JPH0660701U - 一体型翼車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ディスク９と該ディスク９の外周面に略等間
隔に設けた動翼１０とを一体的に形成した一体形翼車に
おいて、ディスク外周面前縁１２を各動翼１０の翼根部
前端１３に且つディスク外周面後縁１４を各動翼１０の
翼根部後端１５に位置させ、ディスク外周面前縁１２か
らディスク前端面１６になだらかに連なりディスク径方
向の断面が凹曲線形状を有する前部環状湾曲面１７並び
に前記のディスク外周面後縁１４からディスク後端面１
８になだらかに連なりディスク径方向の断面が凹曲線形
状を有する後部環状湾曲面１９を設ける。 【効果】 前部環状湾曲面並びに後部環状湾曲面を設け
ることによって、動翼の翼根部前端並びに翼根部後端に
生じる応力集中が抑制される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は一体型翼車に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

ジェットエンジンなどの軸流圧縮機や軸流タービンに用いられている翼車には 、環状のディスクのディスクの外周部に削設した動翼植え込み溝に、動翼の基端 部に形成したダブテイルを嵌め込む組立型翼車の他に、動翼とディスクとを一体 的に形成した一体型翼車がある。

【０００３】 一体型翼車を製作する手段としては、特公平１−２２２８２０号公報等に開示 されている電解加工法がある。

【０００４】 電解加工法による一体型翼車の製作においては、図４に示すように、形成すべ き動翼の腹面並びに背面に合致する翼成形面を有する工具１を陰極とし、また、 一体型翼車となるべき環状の金属素材２を陽極として、工具１より電解液ａを噴 出させながら工具１を金属素材２に接近させるともに、前記の両電極間に電流を 導通させ、工具１と金属素材２との間において大電流密度で放電加工を行うこと よって図４から図６に示すように動翼３を形成させている。

【０００５】 このようにして、金属素材２に動翼３を逐次形成させてゆくと、金属素材２の 電解加工が行われなかった中心部寄りの部分が環状のディスク４となる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

従来、電解加工により製作される一体型翼車では、工具１の形状が電極加工が 容易なように加工本位に設計されているので、動翼３の翼根部の前後長さＬに対 して、ディスク外周面の厚さ（ディスク外周面における前後方向の寸法）Ｔが大 きく、ディスク外周面前縁５が動翼３の翼根部前端６よりも前方Ａ側に位置し、 ディスク外周面後縁７が動翼３の翼根部後端８よりも後方Ｂ側に位置している。 一方、動翼３は高温の燃焼ガスに流通によって昇温されやすいのに対し、ディ スク４は動翼３に比較して昇温されにくく、また、動翼３の翼根部前端６に比べ て翼根部後端８の方が温度が低い。

【０００７】 このため、燃焼ガスの温度を上昇させてエンジンの高出力化を図ろうとすると 、動翼３とディスク４並びに翼根部前端６と翼根部後端８の熱膨張差がより大き くなるとともに、タービンディスクの回転数の向上に起因する遠心力の増大によ り動翼３の翼根部前端６と翼根部後端部８に過大な応力集中が生じることが予想 される。

【０００８】 本考案は前述した実情に鑑みなしたもので、動翼の翼根部前端並びに翼根部後 端における応力集中を抑制することが可能な一体型翼車を提供することを目的と している。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案の一体型翼車においては、環状のディスクと 該ディスクの外周面に略等間隔に設けた動翼とを一体的に形成した一体形翼車に おいて、ディスク外周面前縁を各動翼の翼根部前端にディスク外周面後縁を各動 翼の翼根部後端にそれぞれ位置させ、前記のディスク外周面前縁からディスク前 端面になだらかに連なりディスク径方向の断面が凹曲線形状を有する前部環状湾 曲面並びに前記のディスク外周面後縁からディスク後端面になだらかに連なり且 つディスク径方向の断面が凹曲線形状を有する後部環状湾曲面を設けている。

【００１０】

【作用】

ディスク外周面前縁とディスク前端面との間に前部環状湾曲面を、また、ディ スク外周面後縁とディスク後端面との間に後部環状湾曲面を形成しているので、 動翼の温度上昇やディスクの高回転化により増大する遠心力により動翼の翼根部 前端並びに翼根部後端に生じる応力集中が抑制される。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面を参照しつつ説明する。

【００１２】 図１から図３は本考案の一体型翼車の一実施例を示すもので、９は環状のディ スク、１０は動翼である。

【００１３】 動翼１０はディスク９の外周面１１にディスク周方向に略等間隔に設けられお り、各動翼１０はディスク９と一体的に形成されている。

【００１４】 ディスク外周面前縁１２は各動翼１０の翼根部前端１３に位置し、また、ディ スク外周面後縁１４は各動翼１０の翼根部後端１５に位置している。

【００１５】 更に、前記のディスク外周面前縁１２とディスク前端面１６との間には、なだ らかに連なりディスク径方向の断面が凹曲線形状を有する前部環状湾曲面１７が 形成され、また、前記のディスク外周面後縁１４とディスク後端面１８との間に は、なだらかに連なりディスク径方向の断面が凹曲線形状を有する後部環状湾曲 面１９が形成されている。

【００１６】 上述した形状を有する一体型翼車を製造する際には、金属素材２に電解加工を 施して図３等に示すような一体型翼車を形成された後、該一体型翼車のディスク ９に放電加工等の手段により前部環状湾曲面１７並びに後部環状湾曲面１９を形 成させるようにするか、あるいは、金属素材２に対して機械加工等の手段により 予め前部環状湾曲面１７並びに後部環状湾曲面１９を形成させておく。

【００１７】 上述した構成を有する一体型翼車においては、ディスク外周面前縁１２とディ スク前端面１６との間に凹曲線形状を有する前部環状湾曲面１７を設け、また、 ディスク外周面後縁１４とディスク後端面１８との間に凹曲線形状を有する後部 環状湾曲面１９を形成しているので、動翼１０の温度上昇やタービンディスクの 高回転化により増大する遠心力により動翼１０の翼根部前端１３並びに翼根部後 端１５に生じる応力集中を抑制することができる。

【００１８】 なお、本考案は上述した実施例のみに限定されるものではなく、本考案の要旨 を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

【００１９】

【考案の効果】

以上述べたように本考案の一体型翼車によれば、下記のような種々の優れた効 果を奏し得る。

【００２０】 （１）ディスク外周面前縁を各動翼の翼根部前端に且つディスク外周面後縁を 各動翼の翼根部後端にそれぞれ位置させ、ディスク外周面前端とディスク前端と の間に前部環状湾曲面を形成し、ディスク外周面後縁とディスク後端面との間に 後部環状湾曲面を形成しているので、動翼の温度上昇やタービンディスクの高回 転化により増大する遠心力により動翼の翼根部前端並びに翼根部後端に生じる応 力集中が抑制される。

【００２１】 （２）動翼の温度上昇に起因する翼根部前端並びに翼根部後端の応力集中が抑 制されるので、燃焼ガスの温度を上昇させることが可能となり、エンジンの高出 力化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一体型翼車の一実施例を示す部分切断
斜視図である。

【図２】本考案の一体型翼車の一実施例を示す部分縦断
面図である。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ矢視図である。

【図４】従来の一体型翼車の一例を示す部分切断斜視図
である。

【図５】従来の一体型翼車の一例を示す部分縦断面図で
ある。

【図６】図５のＶＩ−ＶＩ矢視図である。

【符号の説明】

９ ディスク １０ 動翼 １２ ディスク外周面前縁 １３ 翼根部前端 １４ ディスク外周面後縁 １５ 翼根部後端 １６ ディスク前端面 １７ 前部環状湾曲面 １８ ディスク後端面 １９ 後部環状湾曲面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 環状のディスクと該ディスクの外周面に
   略等間隔に設けた動翼とを一体的に形成した一体形翼車
   において、ディスク外周面前縁を各動翼の翼根部前端に
   且つディスク外周面後縁を各動翼の翼根部後端にそれぞ
   れ位置させ、前記のディスク外周面前縁からディスク前
   端面になだらかに連なりディスク径方向の断面が凹曲線
   形状を有する前部環状湾曲面並びに前記のディスク外周
   面後縁からディスク後端面になだらかに連なりディスク
   径方向の断面が凹曲線形状を有する後部環状湾曲面を設
   けたことを特徴とする一体型翼車。