JPH063504Y2 - 硬貨収納用金庫の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、公衆電話機，自動販売機等に実施して好適な
硬貨収納用金庫の構造に関する。

〔従来の技術〕

従来から公衆電話機，自動販売機等においては投入され
た硬貨を収納する硬貨収納用金庫を備えている。この金
庫内に収納された硬貨は集金時に該金庫の硬貨収納口か
ら抜き取られる虞れがあるため、料金管理上金庫を装置
本体内に装着したときには前記硬貨収納口を開口させ、
装置本体から取り出したときには硬貨収納口を閉塞させ
る硬貨収納口閉鎖装置を内蔵したものが用いられてい
る。このような硬貨収納口閉鎖装置としては、例えば実
開昭５９−１４７２７３号公報，実開昭５７−１２７２
８１号公報等にみられるようにシャッタ板を使用するも
のが一般的で、このシャッタ板を装置本体側に設けたピ
ンによって斜め方向に摺動させることで硬貨収納口を開
閉制御し、一旦装置本体から金庫を取出すと、この取出
し操作に連動して作動する係止レバーがシャッタ板をロ
ックし、外部からシャッタ板を操作できないようにして
いる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、ピンを金庫内に挿入してシャッタ板を押
圧移動させる方式を採用した従来の硬貨収納用金庫にお
いては、ピンがストレートで最も単純な形状をしている
ため、ピンに類似した棒状体を用いるとシャッタ板を簡
単に操作することができ、したがって硬貨の不正抜き取
りを完全には防止し得るものではなかった。また、シャ
ッタ板に閉方向の復帰習性を付与しているスプリングが
折損すると、金庫を装置本体から引き出してもシャッタ
板は元の閉塞位置に戻らず硬貨収納口を開いたままの状
態にするため、硬貨の不正抜き取りを可能にするなどの
問題があった。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案に係る硬貨収納用金庫の構造は上述したような問
題点を解決すべくなされたもので、硬貨収納口を開閉制
御する摺動自在なシャッタ板を内蔵した硬貨収納用金庫
において、装置本体内にカム溝を有するシャッタ開閉用
カム板を配置し、前記シャッタ板にピンを設け、このピ
ンを金庫の装着時に前記カム溝によって押圧しシャッタ
板を動作させるように構成したものである。

〔作用〕

本考案においてはカム板のカム溝によりシャッタ板のピ
ンを押圧するように構成しているので、外部からピンが
不正操作を目的として操作されることが少なく、硬貨の
抜き取りを防止し得る。また、シャッタ板を付勢するス
プリングが折損してもカム溝のガイド作用によりシャッ
タ板を閉塞位置に確実に復帰させ得る。

〔実施例〕 以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明
する。

第１図は本考案に係る硬貨収納用金庫の一実施例を示す
金庫蓋の一部破断側面図、第２図は同蓋の底面図、第３
図は同蓋のシャッタカバーを取り外した底面図、第４図
は金庫の外観斜視図である。第４図において、１は公衆
電話機の装置本体（図示せず）内に収納される硬貨収納
用金庫で、この金庫１は上面が開放する箱形の金庫本体
２と、この金庫本体２の開口部に被冠され適宜な施錠装
置（図示せず）によって施錠される金庫蓋３を備え、電
話機の装置本体内には傾斜したカム溝４を有するシャッ
タ開閉用カム板５が配設され、金庫蓋３の上面適宜箇所
には硬貨収納口６が、また前縁にはカム用孔７が前記カ
ム板５に対応して形成されている。前記カム板５は装置
本体内の金庫収納位置の奥方に配設され、金庫１が該収
納位置に挿入設置されると、前記カム用孔７より金庫蓋
３内に挿入され、後述するシャッタ板８のピンを押圧移
動させるように構成されている。

前記金庫蓋３の構成を第１図乃至第３図に基づいて詳述
すると、該金庫蓋３は下面が開放し前記金庫本体２の上
端開口部外周面に嵌合する浅底箱形の外ケース３Ａと、
外ケース３Ａの内面に間隔部材９を介して配設された仕
切板１０と、この仕切板１０の下面に適宜な間隔を保っ
て配設されたシャッタカバー１１とで構成され、前記仕
切板１０とシャッタカバー１１との間に硬貨収納口閉鎖
装置１２を構成する前記シャッタ板８，該シャッタ板８
をロックするラッチ板３０等が配設され、外ケース３Ａ
の表面には前記硬貨収納口６が設けられ、これに対応し
て前記仕切板１０にも同様の収納口１４が設けられ、さ
らに該収納口１４の一側には斜めのピンガイド孔１５が
前記カム用孔７に対応して設けられている。また、仕切
板１０の下面には複数個のねじ１６が設けられており、
このねじ１６とナット１７とで前記シャッタカバー１１
が該仕切板１０の下面に固定されるようになっている。

前記シャッタ板８は平面視略異形六角形をなして前記仕
切板１０の下面に斜め方向に摺動自在に配設されて前記
硬貨収納口６，１４を開閉するもので、前記ピンガイド
孔１５と平行な３つの長孔１８，１９，２０を有し、そ
のうち２つの長孔１９，２０の一端は該シャッタ板８の
一側縁に開口している。また、２つの長孔１８，１９に
は前記シャッタカバー１１を固定するためのねじ１６
（１６ａ，１６ｂ）が挿通されており、これらのねじ１
６ａ，１６ｂはシャッタ板８のガイド部材を兼用してい
る。シャッタ板８の表面には係合ピン２１が植設されて
おり、このピン２１は前記ピンガイド孔１５に挿通され
仕切板１０の上面側に突出している。前記仕切板１０の
下面には引張コイルスプリング２５がシャッタ板８の一
側に前記長孔１８，１９，２０と略平行になるように配
設されており、このスプリング２５はその一端が該仕切
板１０の下面に植設されたスプリング係止用ピン２３に
係止され、他端がシャッタ板８のばね係止部２４に係止
されることにより該シャッタ板８を第３図左斜め上方に
付勢し、通常硬貨収納口６，１４を閉塞する位置、すな
わち閉塞位置に設定保持している。

シャッタ板８の下面で前記長孔２０が形成されている部
分８ａは他の部分に比して薄肉形成されており、この薄
肉部８ａと厚肉部８ｂとの境部で前記長孔１９と２０と
の間の部分には鋸歯状の係止部２７が形成され、さらに
この係止部２７に連続して押圧部２８が設けられてい
る。

前記仕切板１０の下面には前記長孔２０内に位置して軸
ピン２９が植設されており、この軸ピン２９に前記ラッ
チ板３０が回転自在に配設されている。ラッチ板３０は
前記シャッタ板８の薄肉部８ａ下面と接し、その一端に
は金庫１を装置本体から抜き出した際係止部２７に係接
してシャッタ板８を閉位置にロックし開方向の移動を阻
止する爪３１が設けられ、他端は前記シャッタ板８の開
動作時に前記押圧部２８によって押圧される被押圧部３
２を構成している。この被押圧部３２は押圧部２８と係
止用ピン３７の間に位置している。また、ラッチ板３０
の下面で回動中心には該ラッチ板３０をリセットするた
めのつまみ３３が設けられており、このつまみ３３は第
１図に示すようにシャッタカバー１１に設けられた挿通
孔３４（第２図）より該カバー１１の下方に突出されて
いる。そして、ラッチ板３０は反転ばね３６によって第
３図時計方向もしくは反時計方向に付勢されることによ
りシャッタ板８を閉位置にロックするロック位置（第６
図）とシャッタ板８のロックを解除するロック解除位置
（第３図）の２位置を選択的に取り得るように構成され
ている。なお、反転ばね３６は中央にコイル部３６ａを
有し、一端が仕切板１０の下面に設けられたばね係止用
ピン３７に、他端がラッチ板３０に設けられたピン３８
にそれぞれ係止されている。

前記シャッタカバー１１には前記硬貨収納孔６，１４に
対応して収納孔３９が開設され、またこの孔３９に対応
して該カバー１１の下面には硬貨を所定の方向に落下さ
せるためのシュート４０が取付けられ、さらに前記スプ
リング２５のカバー４１が設けられている。

次に、このような構成からなる硬貨収納用金庫１の動作
について説明する。硬貨収納用金庫１を電話機の装置本
体内に装着する前の状態において、シャッタ板８はスプ
リング２５によって第３図に示す閉塞位置、換言すれば
初期位置に設定保持されることにより硬貨収納孔６，１
４を共に閉塞している。この時、ラッチ板３０は、反転
ばね３６の作用により軸ピン２９を中心とした第３図時
計方向の回転力を受けロック解除位置に設定保持される
ことにより、その爪３１が鋸歯状係止部２７から離間
し、被押圧部３２がシャッタ板８の押圧部２８に前記反
転ばね３６のばね力によって圧接されている。ラッチ板
３０をロック解除位置にセットするための操作は金庫蓋
３を開けてシャッタカバー１１の下方に突出しているつ
まみ３３を廻すことで簡単に行うことができ、しかる後
金庫蓋３を施錠すればよい。

金庫蓋３を施錠した後、硬貨収納用金庫１を電話機本体
内の金庫収納位置に挿入していくと、カム板５がカム用
孔７より金庫蓋３内に徐々に進入し、カム溝４と係合ピ
ン２１とが係合する。さらに金庫１を挿入すると、カム
溝４の一方の傾斜壁４ａ（第４図）が前記係合ピン２１
を押圧する格好になるため、シャッタ板５は第５図に示
すようにスプリング２５に抗して押圧され長孔１８，１
９をそれぞれ貫通する止めねじ１６ａ，１６ｂに案内さ
れて第５図において右斜め下方に移動し始める。すると
硬貨収納口６，１４が徐々に開かれていく。また、ラッ
チ板３０は被押圧部３２がシャッタ板８の押圧部２８に
よって押圧されるため、軸ピン２９を中心として反転ば
ね３６に抗して第５図反時計方向に回動し、ピン３８が
前記軸ピン２９とばね係止用ピン３７を結ぶ直線を越え
てその右側に移行すると、反転ばね３６のばね力が反転
し、ラッチ板３０を反時計方向に付勢する。したがっ
て、ラッチ板３０は急激に反時計方向に回動し、その爪
３１が鋸歯状係止部２７の第５図左端に位置する山部の
左側斜面（一方の斜面）に係接することにより、ロック
解除位置（第３図）とロック位置（第６図）の中間位置
に設定保持される。この状態で金庫１は所定の金庫収納
位置にセットされ、硬貨収納口６，１４が完全に開口さ
れることにより硬貨の収納に供される。

次に、硬貨収納後金庫１を装置本体内から抜き出すと、
カム板５が金庫蓋３より退出して係合ピン２１を解放す
るため、シャッタ板８はスプリング２５の力により前記
ねじ１６ａ，１６ｂをガイドとして長孔１８，１９に沿
って第６図斜め左斜め上方に移動して初期位置に復帰
し、硬貨収納口６，１４を閉塞する。この時、ラッチ板
３０はシャッタ板８の移動に伴い鋸歯状係止部２７の山
部が爪３１を通過する毎に時計および反時計方向に揺動
するが、その回動角度は僅かで、ピン３８が軸ピン２９
とばね係止用ピン３７を結ぶ直線を越えてその左側に移
行することがなく、したがって反転ばね３６は依然とし
てラッチ板３０を反時計方向に付勢し続ける。そして、
シャッタ板８が初期位置に復帰すると、ラッチ板３０の
爪３１は鋸歯状係止部２７の第６図右端に位置する山部
の右側斜面（他方の斜面）に前記反転ばね３６の力によ
り圧接されてロック位置に設定保持され、シャッタ板８
を初期位置にロックする。第６図はこの状態を示す。し
たがって、この状態で、不正操作を目的として係合ピン
２１を押圧しても、シャッタ板８は移動し得ず、硬貨収
納口６，１４を閉塞し続ける。すなわち、板状の異物を
カム用孔７に差し込んで係合ピン２１を押圧した場合、
シャッタ板８はスプリング２５に抗して第６図右斜め下
方に向かって移動しようとする。このため、ラッチ板３
０は、爪部３１が鋸歯状係止部２７の右端に位置する山
部の右側斜面によって押圧され、反時計方向に回動しよ
うとするが、被押圧部３２と係止用ピン２７との当接係
合により回動を規制されるため、シャッタ板８の開方向
の移動を阻止する。したがって、硬貨収納口６，１４を
不正に開くことができず、金庫１内の硬貨の抜き取りを
防止することができる。

また、本実施例のようにカム板５に設けた所定形状のカ
ム溝４によって係合ピン２１を押圧し、シャッタ板８を
動作させるように構成しておくと、ピンによりシャッタ
板を押圧するように構成した従来構造に比してカム板５
はピンと比較して製作が面倒で、真似される虞れが少な
く、硬貨の不正抜き取りを防止する上で有効かつ効果大
である。さらに、金庫１の装着時に何らかの原因でスプ
リング２５が折損したり外れたりした場合であっても、
金庫１を引き出す際にはカム溝４が係合ピン２１のガイ
ド作用をしシャッタ板８を初期位置に復帰させるため、
硬貨収納口１４が開きっぱなしになることがなく、した
がってこの場合も硬貨の不正抜き取りを防止し得るもの
である。

なお、ラッチ板３０によるシャッタ板８のロック状態
（第６図）を解除する場合は、解錠して金庫蓋３を開
き、つまみ３３を手で回してラッチ板３０を第３図に示
す状態に戻せばよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係る硬貨収納用金庫の構造
は、金庫内に摺動自在に配設され硬貨収納口を開閉する
シャッタ板に係合ピンを設け、装置本体内にカム溝を有
する開閉用カム板を配置し、このカム溝によって前記係
合ピンを押圧することでシャッタ板を移動させるように
構成したので、ドライバ等の工具によっては係合ピンを
動作させ得ず、硬貨の不正抜き取りを確実に防止するこ
とができ、また金庫の取り出し時においてシャッタ板に
復帰習性を付与するスプリングが折損したり外れたりし
て所期の機能を果さない事態が発生したとしても、カム
溝が係合ピンのガイドを果しシャッタ板を初期位置に確
実に戻すため、硬貨収納口の閉鎖が確実で、開きっぱな
しになることがないなどその実用的効果は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る硬貨収納用金庫の一実施例を示す
金庫蓋の一部破断側面図、第２図は同蓋の底面図、第３
図は同蓋のシャッタカバーを取り外した底面図、第４図
は金庫の外観斜視図、第５図はシャッタ板とラッチ板の
動作を説明するための図、第６図はラッチ板によるシャ
ッタ板のロック状態を示す図である。 １……硬貨収納用金庫、２……金庫本体、３……金庫
蓋、４……カム溝、５……開閉用カム板、６，１４……
硬貨収納口、７……カム用孔、８……シャッタ板、１１
……シャッタカバー、１８，１９，２０……長孔、２１
……係合ピン、２５……スプリング、２７……鋸歯状係
止部、２８……押圧部、２９……軸ピン、３０……ラッ
チ板、３１……爪、３２……被押圧部、３６……反転ば
ね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】傾斜したカム溝を有して装置本体内に配設
   されたシャッタ開閉用カム板と、金庫本体と上面に硬貨
   収納口が設けられ前縁には前記カム板に対応してカム用
   孔が設けられ前記金庫本体の上面開口部を閉鎖する金庫
   蓋とからなる金庫と、係合ピン、鋸歯状係止部および押
   圧部を有して前記金庫蓋の内側に摺動自在に配設されて
   通常は前記硬貨収納口を閉鎖し、前記金庫の装置本体内
   への装着時に前記係合ピンが前記カム溝によって押圧さ
   れることにより斜め方向に移動して前記硬貨収納口を開
   くシャッタ板と、前記硬貨収納口が閉塞される方向に前
   記シャッタ板を付勢するスプリングと、一端に前記鋸歯
   状係止部と係合し得る爪が設けられ、他端には前記シャ
   ッタ板の開動作時に前記押圧部によって押圧される被押
   圧部が設けられ前記金庫蓋の内側に回動自在に配設され
   たラッチ板と、このラッチ板をシャッタ板を閉位置にロ
   ックするロック位置とシャッタ板のロックを解除するロ
   ック解除位置の２位置に選択的に設定保持する反転ばね
   とを備え、 前記ラッチ板は金庫を装置本体内に装着する前の状態に
   おいてロック解除位置に設定保持されることにより被押
   圧部がシャッタ板の押圧部に圧接されて爪が鋸歯状係止
   部から離間されており、金庫が装置本体内に装着される
   と前記被押圧部が前記押圧部によって押圧されて回動す
   ることにより爪が前記鋸歯状係止部の一方の斜面に当接
   してロック位置とロック解除位置の中間位置に設定保持
   され、金庫の取出し操作により前記シャッタ板が前記カ
   ム板から解放されて初期位置に移動復帰すると、爪が鋸
   歯状係止部の他方の斜面に当接係合してロック位置に設
   定保持されることによりシャッタ板を閉位置にロックす
   ることを特徴とする硬貨収納用金庫の構造。