JPH0636733U - クランプ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 クランプ装置において、盤面の既存のタップ
穴を有効活用して盤面に装着可能にすること、クランプ
装置の位置切り換えを簡単化し、クランプ及びクランプ
解除の作業性を高め、クランプ力を強化すること等であ
る。 【構成】 クランプ装置１０は、盤面２に複数のボルト
で固定解除可能に固定されるベース部材１１と、このベ
ース部材１１上に載置され、ガイド機構１３により前後
方向に移動自在に且つベース部材１１から浮上しないよ
うに係止されるクランプ本体１２と、クランプ本体１２
の出力部１２ａに設けられた８つの油圧シリンダ３０等
で構成され、前記ガイド機構１３は、前後方向の細長い
複数のガイド孔１４と、複数の鍔付きブッシュ１７と、
複数のボルト２０とで構成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、金型や機械加工に供されるワークを盤部材の盤面に固定する為のク ランプ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

射出成形機やプレス機械の金型を金型固定盤に金型をクランプするクランプ装 置として、例えば、実開昭４８−４４０７３号公報、特公昭５２−３０３７１号 公報に記載のように種々のクランプ装置が実用に供されている。 特に、横型の射出成形機では、縦向きの金型固定盤が設けられ、その金型固定 盤の左右両側部分にクランプ装置が設けられ、金型の交換時には、天井クレーン を用いて金型の交換を行うのが普通である。この金型交換時、クレーンのワイヤ を金型に連結し、クランプ装置のクランプを解除してクランプ装置を側方へ退避 させた状態において、使用済みの金型を上方へ吊り上げて搬出し、その後、別の 金型をクレーンで吊り下げて、盤面に沿って下降させ、クランプ装置を金型の方 へ移動させた状態においてクランプ装置により、金型を盤面に固定することにな る。更に、金型の交換により金型のサイズが変わる場合にも、クランプ装置の取 付け位置を変える必要がある。

【０００３】 横型の射出成形機の盤面には、Ｔ溝が形成されておらず、所定の配置パターン で複数のタップ穴が形成されているだけであることから、クランプ装置としては 、前記タップ穴を介して盤面に固定でき、且つ盤面に装着した状態において、位 置切り換え可能なクランプ装置を適用することが望ましい。 この要請に応え得るクランプ装置としては、実公昭５８−５４９９０号に記載 のクランプ装置が実用に供されている。このクランプ装置においては、クランプ アームにスリットが形成され、クランプアームの上端に係合される押え板のボル ト穴とクランプアームのスリットに挿通させた支点ボルトが盤面のボルト穴に螺 合され、クランプアームの後端部がスペーサやボルト部材を介して盤面に支持さ れ、支点ボルトを締結することにより、クランプアームの前端部で金型が盤面に 固定されるように構成してある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

前記射出成形機やプレス機械において金型を交換する際には、クランプ装置を 退避させてから金型を取外し、その後別の金型を搬入してから、クランプ装置を クランプ位置にセットして、クランプすることになる。 前記実公昭５２−３０３７１号公報のクランプ装置では、クランプ本体をボル トで盤面に固定してあるため、金型の交換時に、クランプ装置の位置切り換えに 労力と時間がかかる。前記実開昭４８−４４０７３号公報のクランプ装置では、 射出成形機の盤面のようにＴ溝が形成されていない盤面には装着できない。

【０００５】 一方、実公昭５８−５４９９０号公報に記載されたクランプ装置は、盤面の既 存のタップ穴を有効活用して装着でき、かつ支点ボルトを緩めることで、クラン プアームの位置を切り換え可能である。しかし、クランプ解除状態ではクランプ アームと支点ボルトとが何ら連結されていないことから、それらがバラバラにな りやすく、その取扱いや保管が面倒である。 このクランプ装置は、軽量であるため、横型射出成形機の鉛直な盤面に金型を 固定するのに好適であるが、強力なクランプ力を発生できないので、多数のクラ ンプ装置が必要になり、クランプとクランプ解除の作業性を高めることが困難で あり、クランプ解除時に部品の落下の危険性がある、等の問題がある。 本考案の目的は、クランプ装置において、盤面の既存のタップ穴を有効活用し て盤面に装着可能にすること、クランプ装置の位置切り換えを簡単化すること、 クランプ及びクランプ解除の作業性を高めること、クランプ力を強化すること、 等である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

請求項１のクランプ装置は、クランプ対象物を盤状部材の盤面に固定する為の クランプ装置において、前記盤面上に固定解除可能に固定される厚板状のベース 部材と、前記ベース部材の頂面に底面を当接させた状態に配置されるクランプ本 体と、前記ベース部材に、クランプ本体を、前後方向に移動可能に且つベース部 材の頂面から浮上しないように係止するガイド機構と、前記クランプ本体の前端 部に設けられた出力部に夫々盤面と直交状に装着され、ピストンロッドを盤面の 方へ進出駆動可能な複数の油圧シリンダであって、前後方向と直交する方向に１ 列状に配置された複数の油圧シリンダとを備えたものである。

【０００７】 請求項２のクランプ装置では、前記ガイド機構が、クランプ本体に前後方向に 細長くかつ盤面と直交状に形成され、かつ並列状に配置された複数のガイド孔と 、前記複数のガイド孔に夫々挿通された複数の鍔付きブッシュと、前記複数の鍔 付きブッシュに夫々挿通されてベース部材のボルト穴に螺合され、鍔付きブッシ ュをベース部材の頂面に固定する複数のボルトとで構成されている。 ここで、前記ガイド孔は、クランプ本体の頂部に開放され且つ段部を有する断 面Ｔ字状の孔に形成され、前記鍔付きブッシュが前記段部を係止するように構成 （請求項３）してもよく、また、前記ガイド孔は、クランプ本体の頂部に開放さ れない且つ段部を有する断面Ｔ字状の孔に形成され、前記鍔付きブッシュが前記 段部を係止するように構成され、且つ前記ガイド孔はクランプ本体の前端部又は 後端部に開放された構成（請求項４）としてもよい。 請求項５のクランプ装置では、前記出力部に、油圧供給ポートと、この油圧供 給ポートに複数の油圧シリンダの油圧室を連通する油路とが設けられている。

【０００８】 請求項６のクランプ装置では、前記クランプ本体の内部に、前後方向に向けた 油圧シリンダが設けられ、そのピストンロッドの先端側部分がクランプ本体の後 端部から外部へ延出され、そのピストンロッドの先端側部分を盤面に固定する固 定金具が設けられている。 請求項７のクランプ装置では、前記クランプ本体の内部に、前記油路に連通さ れたプランジャ室に挿入されたプランジャと、このプランジャを駆動する油圧シ リンダとを含む油圧ブースタが設けられている。 請求項８のクランプ装置では、前記ガイド機構が、クランプ本体に前後方向に 細長くかつ盤面と直交状に形成され、かつ並列状に配置された複数のガイド孔と 、前記複数のガイド孔に夫々挿通されてベース部材のボルト穴に螺合された複数 のボルト部材とで構成されている。 請求項９のクランプ装置では、前記ガイド機構が、ベース部材とクランプ本体 の一方に前後方向向きに形成されたＴ溝と、ベース部材とクランプ本体の他方に 前後方向向きに形成され前記Ｔ溝に摺動自在に係合する係合部とで構成されてい る。

【０００９】

【考案の作用及び効果】

請求項１のクランプ装置においては、ベース部材は、盤面にボルト等の固定手 段にて固定され、ガイド機構は、クランプ本体を、ベース部材に対して前後に移 動自在に且つベース部材の頂面から浮上しないように係止している。 クランプ解除状態では、クランプ本体は、後方へ退いた退避位置にあり、クラ ンプ対象物を盤面上にセットしてクランプする場合、クランプ本体をその出力部 がクランプ対象物にラップする位置まで前進させた状態で、複数の油圧シリンダ に油圧を供給すると、複数の油圧シリンダのピストンロッドが盤面の方へつまり クランプ対象物の方へ進出して、クランプ対象物を盤面に固定する。そして、こ のときのクランプ反力は、前記ガイド機構でベース部材に支持される。

【００１０】 それ故、出力部に設けた複数の油圧シリンダにより、クランプ対象物を強力に クランプできる。また、クランプ解除状態では、クランプ本体が前後方向に移動 可能なので、クランプ装置の位置を前後方向に自由に切り換えることができる。 複数の油圧シリンダによりクランプするため、クランプ及びクランプ解除の作 業性を向上でき、クランプ解除状態においても、クランプ装置が盤面から離脱す ることがない。 しかも、クランプ対象物のサイズに応じて、クランプするときのクランプ本体 の前後方向位置をガイド機構の許す範囲内で自由に設定できるため、汎用性に優 れる。また、ベース部材の盤面への取付位置を変えることにより、クランプ装置 の位置を変えることもできる。 更に、複数の油圧シリンダを組み込んだり、ガイド機構の構成の大部分を組み 込んだりして複雑な構成となるクランプ本体と、簡単な構成のベース部材とを分 離したので、クランプ本体の製作が容易になるし、素材の材料費の面でも有利と なるため、クランプ装置の製作コストを低減できる。

【００１１】 請求項２のクランプ装置では、ガイド機構が、クランプ本体に形成した複数の ガイド孔と、複数の鍔付きブッシュと、複数のボルトとで構成されるが、クラン プ本体の高さはそれ程大きくならないため、複数のガイド孔の機械加工コストを 低減できる。 請求項３のクランプ装置では、ボルトの頭部をクランプ本体外から操作できる ため、クランプ装置の装着や取外しが容易になる。

【００１２】 請求項４のクランプ装置では、ガイド孔がクランプ本体の頂部に開放されてい ないため、ガイド孔に異物が侵入することがない。従って、機械加工されるワー クをクランプするのに好適なクランプ装置となる。 請求項５のクランプ装置では、１つの油圧供給ポートから複数の油圧シリンダ へ油圧を供給できるため、油圧供給系がシンプルになる。

【００１３】 請求項６のクランプ装置では、クランプ本体内に前後方向向きに設けた油圧シ リンダにより、クランプ本体を前後方向に位置切り換えすることができる。 請求項７のクランプ装置では、油圧ブースタにより、複数の油圧シリンダの油 圧を増圧して、クランプ力を強化できる。 請求項８のクランプ装置においては、基本的に請求項１のクランプ装置と略同 様の作用・効果が得られるが、複数の鍔付きブッシュを省力し、ボルトで直接ク ランプ本体を係止するように構成したため、クランプ装置の構成が簡単化する。 請求項９のクランプ装置では、前記ガイド機構を、Ｔ溝と係合部とで構成する ため、ガイド機構の構成が簡単化し、耐久性に優れる。

【００１４】

【実施例】 以下、本考案の実施例について図面に基いて説明する。 本実施例は、横型射出成形機の金型固定盤に、金型を固定する為のクランプ装 置に本考案を適用した場合の例である。 図１、図２に示すように、横型射出成形機の鉛直状の１対の金型固定盤１の盤 面２に金型３が夫々配置され、各金型３は１対のクランプ装置１０により盤面３ に固定されている。

【００１５】 前記クランプ装置１０の構造について、図３〜図５に基いて説明する。 ベース部材１１は、上下に細長い矩形状の厚板状の金属部材で構成され、この ベース部材１１には、例えば８つのボルト孔１１ａが盤面２のボルト穴４の配列 ピッチに適合した配列ピッチで盤面２と直交状に形成され、ベース部材１１は、 その底面を盤面２に当接させた状態で、８つのボルト孔１１ａに夫々挿通させた ボルト１１ｂを盤面２のボルト穴４に螺合して盤面２に固定解除可能に固定され ている。

【００１６】 クランプ本体１２は、上下サイズ及び幅サイズにおいて前記ベース部材１１と 、略同サイズで、上下に細長い矩形状の厚板状の金属部材で構成され、クランプ 本体１２は、その底面をベース部材１１の頂面１１ｃに面接触する状態にベース 部材１１上に配置される。前記クランプ本体１２の前端部には、金型３の被固定 部３ａが入る所定の間隔を空けて盤面２に対向する出力部１２ａが形成されてい る。

【００１７】 次に、ベース部材１１に対して、クランプ本体１２を前後移動自在に且つベー ス部材１１から浮上しないように係止するガイド機構１３について説明する。 このガイド機構１３は、クランプ本体１２に形成された例えば４つのガイド孔 １４と、これらガイド孔１４に夫々挿通された４つの鍔付きブッシュ１７と、こ れら鍔付きブッシュ１７に夫々挿通されてベース部材１１のボルト穴１１ｄに螺 合される４つのボルト２０とで構成されている。

【００１８】 次に、これらについて詳しく説明すると、クランプ本体１２の上部と下部にお いて、クランプ本体１２の前後方向の途中部には、前後方向に細長い４つのガイ ド孔１４が並列状に形成されている。前記ガイド孔１４は、頂端開放のＴ字状に 形成され、ガイド孔１４は、狭幅孔部１４ａと広幅孔部１４ｂとからなり、広幅 孔部１４ｂの底部には段部１６が形成されている。

【００１９】 各ガイド孔１４には、筒部１８とそのトップの鍔部１９とからなる鍔付きブッ シュ１７が挿入され、筒部１８は狭幅孔部１４ａにまた鍔部１９は広幅孔部１４ ｂの奥部に夫々配置され、筒部１８は、狭幅孔部１４ａの高さよりも僅かに長く 形成されている。 各鍔付きブッシュ１７にはボルト２０が外方より挿通され、ボルト２０の先端 部はベース部材１１のボルト穴１１ｄに螺合され、各鍔付きブッシュ１７は、鍔 部１９と段部１６間に僅かの隙間を空けた状態で、鍔付きブッシュ１７に挿通さ れ且つベース部材１１のボルト穴１１ｄに螺合させたボルト２０によりベース部 材１１に固定されている。 従って、クランプ本体１２は、ベース部材１１に対して、ガイド機構１３が許 容する範囲内において、前後方向には移動可能であるが、４つの鍔付きブッシュ １７の４つの鍔部１９により、ベース部材１１から浮上しないように係止されて いる。そして、クランプ本体１２を最大限前進させた状態では、出力部１２ａが ベース部材１１の前端よりも前方へ突出するようにガイド孔１４が形成されてい る。尚、各ボルト２０の頭部２０ａは広幅孔部１４ｂ内に収容されている。

【００２０】 前記出力部１２ａには、上下方向に１列状に配置した８つの油圧シリンダ３０ が盤面２と直交する方向に向けて設けられている。 各油圧シリンダ３０に関して、クランプ本体１２に形成したシリンダ穴の底部 を環状部材３１で塞ぐことでシリンダ室が形成され、シリンダ室にはピストン３ ２が収容され、ピストン３２から盤面２側へ延びたピストンロッド３３は、環状 部材３１のロッド孔を挿通しており、ピストンロッド３３は、出力部１２ａから 盤面２の方へ進出可能に構成され、シリンダ室のうち、ピストン３２の頂部側に は油室３４が形成され、また、ピストン３２の盤面２側にはエア室３５が形成さ れている。

【００２１】 前記８つの油圧シリンダ３０の油室３４に油圧を供給する為、クランプ本体１ ２の上端部の油圧供給ポート３７から８つの油室３４の頂部に連通する油路３６ がストレートに形成され、油圧供給ポート３７には、油圧供給装置（図示略）か ら延びた油圧ホース３８が接続される。 前記８つの油圧シリンダ３０のエア室３５に加圧エアを供給する為、クランプ 本体１２の上端部のエア供給ポート３９から８つのエア室３５に連通するエア通 路４１がストレートに形成され、エア供給ポート３９には、加圧エア供給装置（ 図示略）から延びたエアホース４０が接続される。 但し、エア室３６を油室に構成して油圧を供給するように構成してもよいし、 また、エア室３６に復帰スプリングを装着して、スプリングによりピストン３２ を復帰作動させるように構成してもよい。

【００２２】 以上説明したクランプ装置１０の作用について説明する。 このクランプ装置１０においては、ベース部材１１を盤面２の８つのボルト穴 ４を活用して盤面２にボルトで固定でき、また、クランプ本体１２は、ガイド機 構１３により、前後移動自在に且つ浮上しないようにベース部材１１に装着され ている。 クランプ解除状態においては、図４に示すように、実線で示す退避位置と鎖線 で示すクランプ位置とに位置切り換え可能であり、クランプ本体１２は、ベース 部材１１とガイド機構１３により盤面２から離脱することがない。 クランプ装置１０をクランプ位置に切り換え、８つの油圧シリンダ３０に油圧 を供給すると、８つのピストンロッド３３が進出して金型３の被固定部３ａを盤 面２に強力に固定することになる。このクランプ状態におけるクランプ反力は、 ８つの鍔付きブッシュ１７の鍔部１９を介して８つのボルト２０で強力にベース 部材１１に支持される。

【００２３】 金型３の交換時には、クランプ解除状態にして、退避位置に切り換えた状態に おいて金型３を交換する。そして、金型３の交換後には、クランプ本体１２を再 度クランプ位置に切り換えてからクランプ状態とする。 クランプ本体１２は、ガイド機構１３が許す範囲で前後方向に自由に位置を調 節できるため、種々のサイズの金型３を固定できる。また、ベース部材１１を盤 面２に装着する装着位置を変えることで、大小種々の金型３を固定できる。 ８つの油圧シリンダ３０によりクランプする構成であるため、クランプ駆動と クランプ解除を簡単に行うことができる。

【００２４】 しかも、複雑な構造で機械加工の必要なクランプ本体１２と、簡単な構造のベ ース部材１１とを分離したため、クランプ本体１２の機械加工、特にガイド孔１ ４の機械加工が容易になるし、また、クランプ本体１２とベース部材１１との素 材の材料面でも有利になるから、クランプ装置１０の製作コストを低減すること ができる。 尚、前記ガイド孔１４と鍔付きブッシュ１７とボルト２０は、４組に限らず、 ２組以上設ければよく、また、前記油圧シリンダ３０は、８つ以下又は８つ以上 設けてもよい。更に、前記鍔付きブッシュ１７を省略して、ボルト２０の頭部２ ０ａで直接段部１６を係止するように構成してもよい。

【００２５】 次に、前記クランプ装置の一部に変更を付加した複数の変形例について説明す る。但し、前記実施例と同様のものに同一の符号を付して説明を省略する。 図６に示すように、クランプ装置１０Ａのクランプ本体１２Ａの中央部の内部 に、前後方向向きの油圧シリンダ４５が設けられ、そのピストンロッド４６がク ランプ本体１２Ａの後端部よりも後方まで突出され、Ｌ形の固定金具４９が盤面 ２にボルト５０で固定され、ピストンロッド４６が固定金具４９に１対のナット ５１により連結されている。前記油圧シリンダ４５へは油圧供給装置（図示略） から延びた油圧ホース４７，４８が接続されている。 クランプ解除状態において、油圧シリンダ４５により、クランプ装置１０Ａを 前後方向に移動させて位置切り換えすることができる。このように構成すると、 クランプ駆動、クランプ解除、クランプ装置１０Ａの位置切り換えを油圧供給装 置を介して遠隔操作できるようになる。尚、油圧シリンダ４５の代わりに、エア シリンダを設けてもよい。

【００２６】 図７に示すように、クランプ装置１０Ｂのクランプ本体１２Ｂの中央部の内部 に、前後方向向きの油圧ブースタ６０が設けられる。この油圧ブースタ６０は、 大径シリンダ孔６１と、この大径シリンダ孔６１に装着されたピストン６２と、 油室６３と、スプリング室に装着されたスプリング６４（但し、これは省略可能 である）と、小径プランジャ孔６５と、ピストン６２から延びて小径プランジャ 孔６５に挿入されたプランジャ６６と、前記油路３６に接続されたプランジャ室 ６７とを備えている。油圧供給装置（図示略）から延びた油圧ホース６８を介し て油室６３に油圧を供給可能に構成してある。

【００２７】 クランプ装置１０Ｂをクランプ位置に切り換えた状態において、油室６３に油 圧を供給する前に、８つの油圧シリンダ３０に油圧を供給すると、油路３６から プランジャ室６７に油圧が供給される。次に、油室６３に油圧を供給してピスト ン６２を前方へ駆動すると、プランジャ６６により、プランジャ室６７と油路３ ６と８つの油圧シリンダ３０の油室３４の油圧が増圧されるため、クランプ力を 強化することができる。但し、油圧ホース３８の方へ油圧が逆流しないように、 油圧ホース３８に油圧を供給する油圧供給装置には開閉弁等を設けるものとする 。前記油圧ブースタ６０を設ける場合には、油圧シリンダ３０の油圧を高めてク ランプ力を著しく強化でき、或いは油圧シリンダ３０を小型化できる。 尚、前記油圧ブースタ６０の代わりに、スクリュー部材で油圧を加圧するよう に構成したスクリュー式の油圧ブースタを設けることもできる。 或いは、また、前記油圧ブースタ６０のプランジャ室６７の容量を大きく形成 する場合には、油圧ホース３８及び油圧供給ポートを省略し、油圧ブースタ６０ から８つの油圧シリンダ３０に油圧を供給するように構成することもできる。

【００２８】 図８に示すように、クランプ本体１２Ｃの厚さを大きく構成した場合において 、出力部１２ｃに直列２段構造の８組の油圧シリンダが設けられる。 前記油圧シリンダ３０と略同構造の各油圧シリンダ３０の頂部側に補助油圧シ リンダ３０Ｃが直列状に設けられ、油室３４が、補助油圧シリンダ３０Ｃのピス トン７０とピストンロッド７１とに形成された油路７２を介して油室７３に連通 され、両油圧シリンダ３０，３０Ｃの油圧力でクランプ駆動するように構成して ある。このように構成すると、クランプ力を強化できる。

【００２９】 図９、図１０に示すように、このガイド機構１３Ｄは、複数のガイド孔１４Ｄ と、複数の鍔付きブッシュ１７と、複数のボルト２０とで構成されている。 即ち、クランプ装置１０Ｄのクランプ本体１２Ｄの複数のガイド孔１４Ｄが、 クランプ本体１２Ｄの頂部に開放されない断面Ｔ字状の孔に形成され、クランプ 本体１２Ｄの後端部（又は前端部）に開放されている。 このクランプ装置１０Ｄの場合、複数の鍔付きブッシュ１７を、予めボルト２ ０でベース部材１１に固定した状態にしてから、クランプ本体１２Ｄを前方より （又は後方より）移動させて、ボルト２０で固定された鍔付きブッシュ１７を各 ガイド孔１４Ｄに導入することができる。ガイド孔１４Ｄの外側が開放されてい ないため、ガイド孔１４Ｄに異物が侵入することがない。それ故、工作機械で機 械加工されるワークを固定するのに好適なクランプ装置となる。尚、鍔付きブッ シュ１７を省略してボルト２０の頭部で直接段部１６を係止するように構成して もよく、また、ガイド孔１４Ｄの後端部を着脱自在の金具により閉じるように構 成してもよい。尚、ベース部材１１は、複数のボルトで盤面２に固定解除可能に 固定されている。

【００３０】 図１１、図１２に示すように、ガイド機構１３Ｅが、クランプ本体１２Ｅに前 後方向向きに形成された複数のＴ溝１４Ｅと、ベース部材１１Ｅの頂部に形成さ れて複数のＴ溝１４Ｅに摺動自在に夫々係合され且つクランプ本体１２Ｅが浮上 しないように係止する複数のＴ形の係合部２１とで構成されている。 尚、Ｔ溝１４Ｅの後端が開放されているため、ベース部材１１Ｅに対してクラ ンプ本体１２Ｅ前方へ離脱するのを防止する為に、例えば、クランプ本体１２Ｅ にピン部材２２を設け、係合部２１に前後方向に細長いスリット２３を形成し、 ピン部材２２をスリット２３の前端壁２３ａで係止するように構成してもよい。 但し、このガイド機構１３Ｅを上下逆にして、Ｔ溝１４Ｅをベース部材１１Ｅ 側に形成し、また、係合部２１をクランプ本体１２Ｅ側に形成してもよい。

【００３１】 図１３、図１４に示すように、ガイド機構１３Ｆが、複数のガイド孔１４Ｆと 、これらガイド孔１４Ｆに夫々挿通されてベース部材１１に螺合される複数のボ ルト２０Ｆとで構成されている。 クランプ装置１０Ｆのクランプ本体１２Ｆには、前記ガイド孔１４の代わりに 、複数の断面矩形状のガイド孔１４Ｆが形成され、前記鍔付きブッシュ１７が省 略され、各ガイド孔１４Ｆに挿通された段付きボルト２０Ｆがベース部材１１の ボルト穴１１ｄに螺合され、各ボルト２０Ｆの頭部２０ｂとクランプ本体１２Ｆ の頂端面間には、僅かの隙間が形成され、複数の段付きボルト２０Ｆの頭部２０ ｂにより、クランプ本体１２Ｆを前後方向に移動可能に且つベース部材１１から 浮上しないように係止するように構成される。 このクランプ装置１０Ｆでは、ガイド機構１３Ｆの構造が簡単化し、且つ鍔付 きブッシュ１７を省略できるため、全体の構成が簡単化する。

【００３２】 以上説明したクランプ装置は、射出成形機の金型だけでなく、プレス機械の金 型をボルスタの盤面に固定したり、また、工作機械により機械加工されるワーク を工作機械のテーブルの盤面やワークパレットの盤面に固定したりするのにも適 用可能であり、その種々のワークや工具を盤状部材の盤面に固定するのに適用可 能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】横型射出成形機の金型固定盤に実施例に係るク
ランプ装置で金型を固定した状態を示す図である。

【図２】図１の金型とクランプ装置の斜視図である。

【図３】図１のクランプ装置の側面図である。

【図４】図３の４−４線断面図である。

【図５】図３の５−５線断面図である。

【図６】変形例に係るクランプ装置の側面図である。

【図７】変形例に係るクランプ装置の側面図である。

【図８】変形例に係るクランプ装置の図４相当部分図で
ある。

【図９】変形例に係るクランプ装置の図４相当図であ
る。

【図１０】図９の１０−１０線断面図である。

【図１１】変形例に係るクランプ装置の図４相当図であ
る。

【図１２】図１１の１２−１２線断面図である。

【図１３】変形例に係るクランプ装置の図４相当図であ
る。

【図１４】図１３の１４−１４線断面図である。

【符号の説明】

１ 金型固定盤 ２ 盤面 ３ 金型（クランプ対象物） １０，１０Ａ〜１０Ｆ クランプ装置 １１ ベース部材 １２，１２Ａ〜１２Ｆ クランプ本体 １２ａ，１２ｃ 出力部 １３，１３Ｄ，１３Ｅ，１３Ｆ ガイド機構 １４，１４Ｄ，１４Ｅ，１４Ｆ ガイド孔 １６ 段部 １７ 鍔付きブッシュ ２０，２０Ｆ ボルト ３０，３０Ｃ 油圧シリンダ ３３ ピストンロッド ３６ 油路 ３７ 油圧供給ポート ４５ 油圧シリンダ ４６ ピストンロッド ４９ 固定金具 ６０ 油圧ブースタ

Claims (9)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランプ対象物を盤状部材の盤面に固定
   する為のクランプ装置において、 前記盤面上に固定解除可能に固定される厚板状のベース
   部材と、 前記ベース部材の頂面に底面を当接させた状態に配置さ
   れるクランプ本体と、 前記ベース部材に、クランプ本体を、前後方向に移動可
   能に且つベース部材の頂面から浮上しないように係止す
   るガイド機構と、 前記クランプ本体の前端部に設けられた出力部に夫々盤
   面と直交状に装着され、ピストンロッドを盤面の方へ進
   出駆動可能な複数の油圧シリンダであって、前後方向と
   直交する方向に１列状に配置された複数の油圧シリンダ
   と、 を備えたことを特徴とするクランプ装置。
2. 【請求項２】 前記ガイド機構が、クランプ本体に前後
   方向に細長くかつ盤面と直交状に形成され、かつ並列状
   に配置された複数のガイド孔と、 前記複数のガイド孔に夫々挿通された複数の鍔付きブッ
   シュと、 前記複数の鍔付きブッシュに夫々挿通されてベース部材
   のボルト穴に螺合され、鍔付きブッシュをベース部材の
   頂面に固定する複数のボルトとで構成されたことを特徴
   とする請求項１に記載のクランプ装置。
3. 【請求項３】 前記ガイド孔は、クランプ本体の頂部に
   開放され且つ段部を有する断面Ｔ字状の孔に形成され、
   前記鍔付きブッシュが前記段部を係止するように構成し
   たことを特徴とする請求項２に記載のクランプ装置。
4. 【請求項４】 前記ガイド孔は、クランプ本体の頂部に
   開放されない且つ段部を有する断面Ｔ字状の孔に形成さ
   れ、前記鍔付きブッシュが前記段部を係止するように構
   成され、且つ前記ガイド孔はクランプ本体の前端部又は
   後端部に開放されたことを特徴とする請求項２に記載の
   クランプ装置。
5. 【請求項５】 前記出力部に、油圧供給ポートと、この
   油圧供給ポートに前記複数の油圧シリンダの油圧室を連
   通する油路とが設けられたことを特徴とする請求項１に
   記載のクランプ装置。
6. 【請求項６】 前記クランプ本体の内部に、前後方向に
   向けた油圧シリンダが設けられ、そのピストンロッドの
   先端側部分がクランプ本体の後端部から外部へ延出さ
   れ、そのピストンロッドの先端側部分を盤面に固定する
   固定金具が設けられたことを特徴とする請求項１に記載
   のクランプ装置。
7. 【請求項７】 前記クランプ本体の内部に、前記油路に
   連通されたプランジャ室に挿入されたプランジャと、こ
   のプランジャを駆動する油圧シリンダとを含む油圧ブー
   スタが設けられたことを特徴とする請求項５に記載のク
   ランプ装置。
8. 【請求項８】 前記ガイド機構が、クランプ本体に前後
   方向に細長くかつ盤面と直交状に形成され、かつ並列状
   に配置された複数のガイド孔と、 前記複数のガイド孔に夫々挿通されてベース部材のボル
   ト穴に螺合された複数のボルト部材とで構成されたこと
   を特徴とする請求項１に記載のクランプ装置。
9. 【請求項９】 前記ガイド機構が、ベース部材とクラン
   プ本体の一方に前後方向向きに形成されたＴ溝と、ベー
   ス部材とクランプ本体の他方に前後方向向きに形成され
   前記Ｔ溝に摺動自在に係合する係合部とで構成されたこ
   とを特徴とする請求項１に記載のクランプ装置。