JPH0649473A - 冷媒組成物 - Google Patents

冷媒組成物

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JPH0649473A
JPH0649473A JP4208286A JP20828692A JPH0649473A JP H0649473 A JPH0649473 A JP H0649473A JP 4208286 A JP4208286 A JP 4208286A JP 20828692 A JP20828692 A JP 20828692A JP H0649473 A JPH0649473 A JP H0649473A
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JP
Japan
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oil
refrigerant
reaction
chemical
hfc
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Withdrawn
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JP4208286A
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English (en)
Inventor
Kenichi Sanechika
健一 実近
Masanori Ikeda
池田  正紀
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式〔I〕で表される含フッ素芳香族化合
物とフッ化アルカン系冷媒からなる冷媒組成物であっ
て、かつ、該フッ化アルカン系冷媒が塩素含有フッ化ア
ルカン系冷媒を少なくとも0.01〜100重量%包含
することを特徴とする冷媒組成物。 R(XRf)n 〔I〕 〔但し、XはOまたはS原子。RはC数6〜60個のn
価の芳香族基。nは1〜4の整数。Rfは、フルオロカ
ーボン基、またはその部分置換体を表し、Rf中の炭素
原子の数は1〜25の範囲であり、かつ、Rf中のフッ
素原子の数/炭素原子の数の比は0.6以上である。〕 【効果】 この含フッ素芳香族化合物は、塩素含有フッ
化アルカン系冷媒を包含するフッ化アルカン系冷媒と低
温域から高温域まで幅広い温度範囲で良好な相溶性を示
し、かつCFC−12等の塩素系冷媒の共存下でも非常
に安定で、かつ良好な潤滑特性を示すので、該冷媒組成
物は冷凍システム用として極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩素含有フッ化アルカ
ン系冷媒を含有するフッ化アルカン系冷媒及び潤滑油か
らなる冷媒組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、冷媒としては、主にジクロロジフ
ルオロメタン(CFC-12)がカ−エアコン用や冷蔵庫用とし
て使用されている。また、潤滑油としては鉱油が幅広く
用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年C
FC−12に代表される塩素含有冷媒は成層圏オゾン層
破壊の主原因である事が分かり、特にオゾン破壊能力
(ODP)の大きいCFC−12、CFC−11(トリクロロ
フルオロメタン)、CFC−114(シ゛クロロテトラフルオロエタン) 、CFC
−115(クロロペンタフルオロエタン)等の塩素含有冷
媒(特定フロン)については、すでに国際条約によって
使用量及び生産量の規制が確定している。従って、オゾ
ン破壊能力が小さく、CFC−12等の特定フロンを代
替しうる冷媒の開発が望まれている。
【0004】そのような代替冷媒として、オゾン破壊能
力のほとんど無い分子構造中に塩素を含まないフッ化ア
ルカンであるHFC−32(シ゛フルオロメタン) やHFC−13
4a( 1,1,1,2-テトラフルオロエタン)等で、オゾン破壊能力を有
する分子構造中に塩素を含むフッ化アルカンを希釈する
事により、成層圏オゾン層に及ぼす影響をCFC−12
よりも遥かに小さくした混合冷媒系が提案されている。
【0005】例えば、特開平3−168261〜168
293号公報には、HFC−32、HFC−23(トリフルオ
ロメタン) 、HFC−134a、HFC−134(1,1,2,2-テ
トラフルオロエタン)、HFC−143a(1,1,1-トリフルオロエタン) 、H
FC−152a(1,1-シ゛フルオロエタン) 、HFC−125(ペ
ンタフルオロエタン) 等のフッ化アルカン冷媒とHCF
C−22(クロロ シ゛フルオロメタン) 、HCFC−142b(1-クロロ
-1,1-シ゛フルオロエタン) 、HCFC−141b(1,1-シ゛クロロ-1-フ
ルオロエタンエタン)HCFC−124a(1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロ
エタン)、HCFC−124(2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、
HCFC−123a(1,2-シ゛クロロトリフルオロエタン)、HCFC−
123(2,2-シ゛クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン) 等の塩素含有フッ
化アルカン系冷媒の混合系が開示されている。
【0006】また、特開平1−121392号公報に
は、CFC−12をHFC−32、HCFC−124、
HCFC−124a、HFC−125、HCFC−14
2bの少なくとも一種で希釈した混合冷媒が提案されて
いる。従来、CFC−12を使用する冷凍システムで
は、コンプレッサ−用の潤滑油として鉱油が使用されて
いる。CFC−12は塩素原子を含むため高い親油性を
有し、鉱油と広い温度範囲で相溶するので、冷媒が蒸発
と凝縮を繰り返す冷凍システムでも冷媒と潤滑油が分離
する事はない。
【0007】しかし、HFC−32やHFC−134a
に代表される各種フッ化アルカン系冷媒は塩素原子を含
まないため鉱油とほとんど相溶性を示さないため、HF
C−32やHFC−134a等のフッ化アルカンでHC
FC−22等の塩素含有系フッ化アルカンを希釈した混
合冷媒に潤滑油として鉱油を使用すると冷媒と潤滑油の
相溶性が不良で、コンプレッサ−で冷媒により潤滑油が
置換され、潤滑が不十分になる、熱交換器の内壁に潤滑
油が付着して熱交換率が悪くなる等、数々の重大な問題
が発生する。
【0008】冷凍機用の潤滑油は、少なくとも0℃以下
〜50℃以上の範囲、好ましくは−20℃以下〜70℃
以上の範囲、更に好ましくは−40℃以下〜90℃以上
の範囲、あるいは、それよりも広い範囲で混合冷媒と相
溶性を示す必要がある。これまでにHFC−134a等
のフッ化アルカン系冷媒と良好な相溶性を示す潤滑油と
して、各種ポリアルキレングリコ−ル系化合物やポリエ
ステル系化合物が提案されている。例えば、米国特許第
4755316号明細書に開示されている、二つ以上の
水酸基を有するポリアルキレングリコ−ル(特に、ポリ
オキシプロピレングリコ−ル)は、相溶性を示す範囲が
広いとされている。また、特開平3−128991号公
報、特開平3−179091号公報等に開示されている
ポリエステル系化合物もHFC−134aとの相溶性に
優れているとされている。
【0009】しかしながら、ポリアルキレングリコ−ル
やポリエステル系オイルは吸湿性が高く、また、酸化分
解や加水分解を起こし易い等耐久性に問題がある。特
に、CFC−12等の塩素含有冷媒が少しでも共存する
とオイルの分解が著しく促進されるため使用できない事
が知られている。よって、HCFC−22等の塩素含有
系フッ化アルカンをHFC−32やHFC−134a等
のフッ化アルカンで希釈した混合冷媒に、ポリアルキレ
ングリコ−ルやポリエステル系オイルを潤滑油として使
用する事は困難である。
【0010】CFC−12等の特定フロンの代替冷媒と
して、先に示した混合冷媒系の他に塩素原子を全く含有
しないフッ化アルカン、例えば、HFC−134aを単
独で用いる事が知られている。しかしながら、HFC−
134a用冷凍機油として、ポリアルキレングリコ−ル
やポリエステル系オイル等の極性オイルを用いた冷媒組
成物は、吸湿性、耐久性、潤滑特性等に問題があるだけ
でなく、HFC−134aとこれらの極性オイルよりな
る冷媒組成物で既存のCFC−12と鉱油よりなる冷媒
組成物を使用していた冷凍機を置き換える場合、冷凍機
内にCFC−12等の塩素含有化合物が少量でも残存し
ているとポリアルキレングリコ−ルやポリエステル系オ
イルが簡単に分解してしまう。したがって、このような
トラブルを避けるためには冷凍機の洗浄に著しく手間が
かかり、HFC−134aと極性オイルよりなる冷媒組
成物による既存冷凍機の冷媒組成物の置換は非常に困難
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような状況下にあっ
て、本発明者等は、HFC−134aやHFC−32等
のフッ化アルカン系冷媒およびCFC−12等の塩素含
有フッ化アルカン系冷媒のいずれとも幅広い温度範囲で
良好な相溶性を示し、かつCFC−12等の塩素系冷媒
の共存下でも安定で良好な潤滑特性を示す冷凍機用潤滑
油を開発すべく鋭意検討した。
【0012】その結果、式[I]で表される構造を有す
る含フッ素芳香族化合物が、低温領域から高温領域まで
の広い温度範囲でHFC−134aやHFC−32等の
フッ化アルカンおよびCFC−12等の塩素含有フッ化
アルカンとの相溶性が良好で、かつCFC−12等の塩
素系冷媒の共存下でも非常に安定で、かつ良好な潤滑特
性を示す事を見い出し、本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明は、フッ化アルカン系冷
媒と一般式[I]で表される含フッ素芳香族化合物から
なる冷媒組成物であって、かつ、該フッ化アルカン系冷
媒が塩素含有フッ化アルカン系冷媒を少なくとも0.0
1〜100重量%包含することを特徴とする冷媒組成
物。 R(XRf)n [I] [但し、XはOまたはS原子である。Rは炭素数6〜6
0個のn価の芳香族基を示す。nは1〜4の整数を表
す。Rfは、フルオロカーボン基、またはその部分置換
体を表し、Rf中の炭素原子の数は1〜25の範囲であ
り、かつ、Rf中のフッ素原子の数/炭素原子の数の比
は0.6以上である。なお、nが2以上の場合には、一
般式[I]で表される化合物は複数の種類のXRf基よ
り構成されていても良い。]を提供するものである。
【0014】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明に使用される一般式〔I〕中のRは炭素数6〜60
個、好ましくは6〜40個、さらに好ましくは6〜30
個のn価の芳香族基を示す。また、原料の入手の容易さ
や合成のし易さを考慮すると、Rは炭素数6〜20個の
ものが特に好ましい。nは1〜4の整数を表す。
【0015】当該芳香族基とは、芳香族環を含有する基
を意味し、当該芳香族基中には、炭素数50以下、好ま
しくは20以下、更に好ましくは10以下で芳香族環以
外の置換基、連結基を含んでいても良い。但し、当該芳
香族基中の芳香族環の炭素原子の芳香族基全体の炭素原
子の数に対する割合は、0.1以上、好ましくは0.2
以上、さらに好ましくは0.5以上である。
【0016】その置換基、連結基の例としては、例え
ば、アルキル基、アルキレン基、脂環式炭化水素基等の
飽和炭化水素基、アリル基等の不飽和炭化水素基、2−
クロロエチル基等のハロゲン化炭化水素基、塩素やフッ
素等のハロゲン原子、水酸基、チオール基、アルコキシ
基、ニトリル基、ニトロ基、エーテル基、チオエーテル
基、エステル基、カルボニル基、スルホニル基、スルフ
ィニル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、アミ
ノ基、チオカルバメート基、アミド基、イミド基、ピリ
ジン基、ピリミジン基、ピペリジン基、トリアジン基、
ホスフィン基、ベンゾイミダゾール基、亜リン酸エステ
ル基、トリアゾール基、テトラゾール基、チアゾール
基、チアジアゾール基等の各種の含酸素、含窒素、含リ
ン原子、含イオウ原子の極性基等が挙げられる。
【0017】Rの具体例としては、例えば、以下のよう
なものが挙げられる。 R2;
【0018】
【化1】
【0019】R3;
【0020】
【化2】
【0021】R4;
【0022】
【化3】
【0023】R5;
【0024】
【化4】
【0025】R6;
【0026】
【化5】
【0027】R7;
【0028】
【化6】
【0029】R8;
【0030】
【化7】
【0031】R9;
【0032】
【化8】
【0033】R10;
【0034】
【化9】
【0035】以上、一般式〔I〕におけるRとして使用
できる各種の芳香族環含有基の例を示したが、これらの
中でも、芳香族環が直接−XRfに連結する構造のRの
場合に、特に安定性に優れた一般式〔I〕の化合物が容
易に合成できるので特に好ましい。一般式〔I〕におけ
るXはO又はS原子である。Xが0の場合、1)安価な
合成原料を使用して、かつ高収率で経済的に含フッ素芳
香族化合物が合成できる。 2)含フッ素芳香族エーテル化合物が極めて高い安定性
を有する等の理由より好ましい。
【0036】一般式〔I〕におけるnの値は、Rの価数
に依存するものであり、合成の容易さ、適当な粘度範囲
をとること等の理由により、通常は1、2、3、4から
選ばれる整数、好ましくは2、3、4から選ばれる整
数、特に好ましくは2から選ばれる整数である。また、
一般式〔I〕においてnが2以上である場合には、一般
式(I)の物質は、複数のRfで構成されていても良
い。
【0037】一般式〔I〕において、Rfはフルオロカ
ーボン基、またはその部分置換体を表す。当該フルオロ
カーボン基とは、各種炭化水素基の水素原子の一部ある
いはすべてがフッ素原子で置換された構造の置換基を意
味している。その例としては、例えば飽和構造を有する
フルオロアルキル基、不飽和構造を有するフルオロアル
ケニル基、芳香族核を有するフルオロアリール基、ある
いはフルオロアラアルキル基等が挙げられるが、特にフ
ルオロアルキル基及びフルオロアルケニル基は合成が容
易で有用である。
【0038】また、Rfとしては、上記フルオロカーボ
ン基のフッ素原子又は水素原子の一部が塩素原子、臭素
原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、水酸基、エーテル
基、アミノ基、ニトリル基、あるいはエステル基、アミ
ド基、アシル基、カルボキシル基等のカルボニル含有基
など、冷凍機油の使用条件下で安定な各種置換基で置換
されたものでもよいし、主鎖の一部がエーテ構造をとる
ものでもよい。
【0039】なお、上記フルオロカーボン基の置換基の
中では、特にフルオロクロロアルキル基が合成が容易で
且つ良好な潤滑特性を示すので好ましい。Rf中のフッ
素原子の数/炭素原子の数の比は、通常は0.6以上、
好ましくは1以上、特に好ましくは1.5以上のものが
使用される。Rf中のフッ素原子の数/炭素原子の数の
比が低すぎる場合には、フッ化アルカンとの相溶性が低
くなり、また、安定性も低下する傾向にあるので好まし
くない。
【0040】Rfの炭素数としては、通常は1〜25の
範囲が、望ましくは1〜10の範囲が、特に望ましくは
1〜3の範囲が使用される。Rf中の炭素数が25より
多くなると、原料の入手あるいは合成が困難となるし、
また合成、精製が繁雑になったり、粘度が高くなりすぎ
ると言う問題も起こるので好ましくない。
【0041】本発明に使用される一般式〔I〕で表され
る物質は、多様な方法で合成することが出来る。以下
に、一般式〔I〕において、n=1の場合の合成例を例
示するが、n=2,3,4の場合も同様の方法によって
合成される。 (1)フェノール類又はチオフェノール類と含フッ素オ
レフィンとの反応。
【0042】フェノール類又はチオフェノール類と含フ
ッ素オレフィンとの反応による含フッ素芳香族化合物の
合成については、数多くの反応例が知られている。その
代表的な反応例を、パーフルオロオレフィンの場合を例
に取って示すと、以下のような反応が挙げられる。
【0043】
【化10】
【0044】以下に、フエノール類と含フッ素オレフィ
ンの反応例を示す。例えば、Advance in Fluorine Chem
istry , ,50 (1965) には、下記のような多様な含フ
ッ素オレフィンとフェノール類、又は、アルコール類又
はチオフェノール類とのイオン反応による〔2〕、
〔3〕式と類似の反応例が示されている。
【0045】CF2 =CF2 、CF2 =CFCl、CF
2 =CFBr、CF2 =CFH、CF2 =CHCl、C
2 =CCl2 、CHF=CCl2 、CF3 CF=CF
2、CClF2 CF=CF2 、CF3 CCl=CF2
CF3 CF=CCl2 、CF3 CCl=CClF、CF
3 CH=CH2 、CF3 CH=CHCl、CF3CCl
=CHCl、CF3 CCl=CCl2 、CF3 CF2
CF=CF2 、CF3 CF=CFCF3 、(CF3 2
C=CF2 、CF2 =CF−CF=CF2 、 R11:
【0046】
【化11】
【0047】CF3 CCl=CClCF3 、CCl2
CClFCF=CClF、CF3 −(CF2 4 −CF
=CF2 。 Journal of American Chemical Society , 73 , 5831
(1951) 式〔4〕の反応式;
【0048】
【化12】
【0049】142nd,Meeting,American Chemical Societ
y,Atlantic City,N.J.,Sept,1962Abs, P19U 式〔5〕の反応式;
【0050】
【化13】
【0051】Journal of American Chemical Society ,
82 ,5116(1960) 式〔6〕,〔7〕の反応式;
【0052】
【化14】
【0053】式〔8〕の反応式; 〔X3 =−Cl,F〕 日本学会誌,1975 ,311
【0054】
【化15】
【0055】式
〔9〕の反応式;
【0056】
【化16】
【0057】式〔10〕の反応式;
【0058】
【化17】
【0059】又、さらに、一般式〔11〕で表されるヘ
キサフルオロプロペン(HFP)のオリゴマー、一般式
〔12〕で表されるテトラフルオロエチレン(TFE)
のオリゴマー、あるいはクロルトリフルオロエチレンの
オリゴマー等で代表される各種含フッ素オレフィンから
誘導される不飽和結合含有オリゴマーも、〔2〕、
〔3〕式のような合成反応の原料として使用する事がで
きる。
【0060】C3m6m 〔11〕 〔m:2以上の整数、好ましくは2〜6の整数〕 C2m' 4m' 〔12〕 〔m’:2以上の整数、好ましくは2〜10の整数〕 このようなオリゴマーの反応例としては、例えば、以下
のような例が挙げられる。
【0061】Bull.Chem. Soc. Japan , 49 , 502 ( 197
6 ) 式〔13〕,〔14〕の反応式;
【0062】
【化18】
【0063】日本化学学会誌,1978,253 式〔15〕の反応式;
【0064】
【化19】
【0065】「オリゴマー」(講談社サイエンティフィ
ク)大河原、三枝、東村編,(1976), P288〜291 。以下
の反応で代表されるような数多くのTFE五量体(C10
20)やHFP三量体(C9 18)とフェノール類との
反応が数多く示されている。 式〔16〕,〔17〕,〔18〕の反応式;
【0066】
【化20】
【0067】式〔19〕,〔20〕の反応式;
【0068】
【化21】
【0069】又、Journal of Fluorine Chemistry 54,
162(1991) には、〔21’〕,〔21”〕式のようなフ
ェノール類とパーフルオロビニルエーテルの付加反応が
報告されている。 式〔21’〕,〔21”〕の反応式;
【0070】
【化22】
【0071】又、Izvest. Akad. Nauk S.S.S.R., Otde
l,Khim,Nauk ,1952 ,261-7には〔21’’’〕の反応式
に示されるようなチオフェノールとクロロトリフルオロ
エチレン又はテトラフルオロエチレンの付加反応が報告
されている。 式〔21’’’〕の反応式;
【0072】
【化23】
【0073】又、Bull,Soc.Chim.Fr. , 1972 ,(8),3202
-5には〔21””〕式のようなチオフェノールとクロロ
トリフルオロエチレンの付加反応が報告さている。
【0074】
【化24】
【0075】(2) フェノール類又はチオフェノール類と
飽和フルオロカーボン類との反応 フェノール類又はチオフェノール類と飽和フルオロカー
ボン類との反応による含フッ素芳香族化合物の反応とし
ては、数多くの反応方法が考えられるが、代表的な反応
方法としては例えば以下の反応が挙げられる。
【0076】
【化25】
【0077】R12
【0078】
【化26】
【0079】、−OSO2 CF3 、−OSO2 CC
3 、−OSO2 Cl等のアニオンとして脱離しやすい
置換基を表す。Ar’は一価の芳香族基を表す。Rf’
は一般式〔I〕中のRfと同じもので、Rf’X- のア
ニオン構造を取り得るものを表す。〕 Actual , Chem. ,1987 ,151 式〔23〕,〔24〕の反応式;
【0080】
【化27】
【0081】"Chemistry of Organic Fluorine Compoun
ds" Halsted Press, 2nd Edition,P279には、アルコー
ル類、フェノール類やチオール類の酸素又はイオウ原子
部分でのアルキル化(Alkylation at Oxygen or Sulfur)
による含フッ素エーテル化合物や含フッ素チオエーテル
化合物の合成法が数多く示されている。 Jornal of Organic Chemistry , 50 , 4047 (1985) 式(25)の反応式;
【0082】
【化28】
【0083】Industrial and Engineering Chemistry
, 39 , 412 (1947) 式〔26〕,〔27〕の反応式;
【0084】
【化29】
【0085】Pure and Applied Chemistry , 59 , 1015
( 1987 ) 一般式〔29〕で示される各種の含フッ素ハロゲン化物
とフェノキサイドの反応が数多く示されている。 CZ2 3 4 CFZ3 4 〔29〕 〔ここでZ2 =Cl,Br,Iであり、Z3 =Z4
F,Cl,Br,CF3 ,Hである〕その例としては、
例えば以下の反応が挙げられる。
【0086】
【化30】
【0087】Journal of Organic Chemistry , 25 , 20
09 (1960) 式〔32〕の反応式;
【0088】
【化31】
【0089】その他にも、各種のエーテル結合又はチオ
エーテル結合を形成する方法を利用して、一般式〔I〕
の含フッ素芳香族系化合物を合成する事ができる。その
例としては、例えば以下のような水酸基とエポキシ基の
反応によるエーテル形成反応が挙げられる。 式〔33〕,〔34〕の反応式;
【0090】
【化32】
【0091】〔ここで、Ar’は一価の芳香族基を表
し、Rf”は炭素数1〜16のフルオロカーボン基を表
す。〕さらに、一般式〔I〕で表される物質の前駆体物
質に各種方法でフッ素原子を導入する方法も利用できる
し、あるいは、これまでに示した各種方法で合成された
反応生成物をさらに各種反応で変換して希望の一般式
〔I〕で示される物質に誘導してもよい。
【0092】その例としては、例えば以下の方法が挙げ
られる。 Actual. Chem. , 1987 ,151 式(35)の反応式;
【0093】
【化33】
【0094】〔ここで、R3 は〔23〕、〔24〕式の
3 と同じ〕なお、上記の反応に使用される含フッ素オ
レフィンや飽和フルオロカーボン等の含フッ素化合物
は、各種の公知方法で合成することが出来る。その例と
しては、例えば、"Advances in Fluorine Chemistry "
Butterworth,vol.3 , P181 に示されているハロゲン交
換による合成法、"Chemistry ofOrganic Fluorine Comp
ounds " Halsted Pressに記載されている方法、あるい
は特開昭50−117705号公報、特公昭43−11
885号公報、特公昭47−22563号公報等に記載
されているフルオロオレフィンのオリゴマーの合成法等
が挙げられるが、何らこれに限定されるものではない。
【0095】一般式〔I〕で表される含フッ素芳香族化
合物は、多様な方法によって合成することが可能で、こ
れまでに示した反応はその具体例の一部を例示したもの
である。従って、一般式〔I〕の物質の合成法は、これ
らの方法に限定されるものではない。また、本発明に使
用される冷凍機油は、一般式〔I〕で表される構造をと
っていればよく、製造方法によって何ら限定されるもの
ではない。
【0096】以下に、本発明に使用される一般式〔I〕
で表される物質中のRf−の例を例示するが、ここに示
すRfの例は各種方法で合成される一般式〔I〕の物質
中のRfの例の一部を例示したものであってこれに限定
されるものではない。 Z7 −(CF2 L1−(CH2 L2− ・・ [36] 〔Z7 =F,Cl,I,H;L 1 =1〜18の整数; L
2 =0,1,2〕 〔36〕式の化合物の具体例としては以下のものが挙げ
られる。
【0097】CF3 −、CF3 CH2 −、CF3 CH2
CH2 −、F−(CF2 2 −,F−(CF2 3 −、
F−(CF2 6 −,F−(CF2 10−、F−(CF
2 2 −CH2 −、F−(CF2 4 −CH2 −、F−
(CF2 4 −CH2 CH2 −、F−(CF2 8 −C
2 CH2 −、I−(CF2 4 −CH2 CH2 −、C
lCF2 −、Cl−(CF2 2 −、Cl−(CF2
4 −、Cl(CF2 3 −CH2 −、BrCF2 CF2
−、BrCF2 −I−CF2 −、I−(CF2 3 −C
2 −、H−(CF2 3 CH2 −、H−(CF2 10
−CH2 −、HCF2 −、HCF2 CH2 CH2 −、H
CF2 CH2 −、I−(CF2 2 −CH2 CH2 −、 R13;
【0098】
【化34】
【0099】(L2=1〜7) [37] 式〔37’〕;
【0100】
【化35】
【0101】 F−〔CF2 CF2 O〕L3−CF2 CH2 − (L3=1〜11) [38] F−〔CF2 CF2 CF2 O〕L4−CF2 CF2 CH2 − (L4=1〜7) ・・・ [39] CF3 CHF−、CH3 CF2 −、CH2 FCF2 −、
CF2 HCF2 −、CH2 F−、CHF2 CH2 −、C
3 CCl2 −、CF3 CHCl−、CF3 CFCl
−、CFCl2 CF2 −、CHFClCF2 −、C6
5 −、CHCl2 CF2 −、CH3 CHFCH2 −、C
2 FCH(CH3 )−、CF3 CHFCF2 −、CF
3 CF2 CHFCF2 −、HOCH2 CF2 CF2 CH
2 −、CH2 ClCF2 −、CF3 CHClCF2 − −CZ3 4 CFZ3 4 〔40〕 〔Z3 、Z4 は一般式〔29〕中のZ3 、Z4 と同じ〕 式〔41〕;
【0102】
【化36】
【0103】
【化37】
【0104】その例としては、〔44〕、〔45〕式の
基が挙げられる。 −C3m6m-1 〔44〕 〔mは一般式〔11〕中のmと同じ〕 −C2m' 4m'-1 〔45〕 〔m’は一般式〔12〕中のm’と同じ〕 −Cn'2n' H 〔46〕 〔n’は一般式〔3〕中のn’と同じ〕 その例としては、〔47〕、〔48〕式の基が挙げられ
る。
【0105】 −C3m6mH 〔47〕 〔mは一般式〔11〕中のmと同じ〕 −C2m' 4m' H 〔48〕 〔m’は一般式〔12〕中のm’と同じ〕 一般式〔43〕〜〔48〕の基の具体例としては以下の
ものが挙げられる。
【0106】CF2 =CF−、CF2 =CFCF2 −、
CF3 CF=CF−、CF3 CF2 CF=CF−、(C
3 2 C=CF−、C6 11−、C9 17−、C15
29−、C1019−、CF3 CHFCF2 −、C6 12
−、C9 18H−、C4 8 H−、C1020H−。ま
た、さらに、以下のような基も使用可能である。
【0107】CFCl=CF−、CFCl2 CF2 CF
=CF−、CF3 CCl=CF−、CCl2 =CF−、
CHCl=CF−、(CF3 2 CH−、CF3 CFC
lCFCl−。以上のように、本願に使用される一般式
〔I〕の含フッ素芳香族化合物は各種の方法で製造され
るが、さらに、蒸留、抽出、吸着等の処理により精製す
ることが可能である。
【0108】式〔I〕で表される化合物は、単独で、又
は複数の種類を混合して、フッ化アルカンを含有する冷
媒を使用した冷凍システム用の潤滑油として有利に使用
することができる。さらに、式〔I〕で表される化合物
は、他のオイルと混合して使用することができる。
【0109】式〔I〕で表される化合物と混合して使用
できる他のオイルは、通常はフッ化アルカン系冷媒にあ
る程度溶解性を示すものから選ばれ、例えば、パーフル
オロポリエーテルオイル、カルボキシル基、カボキシレ
ート基、アミド基、ケトン基やエステル基等のカルボニ
ル含有基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミド基、エー
テル基、ベンゾイミダゾール基、亜リン酸エステル基、
ホスフィン基、ニトリル基、ホスフォトリアジン基ある
いはトリアジン基等の極性置換基を含有するパーフルオ
ロポリエーテルオイル、クロロフルオロカーボン系オイ
ル、フッ素化シリコーンオイル等が挙げられ、これらの
中から、一般式〔I〕の化合物との相溶性や得られる潤
滑組成物の粘度あるいは潤滑特性等を考慮して適当な種
類のものが選択される。
【0110】式〔I〕で表される化合物を他のオイルと
混合して使用する場合、式〔I〕で表される化合物の量
は、得られる潤滑組成物の冷媒との相溶性や該組成物の
粘度等を考慮して選択されるが、通常は、該潤滑油組成
物全量に対して少なくとも0.1重量%以上、好ましく
は25重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上の
範囲が使用される。
【0111】本発明の式〔I〕で表される化合物を単独
で、フッ化アルカンを含有する冷媒を使用した潤滑油と
して使用する場合には、その粘度としては、通常は40
℃における動粘度が、2〜500cstの範囲のもの、
好ましくは3〜300cstの範囲のもの、更に好まし
くは5〜170cstの範囲のものが、特に好ましくは
10〜150cstの範囲のものが使用される。
【0112】或いは、100℃における動粘度が通常
は、0.5〜100cst、好ましくは1〜50cs
t、特に好ましくは2〜30cstの範囲のものが使用
される。粘度があまり低すぎるとコンプレッサー部にお
ける充分な潤滑性が得られず、また粘度があまり高すぎ
ると、コンプレッサー部の回転トルクが高くなり好まし
くない。
【0113】また、式〔I〕で表される化合物を複数の
種類混合して使用するか、又は他のオイルと混合して使
用する場合には、式〔I〕で表される化合物そのものの
粘度としては特に制約はなく、混合系の粘度が上記の式
〔I〕で表される化合物を単独で使用する場合の粘度範
囲と同じ範囲に入れば良い。又、さらに、式〔I〕で表
される化合物が固体である場合でも、フッ化アルカン系
冷媒と当該物質よりなる冷媒組成物の粘度が、上記各種
の動粘度の式〔I〕で表される化合物よりなる冷媒組成
物と同程度ならば使用可能である。
【0114】本発明において、冷凍システムにおける冷
媒全量/潤滑油全量の重量比は、通常は99/1〜1/
99の範囲、好ましくは95/5〜10/90の範囲、
特に好ましくは90/10〜20/80の範囲である。
本発明の冷凍機用の潤滑オイルは、防錆剤、酸化防止
剤、粘度指数向上剤、腐食防止剤、油性向上剤、流動点
降下剤や極圧添加剤等の通常潤滑油に添加される各種の
添加剤を通常用いられる量を添加して使用することもで
きる。
【0115】本発明におけるフッ化アルカン系冷媒は、
塩素含有フッ化アルカン系冷媒を0.01〜100重量
%、好ましくは0.01〜80重量%、更に好ましくは
0.01〜50重量%含有する。塩素含有フッ化アルカ
ン系冷媒の占める割合が減少するほど、オゾン破壊能力
は小さくなるが、塩素含有フッ化アルカン系冷媒を適度
に混合する事で冷凍サイクルの冷凍効率を高くする事が
可能である。
【0116】本発明における塩素含有フッ化アルカン系
冷媒とは、冷媒として使用可能な低級塩素含有フッ化ア
ルカン(例えば、炭素数1〜5程度の塩素含有フッ化ア
ルカン)、好ましくは炭素数1〜3の塩素含有フッ化ア
ルカンである。例えば、HCFC−22(CHCl
2 )、CFC−12(CCl2 2 )、HCFC−1
42b(CClF2 CH3 )、HCFC−141b(C
Cl2 FCH3 )、HCFC−124a(CClF2
HF2 )、HCFC−124(CF 3 CHClF)、H
CFC−123a(CHClFCClF2 )、HCFC
−123(CF3 CHCl2 )、HCFC−235ca
(CHF2 CF2 CHClF)、HCFC−235cd
(CF3 CF2 CH2 Cl)、HCFC−235cc
(CClF2 CF2 CH2 F)等の各種の低級塩素含有
フッ化アルカンを例示する事ができるが、これらに限定
されるものではない。
【0117】また、本発明のおけるフッ化アルカン系冷
媒は、冷媒として使用可能な低級フッ化アルカン(例え
ば、炭素数1〜5程度のフッ化アルカン)、特に炭素数
1〜4のハイドロフルオロアルカンを含有するのが好ま
しい。例えば、HFC−32(CH2 CF2 )、HFC
−23(CHF3 )、HFC−134a(CF3 CH2
F)、HFC−134(CHF2 CHF2 )、HFC−
143a(CF3 CH3 )、HFC−152a(CH3
CHF2 )、HFC−125(CF3 CHF2 )、HF
C−227ea(CF3 CHFCF3 )、HFC−22
7ca(CHF2 CF2 CF3 )、CF3 CH2
3 、CF3 CHFCHF2 、CF3 CF2 CH2 F、
CHF2 CF2 CHF2 、CF3 CH2 CHF2 、CF
3 CF2 CH3 、CHF2 CF2 CH2 F、CF3 CF
2 CF2 CH 3 、CF3 CHFCHFCF3 、CF3
HFCHFCF2 CF3 等のフッ化メタン、フッ化エタ
ン、フッ化プロパン、フッ化ブタン等の各種の低級フッ
化アルカンを例示する事ができるが、これらに限定され
るものではない。
【0118】式[I]で表される化合物は、HCFC−
22等の塩素含有フッ化アルカン系冷媒とHFC−13
4a等のハイドロフルオロアルカン系冷媒いずれとも広
範な温度範囲で良好な相溶性を示す。例えば、式[I]
で表される化合物は、HFC−134aやHCFC−2
2等のフッ化アルカンと−10℃以下、−20℃以下、
−30℃以下、−40℃以下、さらには−78℃以下で
相溶する事も可能である。
【0119】また、式[1]で表される化合物のHFC
−134a等のハイドロフルオロアルカン系冷媒やHC
FC−22等の塩素含有フッ化アルカン系冷媒との相溶
性の上限温度は70℃以上、80℃以上、さらには90
℃以上のものが容易に得られる。したがって、式[I]
の化合物は当然の事ながら各種ハイドロフルオロアルカ
ン系冷媒と塩素含有フッ化アルカン系冷媒との混合溶媒
とも同様の良好な相溶性を示す。
【0120】さらに、式[I]の化合物を、銅、または
真ちゅう、アルミニウム及び炭素綱のような金属とHF
C−134aのようなフッ化アルカンとCFC−12の
ような塩素含有フッ化アルカンの混合冷媒共存下で加熱
する安定性試験(いわゆるシ−ルドチュ−ブテスト)に
かけた場合、175℃でも、式[I]の化合物及び混合
冷媒は安定であり、また、金属表面もほとんど変化しな
いと言った良好な結果を示す。一方、同様の条件下で
は、ポリアルキレングリコールやエステル系オイル等の
極性オイルは容易に分解してしまう。
【0121】以上のように、本発明の式[I]で表され
る化合物は塩素含有フッ化アルカン系冷媒を含有する各
種のフッ化アルカンと非常に広い温度範囲で良好な相溶
性を示し、且つ、CFC−12のような塩素含有フッ化
アルカン共存下でさえ高い安定性を示す。また、一般式
〔I〕で表される化合物は吸湿性が極めて低く、吸湿性
の大きなポリアルキレングリコールやエステル系オイル
のように、水によるオイルの電気特性の低下やHFC−
134a等のフッ化アルカンの分解の促進等の問題もな
い。
【0122】また、式〔I〕の含フッ素芳香族化合物の
潤滑特性をフッ化アルカンの存在下および不在下で評価
したところ、いずれの場合も極圧性(焼き付け荷重)、
耐摩粍性、摩擦係数とも極めて良好な性能を示すことが
確認された。例えば、式〔I〕で表される含フッ素芳香
族化合物の多くは、鉱油のような従来冷媒用冷凍機油、
あるいはポリアルキレングリコールやポリエステル系オ
イル等のHFC−134a用冷凍油の候補オイルよりも
はるかに優れた潤滑特性を示した。
【0123】なお、上記の潤滑特性は、各種の試験機に
より測定できるが、例えば、ファレックス試験機により
極圧性および耐摩粍性が、曽田式四球摩擦試験機により
極圧性が、また、曽田式振り子型摩擦試験機により摩擦
係数が測定される。したがって、一般式[I]の化合物
は、塩素含有フッ化アルカン系冷媒を含有する冷媒用の
冷凍機油として適している。又、さらに、一般式[I]
の化合物はこれまで塩素含有フッ化アルカン系冷媒を使
用していた冷凍機の冷媒組成物フッ化アルカン系冷媒組
成物に置換する場合の冷凍機油としても適している。
【0124】本発明の他の一つの態様によれば、塩素含
有フッ化アルカン系冷媒を含有するフッ化アルカン系冷
媒を用いた冷凍機用の潤滑油に適した高純度の一般式
〔I〕で表される化合物の製造方法が提供される。すな
わち、塩基触媒及び極性溶剤の存在下で一般式〔II〕
で表されるフェノール類又はチオフェノール類 R(XH)n 〔II〕 〔ここで、XはO又はS原子である。R及びnは、それ
ぞれ一般式〔I〕中のR及びnと同じ。nが2以上の場
合には、一般式〔II〕で示される化合物は異なる種類
のXH基より構成されていてもよい。〕を含フッ素オレ
フィンに付加させて、一般式〔I〕で表される含フッ素
芳香族化合物を合成するに当たり、塩基触媒を反応に関
与するフェノール性水酸基又はチオフェノール性チオー
ル基に対し0.01〜1倍モル使用し、かつ当該塩基触
媒に対して0.2倍モル〜100倍モルの水を共存させ
て反応させることを特徴とする高純度含フッ素芳香族化
合物の製造方法が提供される。
【0125】先に記載したように、一般式〔I〕で表さ
れる含フッ素芳香族化合物は多様な方法によって製造す
ることが可能であり、製造方法によって何ら限定される
ものではない。ただし、通常は、製造過程で目的物と類
似の構造を示す不純物が副生し、その除去による目的物
の精製が困難な場合が多い。
【0126】冷凍機油においては、微量の不純物でも冷
凍システムにおける金属材料の腐食を引き起こしたり、
冷媒の分解を加速したり、或いは冷凍機油の体積抵抗等
の電気特性(冷蔵庫用等の密閉式冷凍機に要求される特
性)に著しい悪影響を及ぼしたりするので、極めて高い
純度が要求される。そこで、本発明者らは、高純度の一
般式〔I〕で表される含フッ素芳香族化合物を収率良く
しかも簡単に合成すべく、前に記載した種々の合成方法
について鋭意検討した。
【0127】その結果、塩基触媒及び極性溶剤の存在下
で、一般式〔3〕で代表されるような反応様式により、
一般式〔II〕で表されるフェノール類又はチオフェノ
ール類を含フッ素オレフィンに付加させて、一般式
〔I〕で表される含フッ素芳香族化合物を合成するに当
たり、塩素触媒を反応に関与するフェノール性水酸基又
はチオフェノール性チオール基に対して0.1〜1倍モ
ル、好ましくは0.05〜0.3倍モル使用し、かつ、
当該塩基触媒に対して0.2倍モル〜100倍モル、好
ましくは1倍モル〜50倍モル、さらに好ましくは15
倍モル〜50倍モルの水を共存させて反応させると高純
度の含フッ素芳香族化合物が容易に合成単離させること
を見出した。
【0128】上記反応に使用される塩基触媒としては、
各種の塩基が使用されているが、その例としては例えば
NaOH、KOH等のアルカリ金属水酸化物、NaHC
3 、KHCO3 等のアルカリ金属重炭酸塩、Na2
3 、K2 CO3 等のアルカリ金属炭酸塩、トリエチル
アミン、トリブチルアミン等のアミン類等及び金属ナト
リウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属が挙げられ
る。
【0129】本方法に使用される含フッ素オレフィンと
しては、フェノキシアニオン又はチオフェノキシアニオ
ンが求核付加するものであれば特にそれ以上制約はない
が、その例としては、例えば、Advance in Fluorine Ch
emistry , 4 ,50 (1965)に示されているCF2 =C
2 、CF2 =CFCF3 ,CF2 =CClF等のパー
フルオロオレフィンあるいはクロロフルオロオレフィ
ン、一般式(11)及び(12)等で代表される各種含
フッ素オレフィンのオリゴマーCF2 =CFOCF2
2 CF3 で代表されるパーフルオロビニルエーテル等
が挙げられる。
【0130】本方法に用いる極性溶媒としては、各種の
極性溶剤が使用でき、その例としては、例えば、ジメチ
ルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン、
N−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、テトラグライム、ジメトキシエタン等
を挙げることができる。極性溶剤の使用量は特に限定さ
れるものではないが、通常は、反応に関するフェノール
類又はチオフェノール類に対し、10重量%〜1000
重量%加えられる。
【0131】反応温度は、通常は0〜150℃、好まし
くは40〜100℃で、反応圧力は、通常は0.1〜2
0気圧、好ましくは1〜10気圧で行われる。塩基触媒
の量は、反応に関与するフェノール類又はチオフェノー
ル類中のフェノール性水酸基又はチオフェノール基に対
し0.01〜1倍モル、好ましくは0.05〜0.3倍
モル用いる。
【0132】水の添加量は、当該塩基触媒に対し、通常
は0.2倍モル〜100倍モル、好ましくは1倍モル〜
50倍モル、さらに好ましくは15倍モル〜50倍モル
の範囲が使用される。水の添加量が少なすぎると目的物
の選択性が低くなり、又多すぎると反応速度が遅くなり
実用的でない。また、本方法の別のメリットは、十分な
水の添加系においては、反応後に、目的生成物である一
般式〔I〕で表されるオイルを主成分とするオイル層
と、極性溶媒、水、および塩基触媒を主成分とする触媒
層が二層分離するために反応混合物より目的物を簡単に
分離することができ、一方、触媒層はそのままリサイク
ルして再使用できることである。
【0133】一般式〔I〕で表される含フッ素芳香族化
合物を冷凍システム用の潤滑油として使用するに当た
り、相溶性、潤滑特性、耐久性以外に要求される重要な
特性として、電気特性を挙げる事ができる。特に、冷蔵
庫用の冷凍機等に使用されている密閉型冷凍機用の潤滑
油は良好な電気絶縁性が要求される。即ち、通常は10
11Ωcm以上の、好ましくは1012Ωcm以上の、特に好ま
しくは1013Ωcm以上の体積固有抵抗率を有している事
が要求される。
【0134】上記の合成方法によると、高選択率で目的
の含フッ素芳香族化合物が形成されるために、水洗や簡
単な蒸留(例えば、単蒸留)によって高純度(例えば、
99.9%以上)の含フッ素化合物を単離することがで
きるが、微量の不純物の影響により体積固有抵抗率等の
電気特性が不十分な場合が多い。そこで、本発明者らは
電気特性を改良する各種の処理方法について検討を行
い、以下の方法を見出した。
【0135】即ち、前述の方法で得られた高純度含フッ
素芳香族化合物をシリカゲル、ゼオライト、フラースア
ース、活性白土、ボーキサイト、アルミナ、マグネシ
ア、木炭、骨炭、活性炭、或いはケイ酸アルミナゲル、
ジルコニウムオキサイドゲル等のイオン交換体など、各
種の極性物質に対する無機系あるいは有機系吸着剤の少
なくとも一種と接触させる事により、好ましくは活性
炭、シリカゲル、活性アルミナ、シリカーアルミナ、活
性白土、ゼオライトから選ばれる少なくとも一種との吸
着剤と接触させる事により、特に好ましくは活性炭、シ
リカゲルおよびゼオライトから選ばれる少なくとも一種
の吸着剤と接触させる事により電気特性が著しく改良さ
れ、体積固有抵抗率が1012Ωcm以上、あるいは1013
Ωcm以上の高純度含フッ素芳香族化合物が容易に得られ
る事を見出した。
【0136】接触方法としては、含フッ素芳香族族化合
物あるいはその溶液に当該吸着剤を分散させても良い
し、あるいは当該吸着剤を充填剤としたカラムに含フッ
素芳香族化合物あるいはその溶液を通すことにより接触
精製処理を施しても良い。本精製方法により極めて高純
度(例えば、99.9%以上)で、金属材料や冷媒に対
する悪影響を示さず、又良好な電気特性を示す含フッ素
芳香族化合物が容易に得られる。
【0137】前述のように一般式〔I〕で表される含フ
ッ素芳香族化合物は、一般に良好な潤滑特性を示すの
で、塩素含有フッ化アルカン系冷媒を含有するフッ化ア
ルカンを冷媒とした冷凍機用の潤滑油としてだけでな
く、一般の潤滑油としても有用である。その中でも、特
に一般式〔III〕で表される多価の含フッ素芳香族化
合物が、 1)、安価な合成原料を使用して、かつ高収率で経済的
に有利に合成できる事 2)、特に優れた潤滑特性を示す事 3)、各種の炭化水素系溶剤との相溶性に優れているの
で、当該物質の塗布、洗浄、混合等の操作が容易である
事 4)、各種の非フッ素系オイル(例えば、炭化水素系オ
イル、ポリアルキレングリコール、エステル系オイル
等)との相溶性に優れているので、それらのオイルとの
混合オイルとしても使用できる事 等の数多くの特徴を有しており、特に有用である。
【0138】 R’(XRf’)n’ 〔III〕 〔ここで、XはO又はS原子である。R’は一般式
〔I〕中のRと同じ芳香族基を表すが、ただしR’中の
炭素原子の数は6〜30個である。n’は2〜4の整数
を表す。Rf’は一般式〔I〕中のRfと同じである
が、ただし、Rf’中の炭素原子の数は1〜3である。
【0139】一般式〔III〕の化合物は、複数の種類
のXRf’より構成されていてもよい。R’とXRf’
はR’中の芳香環部分で直接連結している。〕 1)についてさらに詳しく具体例を挙げて説明すると、
例えば一般式〔III〕の物質は、多価フェノールとC
2 =CF2 、CF2 =CFCl、CF2 =CFCF3
等の工業的に大量に製造されている安価なフルオロオレ
フィンとの反応により高収率で合成される。
【0140】或いは、一般式〔III〕の物質は、多価
フェノールとHCFC−22(CF 2 HCl)やCFC
−113(CF2 ClCFCl2 )等の安価なクロロフ
ルオロカーボン類との反応によっても高収率で合成され
る。又、さらに、CF3 CH2 OH、CF3 CF2 CH
2 OH等の工業的に大量に製造されている安価な含フッ
素アルコールを用いても合成される。
【0141】又、2)に関してさらに詳しく説明する
と、一般式〔III〕の物質は、極めて良好な潤滑特性
を示し、それらは代表的な高性能潤滑オイルであるター
ビン油(添加剤入り)よりも優れた極圧性、耐摩粍性、
摩擦係数を示すことが確認されている。一般式〔II
I〕で表される化合物としては、例えば以下のような化
合物が挙げられる。
【0142】R15
【0143】
【化38】
【0144】R16
【0145】
【化39】
【0146】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではな
い。本発明の潤滑油の動粘度は、各種の粘度計による粘
度の測定により求めることができる。例えば、用いる粘
度計としては、例えばウベローデ粘度計、オストワルド
粘度計、キャノン−フェンスケ粘度計等の毛管粘度計、
回転粘度計あるいは転落球型粘度計を挙げることが出来
るが、本願においては、E型回転粘度計(東京計器社
製)を使用した。
【0147】(参考反応例1)水酸化カリウム6.2g
をメタノール200mlに溶解した。これに、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビス
フェノールAと略記する)12.7gを含むメタノール
溶液200mlを徐々に加え、室温で約1時間攪拌し
た。反応後、メタノールをドライアップするとビスフェ
ノールAのカリウムアルコキシドが18.9g得られ
た。このカリウムアルコキシド18.9gとビスフェノ
ールA56.0gをジメチルスルホキシド200mlに
溶解させ、500ml容量のマイクロボンベに入れた。
【0148】系内を脱気後、不活性ガスN2 で常圧に戻
した。反応容器をオイルバスで60℃に加温し、クロロ
トリフルオロエチレンを導入し反応を開始した。系内圧
(ゲージ圧)が2〜3kg/cm2 に保たれるようにク
ロロトリフルオロエチレンを供給し、約5時間反応させ
た。反応後の溶液を多量の水にあけ、分離した反応生成
物に、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフル
オロエタン(以下、CFC−113と略記する)を50
0mlを加えた。CFC−113層を蒸留水で2回洗浄
後、乾燥し、溶媒除去する事により無色透明のオイル
(〔S1〕を91.5wt%含有)を131g得た。
【0149】単蒸留後(bp.0.02mmHg、18
0℃)シリカゲルカラムを用いて分離処理を施し、オイ
ル〔S1〕を単離した。赤外線吸収スペクトル分析、質
量分析〔m/e 460、462(M+ )445、44
7(M+ −CH3 )〕および 19F−NMRスペクトル分
析より、このオイル〔S1〕が以下に示す構造を有する
化合物であることを確認した。
【0150】〔S1〕
【0151】
【化40】
【0152】19F−NMRスペクトル(CF3 COOH
からのppm ):78(2F)、7.5(4F) (参考反応例2)クロロトリフルオロエチレンの代わり
にテトラフルオロエチレンを用いる以外は、参考反応例
1と全く同様にして、無色透明のオイル(〔S2〕を9
0.1wt%含有)113gを得た。単蒸留後(bp.
0.20mmHg、160℃)、シリカゲルカラムを用
いて分離処理を施し、オイル〔S2〕を単離した。
【0153】赤外線吸収スペクトル分析、質量分析〔m
/e 392(M+ )、377(M+ −CH3 )〕この
化合物〔S2〕が以下に示す構造を有する化合物である
ことを確認した。 〔S2〕
【0154】
【化41】
【0155】(参考反応例3)ビスフェノールA10g
をテトラヒドロフラン10mlに溶解し、これにトリエ
チルアミン10gを加え、200ml容量のマイクロボ
ンベ内に入れた。このマイクロポンベを−78℃に冷却
し、マイクロポンベ内を減圧した後に、ヘキサフルオロ
プロパン60gを導入し、その後、60℃に加熱し、5
時間反応させた。反応後、エバポレーターにより、テト
ラヒドロフランおよび余剰のトリエチルアミンを除去し
て得た反応混合物に、R−113 100mlを加え溶
液とした後、希塩酸による洗浄を1回、蒸留水による洗
浄を2回行った。
【0156】エバポレーターでR−113相の溶媒を除
去することにより、無色透明のオイル〔S3〕を12g
得た(収率55%)。この混合物をガスクロマトグラフ
ィーにより分析したところ、数本のピークが認められた
ため、オイル〔S3〕にシリカゲルカラムを用いて分離
処理を施し、各フラクションから得られたサンプルにつ
いて、質量分析、赤外線吸収スペクトル分析、19F−N
MRスペクトル分析を行った。その結果を表1に示す。
【0157】
【表1】
【0158】a)内部標準 CF3 COOH b)〔S3〕
【0159】
【化42】
【0160】〔S3A〕
【0161】
【化43】
【0162】〔S3B〕
【0163】
【化44】
【0164】〔S3C〕
【0165】
【化45】
【0166】オイル〔S3〕は表1に示す化合物
〔A〕、〔B〕、〔C〕(モル比A/B/C=4/4/
2)の混合物であり、更に、化合物〔A〕にはペンタフ
ルオロプロペニル基の構造異性体により、シス−シス
体、シス−トランス体及びトランス−トランス体がある
こと、また化合物〔B〕には同様にシス体とトランス体
のあることを確認した。
【0167】(参考反応例4)参考反応例1と同様な方
法により合成したビスフェノールAのカリウムアルコキ
シド17gをジメチルスルホキシド100mlに溶解
し、R−113を28g加えた後、60℃に加熱し約5
時間反応させた。反応後、溶液を多量の水にあけ、分離
した反応生成物にR−113を100ml加えた。相分
離したR−113相を蒸留水により2回洗浄した後、溶
媒を除去することにより、無色透明のオイル〔S4〕を
13.4g得た(収率28.5%)。
【0168】このオイルをガスクロマトグラフィーによ
り分析したところ、3本のピークが認められたため、オ
イル〔S4〕にシリカゲルカラムを用いて分離処理を施
し、各フラクションから得られたサンプルについて質量
分析、赤外線吸収スペクトル分析、NMRスペクトル分
析を行った。それらの結果を表2に示す。
【0169】
【表2】
【0170】a)内部標準 CF3 COOH b)〔S4〕
【0171】
【化46】
【0172】〔S4D〕
【0173】
【化47】
【0174】〔S4E〕
【0175】
【化48】
【0176】〔S4F〕
【0177】
【化49】
【0178】オイル〔S4〕は化合物〔D〕、〔E〕、
〔F〕(モル比D/E/F=3/5/2)の混合物であ
ることを確認した。 (参考反応例5)ビスフェノールAの代わりに2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン
を用い、クロロトリフルオロエチレンの代わりにテトラ
フルオロエチレンを用いる以外は、参考反応例1と全く
同様にしてオイル〔S5〕を得た(収率77%)。
【0179】赤外線吸収スペクトル分析及び質量分析結
果〔m/e 456(M+ ),441(M+ −C
3 )〕より、〔S5〕が以下に示す構造を有する化合
物であることを確認した。
【0180】〔S5〕
【化50】
【0181】(参考反応例6)ビスフェノールAの代わ
りにp−α−クミルフェノールを用いる以外は、参考反
応例3と全く同様にしてオイル〔S6〕を得た(収率8
6%)。 〔S6〕
【0182】
【化51】
【0183】ガスクロマトグラフィー分析、質量分析の
結果より、オイル〔S6〕は化合物〔G〕、〔H〕(モ
ル比G/H=5/5)の混合物であると同定した。 〔S6−G,H〕
【0184】
【化52】
【0185】(参考反応例7)ビスフェノールAの代わ
りに2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンを用いる以外は、参考反応例3と全
く同様にしてオイル〔S7〕を得た(収率46%)。赤
外線吸収スペクトル分析、質量分析の結果より、〔S
7〕が以下に示す構造を有する化合物であることを確認
した。
【0186】〔S7〕
【0187】
【化53】
【0188】m=0、1 n=0、1 (参考反応例8)ビスフェノールAの代わりにビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルホンを用いる以外は、参考
反応例3と全く同様にして高粘性のオイル〔S8〕を得
た(収率41%)。
【0189】赤外線吸収スペクトル分析、質量分析の結
果より、〔S8〕が以下に示す構造を有する化合物であ
ることを同定した。 〔S8〕
【0190】
【化54】
【0191】m=0、1 n=0、1 (参考反応例9)ビスフェノールAの代わりにビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ンを用いる以外は、参考反応例3と全く同様にして10
℃で固体状の物質〔S9〕を得た(収率97%)。
【0192】赤外線吸収スペクトル分析、質量分析の結
果より、〔S9〕が以下に示す構造を有する化合物であ
ることを同定した。 〔S9〕
【0193】
【化55】
【0194】m=0、1 n=0、1 (参考反応例10)ビスフェノールAの代わりにドデシ
ルフェノールを用いる以外は、参考反応例3と全く同様
にオイル〔S10〕を得た(収率80%)。赤外線吸収
スペクトル分析、質量分析の結果より、〔S10〕が以
下に示す構造を有する化合物であることを同定した。
【0195】〔S10〕
【0196】
【化56】
【0197】n=0、1 (参考反応例11)ヘキサフルオロプロペンの代わりに
下記のヘキサフルオロプロペン2量体、 R17:
【0198】
【化57】
【0199】を用いる以外は、参考反応例3と全く同様
にしてオイル〔S11〕を得た(収率79%)。 〔S11〕
【0200】
【化58】
【0201】m=0、1 n=0、1 ガスクロマトグラフィー分析及び質量分析の結果より、
混合物〔S11〕は混合物〔I〕、〔J〕、〔K〕(モ
ル比I/J/K=4.8/4.7/0.5)の混合物で
あると同定した。 m=0 n=0 〔S11−I〕 m=0 n=0 〔S11−J〕 m=1 n=1 〔S11−K〕 (参考反応例12)ビスフェノールA10gを、テトラ
ヒドロフラン10mlに溶解、これにトリエチルアミン
15gを加え、還流冷却式攪拌機を装置した4つ口フラ
スコに入れた。これに、ヘキサフルオロプロペン3量体
9 18(米国PCR社製)180gを加え、60℃で
6時間反応させた。反応後、エバポレーターにより、テ
トラヒドロフランおよび余剰のヘキサフルオロプロペン
3量体、トリエチルアミンを除去した。
【0202】反応混合部に、R−113 50mlを加
え溶液とした後、希塩酸および水で洗浄した。R−11
3相をシリカゲルカラムによる精製の後に、エバポレー
ターで溶媒を除去することにより、オイル〔S12〕を
47g得た(収率97%)。赤外線吸収スペクトル分
析、質量分析の結果より、〔S12〕は以下に示す構造
を有する化合物であることを同定した。
【0203】〔S12〕
【0204】
【化59】
【0205】m=0、1 n=0、1 (参考反応例13)ビスフェノールAの代わりにノニル
フェノールを用いる以外は、参考反応例12と全く同様
にしてオイル〔S13〕を得た(収率70%)。赤外線
吸収スペクトル分析、質量分析の結果より、〔S13〕
が以下に示す構造を有する化合物であることを同定し
た。
【0206】〔S13〕
【0207】
【化60】
【0208】n=0、1 (参考反応例14)ビスフェノールAの代わりにドデシ
ルフェノールを用いる以外は、参考反応例9と全く同様
にしてオイル〔S14〕を得た(収率69%)。赤外線
吸収スペクトル分析、質量分析の結果より、〔S14〕
が以下に示す構造を有する化合物であることを同定し
た。
【0209】〔S14〕
【0210】
【化61】
【0211】n=0、1 (参考反応例15)ビスフェノールAの代わりにp−α
−クミルフェノールを用いる以外は、参考反応例12と
全く同様にしてオイル〔S15〕を得た(収率70
%)。赤外線吸収スペクトル分析、質量分析の結果よ
り、〔S15〕が以下に示す構造を有する化合物である
ことを同定した。
【0212】〔S15〕
【0213】
【化62】
【0214】n=0、1 (参考反応例16)水酸化ナトリウム7.1gを水2
0.7gに溶解後、ビスフェノールA4.0gをジメチ
ルスルホキシド13.8gを加え、100ml容量のマ
イクロボンベに仕込んだ。このマイクロボンベを−78
℃に冷却し、ボンベ内を減圧下後、クロロジフルオロメ
タン(R22)7.8gを導入した。70℃で10時間
反応させた後、反応溶液を多量の水にあけ、分離した反
応生成物にR−113を100ml加えた。
【0215】下層のR−113層を蒸留水により2回洗
浄した後、シリカゲルカラムにより精製し、溶媒を除去
することによりオイル〔S16〕を1.1g得た(収率
18%)。質量分析〔m/e 328(M+ ),313
(M+ −CH3 )〕及び赤外線吸収スペクトル分析の結
果より、オイル〔S16〕は以下の構造を有する。。
【0216】〔S16〕
【0217】
【化63】
【0218】(参考反応例17)ビスフェノールA10
gをテトラヒドロフラン60mlに溶解後、トリエチル
アミン15gを加え、更に2−エチルヘキサン酸クロリ
ド7,2gのテトラヒドロフラン溶液40mlを滴下
し、ロートで徐々に加えた。室温で10時間反応させた
後、エバポレーターにより、テトラヒドロフラン及び余
剰のトリエチルアミンを除去した。残った反応生成物を
200ml容量のマイクロポンベに移し、参考反応例3
と同様な方法によってヘキサフロオロプロペンと反応さ
せ、オイル〔S17〕を1.6g得た(収率7.5
%)。
【0219】赤外線吸収スペクトル分析、質量分析の結
果〔S17〕が、以下に示す構造を有する化合物である
ことを同定した。 〔S17〕
【0220】
【化64】
【0221】n=0、1 (参考反応例18)参考反応例3で得たオイル〔S3〕
10.8gを200容量のマイクロポンベに入れ、塩化
スルフリルSO2 Cl2 を5.4g加えた後、100℃
で4日反応させた。反応後溶液を多量の水にあけ、分離
した反応生成物にフレオン113を100ml加え溶液
とし、下層を分取した。重炭酸ナトリウム10%水溶液
及び蒸留水で洗浄後、シリカゲルカラムで精製し、オイ
ル状物質を9.65g得た。
【0222】このオイル状物質の赤外線吸収スペクトル
は、〔S3〕の−CF=CF−の伸縮振動に基づく17
59cm-1の吸収が消失しており、〔S18〕の様な塩
素付加体が形成されていることを示している。〔S1
8〕
【0223】
【化65】
【0224】(ここで、RfClは−CClFCClF
CF3 又は−CF2 CHFCF3 である。) (参考反応例19)水酸化ホウ素ナトリウムNaBH4
7gをジメチルスルホキシド100mlに懸濁させた溶
液に、参考反応例4で得た混合物〔S4〕8gを加え、
85℃で16時間反応させた。反応後エバポレーターに
より、ジメチルスルホキシドを除去して得た反応混合物
にR−113 100mlを加え溶液とした。これを蒸
留水で洗浄後、R−113相をシリカゲルカラムにより
精製し、無色透明のオイル〔S19〕を3.5g得た
(収率55%)。
【0225】ガスクロマトグラフィー分析及び質量分析
〔m/e 428(M+ ),413(M+ −CH3 )〕
の結果、オイル〔S19〕は以下の構造を有する化合物
であると同定した。 〔S19〕
【0226】
【化66】
【0227】(参考反応例20)ビスフェノールAの代
わりに2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒド
ロキシフェニル)−3−ヘプテンを用いる以外は、参考
反応例3と全く同様にしてオイル〔S20〕を得た(収
率93%)。ガスクロマトグラフィー分析及び質量分析
の結果、飽和基と不飽和基の比、即ち−CF2 CHFC
3 /−CF=CF−CF3 =42/58であった。
【0228】〔S20〕
【0229】
【化67】
【0230】(ここで、Rf1 、Rf2 、Rf3 は、−
CF2 CHFCF3 又は−CF=CF−CF3 であ
る。) (参考反応例21)ビスフェノールAの代わりに化合物
〔G21〕を用いる以外は、参考反応例3と全く同様に
してオイル〔S21〕を得た(収率70%)。
【0231】ガスクロマトグラフィー分析及び質量分析
の結果、飽和基と不飽和基の比、即ち−CF2 CHFC
3 /−CF=CF−CF3 =46/54であった。 〔G21〕、〔S21〕
【0232】
【化68】
【0233】(ここで、Rf1 、Rf2 、Rf3 、Rf
4 は、−CF2 CHFCF3 又は−CF=CF−CF3
である。) (参考反応例22)炭酸ナトリウム10gをジグライム
25mlに分散させた溶液にヘキサフルオロプロペンオ
リゴマーの酸フルオライドF〔CF(CF3 )CF
2 O〕5-8 CF(CF3 )COF(米国PCR社製)を
25g加え、80℃で5時間反応させる。
【0234】反応後、ジグライムを溜去し、シリカゲル
カラム精製することによりオイル〔G22〕を15.4
g得た。参考反応例1と同様な方法により合成したビス
フェノールAのカリウムアルコキシド0.54g及びビ
スフェノールA0.50gをジメチルスルホキシド3m
lに溶解させ、これに化合物〔G22〕11gの1,3
ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン溶液10mlを加
え、80℃で3時間反応させた。
【0235】ジメチルスルホキシドを溜去後、シリカゲ
ルカラムで精製し、オイル〔S22〕を9.7g得た
(収率約80%)。赤外線吸収スペクトル分析、質量分
析の結果、〔G22〕〔S22〕は以下に示す構造を有
する物質の混合物であることが確認された。 〔G22〕、〔S22〕
【0236】
【化69】
【0237】(ここで、Rf01はR23
【0238】
【化70】
【0239】Rf02はR24
【化71】
【0240】である。) 〔S22〕の質量分析のデータを以下に示す。
【0241】
【表3】
【0242】(参考反応例23)R−113の代わりに
1,1−ジフルオロ−1,2,2,2−テトラクロロエ
タンを用いる以外は、参考反応例4と全く同様にして、
固体状の物質〔S23−〕を得た(収率=55%)。
水酸化アルミニウムリチウム9gをテトラヒドロフラン
200mlに懸濁させた溶液に、オイル〔S23−〕
を11g加え、室温で5時間、更に65℃で5日反応さ
せる。反応後、テトラヒドロフランを溜去し、トルエン
100mlを加え溶液とした。これを蒸留水で洗浄後、
トルエン相シリカゲルにより精製し、無色透明のオイル
を3.5g得た(収率50%)。
【0243】赤外線吸収スペクトル分析、質量分析の結
果より、〔S23−〕、〔S23−〕が以下に示す
構造を有する化合物であることを同定した。 〔S23−,〕
【0244】
【化72】
【0245】 m/e 356(M+ ),341(M+ −CH3 ) (参考反応例24)ビスフェノールAの代わりに、チオ
フェノールを用いる以外は、参考反応例22と全く同様
な方法により、オイル〔S24〕を得た(収率約70
%)。赤外線吸収スペクトル分析、ガスクロマトグラフ
ィー分析及び質量分析の結果、〔S24〕は以下に示す
構造を有する物質の混合物であることが確認された。
【0246】〔S24〕
【0247】
【化73】
【0248】質量分析データを以下に示す。
【0249】
【表4】
【0250】(参考反応例25)2,2−ビス〔p−
(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−プロパン7.
9gを溶かしたジクロルメタン溶液60mlに、ヘキサ
フルオロプロペンジエチルアミン13gをジクロルメタ
ンで希釈した溶液を0〜5℃で滴下した。室温で4時間
反応させた後、反応混合物を10重量パーセントの炭酸
カリウム水溶液に注ぎ、油層を水洗後、硫酸ナトリウム
で乾燥した。分離蒸留し、無色透明オイル状の物質〔S
25〕を1.0g得た。
【0251】赤外線吸収スペクトル分析および質量分析
〔m/e 320(M+ ),305(M+ −CH3 )〕
より、この物質〔S25〕が以下に示す構造を有する化
合物であることを確認した。 〔S25〕
【0252】
【化74】
【0253】(参考反応例26)参考反応例1と同様な
方法により合成したビスフェノールAのアルコキシド1
3.3gとp−トルエンスルホン酸エチル30.0gを
ジメチルスルホキシド200ml溶媒中で反応させた。
溶媒を溜去し、シリカゲルカラムで精製し、白色固体の
化合物〔S26〕を6.6g得た。
【0254】赤外線吸収スペクトル分析、質量分析の結
果、〔m/e 284(M+ ),269(M+ −C
3 )〕より〔S26〕が以下に示す構造を有する化合
物であることを同定した。 〔S26〕
【0255】
【化75】
【0256】(実施例1) <相溶性試験>参考反応例1で得られたオイル〔S1〕
と各種フッ化アルカン(HFC−134a、HFC−1
34、HFC−152a)との相溶性を以下の方法によ
り調べた。
【0257】まず、オイル〔S1〕0.2gをガラスチ
ューブに入れておき、ガラスチューブ毎に液体窒素で冷
却し、減圧した後、HFC−134a約1,5gを導入
した。ガラスチューブを封管後に温度調整された水槽に
入れ、温度が平衡に達した後に、目視で〔S1〕とフッ
化アルカンの相溶性を判断するという方法で、室温から
90℃迄の相溶温度範囲を測定した。また、室温以下の
低温領域はメタノール冷媒中で冷却して、同様な方法で
測定した。
【0258】その結果を比較例1の結果とともに表3に
示す。また、オイル〔S1〕の40℃、100℃におけ
る動粘度を測定した結果、各々56.8cst、5.3
4cstであった。 (実施例2)参考反応例2で得られたオイル〔S2〕と
前記各種フッ化アルカンとの相溶性を実施例1と同様に
して調べた結果を比較例1の結果とともに表5に示す。
【0259】
【表5】
【0260】
【表6】
【0261】*1:Montefluos社製 CF3
O(−CF2 CF2 O) m1 −−(CF2 O) m2−CF
3 *2:相溶性測定条件の範囲(−79℃〜90℃)で相
溶しない。 *3〔S2−1〕
【0262】
【化76】
【0263】また、オイル〔S2〕の40℃、100℃
における動粘度は、各々26.2cst、3.40cs
tであった。 (比較例1〜4)市販のパーフルオロポリエーテル及び
2,2−ビス(4−エトキシフェニル)プロパンと前記
各種フッ化アルカンとの相溶性を実施例1と同様にして
調べた結果を、40℃における動粘度とともに前記表5
〜6に示す。
【0264】表3〜5、11、12、14において、M
nは数平均分子量を意味する。また、n及びm1 〜mn
は正の整数を意味する。 (比較例5〜8)市販のパーフルオロポリエーテル及び
ポリオキシアルキレングリコールのHFC−134aと
の相溶性を実施例1と同様にして調べた結果を40℃に
おける動粘度とともに表7に示す。
【0265】
【表7】
【0266】*1 Du Pont社製 〔S2−2〕
【0267】
【化77】
【0268】*2 ダイキン工業(株)製 〔S2−
3〕
【0269】
【化78】
【0270】*3 〔S2−4)
【0271】
【化79】
【0272】表5〜6.表7より各種フッ化アルカンと
の相溶性について、以下のことが分かる。即ち、市販の
パーフルオロポリエーテルは、低温領域の相溶性が不十
分であり、一方、ポリオキシアルキレングリコールは、
高温領域での相溶性に問題がある。それらに比較し、本
発明のオイルは低温領域から高温領域まで巾広い温度範
囲で各種のフッ化アルカンと良好な相溶性を示す。
【0273】また、比較例4に示した本発明のオイルと
類似の構造を有しているが、フッ素原子を含まない化合
物である〔S26〕はHFC−134a等のフッ化アル
カンと殆ど相溶性を示さない。この事実により芳香族基
にエーテル結合で結合しているアルキル基がフッ素原子
を含有していることが、相溶性発現のための必須要件で
あることは明らかである。
【0274】(実施例3〜23)参考反応例3〜7、1
0〜23で得られた各種のオイルとHFC−134aと
の相溶性を実施例1と同様にして調べた結果を、40℃
における動粘度とともに表8〜9に示す。
【0275】
【表8】
【0276】
【表9】
【0277】(実施例24、25)参考反応例8、9で
得られたアルカン系化合物のHFC−134aとの相溶
性についても実施例1と全く同様な方法で実施した。そ
の結果、潤滑剤〔S8〕、〔S9〕はいずれも測定した
−78℃から90℃の全温度範囲でHFC−134aと
相溶性を示した。
【0278】(実施例26〜28)参考反応例5で得ら
れたオイル〔S5〕と、参考反応例2で得られたオイル
〔S2〕を種々の重量比で混合したオイルについて、H
FC−134aとの相溶性を実施例1と同様にして調べ
た結果を、40℃における動粘度とともに表10に示
す。
【0279】
【表10】
【0280】(実施例29〜30)参考反応例4で得ら
れた10℃で固体状物質〔S4−D〕と、参考反応例2
で得られたオイル〔S2〕を種々の重量比で混合したオ
イルについて、HFC−134aとの相溶性を実施例1
と同様にして調べた結果を、40℃における動粘度とと
もに表11に示す。
【0281】
【表11】
【0282】(実施例32〜34)参考反応例7で得ら
れたオイル〔S7〕と、参考反応例3で得られたオイル
〔S3〕を種々の重量比で混合したオイルについて、H
FC−134aとの相溶性を実施例1と同様にして調べ
た結果を、40℃における動粘度とともに表12に示
す。
【0283】
【表12】
【0284】(実施例35)参考反応例11で得られた
オイル〔S11〕と、参考反応例3で得られたオイル
〔S3〕を重量比〔S7〕/〔S3〕=30/70で混
合したオイルについて、HFC−134aとの相溶性を
実施例1と同様にして調べた結果、相溶温度範囲の下限
は−78℃以下であり、上限は90℃以上であることが
分かった。また、この混合オイルの40℃における動粘
度は21cstであった。
【0285】(実施例36)参考反応例2で得られたオ
イル〔S2〕と、ポリプロピレングリコール(数平均分
子量Mn=1000)を重量比〔S2〕/ポリプロピレ
ングリコール=50/50で混合したオイルについて、
HFC−134aとの相溶性を実施例1と同様にして調
べた結果、相溶温度範囲の下限は−70℃であり、上限
は85℃であることが分かった。
【0286】また、この混合オイルの40℃における動
粘度は77.7cstを示した。ポリプロピレングリコ
ールとHFC−134aとの相溶温度範囲は下限が−7
8℃以下、上限は62℃である。オイル〔S2〕との混
合によりポリプロピレングリコールの相溶性(上限温
度)が改良されたことは明らかである。 (実施例37)参考反応例2で得られたオイル〔S2〕
と、エステル系オイル(日本油脂社製ユニスター 登録
商標H407R)を重量比〔S2〕/エステル系オイル
=50/50で混合したオイルについて、HFC−13
4aとの相溶性を実施例1と同様にして調べた結果、相
溶温度範囲の下限は−28℃であり、上限は90℃以上
であることが分かった。また、40℃における動粘度は
28.7cstを示した。
【0287】ユニスター H407Rは、ペンタエリス
リトールと炭素数7の合成脂肪酸の反応により得られる
フルエステルで40℃における動粘度は21.9cst
を示す。また、ユニスター H407RのHFC−13
4aとの相溶温度範囲は下限が−1℃、上限は85℃で
ある。以上の結果から、オイル〔S2〕との混合により
ユニスター H407Rの相溶性(下限温度)が改良さ
れたことは明らかである。
【0288】(実施例38〜43) <耐熱性評価(シールドチューブテスト)>ガラスチュ
ーブに精製したオイル〔S1〕0.6ml、HFC−1
34aおよび鉄、銅、アルミニウムの試験片を加えて封
管した冷媒組成物を175℃で10日間加熱した後に、
冷媒組成物の色相の変化及び金属片の表面を観察した結
果、冷媒組成物の色相、金属表面状態ともに変化は見ら
れなかった。また、オイル〔S2〕の粘度と赤外線吸収
スペクトルも全く変化していなかった。
【0289】また、本発明の各種の化合物の耐熱性を上
記と同様の方法でシールドチューブテストにより評価し
た結果を表13に示す。この結果より、本発明の化合物
は充分な耐熱性を示すことが判明した。
【0290】
【表13】
【0291】(実施例44、45) <潤滑特性試験>(ファレックス試験) ファレックス試験機を用いて、試験開始時の油温20℃
の条件で、負荷を300ポンドかけた状態で3分間運転
した後に、100ポンド単位で負荷荷重を増加させ、焼
付けに至るまで各負荷荷重で1分間ずつ運転する。かか
る方法で、焼付け荷重を測定した。
【0292】また、磨耗量は以下の方法で測定した。焼
付け荷重の測定と同様に、先ず、測定するオイルに冷媒
ガス(HRC−134a)を吹き込み量約10l/hr
で約15分間吹き込む。更に、冷媒ガス吹き込み下、試
験開始時の油温20℃の条件で、負荷を250ポンドか
けた状態で5分間運転した後、負荷を400ポンドに増
加させ、400ポンドを維持するようにギヤーで加圧調
整しながら30分間運転する。100ポンドに加圧を下
げ、再び400ポンドに加重した時のギヤーの歯数と初
期設定時の歯数の差を、磨耗量の尺度とした。
【0293】<曽田式四球試験>曽田式四球試験機を用
いて、試験開始時の油温20℃の条件で200rpm
で、負荷油圧を毎分49.0kPa(0.5kgf/c
2 )の割合で焼付けを起こすまで上昇させ、合格限界
(油圧)を求めた。 <曽田式振子試験>曽田式振子試験機を用いて、試験開
始時の油温20℃の条件で測定した。
【0294】以上の方法で、本発明に用いられる各種オ
イルの焼付け荷重、磨耗量、摩擦係数を測定した結果を
比較例9〜12の結果とともに表14に示す。 (比較例9〜12)市販の鉱油、ポリオキシアルキレン
グレコール、エステル系オイル及びタービン油の焼付け
荷重、磨耗量、摩擦係数を実施例44、45と同様な方
法で測定した結果を表14に示す。
【0295】
【表14】
【0296】*1:日本サン石油社製:ナフテン系鉱油 *2:日本油脂社製:エステル系オイル(トリメチロー
ルプロパンと炭素数12〜14のヤン系脂肪酸の反応で
得られるフルエステル) *3:昭和シェル石油社製:タービン油(添加剤入) *4:冷媒ガス CFC−12吹き込み下で測定 *5:冷媒ガス HFC−134a吹き込み下で測定 *6:〔S2−5〕
【0297】
【化80】
【0298】表12より本発明の各種オイルは、CFC
−12用の潤滑油である鉱油(日本サン石油社製 登録
商標SUNISO 3GS)、HFC−134a用冷凍
機油の候補オイルとして挙げられているポリオキシアル
キレングリコールやエステル系オイル、更には、各種添
加剤入りの高性能潤滑オイル(昭和シェル石油社製テラ
スオイル 32)と比較して、極圧性、耐磨耗性、摩擦
係数いずれも優れている事が分かる。
【0299】よって、本発明の各種オイルは、冷凍機油
としてのみならず一般の潤滑油としても有用である。ま
た、表12の結果は、塩素原子を含有する一般式〔I〕
の化合物が特に優れた潤滑性を有していることを示して
いる。 (実施例46〜53、比較例13〜15) <吸水量>40℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽中で本
発明に用いられる各種のオイルおよびポリプロピレング
リコールを静置した際の平衡吸水量を測定した結果を、
特開平3−179091号公報に記載されているエステ
ル系オイルの25℃、相対湿度80%の条件下24hr
放置後の吸水量と合わせて、表13に示す。
【0300】表13より本発明のオイルは従来のHFC
−134aの冷凍機油候補オイルであるポリオキシアル
キレングリコールやエステル系オイルに比較し、吸水性
が低く冷凍機用潤滑油として適していることが分かる。 (実施例54) <高純度含フッ素芳香族化合物の製造方法>反応容器
(500mlマイクロポンベ)にビスフェノールA60
g、水酸化カリウム5.65g、ジメチルスルホキシド
120ml及び水を44ml入れ、溶解させた。系内を
脱気後、不活性ガスN2 で常圧にもどした。反応容器を
オイルバスで60℃に加温し、クロロトリフルオロエチ
レンを導入し反応を開始した。系内圧(ゲージ圧)が2
〜3kg/cm2 に保たれるようにクロロトリフルオロ
エチレンを供給し、約5時間反応させた。
【0301】反応終了時、目的生成物であるオイルを主
成分とするオイル層と、ジメチルスルホキシド、水及び
水酸化カリウムを主成分とする触媒層に二層分離した。
オイル層を蒸留水で充分洗浄し、0.02mmHg18
0℃の条件で蒸留すると、目的生成物〔S1〕が100
g得られた。一方、触媒層よりジメチルスルホキシド、
水を溜去し蒸留水で充分洗浄後蒸留すると、目的生成物
〔S1〕が20g得られた。目的生成物の全収量は12
0gとなった(収率99%)。
【0302】本法により得られたオイルをガスクロマト
グラフィーで分析した結果、目的生成物の純度は99.
5%であった。 (実施例55〜57)水の添加量、触媒の種類、反応溶
媒の種類を変え、実施例54と同様な方法でビスフェノ
ールAとクロロトリフルオロエチレンの反応について検
討した。それらの結果を比較例16の結果と合わせて表
15に示す。
【0303】
【表15】
【0304】*1 特開平3−179091号公報記載 *2 〔S2−6〕
【0305】
【化81】
【0306】(実施例58)クロロトリフルオロエチレ
ンの代わりにテトラフルオロエチレンを用い、水の添加
量を44mlから5mlに変えた以外は、実施例54と
全て同様な方法により反応を行った結果、目的生成物
〔S2〕を98g得た。本法により得られたオイルをガ
スクロマトグラフィーで分析した結果、目的生成物の純
度は99.9%であった。
【0307】(比較例16)参考反応例1の結果をガス
クロマトグラフィー分析結果と合わせて表16に示す。
【0308】
【表16】
【0309】*1) 塩基触媒としてKOH、NaOH
を用いた場合、フェノール酸との反応により生成する水
は、水の添加量として扱い、加算してある。表16によ
り水の添加により目的生成物の純度が改良される事が分
かる。 (実施例59) <電気特性>参考反応例1で得られたオイル〔S1〕は
体積固有抵抗率をJIS C2101(電気絶縁油試
験)に準拠した方法で測定した。20℃におけるオイル
〔S1〕の体積固有抵抗率は3.0×1011Ωcmを示
した。
【0310】(実施例60)実施例59と同様な方法に
より測定した結果、参考反応例2で得られたオイル〔S
2〕の20℃における体積固有抵抗率は5.7×1011
Ωcmを示した。 (実施例61)実施例59と同様な方法により測定した
結果、参考反応例4で得られたオイル〔S4〕の20℃
における体積固有抵抗率は4.0×1012Ωcmを示し
た。
【0311】(実施例62)実施例59と同様な方法に
より測定した結果、参考反応例5で得られたオイル〔S
5〕の20℃における体積固有抵抗率は2.9×1012
Ωcmを示した。 (実施例63)実施例59と同様な方法により測定した
結果、参考反応例11で得られたオイル〔S11〕の2
0℃における体積固有抵抗率は1.4×1012Ωcmを
示した。
【0312】(実施例64) <高純度含フッ素芳香族化合物の精製方法>150℃で
3時間真空乾燥した活性炭(東洋カルゴン社製 カルゴ
ン CPG)100gをR−113 400gに分散さ
せた懸濁液に実施例54で得られたオイル〔S1〕20
0gを入れ、室温で一終夜攪拌した。活性炭を濾過後、
R−113を溜去し、オイルを単蒸留して無色透明オイ
ルを140g得た。
【0313】本精製法により得られたオイルをガスクロ
マトグラフィーで分析した結果、純度は99.5%から
99.88%に向上していた。また、実施例59と同様
な方法で精製前後のオイルの20℃における体積固有抵
抗率を測定した結果、精製前1.0×1011Ωcmであ
った体積固有抵抗率が精製処理をすることにより、2.
2×1013Ωcmまで大きく向上していることが分かっ
た。
【0314】更に、精製したオイルについては、JIS
C2101に準拠した方法で、絶縁破壊電圧について
も測定し、50kV/2.5cm以上と言う高い値を示
した。以上の結果を比較例17〜20の結果とともに表
17に示す。 (実施例65)実施例58で得られたオイル〔S2〕1
20gをR−113 120gに溶かし、その溶液を4
00℃で3時間乾燥したシリカゲル(和光純薬社製 ワ
コーゲル C−200)500gを充填剤としたカラム
で処理した。
【0315】処理後の溶液より、R−113を溜去し、
オイルと単蒸留して無色透明オイルを108g得た。本
精製法により得られたオイルをガスクロマトグラフィー
で分析した結果、純度は99.9%から99.97%に
向上していた。また、実施例59、64と同様な方法に
より、体積固有抵抗率、絶縁破壊電圧を測定した。それ
らの結果を比較例17〜20の結果とともに表17に示
す。
【0316】(比較例17〜20)ポリプロピレングリ
コール、パーフルオロポリエーテル、鉱油の体積固有抵
抗率と絶縁破壊電圧を実施例59,64と全く同様にし
て測定した結果を特開平3−128991号公報記載の
エステル系オイルの体積固有抵抗率と合わせて表17に
示す。
【0317】
【表17】
【0318】*1 Du Pont社製〔S2−6〕
【0319】
【化82】
【0320】*2 日本サン石油社製 ナフテン系鉱油 *3 特開平3−128991号公報記載のエステル系
オイル *4 精製前の体積固有抵抗率 *5 〔S2−5〕
【0321】
【化83】
【0322】本発明で得られたオイルはHFC−134
a用の冷凍機油の候補オイルとして挙げられているポリ
プロピレングリコールと比較して、体積固有抵抗率、絶
縁破壊電圧いずれも十分に高く、良好である。また、特
開平3−128991号公報記載のエステル系オイルの
体積固有抵抗率と比較するとほぼ同等である。又、Kr
ytox 143AYおよびSUNISO 3GS(こ
れらはいずれもフッ化アルカンとの相溶性は不充分で、
フッ化アルカンを冷媒とした冷凍機の潤滑油としては使
用できないが、電気特性が最も優れたオイルと考えられ
る)と比べた場合、〔S1〕〔S2〕はKrytox
143AYとSUNISO 3GSの中間の体積固有抵
抗を示し、絶縁破壊電圧はKrytox 143AY及
びSUNISO 3GSのいずれよりも優れている。
【0323】(実施例66〜70)実施例54で得られ
たオイル〔S1〕、実施例59で得られたオイル〔S
2〕の精製処理を種々の吸着剤を用いて、実施例61と
同様な方法により行った。それらの結果を表18に示
す。
【0324】
【表18】
【0325】*1:水沢化学(株)製 シリカ−アルミ
ナ *2:日本活性白土(株)製 活性白土 *3:ナカライ化学(株)製 アルミナ *4:和光純薬(株)製 ゼオライト 表15、16より、吸着剤として活性炭、シリカゲル、
活性アルミナ、シリカ−アルミナ、活性白土、ゼオライ
トがオイルの電気特性改良に効果的なことが分かる。
【0326】(実施例71〜75)参考反応例2で得ら
れたオイル〔S2〕とHFC−134aの相溶性につい
て、オイルとHFC−134aの混合比を変化させ、実
施例1と全く同様な方法で相溶性試験を実施した。その
結果を表19に示す。
【0327】
【表19】
【0328】表19より、本発明のオイル〔S2〕はH
FC−134aと巾広い温度範囲で自由に相溶すること
が分かる。 (実施例76)参考反応例2で得られたオイル〔S2〕
とポリプロピレングリコール(数平均分子量Mn=10
00)は混合比(〔S2〕/ポリプロピレングリコール
重量比)=50/50で完全に相溶した。また、この混
合オイルの40℃における動粘度は77.7cstであ
った。
【0329】(実施例77)参考反応例2で得られたオ
イル〔S2〕とエステル系オイル(日本油脂社製ユニス
ター H407R)は混合比(〔S2〕/エステル系オ
イル重量比)=50/50で完全に相溶した。この混合
オイルの40℃における動粘度は28.7cstを示し
た。
【0330】(実施例78)参考反応例1で得られたオ
イル〔S1〕と鉱油(日本サン石油社製ナフテン系鉱油
SUNISO 3GS)は混合比(〔S1〕/鉱油重
量比)=50/50で完全に相溶した。この混合オイル
の40℃における動粘度は34.5cstを示した。
【0331】(実施例79)参考反応例2で得られたオ
イル〔S2〕とHFC−125(CF3 CHCF2)の
相溶性について、実施例1と全く同様な方法で調べた結
果、相溶温度範囲の下限は−78℃以下であり、上限は
90℃以上であることが分かった。 (実施例80)参考反応例2で得られたオイル〔S2〕
とHFC−227ea(CF3 CHFCF3 )の相溶性
について、実施例1と全く同様な方法で調べた結果、相
溶温度範囲の下限は−78℃以下であり、上限は90℃
以上であることが分かった。
【0332】(実施例81)参考反応例2で得られたオ
イル〔S2〕とHFC−32(CH2 2 )の相溶性に
ついて、実施例1と全く同様な方法で調べた結果、相溶
温度範囲の下限は−78℃以下であり、上限は90℃以
上であることが分かった。 (実施例82)参考反応例22で得られたオイル〔S2
2〕とパーフルオロプロパンの相溶性について、実施例
1と全く同様な方法で調べた結果、相溶温度範囲の下限
は−78℃以下であり、上限は90℃以上であることが
分かった。
【0333】(実施例83)参考反応例1で得られたオ
イル〔S1〕とHFC−32の相溶性について、実施例
1と全く同様な方法で調べた結果、相溶温度範囲の下限
は−56℃であり、上限は90℃以上であることが分か
った。 (比較例21)参考反応例25で得られたオイル〔S2
5〕とHFC−134aの相溶性について、実施例1と
全く同様な方法で調べた結果、−78℃から90℃まで
の温度範囲で全く相溶しないことが分かった。
【0334】(比較例22)Fomblin Y−06とHFC
−32の相溶性について、実施例1と全く同様な方法で
調べた結果、20℃以下では全く相溶しないことが分か
った。以上、本発明の含フッ素芳香族系化合物は、冷媒
として使用可能な各種の低級フッ化アルカンと良好な相
溶性を示すことが分かる。
【0335】(実施例84) <相溶性試験>参考反応例で得られたオイル[S1]と
各種フッ化アルカン(HFC−134a、HFC−3
2、HFC−32/HFC−125(重量比60/4
0)、HCFC−22、CFC−12)との相溶性を実
施例1と同様の方法により調べた。
【0336】その結果を比較例23の結果とともに表2
0に示す。 (実施例85)参考例2で得られたオイル[S2]と前
記各種フッ化アルカンとの相溶性を実施例1と同様にし
て調べた結果を表20に示す。表20より各種フッ化ア
ルカンとの相溶性について、以下の事が分かる。即ち、
本発明のオイルは、HCFC−22等の塩素含有フッ化
アルカン系冷媒とHFC−134a等のハイドロフルオ
ロアルカン系冷媒いずれとも広範な温度範囲で良好な相
溶性を示し、当然それらの混合冷媒とも良好な相溶性を
示す。
【0337】(実施例86)参考例2で得られたオイル
[S2]とHFC−134a/CFC−12(重量比5
0/50)の混合冷媒及びHFC−32/HCFC−2
2(重量比50/50)の混合冷媒との相溶性を実施例
1と同様にして調べた結果、いずれの場合も−78℃以
下から+90℃以上の温度範囲で相溶した。
【0338】(実施例87) <耐熱性評価(シ−ルドチュ−ブテスト)>ガラスチュ
−ブに精製したオイル[S1]0.6ml、鉄、銅、ア
ルミニウムの試験片および冷媒としてCFC−12を1
0重量%含有するHFC−134aを加えて封管した冷
媒組成物を175℃で10日間加熱した後に冷媒組成物
の色相の変化及び金属片の表面を観察した結果、冷媒組
成物の色相、金属表面状態ともに変化は見られなかっ
た。また、オイル[S1]の粘度と赤外線吸収スペクト
ルも全く変化していなかった。その結果を比較例24、
25の結果とともに表21に示す。
【0339】また、本発明のオイル[S2]の耐熱性に
ついても上記と同様な方法で評価した結果を表21に示
す。 (実施例88、89)冷媒としてHCFC−22を10
重量%含有するHFC−32を用いた以外については、
実施例86、87と全く同様な方法で耐熱性の評価を実
施した。その結果を比較例26、27の結果とともに表
22に示す。
【0340】また、本発明のオイル[S2]の耐熱性に
ついても上記と同様な方法で評価した結果を表22に示
す。 (実施例90)冷媒としてHCFC−124を10重量
%含有するHFC−134aを用いた以外については、
実施例86、87と全く同様な方法で耐熱性を評価し
た。その結果、冷媒組成物の色相、金属表面状態ともに
変化は見られなかった。また、オイル[S1]の粘度と
赤外線吸収スペクトルも全く変化がなかった。
【0341】以上のシ−ルドチュ−ブテストの結果よ
り、CFC−12やHCFC−22を含有するフッ化ア
ルカン系冷媒共存下では、エステル系オイル及びポリプ
ロピレングリコ−ルが著しく分解しているのに対し、本
発明のオイルは安定で全く分解していない事が分かる。 (比較例23)鉱油(日本サン石油社製ナフテン系鉱油
SUNISO 3GS)と前記各種フッ化アルカンとの
相溶性を実施例1と同様にして調べた結果を、表20に
示す。
【0342】(比較例24、25)市販のエステル系オ
イル及びポリプロピレングリコ−ルの耐熱性について、
実施例86、87と同様な方法で評価した結果を表21
に示す。表21、22において、Mnは数平均分子量を
意味する。また、nは整数を意味する。
【0343】(比較例26、27)市販のエステル系オ
イル及びポリアルキレングリコ−ルの耐熱性について、
実施例88、89と同様な方法で評価した結果を表22
に示す。
【0344】
【表20】
【0345】
【表21】
【0346】
【表22】
【0347】
【発明の効果】本発明に従って、フッ素含有基と芳香族
基を必須構成要素とする化合物を塩素含有フッ化アルカ
ンとフッ化アルカンよりなる冷媒を使用した冷凍システ
ム用潤滑油として用いると、低温領域から高温領域まで
の幅広い温度範囲で当該冷媒と良好な相溶性を示し、且
つ、安定して使用できる。
【0348】また、この潤滑油は、耐熱性、潤滑特性、
低温吸湿性、電気絶縁性等の物性が優れたものであり、
優れた冷凍システム用潤滑油となりうるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:30

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式[I]で表される含フッ素芳香族
    化合物とフッ化アルカン系冷媒からなる冷媒組成物であ
    って、かつ、該フッ化アルカン系冷媒が塩素含有フッ化
    アルカン系冷媒を少なくとも0.01〜100重量%包
    含することを特徴とする冷媒組成物。 R(XRf)n [I] [但し、XはOまたはS原子である。Rは炭素数6〜6
    0個のn価の芳香族基を示す。nは1〜4の整数を表
    す。Rfは、フルオロカーボン基、またはその部分置換
    体を表し、Rf中の炭素原子の数は1〜25の範囲であ
    り、かつ、Rf中のフッ素原子の数/炭素原子の数の比
    は0.6以上である。なお、nが2以上の場合には、一
    般式[I]で表される化合物は複数の種類のXRf基よ
    り構成されていても良い。]
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Cited By (14)

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