JPH0673724B2 - タンディッシュストッパー - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は金属の連続鋳造に使用されるタンディッシュ
用のストッパー即ちタンディッシュストッパーに関し、
さらに詳しくはタンディッシュの金属溶湯のモールドへ
の流下注入量をコントロールすると共にタンディッシュ
からモールドまでの溶湯流路に配置する耐火物への鋼中
の非金属介在物の付着堆積を抑制するための不活性ガス
バブリング機能を備えたことを特徴とする連続鋳造用タ
ンディッシュストッパーに関するものである。

（従来の技術） 従来の技術について鋼の連続鋳造を例にして述べる。連
続鋳造用タンディッシュストッパーは、連続鋳造操業で
タンディッシュからモールドへ溶鋼を注入流下するのに
その注入量の調節を行ない、そして鋳造を終了する際の
注入を停止するためのものであり、従来よりその全長を
一定の寸法で分割したタイプと一体型となったタイプの
ものがあり、この発明は主として一体型タンディッシュ
ストッパー（ロングストッパーと呼称される）を対象と
している。（以後タンディッシュストッパーと呼ぶ。） 従来、アルミキルド鋼やシリコンキルド鋼など鋳造する
溶鋼に非金属介在物が含まれている鋼種の連続鋳造で
は、その鋳造が多数回連続で長時間に亘り行なわれる
と、タンディッシュとモールド間に配置される浸漬ノイ
ズ内孔即ち溶鋼流路面に次第に介在物が堆積し鋳造の続
行を維持できなくなることから、第２図のタンディッシ
ュストッパー（ロングストッパー）1aの先端部5aのガス
バブリング用ガス吹単孔７より内孔6a側からの不活性ガ
スを第１図の浸漬ノズル２の内孔部３へバブリングせし
めて前記非金属介在物の付着堆積を抑制する方式や、浸
漬ノズル２の内孔部３へ当該浸漬ノズル２の内孔部３壁
面に設けられたガス溜より内孔壁体の気孔を介してアル
ゴンガスなどの不活性ガスをバブリングせしめて、介在
物を洗い流す方式のスリット式浸漬ノズルなどが非金属
介在物の付着堆積防止のための手段として用いられてい
ることは公知のことである。

前記の各方法については、連続鋳造操業のための種々の
条件、即ち鋼種，鋳造速度，溶鋼温度，鋳造時間，浸漬
ノズル内孔部３での溶鋼流量，モールドパウダー成分と
使用量などに合わせた不活性ガスのバブリング、即ちバ
ブリングの適用位置や範囲及び不活性ガスの種類並びに
バブリング圧力とその流量など、そしてタンディッシュ
ストッパー1aの先端部5aと浸漬ノズル内孔部３での不活
性ガスのバブリング量の分担バランスなどに亘って微妙
なコントロールをすることにより、浸漬ノズル２の垂直
内孔部３においては、非金属介在物の付着堆積を抑制
し、ある程度の鋳造の多数回長時間化を図ることができ
たが目標とするレベルに達していない状況下にある。こ
れは浸漬ノズル２の垂直内孔部３以外のタンディッシュ
ストッパー1aとの嵌合部４となるトップ朝顔部分での前
記非金属介在物の付着堆積について対策がとられていな
いため、タンディッシュストッパー1aの主目的である流
量コントロールが利かなくなることや、流量自体の低下
などを招き、この点での要因による連続鋳造の多数回連
続長時間鋳造操業が阻害され限定を余儀なくされると共
にこの部位で生ずる付着物が剥離し、これが鋳片に巻込
まれてその品質や歩留りに著しい悪影響を及ぼすと共に
操業コストを押上げるなど多くの重要な課題を残してい
た。

（発明が解決しようとする問題点） 同様に鋼の連続鋳造を例として述べる。前記のようにア
ルミキルド鋼やシリコンキルド鋼などの鋳造での長時間
多数回連続鋳造を実施する上で浸漬ノズル全長に亘って
非金属介在物の付着堆積によるノズル閉塞やコントロー
ルの乱れ、鋳片品質と歩留りの低下などトータルで連続
鋳造操業に著大な悪影響を及ぼしており、この中でこの
発明は浸漬ノズルのトップ朝顔部と嵌合するタンディッ
シュストッパーのボトム部との両者での非金属介在物の
付着堆積抑制を図るべくなされたものである。

タンディッシュストッパーでの非金属介在物付着対策は
前記のようにボトム最先端部に設けられたガス吹単孔７
や埋込式ポーラスプラグ７′よりの不活性ガスのバブリ
ングによるものであり、これらはタンディッシュストッ
パー1aと浸漬ノズル２の朝顔部との嵌合部４での非金属
介在物の付着や堆積を抑制する作用は全くない。

この発明ではあくまでも前記タンディッシュストッパー
1aボトム部と浸漬ノズル２のトップ朝顔部との嵌合部４
での非金属介在物の付着と堆積の進行を抑制し、浸漬ノ
ズル２の垂直内孔部３での他の公知の各種の介在物付着
抑制方法と組合わせて採用することにより連続鋳造を多
数回長時間に亘り連続して鋳片品質と歩留りを許容レベ
ル内で保ちつゝ円滑な操業を実現することを目的として
いる。

（問題点を解決するための手段） この発明は前記の問題点を解決するためになされたもの
であって次のように構成してある。

即ちこの発明のタンディッシュストッパーは、鋳造時の
溶鋼流量コントロールにおいて、浸漬ノズルのトップ朝
顔部との嵌合部近傍またはその上部位置に複数個のガス
バブリング用の0.1mm〜0.5mmの直径または１辺の大きさ
の円形または多角形の貫通細孔をタンディッシュストッ
パー軸芯に対し放射状に、そして上下方向へは水平線に
対して上下方向にそれぞれ30゜、左右にそれぞれ45゜の
範囲において操業条件に合わせて３次元方位までを対象
に配置し、さらには必要に応じ局部に限定した配設を選
択した配置をし、不活性ガス供給装置より該タンディッ
シュストッパーに導入された不活性ガスを必要圧力で必
要量内孔より外面に向けてバブリングし、前記問題点を
解決せんとするものである。

ここで限定理由を述べる。先ず貫通細孔の大きさを0.1m
m〜0.5mmとしたのは、0.1mm以下は製造上不可能であ
り、0.5mm以内としたのはタンディッシュストッパーの
内孔に不活性ガスを鋳造に適した背圧で送り込んでもタ
ンディッシュの溶鋼のヘッド圧により溶鋼がタンディッ
シュストッパー内孔へ逆流するからである。

また貫通細孔の配設角度を上下方向30゜以内及び左右45
゜以内としたのは製造上の限界であるからである。

この発明を以下実施例について図面第１〜10図を参照し
ながら説明する。

〔実施例〕

先ず１はタンディッシュストッパー、２は浸漬ノズルで
何れもアルミナグラファイト質で成っている。

第１図で鋳造時の溶鋼の流量コントロールでの嵌合部４
となるタンディッシュストッパー１の先端部５部位を中
心とした近傍部位、即ち下方へ10mm、上方へ200mmの範
囲に亘り、その太さ0.1mm〜0.5mmで、その断面形状が円
形または多角形で成る内孔６から外面に貫通する貫通細
孔9,9′を複数個、該タンディッシュストッパー１の軸
芯８に対して径方向へ放射状に上向30゜〜下向30゜の範
囲に、そして放射角度は左右へそれぞれ45゜の範囲にお
いて鋳造条件に応じて３次元方位に、また各種の角度を
組合わせることも可能で、複数個の貫通細孔9,9′がそ
れぞれ一定の間隔で配設されており貫通細孔ゾーンが形
成される。

第4,5図の実施例では、タンディッシュストッパー１の
先端部５に軸芯８に対して径方向へ放射状に下向き30゜
角度で複数の貫通細孔９が設けられている。

また第１〜３図は上方部位のみの配置例であり、貫通細
孔９′よりバブリングされた不活性ガスは鋳造条件によ
り差異は生ずるものの、その大部分は浸漬ノズル側へ溶
鋼により引き込まれ、この発明の目的を果し、残る一部
分はタンディッシュ湯面まで上昇しつゝ非金属介在物を
捕捉し湯面に浮上させる溶鋼清浄効果を発揮することと
なる。

なお第１〜３図には請求項１の発明（タンディッシュス
トッパーの軸芯に対して水平方向にその内孔面より外面
に向け放射状に0.1〜0.5m/mの貫通細孔を複数個配設し
て成ることを特徴とするタンディッシュストッパー。）
の実施例が、第4,5図には請求項２の発明（貫通細孔が
ストッパー軸芯に対して水平線の上下方向へそれぞれ30
゜の範囲の角度により配設されるものである。）の実施
例が、第６図には請求項３の発明（貫通細孔がストッパ
ー水平断面においてストッパー軸芯に対し左右へそれぞ
れ45゜の範囲の放射角度により配設されるものであ
る。）の実施例が、第7,8図には請求項４の発明（貫通
細孔がストッパー軸芯に対して成す角度が水平線の上下
方向へそれぞれ30゜の範囲及びストッパー水平断面にお
いて左右へそれぞれ放射角度45゜の範囲の複合した範囲
の角度により配設されるものである。）の実施例が、そ
して第９図には請求項５の発明（貫通細孔が水平方向及
び上下方向に局部的に限定配設構成されるものであ
る。）の実施例がそれぞれ例示されている。また請求項
１に係る本発明では貫通細孔を放射状に複数個配設して
成るものがあり、この場合の貫通細孔の個数は「２個」
以上であれば、たとえば２個だけでも「放射状」に配設
されていればこの発明の課題が解決されるものであるこ
とは勿論である。

（発明の効果） 実施例に基づいたこの発明の効果は、タンディッシュス
トッパーと浸漬ノズルの嵌合部に生ずる非金属介在物の
付着堆積を不活性ガスのバブリングにより効果的に抑制
し、連続鋳造操業を目標とする回数を可能ならしめ、さ
らに非金属介在物付着堆積抑制による介在物の成長が大
巾に抑制される結果、鋳片に巻込まれる介在物のサイズ
が微小化されるため、品質への影響を及ぼすサイズがな
くなり、鋳片品質と歩留りに決定的な影響がなく、両者
の向上効果となる。

また従来に比べ、さらに長時間の連続鋳造が可能となる
など操業コストが大巾に低下できることを含め著大な効
果をもたらすものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明タンディッシュストッパーの実施例を示
す正面図、第２図は同縦断面図、第３図は同横断面図、
第４図は本発明タンディッシュストッパーの実施例を示
す縦断面図、第５図は同底面図、第６図は本発明タンデ
ィッシュストッパーの実施例を示す横断面図、第７図は
本発明タンディッシュストッパーの実施例を示す縦断面
図、第８図は同横断面図、第９図は本発明タンディッシ
ュストッパーの実施例を示す縦断面図、第10図はタンデ
ィッシュストッパーと浸漬ノズルの取合いを示す縦断面
図、第11図及び第12図は従来のタンディッシュストッパ
ーの縦断面図である。 1,1a……タンディッシュストッパー、２……浸漬ノズ
ル、３……内孔部、４……嵌合部、5,5a……先端部、6,
6a……内孔、７……ガス吹単孔、７′……埋込式ポーラ
スプラグ、８……軸芯、9,9′……貫通細孔、

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】タンディッシュストッパーの軸芯に対して
   水平方向にその内孔面より外面に向けて放射状に0.1〜
   0.5m/mの貫通細孔を複数個配設して成ることを特徴とす
   るタンディッシュストッパー。
2. 【請求項２】貫通細孔がストッパー軸芯に対して水平線
   の上下方向へそれぞれ30゜の範囲の角度により配設され
   るものである請求項１記載のタンディッシュストッパ
   ー。
3. 【請求項３】貫通細孔がストッパー水平断面においてス
   トッパー軸芯に対し左右へそれぞれ45゜の範囲の放射角
   度により配設されるものである請求項１記載のタンディ
   ッシュストッパー。
4. 【請求項４】貫通細孔がストッパー軸芯に対して成す角
   度が水平線の上下方向へそれぞれ30゜の範囲及びストッ
   パー水平断面において左右へそれぞれ放射角度45゜の範
   囲の複合した範囲の角度により配設されるものである請
   求項１記載のタンディッシュストッパー。
5. 【請求項５】貫通細孔が水平方向及び上下方向に局部的
   に限定配設構成されるものである請求項１記載のタンデ
   ィッシュスストッパー。