JPH0656699U - 回転テーブルに発熱体を挿着した電気炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 バッチ式電気炉の温度分布を改善の為、炉内
に回転テーブルを設置し、回転テーブルに発熱体を取り
付けた場合の端子リード線を接続する方法を提供する。 【構成】 バッチ式電気炉であって、炉内に回転テーブ
ル３と発熱体４を装備し、モータ８及びギヤ１０で回転
させて被処理物を均一に加熱する電気炉において、回転
テーブル内の発熱体４は端子リード線を炉外のリング状
摺動端子７を用いて接続したり、または回転軸内外に沿
って接続し、モータ８とギヤ１０で正逆回転させて端子
リード線が捩れないようにしてある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はバッチ式電気炉に回転テーブルを設置し、回転テーブルに発熱体を挿 着した電気炉に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、電子部品等のセラミックス製品の焼成・加熱処理工程においては炉内の 温度ムラが重要になってきた。すなわち、電子部品焼成時の炉内温度差が２℃あ ると製品得率は１％低下するといわれており、炉内温度分布を均一化する要求が 強い。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来のバッチ式電気炉では熱源である抵抗発熱体を上下に配置することが一般 的であるが、炉扉からの熱放散が無視できないほど大きく、被処理品の特性にバ ラツキが大きかった。 そこで本考案者らは炉床に回転テーブルを設置し、被処理品を回転させて焼成 ムラを減少させる方法を検討したが、この場合には炉床部に回転機構をもつため 炉床部に発熱体を挿着することが困難であった。炉床部に発熱体を装着しない炉 では、やはり炉の上下の温度差が大きく問題であった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案者らはこうした問題点を解決して被処理品をより均一に加熱処理する炉 を検討した。すなわち、バッチ式電気炉であって回転するテーブルをもち、該テ ーブルに抵抗発熱体を取り付け、発熱体の端子リード線をテーブル回転軸または 回転板に固定した２つのリング状摺動端子を介して電源接続した回転テーブルに 発熱体を挿着した電気炉を提供する。 また、上記以外の方法として電気炉の回転テーブルで抵抗発熱体の端子リード 線に撓みをもたせて回転軸の内、または外側に沿って配線し回転テーブルを一定 周期で正逆回転させることを特徴とする回転テーブルに発熱体を挿着した電気炉 を提供するものである。

【０００５】

【作用】

図１は本考案による電気炉であって、回転テーブルに発熱体を挿着し、接続端 子を摺動端子とした電気炉を示す断面図である。回転テーブル３は抵抗発熱体４ を内蔵し、モータ８及びギヤ１０によって回転できる。 図２は別の接続例である。回転テーブル内の発熱体に接続された端子リード線 は回転テーブルの軸の内側に導かれ撓みをもたせて外部に接続されている。回転 テーブルを回転するときにはモータ８及びギヤ１０とで正逆回転させて、端子リ ード線が捩れても断線しないようにしてある。図３は従来のバッチ式電気炉を示 す側面断面図である。

【０００６】

【実施例】

本考案を実施例に基づいて詳細に説明する。

【０００７】 （実施例１） 図１において炉体１は炉内寸法Ｗ４００ｍｍ×Ｌ４００ｍｍ×Ｈ５００ｍｍで 炉内に直径≠３００ｍｍの回転テーブル３が設置されている。さらに、回転テー ブル内にはＵ型炭化珪素発熱体４を２本挿着した。炭化珪素発熱体の端子リード 線は回転テーブルの回転軸内をとおし、回転軸下方にもうけた２つのリング状摺 動端子を介して電源に接続してある。 本考案の炉の効果を調べるため、炉の上下方向４点、左右方向４点の温度分布 を測定した。その結果、炉内温度差は上下で４℃、左右で７℃あった。さらに被 処理品であるセラミック質電子部品をサヤに入れ、テーブルを回転させて炉内１ ３２０℃で焼成処理した。その結果、焼成得率は９４％であった。

【０００８】 （実施例２） 実施例１の電気炉で端子リード線の接続方法を以下のとおり改造した。すなわ ち発熱体の端子リード線を回転軸内（または外）側に撓みをもたせて配線し回転 軸下端から電源に接続した。回転ギヤ１０とモータ８で回転テーブルが正逆回転 できるようにした。 この炉を用いて上記と同様にセラミック質電子部品を焼成処理した。この時回 転テーブルは正逆各５回転の周期とした。その結果、焼成得率は９２％であった 。

【０００９】 （比較例１） 比較のために従来のバッチ式の電気炉について炉内温度分布を測定した。その 結果、温度差は上下４点では６℃、左右温度差は８℃であった。さらに上記実施 例と同様にセラミック質電子部品を焼成処理して、その時の焼成得率を調べた。 その結果、８９％であった。こうした結果から、本考案の電気炉は、従来炉に較 べ被処理物の焼成得率を３％〜５％も向上させることができた。

【００１０】

【考案の効果】

実施例で明らかなように本考案の電気炉を用いれば、従来方式では得られなか った処理物の均一な加熱が達成でき、焼成得率の飛躍的な向上が期待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案の回転テーブルに発熱体を装備し
た電気炉の断面図を示している。炉下部の摺動端子を介
してリード線接続してある。

【図２】図２は図１と同じく本考案による電気炉の断面
図で、回転軸の中に端子リード線をとおし、回転テーブ
ルが正逆回転することによってリード線の捩れを防止す
るようにした炉構造を示す。

【図３】従来のバッチ式電気炉の断面図で、発熱体及び
被処理物の位置を示す。

【符号の説明】

１ 炉体 ２ セラミック質発熱体 ３ 回転テーブル ４ セラミック質発熱体 ５ 被処理物を入れたサヤ ６ 熱電対 ７ 摺動端子 ８ モータ ９ 回転軸受 １０ ギヤ １１ 端子リード線 １２ 炉床板

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 バッチ式電気炉において、回転するテー
   ブルをもち、回転テーブルに抵抗発熱体を取り付け、発
   熱体の端子リード線をテーブル回転軸または回転板に固
   定した２つのリング状摺動端子を介して電源接続したこ
   とを特徴とする回転テーブルに発熱体を挿着した電気
   炉。
2. 【請求項２】 請求項１の電気炉で抵抗発熱体の端子リ
   ード線に撓みをもたせて、テーブル回転軸の内、または
   外側に沿わせ、テーブルが一定の周期で正逆回転させる
   ことを特徴とする回転テーブルに発熱体を挿着した電気
   炉。