JPH0645188Y2 - 熱交換器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は自動車や家庭用のエアコン用凝縮器等に用い
られる熱交換器に関するものである。

従来技術 例えば上記のような用途に用いられる熱交換器として
は、従来より、ハーモニカチューブと称されるような多
孔押出扁平チューブを蛇行状に曲げ、その平行部間にフ
ィンを配置してコアを構成した、いわゆるサーペンタイ
ン型熱交換器が用いられていた。ところが、かかるサー
ペンタイン型熱交換器では、熱交換媒体の通路が１本の
扁平押出チューブにより形成されているため、通路面積
を大きく確保できないこと、押出チューブを蛇行状に曲
成してなるものであるから、曲げ部の曲率半径を一定以
上小さくすることができないためチューブピッチを小さ
くできず、このためチューブの平行部間に介在されるフ
ィン数が少ないものとなってフィン効率が悪いこと、等
の理由から熱交換効率の向上に限界があった。

そこでサーペンタイン型の代わる熱交換器として、複数
の扁平チューブとコルゲートフィンとを交互配置にし
て、チューブの両端に中空ヘッダーを連結した、いわゆ
るマルチフロータイプの熱交換器が提案されている。こ
の熱交換器によれば、チューブピッチを自由に選択でき
るので、熱交換媒体の通路断面積を大きく確保でき、ま
た各チューブ間に介装されるフィンの本数も増加でき、
小型で熱交換効率に優れたものとなすことができる。

ところで、かかるマルチフロータイプの熱交換器におい
て、サーピンタイン型のものと同様に熱交換媒体を蛇行
状に流通させるために、仕切部材を設けて一方または両
方のヘッダー内部を複数の室に分割し、もってチューブ
によって構成される熱交換媒体の通路を蛇行通路に形成
せしめたものとなされる場合がある。

このような仕切部材の取付け構造としては、従来第７図
に示されるように、ヘッダー（51）に内外を連通する周
方向の切込部（52）が形成される一方、仕切部材を構成
する仕切板（53）が、ヘッダー（51）の内周面に適合し
得る第１周面部（54）と、ヘッダー（51）の外周面に適
合し得る第２周面部（55）との両周面部で外周面が構成
され、かつその厚さが切込部（52）の幅と略同一の厚さ
を有するものとして形成されている。そしてこの仕切板
（53）が、その第１周面部（54）側から切込部（52）を
介してヘッダー（51）内に嵌入されることによって、第
１周面部（54）がヘッダー（51）の内周面に密着される
と共に、第２周面部（55）が切込部（52）においてヘッ
ダー（51）の外面部に連続状に面一となるような状態に
配置され、かつろう付け一体化されてなるものとなされ
ている。なお、（56）はチューブ、（57）はコルゲート
フィンである。

考案が解決しようとする課題 ところで、上記のような仕切部材取付け構造において、
仕切板（53）がヘッダー（51）に対して適正にろう付け
されるためには、仕切板（53）の厚さと切込部（52）の
幅とが略同一のものとされ、仕切板（53）と切込部（5
2）との間にクリアランスを可及的に小さいものとする
必要があり、そのため切込部（52）の幅と仕切板（53）
の厚さとのそれぞれに高い寸法精度が要求されることと
なっており、厳しい寸法管理を行う必要があった。ま
た、このように仕切板（53）と切込部（52）との間のク
リアランスを可及的に小さいものとする必要があるため
に、切込部（52）への仕切板（53）の嵌入作業が行い難
く、嵌入作業の自動化の妨げとなっていた。更に、従来
の仕切部材取付け構造においては、仕切板（53）とヘッ
ダー（51）とで構成されるろう付け用のフィレット部
が、仕切板（53）の第１周面部（54）両縁とヘッダー
（51）の内周面との境界部、及び第２周面部（55）近傍
の両面部とヘッダー（51）における切込部（52）部位の
内周面との境界部にしか確保されず、接合部の品質、特
に切込部（52）近傍における接合部の気密保持性が必ず
しも充分ではなかった。

この考案は、上記のような欠点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、切込部の幅と仕切板の厚さとに従来の
ような高い寸法精度が要求されることがなく、そのため
厳しい寸法管理を行う必要がなく、しかも切込部への仕
切部材の嵌入作業を容易なものとすることができ、その
ため嵌入作業の自動化が可能で、更に仕切部材とヘッダ
ーとで構成されるろう付け用のフィレット部を増加する
ことができ、そのため両部材の接合部の品質の向上を図
ることのできる熱交換器を提供することにある。

課題を解決するための手段 そこで、この考案の熱交換器は、複数のチューブ（１）
とコルゲートフィン（２）とが交互配置にされると共
に、各チューブ（１）の両端が１対の中空ヘッダー
（３）（４）に連通接続され、かつチューブ（１）によ
って構成される流通路を熱交換媒体が蛇行状に流通する
ように、少なくとも一方のヘッダー内部を仕切る仕切部
材（10）が設けられた熱交換器であって、 前記ヘッダー（３）（４）に内外を連通する周方向の切
込部（13）が形成される一方、 前記仕切部材（10）は、ヘッダー（３）（４）の内周面
に適合する第１周面部（14）と、ヘッダー（３）（４）
の外周面に適合する第２周面部（15）とで外周面が形成
され、かつ前記切込部（13）の幅より厚さが小さい略円
板状の仕切板（16）と、 前記切込部（13）に対応する長さとヘッダー（３）
（４）の外周面に適合する内面部（17）とを有し、かつ
該内面部（17）の幅方向中間部に平行状に１対の突条
（21）（21）を有する円弧条の帯状板（18）とからな
り、 前記帯状板（18）の突条（21）（21）間に前記仕切板
（16）の第２周面部（15）側の周縁部が嵌入され、かつ
両突条（21）（21）が外側からかしめられることにより
仕切板（16）と帯状板（18）とが一体的に組合わされて
前記仕切部材（10）が構成されると共に、 該仕切部材（10）が、その仕切板（16）をその第１周面
部（14）側から切込部（13）を通じてヘッダー（３）
（４）内に挿入され、両突条（21）（21）が切込部（1
3）内に圧入されると共に、帯状板（18）の内面部（1
7）がヘッダー（３）（４）の外周面に密着された状態
で、該ヘッダー（３）（４）にろう付け一体化されてな
ることを要旨としている。

実施例 次にこの考案の実施例を図面に基づき説明する。

第１図ないし第６図はこの考案の実施例にかかるエアコ
ン用凝縮器として用いられる熱交換器を示しており、
（１）は水平状態で上下方向に配置された複数のチュー
ブ、（２）はその隣接するチューブ（１）（１）間に介
在されたコルゲートフィンである。チューブ（１）はア
ルミニウム材による扁平状の押出形材をもって構成され
たものである。このチューブ（１）はいわゆるハーモニ
カチューブと称されるような多孔型のものを用いてもよ
い。また押出形材によらず電縫管を用いてもよい。コル
ゲートフィン（２）はチューブ（１）と略同じ幅を有
し、ろう付けによりチューブ（１）に接合されている。
コルゲートフィン（２）もアルミニウム製であり、望ま
しくはルーバーを切り起こしたものを用いるのがよい。

（３）（４）は左右のヘッダーである。これらのヘッダ
ー（３）（４）は、各１本の断面円形のアルミニウム製
電縫管をもって形成されたものである。各ヘッダー
（３）（４）には長さ方向に沿って間隔的にチューブ挿
入孔（５）が穿設されると共に、該孔（５）に各チュー
ブ（１）の両端が挿入され、かつろう付けにより強固に
接合連結されている。さらに、左ヘッダー（３）の上端
には冷媒入口管（６）が、また同下端には冷媒出口管
（７）が連結されている。また右ヘッダー（４）の上端
および下端には蓋片（８）（９）がそれぞれ取着されて
いる。さらに、左ヘッダー（３）には中央部より上側と
下側の位置に各１個合計２個の仕切部材（10）（10）が
設けられ、ヘッダー（３）内が３室に仕切られる一方、
右ヘッダー（４）にも略中央部に仕切部材（10）が設け
られ、ヘッダー（４）内が２室に仕切られている。かか
る仕切部材（10）の設置により、冷媒入口管（６）から
左ヘッダー（３）に流入した冷媒は、チューブ群によっ
て構成される全通路をめぐって蛇行状に流通し、冷媒出
口管（７）から流出するものとなされている。なお、第
２図に示す（11）（12）は最外側のコルゲートフィン
（２）の外側に配置された上下のサイドプレートであ
る。

ところで、この実施例におけるヘッダー（３）（４）へ
の仕切部材（10）の取付け構造は、次のとおりである。
即ち、第１図に示すように、ヘッダー（３）（４）に
は、仕切部材（10）の取着予定位置に、外周方向にその
略半周にわたってヘッダー内外を連通する切込部（13）
が形成されている。

一方、仕切部材（10）は、切込部（13）の幅よりも小さ
い厚さの仕切板（16）と、切込部（13）を外方から覆い
得る帯状板（18）とからなるものである。

この仕切部材（10）の更に具体的な構成は次の通りであ
る。即ち、第４図（イ）（ロ）に示されるように、仕切
板（16）は、板材（19）の打抜き等によって形成された
もので、ヘッダー（３）（４）の内周面に適合し得る小
径側の第１周面部（14）と、ヘッダー（３）（４）の外
周面に適合し得る大径側の第２周面部（15）とで外周面
を構成した略円形に成形されたものである。

一方、帯状板（18）は、第４図（ハ）〜（ホ）に示され
るように、一方の面の幅方向中間部に平行状に１対の突
条（21）（21）を有する長尺帯板状の押出形材（22）を
ヘッダー（３）（４）の切込部（13）の周方向長さに等
しい長さに切断し、これに突条（21）（21）を内側とす
る曲げ加工を施して円弧状に形成されたもので、ヘッダ
ー（３）（４）の外周面に適合する内面部（17）を有す
るものとなされている。上記突条（21）（21）はその対
向面間の間隔が略上記仕切板（16）の厚さに等しく設定
されると共に、外面間の間隔がヘッダー（３）（４）の
切込部（13）の幅よりもやや大きなものに設定されてい
る。そして、第４図（ヘ）ないし第５図に示されるよう
に、帯状板（18）の両突条（21）（21）間に仕切板（1
6）の第２周面部（15）側の周縁部を嵌入し、該突条（2
1）（21）を両側からテーパ形状にかしめる（サイジン
グを含む）ことによって帯状板（18）と仕切板（16）と
が一体的に組合わされ、仕切部材（10）が構成されてい
る。この仕切部材（10）において、突条（21）（21）の
外面間の間隔は、先端側において切込部（13）の幅より
もやや小さく、基端側において切込部（13）の幅よりも
やや大きなものとなされている。

そしてこの仕切部材（10）は、第６図に示されるよう
に、その仕切板（16）が第１周面部（14）側から切込部
（13）を通じてヘッダー（３）（４）内に挿入され、更
に突起（21）（21）がその基端部まで切込部（13）内に
圧入されることによって、周面部（14）がヘッダー
（３）（４）の内周面に密着されると共に、帯状板（1
8）の内面部（17）がヘッダー（３）（４）における切
込部（13）部位の外周面に密着された状態に配置され
る。そしてこの配置状態でヘッダー（３）（４）にろう
付け一体化されている。なお、このろう付け方法として
は、ヘッダー（３）（４）、仕切板（16）、及び帯状板
（18）をアルミニウムブレージングシートにて製作し、
一括ろう付けを行う方法が挙げられるが、これに限定さ
れるものではない。

考案の効果 以上に説明したように、この考案にかかる熱交換器は、
熱交換媒体を蛇行状に流通させるためにヘッダー内部を
仕切る仕切部材の構成及びその取付け構造に特徴を有す
るものであり、前記のように仕切部材（10）の仕切板
（16）の厚さが切込部（13）の幅に対して小さく形成さ
れたものであり、かつ帯状板（18）の内面部（17）がヘ
ッダー（３）（４）における切込部（13）部位の外周面
に密着してろう付けされたものであるから、適正なろう
付けを確保しつつも仕切板（16）の厚さと切込部（13）
の幅とに従来のような高い寸法精度が要求されることが
なく、そのためこれらに対する厳しい寸法管理を行う必
要がない。しかも切込部（13）と仕切部（16）との間の
クリアランスが大きいものでよいから、切込部（13）へ
の仕切部材（10）の嵌入作業を容易なものとすることが
でき、そのため嵌入作業の自動化が可能となる。

更に、仕切部材（10）とヘッダー（３）（４）とで構成
されるろう付け用のフィレット部が、仕切板（16）の第
１周面部（14）両縁とヘッダー（３）の内周面との境界
部（26）（26）、及び突条（21）（21）とヘッダー
（３）（４）の内周面との境界部（27）（27）の他に、
帯状板（18）とヘッダー（３）（４）の外面部との境界
部（28）（28）にも確保され、そのため両部材の接合部
の品質の向上を図ることができる。

更にまた、突条（21）（21）が切込部（13）内に圧入さ
れることによって、仕切板（16）の第１周面部（14）が
ヘッダー（３）（４）の内周面に密着されると共に、帯
状板（18）の内面部（17）がヘッダー（３）（４）にお
ける切込部（13）部位の外周面に密着された状態に配置
されるものとなされているので、仕切部材（10）のこの
配置状態において、仕切部材（10）にガタツキを生じた
り、或いは仕切部材（10）がヘッダー（３）（４）から
不意に離脱することを防止することが可能であり、熱交
換器の組立作業上有利である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例にかかる熱交換器のヘッダ
ー、チューブ、仕切部材を分解状態で示す斜視図、第２
図は全体正面図、第３図は同じく側面図、第４図（イ）
〜（ヘ）は仕切部材の製作工程を示す斜視図、第５図は
第４図（ヘ）のＶ−Ｖ線断面図、第６図は仕切部材とヘ
ッダーとのろう付け後の状態を示す縦断面図、第７図は
従来の熱交換器のヘッダー、チューブ、仕切部材を分解
状態で示す斜視図である。 （１）…チューブ、（２）…コルゲートフィン、（３）
（４）…ヘッダー、（10）…仕切部材、（13）…切込
部、（14）…第１周面部、（15）…第２周面部、（16）
…仕切板、（17）…内面部、（18）…帯状板、（21）…
突条。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のチューブ（１）とコルゲートフィン
   （２）とが交互配置にされると共に、各チューブ（１）
   の両端が１対の中空ヘッダー（３）（４）に連通接続さ
   れ、かつチューブ（１）によって構成される流通路を熱
   交換媒体が蛇行状に流通するように、少なくとも一方の
   ヘッダー内部を仕切る仕切部材（10）が設けられた熱交
   換器であって、 前記ヘッダー（３）（４）に内外を連通する周方向の切
   込部（13）が形成される一方、 前記仕切部材（10）は、ヘッダー（３）（４）の内周面
   に適合する第１周面部（14）と、ヘッダー（３）（４）
   の外周面に適合する第２周面部（15）とで外周面が形成
   され、かつ前記切込部（13）の幅より厚さが小さい略円
   板状の仕切板（16）と、 前記切込部（13）に対応する長さとヘッダー（３）
   （４）の外周面に適合する内面部（17）とを有し、かつ
   該内面部（17）の幅方向中間部に平行状に１対の突条
   （21）（21）を有する円弧状の帯状板（18）とからな
   り、 前記帯状板（18）の突条（21）（21）間に前記仕切板
   （16）の第２周面部（15）側の周縁部が嵌入され、かつ
   両突条（21）（21）が外側からかしめられることにより
   仕切板（16）と帯状板（18）とが一体的に組合わされて
   前記仕切部材（10）が構成されると共に、 該仕切部材（10）が、その仕切板（16）をその第１周面
   部（14）側から切込部（13）を通じてヘッダー（３）
   （４）内に挿入され、両突条（21）（21）が切込部（1
   3）内に圧入されると共に、帯状板（18）の内面部（1
   7）がヘッダー（３）（４）の外周面に密着された状態
   で、該ヘッダー（３）（４）にろう付け一体化されてな
   ることを特徴とする熱交換器。