JPH0649287A - エチレン重合体組成物 - Google Patents

エチレン重合体組成物

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JPH0649287A
JPH0649287A JP22328692A JP22328692A JPH0649287A JP H0649287 A JPH0649287 A JP H0649287A JP 22328692 A JP22328692 A JP 22328692A JP 22328692 A JP22328692 A JP 22328692A JP H0649287 A JPH0649287 A JP H0649287A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分子量分布が広く、溶融弾性、流動特性、機
械的特性等のバランスに優れ、特に流動特性および低温
時の機械的特性に優れた、大型の中空成形品などに適す
るエチレン重合体組成物を提供する。 【構成】 超高分子量成分、高分子量成分であって、か
つ分子間の短鎖分岐分布がきわめて広い特定のエチレン
・α−オレフィン共重合体、および分子間の短鎖分岐分
布がきわめて広い特定のエチレン・α−オレフィン共重
合体または短鎖分岐の存在しないエチレン単独重合体か
らなる低分子量成分の3成分を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融弾性(メルトテン
ション、ダイスウェル比等)、流動特性(加工特性
等)、機械特性(耐衝撃性、引張強度等)等に優れ、分
子量分布のきわめて広いエチレン重合体組成物に関し、
特に流動特性および低温時の機械的特性に優れ、メルト
テンション、ダイスウェル比が大きいところから、ガソ
リンタンクなどの大型中空成形品、大口径パイプなどの
押出成形品等に適するエチレン重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、流動特性を改良する目的でエチレ
ン・α−オレフィン共重合体の分子量分布を広くする方
法が報告されている(例えば特開昭57−21409号
公報、特公昭63−47741号公報等)が、このよう
に単に分子量分布を広くするのみでは、溶融弾性や機械
的特性、特に低温時の機械的特性は改善されず、かえっ
て大幅に低下する。また機械的特性および流動特性の改
良については、高分子量成分と低分子量成分とからなる
エチレン・α−オレフィン共重合体の高分子量成分の短
鎖分岐度を特定し、かつ高分子量成分に短鎖分岐を多く
導入して、機械的特性、流動性のみならず、耐環境応力
亀裂性(ESCR)も改良する試みがなされている(特
開昭54−100444号公報、特公昭64−7096
号公報)。しかし、これらにおいても機械的特性、特に
低温時の機械的特性や溶融弾性は満足し得るものではな
い。更に、特開平2−305811号公報においては、
耐衝撃性、ESCR、ピンチオフ融着性を改良する目的
で、触媒と2段重合の重合条件を特定する方法が提案さ
れているが、この方法では、ESCRや溶融弾性の点で
若干の改良がみられるが、機械的特性、特に低温時の機
械的特性を改良するには不十分である。その他にも、中
空成形用ポリエチレン組成物として、耐ドローダウン
性、ダイスウェルやESCRを改良したもの(特開昭5
9−89341号、特開昭60−20946号公報等)
が開示され、また2段重合法の欠点を改善する方法とし
て3段重合法が提案されている(特公昭59−1072
4号、特開昭62−25105号、同62−25106
号、 同62−25107号、 同62−25108号、
同62−25109号公報等)。これらにおいても、前
記溶融弾性や流動特性の改善は未だ不十分であり、特に
低温時の機械的特性には改善がみられない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
み、溶融弾性(メルトテンション、ダイスウェル比等)、
流動特性(加工特性等)、機械特性(耐衝撃性、引張強
度等)等の各種物性のバランスに優れ、分子量分布のき
わめて広いエチレン重合体組成物であって、特に流動特
性および低温時の機械的特性に優れ、メルトテンショ
ン、ダイスウェル比が大きいため、ガソリンタンクなど
の大型中空成形品、大口径パイプなどの押出成形品等に
適する組成物を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
に沿って鋭意検討した結果、超高分子量成分、高分子量
成分であって、かつ分子間の短鎖分岐分布がきわめて広
い特定のエチレン・α−オレフィン共重合体、および分
子間の短鎖分岐分布がきわめて広い特定のエチレン・α
−オレフィン共重合体または短鎖分岐の存在しないエチ
レン単独重合体からなる低分子量成分を配合することに
より、溶融弾性、流動特性、機械的特性等の各種物性の
バランスに優れ、特に流動特性および低温時の機械的特
性に優れたエチレン重合体組成物が得られることを見出
して本発明に到達した。すなわち本発明は、(I)下記
(a)および(b)を満足する超高分子量のエチレン単独重
合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体1〜50
重量%、(a)極限粘度(η1)9〜45dl/g、(b)密度
(d1)0.890〜0.935g/cm3、(II)下記(c)〜
(f)を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α
−オレフィン共重合体5〜94重量%、(c)極限粘度
(η2)0.3〜3.0dl/g、(d)密度(d2)0.890
〜0.980g/cm3、(e)連続昇温溶出分別法による溶出
温度−溶出量曲線において、 溶出温度90℃以上の曲
線下の面積Iaに対する溶出温度25〜90℃の該面積
Ibの比S(Ib/Ia)が次式から計算されるS1
下、 S1=20η2 -1exp[−50(d2−0.900)] (f)25℃オルソジクロロベンゼン可溶分 W重量%が
次式から計算されるW1以下、 W1=100η2 -0.5exp[−50η2 0.5(d2−0.900)]、なら
びに(III)下記 (g)〜(j)を満足するエチレンと炭素
数3〜18のα−オレフィンとの共重合体5〜94重量
%、(g)極限粘度(η3)1.2dl/g以上、9.0dl/g未
満、(h)密度(d3)0.890〜0.940g/cm3、(i)
連続昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線におい
て、 溶出温度90℃以上の曲線下の面積Iaに対する
溶出温度25〜90℃の該面積Ibの比S(Ib/I
a)が次式から計算されるS2以下、 S2=20η3 -1exp[−50(d3−0.900)] (j)25℃オルソジクロロベンゼン可溶分 W重量%が
次式から計算されるW2以上、 W2=20exp(−η3) からなり、かつ前記成分(I)、(II)および(III)の
合計は100重量%であり、各成分(I)〜(III)の極
限粘度がそれぞれ互いに異なる混合物であって、該混合
物の極限粘度が1.0〜6.0dl/g、 密度が0.890〜
0.970g/cm3および次式数2から計算されるN−値が
1.7〜3.0であるエチレン重合体組成物を提供するも
のである。
【0005】
【数2】
【0006】以下に本発明の内容を詳述する。本発明の
超高分子量成分(I)とは、 エチレン単独重合体または
エチレン・α−オレフィン共重合体であり、同共重合体
のα−オレフィンとしては、炭素数3〜18のものが用
いられ、特に炭素数4〜10のものが機械的特性の点か
ら好ましい。具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、
1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテ
ン、1−ノネン、1−デセン等が挙げられる。なおα−
オレフィンは2種以上併用しても差し支えない。
【0007】上記超高分子量成分(I)であるエチレン単
独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体は、
(a)極限粘度(η1)が9〜45dl/g、好ましくは10〜
40dl/g、更に好ましくは12〜40dl/gの範囲のもの
が用いられる。 η1が9dl/g未満では、得られた組成物
の溶融弾性および機械的特性が劣り、また45dl/gを超
えると、成形品の表面荒れやフィッシュアイが発生する
など成形加工性が低下する。また成分(I)の(b)密度
(d1)は、 0.890〜0.935g/cm3の範囲、好ま
しくは0.890〜0.930g/cm3が用いられる。d1
0.890g/cm3未満のものは製造が困難である上に、得
られた組成物のベタつきの原因となるため好ましくな
い。 一方d1が0.935g/cm3を超えるときは、組成物
の機械的特性、特に低温時の機械的特性が低下するため
好ましくない。
【0008】本発明の成分(II)はエチレン単独重合体
またはエチレン・α−オレフィン共重合体である。エチ
レン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとして
は、成分(I)の場合と同様に炭素数3〜18のものが
使用され、好ましくは炭素数4〜10であり、特に前記
同様1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メ
チル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−
デセン等が機械的特性などの点で好ましい。なおα−オ
レフィンは2種以上併用しても差し支えない。
【0009】上記成分(II)の (c)極限粘度(η2)は
0.3〜3.0dl/gの範囲であり、好ましくは0.6〜3.
0dl/gの範囲である。η2が0.3dl/g未満では、得られ
た組成物の機械的特性、特に低温時の機械的特性が劣
り、一方3.0dl/gを超えると、その流動特性が低下する
のでいずれも好ましくない。また成分(II)の(d)密度
(d2)は、0.890〜0.980g/cm3の範囲、好まし
くは0.900〜0.975g/cm3の範囲が用いられる。
2が0.890g/cm3未満のものは製造が困難である上
に、得られた組成物のベタつきの原因となるので好まし
くない。他方0.980g/cm3を超えるときは、製造が困
難であるのみならず、得られた組成物の機械的特性が低
下するため同様に好ましくない。
【0010】本発明で用いる成分(II)に関する前記
(e)の条件は、短鎖分岐を多く含む高分岐度成分は溶剤
中へ低温で溶解するが、短鎖分岐の少ない低分岐度成分
は高温でなければ溶剤に溶解しない性質を利用して、分
岐分布を定量的に規定したものである。 すなわち溶剤
への溶解温度から分岐分布を測定する L. Wild らの連
続昇温溶出分別法(Temperature Rising Elution Fract
ionation(TREF);Journalof Polymer Science:Polyme
r Physics Edition, Vol.20, 441-455(1982))による溶
出温度−溶出量曲線において、溶出温度90℃以上の曲
線下の面積Iaと溶出温度25〜90℃の同面積Ibと
の間に特定の関係が成立することが必要であり、本発明
においては図1の模式図に示される面積比S=Ib/I
aの値が、次式から求められるS1以下でなければなら
ない。 S1=20η2 -1exp[−50(d2−0.900)] Sの値がS1を超えると、分岐分布がほぼ均一に近づく
結果、 機械的特性、特に低温時の機械的特性に対して
きわめて有効な高分岐度成分が相対的に減少することと
なり好ましくない。
【0011】本発明で使用する成分(II)の(f)25℃
オルソジクロロベンゼン可溶分は、溶出温度が低過ぎて
上記の連続昇温溶出分別法では定量され得ない程度に、
きわめて多量の分岐を有する成分の量を表すもので、極
限粘度および密度に対応した特定の値であることが必要
である。しかしながら、これはまた有用でない低分子量
成分の存在を示すものでもあり、この低分子量成分はで
きるだけ排除することが必要である。このためには、同
可溶分 W重量%が次式から求められるW1以下でなけれ
ばならない。好ましくはW3以下である。 W1=100η2 -0.5exp[−50η2 0.5(d2−0.900)] W3= 90η2 -0.5exp[−50η2 0.5(d2−0.900)] Wの値がW1以上では、 きわめて多量の分岐を有する成
分の外に有用でない低分子量成分が存在することを示し
ており、機械的特性、特に低温時の機械的特性が劣るこ
とになる。
【0012】本発明の成分(III)のエチレン・α−オ
レフィン共重合体は成分(I)および(II)の場合と同
様に、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの
共重合体からなり、好ましくは炭素数4〜10のものが
機械的特性などの点で好ましい。具体的には1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペ
ンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等が挙
げられる。なおα−オレフィンは2種以上併用しても差
し支えない。
【0013】上記成分(III)の(g)極限粘度(η3)は
1.2dl/g以上、9.0dl/g未満の範囲が用いられ、好ま
しくは1.4〜8.5dl/g、更に好ましくは1.6〜8.0
dl/gの範囲である。η3が1.2dl/g未満では得られた組
成物の溶融弾性および機械的特性が劣り、一方、9.0d
l/gを超えると、 成形品の表面荒れやフィッシュアイが
発生するなど成形加工性が低下する。
【0014】また成分(III)の (h)密度(d3)は0.
890〜0.940g/cm3の範囲が用いられ、好ましくは
0.900〜0.935g/cm3の範囲である。d3が0.8
90g/cm3未満のものは製造が困難である上に、 得られ
た組成物のベタつきの原因となるので好ましくない。他
方0.940g/cm3を超えるときは、機械的特性が低下す
る。
【0015】本発明で用いる成分(III)は、前記(i)
に示す通り、 成分(II)の(e)と同様に、前記連続昇
温溶出分別法における溶出温度−溶出量曲線の面積比S
=Ib/Iaの値が、次式から求められるS2以下でな
ければならない。 S2=20η3 -1exp[−50(d3−0.900)] Sの値がS2を超えると、 分岐分布がほぼ均一に近づく
結果、機械的特性、特に低温時の機械的特性に対してき
わめて有効な高分岐度成分が相対的に減少することとな
り好ましくない。
【0016】本発明で使用する成分(III)の(j)25
℃オルソジクロロベンゼン可溶分は、前記のように、溶
出温度が低過ぎて上記の連続昇温溶出分別法では定量さ
れ得ない程度にきわめて高い分岐度を有する成分である
ため、特定の値以上であることが必要である。すなわ
ち、同可溶分 W重量%が、次式から求められるW2以上
でなければならない。好ましくはW4以上である。 W2=20exp(−η3) W4=22exp(−η3) Wの値がW2未満では、 機械的特性、特に低温時の機械
的特性に対してきわめて有効な高分岐度成分が過少とな
り、前記と同様に好ましくない。
【0017】本発明における成分(I)、(II)および
(III)の配合割合は、成分(I)1〜50重量%、成分
(II)5〜94重量%および成分(III)5〜94重量%
であり、好ましくはそれぞれ(I)5〜40重量%、(I
I)5〜90重量%および(III)5〜90重量%であ
り、ただし成分(I)、(II)および(III)の合計量は1
00重量%であって、組成物に対する要求性能によりこ
れらの配合割合が選択される。上記成分のうち、 特に
成分(I)が本発明において重要な役割をもつことか
ら、成分(I)の特性を考慮して組成物の配合割合を選
択することが好ましい。成分(I)の量が1重量%未満
では、 溶融弾性および機械的特性、特に低温時の機械
的特性が十分でなく、一方、50重量%を超えるときは
流動特性が低くなる。なお、 成分(I)から成分(IV)
の極限粘度はそれぞれ互いに異なることが肝要であり、
これが満足されない場合には、本発明の目的の1つであ
る低温時の機械特性を向上することができない。
【0018】本発明のエチレン重合体組成物は、上記の
ように(I)、(II)および(III)成分の配合により得
られ、同組成物の極限粘度は1.0〜6.0dl/gであり、
好ましくは1.5〜5.0dl/gである。 極限粘度が1.0
dl/g未満では溶融粘度および機械的特性、特に低温時の
機械的特性が不十分であり、 一方、6.0dl/gを超える
ときは流動特性が低くなるため、いずれも好ましくな
い。上記組成物の密度は0.890〜0.970g/cm3
あり、好ましくは0.900〜0.970g/cm3である。
密度が0.890g/cm3未満では製造が困難である上に同
組成物のベタつきの原因となり、また0.970g/cm3
超えるときは、機械的特性が低くなる。更に、同組成物
のN−値が1.7〜3.0であることが必要であり、好ま
しくは1.7〜2.8である。N−値が1.7未満では高
速成形性が低く、3.0を超えるときはメルトフラクチ
ャーが生じやすくなる。
【0019】本発明のエチレン重合体組成物を製造する
方法について、特に制限はない。例えば成分(I)、成
分(II)および成分(III)をそれぞれ1段重合で単独
に製造した後、公知の方法で両者を混合してもよく、ま
たは2段もしくはそれ以上の多段重合により、公知の重
合方法で製造してもよい。前者の混合により製造する場
合には、一軸もしくは二軸押出機またはバンバリーミキ
サーなどで混練する方法、あるいは溶液混合法など公知
の方法を使用することができる。
【0020】後者の多段重合による方法とは、複数個の
反応器を使用して重合を行うものであり、例えば2段重
合の場合であれば、 第1段の反応器を成分(I)を製造
する重合条件に保持し、第2段の反応器を成分(II)の
重合条件に保持して、第1段で生成した重合体を連続的
に第2段に流通させエチレン重合体組成物を製造するこ
とができる。 この場合に(I)および(II)の各成分は
いずれの反応器において製造されてもよく、製造順序・
段数は特に限定されるものではない。上記いずれの場合
も、反応形式については特に制限はなく、スラリー法、
気相法、溶液法、高圧イオン法など各種の方法を用いる
ことができる。
【0021】また重合触媒も特に制限はなく、例えば、
チタンおよび/またはバナジウム等の遷移金属を主体と
するチグラー型触媒、クロム系触媒を主体とするフィリ
ップス型触媒、メタロセン等を主体とするカミンスキー
型触媒などいずれも使用することができる。触媒のうち
で特に好ましいのは固体担体に担持された高活性を有す
るチグラー型触媒であり、以下にその詳細を述べる。
【0022】高活性チグラー型触媒は、無機質固体担
体、例えば金属マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭
酸マグネシウム、酸化マグネシウム、各種アルミナ、シ
リカ、シリカアルミナ、塩化マグネシウム等、またはマ
グネシウムと、ケイ素、アルミニウム、カルシウムから
選ばれる元素とを含む複塩、複酸化物、含水炭酸塩、含
水ケイ酸塩等、更にはこれらの無機質固体担体を含酸素
化合物、含硫黄化合物、炭化水素、ハロゲン含有物質で
処理または反応させたものなどの無機質固体担体に、遷
移金属化合物、例えばチタン、バナジウム、ジルコニウ
ム、クロム等の金属のハロゲン化物、アルコキシハロゲ
ン化物、酸化物、ハロゲン化酸化物等を担持させたもの
を固体成分として用い、 これに第 I〜IV 族金属の有機
化合物、好ましくは亜鉛またはアルミニウムの有機金属
化合物を組み合わせたもの、あるいはこれらを更にα−
オレフィンと接触させて前処理したものなどであり、通
常触媒活性が 50g-ポリマー/g-触媒・hr・kg/cm2ーオレ
フィン圧 以上、 好ましくは100g-ポリマー/g-触媒
・hr・kg/cm2ーオレフィン圧 以上のものである。以上の中
でも、ハロゲン化マグネシウムを含む高活性のチーグラ
ー型触媒が特に好ましい。
【0023】本発明のエチレン重合体組成物において
は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で他のオレフィン系
重合体、ゴム等または酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安
定剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止
剤、加工助剤、着色顔料、架橋剤、発泡剤、無機・有機充
填剤、難燃剤等の公知の添加剤を配合して用いることが
できる。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例によって詳細に説明する
が、本発明はそれらに限定されるものではない。まず、
本発明で使用する試験法を示す。 (1)極限粘度 135℃デカリン溶液中で[η]を測定した。 (2)密度 JIS K6760の規定による密度勾配管法(23
℃)で測定した。 (3)連続昇温溶出分別法(TREF) 前記の通り、L. Wild らの方法に従った。測定法の詳細
は次の通りである。 〔測定法〕セライト545を充填した容量 8.5リット
ルのステンレス鋼製カラム内に、試料を濃度 0.05重
量%となるように135℃で加熱溶解して調製したオル
ソジクロロベンゼン溶液5ml を注入した後、4℃/min
の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をセライト表面に
沈着する。次にこのカラムにオルソジクロロベンゼンを
1ml/min の一定速度で流しながら50℃/hr の一定速
度で昇温し、 試料を順次溶出させる。この際、溶剤中
に溶出する試料について、メチレンの非対称伸縮振動の
波数2925cm-1に対する吸収を赤外検出器で検出し、
記録することにより溶出温度と溶出量の関係すなわち組
成分布を求める。 (4)連続昇温溶出分別法による面積比(S) 前記および図1の通り。 (5)25℃オルソジクロロベンゼン可溶分(W) 試料 0.5g を20ml のオルソジクロロベンゼン(O
DCB) 中において、135℃で2時間加熱し、試料
を完全に溶解した後、25℃まで2時間で冷却する。こ
の溶液を25℃で一晩放置後、テフロン製フィルターで
濾過して濾液を採取し、赤外分光光度計でメチレンの非
対称伸縮振動の波数2950cm-1に対する吸収を測定
し、この結果からあらかじめ作成した検量線により濾液
中の試料濃度を定量する。 (6)N−値 高化式フローテスター(島津製作所製)を使用し樹脂温
度210℃で2mmφ×40mm のダイから押出し、 低位
試験圧力20kg/cm2および高位試験圧力150kg/cm2
の見かけの剪断速度を求め、次式数3により算出する。
【数3】 (7)ハイロードメルトフロレート(HLMFR) JIS K6760に準拠して測定。(測定温度190
℃、荷重21.6kg) (8)引張降伏強さ(YTS) JIS K6760の規定による。(引張速度50mm/mi
n、試験片厚み2mm) (9)引張衝撃値(TIS) ASTM D1822に準拠して測定。(試験片厚み1.
5mm) (10)アイゾット衝撃値(IIS) JIS K7110に準拠し、−40℃で以下の方法に
より測定した。試料からプレスにより、厚み3mm のシ
ートを作製する。 試験片の形状は2号Aとする。 試料
の調整はいずれも23℃、湿度50%で88時間行った
後、 更に−40℃に温度調節された低温室中に約3時
間保持した後、低温室内で−40℃で測定する。試験片
はそれぞれ5個作製し、5回の測定の平均値を用いる。 (11)メルトテンション(MT) 東洋精機(株)製のメルトテンションテスターにより測
定。(測定温度190℃) (12)ダイスウェル比(DSR) 高化式フローテスターを用いて温度210℃で試料を押
出し、ストランドの径とダイの内径との比を求める。
剪断速度が100sec-1に相当する押出速度で測定し
た。 (13)臨界剪断速度(γc) INTESCO(株)製のキャピラリーレオメーターによ
り測定した。 (測定温度190℃) (14)耐環境応力亀裂性(ESCR) JIS K6760による定ひずみESCRのF50の値
を求める。
【0025】〔成分(I)、(II)および(III)の製
造〕まず、内容積50リットルの撹拌型反応器を使用
し、無水塩化マグネシウムを一成分とする固体担体に四
塩化チタンを担持した固体触媒とトリエチルアルミニウ
ム(TEA)の助触媒とを用いて、 窒素雰囲気下で1
段重合を行ない、 成分(I)の重合物A1およびA2なら
びに成分(II)の重合物B1〜B3を製造した。それらの
重合条件および得られた重合物の物性を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】内容積70リットルの撹拌型反応器を使用
し、上記と同様の触媒系を用いて表2に示す重合条件で
連続的に1段重合を行い、 成分(III)の重合物C1〜
C3を製造した。この際、反応器の重合圧力を全圧8.8
〜9.2kg/cm2G、液量を50リットルに保って重合し
た。これらの重合物の物性を評価した結果を表2に示
す。
【0028】
【表2】
【0029】次に、内容積2リットルのオートクレーブ
を用い、上記と同様の触媒を使用して窒素雰囲気下で1
段重合を行ない、成分(III)の重合物C4〜C7を製造
した。それらの重合条件および得られた重合物の物性を
表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】〔組成物の調製〕前記重合物のうち、 成
分(I)と成分(II)とを溶液混合法により以下のブレ
ンド条件で混合調製した。 〈ブレンド条件〉 雰囲気: 窒素 溶 媒: キシレン(4.5リットル) 試料量: 合計200g 温 度: 200℃ 時 間: 2時間 析出溶媒:−20℃メタノール(8リットル) 洗浄溶媒:ヘキサン 洗 浄: キシレン臭がなくなるまで 乾 燥: 室温から110℃まで ポリマー回収率:ほぼ100% 更に、上記混合物と成分(III)の重合物とを窒素雰囲
気下において、 試料合計量70g、回転数20rpm、混
練時間7分間、混練温度160℃で混合し、実施例およ
び比較例の組成物を得た。
【0032】<実施例1〜6>実施例の組成物の配合割
合および物性の評価結果を表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】<比較例1〜6>比較例の組成物の配合割
合および物性の評価結果を表5に示す。
【0035】
【表5】
【0036】次に、図1に示したTREFによる溶出温
度−溶出量曲線に、更にパラメータとして分子量を加
え、かつ溶出量を等高線で表した模式図を図2に示す。
同図において、 例えば分子量が10,000以上の範囲
について実施例と比較例とを対比すると、実施例の組成
物は比較例の組成物に比べて、分子量のより大きい領域
に、溶出温度が低い成分、すなわち短鎖分岐の多い成分
(25℃オルソジクロロベンゼン可溶分)をより多く含
有していることがわかる。この成分が本発明の組成物の
低温時における機械的特性およびESCRを向上させる
主な要因であると推定している。
【0037】
【発明の効果】本発明のエチレン重合体組成物は、超高
分子量成分、高分子量成分であって、かつ分子間の短鎖
分岐分布がきわめて広い特定のエチレン・α−オレフィ
ン共重合体、および分子間の短鎖分岐分布がきわめて広
い特定のエチレン・α−オレフィン共重合体または短鎖
分岐の存在しないエチレン単独重合体からなる低分子量
成分を配合することにより得られ、溶融弾性、流動特
性、機械特性等のバランスに優れた分子量分布の極めて
広い組成物であり、具体的には次の特徴を有する。 (1)低温アイゾット衝撃値などの低温時の機械的特
性、耐寒性に優れている。 (2)メルトテンション、ダイスウェル比等の溶融弾性
および臨界剪断速度などの流動特性に優れているため、
高速成形性などの成形加工性が良好である。 上記の長所を有する結果、各種フィルム、シート、パイ
プ、中空容器、各種被覆材料、発泡材料等に使用される
が、特に溶融弾性が著しく優れているため、ガソリンタ
ンク等の大型中空容器用組成物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温
度−溶出量の関係を示す図である。
【図2】組成物の溶出温度−分子量−溶出量等高線図で
ある。 (a)実施例1、(b)比較例1

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (I)下記 (a)および(b)を満足する超
    高分子量のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オ
    レフィン共重合体1〜50重量%、(a)極限粘度
    (η1)9〜45dl/g、(b)密度(d1)0.890〜0.
    935g/cm3、 (II)下記(c)〜(f)を満足するエチレン単独重合体ま
    たはエチレン・α−オレフィン共重合体5〜94重量
    %、(c)極限粘度(η2)0.3〜3.0dl/g、(d)密度
    (d2)0.890〜0.980g/cm3、(e)連続昇温溶出
    分別法による溶出温度−溶出量曲線において、 溶出温
    度90℃以上の曲線下の面積Iaに対する溶出温度25
    〜90℃の該面積Ibの比S(Ib/Ia)が次式から
    計算されるS1以下、 S1=20η2 -1exp[−50(d2−0.900)] (f)25℃オルソジクロロベンゼン可溶分 W重量%が
    次式から計算されるW1以下、 W1=100η2 -0.5exp[−50η2 0.5(d2−0.900)]、なら
    びに (III)下記 (g)〜(j)を満足するエチレンと炭素数3
    〜18のα−オレフィンとの共重合体5〜94重量%、
    (g)極限粘度(η3)1.2dl/g以上、9.0dl/g未満、
    (h)密度(d3)0.890〜0.940g/cm3、(i)連続
    昇温溶出分別法による溶出温度−溶出量曲線において、
    溶出温度90℃以上の曲線下の面積Iaに対する溶出
    温度25〜90℃の該面積Ibの比S(Ib/Ia)が
    次式から計算されるS2以下、 S2=20η3 -1exp[−50(d3−0.900)] (j)25℃オルソジクロロベンゼン可溶分 W重量%が
    次式から計算されるW2以上、 W2=20exp(−η3) からなり、かつ前記成分(I)、(II)および(III)の合
    計は100重量%であり、各成分(I)〜(III)の極限
    粘度がそれぞれ互いに異なる混合物であって、該混合物
    の極限粘度が1.0〜6.0dl/g、 密度が0.890〜
    0.970g/cm3および次式数1から計算されるN−値が
    1.7〜3.0であるエチレン重合体組成物。 【数1】
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003022920A1 (fr) * 2001-09-06 2003-03-20 Mitsui Chemicals, Inc. Composition de resine de polyethylene
JP2015134902A (ja) * 2013-12-16 2015-07-27 旭化成ケミカルズ株式会社 超高分子量ポリエチレン樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形体
JP2015140369A (ja) * 2014-01-27 2015-08-03 東ソー株式会社 超高分子量ポリエチレン組成物およびそれよりなる成形体
JP2016502046A (ja) * 2012-12-17 2016-01-21 ボレアリス エージー 高密度ポリエチレン配合物を製造するプロセス
JP2016507601A (ja) * 2012-12-17 2016-03-10 ボレアリス エージー 高密度ポリエチレン配合物を製造するプロセス
JP2016516873A (ja) * 2013-05-01 2016-06-09 ボレアリス エージー 組成物
JP2022166046A (ja) * 2016-09-12 2022-11-01 タイ ポリエチレン カンパニー リミテッド 多峰性ポリエチレン組成物及びそれを含むフィルム

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