能とする。

【００１３】 糸絡みが生じ、これを解こうとする場合、図７の矢印Ｃで示される釣糸Ａの送 り出し方向（前方）に指当て板９を強く押す。するとこの押圧力によって前方側 の係止突起９ａは係止部１ｂ、２ｂに強く押しつけられ、弾性変形して両者の係 合状態が解除される。この状態で、指当て板９は容易に釣糸Ａの送り出し方向に 移動でき、図７に示すようにスプール７が全面的に露出して絡んだ釣糸Ａを解く ことが可能となる。この時、指当て板９の後方側の係止突起９ａは溝１ａ，２ａ の前方の係止部と当接して、指当て板９が脱落することを防止する。

【００１４】 一方、レベルワインド８に釣糸Ａを通そうとする場合は、図８の矢印Ｄで示さ れる方向（後方）に指当て板９を強く押す。するとこの押圧力によって後方側の 係止突起９ａは係止部１ｂ’，２ｂ’に強く押しつけられ、弾性変形して両者の 係合状態が解除される。この状態で、指当て板９は容易に後方に移動でき、図８ に示すようにレベルワインド８を全面的に露出させて、釣糸Ａを容易にレベルワ インド８に通すことができる。この時、指当て板９の前方側係止突起９ａは溝１ ａ，２ａの後方の係止部１ｂ’、２ｂ’と当接して、指当て板９が脱落すること を防止する。

【００１５】 図９は指当て板９の係止突起の他の実施例を示す図４と同様な部分断面図であ る。図９において、指当て板９０の前記突起箇所には絞り部９０ｂを有する凹部 ９０ａが形成され、該凹部に対して脱落不能に可動突起９２が設けられている。 該可動突起９２はバネ９１によって常に側枠方向へ付勢され、係止部１ｂ、１ｂ ’２ｂ，２ｂ’と当接係合することによって指当て板９を固定させる。該指当て 板９０の前方または後方へのスライドについては、該可動突起９２がバネ９１の 付勢力に抗して凹部９０ａ方向に移動して前方側の係止部１ｂ、２ｂ，または後 方側係止部１ｂ’，２ｂ’に乗り上がることにより達成される。

【００１６】

【考案の効果】

以上、説明したように本考案による両軸受型リールの指当て板は、レベルワイ ンドの上側からスプールの上側までを覆うように幅広に形成してあるので、リー ル操作時リールのホールド性が向上し、保持する親指の疲労が軽減する。また指 当て板をレベルワインドの上側からスプールの上側でスライド可能としたので、 回動して指当て板を開く従来の構造に比較して、上方向にかさばることもない。 そして指当て板をレベルワインドの前方とスプールの後方へスライド可能とした ので、糸絡みを解く場合もレベルワインドに糸を通す場合のどちらも操作性が良 好である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例による両軸受型リールの概略斜
視図。

【図２】図１の両軸受型リールを上から見た平面図。

【図３】本考案の両軸受型リールの指当て板を示す概略
斜視図。

【図４】図２のＩＶ−ＩＶ線に沿った断面図。

【図５】図４のＶ−Ｖ線に沿った断面図。

【図６】図２のＶＩ−ＶＩ線に沿った断面図。

【図７】指当て板を前方にスライドさせてスプールを露
出させた状態を示す断面図。

【図８】指当て板を後方にスライドさせてレベルワイン
ドを露出させた状態を示す断面図。

【図９】指当て板の係止突起の他の実施例を示す図５と
同様な部分断面図。

【符号の説明】

１、２： 側枠 ４： リール本体 ７： スプール ８： レベルワインド ９： 指当て板 １ａ，２ａ：溝 １ｂ，１ｂ’、２ｂ、２ｂ’： 係止部 ９ａ： 係止突起

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スプールを支承する両側枠を有し、釣糸
   の送り出し方向で該スプールの前方にかつ該両側枠間に
   レベルワインドを設け、該両側枠上方位置で該両側枠間
   に延設された指当て板を有する両軸受型リールにおい
   て、 該指当て板は、魚釣時に該レベルワインドの上側から該
   スプールの上側までを覆う位置に固定可能であるととも
   に、 該指当て板を前後方向にスライド可能にするためのスラ
   イド手段を有し、該指当て板を前方にスライドした時は
   該スプールが露出するようにし、後方にスライドした時
   は該レベルワインドが露出するように構成したことを特
   徴とする両軸受型リール。