JPH0647876A - 多層構造体 - Google Patents

多層構造体

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JPH0647876A
JPH0647876A JP4225239A JP22523992A JPH0647876A JP H0647876 A JPH0647876 A JP H0647876A JP 4225239 A JP4225239 A JP 4225239A JP 22523992 A JP22523992 A JP 22523992A JP H0647876 A JPH0647876 A JP H0647876A
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佳三 道畑
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滋行 榛田
Satoshi Hirofuji
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 イオン性基を有するEVOHを分散安定剤と
し、エチレン含量15〜65モル%のEVOHを分散質
とする水性分散液、末端にイオン性基を有する常温で水
に不溶性のエチレン含量15〜65モル%のEVOHを
分散質とする水性分散液、スルホン酸基またはその塩が
ランダムに導入され、かつ常温で水に不溶性のエチレン
含量15〜65モル%のEVOHを分散質とする水性分
散液の中から選ばれる少なくとも1種の水性分散液を熱
可塑性基材に塗布した多層構造体。 【効果】 熱可塑性基材上に形成されたEVOH層にフ
ィッシュアイがほとんど認められない外観の美麗な多層
構造体で、屈曲を受けても高いガスバリヤー性を保持す
るので、ガスバリヤー材として食品包装用等にきわめて
有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレンービニルエス
テル共重合体けん化物の水性分散液を熱可塑性基材に塗
布した多層構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルエステル共重合体、特
にエチレン−酢酸ビニル共重合体をけん化したエチレン
−ビニルアルコ−ル共重合体(以下EVOHと略記す
る)は、酸素等のガスバリヤー性や耐油・耐薬品性に優
れているため、包装材料やプラスチック成形物、金属表
面、紙、木材等の保護被覆用材料として広範に使用され
ている。
【0003】特に内容物の酸化防止あるいは香りの保持
が重要とされる食品包装用のフィルム、シート、積層
物、中空容器等においては、高度のガスバリヤー性が要
求されている。また軟質塩化ビニルからなる塩ビ壁紙、
塩ビレザー、シート等では、可塑剤のブリ−ドを防止す
る被覆材が要求されている。そこでガスバリヤー性、保
香性および耐油・耐薬品性に優れたEVOHを内層、外
層あるいは中間層に設けることによって、これらの要求
特性を高度に満たすことが広く実施されている。
【0004】一般にEVOH層を形成する方法として
は、溶融押出あるいは射出成形による方法やEVOHフ
ィルムをラミネートする方法等が広く実施されている。
一方、EVOHの溶液や水性分散液を塗布し、乾燥する
方法が提案されている。この方法は比較的膜厚の薄い皮
膜が形成できること、中空容器等の複雑な形状のものに
も容易に皮膜が形成できること等から注目される。
【0005】しかしながら、EVOH溶液を塗布する方
法では基本的に高い濃度の溶液が粘度の関係から使用困
難なこと、溶剤がジメチルスルホキシド等の有機溶剤や
多量のアルコールと水の混合溶剤のため、皮膜形成過程
において有機溶剤の揮散による作業環境の悪化および有
機溶剤の回収のための設備が必要になる等、経済的にも
不利なこと等の問題がある。これに対し、EVOH水性
分散液を塗布する方法は、溶剤が水で作業環境や経済性
の点から有利である。
【0006】EVOHの水性分散液としては、通常のE
VOHを通常の界面活性剤あるいは通常の高分子コロイ
ド、例えばポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセ
ルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルア
ルコール等の共存下で乳化分散させたものが特開昭54
−101844、特開昭56−61430等で提案され
ている。しかしながら、本発明者等の検討によると、こ
れら公知の方法で得られたEVOHの水性分散液は、分
散安定性が不十分で、熱可塑性基材に塗布、乾燥して形
成される皮膜にEVOH粒子凝集体のフィッシュアイが
多数発生するため、外観良好な多層構造体は得られなか
った。
【0007】また特開昭54−101844には、アク
リル酸やアクリル酸アミド等のビニルモノマ−をエチレ
ンー酢酸ビニルと三元共重合し、けん化して得た、いわ
ゆるランダムに共重合されたランダム共重合体のEVO
H自体を通常の界面活性剤を分散安定剤として分散させ
ることが示されている。
【0008】しかしながら、本発明者等の検討によると
単純な三元ランダム共重合によるEVOHでは分散安定
性の向上は認められず、実用的な水性分散液は得られな
かった。中ではイオン性基を有するアクリル酸を共重合
した場合は、そのイオン性基により分散安定性は改善さ
れるが、イオン性基がランダムに含有されているため、
その含量を多くしないと分散安定性が十分に達成でき
ず、またその含量を多くするとEVOHの構造の乱れが
大となって結晶性が低下し、ガスバリヤー性が大幅に低
下する等の欠点があり、実用的な多層構造体は得られな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、分散安定性
に優れた特定のEVOH水性分散液を熱可塑性基材に塗
布、乾燥して得られる、バリヤー性に優れ、かつフィッ
シュアイのない外観良好な多層構造体に関するものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記多層構造体は、イオ
ン性基を有するエチレンービニルエステル共重合体けん
化物を分散安定剤とし、エチレン含量15〜65モル%
のエチレンービニルエステル共重合体けん化物を分散質
とする水性分散液、末端にイオン性基を有する常温で水
に不溶性のエチレン含量15〜65モル%のエチレンー
ビニルエステル共重合体けん化物を分散質とする水性分
散液、スルホン酸基またはその塩がランダムに導入さ
れ、かつ常温で水に不溶性のエチレン含量15〜65モ
ル%のエチレンービニルエステル共重合体けん化物を分
散質とする水性分散液の中から選ばれる少なくとも1種
の水性分散液を熱可塑性基材に塗布、乾燥して得られ
る。
【0011】本発明で使用されるEVOHの水性分散液
は、分散安定性が良好で、貯蔵あるいは使用時の粒子の
凝集がほとんどないため、フィッシュアイのない、薄い
均質な皮膜が熱可塑性基材上に形成され、高いバリヤー
性を発現する。
【0012】イオン性基を有するEVOHを分散安定剤
とし、EVOHを分散質とする水性分散液について、以
下具体的に説明する。分散安定剤として用いるイオン性
基を有するEVOHのイオン性基は、水中でイオン性を
示す基、すなわちアニオン性基、カチオン性基、両性基
を包含する。分散安定化効果の点からアニオン性基がよ
り好ましい。
【0013】アニオン性基としては、スルホン酸または
その塩、カルボン酸またはその塩、燐酸またはその塩、
硫酸エステルまたはその塩等の基が挙げられ、またこれ
らの酸および塩が同時に含まれていてもよい。分散安定
化効果が優れている点でスルホン酸あるいはカルボン酸
またはそれらの塩が好ましく、特にスルホン酸またはそ
の塩が好ましい。
【0014】カチオン性基としては、アミンまたはその
塩、第4級アンモニウム塩、フォスホニウム塩、スルホ
ニウム塩等の基が挙げられる。特に第4級アンモニウム
塩が分散安定化効果が大きく好ましい。両性基としては
アミノカルボン酸塩(ベタイン型)、アミノスルホン酸
塩(スルホベタイン型)、アミノ硫酸エステル塩(サル
フェ−トベタイン型)等が挙げられる。
【0015】イオン性基の含量は分散安定化効果のある
範囲内で適宜選択されるが、イオン変性EVOH中のE
VOH成分単位に対し、0.05〜50モル%が好まし
い。さらに好ましくは0.1〜30モル%、殊に0.2
〜10モル%、さらには0.2〜10モル%が望まし
い。0.05モル%未満では分散安定化効果が小さく、
50モル%を越えるものは水性分散液を塗布、乾燥して
得られる皮膜の耐水性、ガスバリヤー性が不良になり、
実用的でない。なお、イオン変性EVOH中に分散安定
化効果を大幅に損なわない範囲でイオン性基を含まない
他の単位を含むことは差し支えない。
【0016】イオン変性EVOH中のEVOH成分の組
成は、エチレン含量10〜70モル%、けん化度80モ
ル%(本発明でいうけん化度はビニルエステル成分のけ
ん化度を示す)以上であることが好ましい。エチレン含
量の好適な範囲は12モル%以上、さらに好ましくは1
5モル%以上、さらには20モル%以上である。また上
限については、好適には65モル%以下、さらに好適に
は60モル%以下である。また好ましいけん化度は、9
0モル%以上、さらには95モル%以上である。
【0017】イオン変性EVOHの重合度は、特に制限
はないが、分散安定化効果の点から100以上が好まし
い。重合度の上限は特に制約はないが、あまり大きすぎ
るものは、その溶液粘度が高く分散性が低下するので通
常2000以下のものが使用される。ここでイオン変性
EVOHの重合度は、1モル/リットルのチオシアン酸
アンモニウムを含有する水/フェノール系混合溶剤(重
量比15/85)中、30℃で測定した固有粘度より求
められる。
【0018】イオン変性EVOHの構造に関しては、ラ
ンダムにイオン性基が導入されたものが好適に使用さ
れ、その製造方法に特に制約はない。
【0019】例えば、イオン性基を含有するモノマ−を
エチレンおよびビニルエステルとラジカル共重合し、つ
いで得られた共重合体中のビニルエステル単位をけん化
してビニルアルコールに変換する方法、EVOHにイオ
ン性基含有成分を付加反応させて導入する方法、あるい
はエチレンービニルエステル共重合体にイオン性基含有
成分を付加反応させた後、該共重合体中のビニルエステ
ル単位をけん化してビニルアルコール単位に変換する方
法等が挙げられる。重合、けん化および付加反応等は公
知の方法で実施できる。
【0020】ビニルエステルとしては、ギ酸ビニル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、トリ
フルオロ酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のエチレンと
共重合可能で、該共重合体をけん化することによりビニ
ルアルコールに変換可能なモノマ−が使用できるが、特
に酢酸ビニルが好ましい。
【0021】エチレンおよびビニルエステルと共重合す
るイオン性基含有モノマ−としてはイオン性基あるいは
イオンに転換可能な基を有するラジカル単独重合あるい
はラジカル共重合可能なものが使用できる。その例を次
に示す。
【0022】・アニオン性基含有モノマ− スルホン酸アニオン性基含有モノマ−としては、2−
(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸ナトリウムのごとき(メタ)アクリルアミド系スルホ
ン酸塩モノマ−、スチレンスルホン酸カリウムのごとき
スチレン系スルホン酸塩モノマ−、アリルスルホン酸ナ
トリウムのごときアリル系スルホン酸塩モノマ−、また
ビニルスルホン酸塩、あるいはこれらのアンモニウム塩
モノマ−、さらにはこれらの酸モノマ−等が挙げられ
る。またこれらのスルホン酸のエステルも重合後にエス
テルをその塩あるいは酸に変換することにより使用可能
である。
【0023】カルボン酸アニオン性基含有モノマ−とし
ては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イ
タコン酸、フマル酸等のモノ、ジ、ポリカルボン酸系ビ
ニルモノマ−、あるいはそのアルカリ金属塩、アンモニ
ウム塩等が挙げられる。またこれらのエステル類も、重
合後にエステル基を塩に変換することができ、使用可能
である。
【0024】・カチオン性基含有モノマ− アミノプロピルアクリルアミドあるいはメタクリルアミ
ドのごときアミノ基含有(メタ)アクリルアミド系モノ
マ−、アミノエチルアクリレ−トあるいはメタクリレー
トのごときアミノ基含有(メタ)アクリレートあるいは
その塩が重合性も良好で好ましい。特にその第4級塩が
ポリマーの着色も少なく好ましい。例えばトリメチルア
クリルアミドプロピルアンモニウムクロリドやトリエチ
ルメタクロイルエチルアンモニウムブロミド等である。
【0025】これらのモノマ−は単独で使用すること
も、また併用することも可能である。また分散安定化効
果を阻害しない範囲で他のモノマ−との共重合も可能で
ある。
【0026】EVOHへの付加反応としては、その水酸
基へのイオン性基含有ビニルモノマ−のマイケル付加反
応、あるいはイオン性基含有アルデヒドまたはケトンに
よるアセタ−ル化またはケタ−ル化、イオン性基含有エ
ポキシ基化合物の付加、カルボン酸無水物の付加、また
硫酸によるエステル化等が挙げられる。また無水マレイ
ン酸等のラジカル単独重合性の低いイオン性基含有モノ
マ−のラジカル付加反応による導入等が挙げられる。
【0027】またエチレンービニルエステル共重合体へ
無水マレイン酸等のラジカル単独重合性の低いイオン性
基含有モノマ−のラジカル付加反応させ、ついでけん化
してビニルエステル単位をビニルアルコールに変換する
ことにより製造することも可能である。
【0028】分散質のEVOHは、エチレンと前記ビニ
ルエステル、特に酢酸ビニルとを共重合、けん化するこ
とにより得られ、エチレン含量が15〜65モル%の範
囲である必要がある。エチレン含量が15モル%未満で
は、水性分散液の安定性が不良となり、また65モル%
を越えるとガスバリヤー性が不良となり、実用的でな
い。水性分散液の安定性とガスバリヤー性の両面より、
エチレン含量のより好ましい範囲は20〜55モル%で
ある。また、けん化度は90モル%以上であることが好
ましい。90モル%未満ではガスバリヤー性が不十分
で、好ましくは95モル%、さらに好ましくは97モル
%以上である。また、必要に応じてエチレン、ビニルエ
ステル以外の共重合可能なモノマ−を5モル%以下導入
されていてもよい。
【0029】分散質のEVOHの重合度は、用途に応じ
て選択されるが、極端に低いと形成皮膜の強度が低く好
ましくない。通常400以上、好ましくは700以上の
ものが使用される。重合度の高いものほど、水性分散液
として塗布使用するのに有利であり、通常5000程度
のものまで使用できる。ここで分散質の重合度は、水/
フェノール系混合溶剤(重量比15/85)中、30℃
で測定した固有粘度より求められる。
【0030】分散安定剤であるイオン変性EVOHの使
用量は、イオン性基の種類、含量等を勘案して適宜選択
されるが、好適な範囲は分散質のEVOH100重量部
に対し2〜200重量部で、より好ましくは3〜100
重量部、さらに好ましくは5〜50重量部である。量が
少ないと分散安定性が不良となり、また多すぎると形成
皮膜のガスバリヤー性が不十分になることがあり、好ま
しくない。
【0031】イオン変性EVOHを分散安定剤とし、分
散質であるEVOHを分散させる方法には制限はなく、
公知の方法が使用可能である。
【0032】例えば、分散質であるEVOHと分散安定
剤であるイオン変性EVOHとの混合物を溶剤に溶解さ
せた後、その溶液をEVOHの非溶剤である水と攪拌下
で接触させてEVOH粒子を3μm以下、好ましくは2
μm以下、最適には1μm以下の微微粒子として析出さ
せ、ついで溶剤を所望量除去することにより水性分散液
を得ることができる。ここで微粒子の径は数平均粒子径
である。
【0033】水性分散液の固形分濃度は用途等により適
宜決められるが、10重量%以上、好ましくは15重量
%以上、最適には20重量%以上である。固形分濃度の
上限には特に制限はないが、あまり高濃度になり過ぎる
と水性分散液の放置安定性がやや不良になる場合がある
ので、通常60重量%以下が好ましく、さらに好ましく
は50重量%以下、最適には40重量%以下である。
【0034】溶剤としては、例えばメチルアルコール、
エチルアルコール、プロピルアルコ−ル、ブチルアルコ
−ル等の1価アルコール、エチレングリコ−ル、プロピ
レングリコ−ル等の2価アルコール、グリセリン等の3
価アルコール、フェノール、クレゾール等のフェノール
類、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン等のアミ
ン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン等、あるいはこれらの含水物等が
単独あるいは2種以上混合されて使用できる。特に好ま
しい溶剤はアルコ−ル−水系の混合溶剤、例えば水−メ
チルアルコール、水−ノルマルプロピルアルコール、水
−イソプロピルアルコ−ル等である。
【0035】溶剤中の有機溶剤は、蒸発法、抽出法ある
いは透析法等の適宜な方法で除去することができる。除
去の程度は高いことが望ましいが、経済性との兼ね合い
で小割合の有機溶剤を残存させてもよい。
【0036】また別の方法として、高温では溶解するが
低温にすると不溶になる溶剤に分散質であるEVOHと
分散安定剤であるイオン変性EVOHとの混合物を加熱
溶解した後、その溶液を冷却することにより微粒子を析
出分散させる方法も採用できる。しかる後、有機溶剤を
水と置換することにより水性分散液とすることができ
る。高温では溶解するが低温にすると不溶になる溶剤と
しては、先に示した溶剤のうちアルコール類の単独ある
いは水との混合溶剤等が使用できる。
【0037】さらに別の方法として、分散質であるEV
OHと分散安定剤であるイオン変性EVOHとの混合物
の溶液を、非溶剤と接触させるか、あるいは冷却するこ
とにより析出分散させた粒子を濾別し、その粒子をイオ
ン変性EVOHの共存下に水中に分散させることも可能
である。
【0038】本発明において好適な水性分散液の製法と
しては、分散質のEVOHと分散安定剤のイオン変性E
VOHを、これらの共通溶剤、例えば水/アルコールの
混合溶剤に、攪拌下、温度50〜75℃で溶解して溶液
とし、ついで冷却(温度−10〜30℃)し、EVOH
粒子を析出・分散化(エマルジョン化)し、次に温度1
0〜30℃で減圧下(圧力10〜150mmHg)にア
ルコールを除去し、さらに水を所望量除去することによ
って、所望の固形分濃度の水性分散液を得る方法が挙げ
られる。
【0039】水性分散液に粘度を低下させる目的で、水
酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫
酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等のアルカリ金属化合
物、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム等のアルカリ土類
金属化合物、その他の電解質を0.01〜0.5重量%
(対ポリマー)配合してもよい。配合は分散質のEVO
Hを微粒子化(分散)させる前でも後でもよい。また水
性分散液に、必要に応じて本発明の目的達成を妨げない
範囲で通常の界面活性剤や保護コロイドを添加すること
も可能である。また他の樹脂の水性分散液、光あるいは
熱等に対する安定剤、顔料、滑剤、防黴剤、造膜助剤あ
るいはタルク等の無機物等を添加することもできる。
【0040】イオン性基を有するEVOHとしては、前
述したとおり、イオン性基をランダムに導入したEVO
Hが好適であるが、EVOH分子の末端にイオン性基を
有し、さらに必要に応じて架橋性基を有するEVOHを
使用することもできる。末端にイオン性基を有するEV
OHは、例えばスルホン酸基またはその塩、カルボン酸
基またはその塩、アンモニウム基等を有するアルコー
ル、アルデヒドあるいはチオ−ル等の活性基を含有する
化合物を連鎖移動剤として共存させ、エチレンとビニル
エステルとを共重合し、ついでビニルエステル単位をけ
ん化する方法、またEVOHの末端にスルホン酸基また
はその塩、カルボン酸基またはその塩、アンモニウム基
等を含有する化合物を化学反応により導入する方法等に
より製造される。これらの方法の中で、経済的かつ効率
よく末端にイオン性基を導入し、水性分散液としての優
れた安定性等を示すEVOHを得る方法としては、スル
ホン酸基またはその塩、カルボン酸基またはその塩、ア
ンモニウム基等を含有するチオ−ルの存在下にエチレン
とビニルエステルとを共重合し、ついでけん化する方法
が好ましい。
【0041】次に、本発明で使用するイオン性基を有す
るEVOHを分散質とする水性分散液、すなわち自己分
散タイプの水性分散液について説明する。この場合、イ
オン性基を有するEVOH、特にイオン性基をランダム
に導入したEVOHとしては前述したイオン性基として
スルホン酸基またはその塩を有するものが好ましい。ま
た、分散質として使用される末端にイオン性基を有する
EVOHとしては、前述したとおりのものが好ましい。
【0042】これらのイオン性基を有するEVOHを分
散質とする場合、そのEVOHは常温で水に不溶性であ
り、かつエチレン含量が15〜65モル%であることが
必要である。常温で水に不溶性とは、濃度1%で30℃
の水に1日溶解したときの不溶解分が50%以上のもの
をいう。不溶解分は高いほうが好ましく、80%以上、
さらに好ましくは90%以上である。また、エチレン含
量が15モル%未満では、水性分散液の安定性が不良と
なり、また65モル%を越えるとガスバリヤー性が不良
となり、実用的でない。水性分散液の安定性とガスバリ
ヤー性の両面より、エチレン含量のより好ましい範囲は
20〜55モル%である。また、スルホン酸基またはそ
の塩等のイオン性基の含量は、分散安定性の点から該E
VOH中のEVOH成分単位に対し0.1〜10モル%
であることが好ましく、さらに好ましくは、0.3〜7
モル%、最適には0.5〜5モル%である。0.1モル
%未満では分散安定性が低く、10モル%を越えるもの
は水に対する親和性が強くなり過ぎて分散安定性が不良
となり、使用できない。けん化度および重合度は、前述
した分散質として使用するEVOHの場合と同じであ
る。
【0043】また本発明においては、前述の分散安定剤
または分散質として使用されるイオン性基を有するEV
OHとして、EVOH成分とイオン性基を有する成分と
のブロックまたはグラフト共重合体を使用することもで
きる。
【0044】さらに、EVOHとポリビニルアルコール
成分とのブロックまたはグラフト共重合体を分散安定剤
または分散質とする水性分散液、EVOHとポリエ−テ
ル成分とのブロックまたはグラフト共重合体を分散安定
剤または分散質とする水性分散液も使用できる。
【0045】上述したEVOH水性分散液は、分散安定
性が良好で、貯蔵あるいは使用時の粒子の凝集がほとん
どないため、熱可塑性基材表面に塗布、乾燥することに
よりフィッシュアイのない、外観良好な薄い均質皮膜が
形成され、高バリヤー性の多層構造体の製造に最適であ
る。
【0046】熱可塑性基材としては、ポリオレフィン
(ポリプロピレン、分岐状または直鎖状ポリエチレン、
エチレンープロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレ
−ト等)、ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド6
6、ポリアミド6/12等)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニリデン、ポリカ−ボネ−ト、ポリスチレン、ポリ
ビニルアルコール等の熱可塑性樹脂単独または混合物か
らなる各種成形品(フィルム、シート、カップ、ボトル
等)が好適なものとして挙げられる。
【0047】本発明の多層構造体は、上記の熱可塑性基
材層およびEVOH水性分散液が塗布、乾燥されて形成
されるEVOH層の少なくとも2層より構成される。代
表的な層構成を具体的に例示すると、熱可塑性基材層/
EVOH層、熱可塑性基材層/EVOH層/シ−ラント
層、熱可塑性基材層(A)/接着性樹脂層/熱可塑性基
材層(B)/EVOH層、熱可塑性基材層(A)/接着
性樹脂層/熱可塑性基材層(B)/EVOH層/シ−ラ
ント層等である(ここでAとBは別種の熱可塑性基材で
ある)。熱可塑性基材層の厚みは、成形品の種類、用途
等により異なるが、通常5〜1000μmの範囲から選
択される。また、EVOH層の厚みは、通常0.5〜1
5μmの範囲から選択される。EVOH層の厚みが0.
5μm未満ではガスバリヤー性が不十分になる場合があ
り、一方、15μmを越えると水性分散液が塗布、乾燥
される過程でヒビ割れが生じて連続膜が形成されない場
合がある。EVOH層の厚みのより好適な範囲は1〜1
0μm、最適には2〜6μmである。異なる熱可塑性基
材層を接着させる機能を有する接着性樹脂層およびヒ−
トシール性を有するシ−ラント層(低密度直鎖状ポリエ
チレン等の層)の厚みは、それぞれ、通常1〜10μ
m、3〜100μmの範囲から選択される。
【0048】多層構造体の製造方法には特に制限はない
が、好適にはプライマ−処理(コロナ処理、火炎処理
等)した熱可塑性基材表面にアンカーコートを施し、そ
の表面にEVOH水性分散液を塗布し、ついで乾燥、さ
らに必要に応じて熱処理する。
【0049】アンカーコート剤としては、ポリウレタン
系化合物、ポリエステル・イソシアネ−ト系化合物等が
使用されるが、特にポリウレタン系化合物が好適であ
る。アンカーコート層の厚みは0.1〜3μmの範囲が
実用的である。アンカ−コ−トを施す方法としては、メ
イヤ−バ−コ−ト、キャスティングヘッドからの吐出、
ロ−ルコ−ト、ドクタ−ロ−ルコート、ドクターナイフ
コート、スプレ−、浸せき、刷毛塗り等の任意の手段が
例示される。アンカーコート後、必要に応じ乾燥処理が
なされる。乾燥の方法としては、乾熱処理法、例えば赤
外線照射法、熱風乾燥法等が例示される。乾燥温度は3
0〜140℃が好ましく、下限値としては50℃以上、
特に80℃以上が好ましい。また乾燥時間は5秒〜5分
が好ましい。
【0050】アンカーコート層表面にEVOH水性分散
液を塗布する方法としては、エアナイフコート、メイヤ
−バ−コ−ト、キャスティングヘッドからの吐出、ロ−
ルコ−ト、ドクタ−ロ−ルコート、ドクターナイフコー
ト、スプレ−、浸せき、刷毛塗り等の任意の手段が例示
される。塗布後の乾燥法としては、乾熱処理法、例えば
赤外線照射法、熱風乾燥法等が例示される。乾燥は1つ
の方法でもよいし、複数の方法の併用でもよい。乾燥温
度は30〜180℃であることが好ましく、下限値とし
ては50℃以上、さらには80℃以上、最適には100
℃以上である。乾燥時間は5秒〜10分が好ましく、さ
らに好適には1〜5分である。乾燥中に温度を増減する
こと、例えば、塗布後の初期は低温とし、その後徐々に
温度を上昇させること等は自由である。
【0051】上記方法により、熱可塑性基材表面にアン
カーコート層を介して、薄い均質なEVOHの連続膜が
形成される。本発明においては、前述したようにEVO
H水性分散液が、従来公知のEVOH水性分散液と比較
して分散安定性が著しく良好で、EVOH粒子の凝集物
が実質的にないため、形成された皮膜にフィッシュアイ
がほとんど認められず、多層構造体が美麗である。ま
た、基材層とEVOH層との接着性が高く、特にフィル
ム状成形品の場合、屈曲されても層間での剥離が生じ
ず、EVOH層が破壊(亀裂等の発生)しないため、高
いバリヤー性を保持するという特長を有する。
【0052】本発明の多層構造体は、ガスバリヤー性、
耐油・耐薬品性の要求される分野、例えば食品、医薬
品、工業薬品、農薬等の包装材料あるいは容器としてき
わめて有用である。
【0053】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、これにより本発明は何ら限定されるもので
はない。実施例中の「部」あるいは「%」は、特に断り
のない限り重量基準で表したものである。また溶剤組成
も重量比で示す。
【0054】
【実施例】
実施例1 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウム単位がEVOH成分に対し、1.2モル%ラン
ダムに導入された、エチレン含量33モル%、けん化度
99.6モル%、重合度800(1モル/リットルのチ
オシアン酸アンモニウムを含有する水/フェノール系混
合溶剤(重量比15/85)に溶解し、30℃で測定し
た固有粘度0.91デシリットル/g)のスルホン酸ナ
トリウム変性EVOHを10%含有する水/メチルアル
コール=50/50の混合溶剤溶液50部を、エチレン
含量32モル%、けん化度99.5モル%、重合度10
00(水/フェノール系混合溶剤(重量比15/85)
に溶解し、30℃で測定した固有粘度1.06デシリッ
トル/g)の通常のEVOH28部とメチルアルコール
100部および水100部に添加混合し65℃で加熱溶
解した。
【0055】この溶液を攪拌下10℃で冷却したとこ
ろ、粒子が析出し、安定な分散液が得られた。平均粒子
径は0.7μmであった。ついでこの分散液を攪拌下2
0℃で減圧蒸発させ、メチルアルコールを留去した。メ
チルアルコールの留去過程でも粒子の凝集は認められ
ず、平均粒子径0.7μm、固形分濃度25%の水性分
散液を得た。放置安定性も良好で、40℃、10日間の
放置試験で凝集がほとんど認められなかった。
【0056】プライマ−処理(コロナ処理)した二軸延
伸ポリプロピレンフィルム(膜厚20μm)に、ポリウ
レタン系接着剤主剤(東洋モ−トン製、AD335A)
と硬化剤(東洋モ−トン製、Cat−10)との混合溶
液(溶剤:トルエン/メチルエチルケトン=50/5
0)を、塗布量約1g(固形分)/m2 となるように、
ワイヤ−バーで塗布後、80℃で3分熱風乾燥してアン
カーコート層を設けた。次にアンカ−コ−ト層の表面に
該EVOH水性分散液を塗布量3.5g(固形分)/m
2 となるようにメイヤ−バーで塗布し110℃で5分間
熱風乾燥後、40℃で3日間熟成した。
【0057】このようにして得られた二軸延伸ポリプロ
ピレン層(20μm)/EVOH層(3μm)からなる
多層構造体の酸素透過量を20℃、0%RHの条件で測
定したところ、3.0cc/m2 ・day・atmで食
品包装材として良好なガスバリヤー性を示した(以下、
酸素透過量の測定条件および単位は同一である)。ま
た、EVOH層のフィッシュアイ数は2個/m2 と少な
く、外観良好であった(透明性の尺度であるヘイズ値は
5%であった)。
【0058】次に、該多層構造体に屈曲を加えた後の酸
素透過量を測定した。屈曲試験は20℃、65%RHの
条件下、ゲルボフレックステスター(理学工業株式会社
製)を使用し、12インチ×8インチの大きさの試料片
を直径3.5インチの円筒状となし、両端を把持し、初
期把持間隔7インチ、最大屈曲時の把持間隔1インチ、
ストロークの最初の3.5インチで440度の角度のひ
ねりを加え、その後の2.5インチは直線水平動である
動作の繰り返し往復動を40回/分の速度で実施した。
往復動100回後の酸素透過量は3.2で、屈曲による
バリヤー性の低下はほとんど認められなかった。
【0059】また、二軸延伸ポリプロピレン層とEVO
H層との層間剥離強度を20℃、65%RHの条件で測
定したところ、240g/15mmで実用的な接着力を
示した。
【0060】実施例2 エチレンと酢酸ビニルとの共重合系に3−メルカプトプ
ロパン酸ナトリウムを連鎖移動剤として添加して共重
合、未反応モノマ−(エチレン、酢酸ビニル)除去、け
ん化、洗浄、ついで乾燥して得た、末端にカルボン酸ナ
トリウムを有するエチレン含量32モル%、けん化度9
9.9モル%、重合度430(固有粘度0.62デシリ
ットル/g)、濃度1%で30℃の水に1日溶解したと
きの水不溶解分が99%であるEVOHを使用し、自己
分散タイプの水性分散液を調製した。すなわち、まず該
末端イオン変性EVOH50部を水/メチルアルコール
=30/70の混合溶剤600部に65℃で加熱溶解
後、攪拌下20℃で冷却して平均粒子径0.9μmの水
/メチルアルコール系分散液を得た。次に、この分散液
を攪拌下に20℃で減圧蒸発させてメチルアルコールを
留去した。メチルアルコール留去過程でも粒子の凝集は
認められず、平均粒子径0.9μm、固形分濃度24%
の水性分散液を得た。放置安定性も良好で、40℃で1
0日間放置しても凝集はほとんど認められなかった。
【0061】実施例1と同様にして、コロナ処理処理を
施した二軸延伸ポリプロピレンフィルムにアンカーコー
ト層を設け、その表面に上記EVOH水性分散液を塗
布、乾燥、熟成して多層構造体(EVOH層厚み4μ
m)を作製し、各種物性を評価した。その結果、屈曲を
与えずに測定した酸素透過量は4.3、往復動100回
の屈曲を与えて測定した酸素透過量は4.5であった。
また、EVOH層のフィッシュアイ数は3個/m2 と少
なく、外観良好であった(ヘイズ値5%)。また、二軸
延伸ポリプロピレン層とEVOH層との層間剥離強度は
220g/15mmであった。
【0062】比較例1 エチレン、酢酸ビニルおよびアクリル酸を共重合、未反
応モノマ−除去、けん化、洗浄、ついで乾燥して得た、
アクリル酸含量1.0モル%、エチレン含量32モル
%、けん化度99.5モル%、重合度430(固有粘度
0.62デシリットル/g)、水不溶解分98%の三元
ランダム共重合EVOHを用いたほかは実施例2と同じ
条件で分散させたところ、メチルアルコールを留去する
過程で粒子の凝集が認められた。該水性分散液(濃度2
0%)を使用し、実施例2と同様にして多層構造体(E
VOH層厚み3μm)を作製したが、EVOH層にEV
OH粒子の凝集物とみられるフィッシュアイが多数(1
50個/m2 )認められ、きわめて外観が不良であると
ともに、酸素透過量も35と非常に大きく、実用に供し
得ないものであった。
【0063】実施例3 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウム単位がEVOH成分に対し、0.2モル%ラン
ダムに導入された、エチレン含量27モル%、けん化度
99.6モル%、重合度1000(固有粘度1.09デ
シリットル/g)、水不溶解分99%のスルホン酸ナト
リウム変性EVOH100部を水/メチルアルコール=
35/65の混合溶剤2400部に65℃で加熱溶解
後、攪拌下15℃で冷却して平均粒子径0.5μmの水
/メチルアルコール系分散液を得た。次に、この分散液
を攪拌下に30℃で減圧蒸発させてメチルアルコールを
留去した。メチルアルコール留去過程でも粒子の凝集は
認められず、平均粒子径0.5μm、固形分濃度20%
の水性分散液を得た。放置安定性も良好で、40℃で1
0日間放置しても凝集はほとんど認められなかった。
【0064】プライマ−処理(コロナ処理)した二軸延
伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(膜厚12μ
m)に、ポリウレタン系接着剤主剤(東洋モ−トン製、
AD503A)と硬化剤(東洋モ−トン製、Cat−1
0)との混合溶液(溶剤:酢酸エチル)を、塗布量約1
g(固形分)/m2 となるようにグラビヤコータ−で塗
布後、90℃で10秒熱風乾燥してアンカーコート層を
設けた。次にアンカ−コ−ト層の表面に該EVOH水性
分散液を塗布量3.5g(固形分)/m2 となるように
エアナイフコ−タ−で塗布し、80℃で3分、ついで1
20℃で1分熱風乾燥後、40℃で3日間熟成した。
【0065】このようにして得られた二軸延伸ポリエチ
レンテレフタレ−ト層(12μm)/EVOH層(3μ
m)からなる多層構造体の各種物性を実施例1と同様に
して評価した。その結果、屈曲を与えずに測定した酸素
透過量は2.8、往復動100回の屈曲を与えて測定し
た酸素透過量は3.0であった。また、EVOH層のフ
ィッシュアイ数は2個/m2 と少なく、外観良好であっ
た(ヘイズ値5%)。また、二軸延伸ポリエチレンテレ
フタレ−ト層とEVOH層との層間剥離強度は250g
/15mmであった。
【0066】比較例2 実施例3において、アンカ−コ−トを施さなかったこと
以外は、実施例3と同様にして多層構造体を作製し、各
種物性を評価した。その結果、屈曲を与えずに測定した
酸素透過量は3.0でバリヤー性が良好であったが、往
復動100回の屈曲を与えて測定した酸素透過量は18
00以上で実用に供し得ないものであった。二軸延伸ポ
リエチレンテレフタレ−ト層とEVOH層との層間剥離
強度は0g/15mmで接着性の著しく低いことが、屈
曲によるEVOH層の破壊(亀裂等の発生)を招いたも
のと考えられる。
【0067】実施例4 実施例2の末端にカルボン酸ナトリウムを有するEVO
Hに代えて、EVOHの水酸基へのベンズアルデヒド−
p−スルホン酸カリウムによるアセタ−ル化反応によ
り、該スルホン酸アニオン基がEVOH成分に対し0.
8モル%導入された、エチレン含量38モル%、けん化
度99.5モル%、重合度1100(固有粘度1.12
デシリットル/g)、水不溶解分94%のイオン変性E
VOHを使用するほかは、実施例2と同様にしてEVO
H水性分散液を得た。平均粒子径は0.6μm、固形分
濃度は19%であった。放置安定性も良好で、40℃で
10日間放置しても凝集はほとんど認められなかった。
【0068】プライマ−処理(コロナ処理)した二軸延
伸ポリアミド6フィルム(膜厚20μm)に、ポリウレ
タン系接着剤主剤(東洋モ−トン製、AD335A)と
硬化剤(東洋モ−トン製、Cat−10)との混合溶液
(溶剤:トルエン/メチルエチルケトン=50/50)
を、塗布量約1g(固形分)/m2 となるように、ワイ
ヤ−バーで塗布後、80℃で3分熱風乾燥してアンカー
コート層を設けた。次にアンカ−コ−ト層の表面に該E
VOH水性分散液を塗布量3.5g(固形分)/m2 と
なるようにメイヤ−バーで塗布し100℃で3分間、さ
らに130℃で1分間熱風乾燥後、40℃で3日間熟成
した。
【0069】該多層構造体(EVOH層厚み3μm)の
各種物性を評価したところ、屈曲を与えずに測定した酸
素透過量は3.5、往復動100回の屈曲を与えて測定
した酸素透過量は3.8であった。また、EVOH層の
フィッシュアイ数は2個/mと少なく、外観良好であっ
た(ヘイズ値4%)。また、二軸延伸ポリアミド6層と
EVOH層との層間剥離強度は230g/15mmであ
った。
【0070】
【発明の効果】本発明の特定のEVOH水性分散液を熱
可塑性基材に塗布した多層構造体は、EVOH粒子の凝
集物が実質的にないため、形成された皮膜にフィッシュ
アイがほとんど認められず、外観が美麗である。また、
基材層とEVOH層との接着性が高く、特にフィルム状
成形品の場合、屈曲されても層間での剥離が生じず、E
VOH層が破壊(亀裂等の発生)しないため、高いバリ
ヤー性を保持するという特長を有する。したがって、本
発明の多層構造体は、ガスバリヤー性、耐油・耐薬品性
の要求される分野、例えば食品、医薬品、工業薬品、農
薬等の包装材料あるいは容器としてきわめて有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榛田 滋行 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 廣藤 俐 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン性基を有するエチレンービニルエ
    ステル共重合体けん化物を分散安定剤とし、エチレン含
    量15〜65モル%のエチレンービニルエステル共重合
    体けん化物を分散質とする水性分散液、末端にイオン性
    基を有する常温で水に不溶性のエチレン含量15〜65
    モル%のエチレンービニルエステル共重合体けん化物を
    分散質とする水性分散液、スルホン酸基またはその塩が
    ランダムに導入され、かつ常温で水に不溶性のエチレン
    含量15〜65モル%のエチレンービニルエステル共重
    合体けん化物を分散質とする水性分散液の中から選ばれ
    る少なくとも1種の水性分散液を熱可塑性基材に塗布し
    た多層構造体。
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