JP3426635B2 - 変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体、分散安定剤および水性分散液 - Google Patents

変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体、分散安定剤および水性分散液

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JP3426635B2 JP07001393A JP7001393A JP3426635B2 JP 3426635 B2 JP3426635 B2 JP 3426635B2 JP 07001393 A JP07001393 A JP 07001393A JP 7001393 A JP7001393 A JP 7001393A JP 3426635 B2 JP3426635 B2 JP 3426635B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分散安定剤および水性
分散液に関し、特にその皮膜を熱処理することにより、
皮膜の強度を増大させうるエチレン−ビニルアルコール
系共重合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルエステル共重合体、特
にエチレン−酢酸ビニル共重合体をけん化したエチレン
−ビニルアルコール系共重合体(以下EVOHと略記す
る)は、酸素等のガスバリアー性や耐油・耐薬品性に優
れているため、包装材料素材や、プラスチック成形物、
金属表面、紙、木材等の保護被覆用材料として注目され
ている。
【0003】特に内容物の酸化防止あるいは香りの保持
が必要とされる食品包装用のフィルム、シート、積層
物、中空容器等においては高度のガスバリア−性が要求
されている。また軟質塩化ビニルからなる塩ビ壁紙、塩
ビレザー、シート等では可塑剤のブリードを防止する被
覆剤が要求されている。そこでガスバリア−性、保香
性、および耐油・耐薬品性に優れたEVOHを内層、外
層あるいは中間層に設けることによってこれらの要求性
能を高度に満たすことが広く実施されている。
【0004】一般にEVOH層を形成する方法として
は、溶融押出あるいは射出成形による方法やEVOHフ
ィルムをラミネートする方法等が広く実施されている。
一方、EVOHの溶液や水性分散液を塗布し、乾燥する
方法が提案されている。この方法は、比較的膜厚の薄い
皮膜が形成できること、中空容器等の複雑な形状のもの
にも容易に皮膜が形成できること等から注目される。
【0005】しかしながら、EVOHの溶液を塗布する
方法では基本的に高い濃度の溶液が高粘度のために使用
困難なこと、溶剤がジメチルスルホキシド等の有機溶剤
や多量のアルコールと水の混合溶剤のため、皮膜形成過
程において有機溶剤の揮散による作業環境の悪化および
有機溶剤の回収のための装置が必要になる等、経済的に
も不利なこと等の問題がある。これに対し、EVOHの
水性分散液を塗布する方法は、溶剤が水系で上記の作業
環境や経済性の点から有利と考えられ期待される。
【0006】EVOHの水性分散液としては、通常のE
VOHを界面活性剤あるいは高分子コロイド、例えばポ
リエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール等の
共存下で乳化分散させたものが特開昭54−10184
4、特開昭56−61430等で提案されている。しか
しながら、本発明者等の検討によると、これら公知の方
法で得られたEVOHの水性分散液は、分散安定性が不
十分であり、皮膜の強度も不足し塗布用として実用が困
難である。
【0007】また特開昭54−101844には、アク
リル酸や無水マレイン酸等のカルボキシル基含有モノマ
ーをエチレンおよび酢酸ビニルと三元共重合し、けん化
して得た、いわゆるランダムに共重合されたランダム共
重合体のEVOH自体を界面活性剤を分散安定剤として
分散させることが示されている。
【0008】しかしながら、本発明者等の検討によると
単純な三元ランダム共重合によるEVOHでは乳化分散
安定性の向上は認められず、実用的な乳化分散液は得ら
れなかった。中ではイオン性基を有するアクリル酸を共
重合した場合は、そのイオン性基により乳化分散安定性
は改善されるが、イオン性基がランダムに含有されてい
るため、その含量を多くしないと乳化分散安定性が十分
に達成できず、そうするとEVOHの構造の乱れが大と
なって結晶性が低下し、ガスバリアー性能が大幅に低下
する等の欠点があり実用的でない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、イオン性基
を有し、かつ架橋性基を含有するEVOHの分散安定
剤、およびそれを用いることによって分散安定性が著し
く改善され、さらには皮膜の強度に優れたEVOH系水
性分散液を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、分散安定剤
としてスルホン酸およびその塩、硫酸エステルおよびそ
の塩、燐酸およびその塩、アミンおよびその塩、第4級
アンモニウム塩、フォスホニウム塩並びにスルホニウム
塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のイオン性基
を有し、かつ架橋性基を0.0005〜5モル%有す
る、エチレン含量10〜70モル%、けん化度80モル
%以上の変性EVOHを用いて分散質であるEVOHを
水中に分散することによって達成される。
【0011】本発明の最大の特長は、そのEVOH系水
性分散液が貯蔵あるいは使用時の安定性において著しく
改善されて分散安定性に優れ、かつそのEVOH系水性
分散液を塗膜後熱処理により皮膜の強度を増大させるこ
とである。元々粒子径の小さいものが得られる上に、分
散安定性が優れ、貯蔵あるいは使用時の粒子の凝集によ
る粒子径の顕著な増大が殆どないため、粒子径の小さい
ことも大きな特長である。
【0012】本発明で使用される分散安定剤は、イオン
性基を有し、かつ架橋性基を0.0005〜5モル%含
有する、エチレン含量10〜70モル%、けん化度80
モル%以上の変性エチレン−ビニルエステル系共重合体
けん化物(以下変性EVOHと略記する)でその製造方
法に制限はない。
【0013】本発明においてイオン性基とは、水中でイ
オン性(アニオン性、カチオン性、両性)を示す基であ
り、好適にはスルホン酸基またはその塩アンモニウム
基等が例示される。イオン性基は1種でもよいし、2種
以上でもよい。
【0014】アニオン性基としてはスルホン酸、スルホ
ン酸塩、硫酸エステル、硫酸エステル塩、燐酸、燐酸塩
の基が挙げられ、またこれらの酸および塩基が同時に
含まれていてもよい。分散安定化効果が優れている点
特にスルホン酸または該塩が望ましい。
【0015】カチオン性基としてはアミンまたはその
塩、第4級アンモニウム塩、フォスホニウム塩、スルホ
ニウム塩等の基が挙げられる。特に第4級アンモニウム
塩が分散安定化効果が大きく好ましい。両性基としては
アミノスルホン酸塩(スルホベタイン型)、アミノ硫酸
エステル塩(サルフェートベタイン型)等が挙げられ
る。
【0016】イオン性基の含量は分散安定化効果のある
範囲内で適宜選択されるが、分散安定化効果の点から変
性EVOH中のEVOH成分単位に対し0.05〜50
%が望ましい。さらに好ましくは0.1〜30モル%、
殊に0.2〜15モル%、さらには0.2〜10モル%
が望ましい。0.05モル%未満では分散安定化効果が
小さく、50モル%を越えるものは水性分散液を塗布、
乾燥して得られる皮膜の耐水性、ガスバリア−性が不良
になり好ましくない。
【0017】本発明において、架橋性基とは加熱および
/または架橋触媒により架橋構造を形成する基であり、
架橋性基導入には、好適には架橋性を有するオレフィン
性不飽和単量体化合物の中から選ばれた1種または2種
以上を用いることができる。特に次の一般式で表される
化合物の中から選ばれた1種または2種以上のものが好
適に用いられる。
【0018】
【化1】
【0019】ここで、nは0〜1の整数であり、mは0
〜2の整数であり、Rは炭素数1〜10、好適には
素数1〜5のアルキル基、アリール基またはアリール基
を有する炭素数1〜10、好適には1〜5のアルキル基
であり、Rは炭素数1〜40の直鎖状または分岐状の
アルコキシル基であり、該アルコキシル基は酸素を含有
する置換基を有してもよい。
【0020】
【化2】
【0021】ここで、Rは炭素数1〜10、好適には
1〜5のアルキル基、Rは炭素数1〜40の直鎖状ま
たは分岐状のアルキル基である。
【0022】化1式で表されるオレフィン性不飽和単量
体としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチル
ジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラ
ン、ビニルジメチルエトキシシラン、アリルトリメトキ
シシラン、アリルメチルジメトキシシラン等が挙げられ
るが、ビニルトリメトキシシランが好ましい。
【0023】化2式で表されるオレフィン性不飽和単量
体としては、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−
メトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシメチルア
クリルアミド、N−(n−プロポキシメチル)アクリル
アミド、N−(イソ−プロポキシメチル)アクリルアミ
ド、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド等が挙
げられるが、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミ
ドが好ましい。
【0024】また、その他のオレフィン性不飽和単量体
として、次の一般式で表されるグリシジルアクリレート
が挙げられる。
【0025】
【化3】
【0026】ここで、Rは水素原子またはメチル基で
ある
【0027】本発明においては、前記した架橋性を有す
るオレフィン性不飽和単量体を使用する場合は、架橋性
基はEVOHの主鎖中に導入されるが、これに限定され
るものではなく、グラフト反応または後反応により、E
VOHの側鎖に導入することもできる。
【0028】前記したオレフィン性不飽和単量体などの
架橋性基の含有量は、あまり少なすぎると皮膜の強度が
不十分となり、また多すぎれば、EVOH本来の特性で
ある酸素バリアー性が低下するなど好ましくない。該含
有量はそれぞれの目的、および単量体の種類に応じて選
定されるが、0.0005〜5モル%、特に0.001
〜3モル%、さらに好適には0.01〜3モル%、最適
には0.05〜3モル%である。
【0029】変性EVOH中のEVOH成分の組成はエ
チレン含量が10〜70モル%、けん化度80モル%
(本発明で言うけん化度はビニルエステル単位のけん化
度を示す)以上である必要がある。エチレン含量の好適
な範囲は12モル%以上、さらに好ましくは15モル%
以上、さらには20モル%以上である。また上限につい
ては好適には65モル%以下、さらに好適には60モル
%以下である。また好ましいけん化度は90モル%以
上、さらには95モル%以上である。分散質のEVOH
のエチレン含量およびけん化度については後述するが、
それと近いものが粒子分散安定化効果の点で望ましい。
より好ましくはほぼ同一のエチレン含量およびけん化度
が望ましい。
【0030】変性EVOHの重合度は特に制限はない
が、分散安定化効果の点から100以上が望ましい。重
合度の上限は特に制約はないが、あまり大きすぎるもの
はその溶液粘度が高く分散性能が低下するので通常20
00以下のものが使用される。ここで変性EVOHの重
合度は、1モル/リットルのチオシアン酸アンモニウム
を含有する水/フェノール系混合溶剤(重量比15/8
5)中、30℃で測定した固有粘度より求められる。
【0031】変性EVOHの構造に関しては、いわゆる
ランダムまたは末端にイオン性基が導入され、かつ架橋
性基が主鎖または側鎖に導入されたものが好適に使用さ
れる。水性分散液の長期保存安定性がより必要とされる
場合は、ランダムにイオン性基を導入した変性EVOH
が好ましい。これらの製造方法には特に制約はない。
【0032】例えば、イオン性基を含有するモノマーと
架橋性基を含有するモノマーをエチレンおよびビニルエ
ステルとラジカル共重合し、次いで得られた共重合体中
のビニルエステル単位をけん化してビニルアルコ−ル単
位に変換する方法、架橋性基を有するモノマーをエチレ
ンおよびビニルエステルとラジカル共重合、けん化して
得られた共重合体にイオン性基含有成分を付加反応させ
て導入する方法、あるいはエチレン−ビニルエステル共
重合体にイオン性基含有成分と架橋性基含有成分を付加
反応させた後、該共重合体中のビニルエステル単位をけ
ん化してビニルアルコ−ル単位に変換する方法等が挙げ
られる。
【0033】付加反応としては、その水酸基へのイオン
性基含有ビニルモノマーのマイケル付加反応、あるいは
イオン性基含有アルデヒドあるいはケトンによるアセタ
ール化あるいはケタール化、イオン性基含有エポキシ化
合物の付加また硫酸によるエステル化等が挙げられ
る。またラジカル単独重合性の低いイオン性基含有モ
ノマーのラジカル付加反応による導入等が挙げられる。
【0034】さらに、スルホン酸基またはその塩アン
モニウム基等を有するアルコール、アルデヒドあるいは
チオール等の活性基を含有する化合物を連鎖移動剤とし
て共存させ、エチレンとビニルエステルと架橋性基を含
有するモノマーを共重合し、次いでビニルエステル単位
をけん化する方法、またエチレンとビニルエステルと架
橋性基を含有するモノマーとの共重合体けん化物の末端
にスルホン酸基またはその塩アンモニウム基等を含有
する化合物を化学反応により導入する方法等により製造
される。これらの方法の中で、経済的かつ効率よく末端
にイオン性基を導入し、分散安定剤としての優れた安定
性等を示す変性EVOHを得る方法としては、スルホン
酸基またはその塩アンモニウム基等を有するチオール
の存在下にエチレンとビニルエステルと架橋性基を含有
するモノマーとを共重合し、次いでけん化する方法が好
ましい。
【0035】ラジカル共重合は、公知の方法、すなわち
回分方式、半回分方式、あるいは連続方式にて、重合開
始剤の存在下、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合
により実施されるが、アルコールの存在下溶液重合で実
施することが工業的に好ましい。溶液重合の場合、溶剤
濃度は0〜50%、好適には、3〜30%であり、重合
率は通常20〜80%、好適には30〜60%である。
また重合温度は通常20〜100℃、好適には40〜8
0℃である。重合開始剤としては、2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−
ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4
−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のニ
トリル類、ジ−ノルマルプロピルパーオキシカーボネー
ト、ビス−4−ターシャリーブチルヘキシルパーオキシ
ジカーボネート、ビス−2−エチルヘキシルパーオキシ
ジカーボネート等のカーボネート類、過酸化ベンゾイ
ル、過酸化ラウロイル、アセチルシクロヘキサンスルフ
ォニルパーオキシド等の過酸化物類等の公知のラジカル
重合開始剤が使用できる。またアルコールとしては、メ
チルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコー
ル、ブチルアルコール等の低級アルコールが用いられる
が、経済的にみてメチルアルコールが好ましい。
【0036】重合で得られた共重合体は、次いでけん化
反応に供せられる。けん化反応はアルカリ性触媒を用い
て公知の方法、すなわち通常共重合体をアルコ−ル溶液
としてアルコリシスにより反応を実施するのが有利であ
る。特に日本特許第575889号および同61155
7号に開示された塔式反応器を用い、けん化反応中に副
生する酢酸メチルを、塔底にアルコ−ル蒸気を吹き込ん
で塔頂から除去しながら行う方法が最も好適である。ア
ルカリ性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラー
ト、カリウムメチラート等のアルコラートが用いられる
が、水酸化ナトリウムが経済的にみて特に好ましい。け
ん化反応温度は、60〜175℃の範囲から適宜選ばれ
る。特に前記塔式反応器を用いる場合には、共重合体の
組成にもよるが、反応時間の短縮等から100℃以上が
好ましい。
【0037】けん化反応後、変性EVOHを単離するに
当たっては、公知の方法が適用され、特に日本特許72
5520号に開示されたストランド状に析出させる方法
が好適である。析出単離された変性EVOHは、公知の
方法で水洗後、必要に応じて酸処理等の公知の熱安定化
処理を行い、乾燥後、必要に応じて架橋触媒を添加して
水性分散液の製造に用いられる。
【0038】ビニルエステルとしては蟻酸ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、三フッ
化酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のエチレン、オレフ
ィン性不飽和単量体と共重合可能で該共重合体をけん化
することによりビニルアルコ−ルに変換可能なモノマー
の1種または2種以上が使用できるが、酢酸ビニルが経
済的にみて特に好ましい。
【0039】イオン性基含有モノマーとしては、イオン
性基あるいはイオン性基に変換可能な官能基を有するラ
ジカル単独重合あるいはラジカル共重合可能なものが使
用できる。その例を次に示す。
【0040】・アニオン性基含有モノマー スルホン酸アニオン性基含有モノマーとしては、2−
(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸ナトリウムのごとき(メタ)アクリルアミド系スルホ
ン酸塩モノマー、スチレンスルホン酸カリウムのごとき
スチレン系スルホン酸塩モノマー、アリルスルホン酸ナ
トリウムのごときアリル系スルホン酸塩モノマー、また
ビニルスルホン酸ナトリウムのごときビニルスルホン酸
塩、あるいはこれらのアンモニウム塩モノマーさらには
これらの酸モノマー等が挙げられる。またこれらのスル
ホン酸のエステルも重合後エステルをその塩あるいは酸
に変換することにより使用可能である
【0041】・カチオン性基含有モノマー アミノプロピルアクリルアミドあるいはメタクリルアミ
ドのごときアミノ基含有(メタ)アクリルアミド系モノ
マー、アミノエチルアクリレートあるいはメタクリレー
トのごときアミノ基含有(メタ)アクリレートあるいは
その塩が重合性も良好で好ましい。特にその第4級塩が
ポリマ−の着色も少なく好ましい。例えばトリメチルア
クリルアミドプロピルアンモニウムクロリドやトリエチ
ルメタクロイルエチルアンモニウムブロミド等である。
【0042】これらのモノマーは単独で使用すること
も、また併用することも可能である。また分散安定化効
果を阻害しない範囲で他のモノマーとの共重合も可能で
ある。
【0043】イオン性基、例えばスルホン酸基またはそ
の塩アンモニウム基等を含有するチオールとしては種
々のものが用いられる。
【0044】スルホン酸基またはその塩を有するチオー
ルとして、次の一般式で表されるものが挙げられる。
【0045】
【化4】
【0046】
【化5】
【0047】
【化6】
【0048】ここで、k1、k2およびk3は1〜4
整数 〜R 13 は水素原子またはメチル基、Mは水
素原子またはアルカリ金属をそれぞれ示す。
【0049】アンモニウム基を有するチオールとして、
次の一般式で表されるものが挙げられる。
【0050】
【化7】
【0051】
【化8】
【0052】
【化9】
【0053】
【化10】
【0054】ここで、j1は0〜3の整数j2は1〜
10の整数 14 、R 15 、およ び、R 18 〜R 20
は水素原子またはメチル基、 16 、R 17 は炭素数1
〜10、好適には炭素数1〜5のアルキル基(置換基を
含んでいてもよい)、Aはアミンまたはアンモニウム窒
素原子と式化7中のアミド基の窒素原子または式化9
の酸素原子とを連結する基をそれぞれ示す。
【0055】分散質のポリマーであるEVOHは、エチ
レンと酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
安息香酸ビニル、三フッ化酢酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ル等のビニルエステル、特に酢酸ビニルと共重合、けん
化することにより得られるエチレン−ビニルアルコ−ル
共重合体で、エチレン含量が15〜65モル%、けん化
度が90モル%以上のものである必要がある。エチレン
含量が15モル%未満では水性分散液の安定性が不良と
なり、また65モル%を越えるものはガスバリア−性が
不良となり不適当である。水性分散液の安定性とガスバ
リア−性の点からはエチレン含量は20〜55モル%が
好ましい。またけん化度は90モル%未満になるとガス
バリア−性が不十分になるので90モル%以上のものを
使用する必要がある。けん化度は高い方がガスバリア−
性が高く、望ましくは95モル%以上、さらには97モ
ル%以上が好ましい。
【0056】分散質のEVOHの重合度は用途に応じて
選択されるが、極端に低いものは形成皮膜の強度が低く
好ましくないので通常400以上好ましくは700以上
のものが使用される。重合度の高いものほど水性分散液
として塗布使用することは有利であり、通常5000程
度のものまで使用できる。ここで分散質の重合度は水/
フェノール系混合溶剤(重量比15/85)中、30℃
で測定した固有粘度より求められる。また必要に応じて
エチレンおよびビニルエステル以外の共重合可能なモノ
マーを5モル%以下共重合していてもよい。
【0057】分散安定剤である変性EVOHの使用量は
イオン性基の種類、含有量等を勘案して適宜選択される
が、分散質のEVOH100重量部に対し2〜200重
量部、好ましくは3〜100重量部さらに好ましくは5
〜50重量部が望ましい。量が少ないと分散安定性が不
良となり、多すぎると形成皮膜のガスバリア−性が不十
分になることがあり不適当である。
【0058】変性EVOHを分散安定剤として分散質で
あるEVOHを分散させる方法に制限はなく、公知の方
法が使用可能である。例えば分散質であるEVOHの溶
液を分散安定剤である変性EVOHの共存下にEVOH
の非溶剤である水と撹拌下に接触させてEVOH粒子を
3μm以下、好ましくは2μm以下、最適には1μm以
下の微粒子として析出させ、次いで溶剤を除去すること
により水性分散液を得ることができる。なおここで微粒
子の径は数平均粒子径である。
【0059】水性分散液の固形分濃度は製造条件および
使用用途等により適宜決められるが、高濃度でしかも安
定な分散液の得られることが本発明の特徴である。固形
分濃度としては10重量%以上、さらに好ましくは15
重量%以上、最適には20重量%以上である。固形分濃
度の上限には特に制限はないが、あまり高濃度になりす
ぎると水性分散液の放置安定性がやや不良になる場合が
あるので、通常60重量%以下が好ましく、さらに好ま
しくは50重量%以下、最適には40重量%以下であ
る。
【0060】溶剤としては、例えばメチルアルコール、
エチルアルコ−ル、プロピルアルコール、ブチルアルコ
ール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3
価アルコール、フェノール、クレゾール等のフェノール
類、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン等のアミ
ン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン等、あるいはこれらの含水物等が
単独あるいは2種以上混合されて使用できる。特に好ま
しい溶剤はアルコール−水系の混合溶剤、例えば水−メ
チルアルコール、水−ノルマルプロピルアルコール、水
−イソプロピルアルコール等である。
【0061】変性EVOHは分散質であるEVOHの溶
液中、あるいは非溶剤の水中、あるいはその両方に共存
させることができるが、好ましくはEVOHの溶液中に
共存させることが望ましい。
【0062】溶剤中の有機溶剤は、蒸発法、抽出法ある
いは透析法等の適宜な方法で除去することができる。除
去の程度は高いことが望ましいが、経済性との兼ね合い
で小割合の有機溶剤を残存させることは可能である。
【0063】また水性分散液を得る別の方法として、高
温では溶解するが低温にすると不溶になる溶剤に変性E
VOHを加熱溶解した後、その溶液を冷却することによ
り微粒子を析出分散させる方法も採用できる。しかる後
その溶剤を水と置換することにより水性分散液とするこ
とができる。高温では溶解するが低温にすると不溶にな
る溶剤としては、先に示した溶剤のうちアルコ−ル類の
単独あるいは水との混合溶剤等が使用できる。
【0064】さらに別の方法として、変性EVOHの溶
液を非溶剤と接触させるか、あるいは冷却することによ
り析出分散させた粒子を濾別し、その粒子を水媒体中に
分散させる方法も可能である。
【0065】本発明において好適な水性分散液の製法と
しては、分散質のEVOHと分散安定剤の変性EVOH
を、これらの共通溶剤、例えば水−アルコ−ルの混合溶
剤に撹拌下、温度50〜75℃で溶解して溶液とし、次
いで冷却(温度−10〜30℃)し、EVOH粒子を析
出して分散化(エマルジョン化)し、次に減圧下(温度
10〜30℃、圧力10〜150mmHg)にアルコ−
ルを除去し、さらに水を所望量除去することによって、
所望の固形分濃度の水性分散液を得る方法が挙げられ
る。
【0066】本発明の水性分散液には粘度を低下させる
目的で水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリ
ウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなどのアルカリ
金属化合物、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、酢酸
カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウムなどのア
ルカリ土類金属化合物、その他の電解質を0.01〜
0.5重量%(対ポリマ−)配合してもよい。配合は、
分散質のEVOHを微粒子化する前でも後でもよい。
【0067】水性分散液には、必要に応じて架橋触媒を
添加する。架橋触媒の種別は、オレフィン性不飽和単量
体の種類、含有量によって異なるが、一般に硫酸、リン
酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸等の有機酸、
無水フタール酸等の酸無水物、塩化アンモニウム、硫酸
アンモニウム等の強酸アンモニウム塩などが用いられ
る。
【0068】本発明の方法で得られた水性分散液は優れ
たガスバリア−性の皮膜を形成する塗布材料として有用
であるが、その優れた力学的性能や化学的性能を生かし
て、他の用途例えば粉霧乾燥して微粒子粉末にしたり、
また塗料や接着剤のバインダーやビヒクルなど広範囲に
利用できる。
【0069】本発明の水性分散液には、必要に応じて本
発明の目的を妨げない範囲で通常の界面活性剤や保護コ
ロイドを添加することは可能である。また他の樹脂の水
性分散液、光あるいは熱等に対する安定剤、顔料、滑
剤、防黴剤あるいは造膜助剤などを添加することもでき
る。また本発明の分散安定剤は前記したEVOHの分散
安定剤として最適であるが、その他の有機材料(樹脂)
や無機材料の分散安定剤としても使用することができ
る。
【0070】以上に説明したように、本発明によれば貯
蔵あるいは使用時の安定性に優れた高固形分濃度の水性
分散液が得られ、かつ水性であるため環境の汚染等の問
題もない利点があり、塗布乾燥により優れたガスバリア
−性、保香性および耐油・耐薬品性を示す薄い皮膜を形
成できる有用な塗布剤として各種基材表面に塗布でき
る。ここで基材としてはとくに熱可塑性樹脂{ポリオレ
フィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルア
ルコ−ル、酢酸ビニル樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重
合体など)など}からなる各種成形品(フィルム、シー
ト、カップ、ボトルなど)が好適なものとしてあげら
れ、また繊維集合体(紙、不織布、織布、ファイブラス
ケーシングなど)、無機物(セメントなど)、金属、ポ
リ塩化ビニル樹脂製壁紙、写真印画紙などもあげられ
る。
【0071】また本発明の水性分散液を基材表面に塗布
する方法としては、キャスティングヘッドからの吐出、
ロールコート、ドクターロールコート、ドクターナイフ
コート、カーテンフローコート、スプレー、浸漬、刷毛
塗りなど任意の手段が例示される。このように塗布され
た基材を乾燥・熱処理する方法としては乾熱処理法、た
とえば赤外線照射法、熱風乾燥法などが例示される。こ
れらの赤外線照射、熱風乾燥などはそれぞれ単独で使用
してもよいし、また併用することもできる。また乾燥・
熱処理の温度は30〜180℃であることが好ましく、
下限値については50℃以上が好ましく、最適には80
℃以上である。また乾燥・熱処理の時間は5秒〜10分
が好ましく、さらに好適には1〜5分である。乾燥・熱
処理中は条件、たとえば温度を増減させること、たとえ
ば最初は低温で処理し、徐々に温度を上昇させることな
どは自由である。このような乾燥・熱処理を施すことに
よりガスバリア−性の優れた皮膜が基材表面に形成され
る。
【0072】また本発明の水性分散液を塗布、乾燥・熱
処理したあとの皮膜の厚さは0.5〜15μmであるこ
とが好ましく、さらに好適には1〜10μm、最適には
2〜6μmである。
【0073】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、これにより本発明は何ら限定されるもので
はない。実施例中の部あるいは%は、特に断わりのない
限り重量基準で表したものである。また溶剤組成も重量
比で示す。
【0074】
【実施例】実施例1 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウム単位がEVOH成分に対し2.2モル%、N−
(n−ブトキシメチル)アクリルアミド単位がEVOH
成分に対し1.3モル%それぞれランダム共重合され
た、エチレン含量38モル%、けん化度99.6モル
%、重合度950の変性EVOHを10%含有する水/
メチルアルコール=45/55の混合溶剤溶液50部
を、エチレン含量38モル%、けん化度99.5モル
%、重合度1000の通常のEVOH30部とメチルア
ルコール100部および水100部に添加混合し65℃
で加熱溶解した。
【0075】この溶液を撹拌下に5℃まで冷却したとこ
ろ、粒子が析出し安定な分散液が得られた。平均粒子径
は0.5μmであった。これに塩化アンモニウム0.0
7部を添加し、次いで撹拌下に20℃で減圧蒸発させメ
チルアルコールを留去した。メチルアルコール留去過程
でも粒子の凝集はほとんどみられず安定で、平均粒子径
が0.5μm、固形分濃度25%の水性乳化分散液を得
た。また放置安定性も良好で、40℃で10日の放置試
験でも凝集はほとんど認められなかった。
【0076】この水性分散液を二軸延伸ポリプロピレン
フィルムのプライマー処理面に塗布し、110℃、2分
乾燥後、145℃、5分熱処理して、5μ厚みで均一、
透明性良好な塗膜が得られた。このフィルムの酸素透過
量は3.8cc/m・day・atm(20℃、0%
RH)で食品包装材料として良好な性能を示した(以下
酸素透過量の単位は同一単位で示す)。また、別に上記
水性分散液を用い、同様に乾燥、熱処理して厚み8μの
単層フィルムを得て、20℃、65%RH条件下で引張
破断点強度を測定したところ、4.5kg/mmで、
充分使用に耐える強度を有していた。
【0077】比較例1〜4 実施例1において、変性EVOHの代わりにエチレン含
量38モル%、けん化度99.2モル%、N−(n−ブ
トキシメチル)アクリルアミド含量1.0モル%、重合
度900のEVOHを用いて分散した場合(比較例
1)、またこのEVOHに分散剤として公知のノニオン
性界面活性剤のノニルフェニルエーテルのエチレンオキ
シド付加物(比較例2)、アニオン性界面活性剤のドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム(比較例3)、ある
いは高分子保護コロイドとしてけん化度80モル%、重
合度600の部分けん化ポリビニルアルコールを使用し
た場合(比較例4)、それ以外は実施例1と同じ条件で
分散を試みたが、いずれの場合も加熱溶解した溶液を撹
拌下に冷却する段階で粒子が凝集・ブロック化してしま
った。
【0078】実施例2 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウムのチオール化物が分子の末端に導入され、かつ
ビニルトリメトキシシランがEVOH成分に対して0.
6モル%ランダム共重合された、エチレン含量35モル
%、けん化度99.8モル%、重合度750の変性EV
OHを10%含有する水/メチルアルコール=50/5
0の混合溶剤溶液50部を、エチレン含量35モル%、
けん化度99.7モル%、重合度800の通常のEVO
H20部とメチルアルコール100部および水100部
に添加混合し65℃で加熱溶解した。
【0079】この溶液を撹拌下に5℃まで冷却したとこ
ろ、粒子が析出し安定な分散液が得られた。平均粒子径
は0.8μmであった。次いで撹拌下に20℃で減圧蒸
発させメチルアルコールを留去した。メチルアルコール
留去過程でも粒子の凝集はほとんどみられず安定で、平
均粒子径が0.8μm、固形分濃度24%の水性乳化分
散液を得た。また放置安定性も良好で、30℃で10日
の放置試験でも凝集はほとんど認められなかった。
【0080】この水性分散液を実施例1と同様に塗布、
乾燥した皮膜(膜厚5μ)の酸素透過量は3.0、また
実施例1と同様にして得た単層フィルムの20℃、65
%RH条件下での引張破断点強度は3.8kg/mm
であった。
【0081】実施例3 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸カ
リウムがEVOH成分に対して1.5モル%、ビニルト
リメトキシシラン成分がEVOH成分に対して0.5モ
ル%ランダム共重合された、エチレン含量30モル%、
けん化度99.7モル%、重合度810の変性EVOH
を10%含有する水/メチルアルコール=50/50の
混合溶剤溶液50部を、エチレン含量31モル%、けん
化度99.7モル%、重合度880の通常のEVOH2
0部とメチルアルコール100部および水100部に添
加混合し65℃で加熱溶解した。
【0082】この溶液を撹拌下に10℃まで冷却したと
ころ、粒子が析出し安定な分散液が得られた。平均粒子
径は0.7μmであった。次いで撹拌下に25℃で減圧
蒸発させメチルアルコールを留去した。メチルアルコー
ル留去過程でも粒子の凝集はほとんどみられず安定で、
平均粒子径が0.7μm、固形分濃度21%の水性乳化
分散液を得た。また放置安定性も良好で、40℃で10
日の放置試験でも凝集はほとんど認められなかった。
【0083】この水性分散液を実施例1と同様に塗布、
乾燥した皮膜(膜厚5μ)の酸素透過量は2.9、また
実施例1と同様にして得た単層フィルムの20℃、65
%RH条件下での引張破断点強度は4.0kg/mm
であった。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂をブ
ロー成形した容積1リットル、厚さ200μのものを、
上記水性分散液に浸漬し、90℃、3分乾燥後、150
℃で2分熱処理して、厚さ8μの外観、透明性良好な変
性EVOH皮膜を有する容器を得た。
【0084】実施例4 アリルスルホン酸ナトリウム単位がEVOH成分に対し
て0.8モル%、グリシジルメタクリレート単位がEV
OH成分に対して0.5モル%ランダム共重合された、
エチレン含量25モル%、けん化度99.5モル%、重
合度1100の変性EVOHを10%含有する水/イソ
プロピルアルコール=50/50の混合溶剤溶液50部
を、エチレン含量25モル%、けん化度99.7モル
%、重合度1150の通常のEVOH25部とイソプロ
ピルアルコール100部および水100部に添加混合し
65℃で加熱溶解した。
【0085】この溶液を撹拌下に10℃まで冷却したと
ころ、粒子が析出し安定な分散液が得られた。平均粒子
径は0.6μmであった。次いで撹拌下に25℃で減圧
蒸発させイソプロピルアルコールを留去した。イソプロ
ピルアルコール留去過程でも粒子の凝集はほとんどみら
れず安定で、平均粒子径が0.6μm、固形分濃度27
%の水性乳化分散液を得た。また放置安定性も良好で、
40℃で10日の放置試験でも凝集はほとんど認められ
なかった。
【0086】この水性分散液を実施例1と同様に塗布、
乾燥した皮膜(膜厚5μ)の酸素透過量は3.0、また
実施例1と同様にして得た単層フィルムの20℃、65
%RH条件下での引張破断点強度は4.1kg/mm
であった。
【0087】実施例5 ビニルトリメトキシシラン成分がEVOH成分に対して
2.1モル%ランダム共重合されたEVOHの水酸基を
硫酸エステル化し、その硫酸アニオン基の1/2当量を
中和することによって合成された、硫酸アニオン基がE
VOH成分に対して4.3モル%付加導入されたエチレ
ン含量42モル%、けん化度99.7モル%、重合度9
00の変性EVOHを15%含有する水/メチルアルコ
ール=30/70の混合溶剤溶液50部を、エチレン含
量44モル%、けん化度99.7モル%、重合度850
の通常のEVOH80部とメチルアルコール560部お
よび水240部に添加混合し65℃で加熱溶解した。
【0088】この溶液を撹拌下に3℃まで冷却したとこ
ろ、粒子が析出し安定な分散液が得られた。平均粒子径
は0.4μmであった。次いで撹拌下に20℃で減圧蒸
発させメチルアルコールを留去した。メチルアルコール
留去過程でも粒子の凝集はほとんどみられず安定で、平
均粒子径が0.4μm、固形分濃度28%の水性乳化分
散液を得た。また放置安定性も良好で、40℃で10日
の放置試験でも凝集はほとんど認められなかった。
【0089】この水性分散液を実施例1と同様に塗布、
乾燥した皮膜(膜厚5μ)の酸素透過量は4.2、また
実施例1と同様にして得た単層フィルムの20℃、65
%RH条件下での引張破断点強度は4.8kg/mm
であった。
【0090】実施例6 アリルトリメトキシシラン成分がEVOH成分に対して
0.3モル%ランダム共重合されたEVOHの水酸基へ
のマイケル付加反応により、2−メタクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムをEVOH成分
に対して2.5モル%付加導入したエチレン含量32モ
ル%、けん化度99.3モル%、重合度1230の変性
EVOHを10%含有する水/メチルアルコール=50
/50の混合溶剤溶液50部を、エチレン含量33モル
%、けん化度99.8モル%、重合度1200の通常の
EVOH15部とメチルアルコール100部および水1
00部に添加混合し65℃で加熱溶解した。
【0091】この溶液を撹拌下に20℃まで冷却したと
ころ、粒子が析出し安定な分散液が得られた。平均粒子
径は0.8μmであった。次いで撹拌下に20℃で減圧
蒸発させメチルアルコールを留去した。メチルアルコー
ル留去過程でも粒子の凝集はほとんどみられず安定で、
平均粒子径が0.8μm、固形分濃度21%の水性乳化
分散液を得た。また放置安定性も良好で、40℃で10
日の放置試験でも凝集はほとんど認められなかった。
【0092】この水性分散液を実施例1と同様に塗布、
乾燥した皮膜(膜厚5μ)の酸素透過量は4.5、また
実施例1と同様にして得た単層フィルムの20℃、65
%RH条件下での引張破断点強度は3.8kg/mm
であった。
【0093】実施例7 アリルスルホン酸ナトリウム単位がEVOH成分に対し
て2.8モル%、ビニルトリメトキシシラン単位がEV
OH成分に対して1.0モル%ランダム共重合された、
エチレン含量27モル%、けん化度99.1モル%、重
合度370の変性EVOH250部に、水2000部を
加え溶解した溶液を調製した。この溶液中に高速撹拌機
を浸漬し5000rpmで撹拌しながらエチレン含量2
7モル%、けん化度99.6モル%、重合度1050の
EVOHをエチルアルコ−ル/水=50/50の混合溶
剤に溶解した濃度10%の溶液5000部を滴下したと
ころ粒子が析出し安定な分散液を得た。平均粒子径は
0.9μmであった。
【0094】次いで撹拌下に20℃で減圧蒸発させエチ
ルアルコールを留去した。エチルアルコール留去過程で
も粒子の凝集はほとんどみられず安定で、平均粒子径が
0.9μm、固形分濃度20%の水性乳化分散液を得
た。また放置安定性も良好で、40℃で10日の放置試
験でも凝集はほとんど認められなかった。
【0095】この水性分散液を実施例1と同様に塗布、
乾燥した皮膜(膜厚5μ)の酸素透過量は3.5、また
実施例1と同様にして得た単層フィルムの20℃、65
%RH条件下での引張破断点強度は3.6kg/mm
であった。
【0096】実施例8 実施例1の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸ナトリウムの代わりに、トリメチルアクリルア
ミドプロピルアンモニウムクロリドを同一量共重合変性
した変性EVOH(N−(n−ブトキシメチル)アクリ
ルアミド単位も実施例1と同一量共重合)を用いる以外
は、実施例1と同一条件で分散、メチルアルコ−ルの留
去を実施したところ、平均粒子径が0.7μm、固形分
濃度22%の水性乳化分散液を得た。また放置安定性も
良好で、40℃で10日の放置試験でも凝集はほとんど
認められなかった。
【0097】この水性分散液を実施例1と同様に塗布、
乾燥した皮膜(膜厚5μ)の酸素透過量は3.9、また
実施例1と同様にして得た単層フィルムの20℃、65
%RH条件下での引張破断点強度は4.3kg/mm
であった。
【0098】
【発明の効果】本発明の変性EVOHを分散安定剤とす
ることにより、貯蔵あるいは使用時の安定性に優れた高
固形分濃度の水性分散液、特に水性乳化分散液が得ら
れ、かつ水性であるために環境汚染等の問題もない。さ
らに、塗布乾燥により優れたガスバリアー性、保香性お
よび耐油・耐薬品性を示し、かつ強度の強い薄い皮膜を
形成できる塗布剤として利用できる工業的価値の高いも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 129/04 C09D 129/04 (56)参考文献 特開 昭60−262869(JP,A) 特開 昭57−64519(JP,A) 特開 平4−225032(JP,A) 特開 平3−269110(JP,A) 特開 平4−122756(JP,A) 特開 平5−186649(JP,A) 特開 昭51−19040(JP,A) 特開 平2−227174(JP,A) 特公 昭47−48489(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/26 B01F 17/52 C08L 29/04 C08L 51/06 C09D 123/26 C09D 129/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルホン酸およびその塩、硫酸エステル
    およびその塩、燐酸およびその塩、アミンおよびその
    塩、第4級アンモニウム塩、フォスホニウム塩並びにス
    ルホニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の
    イオン性基を有し、かつ架橋性基を0.0005〜5モ
    ル%有する、エチレン含量10〜70モル%、けん化度
    80モル%以上の変性エチレン−ビニルアルコール系共
    重合体
  2. 【請求項2】 前記イオン性基がランダムにまたは末端
    に導入されてなる、請求項1に記載の変性エチレン−ビ
    ニルアルコール系共重合体。
  3. 【請求項3】 前記架橋性基が主鎖または側鎖に導入さ
    れてなる、請求項1または2に記載の変性エチレン−ビ
    ニルアルコール系共重合体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    性エチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる分散
    安定剤。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の分散安定剤を使用し
    た、エチレン含量15〜65モル%のエチレン−ビニル
    アルコール系共重合体を分散質とする水性分散液。
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