JPH0669384U - スクロール圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】潤滑油の循環が容易なスクロール圧縮機を得
る。 【構成】中央に透孔８を具える凹陥部９を設けて駆動軸
軸受１０を配設し、その外側に環状凹部１１を設けてそ
の中間の高所に環状溝１２を設け、シールリング１３を
配設してスラスト軸受１４とする。駆動軸軸受１０に駆
動軸６を挿入し、その上端に偏心して設けた偏心軸受７
に旋回スクロール軸４ｃを挿入して旋回スクロール４を
スラスト軸受１４にて支持する。凹陥部９と環状凹部１
１を連結する環状溝１２より深い潤滑油供給溝１８を設
ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はスクロール圧縮機に関し、詳しくは潤滑油の通路構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来例によるこの種のスクロール圧縮機としては、図３に示すフロン等のガス 体の圧縮機がある。同図において、内部を高圧室２とした密閉容器１内に、鏡板 ３ａに渦巻状のラップ３ｂを立設させると共にほぼ中央に吐出孔３ｃを穿設して なる固定スクロール３が固定され、その下方に同じく鏡板４ａの一面に渦巻状の ラップ４ｂを立設させると共に他面に旋回スクロール軸４ｃを設けた旋回スクロ ール４がラップを噛み合わせて偏心して配設され、上記両ラップ間に圧縮室５が 形成されている。上記旋回スクロール軸４ｃは図示していないモーターにより駆 動される駆動軸６の上端に偏心して設けた偏心軸受７に挿入され、一方、中央に 透孔８を具える凹陥部９を設けて駆動軸軸受１０を配設し、その外側に環状凹部 １１を設けて図示していないオルダムリングを配設し、その中間の高所に環状溝 １２を設けてシールリング１３を配設してスラスト軸受１４としてなるフレーム １５の上記駆動軸軸受１０に駆動軸６を挿入し、上記スラスト軸受１４にて旋回 スクロール４を支持し、上記駆動軸６の下端にポンプ部を設けて密閉容器１底部 の油溜に浸漬し、同軸内に送油孔１６を穿設してしてポンプ部と各軸受部を結ん でいる。また上記送油孔１６上部は分岐されてフレーム１５に穿設した貫通送油 孔１７を通して環状凹部１１に連通され、同部には旋回スクロール４が臨んでい る。更に、固定スクロール３とフレーム１５の側壁には密閉容器１との間に潤滑 油の戻り孔１９が設けられて、固定スクロール３が臨む密閉容器１の上部と油溜 のある下部を連絡している。 従って、圧縮機が運転されると、圧縮室５外側から入る低圧ガスが圧縮されて 吐出孔３ｃから高圧室２に吐出されて外部負荷に供給される。一方、油溜の潤滑 油はポンプ部から送油孔１６内を上昇して偏心軸受７に供給され、凹陥部９に流 出して駆動軸軸受１０に給油し、さらに環状溝１２に達する。又送油孔１６上部 で分岐した潤滑油は貫通送油孔１７を経て環状凹部１１を満たし、オルダムリン グに給油すると共に旋回スクロール４を介して圧縮室５内に到り、ラップに給油 して吐出孔３ｃより高圧室２に噴出され、戻り孔１９を経て油溜に戻る。このよ うにして、高圧側である凹陥部と低圧側である環状凹部間にガス洩れ防止用のシ ールリングを設けて圧縮効率を高めた小型圧縮機の各部に給油が行われている。 しかしながら、貫通送油孔１７の穿孔は技術を要する上に兎角閉塞される欠点 がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記従来例の問題点に鑑みてなされたもので、環状凹部への給油を容 易にしたスクロール圧縮機を提供することを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するため、この考案においては、内部を高圧室とした密閉容器 内に鏡板に渦巻状のラップを立設させた固定スクロールを固定し、同じく鏡板の 一方の面に渦巻状のラップを立設させると共に他面に旋回スクロール軸を設けた 旋回スクロールをラップを噛み合わせて偏心して対向させ、モーターにより駆動 される駆動軸の上端に偏心して設けた偏心軸受に上記旋回スクロール軸を挿入し 、中央に透孔を具える凹陥部を設けて駆動軸軸受を配設し、その外側に環状凹部 を設けてオルダムリングを配設し、その中間の高所に環状溝を設けてシールリン グを配設してスラスト軸受としてなるフレームの上記駆動軸軸受に駆動軸を挿入 し、上記スラスト軸受にて旋回スクロールを支持し、上記駆動軸の下部にポンプ 部を設けて密閉容器底部の油溜の潤滑油を同軸内に設けた送油孔を通して各部に 供給してなるスクロール圧縮機において、上記スラスト軸受に上記凹陥部と環状 凹部に連通する、環状溝より深い潤滑油供給溝を設けてなることを特徴としてい る。

【０００５】

【作用】

潤滑油は凹陥部より潤滑油供給溝を通して環状凹部に供給されるので、貫通送 油孔を必要としない。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案による圧縮機の一実施例を本機の部分縦断面図である図１及びフ レーム１５の平面図である図２に基づいて説明する。図示するように、内部を高 圧室２とした密閉容器１内に、鏡板３ａに渦巻状のラップ３ｂを立設させると共 にほぼ中央に吐出孔３ｃを穿設してなる固定スクロール３が固定され、その下方 に同じく鏡板４ａの一面に渦巻状のラップ４ｂを立設させると共に他面に旋回ス クロール軸４ｃを設けた旋回スクロール４がラップを噛み合わせて偏心して配設 され、上記両ラップ間に圧縮室５が形成されている。上記旋回スクロール軸４ｃ は図示していないモーターにより駆動される駆動軸６の上端に偏心して設けた偏 心軸受７に挿入され、一方、中央に透孔８を具える凹陥部９を設けて駆動軸軸受 １０を配設し、その外側に環状凹部１１を設けて図示していないオルダムリング を配設し、その中間の高所に環状溝１２を設けてシールリング１３を配設してス ラスト軸受１４としてなるフレーム１５の上記駆動軸軸受１０に駆動軸６を挿入 し、上記スラスト軸受１４にて旋回スクロール４を支持し、上記駆動軸６の下端 にポンプ部を設けて密閉容器１底部の油溜に浸漬し、同軸内に送油孔１６を穿設 してしてポンプ部と各軸受部を結んでいる。本考案の特徴である潤滑油供給溝１ ８が上記スラスト軸受１４に穿設されている。同溝１８は凹陥部９と環状凹部１ １を連結するようにスラスト軸受１４上面に穿設され、深さを環状溝１２よりや や大としてシールリング１３の下側に連通部を設けると共に、連通部の断面積を 潤滑油が通過する際十分に圧力降下して低圧側の圧力に影響しない大きさに選ば れている。この環状凹部１１には旋回スクロール４が臨み、固定スクロール３と フレーム１５の側壁には密閉容器１との間に潤滑油の戻り孔１９が設けられて、 固定スクロール３が臨む密閉容器１の上部と油溜のある下部を連絡している。

【０００７】 次にこの圧縮機の動作を説明する。図示していないモータの回転軸と一体とな って駆動される駆動軸６の回転により、偏心して支持されている旋回スクロール 軸４ｃはこの偏心距離を半径とする円を描いて旋回する。そして図示を省略した オルダムリングに規制されて旋回スクロール４は固定スクロール３に対して見掛 け上自転しないように旋回し、固定スクロール３に対してラップを構成する各円 の一点を常にほぼ接触させながら旋回運動を行い、その接触点を外周から中心に 連続して移動させていく。これにより圧縮室５の外周から吸入される低圧ガスは 中心に送られるにつれて空間容積が減少するので圧縮されて高圧ガスとなり、吐 出口３ｃから高圧室２に入って外部機器に供給される。一方、油溜の潤滑油はポ ンプ部から送油孔１６内を上昇して偏心軸受７に供給され、凹陥部９に流出して 駆動軸軸受１０に給油し、さらに環状溝１２に達する。又凹陥部９と環状凹部１ １は潤滑油供給溝１８により連通しているので、凹陥部９に流出した潤滑油は潤 滑油供給溝１８を通って環状凹部１１を満たし、オルダムリングに給油すると共 に旋回スクロール４を介して圧縮室５内に到り、ラップに給油して吐出孔３ｃよ り高圧室２に噴出され、戻り孔１９を経て油溜に戻る。このようにして、高圧側 である凹陥部９と低圧側である環状凹部１１間にガス洩れ防止用のシールリング １３を設けて圧縮効率を高めた小型圧縮機の環状凹部１１に給油が行われ、連通 部の断面積を適正に選んでいるので低圧側に影響することがない。

【０００８】

【考案の効果】

上述したように、凹陥部９と環状凹部１１を連結するようにスラスト軸受１４ 上面に潤滑油供給溝１８を穿設したので、環状凹部１１への給油通路の製作が容 易となると共に閉塞のおそれがなくなり、その連通部の断面積を適正に選んで低 圧側の圧力に影響しないようにしたので、シールリング１３により低圧側と高圧 側間のガス洩れが防止され、圧縮効率を高くして高能率にするという優れた効果 を奏することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるスクロール圧縮機の部分断面図で
ある。

【図２】本考案によるスクロール圧縮機の要部の内部平
面図である。

【図３】従来例によるスクロール圧縮機の部分断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 密閉容器 ２ 高圧室 ３ 固定スクロール ３ａ 鏡板 ３ｂ ラップ ４ 旋回スクロール ４ａ 鏡板 ４ｂ ラップ ４ｃ 旋回スクロール軸 ６ 駆動軸 ７ 偏心軸受 ８ 透孔 ９ 凹陥部 １０ 駆動軸軸受 １１ 環状凹部 １２ 環状溝 １３ シールリング １４ スラスト軸受 １５ フレーム １６ 送油孔 １８ 潤滑油供給溝

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部を高圧室とした密閉容器内に鏡板に
   渦巻状のラップを立設させた固定スクロールを固定し、
   同じく鏡板の一方の面に渦巻状のラップを立設させると
   共に他面に旋回スクロール軸を設けた旋回スクロールを
   ラップを噛み合わせて偏心して対向させ、モーターによ
   り駆動される駆動軸の上端に偏心して設けた偏心軸受に
   上記旋回スクロール軸を挿入し、中央に透孔を具える凹
   陥部を設けて駆動軸軸受を配設し、その外側に環状凹部
   を設けてオルダムリングを配設し、その中間の高所に環
   状溝を設けてシールリングを配設してスラスト軸受とし
   てなるフレームの上記駆動軸軸受に駆動軸を挿入し、上
   記スラスト軸受にて旋回スクロールを支持し、上記駆動
   軸の下部にポンプ部を設けて密閉容器底部の油溜の潤滑
   油を同軸内に設けた送油孔を通して各部に供給してなる
   スクロール圧縮機において、上記スラスト軸受に上記凹
   陥部と環状凹部に連通する、環状溝より深い潤滑油供給
   溝を設けてなることを特徴とするスクロール圧縮機。