JPH064789A - 機器の異常監視方法および装置 - Google Patents

機器の異常監視方法および装置

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JPH064789A
JPH064789A JP4162751A JP16275192A JPH064789A JP H064789 A JPH064789 A JP H064789A JP 4162751 A JP4162751 A JP 4162751A JP 16275192 A JP16275192 A JP 16275192A JP H064789 A JPH064789 A JP H064789A
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JP4162751A
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Izumi Yamada
泉 山田
Yamato Asakura
大和 朝倉
Makoto Nagase
誠 長瀬
Mitsuharu Oibe
光治 及部
Kunio Akutagawa
邦雄 芥川
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)
  • Testing And Monitoring For Control Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 正常値の把握が困難な機器から多数の監視信
号を検出し、これら多数の監視信号の関連性を抽出し
て、機器の異常初期徴候を検出し、検出精度が向上化さ
れた異常監視方法および異常監視装置を実現する。 【構成】 多数の監視信号のうち、高速変化する監視信
号から機器の異常監視に必要な成分のみを抽出する(ス
テップ1〜5)。予め記憶された目的・説明変数名リス
トに対応する監視信号を読みとり、監視信号間の回帰係
数を算出する(ステップ6〜12)。回帰係数の許容範
囲を算出して、回帰係数が、許容範囲内であるか否かを
判断し、範囲外のときには、警報を表示する(ステップ
13〜16)。次に、回帰係数の時間変化率を算出する
とともに、許容時間変化率を算出し、回帰係数の時間変
化率が許容値内であるか否かを判断し、許容値外である
ときは、警報を表示する(ステップ17〜20)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばプラントで使用
される機器の稼働状態が、正常であるか異常であるかを
監視する機器の異常監視方法およびその装置に係わり、
特に、その異常を機器単独の監視信号だけでなく、周囲
の冷却材ループ等の関連設備の監視信号も用いる方式の
機器の異常監視法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、原子力プラントで使用されてい
る機器の振動や回転数等を検出し、機器が異常となる初
期徴候を監視する異常監視方法または装置がある。上記
異常監視方法の一例としては、特開昭62ー14210
号公報に記載された異常診断分析方法がある。この異常
診断分析方法においては、例えば、原子力プラントに使
用されている機器の観測信号の変化を、ベクトル表現
し、このベクトルを分析することによって、機器の異常
現象の初期徴候を診断している。また、異常監視装置の
例としては、特開平1ー234083号公報に記載され
た回転機のための異常検査装置がある。この異常検査装
置は、回転機械の検査の高速化のためになされたもので
あり、回帰分析により回転数と音圧との回帰係数を求
め、求めた回帰係数から回転機械の回転数と音圧の正常
特性を予測する。そして、回転数と音圧とが正常特性か
らどれだけ逸脱しているかによって、機器が正常か異常
かを判断するように構成されている。
【0003】さらに、他の例として、特開昭61ー19
9114号公報に記載された可動体の動作特性評価装置
がある。この動作特性評価装置においては、回帰分析に
より、可動体の駆動信号と変位量との回帰係数を求め、
求めた回帰係数と予め定めた正常値とを比較する。そし
て、比較結果に基づいて、可動体の動作が正常か異常か
の判定を行うように構成されている。また、他の例とし
ては、特開昭60ー19207号公報に記載された制御
系監視装置がある。この制御系監視装置においては、予
め制御系のモデルを用意しておき、この制御系モデルの
回帰係数を回帰分析により、求めておく。そして、実際
の制御系の回帰係数が、制御系モデルの回帰係数からど
れだけ逸脱しているかにより、制御系が正常か異常かの
判定を行うように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、原子力プラ
ントのような大規模プラントにおいては,使用している
機器の異常初期徴候をより早期に検出することが重要で
ある。したがって、使用している機器やその関連設備か
らできるだけ多くの監視信号を検出し、これら多数の監
視信号に基づき早期に異常初期徴候を検出するように構
成することが望ましい。そこで、上記特開昭62ー14
210号公報に記載された異常診断分析方法を適用し
て、異常初期徴候の検出精度を向上させることが考えら
れる。ところが、原子力プラント等は、動特性が複雑で
あり、監視信号の正常値そのものがプラント毎および定
期検査毎に変化するため、正常値の把握が困難となって
いる。したがって、上記異常診断分析方法をそのまま原
子力プラントに適用しても、異常初期徴候の検出精度の
向上は、望めない。
【0005】また、上記特開平1ー234083号公
報、特開昭61ー199114号公報、特開昭60ー1
9207号公報に記載されているように回帰分析を適用
して、原子力プラントにおける異常初期徴候の検出精度
を向上することが考えられる。しかしながら、上記特開
平1ー234083号公報、特開昭61ー199114
号公報、特開昭60ー19207号公報に記載の回帰分
析においては、変数の数が少なく、多数の監視信号の処
理には、適してはいない。さらに、原子力プラントにお
いては、多数の監視信号の特性が全て同一であるとは限
らない。例えば、再循環ポンプの振動信号や回転数信号
は、高速で変動し、温度や流量などの変化は、低速であ
る。これら特性の異なる監視信号をどのようにして回帰
分析するかについては、上記公報には記載されておら
ず,異常初期徴候の検出精度の向上化が困難であった。
【0006】本発明の目的は、正常値の把握が困難な機
器から多数の監視信号を検出し、これら多数の監視信号
の関連性を抽出して、機器の異常初期徴候を検出し、検
出精度が向上化された異常監視方法および異常監視装置
を実現することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、次のように構成される。機器の異常監視方
法において、監視対象機器または監視対象機器及びその
周辺設備の多数の特性を検出し、検出した多数の特性を
多数の監視信号として、取り込むステップと、取り込ん
だ多数の監視信号を重回帰分析し、回帰係数を算出する
ステップと、算出した回帰係数の妥当性評価を実行する
ステップと、算出した回帰係数が、所定の正常範囲内に
あるか否かを判断し、所定の正常範囲内にないときに
は、機器に異常が発生したと判断するか、もしくは、回
帰係数の時間変化率を算出して、算出した時間変化率が
所定の正常変化率を越えているか否かを判断し、所定の
正常変化率を越えているときには、機器に異常が発生し
たと判断するステップと、を備える。
【0008】また、機器の異常監視方法において、監視
対象機器または監視対象機器及びその周辺設備の多数の
特性を検出し、検出した多数の特性を多数の監視信号と
して、取り込むステップと、取り込んだ多数の監視信号
のうち、高速変化する特性を示す高速特性監視信号から
監視に必要な成分のみを分離し、抽出するステップと、
高速特性監視信号以外の監視信号と、高速特性監視信号
の監視に必要な成分と、を重回帰分析するか、もしく
は、高速特性監視信号の監視に必要な成分どうしを重回
帰分析して、回帰係数を算出するステップと、算出した
回帰係数の妥当性評価を実行するステップと、算出した
回帰係数が、所定の正常範囲内にあるか否かを判断し、
所定の正常範囲内にないときには、機器に異常が発生し
たと判断するか、もしくは、回帰係数の時間変化率を算
出して、算出した時間変化率が所定の正常変化率を越え
ているか否かを判断し、所定の正常変化率を越えている
ときには、機器に異常が発生したと判断するステップ
と、を備える。
【0009】好ましくは、回帰係数の所定の正常範囲
は、機器の試運転時等において、重回帰分析により運転
状態の関数として、算出され、機器の運転状態に応じて
正常範囲が設定される。また、好ましくは、高速特性監
視信号から監視に必要な成分のみを抽出した後に、抽出
した成分の平均化処理を行い、この平均化処理が行われ
た成分が回帰係数の算出に用いられる。
【0010】機器の異常監視装置において、監視対象機
器または監視対象機器及びその周辺設備の多数の特性を
多数の監視信号として検出する検出手段と、検出された
多数の監視信号を重回帰分析し、回帰係数を算出すると
ともに、算出した回帰係数の妥当性評価を実行する相関
抽出手段と、算出した回帰係数が、所定の正常範囲内に
あるか否かを判断し、所定の正常範囲内にないときに
は、機器に異常が発生したと判断するか、もしくは、回
帰係数の時間変化率を算出し、算出した時間変化率が所
定の正常変化率を越えているか否かを判断し、所定の正
常変化率を越えているときには、機器に異常が発生した
と判断する異常判別手段と、を備える。
【0011】また、機器の異常監視装置において、監視
対象機器または監視対象機器及びその周辺設備の多数の
特性を多数の監視信号として検出する検出手段と、検出
された多数の監視信号のうち、高速変化する特性を示す
高速特性監視信号から監視に必要な成分のみを分離し、
抽出する成分分離手段と、成分分離手段からの出力信号
と、高速特性監視信号以外の監視信号と、を重回帰分析
するか、もしくは、成分分離手段からの出力信号のみを
重回帰分析して、回帰係数を算出するとともに、算出し
た回帰係数の妥当性評価を実行する相関抽出手段と、算
出した回帰係数が、所定の正常範囲内にあるか否かを判
断し、所定の正常範囲内にないときには、機器に異常が
発生したと判断するか、もしくは、回帰係数の時間変化
率も算出し、算出した時間変化率が所定の正常変化率を
越えているか否かを判断し、所定の正常変化率を越えて
いるときにも、機器に異常が発生したと判断する異常判
別手段と、を備える。
【0012】好ましくは、回帰係数の所定の正常範囲
は、機器の試運転時等において、重回帰分析により運転
状態の関数として、算出され記憶手段により記憶され、
記憶された回帰係数の所定の正常範囲は、機器の運転状
態に応じて正常範囲として、設定される。また、好まし
くは、成分分離手段は、成分分離した信号を平均化する
平均化処理部を有し、この平均化部により平均化された
信号を、相関抽出手段に供給するように構成される。さ
らに、好ましくは、平均化部により平均化された信号
を、相関抽出手段と異常判別手段とに供給し、異常判別
手段は、平均化部からの出力信号と高速特性監視信号以
外の監視信号とから機器の運転状態を判断するように構
成される。さらに、好ましくは、成分分離手段は、高速
特性監視信号の周波数成分を分析する周波数成分分析部
を有し、平均化処理部は、ローパスフィルタからなる。
また、好ましくは、成分分離手段は、複数のバンドパス
フィルタを有し、平均化処理部は、バンドパスフィルタ
の出力信号を加算する平均応答処理部と、バンドパスフ
ィルタの出力信号の実効値を演算する実効値演算部と、
平均応答処理部からの出力信号および実効値演算部から
の出力信号を選択して出力する出力選別部と、からな
る。
【0013】また、好ましくは、成分分離手段は、高速
特性監視信号うちの2つの信号間の相関が強い周波数帯
域と相関が低い周波数帯域とを解析するコヒーレンス解
析部と、コヒーレンス解析部により解析された周波数帯
域に基づいて相関が強い周波数帯域と相関がない周波数
帯域とを判定する相関帯域判別部と、相関帯域からの出
力信号のうちの所定の周波数帯域の信号を通過させる通
過帯域選択部と、を有し、平均化処理部は、通過帯域選
択部からの出力信号の実効値を演算する実効値演算部か
らなる。また、好ましくは、異常監視が行われる機器
は、回転機器であり、成分分離手段は、上記機器の所定
の回転角度を基準として、信号処理を実行する。
【0014】また、好ましくは、異常判別手段は、学習
モードと監視モードとを選択し設定するためのモード設
定器と、モード設定器により、学習モードが設定されて
いるときには、算出された回帰係数と多数の監視信号と
を取り込み、これら回帰係数と多数の監視信号の正常変
動幅に関する変動幅データを算出して記憶し、監視モー
ドが設定されているときには、記憶された変動幅データ
を出力する変動幅データ学習器と、モード設定器によ
り、監視モードが設定されているときには、上記変動幅
データに基づいて、回帰係数と多数の監視信号の正常範
囲を算出し、実際の回帰係数及び多数の監視信号が上記
正常範囲内であるか否かを判断し、正常範囲内にないと
きには、機器に異常が発生したと判断する異常検出器
と、を備える。
【0015】また、好ましくは、異常判別手段は、算出
された回帰係数と多数の監視信号とが供給され、これら
多数の監視信号から主監視パラメータと従属監視パラメ
ータとを分離し、出力する信号分離手段と、学習モード
と監視モードとを選択し設定するためのモード設定器
と、モード設定器により、学習モードが設定されている
ときには、主監視パラメータの複数の量子化値のそれぞ
れに対応して各従属監視パラメータの正常変動幅に関す
る変動幅データを算出して記憶し、監視モードが設定さ
れているときには、実際の主監視パラメータの量子化値
に対応して記憶された従属監視パラメータの変動幅デー
タを出力する監視パラメータ学習器と、モード設定器に
より、監視モードが設定されているときには、上記変動
幅データに基づいて、従属監視パラメータの正常範囲を
算出し、実際の従属監視パラメータが上記正常範囲内で
あるか否かを判断し、正常範囲内にないときには、機器
に異常が発生したと判断する異常検出器と、を備える。
好ましくは、上記変動幅データは、各従属監視パラメー
タの平均値及び標準偏差である。
【0016】
【作用】検出された多数の監視信号が重回帰分析され、
回帰係数が算出される。算出された回帰係数の妥当性評
価が実行され、この妥当性評価により、機器の異常監視
に無意味な回帰係数が除去される。そして、機器の異常
監視に有用な回帰係数が所定の正常範囲内にあるか否
か、もしくは、回帰係数の時間変化率が所定の正常変化
率を越えているか否か、により機器に異常が発生したか
どうかが判断される。また、検出された多数の監視信号
のうちの高速特性監視信号には、監視に不要な成分が含
まれている場合がある。この場合には、高速特性監視信
号のうちの監視に不要な成分が除去され、有要な成分の
み抽出される。抽出された成分と、高速特性監視信号以
外の監視信号との回帰係数が、重回帰分析により、算出
される。算出された回帰係数が、所定の正常範囲内か否
か、もしくは、回帰係数の時間変化率が、所定の正常変
化率を越えているか否かが判断され、機器の異常が発生
したか否かが判断される。これにより、正常値の把握が
困難な機器の異常初期徴候の検出精度が向上される。
【0017】
【実施例】図1は、本発明による機器の異常監視方法の
一実施例の動作フローチャートであり、図2は、本発明
による機器の異常監視装置の一実施例の概略構成図であ
る。なお、図1および図2の例は、本発明を原子力発電
プラントの再循環ポンプループの異常監視に用いた例で
ある。
【0018】まず、図2において、原子炉101内部の
炉心102で発生する熱は、炉心102内部を流れる冷
却水に伝達され、この冷却水は沸騰して主蒸気配管10
3を通りタービン・発電機(図示せず)を回して電力を
得る。タービン・発電機を回した蒸気は、再び水になっ
て給水配管104を通って原子炉101に導かれる。炉
心102の発熱量は、再循環ポンプ105、再循環配管
106、ジェットポンプ107からなる再循環ポンプル
ープの流量に依存して変化する。炉心102や配管等を
通る冷却水の純度を保つため、再循環配管106から冷
却水を分岐して炉水浄化装置108で浄化し、給水配管
104に戻す。この実施例においては、上述したよう
に、炉心102の発熱量を制御する再循環ポンプループ
の異常を監視するように構成してある。監視のため、再
循環ポンプ105を対象にした振動計測装置121、音
響計測装置122、回転数計測装置123、軸受け温度
計測装置133等が設置されている。また、流量計測装
置132等の再循環ポンプループの運転状態を知るため
の各種の計測装置を装備してある。再循環ポンプループ
の運転状態に関する情報を有する水質についても監視す
るため、炉水浄化装置108にセンサを配して電導度を
電導度計測装置131で計測している。上記振動計測装
置121、音響計測装置122、回転数計測装置123
は、高速変化する監視信号の計測装置であり、軸受温度
計測装置133、流量計測装置132、電導度計測装置
131は、低速変化する監視信号の計測装置である。な
お、図示した計測装置以外の計測装置も配置されている
ものである。
【0019】次に、図1および図2を参照して、本発明
の異常監視方法の一実施例を説明する。図1のステップ
1において、再循環ポンプループの監視信号のうち高速
変化する監視信号からのデータ間引き数を設定する。ス
テップ2において、高速変化する監視信号の成分(例え
ば、周波数成分)から異常監視に必要な成分を分離す
る。次に、ステップ3において、分離された異常監視に
必要な成分の平均化処理を行い、ランダムな時間変動を
抑制する。そして、ステップ4において、例えば、異常
監視に必要な成分のうち大の成分を所定数だけ選別する
等の選別処理を行う。高速変化する監視信号には、多数
の周波数成分が含まれており、監視に不要な成分も含ま
れている。この監視に不要な周波数成分が、上記ステッ
プ2、3、4により除去され、有要な成分のみが抽出さ
れる。次に、ステップ5において、設定した間引き数だ
けデータ処理したか否かを判断する。設定した間引き数
だけのデータ処理が終了していなければ、ステップ2に
戻る。設定した間引き数だけのデータ処理が終了してい
れば、ステップ6に進む。このステップ6において、適
切な記憶手段に記憶された目的、説明変数名(重回帰
式)リストを読みとる。
【0020】ここで、重回帰式につき説明する。まず、
重回帰式は、次の(1)式により表わされる。 Y=A0 +A1 X1 +A2 X2 +・・・AqXq −−
−(1) ただし、Yは目的変数、X1 〜Xqは説明変数、A0 〜
Aqは回帰係数である。さて、例えば、振動を目的変数
Y、回転数を説明変数X1 、流量を説明変数X2 、温度
を説明変数X3 とし、残差をEiとすると式(1)は次
式(2)となる。 Yi=A0 +A1 X1 i+A2 X2 i+A3 X3 i+E
i −−−(2) 回帰係数A0 、A1 、A2 、A3 は、残差Eiの2乗和
が最小となるように決定される。残差Eiの2乗和は、
次式(3)により表される。
【0021】
【数1】
【0022】上記(3)式において、残差Eiが最小と
なるためには、次式(4)を満足しなければならない。
【0023】
【数2】
【0024】ところで、式(3)は、次式(5)とな
る。
【0025】
【数3】
【0026】式(5)を用いて、式(4)を解くと次式
(6)が得られる。
【0027】
【数4】
【0028】上記式(6)を解くことにより、回帰係数
A0 、A1 、A2 、A3 の値を算出することができる。
ところで、上記式(6)には、2つの変数の積の分散、
つまり共分散が現れている。ここで、共分散を定義して
おく。次式(7)は、通常の分散を示し、次式(8)
は、共分散を示す。
【0029】
【数5】
【0030】ただし、nはデータ数、XbはXの平均値
を示す。式(8)において、共分散は、XiYiであ
り、式(6)においては、X1 iとX2 i、X1 iとX
3 i、X2 iとX3 i、YiとX1 、YiとX2 i、Y
iとX3 iである。これら共分散を算出した後に回帰係
数が算出される。
【0031】以上の説明においては、監視信号そのまま
を各変数に対応させて説明したが、監視信号の巾乗や指
数関数等を新たな説明変数として重回帰分析することも
可能である。
【0032】さて、ステップ6において、目的変数名と
説明変数名のリスト(高速変化する監視信号名と低速変
化する監視信号名とを含む)を読みとると、ステップ7
に進み、リストに対応したデータを読みとる。次に、ス
テップ8において、読みとった目的変数と説明変数との
全ての共分散を算出する。そして、ステップ9におい
て、リストに従って回帰係数を算出する。次に、ステッ
プ10において、リストに従って偏相関係数を算出す
る。ただし、偏相関係数とは、式(1)において、目的
変数Yと説明変数X1 からX2 、X3 、・・・Xqを無
視したときの相関である。つまり、YとX1 だけの相関
係数である。
【0033】続いて、ステップ11において、算出した
全ての偏相関係数が設定値以上か否かを判定する。そし
て、偏相関係数が設定値以下であれば、ステップ12に
進み、設定値以下の偏相関係数に対応する説明変数を上
記リストから削除する。つまり、ステップ11及び12
において、算出した回帰係数の妥当性評価が実行され
る。これは、偏相関係数が設定値以下であると、その回
帰係数の信頼性が低いためである。ステップ12の処理
が終了すると、ステップ9に戻る。
【0034】ステップ11において、全ての偏相関係数
が設定値以上であれば、ステップ13に進む。そして、
このステップ13において、それぞれの回帰係数の時間
変動を求め、それぞれの回帰係数の平均値とゆらぎ幅を
算出する。次に、ステップ14において、予め設定して
あるゆらぎ幅係数と、平均値およびゆらぎ幅から、各回
帰係数の許容範囲を算出する。続いて、ステップ15に
おいて、許容ゆらぎ幅を越える回帰係数がないかを判断
する。許容ゆらぎ幅を越える回帰係数があれば、ステッ
プ16に進み、適切な表示手段により、その旨を示す警
報を発生させ、ステップ17に進む。ステップ15にお
いて、許容ゆらぎ幅を越える回帰係数がなければ、ステ
ップ16を介することなくステップ17に進む。
【0035】次に、ステップ17において、回帰係数の
時間変化率を算出する。続いて、ステップ18におい
て、回帰係数のゆらぎ幅と、予め設定した許容変化率係
数から、回帰係数の許容変化率を算出する。そして、ス
テップ19において、回帰係数の変化率が、算出した許
容変化率を越えていないかを判断する。回帰係数の変化
率が、許容変化率を越えていれば、ステップ20におい
て、その旨を表示する警報を表示する。ステップ19に
おいて、回帰係数の変化率が、許容変化率を越えていな
ければ、ステップ21に進み、監視処理が終了か否かを
判断する。処理終了であれば、処理を終わり、処理終了
でなければ、ステップ1に戻り、再び監視処理を開始す
る。
【0036】以上のように、本発明の一実施例である機
器の異常監視方法によれば、正常値の把握が困難な機器
から多数の監視信号を検出し、これら多数の監視信号を
重回帰分析して得られた回帰係数が所定の範囲を逸脱し
ているか否かのみならず、回帰係数の変化率が所定の変
化率を逸脱しているか否かを判断することにより、異常
を監視している。重回帰分析における目的変数と説明変
数との組み合わせには、物理的なモデルの考慮が不要と
なるので、プラントの試運転時等において、回帰係数の
正常値を容易に把握することができる。したがって、正
常値の把握が困難な機器の異常初期徴候を、高精度に検
出し得る異常監視方法を実現することができる。また、
上記一実施例によれば、高速変化する監視信号に、成分
分離処理、平均化処理、選別処理を施して、監視に有要
な成分のみを抽出し、抽出した成分と低速変化する監視
信号とにより重回帰分析を実施している。したがって、
不要な成分を重回帰分析に用いることがないので、機器
の異常初期徴候の検出速度および検出精度をさらに向上
することができる。
【0037】なお、上記実施例において、回帰係数の許
容範囲および許容変化率は、機器の試運転時に重回帰分
析を用いて、運転状態の関数として、算出しておき、機
器の運転状態に応じて許容範囲を設定してもよい。この
ようにすれば、機器の異常初期徴候をさらに高精度に検
出できる。また、適用するプラント等によっては、算出
した回帰係数の妥当性評価を実行すると、高速変化監視
信号のうちの不要な成分が除去される場合が考えられ
る。この場合には、成分分離処理を省略することができ
る。さらに、算出した回帰係数が、所定の正常範囲内に
あるか否かのみ、または、所定の正常変化率を越えてい
るか否かのみ、によって、異常か否かを判断するように
構成してもよい。また、監視信号が高速変化監視信号の
みの場合には、高速変化監視信号どうしのみから回帰係
数が算出されることは、もちろんである。
【0038】次に、本発明による機器の異常監視装置の
一実施例を説明する。図2において、高速変化する監視
信号の計測装置121、122、123等からの出力信
号が、成分分離処理装置200に供給される。そして、
この成分分離処理装置200において、計測装置12
1、122、123等から供給された信号の成分のう
ち、監視に必要な成分のみが抽出される。抽出された成
分は、平均化処理装置300に供給され、上記成分の時
間変動が抑制される。時間変動が抑制された信号成分
は、相関抽出処理装置400に供給される。この相関抽
出処理装置400には、低速変化する監視信号を計測す
る計測装置131、132、133等からの出力信号も
供給される。相関抽出処理装置400において、多数の
監視信号が重回帰分析され、回帰係数が算出され、さら
に算出した回帰係数の妥当性が判断される。そして、算
出された回帰係数は、異常判別装置500に供給され、
回帰係数そのものから、および回帰係数の変化率から機
器の異常初期徴候が判別される。
【0039】以下、図2の例における主要部である成分
分離処理装置200、平均化処理装置300、相関抽出
処理装置400、異常判別装置500について説明す
る。なお、成分分離処理装置200としては、周波数成
分分離型処理装置、周波数帯域分離型処理装置、さらに
相関成分分離型処理装置がある。
【0040】図3は、成分分離処理装置200として、
周波数成分分離型処理装置を用いた例の構成図である。
図3において、成分分離処理装置200は、周波数分析
のためのフーリエ変換部210、周波数分析結果として
得られる実数部と虚数部から振幅と位相を計算する振幅
・位相成分変換部211、監視に有用な成分のみを選択
する出力選別部212からなり、平均化処理装置300
は、監視成分を平均化するローパスフィルタ部310に
より構成されている。高速変化する監視信号つまり振動
等の高周波信号がフーリエ変換部210に入力され、周
波数分析が行われる。そして、フーリエ変換部210か
らの出力信号は、振幅・位相変換部211により、振幅
と位相とに変換される。位相は、ある時間基準からの遅
れを示すものであり、ここでは時間基準として再循環ポ
ンプ105の回転基準パルスが用いられる。つまり、周
波数分析される入力データが、回転基準パルスの発生タ
イミングにあわせて取り込まれることにより、自動的に
回転基準パルスが時間基準として用いられる。そして、
振幅・位相変換部211からの出力信号は、出力選別部
212に供給され、予め定めた監視に有用な成分、つま
り、例えば、振動においては、回転周波数の整数倍成分
と分数次成分と機械系の固有振動数が選択される。選択
された成分は、ローパスフィルタ部310に出力され
る。なお、出力選別部212を省略して、振幅・位相変
換部211で選別処理をするように構成することも可能
である。その場合、選別した周波数成分についてだけ振
幅・位相変換処理を実施すれば良いため、信号処理量が
少なくなる。ここでは、選別処理に際し回転周波数の整
数倍成分、分数次の成分、他に回転軸の固有振動数等を
選別するように設定してある。ローパスフィルタ部31
0のカットオフ周波数は、流量計測装置132や温度計
測装置133を参考にして設定してある。重回帰分析に
際し、プラントの状態変化に対する応答が近い方が回帰
分析したときの残差が小さいという知見による。このよ
うな装置構成とすることで、高周波信号を低周波信号に
変換できるとともに、監視に不要な情報を低減できる。
そして、ローパスフィルタ部310の出力信号が、相関
抽出処理装置400に供給される。
【0041】図4は、成分分離処理装置200として、
周波数帯域分離型処理装置であるバンクフィルタ部22
0を用いた例の構成図である。このバンクフィルタ部2
20は、多数の中心周波数の違うバンドパスフィルタか
ら成る。また、平均化処理装置300は、回転に同期し
て同一角度毎のバンクフィルタ部220の出力信号を加
算する平均応答処理部320と、バンクフィルタ部22
0の出力信号の実効値を演算する実効値演算部321
と、予め定められたアルゴリズムに従って出力信号を選
定して出力する出力選別部322とから成る。上記アル
ゴリズムは、例えば、平均応答処理部320の出力信号
のうち、大きい方から所定の数だけの信号を出力すると
いうようなアルゴリズムである。バンクフィルタ部22
0は、各種の中心周波数を有しており、監視信号で最も
SN比の良好な帯域が不明な場合でも、出力選別アルゴ
リズムにより、SN比良好な帯域が選別できる。したが
って、動的に最適なSN比の監視が可能となる。後述す
るように、平均応答法により回転同期成分を検出する場
合、ある角度で音響レベルが他の角度より大きければ、
回転同期成分の発生と判断でき、動的に最適な周波数帯
域が選択できる。
【0042】図5は、成分分離処理装置200として、
相関成分分離型処理装置を用いた場合の例の構成図であ
る。この例においては、高速変化する多数の監視信号を
2信号づつ組み合わせ、組み合わせた2信号間の相関の
高い周波数領域と相関の低い周波数領域をコヒーレンス
解析結果に基づいて決定する。そして、それぞれの帯域
の実効値を出力する構成としてある。図5において、コ
ヒーレンス解析部230で入力信号の2信号間の相関の
強さを周波数毎に定量化し、相関帯域判別部231で予
め定めた相関の強さの判定基準に従って、相関の強い周
波数帯域と相関が無い周波数帯域を選定する。通過帯域
選択部233は、バンドパスフィルタからなる。信号遅
延部232は、コヒーレンス解析に要する時間だけ入力
信号を遅延させる記憶手段からなり、コヒーレンス解析
により通過帯域が決定した後、入力信号を通過帯域選択
部233に供給する。通過帯域選択部233の出力信号
は、相関のある周波数帯域を通過した2信号と、相関の
無い周波数帯域を通過した2信号である。これらの信号
は、平均化処理装置300としての実効値演算部331
で実効値に変換される。相関のある信号どうしの回帰分
析をすることで、精度の高い回帰係数が得られる。ま
た、相関の無い成分は、相関の強い信号に支配的な事象
の情報を除いているため、相関の強い事象以外の事象の
監視に有効である。実効値演算部331の出力信号は、
相関抽出処理装置400に供給される。
【0043】図6は、重回帰分析を用いた相関抽出処理
装置400の動作フローチャートである。図6のステッ
プ30において、予め定めた目的変数名と説明変数名の
リストを読みとる。次に、ステップ31において、読み
とったリストに従って予め定めた時間幅のそれぞれの変
数の時系列データを読みとる。続いて、ステップ32に
おいて、すべての変数の組み合わせの共分散を演算し、
ステップ33において、回帰係数を演算する。そして、
ステップ34において、演算した共分散データに基づい
て、偏相関係数を演算する。ステップ35において、す
べての偏相関係数が予め定めた設定値を越えているか否
かを判断し、設定値以下のものがあれば、ステップ36
に進む。ステップ36において、設定値以下の偏相関係
数に対応する説明変数を削除し、ステップ33に戻る。
これらステップ35及び36によって算出された回帰係
数の妥当性評価が実行される。ステップ35において、
すべての偏相関係数が設定値以上の時には、ステップ3
7に進み、回帰係数、偏相関係数、残差を異常判別装置
500に出力する。なお、ここで偏相関係数が設定値以
上かどうかだけ判定し、偏相関係数が設定値以上に対応
する回帰係数のみ出力することも可能である。この偏相
関係数の評価により、要求精度に達している回帰係数の
みを抽出できる。このほか、回帰係数の妥当性評価手法
には、偏相関係数以外を用いる方法もあり、本発明は、
妥当性評価を行う手法を偏相関係数を用いる方法に限定
されない。例えば、F値(分散比)や、予測平方和、A
IC(赤池の情報量基準)、自由度2乗調整済み寄与率
等を用いることも可能である。
【0044】図7は、異常判別装置500の動作フロー
チャートである。図7において、異常判別処理装置50
0の主要な機能は、2つあり、一つは、試運転時等の正
常回帰係数の記憶であり、他の一つは、通常運転時の異
常監視である。はじめに、ステップ40において、監視
対象機器の現在の運転状態のデータつまり主要な監視信
号の値を読みとり、それを運転状態とする。この主要な
監視信号名はあらかじめ定めてある。例えば、再循環ポ
ンプの回転数、流量分岐している系統への分岐流量等で
ある。次に、ステップ41において、相関抽出処理装置
400で演算した現在の回帰係数を読みとる。運転員
は、正常値記憶モードか異常監視モードかを選択するこ
とができ、ステップ42において、設定されたモードが
何であるかを判断する。正常値記憶モードが選択されて
いれば、ステップ43に進み、予め定めた主要運転状態
毎に回帰係数の正常値を、適切な記憶手段に記憶し、ス
テップ40に戻る。一方、異常監視モードが選択されて
いれば、ステップ44に進み、運転状態に対応した回帰
係数と回帰係数の変化率との正常値を読みだし、ステッ
プ45に進む。ステップ45において、回帰係数の時間
変化率が正常変化率を逸脱していないかどうかを判断す
る。逸脱していれば、ステップ48に進み、適切な表示
手段により、その旨を警報表示する。また、ステップ4
5において、回帰係数の時間変化率が正常変化率を逸脱
していなければ、ステップ46に進む。そして、回帰係
数が、正常範囲内か否かを判断する。正常範囲内でなけ
れば、ステップ48に進み、警報表示が行われる。一
方、正常範囲内であれば、ステップ47に進み、正常で
ある旨の表示がおこなわれる。このようにして、回帰係
数の正常値の記憶と、その回帰係数を用いた異常検出が
実行される。正常値の記憶においては、物理モデルに依
存しない回帰式を用いているため、比較的簡単に複数の
監視信号間の正常値の把握が可能である。なお、プラン
トの正常値の予測が容易なプラントへ上記実施例を適用
する場合は、予測した正常値を記憶するように構成すれ
ばよい。
【0045】図8は、本発明の機器監視装置の一実施例
により軸受け給油系の異常を検出した例である。ただ
し、上述の周波数成分分離型処理により異常を検出して
いる。図8の(A)は、周波数分析による成分分離の状
態を示す。図8の(B)は、平均化による時間的ばらつ
きの抑制の状態を示し、Af1 は周波数成分の変化であ
り、Tは軸受け温度の変化である。また、図8の(C)
は,回帰係数aの変化を示している。回帰係数そのもの
の正常値は、プラントおよび機器の試運転時の値を正常
値として取り扱っている。軸受け温度、振動それぞれは
単独の監視では正常範囲にある。それを複合した回帰係
数の監視の実施により従来検出できなかった異常が検出
できるように成っている。振動から、特に軸曲がりに敏
感な回転周波数成分を抽出し、それを平均することで、
より定常揺らぎを抑制して回帰分析での残差の絶対値を
低減し、より精度の高い回帰係数を得ている。また、周
囲温度も相関分析の要素として加えることでさらに高精
度な回帰係数が得られる。
【0046】図9は、本発明の機器監視装置の一実施例
によりラビング振動を検出した例を示している。ただ
し、上述の周波数帯域分離型処理により異常を検出して
いる。図9の(A)は、バンクフィルタによる成分分離
状態を示す。図9の(B)は、平均応答法による突出度
の抽出状態を示す。また、図9の(C)は,突出度と振
動レベルとの回帰係数aの変化を示している。再循環ポ
ンプに取り付けた音響センサ信号を、各周波数帯域毎に
分離し、回転基準パルスに同期して平均化処理を行い、
突出度Pと回転周波数成分Af1 を得る。そして、突出
度の大きい周波数範囲のデータを抽出し、突出度の時間
変化と振動振幅の回帰係数を求め、異常を検出してい
る。この例は、軸受け近傍で、回転軸とケーシングと
が、回転に同期して接触しているのを検出した例であ
る。振動と、音響発生の相関から、より確実な異常検知
が可能となった。つまり、突出度が大きいのは回転に同
期して音響が発生していることを示しており、回転周波
数成分の振動が変化するのは何らかのアンバランス発生
や回転軸に曲がりが生じている等の情報となる。しか
し、音響計測系の回転に同期した電気ノイズでも突出度
は変化するし、振動も流体温度や軸受け支持系の特性変
化で変化することがある。しかし、突出度と回転周波数
の振動成分の同時変動は、回転軸がケーシングと接触
し、回転軸の一部が局所的に加熱されて熱変形している
ことを示している。
【0047】上記の2例からも予想できるように、通常
運転状態では複数の監視信号間の関連性が少ないため
に、回帰係数が求められない場合もある。異常が生じる
ことで始めて関連性がでてくることがある。例えば、ポ
ンプの回転軸の一部がケーシングと接触して、振動が増
加するとともに流体中に金属粉がとけ込んで電導度が低
下する場合がそうである。このような場合、本発明の異
常監視装置においては、回帰係数の変化として異常をと
らえることができる。なお、本発明の一実施例の異常監
視装置において、成分分離処理装置200等の各装置に
より実行する処理をマイクロコンピュータにより、実行
するように構成してもよい。また、取り込む信号数が多
く、実時間処理が困難な場合は、DSP(デジタル信号
処理プロセッサ)の使用も可能である。
【0048】以上のように本発明の一実施例の異常監視
装置によれば、正常値の把握が困難な機器から多数の監
視信号を検出し、相関抽出処理装置400により、多数
の監視信号を重回帰分析して回帰係数を算出し、算出し
た回帰係数が所定の範囲を逸脱しているか否かのみなら
ず、回帰係数の変化率が所定の変化率を逸脱しているか
否かを、異常判別装置500により判断して、異常を監
視している。重回帰分析における目的変数と説明変数と
の組み合わせには、物理的なモデルの考慮が不要となる
ので、プラントの試運転時等において、回帰係数の正常
値を容易に把握することができる。したがって、正常値
の把握が困難な機器の異常初期徴候を、高精度に検出し
得る異常監視装置を実現することができる。さらに、本
発明の一実施例によれば、回帰係数の算出に際し、高速
変化する監視信号のうちの有要な成分を分離し、平均化
を行い、低速変化する監視信号と同一周波数帯域まで周
波数帯域を低下させている。これにより、監視に不要な
成分を演算することなく、しかも同一の周波数帯域にあ
る、多数の監視信号の回帰係数を演算すればよいので、
演算精度および演算速度を向上することができ、機器の
異常初期徴候の検出精度をさらに向上することができ
る。また、監視に有要な成分のみを回帰係数の演算に使
用し、演算処理すべきデータ量が必要最小限となってい
るので、大型のデータの記憶装置等を使用することなく
異常監視装置を実現できる。
【0049】なお、適用するプラント等によっては、算
出した回帰係数の妥当性評価を実行すると、高速変化監
視信号のうちの不要な成分が除去される場合が考えられ
る。この場合には、成分分離処理装置200を省略する
ことができる。さらに、異常判別装置500は、算出し
た回帰係数が、所定の正常範囲内にあるか否かのみ、ま
たは、所定の正常変化率を越えているか否かのみ、によ
って、異常か否かを判断するように構成してもよい。ま
た、監視信号が高速変化監視信号のみの場合には、高速
変化監視信号どうしのみから回帰係数が算出されること
は、もちろんである。
【0050】図10は、本発明による機器の異常監視装
置の他の実施例の概略構成図である。なお、この例は、
原子力発電プラントのタービン・発電機系統の異常監視
に、適用した場合の例である。図10において、主蒸気
配管103を通して高温・高圧蒸気をタービン110に
導き、タービン110を回して、タービン110に直結
した発電機111により発電する。タービン110から
出た蒸気は、復水器112を通って水になり、給水系に
おくられる。異常監視のための計測量としては、発電機
出力、振動、回転数、軸受温度等の潤滑系計装、復水器
112の真空度、主蒸気流量等である。これらの計測量
は、回転数計測装置140、振動計測装置141、蒸気
流量計測装置150、真空度計測装置151等を通して
成分分離処理装置200に供給される。成分分離処理処
理装置200、平均化処理装置300、相関抽出処理装
置400は、図2の例と同等のものを使用している。こ
の実施例で特徴的なものは、異常判別装置550であ
る。この異常判別装置550は、回帰係数の値と、監視
信号レベルと、成分分離され平均化処理された信号のレ
ベルと、を用いることで、総合的な異常判別を実施する
機能を有する。
【0051】異常判別装置550による異常判別につい
て以下に説明する。例えば、主蒸気配管103の蒸気流
量を増加することにより、発電機の出力を増加させるこ
とができる。このため、回帰係数のみを用いた監視にお
いては、蒸気流量と発電機出力との関係が一定ならば、
蒸気流量が定格値を越えても異常とは判断されない可能
性がある。そこで、蒸気流量そのものを監視する監視系
を備えることで、蒸気流量が定格値以上となることを防
止することができる。また、成分分離され平均化処理さ
れた信号の変化範囲は、そのオーバーオールレベルの変
化範囲よりも狭いので、信号の正常値の範囲を狭くし
て、異常検出精度を向上することができる。つまり、例
えば、蒸気タービンや発電機に生じるオイルホワールや
オイルホイップにおいて、振動の固有周波数成分の正常
値範囲を充分狭く設定することにより、振動の異常を早
期に検出することができる。また、いわゆる自励振動の
場合は、その加振力の影響が、他の監視信号に現れにく
いため、その監視信号自体のレベル等を用いることによ
り、異常を精度良く検出する事ができる。このように、
回帰係数の値と、監視信号レベルと、成分分離され平均
化処理された信号のレベルと、の3種の信号を用いて異
常検出を行うことにより、機器の異常初期徴候の検出精
度を向上できる。この図10の例によれば、図2の例と
同様な効果が得られる他に、上述のように3種の信号を
用いて、異常検出を行うことにより、機器の異常初期徴
候の検出精度をさらに向上できる。
【0052】図11は、本発明による機器の異常監視装
置のさらに他の実施例の概略構成図である。なお、この
例は、高速増殖炉の蒸気発生器の異常音監視に、適用し
た場合の例である。図11において、代表的な異常音と
して、ナトリウム中に水が漏れだし、結果として生じる
ナトリウム水反応に伴う音がある。高温のナトリウム
は、ナトリウム入口配管701を通り、伝熱管707の
周囲を通って、ナトリウム出口配管702からポンプ側
に戻る。容器胴705内には、給水入口配管703から
供給される給水が通る伝熱管707が配置されており、
伝熱管707は、伝熱管支持構造体706で支えられて
いる。容器胴705の外壁には音響センサ710が配置
されている。その他に、ナトリウム出口温度計測装置1
61、蒸気出口配管704の蒸気温度を計測する蒸気温
度計測装置162、音響計測装置163、給水流量計測
装置164、ナトリウム流量計測装置165、ナトリウ
ム中水素計測装置166が設置されている。音響計測装
置163の出力信号は、成分分離処理装置240を通
り、平均化処理装置350を通って、相関抽出処理装置
410に供給される。その他の計測装置の出力信号は、
直接相関抽出装置410に供給される。相関抽出処理装
置410の出力信号は、異常判別装置510に供給さ
れ、この異常判別装置510により、回帰係数の値とそ
の変化率から異常判別される。
【0053】相関抽出装置410では、下記の自己回帰
式(9)により回帰係数を算出する。 Yi=A0 +A1 X1 +A2 X2 +A3 X3 +A4 X4
+A5 X5 −−−(9) ただし、Yiは音響信号のi番目のバンクフィルタ出力
の実効値、X1 はナトリウム出口温度、X2 は蒸気温
度、X3 は給水流量、X4 はナトリウム流量、X5 はナ
トリウム中水素量、A0 、A1 、A2 、A3 、A4 、A
5 は各監視信号に対応する回帰係数である。
【0054】音響信号は、ナトリウム水反応や蒸気やナ
トリウムの流動で変化する。また、ナトリウム中の水素
量は、ナトリウム中のナトリウム水反応でも増加する。
このため、音響レベルとナトリウム中の水素量との間に
相関が生じた場合は、ナトリウム水反応が生じたと考え
られる。そこで、異常判別装置510においては、回帰
係数A5 の値および変化率、偏相関係数を監視すること
で音響監視だけでも、高感度異常検出が可能となる。な
お、水素量の単独監視だけでは高感度異常検出は、不可
能である。成分分離処理装置240内のバンクフィルタ
で、音響信号の周波数帯域を選択しており、異常判別は
最も偏相関係数の大きいバンクフィルタ出力で実行し
て、さらに高感度化を図っている。
【0055】以上のように、図11の例によれば、図2
に示した例と同等な効果が得られる他、以下のような効
果を得ることができる。つまり、ナトリウム中の水素濃
度と音響レベルの変化のみの関連を監視できることにな
り、ナトリウム水反応検出感度の検出精度向上化が図
れ、機器異常監視装置の異常初期徴候検出精度を向上で
きる。また、音響信号の各成分のうちで最も相関係数の
大きな成分の回帰係数を代表値として採用しているの
で、機器異常監視装置の異常初期徴候検出精度をさらに
向上できる。
【0056】図12は、本発明による機器の異常監視装
置のさらに他の実施例の概略構成図であり、図2の例と
同等なものには同一の符号を付してある。そして、この
図12の例においては、図2の例の異常判別装置500
に代えて、学習型異常判別装置1000が備えられてい
る。なお、この学習型異常判別装置1000以外の構成
は、図2の例と同様となっている。
【0057】図12において、学習型判別装置1000
は、信号分配器(信号分離器)1010と、監視パラメ
ータパターン選択器1220と、監視パラメータ学習器
1230と、監視モード設定器1250と、異常検出器
1260と、警報表示器1280と、から構成されてい
る。信号分配器1010は、相関抽出処理装置400、
振動計測装置121、音響計測装置122、回転数計測
装置123等から供給された信号のうち、主監視パラメ
ータ(例えば回転数信号)と、従属監視パラメータ(回
帰係数、振動信号、流量信号、軸受温度信号等)とを分
配する。監視モード設定器1250は、操作パネル等に
より操作者の操作に従って、学習モード又は監視モード
を示す信号を出力する。監視パラメータパターン選択器
1220には、信号分配器1010からの主監視パラメ
ータが供給され、この主監視パラメータ値が量子化され
る(例えば、1175rpmを1170rpmに丸め
る)。そして、量子化した値の番号が監視パラメータパ
ターン選択器1220から出力される。
【0058】監視パラメータ学習器1230には、信号
分配器1010から従属監視パラメータが供給される。
そして、監視パラメータ学習器1230は、監視モード
設定器1250から供給される信号が学習モードを示す
場合には、パターン選択器1220から供給される量子
化値番号に応じて、従属監視パラメータの正常変動幅に
関するデータを学習する。また、監視パラメータ学習器
1230は、監視モード設定器1250から供給される
信号が監視モードを示す場合には、パターン選択器12
20から供給される量子化値番号に応じて、学習済みの
従属監視パラメータの代表値を異常検出器1260に供
給する。
【0059】この異常検出器1260には、信号分配器
1010から現時点の実際の従属監視パラメータも供給
される。そして、異常検出器1260は、モード設定器
1250からの信号が監視モードを示す場合に動作し、
学習済み従属監視パラメータの代表値と現時点の実際の
従属監視パラメータとを比較する。比較した結果、現時
点の実際の従属監視パラメータが正常範囲外であれば、
異常と判断し、判定結果を示す信号を警報表示器128
0に供給する。警報表示器1280は、異常検出器12
60の判定結果に従って、所定の警報表示を行う。
【0060】図13は、監視パラメータ学習器1230
の構成図である。図13において、学習器1230は、
学習データを記憶するための記憶器1231と、監視モ
ードに応じて学習データの出力先を変更するデータ切り
換え器1232と、従属監視パラメータの代表値を更新
するための累積器1233とを有している。なお、ここ
において学習とは、正常時における従属監視パラメータ
の変動範囲を決定するための動作である。監視モードに
おける学習器1230内部のデータの流れを図14に示
す。ただし、iは主監視パラメータ量子化値番号、jは
従属監視パラメータ番号、N(i)はデータ数、S
(i,j)は監視パラメータ単純和、S2 (i,j)は
監視パラメータ2乗和である。また、XB (i,j)は
監視パラメータ平均値、σ(i,j)は標準偏差、Xma
x (i,j)は監視パラメータ最大値、Xmin (i,
j)は監視パラメータ最小値、kは監視パラメータの入
力順番、XjGは従属監視パラメータの現在値である。
【0061】図14において、記憶器1231には、量
子化番号に従って、従属監視パラメータの代表値である
学習済みのデータ数N(i)、監視パラメータ単純和S
(i,j)、2乗和S2 (i,j)、平均値XB (i,
j)、標準偏差σ(i,j)、最大値Xmax (i,
j)、最小値Xmin (i,j)が記憶される。一定時間
経過毎に、量子化値番号iに従って、記憶器1231の
従属パラメータ代表値記憶領域を選択し、選択した記憶
領域の記憶内容を累積器1233に供給する。累積器1
233において、記憶器1231から供給される代表値
とパラメータの現在値XjGとから新たな代表値が演算さ
れる。そして、量子化値番号iに対応する記憶領域の内
容が更新される。学習モードにおいて、上述のような動
作が繰り返されることにより、機器正常運転時における
従属監視パラメータの範囲が、主監視パラメータの値毎
に記憶器1231に記憶される。
【0062】図15は、学習型異常判別装置1000の
データ処理の動作フローチャートである。図15のステ
ップ50において、学習または監視時刻か否かを判定
し、学習または監視時刻であれば、ステップ51におい
て、主監視パラメータを取り込み、AD変換を行う。続
いて、ステップ52において、主監視パラメータを量子
化し、ステップ53において、量子化値番号iに対応す
る記憶領域の内容を読み出す。そして、ステップ54に
おいて、現時刻の従属監視パラメータの値をAD変換す
る。次に、ステップ55において、現在設定されている
モードが学習モードか、監視モードかを判定する。学習
モードであれば、ステップ56に進み、代表値の更新演
算を実行した後に、記憶領域の内容を更新し、ステップ
50に戻る。
【0063】ステップ55において、監視モードが設定
されていれば、ステップ57に進む。このステップ57
において、予め定めた許容幅係数aを用いて、次式(1
0)及び(11)により、学習データから各従属監視パ
ラメータ毎の許容最大値Max(j)と許容最小値Mi
n(j)を算出する。 Max(j)= XB (i,j)+a・σ(i,j)
−−− (10) Min(j)= XB (i,j)−a・σ(i,j)
−−− (11) ただし、jは1から従属監視パラメータの数Jまでであ
る。次に、ステップ58において、現時刻の従属パラメ
ータ値が、許容幅、つまり、ステップ57にて算出され
た許容最大値Max(j)と許容最小値Min(j)と
の間にあるか否かを判定する。現時刻の従属監視パラメ
ータのうちの一つでも許容範囲外であれば、ステップ6
0に進み、異常警報表示処理を行う。また、ステップ5
8において、全ての現時刻の従属監視パラメータが許容
範囲内であれば,ステップ59に進み、機器が正常であ
ることを表示する。そして、ステップ50に戻る。
【0064】図12に示した例においては、定期検査終
了後の動作確認試験時に、学習モードで監視パラメータ
の正常範囲を学習させる。そして、通常運転時において
は、監視モードで機器の異常を監視する。監視パラメー
タのうち、例えば、導電率等は、定期検査直後の値と正
常運転時の値とが異なる場合がありうる。したがって、
学習モード時において、正常範囲を一部修正可能なよう
に構成してもよい。また、機器の運転途中において、監
視パラメータを新たに、または追加させて学習可能なよ
うに構成してもよい。
【0065】図16は、図12の例における異常検出の
例を示し、主監視パラメータは回転数であり、従属監視
パラメータは回帰係数、振動、流量、軸受け温度、導電
率等である。ここで、主監視パラメータを回転数とした
のは、再循環ポンプループにおいて、回転数は各種の計
測量の変動を支配する可能性が高いからである。また、
図16において、αは、従来の監視方法で設定されてい
た正常範囲であり、βは、上記実施例により設定された
正常範囲である。丸印γは現時刻の監視パラメータの値
である。さらに、監視パラメータ値は、予め検出した各
監視パラメータの最大値を基準として、百分率で示して
ある。図16から明かなように、従来の正常範囲に比較
して、上記実施例による正常範囲は狭い範囲となってい
る。これにより、機器の異常を高精度に検出可能とな
る。振動と導電率の回帰係数は、機器の正常時には、有
意な値とはならない。しかし、図16においては、振動
と導電率の回帰係数は、有意な値となっており、この場
合は、機器の異常と判断される。
【0066】図16において、監視パラメータγは、従
来の正常範囲α内となっている。したがって、従来にお
いては、上記のような僅かな機器の異常は、検出不可能
であったことが理解できる。上記実施例においては、監
視パラメータの値が一つでも正常範囲外の場合には、機
器に異常が発生したと、判断するので、予想していなか
った異常についても検出可能となる。
【0067】なお、上記学習に際して、主監視パラメー
タとして複数のもの、例えば、回転数と原子炉圧力を設
定した場合、回転数や原子炉圧力に対して非線形に変化
する回帰係数についても、主監視パラメータ毎に学習で
きることになり、特に非線形性が高いプラント機器の監
視に有効である。
【0068】以上のように、図12の例によれば、図2
の例と同等な効果が得られる他、以下のような効果を得
ることができる。監視パラメータの代表値として、平均
値等の時々刻々と更新可能なものを採用した学習方式と
したので、代表値を記憶するための記憶器は小容量であ
り、ハードウエアも小規模なもので、検出感度が向上し
た機器異常監視装置を実現できる。
【0069】また、学習結果を監視パラメータの代表
値、すなわち平均値や標準偏差等としたので、学習結果
に対する評価が容易であり、修正が必要か否かの判断が
行い易い。したがって、柔軟性があり、操作性能が向上
した機器異常監視装置を実現できる。さらに、運転時の
監視パラメータの正常範囲を自動的に学習する構成とな
っているので、正常範囲設定のための検討作業や試験運
転に必要な作業が不要であり、経済性が向上した機器異
常監視装置を実現できる。
【0070】また、監視パラメータどうしの関連性、つ
まり回帰係数も含めて正常範囲を把握するように構成し
たので、異常検出感度が更に向上した機器異常監視装置
を実現できる。さらに、異常検出時において、正常範囲
を決定する許容幅を監視パラメータの標準偏差に比例し
たものとしたので、通常変動の大きさに従って監視範囲
の許容幅が自動的に設定される。したがって、異常検出
感度の調整は、許容幅係数aを変更するのみで実行で
き、操作性能がさらに向上された機器異常監視装置を実
現できる。また、例えば、回転数や原子炉圧力に対して
非線形に変化する回帰係数についても主監視パラメータ
毎に学習でき、非線形性が高いプラントにも適用可能
で、適用範囲が広い機器異常監視装置を実現できる。
【0071】上述した図12の例において、従属監視パ
ラメータの代表値の一つに平均値を用いるようにした
が、平均値ではなく中央値や、最大値、最小値を用いる
ようにしてもよい。また、異常検出において、観測した
監視パラメータのパターンと、学習パラメータのパター
ンとのパターン距離の差が設定範囲を越えたときに、異
常と判断するように構成してもよい。
【0072】さらに、学習型異常判別装置1000を以
下のような構成とすることもできる。つまり,異常判別
装置1000は、学習モードと監視モードとを選択し設
定するためのモード設定器と、変動幅データ学習器と、
異常検出器とを備える。そして、変動幅データ学習器
は、モード設定器により、学習モードが設定されている
ときには、算出された回帰係数と多数の監視信号とを取
り込み、これら回帰係数と多数の監視信号の正常変動幅
に関する変動幅データを算出して記憶する。さらに、変
動幅データ学習器は、監視モードが設定されているとき
には、記憶された変動幅データを出力する。また、異常
検出器は、監視モードが設定されているときには、変動
幅データに基づいて、回帰係数と多数の監視信号の正常
範囲を算出し、実際の回帰係数及び多数の監視信号が正
常範囲内であるか否かを判断する。そして、正常範囲内
にないときには、機器に異常が発生したと判断する。
【0073】なお、上述した例は、原子力プラントに適
用した場合の例であるが、本発明は、原子力プラントに
限らず他のプラント等の機器の異常監視方法および装置
に適用することができる。
【0074】
【発明の効果】以上のように、本発明の機器の異常監視
方法によれば、正常値の把握が困難な機器から多数の監
視信号を検出し、これら多数の監視信号を重回帰分析し
て得られた回帰係数の妥当性を評価し、監視に有用な回
帰係数を抽出する。そして、抽出した回帰係数が所定の
範囲を逸脱しているか否か、もしくは、回帰係数の変化
率が所定の変化率を逸脱しているか否かを判断すること
により、異常を監視している。したがって、正常値の把
握が困難な機器の異常初期徴候を、高精度に検出し得る
異常監視方法を実現することができる。また、高速変化
する監視信号のうち、監視に有要な成分のみを抽出し、
抽出した成分と高速特性監視信号以外の監視信号とによ
り重回帰分析を実施している。したがって、機器の異常
初期徴候の検出速度および検出精度をさらに向上するこ
とができる。
【0075】また、本発明の機器の異常監視装置によれ
ば、正常値の把握が困難な機器から多数の監視信号を検
出し、相関抽出手段により、多数の監視信号を重回帰分
析して回帰係数を算出し、算出した回帰係数の妥当性を
評価して、監視に有用な回帰係数を抽出する。そして、
抽出した回帰係数が所定の範囲を逸脱しているか否か、
もしくは、回帰係数の変化率が所定の変化率を逸脱して
いるか否かを、異常判別手段により判断して、異常を監
視している。したがって、正常値の把握が困難な機器の
異常初期徴候を、高精度に検出し得る異常監視装置を実
現することができる。
【0076】さらに、本発明の異常監視装置によれば、
成分分離手段により、高速変化する監視信号のうちの有
要な成分を分離抽出している。これにより、回帰係数の
算出に際し、監視に不要な成分を演算することがないの
で、演算速度および演算精度を向上することができ、機
器の異常初期徴候の検出精度をさらに向上することがで
きる。また、監視に有要な成分のみを回帰係数の演算に
使用し、演算処理すべきデータ量が必要最小限となって
いるので、大型のデータの記憶装置等を使用することな
く異常監視装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による機器の異常監視方法の一実施例の
動作フローチャートである。
【図2】本発明による機器の異常監視装置の一実施例の
概略構成図である。
【図3】図2の例の成分分離処理装置および平均化処理
装置の一例のブロック図である。
【図4】図2の例の成分分離処理装置および平均化処理
装置の他の例のブロック図である。
【図5】図2の例の成分分離処理装置および平均化処理
装置のさらに他の例のブロック図である。
【図6】図2の例の相関抽出処理装置の動作フローチャ
ートである。
【図7】図2の例の異常判別装置の動作フローチャート
である。
【図8】図2の例の装置による機器の異常検出の一例で
ある。
【図9】図2の例の装置による機器の異常検出の他の例
である。
【図10】本発明による機器の異常監視装置の他の実施
例の概略構成図である。
【図11】本発明による機器の異常監視装置のさらに他
の実施例の概略構成図である。
【図12】本発明による機器の異常監視装置のさらに他
の実施例の概略構成図である。
【図13】図12の例の装置における監視パラメータ学
習器の構成図である。
【図14】監視モードにおける監視パラメータ学習器の
内部データの流れを示す図である。
【図15】学習型異常判別装置のデータ処理の動作フロ
ーチャートである。
【図16】図12の例において、主監視パラメータを回
転数とした場合の異常検出の例を示す図である。
【符号の説明】
121、141 振動計測装置 122、163 音響計測装置 123、140 回転数計測装置 131 電導度計測装置 132、164 流量計測装置 133 軸受温度計測装置 150 蒸気流量計測装置 151 真空度計測装置 161 ナトリウム出口温度計測装置 162 蒸気温度計測装置 165 ナトリウム流量計測装置 166 ナトリウム中水素計測装置 200、240 成分分離型処理装置 210 フーリエ変換部 211 振幅・位相変換部 212 出力選別部 220 バンクフィルタ部 230 コヒーレンス解析部 231 相関帯域判別部 232 信号遅延部 233 通過帯域選択部 300、350 平均化処理装置 310 ローパスフィルタ部 320 平均応答処理部 321、331 実効値演算部 322 出力選別部 400、410 相関抽出処理装置 500、510、550 異常判別装置 1000 学習型異常判別装置 1010 信号分配器 1220 監視パラメータパターン選択
器 1230 監視パラメータ学習器 1231 記憶器 1232 データ切換器 1233 累積器 1250 監視モード設定器 1260 異常検出器 1280 警報表示器
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // G05B 23/02 302 N 7208−3H (72)発明者 及部 光治 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 芥川 邦雄 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 監視対象機器または監視対象機器及びそ
    の周辺設備の多数の特性を検出し、検出した多数の特性
    を多数の監視信号として、取り込むステップと、 取り込んだ多数の監視信号を重回帰分析し、回帰係数を
    算出するステップと、 算出した回帰係数の妥当性評価を実行するステップと、 算出した回帰係数が、所定の正常範囲内にあるか否かを
    判断し、所定の正常範囲内にないときには、機器に異常
    が発生したと判断するステップと、 を備えることを特徴とする機器の異常監視方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の機器の異常監視方法にお
    いて、回帰係数の時間変化率を算出して、算出した時間
    変化率が所定の正常変化率を越えているか否かを判断
    し、所定の正常変化率を越えているときには、機器に異
    常が発生したと判断するステップを、さらに備えること
    を特徴とする機器の異常監視方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の機器の異常監視方法にお
    いて、回帰係数の所定の正常範囲は、機器の試運転時等
    において、重回帰分析により運転状態の関数として、算
    出され、機器の運転状態に応じて正常範囲が設定される
    ことを特徴とする機器の異常監視方法。
  4. 【請求項4】 監視対象機器または監視対象機器及びそ
    の周辺設備の多数の特性を検出し、検出した多数の特性
    を多数の監視信号として、取り込むステップと、 取り込んだ多数の監視信号を重回帰分析し、回帰係数を
    算出するステップと、 算出した回帰係数の妥当性評価を実行するステップと、 回帰係数の時間変化率を算出して、算出した時間変化率
    が所定の正常変化率を越えているか否かを判断し、所定
    の正常変化率を越えているときには、機器に異常が発生
    したと判断するステップと、 を備えることを特徴とする機器の異常監視方法。
  5. 【請求項5】 監視対象機器または監視対象機器及びそ
    の周辺設備の多数の特性を検出し、検出した多数の特性
    を多数の監視信号として、取り込むステップと、 取り込んだ多数の監視信号のうち、高速変化する特性を
    示す高速特性監視信号から監視に必要な成分のみを分離
    し、抽出するステップと、 高速特性監視信号以外の監視信号と、高速特性監視信号
    の監視に必要な成分と、を重回帰分析するか、もしく
    は、高速特性監視信号の監視に必要な成分どうしを重回
    帰分析して、回帰係数を算出するステップと、 算出した回帰係数の妥当性評価を実行するステップと、 算出した回帰係数が、所定の正常範囲内にあるか否かを
    判断し、所定の正常範囲内にないときには、機器に異常
    が発生したと判断するステップと、 を備えることを特徴とする機器の異常監視方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の機器の異常監視方法にお
    いて、回帰係数の時間変化率を算出して、算出した時間
    変化率が所定の正常変化率を越えているか否かを判断
    し、所定の正常変化率を越えているときには、機器に異
    常が発生したと判断するステップを、さらに備えること
    を特徴とする機器の異常監視方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の機器の異常監視方法にお
    いて、回帰係数の所定の正常範囲は、機器の試運転時等
    において、重回帰分析により運転状態の関数として、算
    出され、機器の運転状態に応じて正常範囲が設定される
    ことを特徴とする機器の異常監視方法。
  8. 【請求項8】 請求項5または請求項6記載の機器の異
    常監視方法において、高速特性監視信号から監視に必要
    な成分のみを抽出した後に、抽出した成分の平均化処理
    を行い、この平均化処理が行われた成分が回帰係数の算
    出に用いられることを特徴とする機器の異常監視方法。
  9. 【請求項9】 監視対象機器または監視対象機器及びそ
    の周辺設備の多数の特性を検出し、検出した多数の特性
    を多数の監視信号として、取り込むステップと、 取り込んだ多数の監視信号のうち、高速変化する特性を
    示す高速特性監視信号から監視に必要な成分のみを分離
    し、抽出するステップと、 高速特性監視信号以外の監視信号と、高速特性監視信号
    の監視に必要な成分と、を重回帰分析するか、もしく
    は、高速特性監視信号の監視に必要な成分どうしを重回
    帰分析して、回帰係数を算出するステップと、 算出した回帰係数の妥当性評価を実行するステップと、 回帰係数の時間変化率を算出して、算出した時間変化率
    が所定の正常変化率を越えているか否かを判断し、所定
    の正常変化率を越えているときには、機器に異常が発生
    したと判断するステップと、 を備えることを特徴とする機器の異常監視方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の機器の異常監視方法に
    おいて、高速特性監視信号から監視に必要な成分のみを
    抽出した後に、抽出した成分の平均化処理を行い、この
    平均化処理が行われた成分が回帰係数の算出に用いられ
    ることを特徴とする機器の異常監視方法。
  11. 【請求項11】 監視対象機器または監視対象機器及び
    その周辺設備の多数の特性を多数の監視信号として検出
    する検出手段と、 検出された多数の監視信号を重回帰分析し、回帰係数を
    算出するとともに、算出した回帰係数の妥当性評価を実
    行する相関抽出手段と、 算出した回帰係数が、所定の正常範囲内にあるか否かを
    判断し、所定の正常範囲内にないときには、機器に異常
    が発生したと判断する異常判別手段と、 を備えることを特徴とする機器の異常監視装置。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の機器の異常監視装置
    において、異常判別手段は、回帰係数の時間変化率も算
    出し、算出した時間変化率が所定の正常変化率を越えて
    いるか否かを判断し、所定の正常変化率を越えていると
    きにも、機器に異常が発生したと判断することを特徴と
    する機器の異常監視装置。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の機器の異常監視装置
    において、回帰係数の所定の正常範囲は、機器の試運転
    時等において、重回帰分析により運転状態の関数として
    算出され、記憶手段により記憶され、記憶された回帰係
    数の所定の正常範囲は、機器の運転状態に応じて正常範
    囲として、設定されることを特徴とする機器の異常監視
    装置。
  14. 【請求項14】 請求項11記載の機器の異常監視装置
    において、異常判別手段は、 学習モードと監視モードとを選択し設定するためのモー
    ド設定器と、 モード設定器により、学習モードが設定されているとき
    には、算出された回帰係数と多数の監視信号とを取り込
    み、これら回帰係数と多数の監視信号の正常変動幅に関
    する変動幅データを算出して記憶し、監視モードが設定
    されているときには、記憶された変動幅データを出力す
    る変動幅データ学習器と、 モード設定器により、監視モードが設定されているとき
    には、上記変動幅データに基づいて、回帰係数と多数の
    監視信号の正常範囲を算出し、実際の回帰係数及び多数
    の監視信号が上記正常範囲内であるか否かを判断し、正
    常範囲内にないときには、機器に異常が発生したと判断
    する異常検出器と、 を備えることを特徴とする機器の異常監視装置。
  15. 【請求項15】 請求項11記載の機器の異常監視装置
    において、異常判別手段は、 算出された回帰係数と多数の監視信号とが供給され、こ
    れら多数の監視信号から主監視パラメータと従属監視パ
    ラメータとを分離し、出力する信号分離手段と、 学習モードと監視モードとを選択し設定するためのモー
    ド設定器と、 モード設定器により、学習モードが設定されているとき
    には、主監視パラメータの複数の量子化値のそれぞれに
    対応して各従属監視パラメータの正常変動幅に関する変
    動幅データを算出して記憶し、監視モードが設定されて
    いるときには、実際の主監視パラメータの量子化値に対
    応して記憶された従属監視パラメータの変動幅データを
    出力する監視パラメータ学習器と、 モード設定器により、監視モードが設定されているとき
    には、上記変動幅データに基づいて、従属監視パラメー
    タの正常範囲を算出し、実際の従属監視パラメータが上
    記正常範囲内であるか否かを判断し、正常範囲内にない
    ときには、機器に異常が発生したと判断する異常検出器
    と、 を備えることを特徴とする機器の異常監視装置。
  16. 【請求項16】 請求項15記載の機器の異常監視装置
    において、上記変動幅データは、各従属監視パラメータ
    の平均値及び標準偏差であることを特徴とする機器の異
    常監視装置。
  17. 【請求項17】 監視対象機器または監視対象機器及び
    その周辺設備の多数の特性を多数の監視信号として検出
    する検出手段と、 検出された多数の監視信号を重回帰分析し、回帰係数を
    算出するとともに、算出した回帰係数の妥当性評価を実
    行する相関抽出手段と、 回帰係数の時間変化率を算出し、算出した時間変化率が
    所定の正常変化率を越えているか否かを判断し、所定の
    正常変化率を越えているときには、機器に異常が発生し
    たと判断する異常判別手段と、 を備えることを特徴とする機器の異常監視装置。
  18. 【請求項18】 監視対象機器または監視対象機器及び
    その周辺設備の多数の特性を多数の監視信号として検出
    する検出手段と、 検出された多数の監視信号のうち、高速変化する特性を
    示す高速特性監視信号から監視に必要な成分のみを分離
    し、抽出する成分分離手段と、 成分分離手段からの出力信号と、高速特性監視信号以外
    の監視信号と、を重回帰分析するか、もしくは、成分分
    離手段からの出力信号のみを重回帰分析して、回帰係数
    を算出するとともに、算出した回帰係数の妥当性評価を
    実行する相関抽出手段と、 算出した回帰係数が、所定の正常範囲内にあるか否かを
    判断し、所定の正常範囲内にないときには、機器に異常
    が発生したと判断する異常判別手段と、 を備えることを特徴とする機器の異常監視装置。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の機器の異常監視装置
    において、異常判別手段は、回帰係数の時間変化率も算
    出し、算出した時間変化率が所定の正常変化率を越えて
    いるか否かを判断し、所定の正常変化率を越えていると
    きにも、機器に異常が発生したと判断することを特徴と
    する機器の異常監視装置。
  20. 【請求項20】 請求項18記載の機器の異常監視装置
    において、回帰係数の所定の正常範囲は、機器の試運転
    時等において、重回帰分析により運転状態の関数として
    算出され、記憶手段により記憶され、記憶された回帰係
    数の所定の正常範囲は、機器の運転状態に応じて正常範
    囲として、設定されることを特徴とする機器の異常監視
    装置。
  21. 【請求項21】 請求項20記載の機器の異常検出装置
    において、成分分離手段は、成分分離した信号を平均化
    する平均化処理部を有し、この平均化部により平均化さ
    れた信号を、相関抽出手段と異常判別手段とに供給し、
    異常判別手段は、平均化部からの出力信号と高速特性監
    視信号以外の監視信号とから機器の運転状態を判断する
    ように構成したことを特徴とする機器の異常監視装置。
  22. 【請求項22】 請求項18または請求項19記載の機
    器の異常検出装置において、成分分離手段は、成分分離
    した信号を平均化する平均化処理部を有し、この平均化
    部により平均化された信号を、相関抽出手段に供給する
    ように構成したことを特徴とする機器の異常監視装置。
  23. 【請求項23】 請求項22記載の機器の異常監視装置
    において、成分分離手段は、高速特性監視信号の周波数
    成分を分析する周波数成分分析部を有し、平均化処理部
    は、ローパスフィルタからなることを特徴とする機器の
    異常監視装置。
  24. 【請求項24】 請求項23記載の機器の異常監視装置
    において、監視対象機器は、回転機器であり、成分分離
    手段の周波数成分分析部は、機器の回転周波数とその分
    数次成分および倍数次成分を抽出することを特徴とする
    機器の異常監視装置。
  25. 【請求項25】 請求項22記載の機器の異常監視装置
    において、成分分離手段は、複数のバンドパスフィルタ
    を有し、平均化処理部は、バンドパスフィルタの出力信
    号を加算する平均応答処理部と、バンドパスフィルタの
    出力信号の実効値を演算する実効値演算部と、平均応答
    処理部からの出力信号および実効値演算部からの出力信
    号を選択して出力する出力選別部と、からなることを特
    徴とする機器の異常監視装置。
  26. 【請求項26】 請求項22記載の機器の異常監視装置
    において、成分分離手段は、高速特性監視信号うちの2
    つの信号間の相関が強い周波数帯域と相関が低い周波数
    帯域とを解析するコヒーレンス解析部と、コヒーレンス
    解析部により解析された周波数帯域に基づいて相関が強
    い周波数帯域と相関がない周波数帯域とを判定する相関
    帯域判別部と、相関帯域からの出力信号のうちの所定の
    周波数帯域の信号を通過させる通過帯域選択部と、を有
    し、平均化処理部は、通過帯域選択部からの出力信号の
    実効値を演算する実効値演算部からなることを特徴とす
    る機器の異常監視装置。
  27. 【請求項27】 請求項22記載の機器の異常監視装置
    において、異常監視が行われる機器は、回転機器であ
    り、成分分離手段は、上記機器の所定の回転角度を基準
    として、信号処理を実行することを特徴とする機器の異
    常監視装置。
  28. 【請求項28】 監視対象機器または監視対象機器及び
    その周辺設備の多数の特性を多数の監視信号として検出
    する検出手段と、 検出された多数の監視信号のうち、高速変化する特性を
    示す高速特性監視信号から監視に必要な成分のみを分離
    し、抽出する成分分離手段と、 成分分離手段からの出力信号と、高速特性監視信号以外
    の監視信号と、を重回帰分析するか、もしくは、成分分
    離手段からの出力信号のみを重回帰分析して、回帰係数
    を算出するとともに、算出した回帰係数の妥当性評価を
    実行する相関抽出手段と、 回帰係数の時間変化率を算出して、算出した時間変化率
    が所定の正常変化率を越えているか否かを判断し、所定
    の正常変化率を越えているときには、機器に異常が発生
    したと判断する異常判別手段と、 を備えることを特徴とする機器の異常監視装置。
  29. 【請求項29】 請求項28記載の機器の異常検出装置
    において、成分分離手段は、成分分離した信号を平均化
    する平均化処理部を有し、この平均化部により平均化さ
    れた信号を、相関抽出手段に供給するように構成したこ
    とを特徴とする機器の異常監視装置。
  30. 【請求項30】 監視対象機器の音響特性と、監視対象
    機器又はその周辺設備に使用される溶液中の水素量と、
    を含む、監視対象機器及びその周辺設備の多数の特性を
    多数の監視信号として検出する検出手段と、 上記音響特性を目的変数として、検出された多数の監視
    信号を重回帰分析し、回帰係数を算出するとともに、算
    出した回帰係数の妥当性評価を実行する相関抽出手段
    と、 算出した回帰係数のうち、上記水素量に対する回帰係数
    が、所定の正常範囲内にあるか否かを判断し、所定の正
    常範囲内にないときには、上記水溶液中への水漏洩異常
    が発生したと判断する異常判別手段と、 を備えることを特徴とする機器の異常監視装置。
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