JPH0638723B2 - 植物育成用培土 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、植物育成用培土に関するもので、特にロック
ウール粒状綿とピートモスを主成分とする植物育成用培
土の改良に関するものである。

［従来の技術］ 従来、人工の植物育成用培土として、ロックウール粒状
綿とピートモスを主成分として混合して成る培土が提案
され、実用化されている。

上記混合培土は、ロックウールの高い孔隙率が有効に生
かされて保水性がよいために、潅水作業の頻度が少なく
てすむので、大幅な省力化が可能であり、また同時に通
気性に富んでおり、主要部分を占めるロックウールが無
菌であることから、全体としても有害菌が少なく、そし
て天然腐葉土の一種であるピートモスの混在によってｐ
Ｈが植物の成育に適当な持続的に調整されていると共に
その性状が天然土壌に近づいており、しかも何ら複雑な
装置を必要とすることなく、苗床、ハウス、プランタ
ー、鉢等の土壌として天然土壌と変わりなく使用でき
る。そして見かけ上比重が天然土壌の約１／３であるか
ら、土壌運搬、すき起し、肥料混入、苗移動などの作業
を容易に行なうことができる。

［発明が解決しようとする課題］ 上記の如く、ロックウール粒状綿とピートモスから成る
混合培土は、数多くのすぐれた特長を有してはいるもの
の、保水性について問題がある。すなわち、上記混合培
土は保水量は充分であるが、それが原因で過湿になる傾
向がある。

前記過湿を抑えるため、ロックウール粒状綿を撥水処理
を施した粒状綿と、親水性の粒状綿とを混綿して保水性
を調節する手段が適用されているが、それでも過湿を確
実に抑制することはむずかしい。

また、ロックウール粒状綿とピートモスから成る混合培
土は、いちど乾燥させた後は、吸水が悪い欠点（主とし
て、ピートモスの性質による）がある。

［発明の目的］ 本発明は、ロックウール粒状綿とピートモスを主成分と
して混合して成る培土において、過湿となる傾向ならび
に乾燥後の吸水性の悪化等の欠点を一挙に解決し得る有
用な植物育成用培土を提供するためになされたものであ
る。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、上記目的を達成するため、ロックウール粒状
綿２０〜６０容量％とピートモス２０〜７０容量％が主
成分とされ、それに粒状軽石および／または粒状バーミ
キュライト１０〜４０容量％が配合され、前記ロックウ
ール粒状綿は、界面処理を施した親水性の細粒綿、また
は前記界面処理を施した親水性の細粒綿と撥水性を有す
る細粒綿、または親水性を有する微粒綿から成り、前記
細粒綿はＪＩＳ Ｚ８８０１の振とうふるい機のふるい
目における２．３８〜４．７５mmの範囲で５０〜１００
％、残部のうち７５mm以上が５０〜０％のものとされ、
微粒綿はＪＩＳ Ｚ８８０１の振とうふるい機のふるい
目における０．５〜２．３８mmの範囲で５０〜１００
％、残部のうち２．３８mm以上が５０〜０％のものとさ
れていることを要旨としている。

さらに、本発明は前記植物育成用培土にｐＨ調整剤が
０．０５〜０．２容量％配合されていることを要旨とし
ている。

［作用］ 上記配合による植物育成用培土においては、粒状軽石お
よび／または粒状バーミキュライトの混在ならびにロッ
クウール粒状綿の構成により培土中の保水量が調整され
るので、過湿の傾向は防止され、また、いちど乾燥させ
た後の吸水低下も改善される。

さらに、ｐＨ調整剤の混在により、培土を植物育成に最
適とされるｐＨ値に調整することが可能となる。

［実施例］ 本発明の植物育成用培土の主成分であるロックウール粒
状綿には、界面処理を施した親水性の細粒綿、同処理を
施した親水性の微粒綿、低度の撥水性を有する細粒綿、
シリコン処理を施した撥水性の細粒綿が選択使用され
る。

上記細粒綿は、ＪＩＳ Ｚ８８０１の振とうふるい機の
ふるい目における２．３８〜４．７５mmの範囲で５０〜
１００％、残部のうち４．７５mm以上が５０〜０％のも
のであり、また微粒綿は、ＪＩＳ Ｚ８８０１の振とう
ふるい機のふるい目における０．５〜５．３８mmの範囲
で５０〜１００％、残部のうち２．３８mm以上が５０〜
０％のものが好ましい。

培土のもう一つの主成分であるピートモス（ｐＨ値３〜
４）は、水ゴケの堆積物を破砕したものが用いられる。

上記ロックウール粒状綿およびピートモス細片の培土主
成分に混合する軽石は、小粒（４〜８mm）と中粒（８〜
１２mm）に分けて使用するのが好ましい。バーミキュラ
イト（２号）も軽石とほぼ同様にして使用される。

ｐＨ調整剤としては、例えば消石灰、有機石灰等が用い
られる。

さらに培土には、窒素肥料、リン酸肥料、カリウム肥料
が、用途に応じ、単肥または複合肥料として配合され
る。また、肥料成分の一部にＢＭ重焼リンが用いられ
る。

その他、硬質ウレタン等の有機合成発泡体の粒状物が通
気性の改善材として配合使用される。

また、前記ピートモスを親水化して使用する場合には、
活性剤が添加される。

上記ロックウール粒状綿およびピートモスを主成分と
し、これに軽石（またはバーミキュライト）、ｐＨ調整
剤、肥料成分等を混合して培土を調製する際の配合比率
は、用途ならびに栽培方法によって最適な値に定められ
るが、ロックウール粒状綿２０〜６０容量％、ピートモ
ス２０〜７０容量％、軽石またはバーミキュライト１０
〜４０容量％、ｐＨ調整剤０．０５〜０．２容量％、肥
料成分０．１〜２．０容量％の比率にするのが好まし
く、その配比例を越えたものは、前述した所期の効果が
得られないことが栽培実験により判明されている。

しかして、上記培土のロックウール粒状綿として、親水
性の細粒綿および撥水性の細粒綿を併用する場合には、
培土の保水量を幅広く調整可能となる。また、粒子径の
小さい親水性微細綿の使用によれば、例えば、植物種の
沈み防止に効果がある。培土中に混在している軽石（ま
たはバーミキュライト）は、培土を通気性の良い状態に
保つのに、極めて有効な混合物となるばかりでなく、培
土中の水分を吸収して、培土が過湿となるのを防止する
役目も果たす。とくに、ロックウールとピートモスだけ
の混合物は、一度乾燥させたあとは、吸水が悪くなるが
（主としてピートモスの性質に起因する）、その分、軽
石が代って吸水するので、吸水の低下を起すおそれもな
い。

一方、培土に配合されているｐＨ調整剤は、混合後のｐ
Ｈが多くの植物の成育に最適とされるｐＨ（５．５〜
６．５）となるか、または近いところになるように、し
かも、その性状および栄養素がなるべく天然土壌に近づ
くようにするために、有効なものである。

培土に配合する肥料は、特に限定されるものではない
が、ＢＭ重焼リンは根の活着に効果がある。

次に、本発明による各種の実施例（シクラメン栽培用）
を、表として示す。

また、前記各実施例による培土の含水率（容積％）を下
記表に示す。

上記表中、ｐＦ０とは、培土を充分に湿らせた後に、重
力で抜け落ちる水分を落した時の状態であり、ｐＦ１．
５とは、水柱圧の差で３２cmの吸引をかけた時の値であ
る。

即ち、本発明によれば、前記実施例の培土含水率に示す
ように、過湿の防止に優れた植物育成用培土が得られ
る。

［発明の効果］ 以上詳述したように、本発明によれば、ロックウール粒
状綿およびピートモスを主成分とし、これに粒状軽石お
よび／または粒状バーミキユライトを配合し、かつ前記
ロックウール粒状綿を、親水性を有する細粒綿、親水性
を有する微粒綿、撥水性を有する細粒綿から選択使用す
ると共に前記細粒綿および微粒綿の大きさを調製して構
成したものであるから、保水性と通気性が共に良好で、
しかも過湿の防止に優れた性能を備えた植物育成用培土
を得ることができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 千春 長野県上水内郡牟礼村牟礼396 ニチアス セラテック株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ロックウール粒状綿２０〜６０容量％とピ
   ートモス２０〜７０容量％が主成分とされ、それに粒状
   軽石および／または粒状バーミキユライト１０〜４０容
   量％が配合され、前記ロックウール粒状綿は、界面処理
   を施した親水性の細粒綿、または前記界面処理を施した
   親水性の細粒綿と撥水性を有する細粒綿、または親水性
   を有する微粒綿から成り、前記細粒綿はＪＩＳ Ｚ８８
   ０１の振とうふるい機のふるい目における２．３８〜
   ４．７５mmの範囲で５０〜１００％、残部のうち７５mm
   以上が５０〜０％のものとされ、微粒綿はＪＩＳ Ｚ８
   ８０１の振とうふるい機のふるい目における０．５〜
   ２．３８mmの範囲で５０〜１００％、残部のうち２．３
   ８mm以上が５０〜０％のものとされていることを特徴と
   する植物育成用培土。
2. 【請求項２】ｐＨ調整剤が０．０５〜０．２容量％配合
   されている第１請求項に記載の植物育成用培土。