JPH0645017B2 - 電気集塵機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は吸込口と吹出口とを連通する空気流路中に、絶
縁性合成樹脂でモールドされた陽極板と陰極の集塵極板
からなる集塵部を配置した電気集塵機に関するものであ
る。

（従来の技術） 従来、陽極板と集塵極板とを備える集塵部を設けた電気
集塵機において、電気絶縁膜で電極板をモールドする技
術、並びに電極板の表面に半導体層を設ける技術が、特
開昭48-88554号公報などによって公知であり、絶縁破壊
又は塵の再飛散を防ぐ技術が開示されている。

（発明が解決しようとする課題） しかし、絶縁性合成樹脂をモールド材として電極板をモ
ールドすると、モールド材の特性として湿度によりモー
ルド材の表面抵抗が大きく変化し易いもので、湿度上昇
してモールド材の表面抵抗が減少することにより、モー
ルド材の表面電位が低下して集塵性能を低減させる等の
問題があった。

本発明はこのような問題に着目し、モールド材に撥水性
を付与することにより湿度による影響を減少させ、高湿
度域まで性能向上を可能ならしめることを目的とするも
のである。

（課題を解決するための手段） しかして、上記目的に適合する本発明は、金属薄板の周
囲が絶縁性合成樹脂でモールドされた陽極板と、前記陽
極板に平行に設ける陰極の集塵極板とを集塵部に備える
電気集塵機において、前記絶縁性合成樹脂で形成するモ
ールド材に撥水剤を練入させて、前記モールド材自体に
撥水性をもたせたことを特徴とする。

また、本発明は、金属薄板の周囲が絶縁性合成樹脂でモ
ールドされて陽極板と、前記陽極板に平行に設ける陰極
の集塵極板とを集塵部に備える電気集塵極において、撥
水剤のコーティング又は撥水性フィルム(2)の接着など
によって撥水層(11)を前記陽極板(6)のモールド材表面
に形成したことを特徴とする。

（作用） 上記の如く構成したモールド材に撥水剤を練入させて撥
水性を高めたから、湿分をはじき、湿度によりモールド
材の表面抵抗が大巾に変わるのを阻止することができ、
湿度湿度変化によるモールド材の表面電位の低下を防
ぎ、高湿度域での集塵性能の維持を容易に図ることがで
きる。

また、撥水剤のコーティング又は撥水性フィルムの接着
などによって陽極板のモールド材表面に撥水層を形成し
たことによって前記撥水剤練入と同じく湿分をはじい
て、高湿度によって陽極板の表面抵抗が減るのを阻止す
ることができ、高湿度域での陽極板の表面電位低下を防
いで集塵性能を良好に維持させることができる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。

第１図は本発明の概要示斜視図であって、立方形状のフ
レームで囲繞してなる集塵機本体(1)には吸込口と吹出
口との間に吸込口側からイオン化部(2)と集塵部(3)とが
前後の配列で収納されており、集塵部(3)は矢示線(A)方
向にスライド操作により挿脱可能となっている。

そして、イオン化部(2)は図示例においては上下方向の
多段に等ピッチの平行を保持し並べた対向極板(4)，(4)
・・・と、対向極板(4)，(4)間の中心線位置に平行をな
し張設したイオン化線(5)，(5)・・・とからなり、流通
する空気中に含まれる微細塵埃にプラスイオン帯電させ
る個所となっている。

一方、集塵部(3)は、第２図に示すように陽極板(6)と陰
極の集塵極板(7)とを空気流通可能な空隙が介在するよ
う交互に重ねて形成した集塵エレメント(9)を、四角の
短筒をなす枠体(8)内に充填させて収設した構造となっ
ており、図示例は平帯状の金属箔からなる長尺の極板
(M)の周囲を絶縁性合成樹脂で形成するモールド材(P)に
よりモールドした長尺の陽極板(6)と、長手方向に波状
のスペーサー(10)・・・が繰り返し形成される金属箔か
らなる長尺の集塵極板(7)とを接して重ね合わせた後、
平たい楕円形のコイル状に巻付けて前記集塵エレエント
(9)を形成しており（第２図参照）、段ボール紙を平丸
巻した形に似て陽極板(6)と集塵極板(7)との間に区切ら
れた多数の空気流通空隙が存在している。

なお、イオン化部(2)でマイナスイオン帯電させる場合
はモールドされた電極が陰極で陽極の集塵極板であった
も何ら差し支えないものである。

かくしてこの集塵エレンメント(9)を枠体(8)内に収納し
て、一番外側の巻終わり端部において、前記両極板(6)
(7)が本体側に設けた高圧電源と接地電源とに夫々接続
されるようになっている。

しかして、上記の如き構成において第３図からも明らか
なように、本発明はその特徴として連続す平帯形の集塵
極板(7)を波形に曲げて圧縮した形のスペーサー(10)・
・・を繰り返し形成し、隣接する陽極板(6)，(6)の間隔
をスペーサー(10)によって略一定間隔で隔てるようにし
た集塵極板(7)に陽極板(6)が重ね合わされるが、この陽
極板(6)は絶縁性合成樹脂で形成するモールド材(P)に撥
水剤(T)を練入させて、前記モールド材(P)に撥水性を持
たせたものからなり、例えば塩化ビニルなどの樹脂によ
りモールド材(P)を構成し、撥水剤(T)としてテフロン，
シリコン又は弗素系樹脂などが用いられ、塩化ビニルに
それら適量の撥水剤(T)を練入してモールド材(P)を成形
加工しモールド材(P)の撥水性を高めるように形成して
いる。

従って、相対湿度が上昇しても、モールド材(P)表面の
撥水性により湿分をなじき、この表面の水分が不連続で
不均一に分布し、モールド材(P)の表面抵抗を減少させ
ることがなく、モールド材(P)の表面電位が低下するの
を防ぐこととなり、湿度による影響が減り、高湿度域ま
で集塵性能を維持することができる。

以上はモールド材(P)自体で撥水剤(T)を混入している場
合であるが、モールド材(P)の撥水性は上記に限らず、
特に表面のみが問題であることから表面に撥水性被膜層
を形成することによっても同様に目的を達成することが
可能である。

第４図はかかる場合を示し、撥水剤のコーティングによ
って陽極板(6)表面に撥水層(11)を形成し、陽極板(6)表
面の撥水性を高めている。この場合も陽極板(6)のモー
ルド材(P)表面に撥水層(11)が形成されるから、この撥
水層(11)の撥水作用によってモールド材(P)の表面抵抗
が高湿度によって減りことがなく、モールド材(P)の表
面電位が低下するのを防いで、高湿度域まで集塵性能を
維持することができる。

また、第５図は第４図の変形例を示すもので、陽極板
(6)表面に撥水性フィルム(12)を接着し、陽極板(6)表面
に撥水層を形成したものであり、前記の各実施例と同様
の作用効果を得ることができる。

次に、コーティングする撥水剤としシリコングリス又は
弗素系樹脂を使用し、コーティングによるモールド材
(P)の表面電位に対する効果を調べた結果を第６図乃至
第８図により説明する。即ち第６図に示すように、モー
ルド材(P)を0.3ミリメートルの厚さとし、陽極板(6)
と、アース電極を成す集塵極板(7)との間に２キロボル
トの電位を印加させると共に、集塵極板(7)から10ミリ
メートル離れた位置でモールド材(P)表面の撥水面(11)
に近接させて非接触型の表面電位計センサ(13)を配置さ
せたもので、第８図の如く室温30度で湿度50パーセント
の状態で加湿を行い、約30分で湿度80パーセントの高湿
度域にまで湿度を上昇させたところ、第７図の如く、モ
ールド材(P)である塩化ビニルだけのときは、破線で示
すように、表面電位が1000ボルト以下にまで低下する
が、シリコングリス又は弗素系樹脂をコーティングした
モールド材(P)とのときは、実線で示すように、高湿度
域でも表面電位が約2000ボルトに維持されることが確認
された。なお前記塩化ビニルはモールド材(P)として最
適の体積抵抗率（10¹¹〜¹²Ω・ｍ）を有している。

（発明の効果） 以上のように本発明は、モールド材(P)に撥水剤(T)を練
入させてモールド材自体の撥水性を高めたもので、その
撥水作用によって湿度によりモールド材(P)の表面抵抗
が変化するのを阻止し、高湿度によってモールド材(P)
の表面電位が低下するのを防ぎ、湿度の影響を減少さ
せ、高湿度域まで集塵性能を維持することができる効果
を奏する。また、本発明の請求項２記載の発明は、撥水
剤のコーティング又は撥水性フィルム(12)の接着などに
よって陽極板(6)のモールド材表面に撥水層(11)を形成
したもので、前記の場合と同じくモールド材(P)の表面
抵抗が湿度により変化するのを撥水面(11)の撥水作用に
よて阻止することができ、モールド材表面の被覆のみに
よってより簡単に撥水剤と同様、湿度による影響を減少
させ、高湿度でもモールド材(P)の表面電位が低下する
のを防ぎ、十分、高湿度域まで集塵性能を確保すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す概要示斜視図、第２図
は集塵部の部分斜視図、第３図は集塵部の部分拡大斜視
図、第４図は本発明の一実施例を示す集塵部の部分拡大
斜視図、第５図は前図の変形例を示す部分拡大斜視図、
第６図は実験例を示す説明図、第７図は湿度に対する表
面電位変化を示す線図、第８図は湿度変化を示す線図で
ある。 (3)……集塵部，(6)……陽極板， (7)……集塵極板，(11)……撥水面， (12)……撥水性フィルム， (P)……モールド材，(T)……撥水剤，

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭61−143644（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−95416（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭61−6708（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】金属薄板の周囲が絶縁性合成樹脂でモール
   ドされた陽極板(6)と、前記陽極板(6)に平行して設けら
   れた陰極の集塵極板(7)とを集塵部(3)に備える電気集塵
   機において、前記絶縁性合成樹脂で形成するモールド材
   (P)に撥水剤(T)を練入させて、前記モールド材(P)に撥
   水性をもたせたことを特徴とする電気集塵機。
2. 【請求項２】金属薄板の周囲が絶縁性合成樹脂でモール
   ドされた陽極板(6)と、前記陽極板(6)に平行して設けら
   れた陰極の集塵極板(7)とを集塵部(3)に備える電気集塵
   機において、前記陽極板(6)のモールド材表面に撥水剤
   のコーティング又は撥水性フィルム(12)などよりなる撥
   水層(11)を形成せしめたこと特徴とする電気集塵機。