JPH0640481U - ドラムブレーキ用自動調整ストラット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動調整ストラットを構造簡単で低コストで
製造できるようにすると共に、ねじ・ナット装置のナッ
トと協働するラチェットを備えた弾性板のストラットへ
の装着を容易に行えるようにする。 【構成】 ブレーキシュー間に配置されるストラット本
体５が、主伸長部分１５と拡大頭部１６を形成する端部
とから成る単一の鋳造部品として形成され、主伸長部分
１５がその実質的に平らな外面２７から突出する少なく
とも１つの突起２８を一体に設けており、突起２８が弾
性板の穴内に挿入されて、前記突起２８をクリンプする
ことにより弾性板をストラット本体５に装着する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】 本考案は、ドラムブレーキのブレーキシューの摩擦ライニングの摩耗を自動的 に補償する自動調整装置、特に、２つのブレーキシュー間に配置される金属製ス トラット本体とねじ・ナット装置とから成り、ねじ・ナット装置のねじがストラ ット本体のハウジング内に収蔵され、ねじ・ナット装置のナットがストラット本 体に装着された弾性板に固着されているラチェットと選択的に協働するようにし た型のドラムブレーキ用自動調整ストラットに関する。

【０００２】 この型のストラットが本出願人名義の特開昭５８−７７９３１号公報に記載さ れている。

【０００３】 ドラムブレーキ用自動調整装置のストラット本体は、一般に、圧延された後に 鍛造されるか、または通常はプレス成形された後に機械加工される管で形られて おり、このような一連の作業は、製造コストを比較的高くすると共に、相当数の 構成部品を不良のものとさせる結果となる。又、上記型のストラットでは、ラチ ェットを備えた弾性板をストラット本体に装着することが幾分困難であり、製造 コストをさらに増大させることとなる。

【０００４】 本考案の目的は、構造が簡単でコストが安く、大量生産に適しており、しかも 、ねじ・ナット装置のナットと協働するラチェットを備えた弾性板の装着が容易 となるように構成した上記型の自動調整ストラットを提供することにある。

【０００５】 この目的を達成するため、本考案は、上記型のドラムブレーキ用自動調整スト ラットにおいて、ストラット本体が、主伸長部分と拡大頭部を形成する端部とか ら成る単一の鋳造部品として形成され、主伸長部分はその実質的に平らな外面か ら突出する少なくとも１つの突起を一体に設けており、突起は弾性板の穴内に挿 入されて、前記突起をクリンプすることにより弾性板をストラット本体に装着す ることを特徴としている。

【０００６】 この構成によると、ストラット本体を単一の鋳造部品として形成できるため、 製造が簡単でコストを低減できると共に、主伸長部分の平らな面の突起をクリン プすることにより弾性板をストラット本体に装着できるので、この装着を容易に 行うことができる。

【０００７】 本考案の上記及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して行う実施例の下記 説明から明白となるであろう。

【０００８】 図１において、前記特開昭５８−７７９３１号公報の記載からわかるように、 自動調整ストラットは両端部を自動車用ドラムブレーキの２つのブレーキシュー ３と４のウェブ１と２に夫々当接せしめられるように配置され、典型的には駆動 装置（図示しない）の近傍に配置されており、駆動装置は２つのブレーキシュー ３と４間に配置され、シューを互いに離れる方向に押動して回転ブレーキドラム （図示しない）に摩擦係合させることができる。自動調整ストラットは、一般に 、ブレーキシュー４のウェブ２、典型的には、ドラムブレーキのハンドブレーキ レバー６と一方の端部において協働するストラット本体５と、他のブレーキシュ ー３のウェブ１と一方の端部において協働するねじ・ナット装置７とを備えてい る。ねじ・ナット装置７は、スプリング１０によってブレーキシュー３のウェブ １に係合保持される頭部９を設けたねじ８と、ねじ８に螺合されるナット１１と を備え、ナットは、ストラット本体５に装着された弾性板１３に固定されている ラチェット１２と選択的に協働する一組の外歯を備えている。後述するように、 ラチェット１２は傾動部材又は調整クランク１４によってナット１１の歯から通 常離隔されており、前記特開昭５８−７７９３１号公報に記載されているように 、クランク１４はねじ８上に自由に嵌挿され、ナット１１とストラット本体５の 隣接する平らな端面との間に配置される。

【０００９】 本考案によると、ストラット本体５は中実の形状を有し、付加の機械加工を要 することなく鋳造によってのみ、融解点が低く延性のある金属合金、典型的には 青銅で単一部片として形られる。図２に明瞭に示されているように、ストラット 本体５はビームの形状をなす主伸長部分１５を備え、主伸長部分は実質的に平行 四辺形の断面を有し、一端部において実質的に正方形の断面を有する拡大頭部１ ６で終り、周辺を塞がれた孔１７が拡大頭部１６を長手方向に貫通し、この頭部 を越えて主伸長部分１５まで同一径の円筒状部分１８として延びており、円筒状 部分は周辺を部分的に塞がれ、即ち、主伸長部分１５と頭部１６との間の厚さの 差により生じる横方向開口部を有する。頭部１６とは反対側の端部において、主 伸長部分１５は図中下方の部分をフック形成部分１９で終り、フック形成部分は ハンドブレーキレバー６の縁部を受容すると共に、該レバーのための当接部２０ を形成する底部及び横方向接触面２１を形成している。主伸長部分１５は図中上 方の部分を延長脚部２２で終り、脚部は肩部２３によってフック形成部分１９の 面２１に連結され、対応するブレーキシュー４のウェブ２の隣接面のための長手 方向接触面２４を形成している。さらに、延長脚部２２はフック形成区域２５に よって主伸長部分１５の上方部分に結合され、フック形成区域２５は、ブレーキ シュー４のウェブ２の任意の場所に取付けられて該シューを肩部２３に向けて押 すスプリング２６の脚を受容するようになっている。

【００１０】 本考案の特徴によると、ストラット本体５の主伸長部分１５の図中下方の外面 ２７は実質的に平らであり、フック形成部分１９の近傍に、この外面２７から直 角方向に外方へ突出する１つ又は典型的には２つの突起又はペッグ２８を備えて おり、ペッグ２８は弾性板１３の対応する穴２９に挿入されるようになっており 、鋳造によってストラット本体５に直接形成される。従って、弾性板１３は、図 １に示されているように、できれば加熱しながらペッグ２８の端部を単にクリン プすることにより、ストラット本体５に迅速に且つ極めて正確に装着できる。ス トラット本体５は、付加の機械加工を要することなく鋳造によって、特にねじ・ ナット装置７のねじ８を収蔵するハウジング（１７、１８）に関しては極めて精 密である単一部片として形ることができ、このことは大量の正確な再生産を可能 とし、また特に延長脚部２２に関する限りは、異なる型のドラムブレーキに適す るように形状、寸法及びスプリング２６の取付け方法を自由に選定できるように している。

【００１１】 図１に示されている自動調整ストラットの作動は次のとおりである。休止時、 ブレーキシュー３と４を互いに向けて押すスプリング（図示しない）がストラッ ト本体５とねじ・ナット装置７とを互いに向けて押して、調整クランク１４のリ ング部をストラット本体５の拡大頭部１６の平らな端面及び隣接するナット１１ に対して接触保持する。従って、調整クランク１４の腕が弾性板１３をストラッ ト本体５の外面２７から離し、そしてラチェット１２（弾性板１３に固着される か、又はこの板と一体の単一部片として形成される）をナット１１の歯から分離 する。ブレーキ駆動装置が作動されると、シュー３と４が互いに離隔せしめられ てストラット本体５とねじ・ナット装置７とを互いに離し、この結果、調整クラ ンク１４のリング部がねじ８に対して傾斜した位置に復帰し、弾性板１３がスト ラット本体５の外面２７に向けて弾性的に移動してラチェット１２をナット１１ の歯に係合させ、弾性板１３がストラット本体５に対して休止状態となるまでナ ット１１をねじ８に対して回転せしめることができる。ブレーキ作動が解除され ると、２つのシュー３と４が互いに向かって再び移動してストラットを圧縮し、 ラチェット１２をナット１１の歯から分離させるように調整クランク１４を再度 傾動させることとなる。

【００１２】 本考案を特定の実施例について説明したが、本考案はこれにのみ限定されるも のではなく、当業者には本考案の範囲を逸脱することなく幾多の変更及び修正を 加えて実施し得ることが理解できよう。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるストラット本体を備えたドラムブ
レーキ用自動調整ストラットの配置を示す概略図であ
る。

【図２】図１のストラット本体の斜視図である。

【符号の説明】

１，２ ウェブ ３，４ ブレーキシュー ５ ストラット本体 ６ ハンドブレーキレバー ７ ねじ・ナット装置 ８ ねじ １０ スプリング １１ ナット １２ ラチェット １３ 弾性板 １４ 調整クランク １５ 主伸長部分 １６ 拡大頭部 １７ 孔 １８ 円筒状部分 １９ フック形成部分 ２０ 当接部 ２１ 横方向接触面 ２２ 延長脚部 ２３ 肩部 ２４ 長手方向接触面 ２５ フック形成区域 ２６ スプリング ２７ 外面 ２８ ペッグ ２９ 穴

Claims (8)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】２つのブレーキシュー（３，４）間に配置
   される金属製ストラット本体（５）とねじ・ナット装置
   （７）とから成り、ねじ・ナット装置のねじ（８）がス
   トラット本体のハウジング（１７，１８）内に収蔵さ
   れ、ねじ・ナット装置のナット（１１）がストラット本
   体に装着された弾性板（１３）に固着されているラチェ
   ット（１２）と選択的に協働するドラムブレーキ用自動
   調整ストラットにおいて、ストラット本体（５）が、主
   伸長部分（１５）と拡大頭部（１６）を形成する端部と
   から成る単一の鋳造部品として形成され、主伸長部分
   （１５）がその実質的に平らな外面（２７）から突出す
   る少なくとも１つの突起（２８）を一体に設けており、
   突起（２８）が弾性板（１３）の穴（２９）内に挿入さ
   れて、前記突起（２８）をクリンプすることにより弾性
   板をストラット本体（５）に装着することを特徴とする
   ドラムブレーキ用自動調整ストラット。
2. 【請求項２】請求項１記載の自動調整ストラットにおい
   て、主伸長部分（１５）が実質的に平行四辺形の断面を
   有するとともに、拡大頭部（１６）が実質的に正方形の
   断面を有し、ねじ（８）のためのハウジングが、拡大頭
   部（１６）を貫通し周辺を塞がれた孔（１７）と、スト
   ラット本体（５）の主伸長部分（１５）内に延び周辺を
   部分的に塞がれた円筒状部分（１８）とから成ることを
   特徴とする自動調整ストラット。
3. 【請求項３】請求項２記載の自動調整ストラットにおい
   て、ストラット本体（５）が、拡大頭部（１６）を形成
   する端部とは反対側の端部の近傍に、ドラムブレーキの
   ハンドブレーキレバー（６）の縁部を受容するフック形
   成部分（１９）を備えていることを特徴とする自動調整
   ストラット。
4. 【請求項４】請求項３記載の自動調整ストラットにおい
   て、ストラット本体（５）の拡大頭部（１６）を形成す
   る端部とは反対側の端部が、肩部（２３）によってフッ
   ク形成部分（１９）に連結され隣接するブレーキシュー
   （４）のウェブ（２）の面のための接触面（２４）を形
   成している延長脚部（２２）を備えていることを特徴と
   する自動調整ストラット。
5. 【請求項５】請求項４記載の自動調整ストラットにおい
   て、延長脚部（２２）が、前記隣接するブレーキシュー
   （４）と協働するスプリング（２６）を取付けるための
   フック形成区域（２５）によって主伸長部分（１５）に
   結合されていることを特徴とする自動調整ストラット。
6. 【請求項６】請求項３ないし５のいずれか１項に記載の
   自動調整ストラットにおいて、ストラット本体（５）が
   フック形成部分（１９）の近傍に配置された２つの突起
   （２８）を備えていることを特徴とする自動調整ストラ
   ット。
7. 【請求項７】請求項１ないし６のいずれか１項に記載の
   自動調整ストラットにおいて、ストラット本体（５）が
   融解点の低い合金で作られていることを特徴とする自動
   調整ストラット。
8. 【請求項８】請求項７記載の自動調整ストラットにおい
   て、ストラット本体（５）が青銅で作られていることを
   特徴とする自動調整ストラット。