JPH0648618U - 歯科調剤トレイ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光硬化性歯科材料を時期尚早に硬化させるこ
となく、歯の治療に使用することが出来る操作の簡便な
歯科調剤トレイを提供する。 【構成】 光硬化性材料を受容する材料だめが表面に形
成されている基板（１２）とこれに擢動可能に連結され
るカバー（１４）を有するトレイにおいて、カバー（１
４）が化学線の実質的部分を透過しないが可視分光の少
くとも１部を透過する材料で作製されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は歯科材料を調剤する作業トレイであって、光に暴露すると硬化し得る 歯科材料を調剤するのに特に適した作業トレイに関する。

【０００２】

【従来の技術】

光硬化性の歯科材料が近年増々普及するようになった。光硬化性材料の１例は 本出願人から入手可能なスコッチボンド（Ｓｃｏｔｃｈｂｏｎｄ）のブランド名 になる多目的歯科接着剤組成物（システム）を含む。この接着剤システムは歯の エナメル質や歯表面を食刻するエッチング剤、準備された歯構造物上の接着剤の ぬれ性を促進するプライマー及び食刻エナメル質かデンティンのいづれかに結合 する接着剤を含む。プライマーと接着剤はいづれも可視分光の光に露出すると急 速に硬化する。

【０００３】 光硬化性ユニットは歯科材料の硬化のために通常使用される。この種の光硬化 性ユニットによれば、これを所望時に使用者（ユーザ）がその手に保持して、口 腔の中の該歯科材料に該光を当てることが可能である。光硬化歯科材料は、これ を所望の個所に正確に位置付けることが出来るし、過剰な材料は光硬化性ユニッ トを材料硬化のために作動させる前に除去することが出来るので、有利である。

【０００４】 光硬化性歯科材料は、多くの場合ドロッパボトル、サイリンジ（Ｓｙｒｉｎｇ ｅ）、その他の容器に入れたバルクとして販売される。代表的には、この材料の 少量を容器から１人の患者に使用する調剤トレイ（皿）の材料だめ（Ｗｅｌｌ） に移し変える。ブラシやその他の道具を用いて材料だめからこの材料を患者の歯 構造体に移す。それから他の患者に使用する前に調剤トレイを掃除し、且つ殺菌 する。

【０００５】 歯科手術の背後採光は、ある種の光硬化性歯科材料をこれに長時間露出してい ると、時期尚早の高分子化をもたらすに充分な光であることが過去に観測されて いる。この高分子化を回避するために、調剤トレイは、不透明シートで１時的に カバーして、これでトレイの材料だめにある歯科材料に少くともある種の可視光 線が到達するのを阻止するようにすることが出来る。或いは、不透明カバーを備 えた調剤トレイとして、米国特許第５，１３９，１８８号に記述のヒンヂ式のカ バーを備えた調剤トレイ等を使用することが出来る。不透明な滑動可能カバーを 有する調剤トレイは米国特許第４，８２２，２８０号に開示されている。

【０００６】 ある種の光硬化性歯科材料は、比較的に低度の粘性を有し、従って調剤トレイ が使用中に不当に傾けられたり、揺動されたりしたときに調剤トレイの材料だめ から容易にこぼれ出る可能性がある。このような場合には、材料が床にこぼれて 無駄になったり、隣りの材料だめに流入して別の歯科材料と混合してしまうとい う不都合を招く。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

時期尚早に硬化させることなく、光硬化性歯科材料を歯の治療のために使用す ることが出来る実用的な調剤トレイを提供すること。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

容器から特定量の歯科材料を受容するための少くとも１つの材料だめを有する 基板とこの基板に擢動可能に連結されて材料だめを覆うカバーを含んで構成され た化学線に暴露することにより硬化する歯科材料のための歯科調剤作業トレイに おいて、カバーを可視光線の少くとも１部は透過するが化学線の実質的部分は透 過しないもので構成する。

【０００９】

【作用】

上記の通りの光透過特性を有しているので、このカバーによれば、カバーを開 くことなく材料だめに歯科材料が存在するか否かをユーザが観察出来るし、カバ ーを閉じたときには、材料だめに充分な光が侵入するのを阻止して、歯科材料の 不当な硬化を回避する。また、カバーが擢動可能であるので、ユーザはカバーを スムーズに開くことが出来る。その結果、材料だめからの材料こぼれが生じるよ うなトレイの傾く事態や揺動する事態を回避することが出来る。

【００１０】

【実施例】

図１−図３に示す本考案に係る調剤トレイ１０は基板１２とカバー１４（図１ と図２のみ）を含む。基板１２は４つの直立壁１６を含み、これらがその上端縁 で全体的に四角形の水平に延在するプラットフォーム１８に一体成形で接続して いる。このプラットフォーム１８はその長手方向の中心軸線に沿って整合した並 置状の３個の混合材料だめ２０に接続している。混合材料だめは凹所、溝等によ り部分的に球形の破断していない形状と、類似の滑らかな湾曲形状を有しており 、化学線に暴露されると硬化し得る歯科材料を特定量だけ収容するように企図さ れている。図１から分るように、材料だめ２０は数字表示２２により同定され、 これによってどのタイプの材料が特定の材料だめ２０に入っているかをユーザが 記憶しておくのに役立てるようにしてある。

【００１１】 幾分円筒形になっている従属体２４（図３）がプラットフォーム１８に一体成 形で接続していて、これは本質的に円筒形の垂直方向へ長尺の通路２６を含んで いる。この通路２６は好ましくはモールド成形を容易にするために１°〜２°の 範囲で先細りした円錐台形の断面を有している。トランペット形の面取りされた 入口２８がこの通路２６に接続していて、図３に示すように通路２６とプラット フォーム１８の頂面との間に滑らかな湾曲した遷移域を提供している。入口２８ を形成している円弧はプラットフォーム１８の頂面と円弧最上端において接線を 構成しており、且つ円弧最下端で通路２６を規定する従属円筒体２４の内壁と接 線を構成している。

【００１２】 好ましくは、通路２６は０．８mm−０．９mmの範囲の直径を有し、入口２８の 半径は２．３mmである。通路２６の下端はプラットフォーム１８の頂面から６． ３mmの距離だけ離間して、サイリンジ先端（Ｓｙｒｉｎｇｅ ｔｉｐ）の挿入を その距離だけに限定している。通路２６は入口２８と共に調剤サイリンジ（即ち スポイト）の先端を曲折させるのに有用である。

【００１３】 １対の長尺の起立バー３０が４つの側壁１６の内短尺の２壁に沿ってプラット フォーム１８に一体成形で接続されている。バー３０は対立した溝３２を提供す る内方に配向したフランジを含む。各バー３０はフランジを通って延在した上位 の中央ノッチ（切れ目）３４を有している。図３に示す例では、フランジはその 外端部に沿って、溝３２に至るテーパ状リード部（ｌｅａｄ−ｉｎ）及びノッチ ３４に隣接した部分に同様のテーパ状リード部を有している。

【００１４】 カバー１４はやゝ丸味のあるコーナを備えた全体的には四角形の形状を有して おり、カバー１４の側縁部の内短尺の側縁部が溝３２にこれに沿って擢動可能に 受容される。カバー１４の肉厚は０．７６mmであるが、溝３２の高さはカバー１ ４が円滑に擢動出来るようにするために０．８６mmにしてある。プラットフォー ム１８の四角形のカットアウト（切り出し部分）３６は、図１に示すように、バ ー３０のフランジのオーバハング状の部分の下に配位している。

【００１５】 基板１２の全体の寸法は基板１２が全体的に１つの手のひらの中に異和感なく 入るように小さくしてあり、例えば５．２cm×４．８cm×１．３cmである。基板 １２の下側は開放されていて、材料だめ２０の底が１つの手の指で握れる構造に なっていて、同じ手の親指を基板１２に対するカバー１４の相対動を操作するた めにカバー１４の頂面に置いている間にトレイ１０を保持し更にはトレイ１０の 動きを安定させるようにしてある。望むならば、カバー１４の頂面にうね、凹所 その他の摩擦で親指と係合出来る構造を配設し、これで擢動中のカバー１４と親 指の係合を強めるようにしてもよい。

【００１６】 溝３２はノッチ３４と共に基板１２に対するカバー１４の滑らかな相対的な摺 動を促進する構造を提供し、比較的低度の粘性を有する液等の歯科材料を、図１ に示す第１の閉位置からカバー１４が図２に示す第２の開位置まで移動したとき に、材料だめ２０からこぼれて流出しないようにしてある。この第２位置は第１ 位置から材料だめ２０を覆わないだけの距離にある。ノッチ３４は壁１６が不注 意にもバー３４と共に圧迫されるときにバー３０の歪みを解放するように作用し 、バー３０がカバー１４の側縁を不当に拘束してカバー１４の動きを邪魔しない ようにしてある。

【００１７】 基板１２とバー３０は化学線を含む可視分光（スペクトラム）に対して不透明 であるブラックポリエチレンから一体モールド成形される。化学線は、不透明で なければ、材料だめ２０の材料を時期尚早に硬化させ得るものである。他方、カ バー１４は、化学線の実質的部分が透過するのを阻止するため、且つ可視分光の 少くとも１部を透過させるために充分なだけの着色剤（好ましくはオレンジ着色 剤）を含むポリ（エチレングリコール−コ−シクロヘキサン１，４−ジメタノー ルテレフタレート）（ＤＥＴＧ）のシートから作製し、カバー１４が閉位置にあ るときに材料だめ２０の歯科材料が観察出来るようにする。

【００１８】 溝３２を含むバー３０は、カバー１４を開位置と閉位置の間で円滑に移動させ るために、カバー１４を基板１２に擢動可能に連結する手段を含んで成る。重要 なことは、トレイ１０はカバー１４を閉位置や開位置で解放可能に保留させる成 形されたくぼみや突起等のスナップアクションラッチを備えていない。それはこ の種のラッチ機構によりトレイ１０がカバーの移動中に揺さぶられて、材料だめ ２０から材料がこぼれ出るようになる可能性があるからである。カバー１４の肉 厚は、トレイ１０が傾いたときに溝３２からカバー１４が自由に落下しないだけ の大きさに設計される。

【００１９】 カバー１４の幅（即ち、カバー１４の面に沿った２種の寸法の内の短い方の幅 ）は、基板１２の幅に対して小さいが、カバー１４が図２に示す開位置に移動し たときにカバー１４の１部分がこれに隣接した基板１２の直立壁（側壁）１６を 外方へ越えて突出することが出来る程度の寸法にする。この突出したカバー１４ は、開位置にあるとき、トレイ１０を保持している手と同じ手の指と容易に係合 し、閉位置にカバー１４を戻す動作が容易になる。

【００２０】

【考案の効果】

本考案によれば、歯科医等のユーザが患者の歯の治療に際し、片手で操作して 歯科材料を不都合なく、且つ時期尚早に硬化させることなく容易に口の中の所定 個所に持って行くことが出来る、実用上便利な調剤トレイが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る調剤トレイの斜視図である。

【図２】トレイのカバーが開位置にあることを除き図１
と実質的に同じ同トレイの斜視図である。

【図３】カバーが除去された状態の同トレイを示す、図
１の線３−３における拡大断面図である。

【符号の説明】

１０…トレイ １２…基板 １４…カバー １６…直立壁 １８…プラットフォーム ２０…材料だめ ２２…数表示 ２４…従属円筒体 ２６…通路 ２８…入口 ３０…バー ３２…溝 ３４…ノッチ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 マルコム ウィンスロウ ウィルコックス アメリカ合衆国，ミネソタ 55144−1000, セント ポール，スリーエム センター （番地なし) (72)考案者 トーマス ウィリアム マーティン アメリカ合衆国，ミネソタ 55144−1000, セント ポール，スリーエム センター （番地なし)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 化学線に暴露することにより硬化可能な
   歯科材料のための歯科調剤トレイであって、容器からの
   該歯科材料を受容する少くとも１つの材料だめ（２０）
   を有する基板（１２）と該基板（１２）に擢動可能に連
   結した該だめ（２０）に対するカバー（１４）を含んで
   成る斯ゝるトレイにおいて、該カバー（１４）が可視分
   光の少くとも１部は透過するが、該化学線の実質的部分
   は透過しないものであることを特徴とする歯科調剤トレ
   イ。