JPH0661834U - 搬送パレットの加減速機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この考案は搬送手段によって移動する搬送パ
レットをスムーズに減速及び／又は加速する加減速機構
に係り、搬送パレットを衝撃を与えることなく加速又は
減速することによりパレット上でのワークの位置ずれ等
を防止して高品質のワークを得ると共に、搬送手段を高
速化して能率的な生産を達成するものである。 【構成】 搬送パレットＰにはカムフォロワ１１を突出
して形成すると共に、搬送パレットＰの進行方向と平行
にローラ形の回転部材１を設け、該回転部材１の周面に
は上記カムフォロワ１１を嵌め入れることのできる減速
用溝１ａ及び／又は加速用溝１ｂを形成したことを特徴
とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、フリーフローラインその他の搬送ラインにおいて搬送パレットを 使ってワーク等を移動するのに用いられる搬送パレットの加減速機構に関し、詳 細には搬送パレットをスムーズに減速又は加速することにより、ワーク品質の高 精度化及び搬送速度の高速度化を達成できる搬送パレットの加減速機構に関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

ワークを載置した搬送パレットは搬送手段によって搬送ラインに沿って移動さ れる。この様な搬送パレットはワークステーション等の所定位置に減速停止され 、搬送パレット上に載置されたワークの加工が行われ、必要に応じて再度加速し て再び搬送手段に乗せて移動される。そして搬送手段としては主としてチェーン コンベアやベルトコンベア等が用いられていた。

【０００３】 この搬送パレットを停止させるに当たっては、例えば搬送手段の側部に設けた エアシリンダを駆動させてストッパを搬送軌跡に突出し、このストッパに搬送パ レットを衝突させて停止させていた。

【０００４】 停止された搬送パレットは、ベルト等の搬送手段下方部に設けられた昇降手段 によって持ち上げ、搬送パレットを移動させる搬送手段から離反する方法により 所定位置での停止状態を保つこととしている。従って搬送パレットを再び移動さ せるに当たっては、上記昇降手段を下降させ、常時移動運動をしている搬送手段 上に搬送パレットを接触させ、両部材の摩擦力によって搬送パレットを再びスタ ートさせていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで停止状態の搬送パレットの移動を開始する場合、搬送パレットは搬送 手段の速度と同じ速度になるまでは上記の様に接触する搬送手段との摩擦力によ りスリップすることにより駆動される。従ってその間の加速は受動的にならざる を得ないため加速を能率的に行えないという問題があった。

【０００６】 また搬送パレットの停止はストッパによって急激に減速されることになるので 、搬送パレット上に載置されたワークが位置ずれを生じ易く、ワークの品質が低 下したり損傷を生じる原因となっていた。

【０００７】 従って搬送パレットの急激な減速を回避するためには常時移動している搬送手 段の移動速度を低く設定しなければならず、そのため生産性が低下して能率的な 生産が行えないという問題があった。

【０００８】 そこでこの考案の目的は、搬送パレットの減速停止及び／又は再スタート時の 加速をスムーズに且つ効率的に行い、ワークへの衝撃を最小限に抑制し、ワーク 品質の低下やワークの損傷を防止し、しかも搬送パレットの搬送を高速度で行う ことによりワークの加工を能率的に行うことのできる搬送パレットの加減速機構 を提供する点にある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成し得たこの考案は、搬送手段によって移動する搬送パレットを 減速及び加速させる搬送パレットの加減速機構であって、前記搬送パレットには カムフォロワが突出して形成され、またこの搬送パレットの進行方向と平行にロ ーラ形の回転部材が設けられ、この回転部材の周面には上記カムフォロワを嵌め 入れることのできる減速用溝及び／又は加速用溝が形成されてなる点を要旨とす るものである。

【００１０】

【作用及び実施例】

図１はこの考案の代表的な実施例を示す斜視説明図である。搬送手段１０上に は搬送パレットＰが載置され、矢印Ａ方向へ水平移動するように構成され、この 搬送パレットＰの下面側略中央にはベアリングを使用したカムフォロワ１１が突 出して形成される。

【００１１】 また上記搬送パレットＰが通過する進行軌跡の下方部には、搬送パレットＰの 進行方向と平行に設けられたローラ状の回転部材１とこの回転部材１を回転駆動 する駆動装置２からなる加減速機構が配設される。なお符号３は伝達ベルト、符 号４は駆動装置２の制御装置を示す。

【００１２】 上記加減速機構は搬送パレットを停止するワークステーションに配設され、搬 送パレットＰをスムーズに停止してワークに対して所定の加工を行い、再び搬送 手段１０へ載せて矢印Ａ方向へ移動する。

【００１３】 図３（Ａ）は回転部材１の側面説明図であり、また図３（Ｂ）は前記回転部材 １の周面展開図である。この回転部材１の周面には、前記カムフォロワ１１を嵌 入できる減速用溝１ａ及び加速用溝１ｂが形成され、前記減速用溝１ａの終端１ ａ3は加速用溝１ｂの始端１ｂ2と連続している。なお符号１ａ1及び１ｂ1は溝側 壁面を示す。

【００１４】 この場合減速用溝１ａにおいては、前記カムフォロワ１１を始端１ａ2より嵌 入してから終端１ａ3へ導く間に、搬送パレットＰの移動速度を緩やかに低減し て停止に到らしめる。このとき回転部材１は、駆動装置によって回転駆動されこ の回転部材１が略１回転する間に停止すると共に、搬送パレットＰは搬送手段１ ０の定速度から移動速度０まで減速される。

【００１５】 一方加速用溝１ｂにおいては、回転部材１を回転駆動させることにより、カム フォロワ１１を該溝１ｂに沿わせて始端１ｂ2から終端１ｂ3へ導き、その間に搬 送パレットＰは初速０から搬送手段１０の一定速度まで加速される。

【００１６】 上記減速用溝１ａ及び加速用溝１ｂの軸長手方向への溝形状は、搬送パレット の速度特性及び加速度特性を考慮して変形台形曲線、変形正弦曲線又は変形等速 度曲線等のカム曲線とすることが好ましい。すなわち減速用溝１ａの溝形状はこ れらのカム曲線の減速部を示す様に形成することが好ましく、一方加速用溝１ｂ の溝形状は前記カム曲線の加速部を示す様に形成することが好ましい。

【００１７】 減速用溝１ａの上記の様な構成により、定速移動する搬送パレットＰをスムー ズに減速停止できることとなり、搬送パレットＰ上に載置され位置決めされてい るワークに衝撃を与えることなく、且つ位置ずれや損傷を招く様なことがない。

【００１８】 なお減速用溝１ａの始端１ａ2側の溝幅はカムフォロワ１１の幅より広く形成 しておくことが好ましく、これによりカムフォロワ１１が減速用溝１ａに嵌入す る際に、嵌入位置の誤差が生じた場合であってもカムフォロワ１１を確実に溝内 へ導入することができる。

【００１９】 また加速用溝１ｂの上記の様な構成により、停止状態の搬送パレットＰをスム ーズに搬送手段の速度まで加速することができる結果、搬送手段を高速化した場 合であっても搬送パレットの移送に何らの不都合を生じることはない。しかも前 記した様に回転部材１は駆動装置２により駆動されるから、加速用溝１ｂによる 搬送パレットＰの加速は駆動手段による積極的なものであり、短時間に効率よく 搬送手段の速度まで加速することができる。

【００２０】 なお加速用溝１ｂの終端１ｂ3側の溝幅はカムフォロワ１１の幅より広く形成 しておくことが好ましく、これにより搬送パレットＰの加速後の速度と搬送パレ ット１０の速度との間で誤差が生じた場合であってもスムーズに搬送パレット１ ０上へ搬送パレットＰを載せることができる。

【００２１】 ところで図１に示す例においては、カムフォロワ１１の減速用溝１ａへの嵌入 を制御装置４を使用して行うものを示し、搬送パレットＰの位置センサ５ａと、 回転部材１の回転角度センサ５ｂの 検出値を入力し、制御装置４によって回転 部材１の回転タイミングを調整し、減速用溝１ａの始端１ａ2が真上に位置した ときにカムフォロワ１１がその中へ嵌入する様に同期させる。

【００２２】 この制御例の他、各種センサや駆動クラッチ等を使用してカムフォロワ１１が 減速用溝１ａ（又は後述するバイパス溝１ｃ）へ同期して嵌入できる様にするこ とができる。

【００２３】 図２は搬送パレットＰが回転部材１上で停止した状態を示す一部断面説明図で ある。搬送パレットＰは垂直ガイドロール７ａ上に載置され、移動する搬送チェ ーンロール１０ａより若干離れる様に構成される。すなわちこの例においては、 フレームＦに設けられたガイド１２に沿って図の紙面貫通方向に移動する搬送チ ェーンロール１０ａと非接触状態となることにより、搬送パレットＰはワーク加 工中に停止状態を保つこととしている。

【００２４】 なお搬送パレットＰの横方向（図の左右方向）へのずれ防止するために前記の 従来例においては、搬送パレットをストッパで停止した後搬送パレットに設けら れているピン孔に、下方からエアシリンダを用いてピンを突入させ、前記ピン孔 に嵌合させて位置ずれを防止する作業が必要であった。しかしこの実施例におい ては水平ガイドロール７ｂによって横方向のずれは規制され保持されており、位 置ずれを生じることはないので上記の様な余分な作業時間を要せず、この点ワー クの加工を迅速且つ効率的に行うことができる。

【００２５】 上記した様に図３（Ｂ）は搬送パレットを減速或いは減速停止後引き続き加速 させる加減速機構の例を示すものであるが、図４に搬送パレットの減速機構とし て用いる他の回転部材１の周面形状を示す。図４は回転部材１の周面には減速用 溝１ａのみを形成したものを示し、図の左側よりカムフォロワを導入して減速用 溝１ａの右側端まで導き、搬送パレットの減速停止用機構として使用する。なお 図４は図３（Ｂ）における減速用溝１ａの部分に相当する。

【００２６】 搬送パレットの加速機構としては、図示しないが図３（Ｂ）における加速用溝 １ｂの部分に相当する加速用溝を回転部材の周面に形成したものを用いることが できる。

【００２７】 上記加速用溝１ｂの形状としては、その終端においてカムフォロワの加速度が ０になる様に速度設定されたものであることが好ましく、これによって搬送パレ ットは定速移動する搬送手段にスムーズに載せることができ、ワークに衝撃等を 与えることはない。

【００２８】 一方図５（Ａ）に示す例は、回転部材１の周面に減速用溝１ａ及び加速用溝１ ｂを連続して形成すると共に、さらに回転部材１の軸長手方向に沿って一端面か ら他端面までを貫く様なバイパス溝１ｃが形成されてなるものである。このバイ パス溝１ｃは搬送パレットＰを所定のワークステーションに停止させる必要がな い場合にカムフォロワ１１を無抵抗に通過させ、該搬送パレットＰを定速度で移 動させるときに利用する。この様な回転部材は主にフリーフローラインに利用す ることができる。

【００２９】 なお図３（Ｂ）及び図５（Ａ）に示す減速及び加速用の回転部材は、本来の回 転方向とは逆方向にそれぞれ回転させることによっても減速及び加速用回転部材 として用いることができるのは勿論である。

【００３０】 一方図４に示す減速用の回転部材は、本来の回転方向とは逆方向に回転させる ことによって加速用回転部材として用いることができる。

【００３１】 また図示しない前記加速用の回転部材は、本来の回転方向とは逆方向に回転さ せることによって減速用回転部材として用いることができる。

【００３２】 この考案の加減速機構をフリーフローラインに使用する場合、例えばライン始 端部には回転部材の周面に加速用溝のみを形成した図示しない前記加速機構を配 設すると共にライン終端部には図４に示す減速停止機構を配設し、その間の各ワ ークステーション部位には図３（Ｂ）又は図５に示す加減速機構のいずれかを適 宜配設し、各加減速機構間の搬送手段としてチェーンコンベアやベルトコンベア 等を用いればよい。

【００３３】 この実施例においてはチェーンコンベアの速度を６０ｍ／分に設定した。そし て図３（Ｂ）に示す回転部材の回転数を１２５ｒｐｍに設定し、また図５に示す 回転部材の回転数を９５．８ｒｐｍに設定した。これにより搬送パレットがカム フォロワを介して回転部材の加速用溝からチェーンコンベアに移動する際及びチ ェーンコンベアから回転部材の減速用溝に移動する際の回転部材末端部における 搬送パレットの速度は６０ｍ／分となりチェーンコンベアの速度に同期させた。

【００３４】 なお前記回転部材１の配設位置は図１の様に搬送手段１０，１０の下方中央部 に限定されるものではなく、搬送パレットＰの通過軌跡の周りであれば、側部や 上部等任意の位置に配設できる。

【００３５】

【考案の効果】

この考案は以上のように構成されているので、減速機構における回転部材の減 速用溝によって搬送パレットをスムーズに減速停止できると共に、加速用溝によ って搬送パレットを搬送手段の速度にスムーズに且つ効率的に加速することがで き、搬送パレットに衝撃を与えることなく加減速できる。従って搬送パレット上 のワークに位置ずれや損傷を生じることがなく、且つ搬送手段を高速化できる様 になり生産性を向上させることができることとなった。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の代表的な実施例を示す斜視説明図で
ある。

【図２】搬送パレットの停止状態を示す断面説明図であ
る。

【図３】（Ａ）は回転部材の側面図、（Ｂ）は周面展開
説明図である。

【図４】この考案における回転部材の他の例を示す周面
展開説明図である。

【図５】（Ａ）は図４における回転部材の説明図、
（Ｂ）は正面説明図である。

【符号の説明】

Ｆ フレーム Ｐ 搬送パレット １ 回転部材 １ａ 減速用溝 １ｂ 加速用溝 ２ 駆動装置 １０ 搬送手段

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 搬送手段によって移動する搬送パレット
   を減速させる搬送パレットの減速機構であって、前記搬
   送パレットにはカムフォロワが突出して形成され、また
   該搬送パレットの進行方向と平行にローラ形の回転部材
   が設けられ、該回転部材の周面には上記カムフォロワを
   嵌め入れることのできる減速用溝が形成されてなること
   を特徴とする搬送パレットの減速機構。
2. 【請求項２】 搬送手段によって移動する搬送パレット
   を加速させる搬送パレットの加速機構であって、前記搬
   送パレットにはカムフォロワが突出して形成され、また
   該搬送パレットの進行方向と平行にローラ形の回転部材
   が設けられ、該回転部材の周面には上記カムフォロワを
   嵌め入れることのできる加速用溝が形成されてなること
   を特徴とする搬送パレットの加速機構。
3. 【請求項３】 搬送手段によって移動する搬送パレット
   を減速及び加速させる搬送パレットの加減速機構であっ
   て、前記搬送パレットにはカムフォロワが突出して形成
   され、また該搬送パレットの進行方向と平行にローラ形
   の回転部材が設けられ、該回転部材の周面には上記カム
   フォロワを嵌め入れることのできる減速用溝及び加速用
   溝が連続して形成されてなることを特徴とする搬送パレ
   ットの加減速機構。
4. 【請求項４】 前記回転部材の周面には、減速用溝また
   は加速用溝の他に、該回転部材の両端面を貫くバイパス
   溝が形成されてなる請求項１から３までのいずれかに記
   載の搬送パレットの加減速機構。