JPH0665747B2 - 溶射被膜を有する構造体 - Google Patents

溶射被膜を有する構造体

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JPH0665747B2
JPH0665747B2 JP60204066A JP20406685A JPH0665747B2 JP H0665747 B2 JPH0665747 B2 JP H0665747B2 JP 60204066 A JP60204066 A JP 60204066A JP 20406685 A JP20406685 A JP 20406685A JP H0665747 B2 JPH0665747 B2 JP H0665747B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、鋳鉄、各種の鋼、各種の合金、その他の母
材に対する高炭素鉄合金系の溶射被膜、すなわち母材の
表面に溶射法で形成される溶射被膜を有する構造体の組
成に関する。
〔従来の技術〕
本発明者らは、さきに炭素含有率が3%を超える高炭素
鉄合金の溶射法について提案(特開昭59−143060号公報
参照)した。この提案は急速溶融・求速凝固の処理が溶
射法により可能であることに着目し、均一な、つまり、
黒鉛粒の析出のない、微細組織の高炭素鉄合金溶射被膜
の形成法を発明したものである。そしてその中では汎用
的な合金組成として、 Fe−4.3%C、及び Fe−4.3%C−1.5%Si を例示した。ここに(%)は重量%であり、以下全て同
じとする。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述の高炭素鉄合金を用いた溶射被膜は、ある程度の高
温、例えば200〜500℃でのヴィッカース硬度(Hv)が50
0〜650の範囲に保たれ、比較的高温下で使用される物品
に対する溶射被膜として有用なものである。しかしなが
ら、それ以上の高温域、例えば900℃では、Hv50〜150に
低下するので、そのような高温に曝される高硬度表面層
としては必ずしも満足できるものではなかった。
本発明は、溶射法で形成される高炭素鉄合金被覆の高温
下での硬度を、使用条件に十分適合したレベルにまで高
めようとするものである。また、これと同時に、高温下
では酸化され易いことから、高温度と耐酸化性とをあわ
せ備えた溶射被膜を有する構造体が求められる分野も多
いことに鑑み、そのようなニーズにも応えようとするも
のである。さらに、被膜の靭性を所要の値に確保して、
付着性に優れた線状の溶射材に加工することも容易な組
成を得ることを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するべく、本発明者らは種々研究の結
果、溶射被膜に適した材質として次のような高炭素鉄合
金組成を見出すに至った。
即ち、 〔I〕Fe−C−Si−Cr C:約4.0〜5.0% Si:約0.5〜1.0% Cr:約 5〜15% 〔II〕Fe−C−Si−Cr−(X) C,Si,Cr:同上 (X):Al,Bからなる元素群(A)の中から選ばれた1
種の元素、 含有率は、Al:約〜5%, B:約0.3〜0.5% 〔III〕Fe−C−Si−Cr−Mo−(Y) C,Si,Cr,Mo:同上 (Y):Al,Bからなる元素群(B)の中から選ばれた少
なくとも1種の元素、 含有率は、Al:約1〜5%, B:約0.3〜0.5%, 〔IV〕Fe−C−Si−Cr−Al−(Z) C,Si,Cr,Al:同上 (Z):B,Vからなる元素群(C)の中から選ばれた少な
くとも1種の元素、 含有率は同上、 上記〔I〕,〔II〕,〔III〕,〔IV〕の4系統の組成
であり、これら4系統に全て共通して含まれている元素
は、鉄(Fe)、炭素(C)、硅素(Si)、及びクロム
(Cr)である。つまり〔I〕の系統の組成が本発明の全
てに共通した主要な構成要素となっているのであり、こ
れのみによっても本発明の上記課題はほぼ十二分に達成
されるのである。
〔II〕から〔IV〕の系統、つまり、上記〔I〕の系統の
組成に元素群(A),(B),(C)の中に元素を添加
して得られるものは、〔I〕系統合金被膜の諸物性項目
の中のいずれかについての付加的改良効果を与えるにす
ぎないが、全体として見れば〔I〕から〔IV〕が相俟っ
て本発明溶射被膜を有する構造体の用途を広げているも
のである。
高炭素鉄合金に、クロムが15%を越えて多量に、例えば
約20%以上添加されると、(Fe,Cr)7C3のクロムカーバ
イドが多量に生成され、極めて高い硬度が得られるが、
脆性が増し硬くてもろくなる。本発明では高温域で必要
充分な硬度を有するとともに、適度は靭性を有するよう
に、クロム含有率をあえて約15%以内におさえてある。
〔作 用〕
上記の各系統に共通して含まれている硅素は溶射時の鉄
(Fe)−C系の酸化を防ぐ顕著な作用がある。
クロムは、冒頭に記した先の発明との比較において本発
明を特徴づけている最も重要な成分である。クロムは合
金の硬度を上昇させるのみに止まらず溶射過程において
次のような優れた作用を呈する。即ち、被膜層は溶射に
よって超急冷される。その結果、炭素とクロムは一部オ
ーステナイト中へ強制固溶され、ε鉄相と残留オーステ
ナイト相の非平衡な形で存在する。このような被膜は室
温においても高い硬度が得られ、さらにこれを加熱した
際に、微細な安定相であるセメンタイト、及びM3C又はM
7C3のカーバイドなどの炭化物を析出し、加熱温度Al(7
23℃)以上のオーステナイト領域に加熱しても炭化物は
分解せず、黒鉛の析出を防ぐため、高温度においても高
い硬度を維持させることができる。
M3C=(Fe,Cr)3C M7C3=(Fe,Cr)7C3 黒鉛粒は合金の微細組織単位間の、強い外力による強制
的すべり、つまり塑性的変形を助長する一因であると見
られるから、黒鉛粒生成防止が本発明の溶射被膜を有す
る構造体の高温下高硬度をもたらしていると考えられ
る。要するに、クロムは高炭素鉄合金の組織内で炭素を
均一に固定する作用があり、炭素が黒鉛粒として析出す
ることを防止しているのである。
また、高炭素鉄合金とともに用いられるクロムの含有率
が5〜15%であることにより、微細なクロムカーバイド
が分散した状態で析出しやすく、溶射被膜層に適度の靭
性を確保することができる。
上記〔II〕及び〔III〕の系統の一部と〔IV〕の系統の
全てに含まれているアルミニウム(Al)の作用は前述の
硅素と同様に溶射時の酸化を防ぎ、被膜層内の酸化物量
を少なくする。このように高温での酸化を抑制するか
ら、この溶射被膜の耐熱性、耐久性を高めることにな
る。しかしアルミニウムの過度の添加、つまり約5%を
超えての添加はクロムカーバイドの生成を抑える作用が
あるので好ましくない。
モリブデン(Mo)はクロムと同様に、特にクロムとの共
存下で硬度を上げる作用があるとともに、硅素と同様に
溶射時の酸化を防ぐ作用もあり、そのうえ、耐焼付性を
向上し得る。バナジウム(V)は高温(170℃〜)で高
硬質カーバイドを形成するのでやはり溶射被膜の硬度上
昇に寄与している。
尚、硅素には上述の作用のほか、溶射被膜のぬれ性をよ
くする作用があり、クロムとアルミニウムは該被膜表面
の光沢をよくする。
ホウ素については明確な断定はできないが硅素と同様の
作用をなしてもいるものと推測される。
〔発明の効果〕
以上の如く本発明の溶射被膜を有する構造体の溶射被膜
は、基本的にはFe−C−Si−Cr系の組成を有し、クロム
がクロムカーバイド又は鉄・クロムカーバイドとして存
在していると共に、このカーバイドがセメンタイト(Fe
3C)と共存しているから、前者の高硬度とその高温下で
の安定性とが巨視的には当該合金被膜に高温での高硬度
に賦与し、微視的にはFe−C−Cr系に平衡的安定性をも
たらしているものと考えられる。
周知の如く高炭素鉄合金は共晶オーステナイトと共晶セ
メンタイトからなるレデブライト組織を呈しているが、
高温下では、即ち、Al変態以上では安定な黒鉛とオース
テナイトとに変化する。この共晶セメンタイトの分解と
黒鉛の析出とが高温下での高炭素鉄合金の硬度低下の原
因となっている。然るに本発明ではクロムが約5〜15%
という高含有率で存在しているから、オーステナイトに
固溶している炭素が遊離してきてもそれが、黒鉛粒とな
る前にクロムと結合しクロムカーバイドを形成する。そ
してなおも高温が続くとこのクロムカーバイドの表面に
遊離炭素が集まるであろうが、詳細は不明なもののこれ
ら遊離炭素はクロムカーバイドの存在に起因してオース
テナイト相へ再び移行拡散し、これによってオーステナ
イト相の破壊が最小限にくい止められるものと推測され
る。
前記〔I〕系統、即ちFe−C−Si−Cr系の組成を有する
溶射被膜は常温から400℃までの範囲でHv約1100、400℃
を越えると硬度は徐々に低下し600℃でHv約850となる。
故にこの〔I〕系統のものは約400℃〜500℃までの温度
で使用されるに適している。しかし、Fe−C−Si系(前
記特開昭59−143060号参照)が400℃まででHv550前後、
600℃でHv約430であるのと比較すればHv値がそれぞれ2
倍程度にまで上昇していることが明らかであろう。
前記〔II〕から〔IV〕系統のものではその大部分が、60
0℃でHv900〜1100の値を示し、600℃×50時間(空気
中)の耐熱テストの前後においても硬度低下は殆ど見ら
れないから400〜600℃又はそれ以上の高温での使用に適
している。
強い摩擦力が反復又は継続して加わるとともに400℃を
越える高温にさらされる用途としては、内燃機関の諸部
品、特にシリンダライナー、ピストンリング、クランク
シャフト軸受等々、を例示することができる。従って本
発明はこれら諸部品の表面に形成される保護層として極
めて好適な溶射被膜を有する構造体を提供するものであ
る。
本発明では、高炭素鉄合金系の溶射被膜において、クロ
ム含有率を5〜15%におさえてあるので被膜は高温下で
の高い硬度を有するとともに、きわめて微細なクロムカ
ーバイドが分散した状態で形成され、溶射被膜に適度の
靭性をも与える結果となっている。
〔実施例〕
以下、実施例について本発明をさらに詳しく説明する。
一辺が10cmで厚み2mmの軟鋼板に対し線状溶射材を用い
て溶線式溶射器により常法に従って溶射した。即ち酸素
−アセチレン炎で瞬間的に溶射材を溶融させつつ圧縮空
気で噴霧することにより上記軟鋼板表面に厚み0.5mmの
溶射被膜を形成した。
上記の線状溶射材の調整は、前出の特開昭59−143060号
公報に記載の方法、即ち所定混合比で各元素をるつぼへ
投入して加熱溶融させたのち、管状鋳型内へ真空吸引法
で溶湯吸上げを行い、放冷凝固させる、という方法で実
施した。
溶射材組成を該材を用いての溶射被膜硬度(Hv)との関
係について下記の第1表の結果が得られた。尚、硬度は
マイクロヴィッカース硬度試験機によって測定した。
上記の第1表における試験No.1〜19うち、試験No.1〜3
は、比較例を示し、試験No.4〜19が本発明の実施例を示
す。
第1表から明らかなように、Fe−C−Si系に全くクロム
を加えない場合(試験No.1)、及び、約1〜3%のクロ
ムを加える場合(試験No.2,3)に比べて、Fe−C−Si系
に約5〜15%のクロムを加えれば400〜600℃の範囲で一
様に硬度が上昇した(試験No.4〜6のデータ参照)。
前記〔I〕系統のFe−C−Si−Cr系にアルミニウムのみ
を添加すると、第1表における〔II〕系統に示すよう
に、前記〔I〕系統のFe−C−Si−Cr系の同程度にCrを
含有するものに比べて、高温での硬度はやや低下する
(試験No.7のデータ参照)が、ホウ素のみを添加したと
きは、高温での硬度は殆ど変わらない(試験No.8,9のデ
ータ参照)。
前記〔IV〕系統に示すように、Fe−C−Si−Cr系に1〜
5%のアルミニウムとホウ素とを加えると、アルミニウ
ムの添加に関わらず高温域での硬度低下が抑制され(試
験No.10〜15のデータ参照)、特にクロム15%の場合に8
00℃以上での硬度が改良された(試験No.13〜15のデー
タ参照)。このことはFe−C−Si−Cr系にアルミニウム
とバナジウムを組合わせて添加しても同様であった(試
験No.18,19のデータ参照)。
また、前記〔III〕系統に示すように、Fe−C−Si−Cr
系にモリブデンとアルミニウムを組合わせて添加した場
合も同様であった(試験No.16,17のデータ参照)。
尚、アルミニウムについては、溶射時の酸化を防ぎ被膜
層内の酸化物量を少なくする上で有用ではあるが、過度
の添加はクロムカーバイドの生成を抑える作用があるの
で、クロムの量が少なければそれに応じて多少減少させ
た方が望ましい。
これはアルミニウムの含有量が過剰であると、多くのク
ロムを含有した割には、同量のクロムを含有したものに
比べて高温域での硬度が低下する傾向がでること、及
び、アルミニウムの過多がアルミニウムの化合物(特
に、溶射粒子間のアルミニウム酸化物)を生成し、これ
によって溶射粒子間の結合強度が低下するという、被膜
として好ましくない結果をもたらすことを避けるためで
ある。
上記の第1表における試験No.16〜19に対しホウ素を0.3
%さらに添加したものも、これら試験No.16〜19とほぼ
同じレベルの硬度を与えた。又、モリブデンとバナジウ
ムを3%にしたものも試験No.16〜19と同様であった。
本発明の溶射被膜中のクロムとアルミニウムの作用は第
1〜4図によって一層よく理解されるであろう。
第1図はFe−C−Si系(試験No.1)にクロムを添加した
場合の被膜硬度と温度との関係を示し、試験No.2〜3
(第1表参照)、即ちクロムが1〜3%では硬度上昇効
果が殆どなく、試験No.4〜6において、特に試験No.5〜
6において、即ちクロムが5〜15%、望ましくは10〜15
%の場合に常温〜1000℃にわたり顕著な硬度上昇が見ら
れる。これは(Fe,Cr)7C3が形成されるためである。
第2図はFe−C−Si系にクロムを1%と10%添加した場
合の、即ち試験No.2と試験No.5の、溶射被膜断面の顕微
鏡写真(約350倍)である。クロム含有率1%では溶射
後放冷されたままの状態、即ち、As sprayと記したもの
においてはクロム含有率10%のものと組織上では何ら変
化はみられない。しかし大気中で600℃×1hr加熱する
と、クロム含有率1.0%においては(Fe,Cr)3Cの微細な
カーバイド(C)が析出する。一方、クロム含有率10%
のものではマルテンサイト(M)状となり、さらに加熱
温度を上げると微細な(Fe,Cr)7C3カーバイドが析出し
た。このように、1%含有率のものに比べて黒鉛(G)
の生成は顕著に抑制されることから、クロム含有率が増
加すると高温度でも高い硬度を維持させることができ
る。
次に第3図はFe−C−Si−Cr系と、これにアルミニウム
とホウ素とを添加した場合、即ち試験No.9及び試験No.1
3〜15、について被膜硬度と温度との関係を示し、ホウ
素含有率が0.3%であるときはクロム含有率15%に対
し、アルミニウムを5%未満、即ち1〜3%、とすれば
良結果が得られている。
第4図は第2図と比較して明らかなように、アルミニウ
ムの添加によって酸化物(S)が少なくなることを示し
ている。
〔実験例〕
次に、本発明の優位性を立証するため、本発明の基本的
な溶射被膜の成分と同一の成分を用いて、成分比率の異
なる溶射被膜試料を試験的に作製し、これらの試料の硬
度ならびに靭性に関する測定を試みた。
硬度については、第5図乃至第8図に示す。
第5図及び第6図は、低炭素鉄合金系の溶射被膜につい
ての硬度試験結果であり、本発明の試験結果である第1
図または第3図の例に比べて、試験No1,No2とも全体に
硬度が不足し、特に800℃付近での高温強度が極端に低
下していることが判る。クロム含有量を35%と極端に高
くした試験No2の場合でも、常温付近の低い温度域では
かなりの硬度を得られるがやはり800℃付近の高温領域
での硬度が大きく低下している。
第7図及び第8図は、高炭素鉄合金系の溶射被膜につい
ての硬度試験結果であり、本発明の試験結果である第1
図または第3図の例に比べて、かなり低い値を示してい
る。特に、クロム含有量を4%とし、その他の成分およ
び比率が同一である試験No3では、当然のことながら、
クロム含有量5%の本発明のものと近い値を示している
が、高温領域での硬度がやや不足している。また、クロ
ム含有量を35%とした試験No4では、硬度に関しては、
本発明のものを上回るきわめて高硬度を得られるもので
あるが、後述する靭性の面で問題がある。
また、靭性については、溶射被膜の伸びを測定すれば容
易に把握できるが、何しろ測定対象が厚さ数百ミクロン
程度の薄膜であるため、その伸びを精度よく検出するこ
と自体が困難であり、このため、靭性と密接な関係があ
るとみられる金属組織写真から溶射被膜の靭性を推定し
てみる。
第9図乃至第12図は、夫々、先の第5図乃至第8図に示
した各溶射被膜試料の被膜断面の顕微鏡写真(400倍)
であり、各図とも、(イ)がAs sprayの状態、(ロ)が
200℃X 1hr加熱した状態、(ハ)が400℃X 1hr加熱した
状態、(ニ)が600℃X 1hr加熱した状態、(ホ)800℃X
1hr加熱した状態、(ヘ)が1000℃X 1hr加熱した状態
を示している。
第9図は、先の第5図に示した低炭素鉄合金系の、クロ
ム含有量15%の試験No1の被膜断面を示し、この例で
は、組織の針状化やクラックの発生などがなく、靭性の
面での低下はみられなかったが、前述したM3CおよびM7C
3のカーバイドの析出がきわめて少なく、全体に硬度が
不足したものとなっている。
第10図は、先の第6図に示した低炭素鉄合金系の、クロ
ム含有量35%の試料No2の被膜断面を示し、この例で
は、同図(ハ)および(ヘ)に一部クラックの発生がみ
られるように、かなり脆性が増し、靭性の面で問題があ
ると判断できる。しかも、前述したM3CおよびM7C3のカ
ーバイドの析出も割合に少なく、硬度の面でも充分とは
いえない。
第11図は、先の第7図に示した高炭素鉄合金系の、クロ
ム含有量15%の試験No3被膜断面を示している。この例
では、主として多量のM3Cのカーバイドの析出が生じて
いるとみられるものの、同図(ハ)乃至(ヘ)、特に
(ニ)および(ヘ)に、前記析出したM3Cカーバイド組
織の針状化がみられ、この点で靭性が損なわれていると
判断できる。
第12図は、先の第8図に示した高炭素鉄合金系の、クロ
ム含有量35%の試料No4の被膜断面を示し、この例で
は、多量のM3CおよびM7C3のカーバイドの析出がみられ
るものの、図(ハ)および(ニ)にクラックの発生がみ
られることから明かなように、脆性が増し、靭性が損な
われていると判断できる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明に係る溶射被膜の組成と硬度との関係、及び
組成と内部組織との関係を示し、第1図は対照(試験N
o.1〜3)と本発明(試験No.4〜6)を比較したクロム
含有率と硬度のグラフ、第2図はそれぞれを代表して試
験No.2と5とについての顕微鏡写真であり、第3図は高
炭素鉄・高クロムの合金系に対するアルミニウム含有率
と硬度との関係を表すグラフ、第4図は試験No.13につ
いての顕微鏡写真である。第5図乃至第12図は、実験結
果を示すグラフと顕微鏡写真であり、第5図及び第6図
は、低炭素鉄合金系の溶射被膜の硬度と保持温度との相
関を示すグラフ、第7図及び第8図は、高炭素鉄合金系
の溶射被膜の硬度と保持温度との相関を示すグラフ、第
9図(イ)〜(ヘ)乃至第12図(イ)〜(ヘ)は、夫
々、第5図乃至第8図に示した各溶射被膜試料(試料No
1〜No4)の被膜断面の顕微鏡写真である。 (S)……酸化物、(C)……カーバイド、(M)……
マルテンサイト、(G)……黒鉛。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−143060(JP,A) 特開 昭52−103334(JP,A) 特開 昭53−43635(JP,A) 特開 昭58−113368(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄、4.0〜5.0%の炭素、0.5〜1.0%の硅
    素、及び5〜15%のクロムからなる組成の高炭素鉄合金
    系の溶射被膜を有する構造体。
  2. 【請求項2】鉄、4.0〜5.0%の炭素、0.5〜1.0%の硅
    素、5〜15%のクロム、及び次の元素群(A)の中より
    選ばれた1種の元素からなる高炭素鉄合金系の溶射被膜
    を有する構造体、 元素群(A)……1〜5%のアルミニウム、0.3〜0.5%
    のホウ素。
  3. 【請求項3】鉄、4.0〜5.0%の炭素、0.5〜1.0%の硅
    素、5〜15%のクロム、3〜5%のモリブデン、及び次
    の元素群(B)の中より選ばれた少なくとも1種の元素
    からなる高炭素鉄合金系の溶射被膜を有する構造体、 元素群(B)……1〜5%アルミニウム、及び0.3〜0.5
    %のホウ素。
  4. 【請求項4】鉄、4.0〜5.0%の炭素、0.5〜1.0%の硅
    素、5〜15%のクロム、1〜5%のアルミニウム、及び
    次の元素群(C)より選ばれた少なくとも1種の元素か
    らなる高炭素鉄合金系の溶射被膜を有する構造体、 元素群(C)……0.3〜0.5%のホウ素、及び3〜5%の
    バナジウム。
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