JPH0657139B2 - 清酒の保存方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は清酒の保存方法に関する。更に詳しくは清酒を
ブリスター包装された脱酸素剤と共に密閉容器に保存す
ることを特徴とする清酒の保存方法に関する発明であ
る。

〔従来の技術〕 一般に清酒は貯蔵中に熟成が進行し着色、老香等の品質
劣化をおこしやすい。これらの品質劣化を防止する方法
として従来よりも(1)貯蔵温度を下げる。(2)溶存酸素を
除去する。方法がとられており、(2)の溶存酸素を除去
する方法として活性炭の添加、N₂ガス置換等が試みられ
ている。しかしこれらの方法は完全なものではない。こ
れに代わる方法として脱酸素剤を利用した方法も考えれ
ているが、従来の脱酸素剤を利用した方法も完全なもの
ではない。

一般に脱酸素剤は鉄系のものが多く使用されているが、
脱酸素剤と清酒の接触により脱酸素剤中にアルコール、
水分が移行し脱酸素剤が濡れて脱酸素速度が低下した
り、脱酸素反応が途中で止まってしまうこともあった。
更に清酒中に鉄が溶出して清酒の着色は避けられず産業
面での実施は困難であった。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明は鉄粉、アスコルビン酸、エリソルビン酸又はカ
テコール等を主剤とした脱酸素剤を清酒と共に密閉容器
に使用し清酒と接触しても脱酸素剤が溶出するといった
事態を生ずることなく、スムーズな脱酸素反応を持続的
に行い、ビン、缶等への小型容器への充填が容易に出
来、かつ外観的にも見栄えが良く、異物の混入感のない
脱酸素剤とそれを用いた火入れ前の生酒、原酒、出荷前
後の一般清酒の保存方法に関するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明者等は上記の問題点を解決するために脱酸素剤を
図面に示すような包装材料のブリスターでパック、更に
このブリスターを通気性材料で隔離して密封容器中の空
間部に配置することを発明し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、脱酸素剤を収容したカップ状
プラスチック容器の開口部に実質的に非透気性なる材料
と透気性材料とからな積層材料の透気性材料面を合わせ
透気性接着材料を介し積接着して該開口部を塞ぐことに
より包装してなる、所謂、ブリスター包装された脱酸素
剤をキャップ内蓋に通気性材料で隔離して収納してなる
容器に清酒を密封して保存することを特徴とする清酒の
保存方法である。

本発明においては、脱酸素剤を収容するブリスターを形
成するカップ状プラスチック容器として、例えばポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリアミド、ポリスチレンなどの
カップ状成形容器が用いられる。また、カップ状成形容
器の開口部を封止する積層材料として、例えば紙、プラ
スチックの不織布、マイクロポーラスフィルムなどから
なる透気性材料と、例えばポリエチレンテレフタレー
ト、ポリアミド、ポリビニールアルコール、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニール共重合体
などのプラスチックフィルムからなる実質的に非透気性
なる材料との積層材料を用いることができる。

ブリスター包装体は、上記積層材料の透気性材料面をカ
ップ状成形容器の開口部に合わせ透気性接着材料を介し
接着封止することにより形成することができる。透気性
接着材料は低軟化点の熱融着性樹脂が好ましく、上記積
層材料の透気性材料の透気性材料面に該熱融着性樹脂の
コーティング層を設けるか、該熱融着性樹脂のフィルム
を積層接着し開孔することにより、ヒートシールが可能
となる。

本発明における脱酸素剤のブリスター包装体は、カップ
状プラスチック容器を封止した積層材料周縁の透気性材
料断面を介しブリスター内外の通気を可能とするもので
ある。

第１図はブリスター包装された脱酸素剤で上部(1)と下
部(3)に透気度及び透湿度の少ない包装材料を用いその
間(2)に通気性のある包装材料を用いている。そしてブ
リスターでパックした脱酸素剤を下部に孔をあけたキャ
ップ内に充填することによってこれ等の問題点の解決が
可能になった。即ち透気度、透湿度の少ない包装材料の
間に通気性の包装材料を挿入することによって、包装材
料の側面から脱酸素することによって脱酸素剤の酒類中
の溶出が防止出来る。

第２図は更にこのブリスターをキャップの内側に充填し
た後、このキャップを下部をマイクロポーラスフイルム
かポリエステル、ナイロン、アルミニウム、ポリプロピ
レンにポリエチレン等のシール性を有するプラスチック
フイルムを張り合わせて孔をあけた複合フイルムでシー
ルすることにより酒類と脱酸素剤とをより完全に接触し
ないようにしたものである。

ここでキャップの材質は通常用いられるポリエチレン、
このキャップにシールする微多孔膜は一般にマイクロポ
ーラスフイルムと呼ばれるものでガレー式透気度が0.01
〜10000sec/100ml好ましくは１〜1000sec/100mlであっ
て常圧で液体を通さず気体のみを透過させるもので、例
えばジユラーガード（米、セラニーズ社製）、FP-2（旭
化成製）、NOP（日本石油化学製）、ニトフロンNTF（日
東電気工業）、セルポアNWO1（積水化学製）ゴーアテッ
クス（コネゴーア社製）タイベック（米デュポン社製）
等があげられる。

本発明において第１図の(1)及び(3)で示す透気度、透湿
度の少ない包装材料としては例えばポリエチレン、ポリ
エチレンテレフタレート、塩化ビニル等のプラスチック
ノフィルム又はシート等が用いられる。又(2)で示され
る透気度がある包装材料としては紙、不織布、マイクロ
ポーラスフイルム等が用いられる。更に(1)の透気度、
透湿度の少ない包装材料を用いず、(2)にマイクロポー
ラスフイルムを用い、(2)と(3)の組合せで行うことも可
能である。

脱酸素剤としては鉄系、ハイドロサルファイト系アスコ
ルビン酸系等の通常の脱酸素を粉状、粒状、顆粒、ダブ
レット状等適宜の形に成形したものが用いられる。

〔実施例〕

以下に本発明を実施例により説明する。

実施例１． 火入れ１回の原酒1.8を入れたガラス瓶のキャップの
孔をあけこの中にブリスターパック状の脱酸素剤を充填
し密栓し25℃の室温に150日間保管した。

150日後のきき酒による官能評価は綜合品質で優、着色
を示す吸光度は430mμで0.033、熟成の度合を示す3.D.G
(3.デオキシグリコソン）0.083mM、溶存酸素は0.03ppm
で熟成が進行せず良好に品質保持されていた。一方脱酸
素剤を使用しない原酒はきき酒による綜合品質で不可、
吸光度は0.07、溶存酸素は5.6ppm3.D.Gは0.427mμで着
色と熟成の進行による老香が認められ品質が劣化した。

実施例２． 200ccのサンプル瓶に市販酒150ccを入れキャップの裏部
分にブリスターパック状の脱酸素剤を充填して、ヘッド
スペースの脱酸素速度と清酒の溶存酸素を測定した。そ
の結果、ヘッドスペースの酸素は４日後0.01%以下、清
酒の溶存酸素は0.02p.p.mであった。

実施例３． 200ccのサンプル瓶に市販酒180ccを入れこの中にブリス
ターパック状の脱酸素剤とOPコート耐油紙/PE/ワリフ/P
Eからなる包材でパックされた脱酸素剤を30日間浸漬し
着色度を吸光度で比較した。

その結果ブリスターパック状の脱酸素剤を浸漬した清酒
の吸光度は430mμで0.03で着色が認められなかったがOP
コート耐油紙/PE/ワリフ/PEからなる包材でパックされ
た脱酸素剤を浸漬したものは鉄分の溶出により吸光度は
0.07で黄色に着色した。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明で使用するブリスターパック状の脱酸素
剤を示す。第２図、は脱酸素剤をキャップに二重包装し
た図を示す。第３図は本発明をビン、缶などの容器に適
用する際の望ましい具体例を説明する為の断面図であり
図中の記号は以下の通りである。 １……透気度と透湿度の少ない包装材料 ２……透気度のある包装材料 ３……透気度と透湿度の少ない包装材料 ４……脱酸素剤 ５……キャップ（内蓋） ６……ブリスターパック状の脱酸素剤 ７……透気度のある包装材料（マイクロポーラスフイル
ム等） ８……キャップ下部の孔 ９……空間部 10……外蓋 11……容器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−37117（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】脱酸素剤を収容したカップ状プラスチック
   容器の開口部に実質的に非透気性なる材料と透気性材料
   とからなる積層材料の透気性材料面を合わせ通気性接着
   材料を介し積層接着して該開口部を塞ぐことによりブリ
   スター包装された脱酸素剤をキャップ内蓋に通気性材料
   で隔離して収納してなる容器に清酒を密封して保存する
   ことを特徴とする清酒の保存方法。