JPH0668198B2

JPH0668198B2 - 構造用材料

Info

Publication number: JPH0668198B2
Application number: JP61147077A
Authority: JP
Inventors: 正久半田; 直岡本; 澄行松原
Original assignee: 三井建設株式会社
Priority date: 1986-06-25
Filing date: 1986-06-25
Publication date: 1994-08-31
Anticipated expiration: 2009-08-31
Also published as: JPS634160A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、主として引張り強度の低いコンクリート材料
から成る構造物内に埋設して該構造物の引張り強度を強
化するために用いる補強材であって、鉄筋やPC鋼線の代
用等に使用される構造用材料に関する。

（従来の技術）従来、コンクリート構造物の補強に鉄筋が使用されてい
るが、鉄筋に錆が生じたりして耐久性に問題があり、ま
た構造物が重量化するという不都合を有していた。

かかる不都合を解消するものとして、第５図示の如く、
コンクリートよりも引張り強度の大きな化学繊維材料で
形成される複数本の細線ａを組紐状に編成し、各細線ａ
を結合剤ｃで結着して棒状体ｂとした構造用材料が本出
願人により提案されている（特開昭61−290150号公報参
照）。

（発明が解決しようとする問題点）前記提案の構造用材料において、剛性並びに靱性を向上
させることが望まれていた。

本発明は、こうした要望を満足する剛性並びに靱性に優
れた前記提案のタイプの構造用材料を提供することを目
的とするものである。

（問題点を解決するための手段）本発明では、コンクリートよりも引張り強度の大きな化
学繊維の細線の複数本を組紐状に編成し且つ各細線を互
いに結合剤で結着した棒状体の構造用材料において、該
棒状体の長手方向に沿って鉄製芯材を埋設し、該棒状体
と該芯材を結合剤で結着することにより、上記の目的を
達成するようにした。

（作用）該棒状体の長手方向に鋼製芯材が埋設されているので、
該細線を結合剤で結着しただけの棒状体よりも鉄製芯材
により剛性及び靱性が増大し、また鉄製芯材のみの場合
よりも軽量の割に強度が増大する。しかも、該鉄製芯材
は化学繊維の棒状体で被覆されているので錆が生じるこ
ともない。

（実施例）以下、添付図面に従って本発明の実施例に付き説明す
る。

図示のものは、本発明の構造用材料（１）をコンクリー
ト（２）の補強材として用いた例を示す。

第１図及び第２図は、予め立設された４本の主筋（３）
…にそれらを相互に接続する形で剪断補強筋（４）を捲
回し、その周囲にコンクリート（２）を打設してコンク
リート構造物（５）として構成したものを示し、この主
筋（３）…及び剪断補強筋（４）として本発明の構造用
材料（１）を用い、該構造物（５）の引張り力を支持す
るようにした。

該構造用材料（１）は、第３図示の如く、コンクリート
（２）よりも引張り強度の大きな材料で形成される化学
繊維の細線（６）として芳香族ポリアミド繊維のモノフ
ィラメントを用い、これを８本の集合糸（７）から成る
丸打紐状に編成された棒状体（８）に形成し、結合剤
（９）として例えばエポキシ系結合剤を用い、該各細線
（６）を互いに結着してあるが、更に、本発明の特徴と
するところに従って、該棒状体（８）の長手方向に沿っ
て鉄製芯材（10）として鉄筋を埋設し、該棒状体（８）
と該芯材（10）を前記と同様の結合剤（９）で結着し
た。

該細線（６）を構成する芳香族ポリアミド繊維として
は、直線配位性芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテル
アミド、芳香族ポリサルファイドアミド、芳香族ポリス
ルフォンアミド、芳香族ポリメチレンアミド、芳香族ポ
リケトンアミド、芳香族ポリアミンアミド及びこれらの
共重合体から成る繊維等が含まれる。また、該細線
（６）は前記芳香族ポリアミド繊維に限ることなく、炭
素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維等の無機繊維、ポ
リエステル繊維、高強度ポリオレフィン繊維、強力ポリ
ビニルアルコール繊維等の有機繊維であって、コンクリ
ートの引張り強度よりも大きい化学繊維を単独で或いは
組み合わせたりして用いることができる。また、該細線
（６）を長さ方向に異型断面を不規則に有するように構
成すれば、該各細線（６）間の摩擦抵抗が大きくなって
該各細線（６）に加わる応力が構造用材料（１）に伝わ
り易くなると共に、該構造用材料（１）とコンクリート
（２）の密着性が向上するので好ましい。

該細線（６）の組紐状への編成は、前記丸打紐状の他、
角打紐状、平打紐状等、種々の組紐状に編成できる。ま
た、これらを異形断面織として構造用材料（１）とコン
クリート（２）の密着性を向上させることもできる。一
般的なコンクリートの引張り強度は約20kg／cm²であ
り、芳香族ポリアミド繊維の引張り強度は20000kg／cm²
である。

前記結合剤（９）としては、エポキシ系、ポリエステル
系、ビニルエステル系、フェノール系、ポリイミド系等
の常温或いは熱硬化性樹脂、アルカリ金属ケイ酸塩系、
コロイダルシリカ系、リン酸塩系、セメント系等の常温
或いは加熱硬化型有機・無機複合材料等を用いることが
できる。

尚、細線（６）同士を結着する結合剤（９）と、棒状体
（８）と鉄製芯材（10）とを結着する結合剤（９）は、
一般には含浸処理によって同一のものを用いるが、結着
特性を考慮して、夫々異なる種類のものを用いてもよ
い。

前記鉄製芯材（10）としては、鉄筋に限らず、PC鋼芯材
や高張力鋼芯材等が用いられ、その材質は高剛性高靱性
を備えた鉄材であればよい。該芯材（10）は１本に限ら
ず、複数本埋設するようにしてもよく、また該芯材（1
0）を異型とすれば、棒状体（８）との密着性が向上す
る。

他の実施例として、第４図示の如く、前記実施例の構造
用材料（１）の細線（６）並びに鉄製芯材（10）を、そ
れらの軸方向にプレストレスを与えた状態で夫々結着す
るようにしてもよい。尚、前記実施例と同一部材は同一
符号を付してその説明は省略する。

尚、図示しないが、前記各実施例の構造用材料（１）の
棒状体（８）の表面に粒径100〜2mm程度の二酸化ケイ
素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、タングステンカー
バイト、炭化ホウ素、黄玉等の無機粉粒体を付着させ、
コンクリート（２）との密着性を向上させるようにして
もよい。

本発明の具体的実施例は次の通りである。

鉄製芯材（10）として直径13mmのSBPR80の丸鋼を用い、
これらの周囲に1420デニールの芳香族ポリアミド繊維
（ケブラー49）の複数本から成る細線（６）の36本を組
紐状に編成して鉄製芯材（10）が長手方向に埋設された
棒状体（８）を作製した。尚、この36本の細線（６）で
組紐状に編成すると、直径9mmの組紐が編成できる。こ
の棒状体（８）をエポキシ系樹脂の結合剤（９）の溶液
に浸漬し、これを硬化させて構造用材料（１）とした。
この構造用材料（１）の強度を測定したところ、第６図
の曲線Ａのようになった。一方、この細線（６）の36本
で直径9mmの組紐を編成し、これを上記結合剤（９）を
含浸させて硬化させてサンプルの構造用材料を作製し、
その強度を測定したところ、第６図の曲線Ｂのようにな
った。また、直径13mmの該丸鋼の芯材（10）の強度を測
定したところ、第６図の曲線Ｃのようになった。

これより強度は、丸鋼の芯材（10）のみの場合や上記サ
ンプルの構造用材料よりも大きくなり、靱性も比較的大
きいことが分かる。また、剛性は、上記サンプルは0.6
×10⁶kg／cm²であったが、該芯材（10）が埋設されたこ
とにより1.5×10⁶kg／cm²となった。

（発明の効果）このように本発明によれば、コンクリートよりも引張り
強度の大きな化学繊維の細線の複数本を組紐状に編成し
且つ各細線を互いに結合剤で結着した棒状体の構造用材
料において、該棒状体の長手方向に沿って鉄製芯材を埋
設し、該棒状体と該芯材を結合剤で結着したので、該構
造用材料の剛性並びに靱性が向上し、また、同じ強度を
出すには、鉄筋だけのものより軽量なものとし得、しか
も芯材のまわりが該棒状体で被覆されるので、該芯材に
錆が生じる虞もない等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の構造用材料を構造物のコンクリートに
使用した例の平面線図、第２図はその正面線図、第３図
は本発明の構造用材料の１実施例の一部截断拡大正面
図、第４図は他の実施例の一部截断拡大正面図、第５図
は先に提案した構造用材料の拡大正面図、第６図は本発
明の構造用材料の強度を示す線図である。１……構造用材料、６……細線８……棒状体、９……結合剤 10……鉄製芯材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】コンクリートよりも引張り強度の大きな化
学繊維の細線の複数本を組紐状に編成し且つ各細線を互
いに結合剤で結着した棒状体の構造用材料において、該
棒状体の長手方向に沿って鉄製芯材を埋設し、該棒状体
と該芯材を結合剤で結着したことを特徴とする構造用材
料。