JPH0669595U - Ｆｒｐ揚湯管におけるネジ接続部の保護構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 温泉用ＦＲＰ揚湯管およびエア一管のネジ接
続部分において、温泉の泉質による腐蝕と揚湯時に発生
する振動接触による摩耗を防ぎ、揚湯管およびエアー管
の寿命を長期化することを目的とする。 【構成】 ＦＲＰ揚湯管やエアー管のネジ接続部分を締
付けた後に、熱可塑性熱収縮チューブをネジ接続部分全
面に差込み、熱を加えて収縮固着させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、温泉用井戸等に使用される温泉井戸用揚湯管およびエアー管にお けるネジ接続部の保護構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、ＦＲＰなど強化プラスチックスで製作された温泉井戸用揚湯管やエア ー管の接続部分は、ネジ型で成形するか、機械加工した雄ネジと雌ネジを用い、 パイプレンチなどを用い、接続ネジ部分の外側を加え、回転させながら締付ける か、又はネジを成形しないプラスチック管とソケットを用い、接着剤で固着しな がら接続し、接触部分を保護せず、そのまま温泉井戸内に順次接続しながら降ろ す方法がとられている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、温泉の泉質には、硫酸性ガスや塩類などの腐蝕の原因となる泉質の ものが多い。 従って、この温泉を汲上げるために使用される鉄パイプなどは１ないし２か月 で腐蝕し、使用できなくなる場合が多い。

【０００４】 この対策として、最近では耐食性に優れた強化プラスチック管を使用する井戸 が多くなっているが、強化プラスチック管に使用されるガラス繊維は、泉質に含 まれる硫酸性成分やふっ酸などがガラス繊維に直接触れるとガラス繊維が腐蝕し 、強度を低下させ、使用できなくなる場合がある。

【０００５】 この保護方法として、管の内外面に耐食層を設け保護しているが、ネジ接続部 分は、パイプレンチなどで締付けるため、この保護層に傷をつけ繊維が露出した り、管の端面が出るため、直接腐蝕性成分の影響を受けるという不具合があった 。

【０００６】 また、温泉井戸内に配管した揚湯管やエアー管は、稼動中の振動により、管内 面とネジ接続部分の突起部が接触し、摩耗が激しく短時間で穴があく場合がある 。

【０００７】 この考案は、このような事情に鑑みてなされたもので、ＦＲＰ揚湯管やエアー 管におけるネジ接続部の耐食性を高めることにより、ＦＲＰ揚湯管，エアー管の 寿命を長期化したＦＲＰ揚湯管におけるネジ接続部の保護構造を提供することを 目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案に係るＦＲＰ揚湯管におけるネジ接続部の 保護構造は、ＦＲＰ揚湯管内に配設される雌ネジエアー管と雄ネジエアー管とが ネジ接続部で締結固定されているとともに、このネジ接続部の外表面に熱可塑性 熱収縮チューブを嵌め込み、加熱処理することにより、ネジ接続部を熱収縮チュ ーブで収縮固着したことを特徴とする。

【０００９】

【作用】

以上の構成から明らかなように、ネジ接続部は締付け時に必ずパイプレンチの 歯により締付け外面に傷がつき、ガラス繊維部分が露出する。また、接続部分の 端面は管内外面のように保護層を設けることができないため、この部分も繊維が 露出し腐蝕性成分に直接晒される。

【００１０】 このような部分を腐蝕性成分に対し安定な熱可塑性熱収縮チューブにより被覆 することにより、腐蝕性成分の侵入を防ぎ、欠陥となる部分を保護することが可 能となる。

【００１１】 また、揚湯管やエアー管は稼動中に振動を起こし、接続部分の突起は絶えず接 触するため、同材質の場合はいずれも摩耗を生じる。従って、この接触するネジ 部分に材質の異なった弾力性のある熱可塑性熱収縮チューブを緩衝材として設け ているため、管は摩耗せず長期間使用が可能となる。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案によるＦＲＰ揚湯管におけるネジ接続部の保護構造について、添 付図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１３】 図１は本考案によるＦＲＰ揚湯管の断面図であり、温泉用井戸のエアーリフト 法に使用する揚湯管の構成を示すもので、ケーシング管１内には揚湯管２が配管 されており、また揚湯管２内には雌ネジエアー管３と雄ネジエアー管４とを接続 したエアー管が配管されている。

【００１４】 そして、エアー管から圧縮空気が送られ、エアー管の先端から空気が温泉源に 入り、温泉源に空気が入ることにより温泉の比重が軽くなり、周囲の温泉の周囲 との比重差により揚湯管２内を温泉の湯が押し上げられるという原理である。

【００１５】 さらに、揚湯管２およびエアー管３，４は、それぞれ温泉に含まれる腐蝕性成 分に対して浸蝕されにくい強化プラスチックスを材料としており、雌ネジエアー 管３と雄ネジエアー管４とはネジ接続部分をパイプレンチ等で締付け接続される 。

【００１６】 ところで、本考案の特徴は、このネジ接続部の保護構造に関するもので、ネジ 接続部の外表面を覆うように熱可塑性熱収縮チューブ５をセットして、加熱処理 を施して、ネジ接続部の外表面に収縮固着するという構成である。

【００１７】 すなわち、エアー管３，４のネジ接続部の外径より１〜１０ｍｍ内径の大きい 熱可塑性熱収縮チューブ５を準備しておき、これをネジ接続部より１０〜５０ｍ ｍ長く切断し、雌ネジエアー管３あるいは雄ネジエアー管４のいずれかに挿入し ておく。

【００１８】 そして、雌ネジエアー管３と雄ネジエアー管４とをパイプレンチ等で締付け接 続した後、挿入しておいた熱可塑性熱収縮チューブ５をネジ部分に取付け、ガス バーナやトーチランプ，蒸気などの熱源で加熱収縮させる。このようにして順次 接続し配管する。

【００１９】 このようにして、ＦＲＰ揚湯管２やエアー管３，４のネジ部分を保護すること により、接続時に発生した傷や管端面のガラス繊維露出部分が直接腐蝕性成分に 接触せず、長期的に安定して揚湯管２やエアー管３，４を使用することができる 。

【００２０】 また、同時に使用時の振動による管内面とネジ突起部分の接触摩耗に対しても 、熱可塑性熱収縮チューブ５の弾力性により摩耗することなく安定して使用が可 能となる。

【００２１】 上記熱可塑性熱収縮チューブの材質としては、ふっ素樹脂，ポリプロピレン樹 脂，塩化ビニル樹脂，ポリエチレン樹脂など熱可塑性樹脂から適宜選択すればよ い。

【００２２】 なお、熱可塑性熱収縮チューブ５を取外す際は、カッターナイフなどで切断し 、エアー管３，４のネジを回転操作することにより簡単にエアー管３，４を取外 すことができる。

【００２３】

【考案の効果】

以上説明した通り、本考案は、強化プラスチック製揚湯管およびエアー管のネ ジ接続部に、熱可塑性熱収縮チューブを被覆保護することにより、以下に記載す る格別の効果を有する。 （１）ネジ接続時に損傷した箇所から露出するガラス繊維を腐蝕性泉質成分か ら保護するとともに、端面が露出するガラス繊維を同様に腐蝕性泉質成分から保 護する。 （２）揚湯時の振動に対する腐蝕性泉質成分から保護する。

【００２４】 従って、（１），（２）の保護効果により強化プラスチック製揚湯管の寿命を 大幅に長期化させることができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるネジ接続部の保護構造を示すＦＲ
Ｐ揚湯管の構成を示す断面図である。

【符号の説明】

１…ケーシング管 ２…揚湯管 ３…雌ネジエアー管 ４…雄ネジエアー
管 ５…熱可塑性熱収縮チューブ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ＦＲＰ揚湯管内に配設される雌ネジエア
   ー管と雄ネジエアー管とがネジ接続部で締結固定されて
   いるとともに、このネジ接続部の外表面に熱可塑性熱収
   縮チューブを嵌め込み、加熱処理することにより、ネジ
   接続部を熱収縮チューブで収縮固着したことを特徴とす
   るＦＲＰ揚湯管におけるネジ接続部の保護構造。