JPH0667817U - 内燃機関の排ガス浄化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内燃機関の排ガス浄化装置において、未燃炭
化水素等を吸着捕捉するガス吸着層の耐久性を向上させ
る。 【構成】 排ガス管路の触媒層の上流側にバイパス管路
を設けて該バイパス管路中にガス吸着層を配設し、触媒
層及びガス吸着層の温度を検知してガス吸着層入口の開
閉弁を制御するコントローラにより、触媒層の活性が得
られる高温時には、バイパス管路の開閉弁を閉じて排ガ
スをガス吸着層を通さないように構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃機関の排ガス通路中に設けた触媒層により、排ガス中の有害物 を除去する内燃機関の排ガス浄化装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

通常、ディーゼルエンジンでは、ボイラと同様に排ガス中のＮＯ_X （窒素酸化 物）を除去するため、温度３００−４００℃で排ガス中のＮＯ_X とほぼ等モルの アンモニアを加えた後、ＮＯ_X 還元触媒と接触させてＮ₂ とＨ₂ Ｏに転換する方 法が採られている。

【０００３】 また、火花点火ガソリンエンジン及びガスエンジンにおいては、排ガス流路に 白金−ロジウム−パラジウム系の三元系触媒層を設け、エンジンを排ガス中の酸 素濃度がほぼ０％となるように理論混合比にて燃焼させて運転することによって 、ＮＯ_X 接触分解を高脱硝率に維持し、かつ、未反応の炭化水素及び一酸化炭素 を酸化して排気を浄化する方法が採られている。

【０００４】 また、銅イオン交換型高シリカゼオライトあるいはメタロシリカ系触媒を使用 すれば、排ガス中に酸素が存在していても脱硝作用をなすことができるとともに 、未反応の炭化水素や一酸化炭素の酸化作用もなし得る。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

前記した通常の触媒では、排ガス温度が低く、触媒ベッド温度が低い場合には 充分な触媒活性を得ることはできない。特に、エンジンの起動時や極低負荷時に は排ガス温度もきわめて低く、未反応の炭化水素等の中間生成物を多量に排出す るが、触媒活性が不十分で浄化することが出来ない。

【０００６】 従って、本考案の目的は、排気温度が上昇して未燃炭化水素等の酸化作用が充 分となった場合には、排ガスをガス吸着層をバイパスさせて、ガス吸着層を高温 ガス中に曝さないようにしてガス吸着層の耐久性を向上させることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

排気管路に、アンモニアを還元剤とするＮＯ_X 還元触媒を充填した触媒層を装 着した内燃機関において、触媒層の上流側排気管路から分岐して排気管路に合流 するバイパス管路を設け、該バイパス管路に未反応の炭化水素を吸着し得る吸着 剤を充填したガス吸着層を設ける。

【０００８】 さらに、前記ガス吸着層の上流にバイパス路を開閉する開閉弁を設けるととも に、触媒層及びガス吸着層の温度の検出信号を受けて前記開閉弁を開閉制御する コントローラを設ける。

【０００９】

【作用】

内燃機関においては、起動時あるいは極低負荷時にはシリンダ内の温度が充分 に上昇しておらず、未燃の炭化水素や中間生成物を多量に排出する。上記起動時 及び極低負荷時においては、ガス吸着層の上流側に設けた開閉弁が開となり、排 ガス中の炭化水素や中間生成物をガス吸着層に導いて吸着させる。 ガス吸着層及び触媒層の温度が上昇すると、コントローラはこれを検知して開 閉弁を閉じ、排ガスはガス吸着層をバイパスして触媒層に導かれ、浄化作用がな される。

【００１０】 これにより、ガス吸着層を高温のガスが流れるのを防止でき、ガス吸着層の耐 久性が向上するとともに、機関の起動から最大出力運転までの全運転範囲で充分 な排ガスの浄化作用がなされる。

【００１１】

【実施例】

以下図面を参照して本考案の実施例を詳細に説明する。 図１は本考案に係るディーゼル機関用排ガス浄化装置を示す系統図であり、図 において、１はディーゼル機関のシリンダ、２は燃料噴射弁、３は燃料供給ポン プ、４は燃料供給管、５は燃料タンク、６は給気管、７は各シリンダの給気管６ に分岐接続される給気集合管である。

【００１２】 ８は各シリンダの排気出口に接続される排気管、９は各シリンダの排気管８が 集合する排気集合管である。 １１は、排気集合管路９に設けられた排ガス浄化用の触媒層であり、白金−ロ ジウム−パラジウム系の三元触媒又は銅イオン交換型高シリカゼオライト、ある いはメタロシリカ系触媒等、公知の触媒が装填されている。

【００１３】 ２０は排気のバイパス管で、触媒層１１の上流側の排気管路９から分岐して触 媒層の直上流動で排気管路に合流するようになっている。 該バイパス管路２０には、排ガス中の未燃炭化水素や中間生成物を吸着するガ ス吸着層１０が設けられている。 該ガス吸着層１０は、ゼオライト、アルミナ、メタロシリケート等のペレット あるいはハニカム形に形成した吸着剤が充填されている。

【００１４】 １２はバイパス通路２０のガス吸着層１０上流に設けられた第一の開閉弁、１ ３はバイパス管路２０分岐後の排気管路９に設けられた第二の開閉弁である。 １５は前記第一、第二の開閉弁を開閉制御するコントローラ、１４ａ，１４ｂ は、夫々前記ガス吸着層１０の温度及び触媒層１１の温度を検出する温度検出器 である。

【００１５】 前記コントローラ１５には、前記温度検出器１４ａ，１４ｂからのガス吸着層 １０及び触媒層１１の検出温度が入力され、該コントローラ１５はこの検出温度 に基づき前記第一、第二の開閉弁１４ａ，１４ｂを開閉制御する。

【００１６】 前記コントローラ１５は、機関の起動時及び極低負荷時には、第一の開閉弁１ ２を開弁するとともに第二の開閉弁を閉弁して、全部の排ガスをバイパス管路２ ０中のガス吸着層１０へと流し、排ガス温度が充分に上昇した後は、第一の開閉 弁１２を閉、第二の開閉弁１３を開として排ガスを吸着層１０をバイパスして触 媒層１１へと流すように制御する。

【００１７】 前記実施例の作用について説明すると、機関の起動時及び極低負荷時には、ガ ス吸着層１０及び触媒層１１の温度が低く、コントローラ１５は温度検出器１４ ａ，１４ｂからこの検出温度信号を受けて、第一の開閉弁１２を開、第二の開閉 弁１３を閉となるように制御する。

【００１８】 これにより、排ガスは全量バイパス管２０に入り、ガス吸着層１０内を流れ、 ここで未反応の炭化水素や中間生成物が捕捉されて触媒層１１へと流入する。 該触媒層１１においては、前記吸着層１０から放出された炭化水素を酸化せし める。

【００１９】 機関の出力が増加して排ガス温度が触媒層１１が充分な活性を有する温度まで 上昇すると、ガス吸着層１０及び触媒層１１の温度も上昇し、温度検出器１４ａ ，１４ｂはこの温度上昇を検出してコントローラ１５に入力する。

【００２０】 コントローラ１５は、この温度検出信号を受けて第一の開閉弁を閉、第二の開 閉弁を開に切り換える。これにより排ガスの全量がガス吸着層１０をバイパスし て触媒層１１へ直接流入する。 触媒層１１においては、従来例と同様な排ガス浄化作用を行う。

【００２１】 この場合において、未反応の炭化水素等の吸着作用が不要となったガス吸着層 １０を高温の排ガスが流れることがないので、ガス吸着層１０の劣化が防止でき 、耐久性が向上する。

【００２２】

【考案の効果】

本考案は以上のように構成されているので、次の効果をなし得る。 エンジンの起動時や低負荷時には、排ガス温度が２００℃程度以下とかなり低 く、銅イオン交換型高シリカゼオライト触媒層、メタロシリカ系触媒層または三 元触媒層の触媒活性は不十分である。

【００２３】 エンジンの起動時や低負荷時には前記のようにシリンダ内の温度が低く、クエ ンチング等により多量の炭化水素が排出されるが、先に述べたように、触媒活性 が不十分であるので、触媒層上での酸化は期待できない。本考案に係る排気浄化 装置によれば、触媒層の上流に配設した炭化水素を吸着する吸着剤を充填したガ ス吸着層により、前記未燃の炭化水素を吸着、捕捉することができる。

【００２４】 一方、エンジンの負荷上昇後は触媒温度も十分に上昇し触媒の活性も高くなる ので、ガス吸着層から脱出した炭化水素を触媒層上で酸化し浄化することが出来 る。

【００２５】 さらに、エンジンの暖機後、ガス吸着層の使用が不必要な時には、排ガスをガ ス吸着層をバイパスさせることにより、ガス吸着層の耐久性を確保するとともに 、次回の起動時におけるガス吸着能力を保持することができる。 従って、エンジンの起動から停止まで全運転範囲で十分な排ガス浄化が可能と なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す内燃機関用排ガス浄化装
置の系統図。

【符号の説明】

１…シリンダ、８…排気管、９…排気集合管、１０…ガ
ス吸着層、１１…触媒層、１２…第１の開閉弁、１３…
第二の開閉弁、１４ａ，１４ｂ…温度検出器、１５…コ
ントローラ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 排気管路に、該排気管路を流過する排ガ
   スを浄化する触媒が装填された触媒層を備えた内燃機関
   において、 前記触媒層よりも上流側の排気管路から分岐されて該排
   気管路に合流するバイパス管路を設け、該バイパス管路
   中に排ガス中の未反応炭化水素等の低温時含有物を捕捉
   する吸着材が装填されたガス吸着層を設けるとともに、
   該吸着層の上流側にバイパス管路を開閉する開閉弁を設
   け、 前記ガス吸着層及び触媒層の温度を検出する温度検出器
   と、該温度検出器からの温度検出信号が入力され、前記
   ガス吸着層または触媒層の温度が所定値以上のとき前記
   開閉弁を閉塞して、排ガスを、前記ガス吸着層をバイパ
   スして触媒層に直接導入せしめるコントローラとを備え
   たことを特徴とする排ガス浄化装置。