JPH0650874Y2 - 磁気テ−プカセット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は磁気テープカセツト、特に、いわゆるフイリツ
プスタイプのものとほぼ同等の大きさの新規なコンパク
トカセツトに関するものである。

従来技術 近年カセツトテープレコーダーの小型化及び軽量化が進
み、これに使用される磁気テープカセツトも小型化さ
れ、長時間にわたる高品質でかつ高密度の記録再生に適
応し得るものが強く望まれるようになつて来ている。

しかし、従来、オーデイオ等に一般に使用されているコ
ンパクトカセツトは、アナログ信号によつて記録再生を
行つており、高密度の記録再生を望むとき、このアナロ
グ方式ではおのずと限界があつた。このような状況下に
おいて、入力信号をバルスに変換して記録再生を行うパ
ルスコードモジユレーシヨン（PCM）の如きデジタル方
式を用いることにより、信号通信経路及び記録媒体の質
に影響されることなく高密度の記録再生が行えることが
知られている。

又、最近の研究開発によつて、フイリツプスタイプに用
いられる程度の幅狭な磁気テープにもマルチ・トラツク
の如き高密度の記録再生を行い得る磁気ヘツドが開発さ
れるに至り、その結果、フイリツプスタイプと同程度の
コンパクトカセツトにもマルチ・トラツクの記録再生が
可能となつて来た。

前記コンパクトカセツトに固定ヘツド方式によるマルチ
・トラツクの記録を行つた場合、例えば、往復36トラツ
クの記録を行うものとすると、１つのトラツク幅が100
μｍ程度になり、従来のフイリツプスタイプのカセツト
における４トラツクの場合に比べて夫々のトラツク幅が
極めて狭くなる。そのため、磁気ヘツドの記録トラツク
と各トラツクとの実効的な摺接面が減少し、磁気テープ
に付着し、その摺接面間に入り込んだ塵埃による記録再
生特性への影響が従来に比べて極めて大きくなる。

一方、高密度の記録再生を用いた磁気テープカセツトに
は、回転ヘツド方式を用いたビデオテープカセツトが一
般に普及している。このビデオテープカセツトは磁気テ
ープの保護及び高密度の記録再生を行うので塵埃の影響
を防ぐために、カセツト前方の開口部を開閉することの
できる回動自在なガードパネルが設けられている。この
回転ヘツド方式の場合、特殊なタイプのカセツトを除き
記録再生は磁気テープの一方向の走行に対してのみ行い
得るものであり、そのカセツトケースはＡ面、Ｂ面使用
可能な所謂、表裏対称構造を必要としなかつた。さら
に、回転ヘツド方式は、通常２ケの磁気ヘツドが磁気テ
ープに該テープ走行方向に対し一定角傾いて回転しなが
ら互違いに摺接するので、磁気ヘツドが塵埃を掃き出す
ような作用を有し、固定ヘツド方式に比べて塵埃による
記録再生特性への影響が少なかつた。

しかしながら、本考案の対象とする磁気テープカセツト
は、フイリツプスタイプのように固定ヘツド方式を用
い、かつ多数の記録トラツクを有するものであり記録再
生が磁気テープの上下半分ずつ使用するもの、所謂、Ａ
面、Ｂ面（カセツト表裏）使用できるものである。該カ
セツトは固定ヘツド方式を用いるので、前述のように回
転ヘツド方式に比べて塵埃による記録再生特性への影響
が出やすくなり、前記ビデオテープカセツトよりもさら
に確実な防塵効果を有するガードパネルが必要となる。

また、上述の如き磁気テープカセツトはその構成材質に
ABS樹脂やPS樹脂等が多用されている。従つて、前記ガ
ードパネルが開閉動作するときに、該ガードパネルとカ
セツトケースとの摺接する面において、樹脂の削り粉が
発生する。特に、前記ガードパネルは開口部を開閉する
ので、削り粉はカセツト前方の開口部近傍において発生
し、該開口部からカセツト内に進入して磁気テープに付
着し易く、記録再生特性の低下に極めて大きな影響を与
えるものである。

考案の目的 本考案は上記問題に鑑みてなされたものであり、カセツ
ト前方の開口部を開閉することができ、且つその動作の
際にカセツトケースとの摺接部分における削り粉の発生
を抑制するようにされたガードパネルを備え、さらに、
表裏（Ａ面及びＢ面）どちらにもマルチ・トラツクの記
録再生が可能な新規の磁気テープカセツトを提供するこ
とを目的とするものである。

考案の構成 本考案のかかる目的は、磁気テープを巻装した一対のハ
ブを内蔵したカセットケースの前面に磁気ヘッド挿入用
の開口部を有し、該開口を閉塞し水平断面形状が略コ字
状のガードパネルを具備した磁気テープカセットにおい
て、前記ガードパネルは両端片に１つずつ回転支軸が設
けられ、前記カセットケースは左右のカセット側壁のカ
セット前方側夫々に、前記回転支軸をカセット前方にス
ライド可能に受容する、カセット前方に向けて広がるＶ
字状の傾斜壁面を有する軸受け部を備え、また、前記ガ
ードパネルは前記回転支軸に耐磨耗性材料よりなるスリ
ーブが装着され、且つ前記カセット側壁の少なくとも片
方側に配置された付勢手段によりカセット後方に付勢さ
れており、さらに、カセット全体が表裏対称形であるこ
とを特徴とする磁気テープカセットにより達成すること
ができる。

以下、本考案を図面に例示する実施態様に基づいて詳細
に説明する。

第１図は本考案の一実施態様の磁気テープカセツトを示
す分解斜視図であり、第２図はその要部の拡大分解斜視
図である。なお、第１図は本実施態様の平易理解のため
ガードパネルを適宜に破断して図示してある。

第１図において、磁気テープカセツト１は従来のフイリ
ツプスタイプと同程度の大きさのものである。前記磁気
テープカセツト１は、上下ハーフから成るカセツトケー
ス２の前面に矩形状の開口部３及びカセツト上下方向に
貫通した一対の穴16が形成されており、該開口部３を閉
塞するガードパネル４がカセツト上下方向にスイング可
能に装着されている。前記開口部３は記録再生装置の記
録再生ヘツド、消去ヘツド、ピンチローラが入り込み、
前記穴16はキヤプスタンが入り込む部分である。

前記カセツトケース２内には、一対のハブ（図示しな
い）に巻装された磁気テープＴが、前記開口部３を左右
に横切つて走行できるように収納されている。なお、前
記ハブは記録再生装置の駆動シヤフトが入り込む一対の
シヤフト挿入孔５に対応して従来と同様に配設されてい
る。又、前記開口部３には、図示しないが、記録再生時
における外部ノイズを遮断するシールド板、前記磁気テ
ープＴと磁気ヘツドとの摺接を確実にするプレツシヤー
パツドを備えた板バネが設けられていてもよい。

前記ガードパネル４は前面壁６と左右の端片７とから成
つてその水平断面が略コ字形状であり、該端片７の夫々
にはその中央部にカセツト内包に突出した回転支軸８を
備え、前記開口部３を覆うように構成されている。又、
前記回転支軸８には耐摩耗性の優れた、例えば、POMや
ナイロン等の樹脂あるいは金属から成るスリーブ18が抜
けないように固着されている。そして、前記ガードパネ
ル４は左右のカセツト側壁９のうち一方に配設された引
張りバネ15によつてカセツト後方に付勢されてカセツト
上下方向にスイング可能に前記カセツトケース２に装着
されている。

前記カセツトケース２は、その左右のカセツト側壁９が
カセツト前方部分においてカセツト内方寄りに落ち込ん
だ段部10に形成され、又、該段部10とつながつて同じ深
さに落ち込んだばね収納溝13が、前記カセツト側壁９を
上下に二分する位置にカセツト後方へ延びて形成されて
いる。前記段部10夫々には、前記スリーブ18の装着され
た前記回転支軸８がカセツト上下方向にスライドできる
ような軸受け部11が透設されている。

すなわち、前記軸受け部11は、前記カセツト側壁９を上
下に二分する線に対して対称でカセツト前方に広がるよ
うに傾斜する傾斜壁面12を備えたＶ字形状になされたも
のである。

又、前記カセツトケース２の前方両隅はカセツト厚み方
向に沿つた切り欠き部17が形成されている。

前記ガードパネル４は、片方の前記端片７（図中におい
て右側）のカセツト後方端に前記引張りばね15が接続さ
れており、該引張りばね15の他端が前記ばね収納溝13の
カセツト後方寄りに設けられた突起14に係止されてい
る。したがつて、前記ガードパネル４は常にカセツト後
方に付勢されており、該ガードパネル４の閉塞時におい
ては、前記回転支軸８が前記傾斜壁面12の屈曲部分に当
接している。

前記カセツトケース２の材質は、従来用いられているポ
リアセタール、ABS樹脂等のプラスチツク樹脂でよく、
特に限定するものではない。

又、前記ガードパネル４の材質は、ポリアセタール等の
プラスチツク樹脂で製造し易く比較的安価なものが望ま
しい。

前記磁気テープＴは、強磁性酸化鉄や二酸化クロム系の
テープでもよいがメタルテープあるいは蒸着テープ等の
高密度の記録再生に適しているものが好ましい。

以上の如く構成した前記磁気テープカセツト１は、記録
再生装置に装填されたとき、前記ガードパネル４がカセ
ツト挿入部に設けられた開動手段20によりカセツト上方
に開かれる。以下、前記開動手段20による前記ガードパ
ネル４の動作を第３図及び第４図に基づいて説明する。

前記開動手段20は前記ガードパネル４の左右どちらか一
方端に係合するプレート状のもので、カセツト挿入部の
奥の隅に設けられている。

したがつて、前記磁気テープカセツト１をカセツト挿入
部に挿入（矢印Ｃ方向）して該磁気テープカセツト１が
下方（矢印Ｄ方向）に移動する中段において、前記前面
壁６の下方縁が前記開動手段20の上端部に当接する。こ
の当接は前記開動手段20の先端が前記切り欠き部17に対
応する位置で行われる。その後さらに前記磁気テープカ
セツト１が移動（Ｄ方向）することにより、前記ガード
パネル４は前記スリーブ18の装着された前記回転支軸８
が前記傾斜壁面12に摺接して上方に移動しながら回転
（矢印Ｅ方向）していく。そして、前記磁気テープカセ
ツト１の装填（矢印Ｄ方向の移動）が完了すると、前記
ガードパネル４は前記開動手段20により上方に開いた状
態に保たれて、前記開口部３を開放する。

このように前記ガードパネル４が上方に開いて前記開口
部３が開放されることにより、前記磁気テープＴへの記
録再生が可能となる。又、前記磁気テープカセツト１は
記録再生装置から取り出される際には、装填時とは逆の
ストロークで移動するので、前記開動手段20と前記ガー
ドパネル４との係合は解除される。したがつて、前記開
口部３は、前記ガードパネル４が前記引張りばね15の力
（矢印Ｅ方向とは逆方向）により自動的に閉じて完全に
閉塞される。

又、前記磁気テープカセツト１は上述の場合とは表裏逆
に装填しても上下対称に構成されているので、前記ガー
ドパネル４の動作は同様に行われる。すなわち、前記磁
気テープカセツト１はＡ面及びＢ面の記録再生が可能な
ものである。

前記実施態様においては、前記磁気テープカセツト１が
移動（矢印Ｄ方向）することにより、前記ガードパネル
４が開くようになされたが、本考案の前記磁気テープカ
セツト１は前記開動手段20が上下に動くように作動する
記録再生装置に装填して用いてもよい。

また、本考案において前記軸受け部11の全体の形状は前
記実施態様のようにＶ字形状に限定されず、前記回転支
軸をカセット前方にスライド可能に受容するカセット前
後方向に沿った案内面を有する形状であってもよい。例
えば、第６図に示すように、前記軸受け部11をカセット
前後方向に沿った案内面22を有する長孔に形成し、前記
スリーブ18の装着された前記回転支軸８が引張ばね15の
引張力に抗して案内面22上を前方に移動された後、前記
ガードパネル４がカセット上下方向に開閉動できるよう
に構成することができる。この態様の場合、記録再生装
置のカセツト挿入部内には、前記ガードパネル４をカセ
ツト前方に移動させる手段が設けられている。

また、前記実施態様においては、前記スリーブ18は前記
回転支軸８に固着されたが、本考案はこのような態様に
限るものではない。例えば、前記回転支軸８に前記スリ
ーブ18が回転自在に装着されてもよい。この場合には、
前記スリーブ18が前記回転支軸８に遊嵌状に装着された
のちに、該回転支軸８の先端部分が大径となるように潰
す等の加工を行う。

さらに、本考案における前記軸受け部11は前記段部10に
透設した孔ではなくてもよく、前記態様に示したＶ字形
状等と同様の形状の凹部であつてもよい。

また、本考案における前記スリーブ18は前記態様に限ら
ず他の形状であつてもよい。例えば、第５図に示すよう
に、スリーブ18aはその両端部分が前記軸受け部11の孔
幅よりも大径のフランジに形成されている。なお、前記
スリーブ18aは前記態様と同様に前記回転支軸８に固着
されるか、あるいは回転自在に装着される。

前記スリーブ18aを用いた場合には、前記端片７の内側
面と前記段部10とが直接に接触することがなくなるの
で、前記ガードパネル４の開閉動作時における該内側面
と該段部10との擦れによる削り粉の発生も防止される。

考案の効果 以上述べたように、本考案の前記磁気テープカセツト１
は、上下どちらにも容易に開くことの出来る前記ガード
パネル４を備えているので、固定ヘツド方式による表裏
（Ａ面,B面）使用可能なマルチ・トラツクの記録再生に
極めて適した磁気テープカセットである。ガードパネル
４には両端片７に１つずつ回転支軸８が設けられ、カセ
ット側壁９には前記回転支軸８をカセット前方にスライ
ド可能に受容する、カセット前方に向けて広がるＶ字状
の傾斜壁面12を有する軸受け部11を備えているので、極
めて簡単な構成でガードパネルが二方向すなわち上下方
向に回動可能である。しかも、ガードパネル４の回動構
成が簡単であるので、磁気テープカセット１の作製も容
易である。又、本考案は、前記磁気テープカセツト１を
記録再生装置から取り出すと前記付勢手段の作用で前記
ガードパネルが開口部閉塞位置に回動し、同時に前記ガ
ードパネル４が前記開口部３を完全に閉塞するので、該
開口部３に位置している前記磁気テープＴの保護及び防
塵に極めてすぐれた効果を有し、該磁気テープＴの損傷
及び記録再生特性の低下を防止することが出来る。

本考案によれば、前記回転支軸８が前記スリーブ18及び
18aの如き耐摩耗性に優れたもので覆われているので、
前記ガードパネル４の開閉時において、前記軸受け部11
との摺接部分の樹脂の削り粉の発生が抑えられ、削り粉
による記録再生特性の低下を抑制することが出来る。
又、前記スリーブ18及び18aによつて、前記回転支軸８
の摩耗劣化が抑えられるので、前記ガードパネル４の動
作を長期間にわたつて良好に保つことが出来る。

さらに、本考案によれば、前記ガードパネル４が前記開
動手段20の如き極めて簡単な構造のもので開動できるの
で、記録再生装置の複雑化を招くことがない。

本考案は、先に、従来のコンパクトカセツトと同程度の
大きさの磁気テープカセツトに適用すると述べたが、必
ずしもこれに限るものではなく、他の種々の磁気テープ
カセツトにも適用できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施態様を示す分解斜視図、第２図
は第１図に示すガードパネルの要部を示す拡大分解斜視
図、第３図及び第４図は第１図に示すガードパネルの動
作を示すための拡大斜視図及び概略側面図、第５図は本
考案におけるスリーブの変形例を示す拡大斜視図、第６
図は本考案における軸受け部の変形例を表す要部分解斜
視図である。 １……磁気テープカセツト、２……カセツトケース、３
……開口部、４……ガードパネル、５……シヤフト挿入
孔、６……前面壁、７……端片、８……回転支軸、９…
…カセツト側壁、10……段部、11……軸受け部、12……
傾斜壁面、13……ばね収納溝、14……突起、15……引張
ばね、17……切り欠き部、18,18a……スリーブ、20……
開動手段。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−70624（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−55573（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−118184（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】磁気テープを巻装した一対のハブを内蔵し
   たカセットケース２の前面に磁気ヘッド挿入用の開口部
   ３を有し、該開口３を閉塞し水平断面形状が略コ字状の
   ガードパネル４を具備した磁気テープカセットにおい
   て、 前記ガードパネル４は両端片７に１つずつ回転支軸８が
   設けられ、前記カセットケース２は左右のカセット側壁
   ９のカセット前方側夫々に、前記回転支軸８をカセット
   前方にスライド可能に受容する、カセット前方に向けて
   広がるＶ字状の傾斜壁面12を有する軸受け部11を備え、
   また、前記ガードパネル４は前記回転支軸８に耐磨耗性
   材料よりなるスリーブ18、18aが装着され、且つ前記カ
   セット側壁９の少なくとも片方側に配置された付勢手段
   15によりカセット後方に付勢されており、さらに、カセ
   ット全体が表裏対称形であることを特徴とする磁気テー
   プカセット。